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更新日:2020年12月23日

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神奈川県議会 令和2年第3回定例会で可決された意見書・決議

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軽油引取税の免税措置の継続・恒久化を求める意見書

 砕石は、近年多発する災害からの復旧・復興や、インフラなどの社会基盤整備に必要不可欠な基礎資材であり、砕石業は、安全・安心な社会基盤を維持する観点からも重要である。
 こうした砕石業に係る軽油引取税は、平成21年度の税制改正において、同税が道路特定財源から一般財源化された後も、政策的観点から課税が免除されてきたが、当該措置は令和3年3月31日をもってその期限を迎える。
 一方、砕石の生産量は、コンクリート用、道路用の需要減少で低迷し、加えて製品価格の頭打ちで経営環境は厳しさを増し、砕石業者は、重機価格、燃料単価及び火薬単価等の上昇分の価格転嫁が難しいことから経営が圧迫され、砕石の安定供給に支障を来すおそれがある。
 軽油引取税の課税免除措置は、このような砕石業をはじめ、県内の地域産業の経営安定に貢献してきたところであり、課税免除措置が終了することとなれば、地域の産業に計り知れない影響を与えることが懸念される。
 よって国会及び政府は、地域産業の活力を維持する観点から、課税免除措置を継続されるとともに、その恒久化についても検討されるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和2年10月13日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 } 殿
総務大臣
財務大臣
経済産業大臣

神奈川県議会議長

新型コロナウイルス感染症拡大により危機的な状況にある医療機関への支援強化を求める意見書

 ダイヤモンド・プリンセス号における新型コロナウイルス感染症への対応をはじめ、早期から新型コロナウイルス感染症拡大防止対策について、最前線で対応を迫られてきた本県の医療機関は、大変厳しい経営状況に陥っている。
 本年6月に成立した令和2年度第2次補正予算では、新型コロナウイルス感染症に対応する医療従事者への慰労金交付や、医療機関での感染防止策に要する費用を補助する措置が盛り込まれたほか、地方創生臨時交付金の増額が決定され、各自治体が地域の実情に応じて、より柔軟に新型コロナウイルス感染症対策を講じることが可能となっている。
 本県においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大初期から受入れ病床を確保した医療機関への協力金、中小企業制度融資の対象とならない医療機関を対象とした融資制度の創設、オンライン診療等の環境整備費補助などへの活用を図るなど、医療機関の支援のため予算措置を講じている。
 しかしながら、新型コロナウイルス感染症収束の兆しが見えない現状を踏まえると、医療機関に対し、新型コロナウイルス感染症患者への医療体制整備の万全な支援はもちろん、新型コロナウイルス感染を危惧する患者が安心して受診できるよう、感染防止対策強化への更なる支援が必要である。また、経営の安定化及び健全化に向けた経済的支援についても重要である。
 よって政府は、新型コロナウイルス感染症患者の治療や地域医療に重要な役割を担う医療機関への支援を更に強化し、安全・安心な医療サービスを提供できるよう、必要な措置を講じられるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和2年10月13日

内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣     } 殿
厚生労働大臣
経済再生担当大臣

神奈川県議会議長

新型コロナウイルス感染症に係るケアラー(家族介護者等)と要介護者等への緊急支援対策を求める意見書

 ケアラーとは、「こころやからだに不調のある人の介護、看病、療育、世話、気づかいなど、ケアの必要な家族や近親者、友人、知人などを無償でケアする人」を指している。
 こうしたケアラーによって維持されてきた介護は、要介護高齢者の増加や介護期間の長期化など介護に対するニーズの増大に加え、核家族化の進展等の家族の在り方の変化により、困難な状況となっている。
 介護に伴う課題は様々あり、総務省統計局「平成29年就業構造基本調査」によると、平成29年の離職者のうち、年間およそ10万人が介護のために離職しており、介護のためやむを得ず離職した結果として、無業者の年齢層は若年層から中高年層まで幅広く存在する状況となっている。
 さらに、厚生労働省「令和2年6月分介護保険事業状況報告(暫定)」によると、全国の要介護者等およそ670万人のうちおよそ7割は在宅で介護されているが、家族や18歳未満のヤングケアラーによる介護が相当数あり、経済的問題や介護知識の不足、より良いケアを求められるなどの過度な負担からケアラーが心身の健康を損ない、精神的に追い詰められ、社会的に孤立することが危惧される。
 よって国会及び政府は、ケアラーの現状及び新型コロナウイルス感染症収束の兆しが見えない現状等を踏まえて、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 ケアラー自身が新型コロナウイルス感染症に感染、隔離された場合に、要介護者等のケアの継続に関する措置を講じること。
2 在宅介護者においても医療、衛生資材等の入手を容易にする措置を講じること。
3 ケアラーのための情報の充実や普及に向けて、必要な措置を講じること。
4 社会からの孤立が懸念されるヤングケアラーは、経済面や介護手法等に不安が多くあることから、特別な配慮と措置を講じること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和2年10月13日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣     } 殿
財務大臣
厚生労働大臣
経済再生担当大臣

