あなたのみらいを見つけに行こう!

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同じ病気の患児の力になりたい!
~レモネードスタンドから始めた少年の思い~

小児がん支援のための啓発などの活動を行っている榮島 四郎さんと、四郎さんの活動をずっと支え続けているお母様に、これまでの小児がん啓発活動への思い等について伺いました。


榮島四郎さんプロフィール写真
 

榮島 四郎 (えいしま しろう) さん


現在中学3年生。3歳で頭蓋内胚細胞腫瘍を発症。複数の病院を受診し、専門医を探して4歳の時に手術を受けた。抗がん剤治療なども経験し、5歳で退院。現在は通院を続けながら元気に学校に通っている。

もっとたくさんの人に小児がんのことを知ってほしいという思いから、小学6年の時に絵本で「ぼくはレモネードやさん」を制作し、出版する。榮島 四郎さんとそのご家族、仲間が「小児がんのことをもっと知ってほしい」「患児や患児家族で繋がりたい」との思いから立ち上げた「一般社団法人 みんなのレモネードの会」(以下、「みんレモ」)は、小児がん啓発活動、患児やその家族の交流会などを行っている。

榮島さんはなぜ小児がん啓発活動、患児やその家族の交流会などの活動を始められたのでしょうか。

私は小学2年のとき、母に買ってもらった絵本「ちっちゃなアレックスと夢のレモネード屋さん」で「レモネードスタンド」を知りました。

このお話は、小児がんを患った米国の少女がレモネードを売り、病気の子どものために募金を集めるお話です。これを読んでから、自分でもレモネードスタンドを開いて、集めたお金を同じ病気の患者支援のための募金に充てたいと思い、母に相談して始めました。「小児がんのことをもっと知ってほしい」、「患児や患児家族で繋がりたい」という思いからこの活動を続けています。

講演を行う榮島さんの写真

今までのどのような活動してきたのでしょうか?

小児がん啓発のため、地域のイベントでレモネードスタンドを出店して販売したり、私が制作した絵本(「ぼくはレモネードやさん」)の朗読会や講演活動を行ったりしました。

【仲間との交流の場】

レモネードスタンドを通じて、小児がんの仲間が増えてきました。同じ病気の仲間と交流する中で、「困りごとを相談できる場がほしい」、「共通の趣味の仲間で集まりたい」という要望があり、様々な交流イベント「みんレモオンライン自習室」、「みんレモオンライン交流会」を行ってきました。活動は義務的ではなく、仲間と繋がることができ、集まることが楽しいから続けてこられています。

「みんレモオンライン自習室」は週1回開催していますが、「とりあえず集まって勉強しよう!」とそれぞれ自分が勉強したいものを持って参加する自由な形態です。小児がんの患児は学ぶことや、集中力に困難を抱えやすいので楽しく集って学習する場を提供したいと考えています。

「みんレモオンライン交流会」は月1回開催していて、仲間やご家族のやりたいこと・要望を「部活動」という形にしてオンラインで活動しています。現在「読書部」、「UNO部」、「ミュージカルで遊ぼう部」、保護者の方が対象の「おしゃべり部」などがあります。コロナ禍でオンラインでの交流イベントが増え、実際に会ったことがない仲間がたくさん増えました。みんレモの活動に参加してくれる仲間は、様々な事情により物理的に距離があることが多いので、繋がるにはオンライン化が必要であったと感じています。

オンラインイベントで出会った仲間とは、一度も会ったことのないことが多いですが、幼馴染みのような感覚で接しています。

朗読会を行う榮島さんの写真

【みんレモサンタの活動】

2017年から継続している「みんレモサンタ」という活動は、当会のイベントや交流会などに参加する仲間が、お世話になった病院や施設の子どもたちにクリスマスプレゼントを自ら届けるというものです。小児病棟で過ごす子どもたち、楽しい笑顔の時間をたくさん過ごせますようにという願いが込められた活動です。

