T 県の取組み 1 身体拘束廃止及び高齢者虐待防止等に関する事業について ≪取組方針≫ 本県では介護保険制度スタート時に全国に先駆けて「かながわ拘束のない施設 づくりガイドライン」を策定し、その後「かながわ高齢者あんしん介護推進 会議」を設けた。そこで、高齢者が尊厳をもって安心して介護を受けられるよう、 身体拘束の廃止や高齢者虐待を含めた高齢者介護に関する問題点・課題について 取組みを進めてきた。 新たな課題として高齢者人口の増加に伴う認知症高齢者の増加が予測され、 認知症ケアの推進が大きなテーマになっている。身体拘束や虐待問題の根底は 認知症の課題であり、認知症の正しい理解こそがサービスの質の確保と向上に つながるとの視点から推進会議では以下の取組みを実践していくこととしている。 1 かながわ高齢者あんしん介護推進会議及び部会の開催 本推進会議は「高齢者の尊厳の保持」の視点にたって高齢者の権利擁護を主眼に おきながら、身体拘束廃止、高齢者虐待防止、認知症対策における施策の検討を推進する。 実施主体:県 構成委員:医師会代表、看護協会代表、弁護士代表、介護保険施設代表、 保健福祉事務所代表、学識経験者等 @拘束なき介護推進部会  構成委員:市町村代表、学識経験者、県高齢者福祉施設協議会加盟施設、神奈川県看護協会       身体拘束廃止推進モデル施設、神奈川県社会福祉事業団等 A高齢者虐待防止部会  構成委員:養介護施設従事者、市町村代表、保健福祉事務所代表、学識経験者等 B認知症対策部会  構成委員:市町村代表、介護保険施設代表、保健福祉事務所代表、学識経験者等 2 高齢者の権利擁護に関する研修の開催 高齢者の介護に関わる関係職員に対して虐待や身体拘束廃止の知識・技術向上のため研修会 を開催する。   実施主体:県   委託先(神奈川県社会福祉事業団、日本看護協会等) 事業内容:@身体拘束廃止推進モデル施設養成研修      A看護職員研修(看護指導者養成研修・看護実務者研修)      B高齢者虐待等フォーラム(家族等への啓発普及を含む)      C高齢者虐待専門研修会(基礎編・実務編) 3 認知症対策に関する研修の開催 かかりつけ医が認知症を早期発見し、適切な対応を行う一助とするため、かかりつけ医への 助言その他の支援を行う認知症サポート医の養成等を行うとともにかかりつけ医に対して 適切な認知症診断の知識・技術等を習得するための研修を実施する。 また、地域において認知症の正しい理解や具体的な対応方法等の普及・啓発を図るため、 一般住民向けの認知症学習会の講師役となるキャラバン・メイトを養成する。 実施機関:県 事業内容:@認知症サポート医養成研修事業      Aかかりつけ医認知症対応力向上研修事業      B認知症キャラバン・メイト養成研修会 4 認知症相談の実施 老人性認知症センターに老人性認知症指導対策事業を委託し認知症高齢者等の保健医療・ 福祉サービスの向上を図る。また、保健福祉事務所の専門機能を活用して認知症高齢者及び 家族等に対し、その在宅生活を支援する。 実施主体:県 事業内容:@専門医療相談(老人性認知症センター)      A保健福祉事務所での認知症相談       ・精神科医による定例相談(予約制・無料)       ・保健師等による随時相談 5 拘束のない介護に関する相談の実施 介護保険施設等の介護・看護担当者や利用者の家族等からの相談に応じ、身体拘束を廃止 していくためのケアの工夫等について具体的な助言指導を行う。 実施機関:県高齢福祉課、身体拘束廃止推進モデル施設等 対 象 者:高齢者介護保険施設の管理者、介護・看護職員・家族・県民等      6 処遇困難事例検討事業による市町村支援の実施 高齢者虐待等の処遇困難事例に対して、保健福祉事務所の専門性を生かした支援を行う ことにより、市町村の課題解決能力の向上を図る。 実施機関:保健福祉事務所 事業内容:@研修会・講習会の開催       A事例検討会      B高齢者虐待防止ネットワークの構築支援 7 高齢者虐待防止に関する啓発・普及 高齢者虐待を未然に防止し高齢者の権利擁護を図るため、高齢者虐待の理解や通報義務等 についてリーフレット等を活用し周知を図る。 実施機関:県 事業内容:@県のホームページ      Aリーフレットの配布 2 拘束なき介護推進部会の運営について 1 部会の設置目的 高齢者の介護における身体拘束の廃止を推進するため、「あんしん介護推進会議」の実践 組織として、「拘束なき介護推進部会」(以下、「推進部会」という)を設置し、「介護 保施設等における身体拘束廃止に関する研究会」と一体化することにより、身体拘束の廃止 に向けた取組みの検討会を開催する。 