神奈川県議会議長

小規模事業者に対する支援及び支援体制の抜本的な強化を求める意見書

 本県では、県内の事業所数の約99%を中小企業が占め、ものづくりや商品・サービスの提供などを通じ、地域の活性化や雇用の確保に大きく貢献し、県民生活の向上と地域経済の発展に大変重要な役割を果たしている。
 県内の約18.8万社の中小企業のうち、約15.9万社に及ぶ小規模事業者は、特に少子高齢化の進展や海外との競争の激化などの影響を大きく受け、雇用の確保、業務全般のIT化、働き方改革の推進、事業承継など取り組むべき経営課題が山積している。
 また、新型コロナウイルス感染症拡大及びその影響の長期化により、「新しい生活様式」に対応した感染防止策を講じながら経済活動を行うことが求められているが、経営体力の弱い小規模事業者は、売上の減少などにより、事業継続が危ぶまれる状況にある。
 一方、このような社会情勢の変化に対応し、課題の解決を図るためには、小規模事業者の自助努力も必要であるが、地域に密着し、企業の経営環境を熟知する商工会、商工会議所をはじめとした経済団体が小規模事業者によりきめ細やかな支援を行うことが極めて重要である。
 しかしながら、経済団体においては、年々業務量が増加する一方、経済的事情等により、職員の増員を図れずに人員が不足する傾向にあり、小規模事業者への迅速かつ円滑な支援に支障が出ることが懸念される。
 よって政府は、小規模事業者の持続的な成長に向け、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 小規模事業者の生産性向上を後押しするため、経営課題の解決を促進する施策の創設、拡充を図ること。
2 新型コロナウイルス感染症拡大及びその影響の長期化を踏まえ、小規模事業者による「新しい生活様式」に対応した感染防止策や、事業継続を支援する施策の創設、拡充を図ること。
3 経済団体の人員を増員するなどの財政的支援施策等を講じ、小規模事業者への支援体制を抜本的に強化すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和2年10月13日

内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣   } 殿
経済産業大臣
経済再生担当大臣

神奈川県議会議長

市町村における教員等追加配置等の措置を来年度も継続することを求める意見書

 新型コロナウイルス感染症の拡大による臨時休業の長期化や段階的な学校再開を見据え、子供たちを誰一人取り残すことなく最大限に学びを保障する観点などから、令和2年度文部科学省第2次補正予算により、神奈川県内市町村立学校では、教員、学習指導員、スクールサポートスタッフの追加配置等が行われた。
 追加配置等された教員等は、各学校現場において、ティーム・ティーチングや学習相談、学校施設の消毒作業などに尽力し、児童・生徒の学習の遅れを取り戻すために大きな役割を果たしており、その働きぶりは大いに評価されている。
 しかし、この教員等の追加配置等の措置は、小学校6年生、中学校3年生の支援を主目的にした国の補正予算による今年度末までの措置であり、半年余りの任期では、児童・生徒に対する教育的な効果は中途半端なものとならざるを得ない。
 また、児童・生徒の側から見ても、せっかく慣れ親しんだ教員等が半年程で学校からいなくなるというのは、新型コロナウイルス感染症で精神的に疲弊している中で、更に心の不安を増幅させかねないものである。
 これからも教育現場の様々な局面で、新型コロナウイルス感染症対策による種々の制約が生じることは容易に予想されるところであり、教員等の追加配置等の措置について、来年度も継続して実施してほしいという声が既に教育現場、自治体からあがっている。
 よって政府は、こうした教育現場の切実な声に応え、来年度当初予算においても同様の予算措置を講じられるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和2年10月13日

