県内で広がる生涯学習

インタビュー

県内で広がる生涯学習についてお伝えします。
地域に根ざした取り組みなども生涯学習の一つです。

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伊勢原市を中心に活動する
「おはなしばる~ん」

図書館や地域の学校、病院で子どもたちにおはなしを届けている皆さんにお話を伺いました。

代表:前場 氏

代表の前場さんにお伺いします。
おはなし会発足のきっかけと、これまでの活動について教えてください。

前場:「おはなしばる~ん」は、平成元年(1989年)伊勢原市立図書館の開館に伴い、おはなし会のボランティアを募集していたことがきっかけで発足しました。
絵本に興味があり、子どもが好きな人達が集まり、スタートして34年になります。
途中メンバーの出入りはありますが、常時15人前後のメンバーで活動してきました。
当初、活動は図書館が中心でしたが、次第に学校や幼稚園、病院、高齢者施設など活動の場が広がっていきました。
コロナ禍以前は、27か所で実施していたおはなし会でしたが、コロナの影響で活動が制限され全く実施できない時期もありました。しかし、その間も勉強会や定例会は欠かさずに行い、現在は10か所ほどを訪問し、おはなし会を開いています。

大変な時こそ、新しい何かが生まれるとき

活動してきた中で大変だったことは何でしょうか。

前場:コロナ感染が広がり、おはなし会の休止が1年以上続き大変でした。
休止期間中に図書館に来る親子対象に「おはなしばる~んのおすすめ本」を始めました。これは一か月ごとにテーマを決めて絵本を掲示コーナーに3~4冊置きます。また古民家での青空おはなし会という新しい形も生まれました。入院しているお子さんが通う院内学級ではリモートでおはなし会を行いました。画面越しとなるため絵本の位置など見せるための工夫がいります。点滴を付けながらお話を聞く子たちの姿からはおはなしを届ける意義を強く感じます。
また、おはなし会を実施する際に対象者の年齢にあったプログラムを考案するのは大変なことかもしれません。しかし、プログラムを考えたり、選書を行う時はメンバーと話し合い、新しい気付きが生まれる時でもあります。

本の世界に浸かる子どもたち

活動していてよかったと思うことも教えてください。

前場:おはなし会で本を読んでいると、本の世界にどっぷりと浸かり、集中している子どもたちを見ることができます。子どもが本を通して、何かを感じ、受け取っている瞬間に立ち会えると、活動していてよかったと感じます。
また、その子どもの姿を見てほほ笑んでいる親御さんの姿が見られたときにも、活動の喜び、充実感があります。

きっかけはポスター

ここからはメンバーの皆さんにもお伺いします。
まず、皆さんがおはなし会に入られたきっかけを教えてください。

前場:幼稚園教諭をしていたころ、本を読んでもらう時間を心待ちにしていた子どもたちや 毎晩本を読んでもらうことを楽しみにしていた我が子を見て、本を読む時間はとてもいい時間だと思っていました。伊勢原市立図書館が新設されるにあたり、おはなし会のボランティアを募集しており、飛び込みました。

加藤:30年前に娘と一緒におはなし会に参加しました。もともと本を読むことが好きで、 家でも子どもにも本を読んでいたのですが、おはなし会に参加し、楽しそうにしている子どもを見ていた時、ポスターでメンバーの募集をしていたのです。

守田:幼児教育に長年携わってきましたが、退職後も子どもたちと関わることをしていたいと考えていました。その時、ちょうど図書館開館30周年記念の展示がおこなわれていて、図書館で活動する各ボランティア紹介の中に、おはなし会のメンバー募集のポスターを見たことがきっかけです。
ポスター内容から参加している皆さんの笑顔が浮かんできて温かいおはなし会を感じたからです。

天野:子育て中、子どもに本を読んであげているとき、本を見る子どものしぐさや姿が印象 的でした。私もポスターを見て仲間になりたいと思い連絡しました。

おはなしばる~んの皆さん(左から、天野さん、前場さん、加藤さん、守田さん)

さまざまな表情をする親子、新しい本に出会えること

活動を通して、どのようなところにやりがいを感じますか。

前場:おはなし会は、さまざまな年代の子どもたちや親が参加します。本を読んでいて、おはなしの世界に集中している子どもたちの表情を見るとやりがいを感じます。

天野:子どもたちを抱え、おはなし会に参加しているお母さんが、本を楽しんでいる我が子 の様子を見ている時に見せる笑顔がやりがいです。また、自分のイラストをメンバーがほめてくれたり、新しいプログラムで使われたりすると、自分が役に立てたと喜びを感じます。

守田:おはなし会での我が子の反応を「かわいい!」と嬉しそうな親の笑顔を見た時に親子の関わりのお手伝いが出来たと感じる時です。

加藤:おはなし会に向けてプログラムを考えている際、自分が知らない本をメンバーが紹介 し、新しい本に出合えた時などもワクワクして楽しい瞬間です。

人はいつまでも成長できる

おはなし会の活動を通して、得られた『学び』は何ですか。

守田:プログラム作成などおはなし会の準備はとても楽しい時間です。絵本や作家、手遊び等の情報交換を通して私の知らなかった世界の扉を開いてもらえる学びの仲間と場所です。

天野:入ったばかりの時は、絵を描くことが苦手だったが、メンバーにたくさん褒めてもらい、自分でも成長を感じるようになってきました。自分の子もたくさん褒めてあげればよかったなと思う時もあります。人はいつまでも成長できると感じました。

加藤:30年前引っ込み思案であった自分が、今は、たくさんの人の前で楽しんで読むことができるようになった。メンバーのスキルも非常に高く、刺激をもらっています。

前場:おはなし会で学んだことはたくさんあります。例えば、おはなし会のメンバーで、選書やプログラムを考えるときには、より良いおはなし会にするため、異なった意見もしっかり伝え合っています。一つの目標をもって、何でも言い合えるメンバーからは、たくさんのことを学んでいます。

とにかく入って 飛び込んで

これから図書館等でボランティアを始めたいなと思っている人へのメッセージをお願いします。

前場:自分がやりたいと思っていることができる団体であるのか、どのくらいボランティアに関われるのかなど、会員の話を聞き、実際に活動している様子を見ることは重要だと思います。

全員:とにかく入ってみるといいと思います。興味があるなと思ったら、思い切って飛び込んでみてください。

インタビューを通して、「おはなしばる~ん」の皆さんが心から活動を楽しんでいることがよくわかりました。新しい絵本やおはなし会に参加した子と親の笑顔に出会えることはもちろん、おはなし会のメンバーに出会えたことやお互いに学びあえることにやりがいを感じているとのお話がありました。
インタビュー中にも、メンバーの皆さんがお互いを尊敬し合いながら活動を振り返る様子があり、30年以上活動を続けられている理由がそこにあるのだと感じました。
貴重な時間をいただきありがとうございました。

2023/08/25

プロフィール

おはなしばる~ん

1989年(平成元年)伊勢原市立図書館のよびかけにより、子どもたちに“おはなしを届けたい”仲間が集まり発足。伊勢原市立図書館を中心に病院や地域の学校等でおはなし会を実施し、34年間活動を続けている。
風船がふわふわと飛ぶ様子が、自分たちの作りたいおはなし会のイメージと合致したことから命名。

おはなしばる~んの皆さん