市民団体における取組

掲載日:2017年2月16日

自分たちの住むまちをよくしたい、自然のすばらしさを伝えたい-。

様々な思いから活動が始まり、つながりを持っていく。

生物多様性を意識していなくても、自然環境を保全する多くの活動が生物多様性の保全につながっています。

市民団体により県内の様々なフィールドで行われている生物多様性に関する取組紹介について募集したところ、6団体から応募がありました。

自然観察や里山保全活動、地域に根付いた取組など、それぞれの活動の一端を、各団体から紹介していただきました。

取組を紹介していただいた市民団体

 あいかわ自然ネットワーク

 あつぎこどもの森クラブ

 NPO法人かながわ森林インストラクターの会

 まほろば里山林を育む会

 奈良川源流域を守る会

 飛森谷戸の自然を守る会

水田地帯周辺の生きもの観察・調査と環境保全・再生

 取組の主体

 あいかわ自然ネットワーク

 取組の概要 

 あいかわ自然ネットワークは、愛川町環境基本計画の作成時における町民ワークショップに参加者した有志を中心として、1999年5月に設立した。「愛川町の動物」(1999年愛川町発行)の中で、保全の提言がされた貴重な水田地帯である尾山耕地を主なフィールドに、あいかわの自然環境を保全・再生し、次世代に残していくため、観察会や学習会の開催など、環境保全に関する様々な活動をしている。

 調査活動として、2001年に専門研究者のイトアメンボ調査に参加。2002年から2005年にかけて、モートンイトトンボ・コオイムシなど絶滅危惧種の分布等調査を実施し、報告書を作成。2006年から毎年6月末に、東海大学北野研究室との全水田モートンイトトンボ・イトアメンボ共同調査を実施している。このほか、桂川・相模川流域協議会の団体会員として2008・2009年「田んぼの生きもの調査」、2013・2014年「アメリカザリガニ調査」に取り組み、報告書やパンフレットを作成。さらに、2008年から環境省モニタリングサイト1000里地調査の一般登録サイト「尾山耕地・中津川周辺」にて、調査項目から選定した植物相、ホタル、カエル、カヤネズミ、水環境、人為的インパクトについて継続して取り組んでいる。

 環境保全・再生活動としては、ホタルの生息環境保全として、講演会や観察会などを開催、ホタル生息環境保全提案を愛川町に提出し、2011年からは、毎年6月から8月の間、ホタル生息環境保全対策として、車のライトを遮光するヨシズや遮光ネットを設置している。このほか、アメリカザリガニ調査・駆除、休耕田や湧水地の池の再生活動や、愛川町の美化アダプト制度による尾山耕地入り口のゴミ拾い・外来種等の除草・地域在来植物植栽などの活動を継続的に行っている。

 活動をしてきた感想

 2000年頃から田んぼの生きものたちを観ているが、15年過ぎた今、赤とんぼをはじめ、すっかり生きものたちの姿が少なくなった。水田耕作により維持されてきた生物生息環境だが、土畦がなくなり、浸透性殺虫剤が使われ、新設道路からの車のライトの影響など、さまざまに環境は変化し、水生生物が激減し、ヘイケボタルもピーク時に10頭前後しか観られなくなり風前の灯に。農法によっても生物への影響が大きいため、今後は生物多様性の保全を意識して耕作していただけたらと願っている。

 活動の成果

 継続した水田ごとの生きもの調査と水田履歴から、環境変化を捉えやすくなり、生きものたちへの浸透性殺虫剤・農薬(フィプロニルなど)の影響が推察できるようになった。湧水池や休耕田の池の保全・再生、わずかではあるが、ホタル生息環境保全対策などができた。地主さんなどから、昔はたくさんのホタルが群れ飛んでいたことや水路に無数のドジョウがいたこと、また水田整備の経緯などのお話も聞くことができた。