内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣     } 殿
文部科学大臣
教育再生担当大臣

神奈川県議会議長

少人数学級の更なる拡充を求める意見書

 次代の我が国を担う子どもたちの多様な資質・能力を最大限育成するためには、基礎的な知識・技能を活用し、自ら考え、判断し、表現する力を育むなどの学力の重要な3つの要素を育成する新学習指導要領の着実な実施を図る必要がある。
 こうした中、長期間にわたり社会全体が新型コロナウイルスと共存していかなければならないことを前提として、生徒の安全・安心の確保と学びの保障を両立させるためには、新型コロナウイルス感染症対策の徹底と、すべての子どもたちの学びを保障する指導体制を整備することが喫緊の課題である。
 そうしたことから、義務教育段階にある子どもたちに対して、身体的距離の確保をしっかりと行うとともに、子どもたち一人ひとりの特性に応じた、きめ細かな対応をできるのが少人数学級である。豊かな心を育む教育の充実と、不登校、いじめ・暴力行為への対応への強化につながるとともに、共生社会の実現に向けて、すべての子どもができるだけ共に学び、共に育つインクルーシブ教育を推進し、本県のかながわ教育ビジョンの基本理念として掲げる「未来を拓く・創る・生きる 人間力あふれる かながわの人づくり」を進めていく上で、少人数学級の更なる拡充が必要である。
 令和元年度神奈川県学校基本統計によれば、本県では小学校において13.7%、中学校においては53.0%が、児童・生徒数35人を超える大規模な学級となっている。そこで、義務教育段階において個別最適な学びを実現するとともに、コロナ禍にあってもすべての子どもたちの学びを保障するため、学級規模を35人以下にする取組を段階的かつ計画的に進めていくことが求められる。35人以下学級を推進する取組は、基礎・基本の習得のみならず、子どもたちがお互いに切磋琢磨しながら、一人ひとりの力を最大限引き出す環境整備として、大いに期待できるものである。
 しかし、現行、小学校2年生までの35人以下学級を更に拡充していくためには、所要の教職員数や教室数の確保が必要となり、各都道府県において多額の財政負担を生じさせることが予想される。こうした課題を解決するためには、義務教育の機会の均等とその確保について責務を負う国において所要の措置を講じるべきであると考える。
 よって政府は、学級編制基準の見直しと教職員定数の改善を図るとともに、教職員の増配置や学校施設の改修等に必要な財政措置を講じることにより、地方公共団体が所要の教職員及び教室の確保に見通しを持って計画的に取り組むことができるような方策を示されるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和2年10月13日

内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣     } 殿
文部科学大臣
教育再生担当大臣

神奈川県議会議長

地方自治体のデジタル化の着実な推進を求める意見書

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、これまで取り組んできたデジタル化の推進について様々な課題が浮き彫りになった。こうした事態を受け、国は7月17日に閣議決定した「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」において、我が国をデジタル技術により強靱化させ、我が国経済を再起動するとの考えの下、本格的かつ抜本的な社会全体のデジタル化を進めるとの姿勢を示した。9月16日に発足した菅内閣は、「デジタル庁」の創設も打ち出しているところである。
 また、政府の第32次地方制度調査会において、地方行政のデジタル化の推進などを盛り込んだ地方行政体制のあり方等に関する答申が提出された。その中で社会全体のデジタル化を徹底することで、東京一極集中による人口の過度の偏在の緩和や、大規模な自然災害や感染症のリスクの低減も期待できるとして、国の果たすべき役割について明記されている。
 よって国会及び政府は、地方自治体のデジタル化の着実な推進を図るため、次の事項を実施するよう強く要望する。
1 法令やガイドライン等により書面押印、対面が義務付けられているものについて、可能な限り簡易にオンラインで実現できる仕組みを構築すること。
2 デジタル社会実現のため、安全・安心で利便性の高いデジタル社会の基盤であるマイナンバーカードの普及とその利便性の向上と利活用の促進を図ること。また、マイナンバーカードの更新手続については、オンライン申請を実現すること。
3 情報システムの標準化・共通化、クラウド活用を促進すること。また、法定受託事務についても、業務プロセスの標準化を図り、自治体がクラウドサービスを利用できる仕組みを検討すること。
4 令和3年度から全国の自治体で更新が予定されている自治体情報セキュリティクラウドについて導入時と同様の財政措置を講じること。
5 今後の制度改正に伴うシステム改修を行う際には、地方の事務処理の実態を正確に把握するとともに、地方公共団体の負担とならないよう十分な人的支援及び財政措置を講じること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和2年10月13日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣       } 殿
財務大臣
行政改革担当大臣
デジタル改革担当大臣

