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更新日:2025年2月12日

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定例会見(2025年2月7日)結果概要

過去の知事記者会見の様子をテキスト版でご覧いただけます。

発表項目以外

流域下水道管の緊急点検について

 はじめに、発表項目ではありませんが、流域下水道管の緊急点検についてコメントします。
 まず、埼玉県の事故において、下水管に落ちたとされるトラック運転手の方が一刻も早く救出されること、また、多くの住民の方の生活に支障が出ているとのことで、早期に復旧作業が進むよう、心から願っております。
 この事故に触れ、本県の県民の皆様も不安を感じていると思い、私は、直ちに緊急点検を指示しました。
 緊急点検では、一次点検として、事故があった管と同規模の下水管、約58キロメートルについて、管が埋設されている道路における段差などの変状や、303箇所あるマンホール内の下水の流下状況を目視で点検しました。
 また、ご覧のようなレーダー探査車により、路面下の空洞の有無を調査しています。
 その結果、目視点検では異常はなく、また、レーダーによる調査も詳細なデータは分析中ですが、これまでの速報結果では空洞は確認されていません。
 こうした中、県民目線に立って、一次点検については、県が管理する下水管の全延長、約174キロメートルに範囲を広げていきます。また、市町村に対しても、下水管の点検の実施を働きかけていきます。
 引き続き行う点検により、異常が発見された場合は、速やかに補修を行い、皆様が安心していただけるよう、しっかりと取り組んでまいります。

