第1回「NPOも税金とは無縁でない」

掲載日:2013年10月3日
 

1 NPOは社会的に存在感を増し税金とは無縁ではない

平成10年12月に特定非営利活動促進法(以下、このオンラインセミナーにおいてはNPO法という)が施行されてから14年余り経過し、特定非営利活動法人(以下、このオンラインセミナーにおいてはNPO法人という)は、全国各地で介護、福祉、子育て、環境保全、まちづくり、災害救援、国際協力などの多岐にわたる分野で活動し、平成24年12月31日現在46,975ものNPO法人が認証されて今や社会になくてはならない一大勢力となりました。その結果、社会的に重要な存在となり「NPOは税金とは無縁だ」とは言えなくなりました。

特に、NPO法人が法人税法上の「収益事業」を行った場合に、所得(儲けのこと)が算定されたときは、株式会社と同じように、国税である法人税などを計算して納めなければなりません(「収益事業」については第2回でお話しします)。


2 任意団体とはちがう-均等割の減免がうけられ有利!-

任意団体はNPO法人とは異なり、認証も登記も必要なく設立できます。ボランティアグループの任意団体が、所轄庁の認証を受けてNPO法人になるケースが多々見受けられますが、認証を受けたNPO法人は、認証前の任意団体の時と比べ社会的な信用を多く得ることができ大変有利となります。

この認証前の任意団体と認証後のNPO法人の税務上の取り扱いはほぼ同一で、収益事業を行い所得が出たときは、その所得に対する税金として、両者とも、1.国の法人税、2.県の事業税、3.法人税に基づき算定した住民税(県民税と市民税のこと)の法人税割と合わせて、4.住民税の均等割(団体としての実体が"赤字"であっても必ず納付すべき税金で、原則として都道府県への2万円と市町村への5万円の合計7万円)も納めなければなりません。

収益事業を行っていないときの法人住民税の均等割については、NPO法人は所定の申請をすれば減免されますが、任意団体は減免されず納付しなければなりません。この点でもNPO法人は有利です。

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3 NPO法人に係わる税金とは?

無縁ではなくなったNPO法人に係わる税金のことですが、その全体像は次に掲げるように大きく3つに分けられます。


  1. 直接税と間接税のように一体誰がその税金を実質的に負担しているのかという区分

    • 直接税とは収益事業を行うNPO法人自身に課税される税金で、「所得に課される」国税である法人税や都道府県税である事業税・都道府県民税や市町村民税が典型です。
    • 間接税とはNPO法人自身には課税されないがNPO法人に納税義務が発生する税金で、国税である消費税が典型で印紙税や登録免許税などがあります。   
  2. 一体何に対して税金がかかるのか、その税金の負担能力により課税する区分

    一定の財産に対して課税する国税である相続税・贈与税、一定の消費という事実に着目して課税する国税である消費税が典型です。

  3. 国税、都道府県税及び市町村税のように課税主体(税金の徴収側)による区分

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4 源泉所得税の徴収と納付

NPO法人を設立して職員を雇い活動を始めた場合に最初に直面する税金が、おそらく国税である源泉所得税であると考えられますので、ここでその概略をおはなしいたします。

  1. 源泉所得税って何?

    わが国の所得税は、納税者自身が税金を計算して自主的に申告・納税するといういわゆる「申告納税制度」をとり、これと合わせて特定の所得については「源泉徴収制度」を採用しています。そして、源泉所得税とは、「源泉徴収制度」に基づく所得税のことで、NPO法人が、役員や職員に給与を支払うとき又は講師に謝礼を支払うときなどに、あらかじめその支払の段階で天引きする所定の所得税のことです。

  2. NPO法人は源泉徴収義務者である

    本来は、給与の支払を受けた役員・職員や報酬の支払を受けた講師が自ら得た所得に対する税金を申告納付するのですが、納税者たる職員などの利便性又は徴税コストのことを考慮し、NPO法人を源泉徴収する義務のある者として、NPO法人が源泉所得税を徴収し納付する義務を負うことにしています。

  3. 税務署への届出と納付の特例

    NPO法人が職員を雇用し源泉徴収の義務が生じたときは、「給与支払事務所等の開設届出書」を給与支払開始の日から1カ月以内に所轄の税務署に提出しなければなりません。

    また、徴収した源泉所得税は、原則として、給与支払月の翌月10日(10日が土日や祝日のときはその翌日)までに納付しなければなりませんが、例外として、従業員10人未満の小規模事業者については、毎月の納付手続きの煩雑さを鑑み半年に一度、つまり、1月分から6月分までの源泉所得税は7月10日までに、7月から12月までの源泉所得税は翌年1月20日までに、それぞれ納付すればよいという特例があります。

    そのためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を、その適用を受ける月の前月末までに所轄の税務署長に提出する必要があります。

  4. 毎月の給与計算ですべきこと

    NPO法人は、職員を雇用したとき又は役員に初めて役員報酬を支払うとき、職員又は役員にまず「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下扶養控除等申告書という)を記載させて提出してもらい保管します。

    この扶養控除等申告書は、主たる収入のある勤務先1カ所にのみ提出するもので、主たる勤務先でないところには提出は不要です。

    そして、毎月の給与計算における源泉所得税は「源泉徴収税額表(月額表)」により計算しますが、この扶養控除等申告書を提出している者はその税額表の「甲欄」により、提出していない者は税額の多い「乙欄」により計算します。ちなみに、給与の月額が88,000円未満の甲欄適用者は税額がゼロです。


講師:山田清

プロフィール:税理士・行政書士・一級FP技能士 平成7年3月下旬の阪神・淡路大地震の災害ボランティアとしての参加などからNPOとの関わりあり。著書に「あなたが社長だからできる節税88」(共著)、「中国の税制」(共著)、「病医院のための痛税対策」(雑誌連載)等あり。

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