神奈川県議会議長

新型コロナウイルス感染症対策に係る地方財政措置拡充に関する意見書

 国では、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金及び新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金を創設し、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策や、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活の支援などに活用されてきた。
 しかし、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金については、去る11月5日に発表された全国知事会の「活用状況調査」によると、本年10月1日の時点で全国47都道府県の活用見込額総額は、1兆8,438億円であるのに対し、国の交付限度額が1兆2,304億円にとどまっており、47都道府県における新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の不足額が6,134億円に上ることが明らかになっている。
 本県でも、この新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金については、今定例会に提案された11月補正予算に29億900万円を活用したのを含めて、既に682億円を予算化しているが、現時点での不足額が231億円に上る。
 全国知事会からは、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金については、こうした交付限度額不足の問題に加え、基金への積立て要件や実施計画の変更などについて、柔軟で弾力的な運用を図るべきとの指摘もあった。
 他方、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金についても、感染症の拡大による今後の不足額が見込まれるとともに、地域における医療体制整備や医療機関等への経営支援に都道府県の判断で柔軟に幅広く活用できるよう見直しを行うべきとの指摘もある。
 新型コロナウイルス感染症に関する国の支援の柱となる二つの交付金にこうした課題があることは、現下の新型コロナウイルス感染症対策の推進に支障を及ぼすだけでなく、各自治体の将来負担増にも結び付く深刻な事態であり、一刻も早い改善が求められる。
 よって政府は、今後の都道府県における新型コロナウイルス感染症対策に万全を期すため、次の対応を早急に進めるよう強く要望する。
1 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金及び新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の増額を図るとともに、柔軟で弾力的な運用を図ること。
2 令和3年度以降においても、新型コロナウイルス感染症が収束するまでの間は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金及び新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金など地方団体が必要となる財源について積極的に措置すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和2年12月17日

内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣      }殿
厚生労働大臣
経済再生担当大臣

神奈川県議会議長

税関における人員確保等を求める意見書

 税関は、我が国と諸外国との水際にあって、適正かつ公平な関税等の徴収、貿易の円滑化に取り組みながら、国際物流の発展に貢献するとともに、覚醒剤をはじめとする不正薬物や拳銃などの、訪日外国人等による密輸入を阻止するなど、幅広い業務を担っており、安全・安心な県民生活の実現に大きな役割を果たしている。
 平成29年3月28日に閣議決定された「観光立国推進基本計画」の中で、訪日外国人数の目標値は2030年に6,000万人と設定されており、新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に訪日外国人数は減ったものの、今後の感染症の収束状況により、再び増加が見込まれる。特に、横浜港等多数の港を抱える本県でも、大型クルーズ客船の寄港増加等による税関の業務が激増すると予想される。
 訪日外国人の増加に伴い、税関での不正薬物の押収量は、昨年まで4年連続で1トンを超え、本年はコロナ禍で旅客数が減ったにもかかわらず、上半期で既に0.5トンを超えている。
 このような状況を踏まえ、国において、不正薬物対策の強化はもとより、国民生活の安全・安心を脅かすテロ関連物資や、金地金の密輸入等に対しても、必要な法整備や検査機器の導入を進めているが、今後の観光立国推進等を見据えた場合、税関に必要な人員確保がなされなければ、不正薬物等の水際での取締りが困難になり、県民生活に多大な悪影響を及ぼすことは明らかである。
 よって政府は、税関における業務の充実を図るため、必要な人員配置等の措置を講じられることを強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和2年12月17日

内閣総理大臣
総務大臣   }殿
財務大臣

神奈川県議会議長

犯罪被害者等支援の充実を求める意見書

 平成16年に犯罪被害者等基本法が成立し、犯罪被害者等は「個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利」の主体であることが宣言され、立法後、犯罪被害者等支援施策は一定の前進を果たした。
 しかしながら、被害者となった直後から公費によって弁護士の支援を受ける制度や、加害者に代わる国による損害の補償制度といった財政支援を必要とする施策はいまだに実現されておらず、犯罪被害者等支援条例の制定や、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの支援体制についても、地域によって大きな格差があるなど、立法後、犯罪被害者等の多種多様なニーズに応えられるだけの支援体制の整備は、十分になされていないのが現状である。
 犯罪被害者等の権利について、国は、支援施策の充実を今後とも継続的に進めていく責務を負っている。
 よって国会及び政府は、犯罪被害者等支援の充実を図るため、次の事項を実施されるよう強く要望する。
1 犯罪被害者等が民事訴訟等を通じて迅速かつ確実に損害の賠償を受けられるよう、損害回復の実効性を確保するための必要な措置を講じること。
2 新たに、犯罪被害者等に対する補償法を制定して、犯罪被害者等に対する経済的支援を充実させるとともに、手続的な負担を軽減する施策を講じること。
3 犯罪被害者等のだれもが、事件発生直後から弁護士による法的支援を受けられるよう、公費による被害者支援弁護士制度を創設すること。
4 性犯罪・性暴力被害者のための病院拠点型ワンストップ支援センターを、すべての都道府県に最低1箇所は設立できるよう、人的・財政的支援を行うこと。
5 地域の状況に応じた犯罪被害者等支援施策を実施するため、すべての地方公共団体において、犯罪被害者等支援条例が制定できるよう支援すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和2年12月17日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣   }殿
法務大臣
財務大臣
厚生労働大臣

