2026年5月1日掲載
神奈川県内でのマダニ類の調査を開始しました
令和7年6月、神奈川県において関東地方初となる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の患者が報告されました。その後、県内でネコのSFTS感染事例も複数確認されています1)。本疾患はこれまで西日本を中心に患者の発生が見られていましたが、患者発生の報告が東日本にも広がっています2)。気候変動や野生動物の分布域拡大などの影響により、原因ウイルスとそれを媒介するマダニ類が拡散していると考えられており、県内でのさらなる感染拡大が懸念されています。
このような状況の中、神奈川県民に対するSFTSの感染リスクを把握するため、令和7年8月からマダニ類の生息状況調査を開始しました。
【マダニ類の基礎情報】
| マダニ類は屋外に生息する大型のダニの仲間で、国内には約50種類が確認されています。植物や落ち葉の上で動物を待ち構え、動物に接触すると乗り移って吸血します。卵から孵化したマダニ類は幼虫、若虫、成虫へと成長し、その過程で吸血を繰り返し、ウイルスなどの病原体を媒介することがあります。 | ![]() |
【マダニ類の生息状況調査】
令和7年8月から12月にかけて、県内(県域)でマダニ類の生息状況調査を実施しました。マダニ類の採集は、棒に白い起毛のある布(フランネル)を取り付け、草むらや落ち葉の上をなでることで動物を待ち構えているマダニ類を布に付着させ、ピンセットで回収する方法(旗振り法)を用いました。今回の調査では、3,683匹、9種類のマダニ類が採集されました。SFTSはフタトゲチマダニとキチマダニが媒介するとされています3)。このほか、タカサゴキララマダニ、ヒゲナガチマダニ、オオトゲチマダニからもSFTSウイルスの検出が報告されています3)。神奈川県でもこれらのマダニが広く分布していることが分かりました。

マダニ類の採集結果(令和7年8月~12月)
| 保健所管轄地域 | |||||||
| 採集数 | 鎌倉HWC | 厚木HWC | 平塚HWC | 平塚HWC 秦野C |
小田原HWC | 小田原HWC 足柄上C |
|
| フタトゲチマダニ | 521 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
| キチマダニ | 651 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| タカサゴキララマダニ | 35 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| タカサゴチマダニ | 80 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| ヤマアラシチマダニ | 47 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
| オオトゲチマダニ | 1895 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
| ヒゲナガチマダニ | 449 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
| ベルルスカクマダニ | 3 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
| アカコッコマダニ | 2 | 〇 | |||||
| 計 | 3683 | ||||||
※ 〇は該当する保健所管轄地域における調査地点でそのマダニ種が採集されたことを示す
※ HWC:保健福祉事務所、C:センター

マダニ調査地域概要
【採集されたマダニ類】
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| フタトゲチマダニ | キチマダニ | タカサゴキララマダニ |
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| タカサゴチマダニ | ヤマアラシチマダニ | オオトゲチマダニ |
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| ヒゲナガチマダニ | ベルルスカクマダニ | アカコッコマダニ |
【マダニ類の生息場所】
マダニ類は森林やあぜ道、ハイキングコース周辺の草むらや藪などの自然環境に生息しています。特に野生動物が多い地域や獣道の周辺などはマダニ類が多くみられるため、注意が必要です。このような場所に入る際は、長袖・長ズボンを着用して肌の露出を減らし、虫よけ剤(ディートまたはイカリジンを含むもの)を使用するなどの対策を心掛けましょう。

★ 今後も神奈川県内におけるマダニ類の調査を継続していきます ★
【関連情報】
| 1) | 国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所獣医科学部「動物におけるSFTS 県別・月別発生状況」 |
| 2) | 国立健康危機管理研究機構感染症情報提供サイト「感染症発生動向調査で届け出られたSFTS症の動向について」 |
| 3) | 国立危機管理研究機構感染症情報サイト「国内外における重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の発生状況について」 |










