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[2008.8.20掲載]

身近な食材に注意!!  -じゃがいもの食中毒-
挿絵
 
  じゃがいもは、私たちの食生活において欠かすことのできない食材のひとつですが、そのじゃがいもが引き起こす食中毒についてのお話です。
 
どこに中毒を起こす物質があるのですか
  

   じゃがいもの発芽部分には ソラニン という有毒成分 ( アルカロイド ) が含まれています。
  ソラニンは、‘ほうずき'等他のナス科の植物にも含有されているものがあります。水溶性なので、煮たり茹でたりすることによって、多少減少すると言われていますが、実際の加熱調理ではほとんど分解されず、毒素が完全に無くなることはありません。また、芽だけでなく表面が緑色になった皮の下の部分にも多く含まれています。

中毒を起こすとどんな症状がでますか
  じゃがいものソラニンを取り除かずに調理して食べてしまうと、食後 20 分くらいから吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、頭痛、脱力感などの症状がでることがあります。食べた直後に苦味、えぐ味などの違和感を感じる場合もあるようです。一般的には軽症のことが多いのですが、まれに呼吸困難などの重い症状となる場合もありますので、このような症状が出たときは早めに医療機関の受診をお勧めします。
発生した事例はあるのですか
  全国的にも 小学校や幼稚園等で栽培したジャガイモによって食中毒が発生したという事例がしばしば報告されています。神奈川 県内でも平成 12 年 7 月に小学校で理科の教材用に栽培したじゃがいもによる食中毒が起こっています。
 

学校や家庭菜園で栽培したじゃがいもには、成熟する前に収穫したり、日光があたって表面が緑化したものがみられる場合があります。未成熟の小型じゃがいもや表面が緑化したじゃがいもはソラニン類の含有量が多いので、これらのものを喫食するのは避けましょう。  また、収穫後日光に当たってもソラニン類が増加するので、冷暗所に保存し、早めに食べるように心がけましょう。  芽や皮はあらかじめ取り除き、調理しましょう。特に、緑化した部分は厚く切り取りましょう。

   
小学校で発生したジャガイモによるソラニン食中毒の 1事例
 

  平成 12 年 7 月、県内の小学校で 6 年生 93 名が理科の教材用に栽培したジャガイモの皮をむかずにゆでて食べ、 65 名が吐き気、腹痛、頭痛等の症状を示した。試料として残品のジャガイモが搬入された。品種はメークインで、すべて 50g 以下の小さなものであり、 10 g以下のものも多く含まれていました。小学校でゆでたものと生のままのものがあり、ゆでジャガイモについては表面が緑化したもの、緑化が少なく褐色のものに分けて衛生研究所で分析を行ったところ、ソラニン類が高濃度に検出されたため、ジャガイモのソラニンによる食中毒であることが判明しました。

 

<分析結果>

残品(搬入品)

ゆでたもの ( 緑色 )

平均 865mg/kg ( ソラニン類として )

残品(搬入品)

ゆでたもの ( 褐色 )

平均 426mg/kg ( ソラニン類として )

残品(搬入品)

生 ( 緑色 )

平均 726mg/kg ( ソラニン類として)

対照とした市販品

ゆでたもの ( 褐色 )

平均 139mg/kg ( ソラニン類として )

対照とした市販品

生 ( 褐色 )

平均 115mg/kg ( ソラニン類として )

( mg/kg ;じゃがいも1 kg に対して含まれるソラニン量 )
 

※ ソラニン類は市販品のジャガイモにもある程度含まれています。また、種類によっても含有量に差があります。ジャガイモ 1 個をだいたい 100g とすると、対照とした市販品のジャガイモには、ゆでたもので 1 個あたり平均 13.9mg のソラニン類が含まれていたことになります。
このように成熟したじゃがいもにも少量のソラニン類が含まれています。

  注意  ソラニン等のアルカロイドの中毒量は一般的に大人では200~400mgを摂取すると発症するとされていますが、子供の場合は過去の事例からその1/10程度でも発症すると考えられています。子供に食べさせる場合は、なるべく皮をむくか大量に食べさせないようにしましょう。
 
(理化学部   関戸晴子)
 
リンク先:

東京都福祉保健局 / じゃがいも いも知識 
農林水産省 / 知識があれば怖くない!天然毒素

 

挿絵

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