ホーム > 電子県庁・県政運営・県勢 > 地方分権・自治・外交 > 県議会・条例その他議案 > 神奈川県議会 > 神奈川県議会 令和元年第3回定例会で可決された意見書・決議
更新日:2020年3月17日
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近年、毎年のように大規模な風水害が発生している。昨年は、平成最大の水害となった7月の西日本豪雨や、9月の台風第21号が、大変大きな被害をもたらしたことは記憶に新しいところである。
そして、本年9月の台風第15号は、非常に強い勢力で首都圏を直撃する事態となった。
短期間に集中する豪雨に加え、風速40mを超える記録的な暴風が各地で吹き荒れ、住宅の損壊やがけ崩れ、工作物の損傷、港湾施設や産業施設の被害など、多方面に大きな被害をもたらし、被害の全容はいまだ明らかになっていない。
今回の台風の特徴は、記録的な暴風による深刻な被害である。神奈川県においても、電線や電柱が被災し、随所で停電が発生した。鎌倉市内では、倒木と土砂崩れにより、通電が絶たれた地区の復旧が困難な事態となり、自衛隊の災害派遣を要請する事態となった。
また、千葉県では、広範囲で停電が発生し、復旧も当初の見込みを大幅に超えて長期化し、県民生活に大きな混乱を与えている。
今回の台風は、広域的な停電に加え、局所的な停電個所も多く、通信被害も発生したことで、 被災状況の全容の把握が遅れ、被害が長期化する要因にもなった。
今後、激甚災害法の指定も検討されるものと思うが、指定がなされない場合においても、被害は深刻と言わざるを得ず、政府の適切な支援が必要である。
また、このような記録的な暴風雨が首都圏を直撃し、深刻な物的被害と長期の停電をもたらすような事態も想定した対策を立案することが急務である。
よって国会及び政府は、このたびの台風第15号による災害復旧に全力で取り組むとともに、今回の台風被害への対応を検証し、記録的な暴風雨にも対処しうる今後の対策について、電力会社相互の協力関係や法令の見直しも含めて、早急に検討し、対応することを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和元年9月25日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
法務大臣 }殿
財務大臣
国土交通大臣
防衛大臣
内閣府特命担当大臣
(防災)
神奈川県議会議長
東京都豊島区で87歳の高齢者が運転する車が暴走し、母子2人が亡くなった本年4月の事故以降も、高齢運転者による事故が続いている。
近年、交通事故の発生件数は減少傾向にあるが、75歳以上の高齢運転者による死亡事故の割合は高まっており、単純ミスによる事故も目立つ。
警察庁は、平成30年末時点で約563万人いる75歳以上の運転免許保有者が、令和4年には100万人増えて663万人に膨らむと推計している。
こうした状況を踏まえ、国は平成29年施行の改正道路交通法で、75歳以上の免許保持者に、違反時や免許更新時に認知機能検査を受けることを義務付けたが、いまや高齢運転者の安全対策及び安全運転支援の取組は待ったなしの課題である。
一方、過疎地域を中心に、いまだ「生活の足」として車が欠かせない高齢者も多い中、自主的に免許を返納した場合などの地域における移動手段の確保も重要な課題である。
よって国会及び政府は、地方自治体や民間事業者とも連携しながら、総合的な事故防止策として、高齢運転者の安全運転支援と地域における移動手段の確保を進めるため、次の事項について所要の措置を早急に講じられるよう強く要望する。
1 衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置など、ドライバーの安全運転を支援する装置を搭載した「安全運転サポート車」(サポカーS)や、後付けの「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」の普及を一層加速させるとともに、高齢者を対象とした購入支援策を検討すること。
2 高齢運転者による交通事故を減らすため、「安全運転サポート車」(サポカーS)に限定した免許の創設や、走行できる場所や時間帯などを制限した条件付き免許の導入を検討すること。
3 免許を自主返納した高齢者が日々の買い物や通院などに困らないよう、コミュニティバスやデマンド(予約)型乗合タクシーの導入など「地域公共交通ネットワーク」の更なる充実を図ること。また、地方自治体などが行う、免許の自主返納時における、タクシーや公共交通機関の割引制度などを支援すること。
以上、地方自治法第99条の規定により提出する。
令和元年10月16日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣 }殿
法務大臣
経済産業大臣
国土交通大臣
国家公安委員会委員長
神奈川県議会議長
刑事事件で起訴された被告人の保釈請求が許可される割合の増加とともに、保釈中に別の事件で起訴される者が増加している。さらには、保釈中に実刑判決を受けた者が、収容に応じない、逃走するといった事態も生じている。本来刑に服さなければならない者が、収容されていない状態を許すことは、国民の安全安心の確保の観点から看過できない。
現在、司法制度改革が行われているが、保釈制度を見直し、罪を犯した者が早期に矯正を受け、社会復帰を果たし、全ての国民が、安全で安心して暮らし、かつ社会に貢献できる仕組みを構築するべきと考える。
刑事訴訟法第89条は、裁判所は一定の要件に該当する場合を除き、保釈しなければならないと定めている。そして、保釈を許す場合、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、出頭を保証するに足りる額の保釈保証金を納付させることとしているが、財産面における担保のみでは、保釈された者の逃走の抑止は困難な状況にある。
