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藤沢市老人クラブ連合会 友愛部会

2026年 2月 19日

高齢者の孤立を地域力で防ぐ、つながりと支え合いの友愛活動

2026年 2月 19日

 超高齢社会が進む中、各地で高齢者を地域で支える取り組みが活発化しています。藤沢市でその取り組みを盛んに行っているのが、市内15地区で活動する93の老人クラブからなる藤沢市老人クラブ連合会(通称:ゆめクラブ藤沢)です。老人クラブは、仲間づくりを通して生きがいの創出や健康維持、社会参加を図ることを目的とした自主組織です。おおむね60歳以上が対象で、藤沢市では約3750人が加入しています。
 趣味・サークル活動、地区行事への参加、地域清掃など、様々行っている活動の一つが、高齢者同士の支え合いを象徴する「友愛活動」です。会員を含めた6人以上で「友愛チーム」を結成し、地域内にいる見守りを必要とする寝たきりの高齢者や一人暮らしをしている高齢者の自宅、高齢者福祉施設等を訪問し、話し相手になっています。神奈川県内の老人クラブには、現在約2400の友愛チームがあり、そのうち藤沢市内で活動しているのは80チーム。活動頻度や訪問以外の取り組みはチームごとに異なります。

友愛活動の柱とされているのは、
① 同じ高齢者の仲間の生活や心の支えとなること
② 友愛チーム活動が安全・安心・ぬくもりの地域社会づくりとなっていくこと
③ 活動チーム員の健康と生きがいにつながっていくこと

気軽にやりとりできる良き話し相手に

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友愛部会の山元貞夫部会長

 市内のチームを統括する、ゆめクラブ藤沢「友愛部会」で部会長を務める山元貞夫さんは、市内北部の長後地区の老人クラブに所属し、長年友愛活動を行っています。「気軽にやりとりできることが活動の基本なので、相手の年齢を尋ねることもなければ、自分の年齢を言うこともありません」と話し、訪問時はまず「元気?」「具合はどうなの?」と、その先の会話につながりやすい言葉をかけるようにしているそうです。


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友愛部会の宇田川ルイ子副部会長

 一方、「会話が広がるような“お土産”を持って伺うように工夫しています」と語るのは南部の片瀬地区で活動している副部会長の宇田川ルイ子さん。“お土産”とは、チームが企画したお誕生会やお楽しみ会などへのお誘いです。
 「訪問相手には、以前老人クラブに入っていて、私自身お世話になった方もいらっしゃいます。行事に誘うと、その方が活動していた時の思い出話が出てきて『あぁだったね、こうだったね』と話が盛り上がるんです」
 先輩たちの話から学ぶこともあるのだとか。


コロナ禍で身に染みた“居場所”の大切さ

 友愛活動は、訪問して良い話し相手となることで、暮らしの中で感じる孤独感を軽減し、安心感を与え、必要があれば支援につなぐことを基本に50年以上続いていますが、ある時から「少し形が変わった」と言います。そのきっかけとなったのが、2020年に始まった新型コロナウイルスの流行です。緊急事態宣言が出され、外出自粛が呼びかけられる中、老人クラブの活動も2年間休止になりました。2022年から少しずつ活動を再開したものの、そこで目にしたのは以前とはまるで顔つきが変わってしまった高齢者の姿。呼びかけにも応じず、自宅にひきこもる高齢者がたくさんいたそうです。宇田川さんは「これはいけないなと危機感を持ちました」と当時を振り返ります。この経験を機に各友愛チームの活動は、補助金などを活用して“居場所づくり”も積極的に行っていく方向に変化していきました。