 今後の展開

 尾山耕地を含む「八菅山・尾山」地域は、2015年環境省の「生物多様性保全上重要な里地里山」(500箇所)に選定された。里地モニタリングなどの調査を継続して、生きものたちの生息環境を注意深く観ながら、生物多様性保全・再生への関心を深めていきたい。地域の他団体と情報共有して、環境保全・再生への共同の取組みができるようにしたい。

モートンイトトンボ調査モートンイトトンボ

ヨシズ設置作業

ホームページリンク

http://aikawasizen.net/(あいかわ自然ネットワーク)

 

取組に関する問い合わせ先

あいかわ自然ネットワーク 事務局 大木悦子

電話:080-5011-3350

メールアドレス:aisizen@yahoo.co.jp

「あつぎこどもの森」での生物多様性を豊かにする活動

 取組の主体

 あつぎこどもの森クラブ

 取組の概要 

 2016年3月、厚木市が同市荻野地区に開設した「あつぎこどもの森公園」は、公園整備に当たり、用地内の谷戸の湿地や水路に希少な生物が多いことが市民団体の指摘で確認できたことから、市と市民団体の代表、学識者を交えたワーキンググループにおける検討によって一部設計変更をするなど、市民協働による取組で整備が進められました。

 公園開設と前後して、公園利用への思いのある市民団体が集まり、「あつぎこどもの森クラブ」を設立しました。活動は、ボランティアにより昭和30年代の農業の復活を目指した無農薬冬季湛水水田耕作を行う“農業プロジェクト”のほか、“自然”“冒険”で構成する3プロジェクトです。“自然プロジェクト”では毎月の自然観察会や、将来のリーダーを養成する自然塾の開催、公園の生態管理計画を作成(作成中)して市に提案するとともに、緊急の外来種駆除や生きものが豊かに暮らせる場を目指した草刈りなどのエコアップ活動を行っています。

 担当者からひとこと

 水田用のため池に、外来種の「アフリカツメガエル」が多数確認され、350頭以上を駆除しました。現在も一部残っている可能性があり、別に侵入したウシガエルと共に駆除作業を続けています。一方、復元した水田ではカヤネズミが健在で、30年来見られなかったミズオオバコが復活し多数開花、繁殖するトンボ類が劇的に増加、また、水路やため池では、ホトケドジョウが数を増すなど、関わりの効果が現れています。

 公園ではセンサーカメラによりタヌキ、キツネ、アナグマなど多くの種類が行動していることが分かっています。

 また、今年、畑や水田では、シカやサルにより作物に大きな被害がでており、哺乳動物との共存が問題になっています。

 今後は、市との協働による生態管理計画に基づいて、森林部分など湿地以外で生物多様性の充実を図るとともに、作業の担い手を増やすことが課題になります。

エコアップ活動ミズオオバコ

ホームページリンク

 https://atsugikodomonomori.com/(あつぎこどもの森公園)

取組に関する問い合わせ先

 メールアドレス:あつぎこどもの森クラブ  info@atsugikodomonomori.com

           自然プロジェクトリーダー  kohji.aoto@nifty.com

「やどりき水源林」における動植物の調査・保全活動

 

取組の主体

 NPO法人かながわ森林インストラクターの会 やどりき事業部会

 取組の概要 

 神奈川県が所有する「やどりき水源林」(足柄上郡松田町寄(やどりき)地内)は、約529ヘクタールのまとまった面積で人工林や広葉樹を1つの場でみることができ、比較的アクセスも容易であることから、県民が「見て学ぶ」「体験する」「検証する」「交流する」場として活用されています。

 水源林での「やどりき水源林案内人事業」として、平成14年度以降、当会による水源林の案内を開始し、訪れた方たちに水源林の保全・再生活動に対する理解と協力を得るための啓発を行っていますが、事業開始とともに、この水源林の持つ魅力を伝えるため、会として動植物の調査活動も開始しました。調査は、(1)動物、(2)植物、(3)土壌・水生生物の3分野で班を構成して行っており、年間の調査回数は動物班、植物班では10回程度、土壌・水生生物班では3回程度行っています。

