ヒント
6
育休中の社員への上手なサポート方法を教えてください。
A
「先輩ママ」が「タスクチーム」を作り、保育園選び(保活)から復職後までサポートしている団体があります。
紹介事例(2018年)

社員ファーストで働きやすさを追求
職場の声で「働くことができる制度」を

横浜YMCAの画像
子育て支援タスクチームの設立メンバーの1人、安田さん(左)と田口総主事。「職員のライフスタイルが豊かであることが一番。(子育てに役職は関係なく)施設長が育休になったら誰かが補えばいい。補う人にとっても新たなチャンス」と田口さん。

  女性にとって、産休・育休からの復職後は今まで以上に家庭と仕事の両立が重くのしかかることになります。長期間会社を離れていた女性が安心して働ける環境整備を急ぐ企業も多い中、横浜YMCA(横浜市中区)では職員の声から生まれた社内組織が職員の復職サポートを行っています。

 「子育て支援タスクチーム」と呼ばれる組織のメンバーは、産休・育休を経て復職を果たした「先輩ママ」たち。2012年に3人の職員が私的に立ち上げ、翌年には正式な組織として認定されました。現在は、メンバーの入れ替えを行いながら常時8人ほどが所属。健康教育事業や高齢者事業と部署が違えば働き方も異なるため、各部門から1人程度が名を連ねます。

 休職中の職員を招く交流会では、保育園選び、いわゆる「保活」や復職後の働き方について経験談を交えたアドバイスを行い、家庭と仕事の両立に向けた具体的なイメージを伝えています。子育ての段階に応じて知りたい情報や男性職員の育児奮闘記、組織の近況報告などを掲載したニュースレターも隔月で発行し、休職によって孤立しがちな女性職員とのコミュニケーションを図っているといいます。

 設立当初からチームに携わる安田みゆきさんは、管理職(施設長)に登用された翌年に出産を経験しました。当時は産休・育休を経て復帰するロールモデルが少なかったことから、休職には不安を感じたといいます。「同じ境遇の職員が職場内にもいると知ることで、自分だけが辛い悩みを抱えているわけではないんだという仲間意識を感じてほしかった」と、チームの結成を思い立ったそうです。

 導入以降、産休・育休を取得する職員数も増えつつあるといいます。横浜YMCA総主事の田口努さんは、「子育てという共通項を持つ職員同士が、自らの発想で産休・育休中の女性職員をスムーズな復職に導く子育て支援タスクチームは、女性が多く働く横浜YMCAにとって欠かせない存在です」と話します。

次世代に向けたサポートの好循環

 サポートを受けた職員が、今度はチームの一員として経験を伝えるという好循環も生まれているといいます。制度や手続きを事務的に伝えるだけではなく、同じ悩みを抱え、乗り越えた女性が手を差し伸べ合える風土の醸成こそが、企業のダイバーシティーに向けた第一歩なのかもしれません。

田口 努の画像

田口 努 総主事

COMPANY DATA

設立:1884年 業種:社会教育団体
従業員:598人 所在地:横浜市中区
URL:https://www.yokohamaymca.org/

出産や子育てに対する理解を深めることは、介護と仕事の兼ね合いや外国人労働者の受け入れなど、多様な働き方を理解する素地にもなります。