更新日:2023年9月12日

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農業(麦、大豆、飼料作物等)への影響と適応策

神奈川県における麦、大豆、飼料作物等に対する気候変動の影響と適応策

気候変動の影響

 神奈川県では現在、麦類の登熟期間の減少や子実充実不足、発芽不良等の生理障害の発生が見られ、将来も同様の影響が予測されています。
 また、「地域適応コンソーシアム事業」(環境省・農林水産省・国土交通省連携事業(2017~2019年))によると、関東地域で一番茶摘採期が早まり、凍霜害発生リスクが増大する予測が示されています。

関東地域の一番茶摘採期予測(MR-CGCM3)
関東地域の一番茶摘採期予測(MRI-CGCM3※)

※気候モデルMRI-CGCM3
 大気や海洋などの中で起こる現象を物理法則に従って定式化し、コンピュータによって擬似的な地球を再現しようとする計算プログラムを「気候モデル」といい、MRI-CGCM3は、気象研究所が開発した気候モデルの一つ。

出典:地域適応コンソーシアム事業成果報告2-1「夏季の高温・少雨による茶栽培への影響調査」2021年2月25日利用)

 

影響に対処するための県による施策(適応策)

 高温障害を軽減するため、技術試験を実施し、対策技術の確立を行うとともに、農家への技術支援を行います。

現在県で取組んでいる具体的な事例

  • 麦類・落花生について、国研究機関等と連携して耐暑性品種の選定を実施
  • 飼料作物について、県内の気候や風土にあった多収量で良質な飼料作物の品種比較試験、作付奨励できる神奈川県飼料作物奨励品種の選定・普及
  • 飼料用トウモロコシの二期作は、近年神奈川県でも栽培事例が増加してきており、この技術が可能になる条件を明らかにするとともに、畜産農家におけるトウモロコシ二期作の安定栽培技術に関する技術支援を実施
 

【参考】日本全国における気候変動による影響(概要)

出典:気候変動影響評価報告書(別ウィンドウで開きます)(2020年12月、環境省)

現在の状況

  • 小麦:冬から春の気温上昇による播種期の遅れと出穂期の前進のため、全国的に生育期間が短縮
  • 大豆:一部地域で夏季の高温による百粒重の減少、高温乾燥条件の継続によるさや数の減少・品質低下
  • 飼料作物:関東地方の一部で飼料用トウモロコシの乾物収量が増加傾向
  • 茶:夏季の高温・少雨による二番茶・三番茶の生育抑制、暖冬による冬芽の再萌芽・一番茶萌芽の遅延などの生育障害

将来予測される影響

  • 小麦:出穂から成熟期までの平均気温上昇による減収、播種後の高温に伴う生育促進による凍霜害リスクの増加、二酸化炭素濃度(CO2)上昇によるタンパク質含量の低下
  • 大豆:寒冷地は増収、温暖地は減収
  • 飼料作物(エンバク):平均気温2℃上昇で、関東平野部全域でエンバクの冬枯れリスク増大
  • 飼料作物(トウモロコシ):2080年代に、関東地域から九州地域にかけて、二期作栽培適地拡大
  • 茶(品種「やぶきた」):関東地域で一番茶摘採期が早期化し、凍霜害発生リスク増大

 

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