 長年にわたり継続して調査した結果は案内人活動にも反映され、水源林を訪れた方たちに紹介されているだけでなく、蓄積されたデータは、動植物の保全活動にも活用されています。

(1)動物班:水源林内の昆虫、爬虫類、両生類、鳥類、哺乳類の定期調査、センサーカメラによる調査、夜間昆虫観察、ムササビ、モモンガの樹洞、巣箱の使用状況調査及び夜間観察など

(2)植物班:水源林内の周遊歩道の植生定期調査、フォツサマグナ要素植物、ブナ、シダ、キノコ類の調査、希少種調査・保全など

(3)土壌・水生生物班:やどりき水源林各流域の水生生物分布調査、水源林各場所で採取した土壌中の生物調査

取組を通じてわかったこと

 シカの食害による植物種の減少、不嗜好植物の増加の影響がこれまでの継続調査で伺える中、県のシカ管理捕獲が進み、食害が少なくなってきたことも確認できています。

 また、調査を継続することで様々な生き物が生息していること、間伐や植生保護柵の設置など、人の手が入ることで生き物や植物の盛衰の様子なども良く分かります。特に、天然記念物のニホンカモシカ、ヤマネがこの水源林に生息していることの確認は驚きでした。

 これからも、水源林を訪れていただいた方に「豊かな森は、多くの生き物達によって成り立ち、また、我々の生きるための水も供給してくれていること」をアッピールしていきたいと思います。

シダ類調査水生生物調査ムササビ巣箱

ホームページリンク

 http://www.forest-kanagawa.jp/(かながわ森林インストラクターの会)

 http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/p20730.html(神奈川県ホームページ(やどりき水源林))

取組に関する問い合わせ先                      

 かながわ森林インストラクターの会 やどりき事業部会    

 メールアドレス:hisashi_iizawa@yahoo.co.jp

オトメアオイの群生地の保護

取組の主体

 まほろば里山林を育む会、秦野市立渋沢小学校3年4組の皆さん

取組の概要 

 まほろば里山林を育む会は、秦野市内の里山の再生ふるさとづくりを目指して活動しています。

 月に1回程度、市内の共有林などにおいて下草刈りや除伐、枝打ちなどの作業のほか、野鳥やミツバチの巣箱作りに、薪作り、森林内の生態系看板作りなど、活動は様々です。

 また、これらの活動のフィールドを地域の小学校の学習林として開放したり、林業体験や環境学習の受け入れなども行っています。

 平成28年度は、渋沢小学校の皆さんと一緒に、県の絶滅危惧種として指定されているオトメアオイの群生地を保護する活動に取り組みました。当該地は、渋沢小学校の学習林となっています。

 まずは、5月の総合学習の授業を皮切りに「絶滅危惧種とは」について、学んでいただくことから始め、6月には現地調査を行いました。群生数を皆で確認し、これを第1回定点調査と名付けました。その後、“どう守るか”について、学級内で検討を重ねた結果、(1)取組内容の学校内での周知(ポスター作り) (2)「オトメちゃん」と「アオイちゃん」のキャラクターを設定 (3)保護を呼びかける看板の設置 (4)観察用木道の設置 を行うことが決定しました。

 木道の設置については、当会で作った薪を利用して整備を行うこととし、25メートルの観察用木道を完成させることができました。

 11月下旬、手作りの看板を手に学習林に集合した子どもたちは、5ヶ月ぶりに群生数を確認しました。ほぼ全員の子どもたちが6月よりも多くのオトメアオイを確認することができ、観察記録に書き留めていました。そして、来年もこの活動を続けることを宣言してくれました。

