様式３
審議（会議）結果
審議会等名称	第36回 神奈川県障害者施策審議会
開催日時	令和５年３月14日（火曜日）　14時00分から16時40分まで
開催場所	神奈川自治会館２階会議室（オンライン参加有り）
出席者	【会長】蒲原委員、【副会長】佐藤委員、（以下名簿順）嵩委員、鈴木委員、相馬委員、小山委員、藤森委員、榛澤委員、内藤委員、河原委員、小野委員、小杉委員、隈元委員、成田委員、在原委員、眞保委員、德田委員（計17人）
次回開催予定日	令和５年５月頃
所属名、担当者名	障害福祉課調整グループ　柴田
電話（045）210‐4703  　ファクシミリ（045）201‐2051
掲載形式	議事録
審議経過	以下のとおり

≪議　　題≫
(1) かながわ障がい者計画の令和３年度最終評価について　
(2) 当事者目線の障害福祉推進条例に基づく基本計画について

≪報告事項≫
(1) 中井やまゆり園の支援の改善に向けた取組状況
(2) 愛名やまゆり園のモニタリング結果について
(3) 三浦しらとり園のモニタリング結果について
(4) 過齢児対策の状況について
(5) 神奈川県地域福祉支援計画[第５期]の策定について
(6) 神奈川県手話言語条例の一部改正について

≪配布資料≫
資料１　　　かながわ障がい者計画の令和３年度最終評価について
資料２　　　かながわ障がい者計画点検評価シート
資料３　　　計画の統合による効果と課題についての県の考え方
資料４－１　「障害者基本計画」と「条例に基づく基本計画（構成案）」の項目比較（資料説明と論点）
資料４－２　「障害者基本計画」と「条例に基づく基本計画（構成案）」の項目比較（一覧）
資料４－３　「条例に基づく基本計画（構成案）」の項目
資料５　　　中井やまゆり園の支援の改善に向けた取組状況
資料６　　　愛名やまゆり園のモニタリング結果について
資料７　　　三浦しらとり園のモニタリング結果について
資料８　　　過齢児対策の状況について
資料９　　　神奈川県地域福祉支援計画[第５期]の策定について
資料１０　　神奈川県手話言語条例の一部改正について
参考資料１　障がい者制度改革推進会議資料（内閣府）
「障害」の標記に関する検討結果について（H22.11）
参考資料２　計画策定のスケジュール（予定）
　
≪その他資料≫
　・　第６期神奈川県障がい福祉計画
　・　かながわ障がい者計画
　・　当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会報告書
　・　神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例～ともに生きる社会を目指して～
　・　みんなで読める　神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例～ともに生きる社会を目指して～

【事務局による進行】
　・　福祉部長挨拶
　・　会議運営に関する事務連絡
　
【蒲原会長による進行】
（蒲原会長）
　それでは議事に入ります。
　最初に議事の進め方について皆様と共有したいと思います。
　本日は、次第にありますとおり、議題は２つですが、報告事項が６つあり、県立障害者支援施設に関する事項など、内容のあるものとなっております。
　そのため、議題(1)を説明と審議併せて20分、議題(2)を説明と審議併せて45分として、15時15分頃には、10分間の休憩をはさみたいと思います。
　報告事項は、(1)～(3)をまとめ、説明と質疑併せて25分、報告事項(4)～(6)はそれぞれ説明と質疑併せて10分程度として、時間内に収まるよう進行してまいりたいと思います。
　委員の皆様の御協力のもと、円滑にかつ活発な議論ができるように、お願いしたいと思います。御協力をよろしくお願いします。　
　それでは、議題(1)「かながわ障がい者計画の令和３年度最終評価について」、事務局から説明をお願いします。

（事務局）
　資料１、２に基づいて説明

（蒲原会長）
　ただいま議題１の令和３年度の最終評価について説明がありました。前回の議論を踏まえて修正したということで、この件につきまして各委員から御意見、御質問等ありましたら、お願いします。
　はい、それでは榛澤委員からよろしくお願いいたします。