発表項目

令和7年度当初予算案等の概要

 それでは、発表項目に入ります。
 はじめに、2月12日開会の令和7年第1回定例会に提案する、「令和7年度当初予算案及び条例案等」について、ご説明します。7年度当初予算案は、「新かながわグランドデザイン」に掲げる施策を着実に推進するための予算として編成しました。子どもが健やかに育つ社会環境を整備するため、子ども・子育て支援の推進を図るほか、2050年脱炭素社会の実現に向けた取組みを着実に進めます。また、共生社会の実現に向け、障がい児・者の生活を支えるサービスの充実強化などに取り組むとともに、災害に強いかながわの実現に向け、新たな神奈川県地震防災戦略等に基づく取組みを推進します。さらに、教員の働き方改革を加速化させ、教育の質の確保と学びの充実などに取り組みます。こうした取組みを進めるにあたり、引き続き、あらゆる分野でデジタルの力を活用していくことで、県民の抱える不安を解消し、誰もが安心して暮らせるやさしい社会の実現を目指します。このような考え方に基づき編成した7年度の一般会計当初予算額は、2兆2,158億円となっています。
 それでは、まず予算案の内容を「数字」の面からご説明します。
 はじめに、「1 会計別予算額」についてです。一般会計は2兆2,158億円であり、前年度比は105.3%です。また、特別会計と企業会計も含めた3会計の合計は、4兆6,637億円と7年連続で4兆円台となり、過去2番目の予算規模となりました。
 次に、歳入の主力である「2 県税の内訳」についてです。県税収入全体では1兆4,534億円を見込んでおり、前年度と比較して、108.8%となっています。これは、個人所得の増加や、7年3月期の企業収益が最高益となる見通しであることなどから、「個人県民税」については、前年度比114.0%、「法人二税」については、前年度比105.4%と税収増を見込んでいます。また、「地方消費税」についても、物価上昇や輸入額の増加等により、前年度比109.4%と税収増を見込んでいます。
 次に、「歳出」について、「3 性質別予算額」です。「義務的経費」について、表の上から3つ目、「介護・医療・児童関係費」は、高齢化の影響などにより前年度比で104.2%、また、1つ下の「公債費」は、償還元金の減などにより前年度比で94.2%となっています。こうしたことから、「義務的経費」全体としては前年度比104.1%となっています。一方、「政策的経費」については、「投資的経費」が前年度比112.0%となっていますが、これは、特殊要素として多額の用地補償費を計上したことなどによるものです。また、表の一番上に戻りまして、義務的経費の割合ですが、79.6%となっています。7年度もおよそ8割を占めており、硬直的な財政構造は変わっていないことを示しています。
 次に、「4 7年度の財源不足対策」についてです。7年度は、昨年9月に予算編成方針を示した時点で、550億円の財源不足がありました。その後、県税・地方譲与税が100億円の増となりましたが、一方で、地方交付税・臨時財政対策債が120億円の減となったことにより、歳入全体としては減となりました。また、給与改定等による人件費の増などにより、歳出も180億円増え、財源不足は750億円に拡大しました。この750億円の財源不足への対応ですが、6年度からの財源活用として、6年度の税収増や歳出不用により確保した600億円を活用するとともに、7年度の事業費の精査等により50億円の財源を確保しましたが、なお財源不足を解消することができず、財政調整基金を100億円取り崩すことで、ようやく収支を均衡させることができました。
 次に、「5 県債年度末現在高の推移」についてです。令和7年度末の県債現在高は、4年連続で減少し、2兆6,727億円となる見込みです。この大幅な減少は、過去に大量発行した県債の償還が着実に進んでいることに加え、臨時財政対策債の新規発行予定額が制度開始以降初めて「ゼロ」になることによるものです。これにより、「臨時財政対策債」の残高は、下の表のとおり、7年度末1兆5,105億円と大幅な減少となる見込みです。
 続いて、7年度当初予算案における、9つの重点事業について、取組内容を説明します。
 はじめに、「重点1 子ども・子育てへの支援」についてです。「子どもが健やかに育つ社会環境の整備や、困難な状況にある子どもたちに対する支援の充実」を図ります。主な取組みをご説明します。まず、「子ども・子育て支援の推進」ですが、私立高等学校等生徒学費補助を拡充します。具体的には、現状、年収約700万円未満の世帯を対象として、授業料を実質無償化していますが、令和7年度から、これを年収約750万円未満の世帯まで拡充します。また、高等学校奨学金については、現状、年収約910万円未満の世帯を対象として、貸し付けを行っていますが、令和7年度から所得制限を撤廃します。次に、「学習クーポン配布事業への補助」ですが、低所得者世帯及び多子世帯の子ども向けに、学習塾の受講料などに使える学習クーポン配布事業を行う市町村に対して補助します。また、「保育士確保に向けた取組」ですが、保育所等が借り上げた保育士の宿舎家賃を支援する市町村に対して補助します。このほか、「支援を必要とする子ども・家庭への取組」として、児童相談所一時保護所の定員超過に緊急的に対応するため暫定一時保護所の整備・運営を行います。また、児童養護施設等における人材確保への支援として、職員の宿舎家賃を支援する施設に対して補助等を行います。さらに、フリースクール等に通う子どもの保護者等を支援する市町村に対して補助します。
 次に、「重点2 教育の質の確保と学びの充実」についてです。「学校DX等を推進するとともに、教員の働き方改革を加速化させる」ほか、「誰一人取り残されない学びの保障や共生社会の実現の一層の推進」に取り組みます。主な取組みとして、まず、「GIGAスクール構想等に基づく学校DXの推進」ですが、市町村立小・中学校における1人1台端末等の更新を進めるほか、県立学校のネットワーク高速化及び電子黒板の整備に取り組みます。次に、「教員の働き方改革の加速化」ですが、校務DXの推進として、採点システムの導入等を行います。また、働き方改革を進める市町村に対する補助金を創設することにより、学校現場における喫緊の課題に対応できるよう市町村とも連携して、教員の働き方改革を加速化させていきます。次に、「不登校の児童・生徒が安心して過ごせる居場所の設置促進」ですが、不登校の児童・生徒に対応する校内教育支援センターを学校内に設置する市町村に対して、補助します。また、「フルインクルーシブ教育の実現に向けた取組」ですが、「フルインクルーシブ教育推進市町村」である海老名市と連携した取組みを推進するほか、メタバース等を活用した普及啓発を行います。さらに、「県立教育施設整備の推進」として、新まなびや計画に基づく県立学校の耐震対策等を行います。また、高校の体育館への空調整備のほか、県立図書館や歴史博物館の改修工事などを行います。
 次に、「重点3 未病改善の取組及び医療・介護施策の推進」についてです。「未病改善の取組を推進するほか、持続可能で質の高い医療提供体制の整備や適切な介護サービスの提供」に取り組みます。主な取組みとして、まず、「未病改善の取組」ですが、ライフステージに応じた未病対策として、健康に関心の低い働く世代の意識変容や高齢者のフレイル対策などを進めます。次に、「医療DXの推進」ですが、横須賀・三浦地域及び周辺地域等での患者情報の共有化を推進し、診療体制の効率化と患者の利便性向上に取り組むほか、救急医療相談「♯7119」にLINE機能などを追加します。さらに「『当事者目線』の精神科医療の推進」として、精神科のモデル病院における行動制限最小化の推進により、精神疾患を抱える方が安心して医療を受けられる取組みを推進します。また、訪問支援員等による入院患者の地域生活移行の支援に取り組みます。次に、「メンタルヘルスに課題のある妊産婦への支援」ですが、拠点病院を中心に行政・産科・精神科等の関係機関が連携した地域のネットワークを構築します。また、「介護・高齢者支援施策の推進」として、介護施設等における多様な働き方の導入を促進するほか、介護支援専門員が法定研修を受講する際の受講料に対して支援します。
 次に、「重点4 行ってみたい神奈川の魅力づくり」についてです。「魅力的な地域づくりを進めるため、文化芸術に触れる機会を提供するとともに、『観光により地域が輝く神奈川』の実現」を目指します。主な取組みとして、まず、「文化芸術施策の展開促進」ですが、県民ホール休館中の文化芸術の鑑賞機会を確保するため、仮称ですが、「リニア神奈川県駅」工事現場を活用したイベント等や、相模湖地域でのバレエに関するイベントを実施します。次に、「障がい者スポーツの推進やアーバンスポーツの振興等」ですが、東京2025デフリンピックの機運醸成やアーバンスポーツの普及を促進します。次に、「観光振興・地域活性化に向けた取組」ですが、かながわDMOによる観光プロモーションを推進するほか、GREEN×EXPO 2027の出展に向けて、「Vibrant INOCHI」を分かりやすく伝えるオリジナルミュージカルを企画・制作します。また、「地域まるごとホテル@三浦半島」を推進するとともに、移住・定住施策の本格展開として、三浦半島地域における移住コンシェルジュの配置などを行います。
 次に、「重点5 県内経済・産業の活性化」についてです。「労働力不足に対応するため、生産性向上と人材確保への支援等を行うほか、宇宙関連産業クラスターの形成等により、産業競争力の強化」を図ります。主な取組みとして、まず、「生産性向上への支援」ですが、物価高騰や人手不足など厳しい環境にある中小企業に対し、設備導入等による生産性向上を支援するとともに、リスキリングやデジタル人材の採用を支援します。次に、「人材確保への支援」として、運輸や保育など人手不足業界を対象としたセミナー及び面接会の開催などに取り組むとともに、バス運転手の新たな確保や有効活用を支援するほか、高度外国人材を採用する中小企業に対して支援します。次に、「産業競争力の強化への取組」ですが、ベンチャー企業の資金調達や行政との連携を支援するほか、宇宙関連産業への県内企業等の参入を促進します。また、「伝統的工芸品産業の振興」ですが、令和8年度「伝統的工芸品月間国民会議全国大会」、「KOUGEI EXPO」の開催に向けて準備するとともに伝統的工芸品の認知度向上や、販路拡大などに取り組む事業者を支援します。さらに、「持続可能な農林水産業の実現」については、GREEN×EXPO 2027への取組みとして、会場建設費への補助や機運醸成に取り組むとともに、花・緑出展及び催事実施に向けた準備を進めます。このほか、農業の担い手育成のため、デジタル技術を活用した栽培技術の継承支援などに取り組みます。