取組を通じた感想

 子どもたちは、「小学生にできること」をテーマに、とても興味を示してくれました(が、小学生は行事が多く、非常に忙しい・・・)。

薪を利用した木道保護を呼びかける看板オトメアオイ

取組に関する問い合わせ先

 まほろば里山林を育む会代表 椎野恭治

 メールアドレス:yasubay@trad.ocn.ne.jp

モニタリングサイト1000里地調査活動

取組の主体

 奈良川源流域を守る会、日本自然保護協会

取組の概要 

 モニタリングサイト1000は、環境省のプロジェクトです。特定サイトの動植物の生育状況などを調査し、生物種の減少や生態系の異変をいち早く捉え、適切な生物多様性の保全施策につなげるというものです。

 当会のフィールドである奈良川源流域は当該サイトに指定され、2008年9月より調査活動を行っています。

 調査対象と調査頻度は、植物相(毎月1回)、鳥類(繁殖期、越冬期各6回)、ホタル類(成虫の発生からピークまで毎週1回)です。調査結果は、定期的に日本自然保護協会を通じて環境省に報告するとともに、当会のホームページでも一部を公開しています。

取組の成果

 調査活動は継続的に実施するため、調査員の確保が欠かせません。幸い、近隣の玉川大学の先生や学生さんの協力を得て、8年も続けることが出来ました。その結果、横浜市から環境活動賞を受賞したり、環境省から重要里地里山500選に選ばれるなどの成果を得ました。

 今後は、生物多様性の重要性、奈良川源流域の保全と再生を引き続き訴え、地域の諸団体と連携していきたいと思います。

植物相の調査

ホームページリンク

 http://nara.yato.jp/(奈良川源流域を守る会)

取組に関する問い合わせ先

 奈良川源流域を守る会 広報担当

 電話:045-961-1845

 メールアドレス:h-shizu@ka2.so-net.ne.jp

飛森(とんもり)谷戸での「里都山づくり」

取組の主体

 飛森谷戸の自然を守る会、平瀬川流域まちづくり協議会、初山自治会、初山子ども会、生田緑地管理運営共同体(生田緑地指定管理者)

取組の概要 

 飛森谷戸の自然を守る会は、1996年に発足。川崎市の生田緑地をフィールドとして、川の清掃、草刈、田んぼづくり(毎年5月から11月末まで)、ゲンジボタルの保護活動(毎年5月末から7月上旬まで観察会)などのほか、子どもたちの森遊びとして、自然観察会などの「森の楽習会」(毎年7月末の日曜日に昆虫の観察会)や農業体験(ジャガイモや大根などの野菜作り)を開催するなど、地元自治会等とも連携して地域コミュニティを形成しています。

 雑木林は人が手を加えなければ消滅していくものです。多くの動植物が共存しているこの谷戸を、子ども達の自然環境学習の場として残せるよう、私たちにできることは何かを考え、伝えたい。

 「知覚動考(ともかくうごこう)」は、会のモットーです。考え込んでしまう前に行動を起こし、その結果について考えていく。里山づくりに大切なことだと思っています。

担当者からひとこと

 試験的に、2016年度から指定管理者の公募により5組の家族に田んぼの作業に参加頂いています。

 今までは地元の子ども会等と行っていましたが、より多くの方に里山の保全活動に参加頂けるように、2017年度以降には、応募数を増やして行きたいと計画中です。

 また、春・秋の恒例となっている「森の音楽会」は、開催30回を超え、この谷戸の素晴らしさを理解いただくための大切な場となっています。

飛森谷戸メンバー田んぼづくり

森の音楽会

ホームページリンク

 http://tonmori.216.jp/(飛森谷戸の自然を守る会)

取組に関する問い合わせ先

 飛森谷戸の自然を守る会 会長 高木(たかぎ)一弘

 電話:044-977-6581

 メールアドレス等:tonmori_takagi@yahoo.co.jp

神奈川県

このページの所管所属は 環境農政局 緑政部 自然環境保全課 です。