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更新日:2023年7月13日

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契約直後でもキャンセル不可? 中古車の売買契約相談事例

中古車の売買契約で、契約直後のキャンセルについての相談事例です。

相談内容

【相談事例1】

 中古車を買おうと店舗に出向き、よい車があったので購入を決めたが、印鑑がなかったので翌日持参することとし、拇印を押して帰宅した。しかし、市場価格より高いと思い直し、2時間後に解約の電話を入れたが、10パーセントのキャンセル料を請求された。


【相談事例2】

 車を売ろうと下取り業者に査定してもらったところ、120万円を提示された。その際、同席していなかった夫の返答次第で契約成立と書面に一筆書かれた。
 当日夜、夫が了承の電話を店舗に入れたが、気が変わり、数時間後に解約の電話を入れたところ、既に上司の決裁を取っているので、75,000円の違約金が発生すると言われた。

キャンセル料

アドバイス

 物を売ったり買ったりする売買契約は、正式な契約書を交わしたか否かに関係なく、売主と買主が契約内容に合意した時点で成立し、その後は売主・買主ともに、一方的に契約を取り消せないというのが、契約の基本を定める民法上の大原則です。
 また、乗用車は、一般的によく検討してから購入する商品と考えられており、特定商取引法及び割賦販売法のクーリング・オフの適用除外になっており、契約直後でも、消費者側から一方的に車の売買契約を解約することはできません。一度結んだ車の売買契約を解約できるかどうかは、各業者と交わす契約書・注文書の記載内容によって決まることになります。

 一般社団法人日本自動車販売協会連合会と一般社団法人日本中古自動車販売協会連合会が具体的な車の売買契約の雛形を作成していますが、これらによると、自動車を現金販売等で消費者が購入する場合の契約成立時期について「自動車の登録がなされた日、注文により販売業者が修理・改造・架装等に着手した日、自動車の引渡しがなされた日のいずれか早い日」とされています。
 この契約雛形どおりの内容で消費者が販売業者から中古車を購入することとしたのであれば、直後のキャンセルの場合、契約成立前となり、販売業者に通常生じる損害の額に見合うキャンセル料を支払えば、購入申込を撤回することができます。この「通常生じる損害の額」については「注文以降に要した実費(車庫証明申請の費用等)」と考えられ、「他の客が車を見に来店したのに売ることができなかった」などとする営業活動上の拡大損失(逸失利益)は商行為上発生するものであり、消費者側に負担を求めるのは合理性がないと理解されています。
 ですから、相談事例1のように注文後2時間といったごく短時間後のキャンセルであれば、業者側に費用は発生しておらず、キャンセル料なしで申込みを撤回できるものと考えられます。

 

 相談事例2のように買取り業者に車を売却する場合は、売買契約の雛形に特別な規定がないので、民法の原則、つまり売手と買手の意思が一致した時点が契約の成立時期となり、原則として消費者からの一方的なキャンセルはできず、特約で一定のキャンセル料の支払などの条件が定められていれば、その方法でのみ契約解除できることになります。
 なお、このキャンセル料の定め方については、消費者契約法第9条第1号で、「消費者の契約の解除に伴う損害賠償のうち、当該事業者に生じる平均的な損害の額を超える部分の契約条項は無効」と定められていますので、これを根拠として、不当に高い額のキャンセル料を定める特約を無効と主張する余地があります。キャンセル料の具体的な積算根拠の説明を業者に求め、「平均的な損害の額」として妥当なものであるかを確認することで、キャンセル料について業者側と話し合う余地は残されていますので、お近くの消費生活相談窓口に早めに相談しましょう。

 中古といっても、車の売買価格は日常の買物などとは比べ物にならないほど高額です。また、自動車の保有には、納税義務、自賠責保険の強制加入など、他の商品にはない特性があり、手続の進行状況によっては、解約によって実際に業者側が少なくない額の損害を被る場合もあり得ます。
 更に、自動車の購入には、法令上のクーリング・オフが適用されないので、注文書への署名・押印には、特別な慎重さが求められます。契約を急かされるようなことがあっても、家族と相談して決めたいなどとし、注文書などを一旦持ち帰り、熟読・熟考することが、この種のトラブル回避の近道と言えるでしょう。

消費生活相談は、消費者ホットライン188番をご利用ください

188

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