 次に、「重点6 脱炭素社会の実現に向けた取組」についてです。「2030年度の温室効果ガス排出量を、2013年度比で50%削減する中期目標を達成するため、企業や家庭など様々な主体の取組の後押しと県庁の率先実行の取組」を推進します。主な取組みとして、まず、「太陽光発電等の導入支援の拡充」ですが、住宅用太陽光発電と蓄電池を併せた導入への補助を新設するとともに事業所用再生可能エネルギーや蓄電池導入への補助を拡充するほか、ペロブスカイト太陽電池など次世代型太陽電池の早期普及に向けた支援を実施します。 次に、「県庁の率先実行」として、県有施設の照明を2027年度までに原則LED化するとともに、県有施設への太陽光発電等の導入や公用車の電動車化を推進します。次に、「事業者の脱炭素化への支援」として、中小企業の取組状況に応じてきめ細かく支援するほか、「家庭の脱炭素化への支援」として、ZEHの導入や省エネ改修に対して補助します。さらに、「EV・FCVの導入促進」として、バス、タクシー、トラック及びレンタカーのEV導入に対して補助するほか、FCトラックの導入等に対する補助を拡充します。このほか、「CO2吸収源対策」として、藻場の再生・整備や、ブルーカーボンクレジットの活用に向けた普及啓発を進めていきます。
 次に、「重点7 共生社会実現への取組及び生活困窮者への支援」についてです。「当事者目線に立った障がい福祉の実現に向けた取組」や「孤独・孤立や生きづらさに悩む方、困難な問題を抱える女性等への支援」を実施します。主な取組みとして、まず、「共生社会実現への取組」ですが、「福祉を科学する」取組みの推進として、やさしさや思いやりのある支援の効果を科学的に分析してデータ化するなど、再現性のある当事者目線に立った支援への転換を目指します。また、障がい者の多様な働き方の推進として、障がい当事者のニーズや特性を把握し、本人の自己実現を支援できるよう、市町村の相談員配置に対する補助などを行うとともに、地方独立行政法人の設立に向けた準備を着実に進めていきます。次に、「孤独・孤立や生きづらさに悩む方への支援」ですが、地域でつながるための仕組みづくりとして、居場所や緩やかなつながりの場を運営する人材の育成などを行うほか、高齢者を消費者被害から守るための体制整備に取り組みます。また、「困難な問題を抱える女性等への支援」として、通所型支援施設を設置することにより、地域で生活しながら、切れ目ない支援を受けられるようにするほか、女性支援を担う人材養成を進めていきます。
 次に、「重点8 安全で安心してくらせる神奈川の実現」についてです。「『災害に強いかながわ』を実現するとともに、犯罪や事故などのない安全で安心なまちづくり」を推進します。主な取組みとして、まず、「『災害に強いかながわ』に向けた取組」ですが、新たな地震防災戦略の推進として、発災時に取るべき行動等を検索できる「私の被害想定」を作成するほか、2000年以前の耐震基準の一般住宅まで、耐震化補助の対象を拡充します。また、防災ヘリコプターについて、本格導入までの応急体制確保のため、民間ヘリコプターをチャーターするほか、災害用トイレカーを10台導入し、自治体の保有としては全国最多となる見込みです。さらに、水防災戦略の推進として、ハード・ソフト両面から、災害時の被害軽減に向けた取組みを着実に進めていきます。次に、「犯罪や事故などのない安全で安心なまちづくり」ですが、地域防犯カメラ設置補助について、国の重点支援地方交付金を活用し、補助内容を臨時的に拡充することにより、地域防犯カメラの設置をさらに進めるほか、「かならいん」による性被害相談LINEの相談日を拡充します。また、交通安全施設整備として、道路標示の補修や信号灯器のLED化、デジタル回線化など6年度当初予算比で20億円増額し、道路利用者の安全の確保等に向けた対応を着実に進めていきます。さらに、「新たな交通システムの展開」として、藤沢市、三浦市、厚木市と研究会を設置し、自走式ロープウェイの導入適地に係る技術的研究を進めていきます。
 次に、「重点9 県民目線のデジタル行政の推進」についてです。「デジタルの力を活用しながら県民目線に立った行政運営を行うことで、誰もが安心して暮らせるやさしい社会の実現」に取り組みます。主な取組みとして、まず、「くらしのデジタル化」ですが、「かながわ子育てパーソナルサポート」について、これまで様々な便利機能を追加してきましたが、さらに多くの方に利用していただけるよう周知していくほか、eスポーツをベトナムフェスタや認知症未病改善などに活用することで、神奈川らしい施策の推進につなげていきます。そのほか、再掲になりますが、医療DXや防災DXのほか、教育現場における校務DXなどの取組みを推進していきます。次に、「行政のデジタル化」ですが、勤務日誌等の電子化を進めるなど、地域警察活動のシステム化を進めていきます。また、3次元点群データ等を活用した道路、河川等の台帳の電子化・オープンデータ化を進め、災害対応の迅速化や県民の利便性の向上を図ります。
 次に、「事務事業の見直し」についてです。「限られた人的資源で質の高い県民サービスを継続して提供していくため」、事務事業の見直しに取り組みます。まず、「デジタル技術」を活用した見直しですが、自動車税の申告書作成支援システムの導入や県費負担教職員の給与事務等の電子化などにより、年間22.4万時間・117人工相当の業務削減効果を見込んでいます。次に、「民間活力」を活用した見直しですが、難病患者支給認定業務などの審査業務の委託などで、年間9.1万時間・48人工相当の業務削減効果を見込んでいます。また、「事業の廃止・実施手法の見直し」ですが、マイME-BYOカルテの見直しや、マグカル開放区の廃止、アウトリーチ開放区の見直しなどにより、年間2.5万時間・13人工相当の業務削減効果を見込んでいます。なお、資料に記載はございませんが、事務事業の見直しについては、昨年11月に私から職員に対し、「知事がやろうと言った事業だからやめるわけにはいかないだろう」といった気づかいはせず、「仕事の断捨離」を徹底的に進めるよう、トップダウンでメッセージを出しました。その結果、マイME-BYOカルテの見直しやマグカル開放区の廃止など、調整のついたものから、順次、見直しに着手することになりました。今後も職員から寄せられた多くの提案を早期に実現できるよう、しっかりと調整を進めていきます。
 次に、2月補正予算案その2の主な内容についてです。国の令和6年度補正予算第1号への対応が必要な事業について措置するものです。まず1つ目のマル、「公立学校情報機器整備基金積立金」ですが、市町村立小・中学校における1人1台端末等の計画的な更新のため、国からの交付金を基金に積み立てます。次に、2つ目のマル、「医療・介護・障害福祉現場の生産性向上・職場環境改善等への支援」ですが、職員の離職防止・職場定着を推進するため、業務効率化や職場環境の改善を図る事業者へ補助等を行います。次に、3つ目のマル、「畜産経営環境基盤強化整備事業費補助」ですが、畜産経営に必要な施設等の整備に要する経費を補助します。次に、再掲ですが、「災害用トイレカー整備事業費」として、災害時に快適なトイレ環境の確保が可能なトイレカーを10台整備します。次に、2つ目のマル、「災害時における歯科保健医療提供体制の確保」ですが、避難所での歯科保健医療活動に必要な車両及び歯科医療機器の整備に要する経費を補助します。最後のマル、「公共事業の追加」ですが、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に対応し、公共事業を追加で実施します。
 次に、2月補正予算案その3の主な内容についてです。2月補正予算案その3では、国の総合経済対策による重点支援地方交付金を活用し、物価高騰対策を実施するものについて計上しています。1つ目のマル、「生活者支援」ですが、「LPガス料金の高騰に対する支援」として、LPガス販売事業者が実施する利用料金の値引き等に対して支援金を支給するほか、県立特別支援学校の給食費等の物価高騰分への補助を行います。また、再掲ですが、地域防犯カメラの設置を進める市町村への補助を臨時的に拡充します。2つ目のマル、「事業者支援」ですが、まず、「医療、福祉、学校、一般公衆浴場に対する支援」として電気代・ガス代等の高騰による負担を軽減させるため、支援金等を支給するほか、「農林水産業者に対する支援」として、燃料費等の負担増に対して補助を行います。また、「中小企業者等に対する支援」として、信用保証料の補助拡充等を行うほか、「運輸事業者に対する支援」として、燃料価格高騰分の補助等を実施します。
 以上が、当初予算案等の概要です。冒頭申し上げたとおり、今回の予算案は「新かながわグランドデザイン」に掲げる施策を着実に推進するための予算として編成しました。特に、「子ども・子育て支援の推進」、「2050年脱炭素社会の実現」、「共生社会の実現」、「『災害に強いかながわ』の実現」、「教員の働き方改革の加速化」、「デジタルの力の活用によるやさしい社会の実現」など喫緊の課題には重点的に対応したところであり、社会環境の変化に対応しつつも、「かながわらしさ」をアピールできる予算案になったと考えています。
 予算案の概要の説明は以上でございますが、引き続き、条例案等の説明に移らせていただきます。「条例案等の内訳」ですが、表に記載のとおり、令和7年度関係32件、令和6年度関係27件、計59件の提案を予定しています。
 続いて「主なもの」ですが、「地方独立行政法人神奈川県立福祉機構定款」についてです。令和8年4月に、新たな地方独立行政法人を設立し、同時に県立中井やまゆり園を同法人による運営に移行するため、地方独立行政法人法に基づき定款を定めるものです。