（榛澤委員）
　神奈川県精神障害者連絡協議会の榛澤です。
　点検評価シートをしっかり読ませていただきました。最終評価であるため今更となりますが、評価の内容について疑問があるため、教えてください。
　１ページに、すべての人の権利を守るしくみづくりで、虐待防止の項目について記載があります。権利擁護研修を県の職員や事業所の管理者に受けてもらうことは有効な対策ですし、重要なことですが、この障がい者計画の目的とは、虐待を減らすことであり、研修は手段です。手段である研修の人数がどれだけ達したか、これが計画の評価になっているので違和感があります。評価する基準とは、目的である障がい者虐待がどれだけ減らせたかだと思います。
　３ページの今後の課題と対応に、障害者虐待防止の一つ目の丸に、障害者虐待防止法の施行が６年以上経過しているが、使用者による障害者虐待は、労働局の調査で発見されたものも多く、障害者虐待防止法の通報に結びついていない潜在的な虐待被害が、未だ多数あると思われるとの記載があり、要するにまだ表沙汰になっていない虐待がたくさんあることを認めた上で、それにもかかわらず、概ね順調に推移しているという、上から二つ目の評価という判断をしていることについて違和感があります。誤解があるかもしれないので、御説明いただけるとありがたいです。
　あともう一つ、31ページに工賃向上がありますが、令和３年度の成果目標1万5000円とあり、それがほぼ達成して達成率が99.6％となっています。この分野はやや遅れていると評価となっていますが、そもそも目標値が1万5000円というのはおかしいと思います。この月額工賃1万5000円というのは、時給換算すると100円から200円ぐらいです。この金額を目標にすること自体、以前に僕もこういう工賃の作業所で、働いていた当事者として理解できません。
　私も15年ぐらい前に自立支援法がない時に、Ａ型やＢ型ではなく共同作業所で働いていて、当事者同士で工賃について話した時に、「１時間働いても缶コーヒー１本買ったらなくなってしまう。だから休憩時間に自動販売機でコーヒーも勿体なくて買えないよ」と言われた方がいた。こういう内職みたいな仕事をやらされて、こういう仕事が苦手じゃない方もいるが、私は大変苦痛でした。時給100円とか200円で働かされる障がい者の立場に立って考えることは、県が掲げる当事者目線の施策ではないかと思います。公務員の給与が時給換算するとどれくらいか分かりませんが、缶コーヒーの額ではないと思います。もちろんいきなり工賃を高く上げることは難しく、目標もある程度になることも分かりますが、月額1万5000円という100円から200円の時給に意味を感じない当事者は本当にたくさんいるので、とても当事者目線に立っているとは思えません。そのような中で概ね順調に達成しているというのは、違和感があります。今回は評価が確定された後なので仕方がないのですが、次の計画からは、評価の基準を根本的に見直していただきたいと思います。
　点検評価シートを全部読みましたが、正直評価の基準がほとんどずれているというか、何か手段としての研修を何人が受けましたという目標を、役所が設定した数値を達成したか否かだけになっています。かながわ障がい者計画の目的が達成されているかどうかの評価にはならないと感じました。私は今年から会議に参加しているので、何か誤解している部分があれば何か御説明いただきたいです。正しいかどうか分からないのですが、当事者として違和感があったというのは事実です。御説明をお願いいたします。

（蒲原会長）
　大事な視点だと思います。事務局からよろしくお願いします。

（事務局）
　まず資料２の３ページの障害者虐待の防止については、虐待防止法の通報に結びつけしてない潜在的な虐待がまだあると県の認識を示しております。そこは御指摘をいただいた通りだと思います。概ね順調に推移しているという評価というのは、研修の修了者や市民後見人養成事業を実施する市町村数も含めて、概ね順調に推移していると記載しておりますけれども、榛澤委員がおっしゃられたことは重要な御指摘と思っております。
　それから、もう一つ御指摘いただいた31ページの工賃向上の部分ですが、実際全国の状況を見ても、平成30年の就労継続支援Ｂ型事業所の平均工賃は16,118円となっており、県の目標は全国平均を下回っていますし、榛澤委員が御指摘されたように、そもそも工賃が低いということがあります。就労継続支援Ｂ型事業所は、月額で3000円以上を満たさなければいけないとされているところですが、そうであったとしても、利用されている方々にとって、これだけでは少ないと思うのは当たり前の話だと思っており、重要な御指摘と思っております。

（榛澤委員）
　この資料を作るのに、膨大なエネルギーと時間で作られたと思います。皆さんが努力してないわけはもちろんなく、やれることを全部やっているとは思うのですが、何かずれている部分があるので、来年度計画の評価をするときに、評価の基準や材料をもっと根本的に見直して欲しいと思います。本当に大変だとは思いますが、障がい者目線、当事者目線性とおっしゃってくださっているので、そういう視点で、当事者がどう見ているかを考えながら、計画を立てて、評価していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