この活動はご寄付いただいた方々のおかげもあり、年々活動の規模は拡大していて、参加した仲間からは「自分以外の誰かを想い、準備し、届ける活動を通して、自己肯定感が高まり、自信をつけることができた」、「この活動に参加する仲間と繋がることで、暗くなりがちな療養期間を、明るく前向きなものに感じられた」という喜びの声を聞くことができました。

将来の夢を教えてください。

「みんなのレモネードの会」として近々実現したいと思っている夢は、「小児がん患児のピアノコンサート」です。小児がんを経験した子どもたちはリハビリのためにピアノを習っている人が多いので、その練習の成果を披露する場としてもぜひ企画したいと思っています。

将来的には「レモンの家」を作って、同じ病気の仲間が気軽に立ち寄れたり、地元の人と交流ができたりするような居場所にしたいです。また、小児がん患者は病気と一生付き合わなくてはいけないため、就労の面でも課題を抱えることが多いので、「レモンの家」を就労施設としても活用できたらよいと思っています。

私自身の夢としては、読書が大好きなので、図書館の司書になって、色々な本を紹介したいです。
また、高校受験が終わったら、「ぼくはレモネードやさん」の第2弾を制作したいと思っています。

講演を行う榮島さんの写真2

小児がんの子どもとその家族の居場所を作りたい~そばで支えるご家族の思い~(榮島 四郎さんのお母様より)

みんレモの活動を継続する中で、当会の規模が拡大してきたため、母親として子ども(榮島 四郎さん)への負担が大きくなってはいけないという理由から2020年に当会の活動を法人化しました。私は小児がんの子どもとその家族の居場所を作りたいという思いからこの活動をバックアップしています。

病気を経験した子どもは元の体力に戻らないことが多いです。そのため、り患する前とは日常生活の過ごし方も大きく変わってしまい、居心地の悪さを感じたり、病気を経験したことのある人にしか分からない悩みを抱える子が多くいます。当会は小児がんを経験した子どもたちに「あなたはあなたのままでいいよ」と受け入れられる居場所を作りたいと思っています。

みんレモの活動を通して繋がった仲間は、みんレモの活動以外でも、家族ぐるみで交流を深めている方もいらっしゃいます。小児がんに関わらず、病気を経験した人にしか分からない悩みがあると思います。その悩みを相談できたり、共有できたりする仲間がいることは、大きな心の支えになると思っています。

みんレモの活動が拡大する中で、小さな子どもから大学生まで幅広い世代が参加してくれるようになりました。
今後はみんレモの仲間が、新しい仲間をサポートするような繋がりができたらよいと思っています。

UNO部で交流する榮島さんの写真

心の支えとなる「居場所」を見つけて自分らしい人生を楽しんでください
~榮島 四郎さんからの応援メッセージ~

私は小児慢性特定疾病医療費助成制度について病気に罹るまで知りませんでした。治療費は高額なものも多く自費で全て支払うのは難しいため、この制度には本当に助けられています。

小児慢性特定疾病にり患した方は病気と一生の付き合いになると思います。しかし、気の合う仲間同士で繋がり、必要な情報を共有したり、助け合ったりすることはとても大事なことだと思います。

その繋がりが、一生の友ができるきっかけになるかもしれません。

夢中になれるような「居場所」があると、心が救われたり、辛いことを乗り越えられたりすると思います。
無理に元気を出そうとしなくてもいいと思います。自分の心や体と相談しながら、自分が居心地よく過ごせる、心の支えとなる「居場所」を見つけて、自分らしく人生を楽しみましょう。

みんレモサンタに参加する榮島さんの写真
みんなのレモネードの会のロゴ(別ウィンドウが開きます)

一般社団法人 みんなのレモネードの会

小児がんの啓発活動、小児がん患児・きょうだい児・患児家族の支援に関する活動を行っている団体です。

公式ウェブサイト:https://www.minnanolemonade.com/

公開:2022年8月
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