子ども・若者のアイデアを子どもたちと一緒に実現しました!

 次に、「子ども・若者のアイデアを子どもたちと一緒に実現しました!」についてです。
 県では、子ども・若者の皆さんの目線で考えた事業提案を募集し、選ばれたものについて県が事業化する「子ども・若者みらい提案実現プロジェクト」を実施しています。
 この度、令和6年8月に最優秀賞に選ばれた3つの提案のうち、2つの提案を事業化しましたのでお知らせします。
 一つ目は、小学生部門提案事業である「地元の魅力を発信するためのラスク開発・試食会」です。
 相模原市の小学生が地元の魅力を発信するために、地元の特産品であるブルーベリーを使った、お土産品のラスクの開発を行いました。自分たちのアイデアで開発したラスクの感想を聴くための試食会を開催します。
 試食会は、2月25日火曜日に京王電鉄株式会社及び相模原市の協力を得て、京王相模原線橋本駅改札付近と橋本駅北口ペデストリアンデッキの2箇所で行う予定です。
 試食会では、相模原市立旭小学校6年生が開発したブルーベリー味のラスク「ベリーのとりこ 相模の味」1袋2枚入り、計500袋を児童たち自身が配布します。
 なお、一口サイズの試作品ラスクも合わせて配布し、その場で試食してもらい、味、名称、デザインなどについて、フリップボード形式でのアンケートに回答していただく予定です。
 二つ目は、中高生部門提案事業である「地域・年齢を超えて交流する自然体験ツアー」です。
 真鶴町で船釣りや森林浴等、地域の特色を活かした自然体験活動などに参加する機会を創出するとともに、真鶴町内外の小学生から高校生までの子どもや若者が、地域・年齢を超えて学び合うことができる宿泊型の交流・体験イベントを開催します。
 主な体験活動の内容は、漁船での釣り体験やプランクトン採集、干物づくり、森林浴体験、夜の海辺散策・星空観賞、魚介・海鮮のバーベキューを予定しています。これらの内容については、提案者である高校生や開催地である真鶴町、真鶴町観光協会の協力を得て、調整してきました。
 本ツアーは2回の開催を予定しており、1回目は、2月23日日曜日から2月24日月曜日、2回目は、3月8日土曜日から3月9日日曜日となっています。
 開催場所は真鶴町で、神奈川県在住の6歳~18歳の子ども・若者を各回15名程度で実施予定です。
 なお、本事業の取材は、ラスク試食会の2月25日火曜日、また、自然体験ツアーは全日程において取材が可能です。
 今回のように、これからも県では、子どもの意見に耳を傾け、子ども目線からの提案を県の施策に反映させていきます。

ベンチャーと大企業が連携して取り組むプロジェクトから生まれた新商品を発売!

 次に、「ベンチャーと大企業が連携して取り組むプロジェクトから生まれた新商品を発売!」についてです。
 「SHINみなとみらい」では、ベンチャー企業と大企業等の連携によるオープンイノベーションを促進する取組み「ビジネスアクセラレーターかながわ BAK」を実施しています。
 今年度は17件のプロジェクトを採択し、順次、事業化に向けた実証事業等を開始していますが、今回、「株式会社Beer the First」と「株式会社明治」が連携したプロジェクトから、新商品を発売することになりましたので、お知らせします。
 バターなどの乳製品の製造工程においては、生乳から水分と脂肪分を除いた成分であるSNFという原料も同時に製造されます。
 脂肪分はバター等に利用され、SNFは長期保存ができる脱脂粉乳に加工された後、ヨーグルトなどに利用されます。
 脂肪分はバターなどの需要が増えているため活用されていますが、SNFは需要が低迷しており、その活用方法が模索されています。
 そこで、パンや麺など様々な余剰食材を活用してアルコール飲料を製造している株式会社Beer the Firstと、乳製品の製造を行う株式会社明治の2社が連携し、SNFを使った新しいアルコール飲料「MILK MOON」を開発しました。
 これがその商品です。
 Z世代の女性をターゲットに、アルコール度数を抑えた商品となっており、3月中旬から全国のスーパーなどで販売されます。
 私も実際に飲んでみましたが、ミルクのようなまろやかで高級感のある味わいと、程よいアルコール感がありました。非常に爽やかで、飲みやすい印象で、かなり女性に人気が出るのではと思ったところでありました。
 この商品により、生乳から生まれる原料の有効活用が進み、乳業業界への貢献が期待されます。
 今後は、廃棄間近の食材などを活用したノンアルコールドリンクの開発にも取り組み、更なるフードロスの削減などを目指していきます。
 なお、この商品の無料試飲会を今月22日土曜及び23日日曜にシァル桜木町で実施しますので、ぜひお越しください。
 県は、今後も、ベンチャー企業の成長を支援するとともに、ベンチャー企業の斬新な発想や技術を活用して社会課題の解決と県経済の活性化に取り組んでまいります。

県農業技術センターで育成したスイートピー新品種「春かなピンク」の販売が本格的に始まります!