神奈川県議会議長

預託法等の改正及び執行強化を求める意見書

 近年、各種技術の進歩を踏まえた様々な製品・サービスの普及等の一方で、新製品・サービスの内容等を、十分に理解できていない消費者のぜい弱性につけ込む巧妙な悪質商法による被害が増加している。
 こうした状況を踏まえ、本年8月19日に消費者庁の「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」(以下「検討委員会」という。)において、今後の対応に関する報告書が取りまとめられた。
 特に、過去に大規模な消費者被害をもたらした悪質な販売預託商法については、「販売を伴う預託等取引契約については、本質的に反社会的な性質を有し、行為それ自体が無価値(反価値、“Unwert”)であると捉えるのが相当」であることから、特定商品等の預託等取引契約に関する法律(以下「預託法」という。)において、原則禁止とされた。
 消費者取引の分野では、定期購入であることを容易に認識できないような形で契約を行うものや、解約はいつでも可能としながらも相手方との連絡が取れないなどの、いわゆる詐欺的な定期購入商法に関する相談が増加しており、深刻な事態となっている。
 また、新型コロナウイルス感染症拡大による消費者の不安につけ込む、いわゆる送り付け商法についても、社会問題となっている。
 検討委員会の報告書では、消費者のぜい弱性につけ込む悪質商法の手口の巧妙化・複雑化には、断固とした対応が必要として、法執行の強化や実効性ある制度改革が提言された。これを踏まえた実効的な法制度の整備が必要である。
 よって国会及び政府は、消費者被害をなくすために、次の事項を実施するよう強く要望する。
1 検討委員会報告書を踏まえ、来年の通常国会を目途に、販売預託商法を原則禁止とする預託法の改正に向けた検討を早急に進めること。
2 いわゆる詐欺的な定期購入商法をなくすため、来年の通常国会を目途に、特定商取引に関する法律に係る指針の改正及び法執行強化を図ること。
3 いわゆる送り付け商法については、現在の法規制の内容の周知を図ることに加え、諸外国の法制も参考に制度の改正を検討すること。
4 国及び地方自治体が厳正かつ適切な法執行を行えるよう、執行体制や連携の強化を図ること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和2年12月17日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣        }殿
法務大臣
内閣府特命担当大臣
(消費者及び食品安全)
消費者庁長官

神奈川県議会議長

林野関係予算の確保を求める意見書

 我が国の面積の3分の2を占める森林は、良質な木材の供給はもとより、水源のかん養、土砂災害防止といった国民生活の安全・安心という面においても、大きく貢献しているところである。
 近年、地球温暖化の影響等に伴う集中豪雨や大型の台風が増加しており、令和元年の台風第15号及び第19号においては、県内に記録的な暴風や大雨をもたらし、大規模な土砂崩れや浸水等により、県内各地で甚大な被害を生じさせた。
 本県では、「かながわ気候非常事態宣言」を発するとともに、「神奈川県水防災戦略」を策定し、大規模な水害等への取組を計画的、重点的に進めているところである。
 しかしながら、年々激甚化する災害から国民の安全・安心な暮らしを守っていくためには、全国規模の山村地域活性化とともに、事前防災・減災に向けた国土強靱化をより強力に推進することが不可欠である。
 よって国会及び政府は、毎年のように発生する未曽有の大災害から国民の生命、財産を守るとともに、危機的な山村地域経済の活性化に資する有効な対策として、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 豪雨災害等、激甚化する災害の対策強化のため、森林整備及び治山対策の強力な推進と必要な予算の大幅な拡充を図ること。
2 山村地域における事業、雇用の創出についてこれまで以上に強力に推進すること。
3 間伐材の活用や地域材を活用した新たな木造需要の創出等、木材利用の一層の推進を図るため、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の対象として、民間の建築物を含めるよう検討すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和2年12月17日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣      }殿
財務大臣
農林水産大臣
国土強靱化担当大臣
林野庁長官

