更新日:2025年6月27日

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湘南港整備までの経緯

湘南港の歴史、土木遺産

湘南港整備までの経緯

 湘南港は1964年(昭和39年)東京オリンピックにおいて、日本で始めての競技用ハーバーとして、富士を望む相模湾の県指定史跡・名勝の地である江の島に整備されました。

 江の島付近の海岸は昭和30年頃から砂浜の侵食が顕在化し始め、県においてもこの対策を研究するため各界の権威者からなる海岸対策委員会を設けて昭和31、32年に基礎調査を実施しました。その結果、江の島東南に防波堤築造が最善との結論が出され、その高度利用を検討していた最中、オリンピック会場の話が持ち上がり、湘南港の計画が一気に具体化しました。

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湘南港建設状況(昭和38年)

 湘南港建設は1961年(昭和36年)5月から開始されましたが、オリンピックを昭和39年に控え急速施工を要したほか、現場が太平洋の外海に面し常時波浪の影響を受けるうえ、加えて第2室戸台風等により工事は困難を極めました。また、製作ヤードを江の島に求めることが困難なため、海上8km離れた鐙摺港(葉山ヨットハーバー)でブロック製作し海上運搬据付を行うなど、厳しい条件のなか工事が行われました。

 工事としては、当時未だ県内でも実績が少なかったプレパックドコンクリート工法(※1)を水中コンクリートの施工法として最も安定し、かつ経済的な工法として採用し、施工パーティ数を増やすなど、関係者の努力により、1964年(昭和39年)7月に湘南港は完成しました。

(※1)プレパックドコンクリート工法:特殊コンクリートの一種で、先に型枠内に粗骨材を投入し、次いでモルタルを注入充填してつくるコンクリート。

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本船岸壁工事状況(昭和38年)

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南防波護岸工事状況(昭和38年)

 東京オリンピックヨット競技を皮切りに国際大会もしばしば開催され、1998年(平成10年)には第53回国民体育大会(かながわ・ゆめ国体)のヨット競技会場となるなど、日本トップクラスのハーバーとなりました。

 また、平成13年3月にはノルウェー国王夫妻(国王が皇太子の頃、東京オリンピックに選手として参加)が天皇・皇后両陛下の同行のもと湘南港を訪れています。

 現在では、年間約100回のヨットレースが開催されているほか、青少年のヨット教室、障がい者や高齢者でも操作が容易な小型ヨットの体験教室も開催されるなど、誰もが気軽に訪れることのできる港として、多くの方々に利用されています。

 湘南港はオリンピックを契機に、湘南地域に日本のマリンスポーツのメッカとして「海洋文化」を根付かせ、また湘南港の完成により当初の目的であった海岸侵食対策としての効果も大きく、海水浴やウインドサーフィンなど、砂浜の利用も盛んに行われています。

 1964年東京オリンピックヨット競技会場としてオリンピックを直接支える為に整備された土木施設であり、令和3年7月25日~8月4日には2度目となる東京2020オリンピック・セーリング競技が開催され、今後も五輪とともに歩む貴重な施設である湘南港を土木遺産として、後世までその功績を伝えていきます。

湘南港ドローン写真令和4年2月撮影

湘南港(令和4年2月撮影)

土木学会選奨土木遺産の認定

 江の島ヨットハーバーの名前で親しまれている地方港湾「湘南港」が、「第18回オリンピック東京大会において築造され、市民に開かれた海洋文化の発展に大きく寄与し、五輪とともに歩む貴重な土木遺産である」として、平成28年度の土木学会選奨土木遺産に認定(平成28年9月20日)されました。

※ 土木学会選奨土木遺産とは
土木遺産の顕彰を通じて歴史的土木構造物の保存に資することを目的として、平成12年に認定制度を設立。
推薦および一般公募により、年間20件程度を選出。

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土木学会選奨土木遺産の認定書

 湘南港は1964年オリンピック後、ハーバー機能の充実や、一般に開かれた港湾として、再整備を行ってきましたが、南防波護岸や岸壁の一部は現在も当時の姿を残しています。

 

1964年(昭和39年)

東京オリンピックの

湘南港の主な施設

完成年 1964年(昭和39年)7月

  • ヨットハウス

 地上3階 鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)建築面積2,239平方メートル、

 延床面積 3,361平方メートル

  • 防波護岸 638メートル 防波堤392メートル
  • 本船岸壁 115メートル ヨット曳揚場2箇所 ヨット桟橋3基
  • ヨットハーバー泊地 33,000平方メートル
  • 臨港道路 1,632.8メートル(江の島大橋含む)
  • 埋立工事 119,154平方メートル

 

 

 

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