また、実刑判決を受けた者を早期に刑事施設に収容し、早期に矯正すべきことは、安全な国家を構築するためには必要不可欠である。万が一逃走した場合、周辺住民の不安感は計り知れず、現実にこうした事案が過日、本県でも発生したところであり、司法制度の根幹を守るためにも、収容されるべき者が逃走を図ることができない法整備が必要である。
よって国会及び政府は、次の事項について所要の措置を早急に講じられるよう強く要望する。
1 保釈を許す場合の要件として、保証金額以外の要件を加えるなど、保釈要件を見直すこと。
2 実刑判決を受けた者を確実に刑事施設に収容するための強固な体制を確立すること。
3 収容に応じない者に対する罰則を新設すること。
4 逃走等の事案が発生した場合、関係自治体に対し、適正かつ迅速な情報提供を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和元年10月16日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 }殿
総務大臣
法務大臣
神奈川県議会議長
令和元年は、9月に台風第15号が、10月に台風第19号が立て続けに日本に上陸し、また、10月下旬には低気圧が北日本の太平洋側沿岸に沿って進んだ結果、記録的な豪雨や暴風が発生し、東北、関東甲信越、東海各地で河川の堤防の決壊や土砂崩れなどの自然災害をもたらした。
本県においても、溢水による浸水被害、土砂災害などが広範囲にわたって多数発生している。
政府は、被災直後から迅速な救助・救出活動、避難支援などの応急対応とともに、早期復旧に向けた様々な取組に総力を挙げているが、今後も「被災者第一」を基本理念に、生活支援、早期の住まいの確保、産業・生業の支援など、被災者に寄り添った支援が求められる。
よって国会及び政府は、ソフト・ハード両面にわたる復旧・復興のために、次の事項について、所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 被災者の1日も早い生活再建のため、既存制度の対象拡大や要件緩和など弾力的な運用を行うこと。
2 医療施設、社会福祉施設、学校施設及び鉄道や道路等の交通インフラの早期復旧・再開に向けて、必要な支援を行うこと。
3 商工業、農林水産業の早期事業再開のため、被災した事業用建物、設備、機材等の復旧を支援する補助制度を創設すること。
4 被災地の切れ目ない復旧・復興の推進のため、復旧作業の進捗を見極めつつ、補正予算の編成を適切に行うこと。
5 「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」の着実な遂行と、期間終了後も必要な対策が講じられるよう、継続して予算措置を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和元年12月18日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣 }殿
農林水産大臣
経済産業大臣
国土交通大臣
内閣府特命担当大臣
(防災)
国土強靭化担当大臣
神奈川県議会議長
近年、全国各地で記録的な自然災害が頻発し、甚大な被害が生じている。
本県においても、本年9月の台風第15号は、記録的な暴風雨により住宅の損壊や大規模停電をもたらした。また、非常に強い勢力を保ったまま本県を縦断した10月の台風第19号では、土砂災害が約100箇所で発生し、9名の尊い命が失われたほか、相模川の護岸が破損するなど、県内全域にわたって近年にない甚大な被害が生じた。さらに、城山ダムでは、昭和40年の運用開始以来、初めて緊急放流が行われ、幸いにも氾濫などは発生しなかったものの、流域市町の県民には大変大きな不安を与えた。
全国2位の人口を有する本県は、都市部に多くの人口と資産が集積しているが、都市部を流れる河川の整備率は約6割に留まっており、今後、台風の強大化が懸念される中、豪雨に伴う都市河川の氾濫により、いつ深刻な事態に陥ってもおかしくない状況にある。
さらに、本県は、土砂災害のおそれがある危険箇所を都市部にも多く抱えており、豪雨による大規模な被害の発生も危惧されるところである。
そのため、都市河川の重点的な整備を進めるとともに、土砂災害対策については、土砂災害防止施設の整備や土砂災害特別警戒区域の基礎調査等を鋭意推進しているところである。
しかしながら、そのためには多額の予算措置が必要であり、厳しい財政状況下にあっては、国からの財政的な支援や制度の拡充が不可欠である。
よって政府は、豪雨から県民の生命と財産を守り、安全で暮らしやすい生活環境を創造するため、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」の最終年度である令和2年度予算を確実に確保するとともに、3か年緊急対策後も継続的に事前防災の推進を図るために必要な財源を確保すること。
2 都市河川の整備について、遊水地整備や鉄道橋架替えなどの大規模事業を計画的に推進できるよう、補助制度の内容の拡充を図ること。
3 急傾斜地崩壊防止施設の整備を推進するため、社会資本整備総合交付金の対象となるがけの高さの基準について、現在、対象外となっている10m未満も対象とするなど、制度の拡充を図ること。
4 治山及び林道施設の強靭化について、計画的な事業推進が図れるよう、必要な財源を確保すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和元年12月18日
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