神奈川県議会議長

不妊治療等への支援拡大を求める意見書

 日本産科婦人科学会の調査によると、平成30年に、不妊治療の一つである体外受精により誕生した子どもの割合は、総出生数の約16人に1人となり、前年に続いて過去最多を更新するとともに、体外受精の治療件数についても過去最多となっている。
 国においては、不妊治療に関する助成制度の拡充等が段階的に実施されてきており、不妊の原因検査など一部の治療については、保険適用もされている。
 しかしながら、保険適用対象外となっている体外受精や顕微授精などの治療については、1回あたり数十万円の費用がかかるとともに、治療が何度も繰り返される場合もあることから、治療を受ける人に著しい経済的負担を強いることとなる。
 不妊治療を希望する人への支援拡充は、喫緊の課題であるが、不妊治療の保険適用範囲拡大の検討に向け、本年10月から厚生労働省において、不妊治療の実施件数や費用などの実態調査が開始されている。
 よって国会及び政府は、不妊治療及びそれに関連する治療を希望する人が、今後も安心して治療に取り組めるよう、次の事項について所要の措置を早急に講じられるよう強く要望する。
1 不妊治療の保険適用範囲拡大の検討に当たっては、現在保険適用対象外となっている治療方法のほか、「男性に対する治療」も含め、希望者が幅広い選択肢から治療を受けられるよう十分配慮すること。
2 不妊治療の保険適用が拡大されるまでは、既存の助成制度の拡充や所得制限の緩和等により、幅広い世帯の経済的負担軽減を図ること。
3 放射線治療などのがん治療により、生殖機能が低下する恐れがある場合に行われる、卵子や精子を凍結保存する「妊よう性温存治療」について、AYA世代を対象とした助成制度を創設すること。
4 不育症治療についても、治療や支援状況等について実態を把握し、助成制度創設を目指すとともに、治療の保険適用範囲を拡大させること。また、流産・死産等へのメンタルケアについても充実させること。
5 不妊治療と仕事が両立できる環境整備を更に進めるとともに、カウンセリングなど不妊治療に関する相談体制の拡充を図ること。
6 不妊治療の保険適用及び助成制度の対象については、事実婚の夫婦に対しても適用を検討すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和2年12月17日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣      }殿
財務大臣
厚生労働大臣
内閣府特命担当大臣
(少子化対策)

神奈川県議会議長

中小企業支援策の更なる拡充を求める意見書

 新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受け、我が国は、感染の防止に努めるとともに、2次にわたる補正予算や予備費の適時適切な執行などを通じて、雇用の確保と人々の暮らしの安心を図り、経済の立て直しに努めてきた。
 これらの対策の効果や、国民の忍耐と努力により、日本経済には持ち直しの動きも見られるが、新型コロナウイルス感染症は今なお、国民の生命や健康にとって大きな脅威である。
 今後も更なる経済対策を策定・実行して経済の持ち直しの動きを確かなものとし、民需主導の成長軌道を取り戻す必要があるが、そのためには地域経済と雇用を支える中小企業の持続的成長が不可欠である。
 本県では、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい経営環境が続く中で、数多くの中小企業・小規模事業者が国、県及び市町村の支援策を活用しながら、事業の存続と雇用の維持に懸命の努力をしているところである。
 一方、これまで中小企業・小規模事業者における雇用の維持に大きな役割を果たしてきた、雇用調整助成金の新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例(以下「特例措置」という。)は令和3年2月末まで延長されているが、感染症収束の道筋はいまだついておらず、経済の先行きは不透明で、今後の雇用情勢は予断を許さない。
 この特例措置は、依然として、企業のニーズが強いことから、雇用情勢を慎重に見極めながら、本則への段階的な移行を見据えつつも、当面の間、継続的な実施が求められる。
 よって政府は、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 中小企業・小規模事業者における雇用の維持に大きな役割を果たしてきた特例措置について、感染症収束の道筋がつくまでの間は継続的に実施すること。
2 感染防止対策と社会経済活動の両立が図られる中で、雇用情勢が改善に向かうまでの間は、特例措置をはじめとする諸施策の性急な縮減は行わないこと。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和2年12月17日

内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣     }殿
厚生労働大臣
経済産業大臣
経済再生担当大臣

神奈川県議会議長

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