 次に、「県農業技術センターで育成したスイートピー新品種『春かなピンク』の販売が本格的に始まります!」についてです。
 「スイートピーの需要期である3月から4月にかけて販売できるオリジナル品種が欲しい」という、県内の生産者の要望に応えて、農業技術センターでは、本県で初めて春咲き性のスイートピー品種を育成しました。
 これから出荷が本格的に始まり、販売されます。
 こちらが、その新たに育成されたスイートピーで、名前は「春かなピンク」です。
 この名前は、「春」に品質のよい花が咲く「かながわのスイートピー」という意味を込めて、生産者から提案された「春かな」に、花の色の「ピンク」を組み合わせたものです。
 「春かなピンク」の特徴は、本県で主流となっている冬咲き性品種と比べ、気温が上昇する4月頃まで品質の良い切り花が収穫できます。
 また、花の色は、市場での需要が高いピンク色で、花びらの先端から中央に向かって薄くなることと、花びらにウェーブがあって、花が大きく、華やかに見えることです。
 主な栽培地域は、寒川町、茅ヶ崎市、海老名市、座間市などで、生産者が試験的に栽培しており、今春は3千本程度出荷する予定です。
 今後、段階的に生産を拡大し、令和11年春に出荷量4万本を目指します。
 販売場所は、JAさがみの「わいわい市寒川店」など、主にJAの直売所で販売されます。
 この「春かなピンク」は、今月15日土曜日から28日金曜日に大船フラワーセンターで開催されるスイートピー展でも展示されますので、ぜひご覧ください。
 今シーズンは、まだ生産量が少ないですが、新たなスイートピーである「春かなピンク」を県民の皆さんに広く知っていただき、手に取ってもらいたいと考えております。

発表項目以外

県内病院の経営危機への対応について

 次に、発表項目ではありませんが、県内病院の経営危機への対応についてコメントします。
 物価や賃金の急激な上昇により、医療機関の経営が全国的に厳しい中、特に病院は、施設の規模が大きく、深刻な経営危機に面しています。
 こうした中、本県では先日、県病院協会、県医師会から、それぞれ病院の経営危機への支援に関する緊急要望をいただきました。
 県としても、今回の2月補正予算案において、物価高騰や人件費増加の影響を受けている医療機関を支援するための給付金を計上したところですが、これに加えて、今後、更なる対策が必要と考えています。
 そこで県では、このたび関係団体と連携して、こうした対策を検討する、仮称ですが「病院経営緊急対策会議」を設置します。
 この会議では、当事者である県病院協会や県医師会のほか、病院経営の専門家にも参加いただき、現在、病院が直面している経営危機の具体的な要因等の分析とともに、新たな制度の構築など、これに対する緊急的な対策について検討していきます。
 加えて、中期的な視点での各病院の役割分担や連携などについても、議論を重ねていきたいと考えています。
 年度内にも、第1回会議を開催したいと考えており、経営の危機に瀕している県内病院に対して、できるだけ速やかに対策を講じてまいります。
 また、医療機関の診療報酬の設定は、本来、国の役割であることから、国に対して、物価・賃金の上昇に適切に対応できる診療報酬の仕組みの導入について提案するとともに、緊急的な財政支援も求めてまいります。

知事出席主要行事

 知事出席主要行事については、事前送付した資料のとおりです。特に私から付け加えることはありません。
 私からの発表は以上です。ご質問があればどうぞ。

質疑

「令和7年度当初予算案等の概要」について

記者: 令和7年度当初予算案の関係ですけれども、改めてになるかもしれませんが、当初予算編成に当たって、知事が重視された点、また、9つ重点事業分野挙げていただきましたが、その中でも特に重視した分野、また、重視した個別事業などありましたら、教えてください。

知事: 令和7年度当初予算案は、新かながわグランドデザインに掲げる施策を着実に推進するための予算としています。主なポイントとしては、まず、「災害に強いかながわ」の実現に向けた取組みについて、これまで補助対象としていなかった旧耐震基準マンションの耐震改修について、新たな補助対象とするほか、防災ヘリコプターの本格導入までの間、民間ヘリコプターをチャーターするとともに、2月補正予算案になりますけれども、全国最多となる10台の災害用トイレカーの導入経費を計上いたします。また、共生社会の実現に向けて、障がいのために働けないと思っている人も含め、すべての障がい者が働ける社会を目指し、障がい者の多様な働き方の推進などに取り組みます。また、脱炭素社会の実現に向けた取組みとしては、住宅用太陽光発電と蓄電池を併せた導入に対する補助を新設します。さらに子ども・子育て支援として、私立高等学校等に通う生徒の授業料実質無償化の対象について、現在の年収約700万円未満世帯から、約750万円未満世帯まで拡大いたします。このほか、教員の働き方改革を加速化させるため、採点システムの導入など、教育現場における校務DXを推進するとともに、働き方改革を進める市町村に対する補助金を創設し、市町村とも連携した取組みを進めてまいります。こうした取組みを進めるに当たって、引き続き、あらゆる分野でデジタルの力を活用していくことで、県民の抱える不安を解消し、誰もが安心して暮らせるやさしい社会の実現を目指します。こうした点が今回の予算案の主なポイントとなっております。

記者: 県税収入の関係なのですけれども、好調な企業業績ですとか、所得の増加によって、県税収入、過去最高と伺っております。一方で、交付税とか臨財債が減ったことで、歳入全体としては減少ということで、財源不足が生じ、4年ぶりの財政調整基金の取り崩しとなったわけですけれども、制度上仕方ないのかもしれませんが、このあたりについて、知事の所感を教えてください。

知事: 本当に構造的な問題が、いよいよ明らかになったな、浮き彫りになったなという感じがします。県税収入は本当に増えたわけでありまして、これで何とか財政的にもいい形でできると思ったら、前から申し上げていますように、われわれは地方交付税の交付団体でありまして、税収が増えるとその分交付税が減らされるということになっています。結果的には、これだけ税収が増えているにも関わらず、財政調整基金を切り崩しての予算編成になったということは、本当に残念な思いでならないです。こういった構造を抜本的に変えていってもらいたいといったことを前から要望していますけれども、税収の偏在というものを解消してもらうために、改めて国に要望していきたいと思います。

インフラ維持への対応について

記者: 直接、予算には絡まないのかもしれないですけれども、八潮市の道路の陥没が起きて県で緊急点検を実施されまして、今回の一次点検では特段異常はなかったというようなことをお伺いしたのですけれども、今後インフラの老朽化が進む中で、下水道だけじゃなくて、道路なり、河川なり、同様の事案というか、事故が起きてくる可能性はあると思うのですけれども、なかなか財政が硬直している中で、修繕等に充てられる予算というのは限られてくると思うのですけれども、難しい課題だと思うのですけれども、このような状況、地方自治体としてどう対応していくかという点をお伺いできればと思います。

知事: 今回の埼玉県における事故は、本当に毎日毎日報道されておりますけれども、本当に恐ろしいことだと思わざるを得ないです。地下のことですから見えないです。そこでいつ起きるか分からない。やはり、老朽化しているように見えないところであっても様々なものが老朽化している現状の中で、ああいったものがいつまた起きるかもしれない。また、地下には、下水管以外のいろいろなものも埋設されていますから、そういったものの老朽化というものも、同時に進んでいるだろうということです。この対策というのはしっかりやっていかなきゃいけない。だからわれわれは、まずは、今できる範囲での点検というものをしっかりやって、その情報をしっかり公開していくということです。そしていち早く老朽化しているような部分、危ない部分を見つけて、そこをまずは対応していくというところをやっていくという中で、やはり国全体としても、強靱化を目指していく中では、大きな課題として受け止めて欲しいと思います。