（蒲原会長）
　はい、ありがとうございました。それでは次に小山委員お願いします。

（小山委員）
　まず使用者の虐待があります。事業所では、虐待と騒がれると、それでは障がい者は雇わない方向へと考えてしまいます。作業所で罵倒されたり、殴られたりしました、となっても、横須賀市役所は17時に閉まっていて、だから通報しないというようになっているように思います。虐待防止センターや新しい制度を私の仲間は知りません。使用者の虐待については、業務命令だと言われたりします。軽度の人たちは仕事をさぼり、我々ばかり働かされるのが当たり前で、朝早く来て、夜遅くまで仕事をしても、サービス残業と言われてしまう。それが当たり前でした。
　年金がもらえると、さらにきついことを言われます。我々の税金を使って生活していると言われ、私たちがいない間に陰口を言われます。現場は障がい者を入れたくないと思っていますが、上司が、障がい者を入れないとお金を払わなきゃいけないからと考えており、現場が渋々の障がい者の受け皿になっています。
　Ａ型では、精神障がい者の人が優遇されている状況で、３障害だと言われているわりに差があります。知的障がい者は我慢する人が多いと思います。

（蒲原会長）
　様々な虐待、あるいはもう少し幅広い差別、それに該当するように思ったときには、窓口に行きやすい体制や広報を丁寧にすることが大事な気がしていますが、改めて事務局からお願いします。

（事務局）
　虐待防止法の通報そのものであったり、通報の窓口がまだ周知が完全になされていないと思っています。その内容も今回の点検評価シートに記載させていただいております。さらに周知を進めて、今小山委員の御発言で、御本人の実感として思われている内容もよく理解できましたので、こういった周知に、もっとしっかり取り組みたいと思っています。

（蒲原会長）
　その他にありますでしょうか。今の話を聞いたら、今回の評価は評価として、このような形で合意となるかもしれませんけども、具体的に次に向けてどのように目標設定するか、あるいは目標設定も手段としての目標もあるけれども、もう少し手前のところの基準などをどう考えるか、ということは、むしろ次に向けて、他の議論を含めてやっていくべきと思います。
　それでは、德田委員お願いします。

（德田委員）
　２ページ目の内容について質問です。法的な専門的助言を得る体制及び休日夜間の通報受理体制を継続することで、様々な相談に適切に対応したと評価をされていて、その内訳を見ると、相談通報件数が62件で、法的な専門的な助言は１回だけということなので、この数字だけ見ると、果たして適切なのか、もっと専門的助言が必要だったのではないかと思えました。適切と評価した根拠があれば教えてください。
　障がい者差別の解消に関する啓発研修を４回実施したとありますが、具体的にどんな講師の方が、どんな研修をされたのか、分かれば教えてください 。
　３ページ目の今後の課題と対応ということで、虐待の防止及び対応力向上のため、弁護士を講師とする研修や相談を拡充するなど、法的な専門性を強化する体制の整備を進めるということで書いていただき、これ自体はいいのですが、虐待の防止だけではなく、差別解消についても、例えば日弁連は、自治体職員向けの差別解消法マニュアルを作成していて、そういった自治体職員の方と一緒にこのような研修を実施して、各地域の底上げをしていこうという取り組みをやっています。差別解消法についても弁護士の研修など、弁護士会のメニューを利用してもらってもよいと思います。今後の課題として、差別解消法についても弁護士を講師とする相談研修の拡充も、ここに記載していただいてもいいかと思います。

（事務局）
　虐待の法的な相談について、令和３年度はコロナの関係等もあり、１回の実施にとどまりましたが、今後さらに体制を強化したいと考えております。
　また、差別の相談窓口に関しましても、現在は障害福祉課の中に窓口を設置いたしまして、そこで職員が対応している状況ですが、令和５年度からは新規事業として、外部で権利擁護に専門的な知見を持つ相談員の方に委託して、新たに相談窓口を設け、その中で弁護士相談等も含めて対応の強化を図りたいと考えています。
　＜会議中には発言していませんが、次のとおり補足事項を追記します。＞
　障がい者差別の解消に関する啓発研修については、県の障害福祉課職員が、新採用職員研修や新任管理職員研修等で、障がい者の定義や障がいのある方との接し方と併せて、障害者差別解消法について説明しています。具体的には、障がいを理由とした差別的取扱いとは何か、合理的配慮の提供とは何かを説明しています。
　また、点検・評価シートにおいて、差別解消法についての研修拡充について記載することについても検討します。

