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認定NPO法人多文化共生境域ネットワーク

2026年 6月 1日

ネットワーク活かし、困難を抱える若者支える

2026年 6月 1日

 かながわボランタリー活動推進基金21協働事業の一つとして行われている「困難を抱える10代の子ども・若者への相談支援事業」。十分な食事が取れていない、進学費用を用意できないなど、様々な課題に直面する若者に対する相談支援を、社会に出る前のセーフティネットとして、県立高校との連携においてアウトリーチ相談を行うことや地域の社会資源につなげるために地域の支援団体のネットワークを構築することにより、適正な支援を行う体制を構築することを目的としています。約30年におよぶ活動実績を持つNPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ(以下、ME-net)が中心となり、神奈川県生活援護課、県教委高校教育課、県教委学校支援課と協働で実施しています。
 この事業のポイントは、困難を抱える若者が通う学校とNPOをはじめとした外部の支援団体をつなぐことで、若者に必要とされる適切な支援を提供することにあります。そのコーディネートをME-netが担っています。

県と民間団体が協働し課題解決へ

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かながわ県民センターで行われた総合支援・相談会の様子。2026年度も11月と2月に開催を予定する

 困難を抱える若者たちを早期に把握するとともに、個々の事情に寄り添い、様々な社会資源の中から適切な地域の資源につなげていくことが課題にありました。その現状を改善していくため神奈川県は、ノウハウを持つ民間団体と協働して若者と地域の社会資源をつなげようと、2024年度から県立高校を対象に3カ年の計画で同事業を開始しました。初年度は7校、2年目(2025年度)は8校、3年目となる2026年度は10校を対象としています。対象校のほかにも、個別案件ごとにスポット支援を実施する県立高校が15校程度あるといいます。
 具体的な取組としては、学校からの依頼に応じた情報提供や助言、また生徒・保護者の了解のもと、ME-netのスタッフによる直接面談を行っています。そこで状況を把握し、同団体が持つ幅広いネットワークを活かして、より専門的な支援につなぐことができます。また、相談員が月1回程度に学校を訪問するなどして、支援が必要な生徒の情報を共有するアウトリーチ活動もあります。2025年度は約200回実施したそうです。
 ME-netによると、相談としては生活困窮に関係する内容が多いのが現状です。例えば、保護者の経済的理由から学費を支払うことが難しい、交通費が出せない、朝食もままならない。また、大学に進学したくても合格時に支払う入学金が用意できないというケースもあったそうです。「学校を辞めたい」という相談や、在留資格(ビザ)更新に関する内容もあったといいます。

現場を知るメンバーがつなぐ

 窓口になっているME-netのスタッフは6人。県立高校の元教諭と福祉を専門とする大学教員、多文化共生コーディネーターで構成されています。教育現場および教育行政に精通していて、また30年にわたる外国につながる子どもたちへの高校進学支援などを通して、数多くの支援団体とのネットワークを持っています。日頃から相談会や学習支援など子どもたちと関わる事業を行っており、そのノウハウが困難を抱える生徒(所属する学校)と支援団体をつなぐ「ハブ」の機能を果たしていると言えます。

生活課題の解決を支援する

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相談支援事業に取り組むMe-netの事務局長、高橋さん。学校と外部の支援団体とのネットワークの重要性を訴えます

 元教諭でME-netの事務局長を務める高橋清樹さんは、今回の相談支援事業を通して、教員やスクールソーシャルワーカー(以下、SSW)が地域の支援団体とのつながりをより一層、深めることに期待します。
 SSWは、2023年度に全ての県立高校に配置された福祉の専門職。困難を抱える生徒の相談には、学校の教職員が担う教育相談コーディネーターや対象生徒の担任、学校の管理職らとともにSSW等が対応しています。
 そこで高橋さんは、今回の相談支援事業の仕組みが活用されることでSSWと外部の支援団体とのつながりが深まり、相談実績を積み重ねることで外部とのネットワークがさらに広がることを見据えます。そして、より一層SSWが中心となって地域の支援団体とともに地域に根差した相談支援を行えるよう、エンパワーメントしていきたいといいます。「学校現場での支援体制は整ってきましたが、それを機能させるには外部とのつながりが必要だと考えており、学校が自立して相談を行えるようになることが目標です。」


若者・家族・支援者向けに相談会も

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総合支援・相談会では衣類や食料品の無償提供も行われました


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 同相談支援事業の一環として「若者の自立に向けた総合支援・相談会」が2025年度の11月と2月に横浜駅西口のかながわ県民センターで行われました。11月には28人の若者が参加しました。自立を考えている若者と家族、支援者を対象とするもので、進路などを含む「なんでも相談」や、住まい、法律、就労、外国人の生活や在留の相談などに応じました。会場では衣類や食料品の無料提供も。2026年度も11月と2月に同所での相談会の開催を予定しています。


高校進学ガイダンスをきっかけに支援30年

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Me-netが活動開始依頼取り組んでいる高校進学ガイダンスの様子

 今回紹介した相談支援事業の中核を担うME-net。その活動の原点は1995年に実施した「第1回高校進学ガイダンス」でした。高校進学を希望する外国につながる子どもたちを支援しようと、教職員有志が力を合わせて開催したものです。1998年からは県教育委員会の後援事業となり、それを機に「多文化共生教育ネットワーク(ME-net)」として活動を開始しました。 現在、認定NPO法人となっています。
 2003年に「かながわ外国人教育相談」事業を立ち上げ、2007年に県内公立高校への「多文化教育コーディネーター」の派遣をスタート。行政機関と県内NPOなど9団体によるネットワーク会議を開催するなど、行政や関係団体と協力して多文化共生社会を目指し、事業を展開しています。そのほか、神奈川県教育委員会と協働による公立高校入学のための10言語対応のガイドブックの作成も行っています。このガイドブックは、毎年、県内の公立中学校や公共施設などに計6500部を配布しています。
 これらの活動が多方面から評価され、横浜弁護士会(現、神奈川県弁護士会)の「人権賞」や、日本とアジア・オセアニアの若い世代を中心とした相互理解などへの貢献を顕彰する(公財)かめのり財団「かめのり賞」などを受賞しています。

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