「令和7年度当初予算案等の概要」について

記者: 今回の予算で、先ほど財源不足で100億円取り崩したというお話もあったのですけれども、令和5年度の決算で90億円の黒字化があって、結果として、崩したけれども、新年度末の来年3月末の基金残高の見込みでは、前年度の残高見込みとほぼ変わらない700億円程度を維持できるということだとお聞きしています。この基金残高の維持という点において、この700億円とか、一定の数値目標的なものをお持ちで、今後の財政運営に取り組んでいかれるのかその点について教えてください。

知事: 数値目標ありましたよね、700億円ぐらいですよね。数値目標はそういうところです。ちょうど今、目標のところだけは維持しているということです。今回は県税収入がかなり増えましたけれど、過去を振り返ってみると、一気に落ちることもあるわけです。その時のための安全装置というもの用意しておくということは必要だろうという中で、われわれはその700億円という、基本的な数値目標として持っているというところです。

授業料の無償化について

記者: もう1つ、財源が不足する中で単年度で見たときは、新年度の中では不足しているという中で、身の丈に合って、事業を一定絞り込んで、その収支バランスを取って取り崩さないという考えもあったのかと思うのですけれども、先ほどの目標の中で、やりくりで、そこら辺は100億ぐらい崩しても大丈夫だろうということだろうとは思いますが、その厳しい財政状況の中でも、700万円の所得制限を750万円まで引き上げて、教育の高校の無償化について、7億5000万円程度の予算の拡充を図るという点については、これはどのような判断から、この厳しい財政状況の中でそういう判断だったのかを教えていただけたら。

知事: 授業料の無償化ということは、国会でも話題になっておりまして、非常に期待感を持って見ているところであります。だから、その結論によっては、こういう配慮はいらなくなるかもしれないのですが、それがないとした場合も、何とかしようとここのところは大変議論したところです。ご承知のとおり、東京都はもう所得制限なしということをやられましたけれども、なかなかそれと横並びすることはできないという中で、何もしないで要するに国の変化を待つというシナリオもあったのですが、まずはここのところの物価高を少し配慮しようかという中で、ほんのわずかであって、心苦しい限りではあるのですが、わずかでありますけれども、50万円だけ上げさせていただいたということです。

記者: 背景として、先ほど知事もおっしゃったように東京都がそういうことをして、県民の中では特に川崎あたり、隣接しているエリアでは、なぜそんなちょっとのことでという思いがあって、頑張ってつけられた予算だと理解はしているのですが、一方で、その750万円に引き上げても、対象者でいくと県内の私立高校に在籍している県民の6万5000人というざっくりした数値の中で見ても、その中央値に届いてない状況で、それを先ほど知事は心苦しいという表現でおっしゃったのかなとも思うのですが、このあたり、まだまだ恩恵に属さない人たちがたくさんいる中で、50万円の引き上げで県民の理解が得られたというふうに思ってらっしゃるのか、その辺の所感を教えてください。

知事: いや、それで県民の皆さんが満足いただけるとはとても思えないです。東京都と比べると言ったときになんでというのは、もう当然のことだと思いますから、基本的には住んでいる地域によって子供たちが等しく教育を受けられるというのが基本だと、これはやはり、国が統一的にその支援をするというのがまず基本だということでこれまでもずっと要望してきましたけれども、今ようやく国会で、その具体的な話が詰まりそうになってきているということに対して大いに期待をしたいと思っています。

記者: 東京都というのは財政力が圧倒的に違うので、そこはちょっと置いといても、大阪は国の方針を待たずに、独自にこれまでいろいろやってきた行財政改革で、余力を生み出して、24年度から段階的に無償化ということを取り組んでいるわけですけれども、予算の割り振りって優先順位であったりとか、政治家である首長の意思の表れという部分があるのかなと思うのですけれども、まだまだ恩恵に属していない県民のために、今後、行財政改革をさらに推し進めて、そこら辺の750万円からさらなる上積みというところを、国を待たずにやっていくというおつもりがあるのかないのか、その辺について教えていただけたら。

知事: 行財政改革については、神奈川県はこれまで相当厳しくやってきたと思っています。それとともに今回、特に仕事の断捨離を進めようということを強く言いました。つまり、仕事をやめるという決断です。新しいことにどんどん取り組んでいかなければいけない中で、前の仕事をやめるという決断は、実は県庁職員はなかなか難しいのです。これをもうトップダウンで、「とにかくやめるものはやめよう」、「断捨離をやっていこう」ということで厳しく言って、相当ボリューム感のある削減ができた。それは、働き方改革にも繋がる話ではあるのですけれども、予算にとっては非常に大きな効果があっただろうと思っています。そういう中で、やりくりしながらやっているというのが現状です。教育の問題については、先ほど申し上げたように、やはり基本的には国がやるべきことだということで、今まで要望してきましたけれども、それが1つの動きになってきているということを注視したいと思っています。

記者: 今のお話を私なりに解釈すると、これまで断捨離、一生懸命行財政改革やってきて、引き続きそれはやるけれども、まずは750万で、それ以上のところは目指さず、あとは国の出方を注視するという理解でよろしかったでしょうか。

知事: いやいや、とりあえず今年は750万円で、これもギリギリのところだと思います。本当はさっき言ったように、国の動きが出ているのだから、そのまま我慢して据え置くということもありえたのですけれども、物価がかなり上がっているので、その分だけ配慮できるように、最小限のことで、取り組んだということで、これ本当にだから、とてもこれで満足いただけるとは思っていませんけれども、せめてものことだと受け止めていただきたいと思います。

「令和7年度当初予算案等の概要」について

記者: 先程、知事から新かながわグランドデザインの着実な推進、9つの重点項目を説明していただいて、ポイントを説明いただきましたけれども、知事個人として新年度予算にどういう思いを込められたのか。編成する予算で、どういう県政運営をされたいのか、その具体の思いを伺いたいのと、あわせて今回名付けるなら、どういう予算なのか、もし、キャッチフレーズとかお考えであればお伺いしたいと思います。

知事: 新かながわグランドデザインの基本は、「県民目線のデジタル行政でやさしい社会を実現」です。だから、どんな予算かというと、まさにそのとおりです。「県民目線のデジタル行政でやさしい社会を実現する予算」ということです。ですから、ありとあらゆるところに、DXの流れというのが加速化していくということ、防災もそうだし、ヘルスケアもそうだし、教育もそうだし、行政のあり方そのものです。仕事のやり方そのものもDXが入っている。そういったものをしっかり加速化させていくための予算ということですね。

記者: キャッチフレーズは。

知事: 「県民目線のデジタル行政でやさしい社会を実現予算」です。

記者: 歳出の面ですが、人件費だったり、社会保障費でしたり、義務的経費が8割ぐらい占めると先程ご説明いただきました。様々な財政指標というのはあると思うのですけれども、ある種、歳出が硬直化しているような状況というのを、改めてどうみてらっしゃるかっていうのを伺いたいです。