（德田委員）
　そうするとコロナ禍ということもあって、１回であっても適切であったと理解すればよろしいですね。わかりました。

（事務局）
　先ほど会長からお話がありましたとおり、評価するに当たっては、成果目標や評価基準をどうするのかが一番重要になってきます。先ほどから御指摘をいただいておりますように、今回の成果評価や評価の基準が、果たしてふさわしいものだったのか、当事者目線だったのかということについては、御指摘を受け止めさせていただいて、この後に御審議いただきます当事者目線の障害福祉推進条例に基づく基本計画を作るに当たって、当事者目線に立った成果目標を皆様と一緒に作っていきたいと思っています。

（佐藤委員）
　最終評価を色々と工夫して、記載するのは大変結構なのですが、遅れているというあまり良くない評価について、ではどうするか、ということを議論する場所を作らないといけないと思っています。駄目でしたということだけ報告されていますが、それだけでは我々も反応しようがないのです。
　虐待防止については、まず虐待がなくなるということはまずありません。それをどういうふうに通報してもらえるか、神奈川県は大変注目を浴びているわけですけれども、施設自身が自分たちの施設の内容を工夫して、虐待通報してくるという風土がないと、神奈川県の虐待防止についての未来はないと、そういうふうに思っております。通報件数が少ないからいいとか、あるいはどこかに潜在していて隠れているみたいな話では済まない話だろうなと思っております。
　外部調査委員会で県立施設の調査を始めておりますけれども、まだまだ外部の目が入らないとそういう風土が作られていないと思っていますので、県におかれましてもそういう観点から、虐待についての外部及び内部の通報の風土を作っていただきたいと思っています。

（蒲原会長）
　ありがとうございました。今日出た議論は会長預かりとさせていただき、中身について若干修正すべきところがあれば、少し修正して、もう１回共有したいと思いますが、いかがでしょうか。というのも、おそらく今後に向けての議論で、どういう目標にしたらいいかと議論することになります。それを受けて、必要があるところは修正するということになろうかと思います。委員皆様、基本的には了承と思いますが、書きぶりについては、会長預かりでいきたいと思います。
　それでは次に議題(2)「当事者目線の障害福祉推進条例に基づく基本計画について」について、事務局から説明をお願いします。

（事務局）
　資料３、４に基づいて説明

（蒲原会長）
　それでは、今の説明を聞いての御意見、御質問をいただきたいと思います。
　大きく分けると、一つは計画を一本化するというところ。二つ目は計画の項目をどう反映していくかといったこと、あるいは害の字といったあたりとなります。
　また、このふたつの議論以外にも、目標設定のあり方とか、あるいは前回の評価を踏まえて、こんなことやったらいいかとか、少し幅広に御意見を皆さんから意見をいただければ、今後の作業に活かせると思います。
　当初、時間配分を言いましたけれども、重要な議論なので、30分ぐらい皆さんから意見をいただければと思います。
　それでは小山委員、よろしくお願いします。

（小山委員）
　まず災害支援がないですね。私たちは、地震があったら、どこが高いかや、山が近いので、災害に遭ったらどうしようということを仲間同士でよく話すのですが、そういう時に、何処に逃げたらいいのかなというところが不足していると思います。
　また、就労や年金について、普通の一般就労で50代まで働いて、それから障がい者になってしまった時に、普通年金と障害者年金のどちらを取った方が得なのか、といったことも不足していると思います。その他にも、親がいなくなった時、50代や60代になってからの親亡き後の話です。自分自身も含めた介護の話も重要です。我々もそろそろ働けなくなるのかなと考えてしまうので。それから障害者手帳の取得方法や手順に関すること。私も実際に入院している中で身体障がいがありますよと言われて、身体障害者手帳を取りますかって言われたんですけど、その方法もわからなかった。
　あとスポーツに関しては、脳梗塞で倒れて身体に障がいが残った人が、ボッチャをやりたいと言って、ボランティアを集めたいという話をしていたのですが、身体障がいの人がスポーツをやりたいと言っても近くに場所はないし、必要な人数がなかなか集まらない。環境づくりが必要かなと思います。
　そういった身体障がい者を中心としたスポーツ大会をぜひやって欲しいっていう話を私もよく聞いています。