農林水産大臣
国土交通大臣 }殿
内閣府特命担当大臣
(防災)
国土強靭化担当大臣
神奈川県議会議長
障害者基本法は、全ての国民が、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障がい者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定めている。
基本原則の一つとして、同法第3条第3号では、手話も言語とされ、すべての障がい者は可能な限り、手話を含む言語その他の意思疎通のための手段について、選択の機会が確保されることを規定している。
しかし、「手話が言語である」という認識は一般に十分普及していないのが現状であり、また、言語は本来、乳幼児期に自然習得されるものであるが、聴覚に障がいのある乳幼児に早期に手話を取得させたいと思っても、家族等が手話を使えない場合には、自然習得することができず、言語能力の発達に支障を生ずる可能性がある。
このような状況があるにもかかわらず、現在、聴覚障がい者が乳幼児期から手話の自然習得の機会を確保できるようにすることを規定した法律はなく、教育課程における特別支援学校の学習指導要領にも、視覚に障がいのある児童に対する点字の指導・習得に係る記載はあるが、聴覚に障がいのある児童に対する手話の指導・習得に係る記載はない。
よって国会及び政府は、聴覚障がい者が手話で意思を通じ合える社会を実現するため、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 聴覚障がい者が、乳幼児期から、その保護者等とともに手話を習得することのできる機会が確保されるよう、法整備を行うこと。
2 特別支援学校の学習指導要領に、聴覚に障がいのある児童に対して手話を指導し、習熟させることを明記すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和元年12月18日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣 }殿
法務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣
神奈川県議会議長
グローバル化の進展や技術革新等に伴い、予見困難な時代の中でも新たな価値を創造する力を育てることが必要とされている。そこで、文部科学省は、令和3年度大学入学者選抜から、現行の「大学入試センター試験」を「大学入学共通テスト」(以下「共通テスト」という。)に変更し、英語、国語、数学等について試験方式を変更することとした。
しかし、英語の民間試験導入については、地域格差や経済格差があるとの理由で公正・公平性が十分に確保されていないとして延期され、今後1年を目途に検討し、結論を出すこととしている。
また、国語と数学についても、一部で従来のマークシート式問題を記述式問題へ変更するとしていたが、採点基準の確保に問題があることや、受験生の自己採点が困難である等の理由で延期された。
特に、採点基準の確保については、実際本県でも、過去に記述式問題の採点誤りが数多く発生したことから、ヒューマンエラーを防止するため、マークシート式問題を導入し、記述式問題の問題数を減らして採点に専念できる問題数にした経緯がある。
よって政府は、「共通テスト」が受験生の人生を左右する重要な試験であることを念頭に置き、受験生が不安に陥らずに安心して試験に臨めるよう、次の事項について所要の措置を早急に講じられるよう強く要望する。
1 様々な関係団体及び受験生本人等から意見を聴取し、あらゆる視点で「共通テスト」の実施のあり方について検討すること。
2 学習指導要領との関連に十分配慮すること。
3 試験制度変更に関する詳細な情報提供を迅速に行うこと。
4 英語の民間試験導入については、受験生が不公平感をもたないよう慎重に検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和元年12月18日
内閣総理大臣
総務大臣 }殿
文部科学大臣
教育再生担当大臣
神奈川県議会議長
県は、令和元年12月6日に、リース契約の相手方である富士通リース株式会社横浜支店からデータ消去を請け負った株式会社ブロードリンクの社員が、個人情報を含む県の行政文書を保存していたハードディスクを持ち出し、オークションサイトで売却し、それを購入した人がデータ復元ソフトを使用したところ、県の内部情報と思われるものが複数確認できたという事故が発生した旨、記者発表を行った。
県が取り扱う行政運営上の情報は、県民等の個人情報などの重要情報が含まれており、それらの情報が万が一、外部に漏えい等した場合、県民生活に深刻な影響を与えることは言うまでもない。
県はこれまで、重要情報が格納されている機器をリース期間満了によりリース会社に返却する場合は、情報漏えい防止のため、県内部の初期化作業でデータをすべて消去した後、リース会社にデータ復旧が不可能とされている方法によりデータ消去作業を行わせることとしていたが、県によるデータ消去の確認が不十分であったことから、県民等の財産、プライバシー等を危険にさらし、県民に不安を与え、県への信頼を根本から揺るがす事態を招くことになった責任は重大である。
よって神奈川県議会は、県当局に対して、このような事態を招いた当事者の一人として重大性を深く認識した上で、猛省を求めるとともに、情報関係の専門家の意見も踏まえ、一日も早い情報管理体制の強化を実現するため、その原因究明をしっかりと行い、徹底した再発防止策を講じることを強く求める。
以上のとおり決議する。
令和元年12月18日
神奈川県議会
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