知事: 要するに災害に強い神奈川をつくっていかなきゃいけないということもあるし、そして高齢化がどんどん進む、少子化の流れも歯止めがかからない、様々な課題があって、そのためには当然、お金が必要になってくるわけです。だからそれに何とかして振り分けるために、非常に苦労しながらつくった予算ということです。だから、先程申し上げたように、税収がこんなに増えていて、それをそのまま反映したいという気持ちがいっぱいなのですが、その分だけ交付税が減らされるという構図の中で、その恩恵を皆さんに与えることができないということは、本当に内心、忸怩たる思いです。せめてわれわれは、先ほど申し上げたように、自分たちの事業を徹底的に見直して、それを仕事の断捨離と名付けてトップダウンでやってきたということで、そういう意味で、苦しみながらつくってきた予算だとご理解いただきたいと思います。

授業料の無償化について

記者: 私立高校の教育、実質無償化の件で、対象を拡大したことについてなのですけれども、これまで東京都以外の周辺県で、国に対して格差が生まれているから、何とか支援してくれと要望されてきたと思うのですが、今回、神奈川県が引き上げたことによって埼玉、千葉と少しずれてくるんじゃないかなと思い、もともとずれていたのかもしれないですけれど、そこはどういう整理をされたか教えていただけないでしょうか。

知事: 埼玉、千葉がどういうふうなこの手の予算を組まれるか、私は知りませんけれども、基本は国のやっていく仕事ですよということで申し上げてきた、ここは足並みが揃っているわけです。われわれの範囲が広がったから、その要望が変わるとか、変わらないということはあり得ないわけでありまして、しかも、今までずっと要望してきた内容が国の方でも具体の議論の土俵に乗っているということですから、そこのところは注視していきたいと思っています。

記者: 特に千葉、埼玉と少しまた凸凹になったとしても、それは構いませんという考え方なのでしょうか。

知事: 千葉、埼玉がどういうふうな予算を組まれるか知らないので。

記者: それは、すり合わせとかは特にないですか。

知事: すり合わせしながら予算を作ったわけではないです。

新たな地方独立行政法人について

記者: 議案についても、予算案についてもそうなのですけれども、知事が目指している当事者目線の障害福祉に向けて、いよいよ地方独立行政法人の設立に向けた動きが、本格化してくるような思いを持っているのですけれども、改めて当事者目線の障害福祉、県が目指している、それを実践するフィールドとして作っていくということだと思いますけれども、今までの県立施設とかからの、改めてなのですけど、転換してなぜ独法でやらなければならないのか。そのあたりの思いというのを改めてお聞かせいただけるでしょうか。

知事: 県立の中井やまゆり園においても今、改革を進めているところです。ご承知のとおり、外部からのアドバイザーも入っていただいて、ずっと見た中で、これまではいわゆる虐待というようなものが、まだまだ日常的にあったというものが、改善されてきて、そしてずっと今まで施設に閉じ込められていたような人たちが外へ出て、活動するようになって、そして、皆さんの表情にも笑顔が出てきて、改善に向かっていることは間違いないです。ただ、そこで見えてきた問題として、医療の不在という問題があったと。家庭看護のレベルにもいってないという話が見えてきた。ここを何とかしなきゃいけないということ。それは、言葉を変えて言えば、中井やまゆり園では、いのちの危機に瀕している状況があるということも言えるわけだと思うのです。ですから、これは早く改善していかなければならないという中で、われわれはスピード感を持ってやっていこうと、今、医療の検証委員会の皆さんにもご協力いただいて、今年度末までに何とかして方針をまとめて欲しい、そして、そのガイドライン等々を作って欲しいということを要望して、激しい議論を行いながら進んでいるというのが現状です。われわれが目指すものは一体何なのかということです。要するに医療と福祉を比べてみてみますと、医療というのは、エビデンス・ベースド・メディスンといいますけれども、証拠に基づく医療、つまり、医療の世界は非常に科学的な目が入っていて、その科学的なデータ、裏付け等々が厳しく問われる世界になっているわけです。福祉の現場に行くと、あまりそういうものがなくて、人間の思いに頼り切っているようなところが実はあるのです。そういうことでいいのかなと。当事者目線に立ったときに、医療と福祉の間にそんな明確な線はない。われわれはいつも未病という言葉でグラデーションと言っていますけれども、医療と福祉の間だって、当事者目線に立てばグラデーションだろうと。そうすると、やはり医療でやっているようなある種の科学的なアプローチといったものが福祉の中に入っていくべきだろう。だから例えば、その支援をやったときに、先ほど申し上げたように、今までずっと閉じ込められた人たちが外へ出て、いろんな交流を始めたら笑顔が出てきた、と言ったときに、そのものを何とかデータ化できないかということです。例えば、われわれがずっと今まで未病改善をやってきた中で、様々なテクノロジーというものも実は見ています。例えばMIMOSYS、声の分析によって心の未病状態が分かるというような技術もあるし、例えば今、湘南アイパークなどでやっていますけれども、歩行などをデータ化してくるというような、様々な人間の動きを指標化していくことができる技術がどんどん出てきているわけです。そういうのを科学の目で見てみると、実はさっき言ったような、中に閉じ込められた人達が外へ出て笑顔になったというのは、そういうふうな形でデータ化できるのではないのかなと、われわれは見ています。そういうことをやっていきたいと。そういうことができる人材を育てていきたい。これが独法の目指す方向です。こんなことを従来の施設の中でやってくれというのは無理です。ですから、まさに新しい福祉を作るフロントランナーとしての役割を担う、そういう新たな機構が必要だということの中で、しかもそれはあんまり時間かけてやるわけじゃなくて、早く一気にやっていこうということで今やっているところです。

中井やまゆり園について

記者: そういう状況がある中で、もうずっと指摘されているのですけど、中井やまゆり園の職員さんから、なかなかそのトップダウンの運営で、現場の声が反映されないだとか、一部外部のアドバイザーさんのハラスメント行為を指摘するような声も出ています。県議会とかからも、独法よりもまずその課題解決が先決ではないかというような声もありますけれども、改めて今回議案を提出して、取り組みを進めていくわけですけれども、そのあたりの状況も踏まえてどんなふうにお考えか教えていただけますか。

知事: 外部のアドバイザーの皆さんが入ってやってくださっている中で、職員の中で様々な反応が出ていることは、承知はしています。そこでパワハラ的なことがあったのかどうかというような声も上がってきてはいますけれども、パワハラというものは、要するに改革が今進もうとしている中で、それが起きてくる原因もあるわけです。多分、そういう中で、ちょっと声を荒げた部分があったというのは、荒げざるを得ないようなものもあったということをわれわれは見ています。それは、いのちに関わる問題が目の前にあったときに、大きな声を上げたということが、そのパワハラの部分だけが問題視されて、いのちに関わる行為の問題があるということについて、問題視されないというのは私はおかしいと思います。ですからそのあたり、お互いしっかりともう1回冷静になりながら、信頼関係を作り直していくということが必要かなと思っていて、基本的に向いている方向は同じだと思うので、やはり時間をかけながら、といいつつ急いでやってはいるのですけれども、しっかりそのあたりのコミュニケーションをとりながらやっていって欲しいと思います。