（蒲原会長）
　ありがとうございました。それでは内藤委員、よろしくお願いします。

（内藤委員）
　今説明された計画の統合についての考え方ですが、私は大賛成です。
　今まで２つの計画は分かれていましたが、どちらがどうなのか、はっきり分からないことがありました。ぜひ早急に実行していただいきたいと思います。
　それで、県はこういうものだとは分かったのですが、この話が市に下りた時に、市にはどのように指導するのか、そこをお聞きしたい。

（蒲原会長）
　ありがとうございます。あと数人御意見をいただいた後、質問事項の回答をお願いしたいと思います。では佐藤委員お願いします。

（佐藤委員）
　非常に壮大な計画で、やっと私もこういうことかと理解したところです。
　国の計画とは別に、県として条例を作り、それに基づいた計画を作る。そして、その計画の内容は、国の基本計画の網羅的なものとしていくということは結構だと思います。
　ただ、中身がよく分からないところがあり、資料4－2の上の方の「すべての人の権利を守るしくみづくり」の中に「障害を理由とする差別解消の推進」というのがあって、当然この部分は今後としては必要な項目だとは思います。ところが、下の方に再掲でもうひとつある。それから、他にも「憲章の実現に向けた県民総ぐるみの取組み」にもある。これは同じ内容を２つ重ねるということなのか、この意図をお聞きしたい。

（蒲原会長）
　それでは事務局お願いします。

（事務局）
　まず、計画の一本化について、内藤委員の御意見、御賛成いただけるという話について、どうもありがとうございます。
　市町村とのお話ですけれども、障害福祉計画の部分、サービスの見込量の部分で言えば、各市町村が積み上げた見込量を足し上げて県の計画を立てていくような話になりますので、そこは連携をしながら進めていくことになります。
　県と市町村との関係ですが、県が指導するという形ではなく、それぞれの市町村でお考えがあって計画を定めていくような形になります。
　今回、県が一本化を進める中では、市町村は２つの計画を分けて策定しているところもありますけれども、県のように一本化するかについては、市町村ごとの判断になるかと思います。
　いずれにしても、この計画を県が一本化して策定をしていく、こういう方向性で考えていくということについて、市町村とは既に会議でお伝えをしており、今後も連携して進めていく話だと考えています。
　また、小山委員の御意見について、例えば高齢者の部分でいうと、資料４－２ですと、各論の２（２）⑨子供施策と高齢者施策の連携というのがありますので、御高齢になられていく中の部分については、このあたりで対応していきたいと考えています。
　また、災害の関係ですけれども。

（小山委員）
　ハザードマップ作って欲しいですね。

（事務局）
　はい。３（１）⑨「防災対策の推進」というところで記載していく想定です。
　それからスポーツの部分については、４（３）②「スポーツに親しめる環境の整備、パラリンピック等競技スポーツに係る取組の推進」がありますので、記載していきたいと思います。
　佐藤委員がおっしゃられた「障害を理由とする差別の解消の推進」について、再掲になっているところにつきましては、基本的には権利擁護の部分になるかと思いますが、同じような内容で、他の部分に係る部分については再掲という形にしていくことになるかと思います。
　意図としましては、社会参加の環境づくりの部分の根底の部分にも差別解消の考え方が必要であると考えており、関連する項目については数か所で再掲としています。
　今後、具体的に記載をしていく中で、この項目で内容が馴染むか、というところは改めて確認していきたいと思います。

（佐藤委員）
　今のご説明で、御趣旨は分かりました。
　この差別解消の項目は３か所出てくる。同じ文章を繰り返しということも良いのかもしれないが、ここは神奈川県の条例の大変重要なところだと思っており、神奈川県の本気度を示す部分であると思います。
　そういう意味では、何度書いてもいいと思いますし、力を入れて書いて欲しいと思います。