2 内容等  (1)内 容 ・他県における先進的、斬新的な取組みなどの情報収集や研究を行う。        ・更なる対応策等の検討を行い、その結果を介護保険施設等に提供し、身 体拘束の廃止の推進に向けた施設の対応に寄与する。 (2)構成委員 団体等  所属等 氏名等 委員長  なのはな苑 松浦美知代 特養(横浜)  天王森の郷 鈴木 啓正 特養(川崎)  夢見ヶ崎 松尾 和彦 特養(藤沢)  藤沢特別養護老人ホーム 川瀬 和一 老健(厚木)  さつきの里あつぎ 平林 幸子 特養(小田原)  陽光の園 加藤 馨 特養(相模原)  幸園 草薙 喜義 神奈川県看護協会 廣田とき子 横浜市  高齢施設課 富岡 桂子 川崎市  高齢者事業推進課 平野 智康 神奈川県  県庁関係課 4名 神奈川県社会福祉事業団(事務局) 2名 オブザーバー  湘南老人ホーム 伊藤 久江  高齢福祉課 3名 3 部会実施状況 日程           第1回 平成20年 5月12日(月)                                      第2回 平成20年 6月16日(月)     【現地視察】    @平成20年 7月 9日(水)・・・(老健)アルボース    A平成20年 7月29日(火)・・・大阪府庁    B平成20年 7月30日(水)・・・(特養)フィオーレ南海    C平成20年 8月 5日(火)・・・(特養)清水坂あじさい荘 第3回 平成20年 9月18日(木) 第4回 平成20年11月18日(火) 第5回 平成20年12月18日(木) 第6回 平成21年 2月16日(月) 第7回 平成21年 3月26日(木)                4 部会での検討内容・取組 次年度に向けた検討                           ○身体拘束廃止の普及啓発に向けた次年度の具体的な取組み 1.介護保険施設等における身体拘束廃止に関する研究事業報告書(以下、「報告書」という。)  を有効に活用するため、県内各地域で、身体拘束廃止推進の中核的施設として活動している  身体拘束廃止推進モデル施設(以下、「モデル施設」という。)に報告書を配布し、地域での  普及啓発活動に活かすとともに、県のホームページにも、掲載することにより、幅広く  普及啓発する。 2.今年度までの本県における身体拘束廃止推進モデル施設養成研修等について検討し、  今後の研修等のあり方等について検討する。 3.モデル施設による各地域での普及啓発活動等について検討し、今後のモデル施設の地域での活動  のあり方等について検討する。 3 身体拘束廃止推進モデル施設養成研修について 1 目的 施設長・管理者を始めとする指導的な立場の職員が中心となり、施設単位で身体拘束廃止 に取り組むことが必要であることから、県内における中核的施設(身体拘束廃止推進モデル施設 (以下「モデル施設」という。))を養成し、実践的な取組みを実施することを目的とする。 ※ 本研修は、平成18年度より開催している。 2 研修のねらい等  (1)ねらい ・個人での研修受講の伝達が施設内で一般化しないことから、施設単位で 同一内容の研修をすることで、施設全体で身体拘束廃止の理念を徹底する。        ・研修受講後は各地域の推進モデルとしての役割を担い、施設見学や相談 等を受け入れるなど中核施設として他施設との連携を図る。 (2)モデル施設としての要件 身体拘束廃止の取組みを実践していることを基本原則とし、必ずしも現時点で身体拘束廃止になって いることではなく、施設の理念として拘束廃止を推進する方針を持つことが前提。 (3)モデル施設の役割 モデル施設は、各地域における身体拘束廃止推進施設としてのリーダーとして、サービスの質の向上 に向けた実践を構築する。 また、身体拘束廃止の取組みを進めたい他施設の相談や見学を受入れ、モデル施設の啓発・普及とい う役割を担っている。 (4)活動内容 ・身体拘束廃止推進施設の核(リーダー)として、各地域の身体拘束に向けた相談・理解促進等をすすめる。    ・身体拘束廃止推進員(指導的な役割の職員)を窓口とし、研修の企画、運営、事例検討等を実施する。 ・身体拘束廃止推進員(指導的な役割の職員)を中心に各地域のコーディネイトを行う。 ・モデル施設の啓発・普及をする。 3 研修受講イメージ(概要図) 施設長等管理者及びメイン受講者(身体拘束廃止推進員)を中心に、施設単位で参 加する。 4 身体拘束廃止推進モデル施設一覧 ( http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/kourei/kosoku/ichirannf.htm 参照)