流域下水道管の緊急点検について

記者: 冒頭ご発言があった下水道管の件なのですけど、今調査されてきた58キロは、国交省の方から通達があった、処理場に接続している、処理場の規模と下水道管自体の太さの基準、で58キロだと思うのですけど、知事がおっしゃった174キロに広げるっていうところは、相模川流域だけじゃなくて、県の管理する下水道全長という認識でよろしいのでしょうか。

知事: そうです。今、事故が起きたところと同じところを調べることがまず第1弾です。じゃあ、他はどうなのかなということは、皆さん当然疑問に思われると思うのです。ですからそこも調べるようにということを、私から話をしました。

記者: 重ねてなのですけど、今の一次点検の期限が、きょうまでということだったと思うのですけど、その広げる対象の区間については、いつごろまでをめどにというところがもしあれば教えて下さい。

下水道課長: 広げた区間につきましては、本日より、調査を開始しておりまして、めどとしては、来週金曜日までで終了する予定でございます。

「令和7年度当初予算案等の概要」について

記者: 当初予算案について幾つか教えてください。まず高校授業料の無償化ですけれども、基本的なところでこの700万円から750万円にすることで、高校生の対象がどれぐらい増えるのかどうかというところと、必要なこの部分に係る予算額を教えていただけないでしょうか。

私学振興課長: 増える分の対象の人数ですが、約2,300人となっております。予算額といたしましては、約6億円程度となっております。

記者: あと、東京都並みの授業料の無償化、全員を対象にした場合にかかる予算について、昨年度の会見では大体200億円ぐらいとお伺いしたのですけれども、今の段階でも、変わりないでしょうか。

私学振興課長: 今の段階でも、令和7年度予算と比べましても約200億円超となっております。

中井やまゆり園について

記者: 県立中井やまゆり園の独法化の関係なのですけれど、先ほども質問がありましたが、議会では、令和8年4月の独法化はちょっと難しいのではないか、もっと遅らせた方がいいのではないか、といった意見もかなり出ておりました。このあたり、知事としてどのようなお考えでしょうか。

知事: 先ほど申し上げたように、医療の不在ということが続いているという状況からするならば、利用者の皆さんのいのちが危険にさらされていると、私はそういう危機感を持っています。それを早く新しい形に変えていかなきゃいけないという思いの中で、スピード感というものは大事だということだと思います。

記者: いのちの問題を解決するというところは独法にしなくても、現段階で、ルールの改正ですとか、先日の議論ですと、そのエラーを洗い出すとか、そういうところで解消していく問題であり、その独法というと、さらにその先の新しい福祉の形のあり方ですとか、福祉を科学するとかそういう議論の方なのかなと思ったのですけれども、知事としては独法化することによって入所者の方、当事者の方々の環境がよくなると、そういうふうにお考えだということでしょうか。

知事: そうですね。中井やまゆり園のためだけにやるわけではないです。新しい福祉のあり方を作っていくという大きなミッションを持っていると思います。それを中井やまゆり園という、一番大変なところからスタートさせていくということの中で、やはりスピード感が必要だと考えています。

グループホームの設置について

記者: 今回、中井の近くに県立で初めてグループホームをつくられるという予算を計上されていると思います。当然、近隣に民間のグループホームもある中で、県立でグループホームを抱える理由というところを教えていただけますでしょうか。

知事: これからその施設を中心とした支援ではなくて、やはり地域での支援というものに変えていくべきだろうという中で、やはりグループホームというものの存在は非常に大きいと思います。ですから、そういうものを県がやってみるということも非常に大きな意味があると思います。こういったものをどんどん広げていくことが必要だと思います。

記者: 県立のグループホームも広げていくということでしょうか。

知事: 含めてです。

記者: 中井では、昨年短期入所の方のお父さんが、その入所者の方を殺害してしまうという、千葉県長生村の痛ましい事件がありまして、これもグループホームに入ろうとしたのだけれども、なかなか入れなかったというようなお話も出ていると伺いました。このあたりの議論も、やはり県立として、ある種グループホームに入りにくい方を、県立のグループホームとして、きっちり受け入れられる体制を作るというような、このような視点というか議論もあったのでしょうか。

知事: 施設中心の福祉のあり方から地域移行へ、ということの大きな流れの時に、当初でてきたのは、地域移行というのはいいけど、受け皿がないじゃないか、受け皿が十分じゃないじゃないかという議論がありました。ですから、その受け皿になりうるのが、グループホームだと。ひとつの手段だと思っていますので、それをもっともっと広げていく、それも県も一緒になって広げていくということが、必要だと思っています。

記者: そこは、なかなか民間だと受け入れてもらえないリスクというか、現状もあるので、県としても、そこをきっちりグループホームを作っていくという、そういうお考えですか。

知事: いや、県も民間もやるところはやっていけばいいのではないでしょうか。

流域下水道管の緊急点検について

下水道課長: 先ほど、174キロに広げた、緊急点検をいつまでに終わらせるのかというお話がございまして、私の方から、来週をめどに、とお答えをさせていただきましたが、訂正をさせていただきます。まず、酒匂川流域下水道の2メートル以上の管渠の部分につきましては、来週をめどに、調査を完了しようと考えておりますけれども、174キロ全体につきましては、まだいつ終わるというところは、申し上げられない状況でございます。

知事と市町村長との意見交換会について

記者: 予算関連ではないのですけれども、ちょっと早いのですが、きょう夕方に、市町村との会議があるかと思うのですけれども、そこで相模原市等が水資源の施策に関して、要望書を手渡すという話があります。事前に相模原市で関係自治体が会議を開いていて、水源税に関してですけれども、スケジュールを見直して欲しいとかですね、要望があるようなのですけれども、それについて受け止めを教えていただけないでしょうか。

知事: それは受け取ってからです。

記者: 事前に報道等で、要望される、というのはお聞きになっているでしょうか。

知事: 要望する場面があるかもしれないとは聞いておりますけれども、いただく前に答えるというのはなかなか難しいと思います。その要望書を見てから、お返事したいと思います。

流域下水道管の緊急点検について

記者: 訂正いただいた酒匂川の来週の調査なのですけど、来週に終わる目途の長さを、もしわかれば教えていただけますか。

下水道課長: 来週の金曜日を目途に、現在、調査を進めようとしているところでございます。延長は、約3キロを予定しております。

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