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自然の中で食事をしながら語らう懇親会

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レクリエーションも楽しむ忘年会

 現在、山元さんの所属するチームで年1、2回開催しているのは、活動地域内にある森で食事をしながらおしゃべりを楽しむ懇親会。テーブルには焼きたての肉や酒類も並びます。手作りの総菜を持ち寄るのを楽しみにしている人も多いそう。
 「森の中だから大きな声で話をしても大丈夫。みんな憂さ晴らしをして元気になって帰っていきますよ」
 毎回会員以外も多数参加して盛り上がる人気の行事です。
 3カ月に1回程度イベントを開催しているという宇田川さんのチームの人気行事は、お誕生会。華やかに飾った会場に該当月生まれの人が集い、食事をしながら祝います。
 「誕生日を祝ってもらえる機会はなかなかないので、お誘いするとすごく喜ばれます。半数以上が出席してくれて、男性の参加者も盛り上げてくれますし、普段出てこないような人も出てきてくれます」
 参加した人たちからの「またやってね」という言葉に宇田川さん自身も励まされ、元気のもとになっているのだそうです。
 市内ではほかにも、カラオケやゲーム、サークルの発表を楽しむ会、忘年会など、チームによって工夫を凝らした様々な行事が盛んに行われています。「過去から積み重ねたみなさんの活動エネルギーがそうさせていると思います」と山元部会長は話します。


「個人情報をどう扱うか」研修会で考え、活動に生かす

 友愛活動を実践する中で、現在大きな課題となっているのが、個の尊重とプライバシーの保護です。訪問するメンバーが事前に把握できる情報は相手の名前と住所程度。状況を把握している民生委員がチームにいる場合でも、守秘義務があるため情報共有はできません。そのため、訪問先では体調を尋ねる程度に留めることが大半ですが、相手が家族の話や身の上話をしながら困りごとや愚痴、寂しさを打ち明けることも。話すことで心が軽くなればと共感しながら耳を傾ける反面、個人情報をどこから得るか、知った情報をどう扱うかは多くのメンバーが迷うところだと言います。


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年2回行っている全体研修会の様子


 そこで友愛部会では、年2回行っている全体研修会の次回のテーマを「個人情報の取り扱い」に決めました。日ごろの活動の中で会員の多くが課題や疑問に感じていることを2カ月に1度の定例会などで出しあい、研修会のテーマにしているそうです。以前は市外、県外の友愛活動を視察していましたがコロナ禍以降、その機会が減少してしまったため、前回は神奈川県老人クラブ連合会の活動推進委員を招いて、他地域の活動事例や県内の状況などの話に耳を傾けました。「友愛活動をする上で、他地域の様子を知ることは必要です」と山元さん。藤沢市のメンバーが他地域へ行って活動事例を話すこともあります。


老人クラブの活動そのものが友愛活動。「今があるのがやりがい」

人口の増加が続いている藤沢市。総人口約44.5万人のうち、65歳以上の高齢者は約11万人、高齢化率は24.7%を超えています(2025年12月現在)。山元さんは「これだけいるんだからもっと老人クラブが元気を出さないといけないという気になります」と話す反面、役員の高齢化と後継者不足を感じています。
 「普段から老人クラブの活動周知は行っていますが、定年が引き上げられたこともあって、新しく入ってくる人の年齢も上がっています。70代と言われたら若くて驚くほど」
 現状は工夫しながらそれぞれに負担をかけずにやっているそうですが、「もう少し裾野が広がれば役割分担は楽になるかな」と本音がこぼれます。
 「友愛チーム」はあるものの、地域の高齢者同士が支え合い、互いに安心感や生きがいにつながっているという点で、「他の取り組みも含めて老人クラブの活動全体が友愛活動といえると思います」と山元さんも宇田川さんも口をそろえます。
 「責任感を持って動けている、今があるのがやりがいです」
 友愛活動が地域の絆を深め、「誰ひとり取り残さない社会づくり」の一翼を担っています。

プロフィール

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団体名

藤沢市老人クラブ連合会(ゆめクラブ藤沢) 友愛部会

活動内容

藤沢市内の老人クラブに所属する約3750人のうち、550人が所属する部会。会員を含めた6人以上で「友愛チーム」を結成し、見守りが必要な地域の高齢者の元を訪問。良き話し相手となって高齢者の孤独感を軽減、生きがいを創出し、地域全体の福祉力向上に寄与している。高齢者の居場所づくりも推進しながら、現在80チームが藤沢市内で活動中。