（蒲原会長）
　ありがとうございます。
　私も前半の総論で書くところは理念的に書いて、社会参加の部分は具体的なイメージが湧くような書き方が良いかと思います。公的なサービスに対する書きぶりもありますし、民間企業に対しての書きぶりもあると思います。例えばレストランに張り出すとか、ハードとソフトの両面で訴えるような形も良いかと思いますし、場所場所で書く内容を変えても良いかと思います。
　先程の小山委員の意見を含めて、中身についての色々な意見が出ているので、それも含めて事務局でまとめていただければと思います。
　それでは德田委員お願いします。
　
（德田委員）
　まず災害対策についてです。今、小山委員の御意見について防災対策の推進というところに書けば良いのではないかという事務局の回答がありましたが、防災、災害予防という問題と、災害が起こった後の問題は違うような気がしていて、東日本大震災でも、災害が起こった後に被災地の障がいのある方が取り残されている問題も報道されていました。そういった意味では、独立した項目で災害対策があっても良いのではないかと思います。
　もう１点は司法手続きについて、３（１）⑫ですが、国の基本計画は司法手続きということで刑事事件に限定していませんが、県の方を見ると、刑事事件の手続きに限定しているように見えます。これは刑事事件に限定しているという趣旨なのか、どのようなことを盛り込んでいくのか、取り上げている理由も含めて教えていただければと思います。

（蒲原会長）
　ありがとうございます。もう数人の御意見をいただいた上で、事務局から回答をお願いします。では榛澤委員お願いします。

（榛澤委員）
　私からは、前回の会議でも精神障がい者が非常に増えているというお話をさせていただきました。
　それで資料を見させていただいたのですが、精神関係では２（２）⑤の「精神保健・医療の適切な提供等」というのがありますが、そこしかありません。
　精神障がいの問題として、ひきこもりの問題とか、自殺の問題とか長期入院の問題とか色々あって、それは個別にこの内容に含まれているのか、ちょっとわからないので少しお聞きしたいです。精神障がいを伴う社会問題とか、地域の精神医療とか、そういうことも含めてお願いします。
　それから、ここで一つ大事なことなのでお話をさせていただきたいと思います。「当事者目線」という言葉を初めて聞いた時に違和感を覚えて、これを言うと元も子もないのですけど、はっきり言うと、当事者目線に立つというのは無理だと思います。
　例えば私たちが公務員の大変さも分からないで、公務員目線になりますと書いてあったとして、多分皆さんも、違和感を覚えるのではないでしょうか。
　例えば今、子ども達がなりたい職業は、男性も女性も一位が公務員、二位が一流企業や潰れない安定した職業です。「そこそこの給料がもらえる」や「社会的信用がある」というのが理由です。「結婚相手として何か相手に選んでもらいやすい」や「モテる」というのもあります。でも、公務員として働く皆さんから見て、公務員は大変で、公務員舐めるなよということを思ったりはしませんでしょうか。
　僕には公務員という仕事が、どう大変かはわかりませんが、人手不足で残業の量が多かったり、上手くやれれば良いけれど少しでも失敗すると上司から叱られたり、県民から文句を言われるといったものもあるかと思います。それだけ、公務員という仕事は大変で、精神疾患になる方には、公務員の方がある程度いらっしゃるというのもあります。それだけ、過酷な仕事だと思います。
　そういったところで、私には貴方達の本当の苦労が分からなくて、つまり公務員目線に立つというのが、公務員以外には難しいのではないかと思います。
　それと同じで、当事者目線に立つことは、本当は難しいのではないかと思うのです。
　それなのに当事者目線で、当事者目線でと繰り返されるので、皆さんは当事者目線ってどうやって知るのかと気になりました。
　当事者目線を知るためにアンケートを取ったり、障がい者の方のところに行って話を聞くとしても、１回話をしただけで障がい者の方が本音を話すかと言えばしないだろうと思います。
　当事者目線に立つということは相当大変なことで、僕らが公務員目線に立てないのと一緒です。この当事者目線という言葉が出てきたのは、最初は相模原の事件とか中井やまゆり園のことからで、虐待などがあって、何とかしなきゃいけないという決意であって、それを否定したいというわけではありません。憲章を作ったり条例を作ったり、障害者施策に力を入れていくことはとても重要なことだとは思っています。
　ただ、この当事者目線という言葉を誰が初めに言い出したのかというと、黒岩知事なのか誰なのかは分かりませんが、この言葉を簡単に使うのは、障害当事者からすると違和感があり、そこを少し考えて欲しいなと思いました。
　あと害の字の話ですが、ひとつの考えとしては、漢字の「害」の字よりも、ひらがなの「がい」のほうが和らぐし、うちの「精神障がい者仲間の会」というのも、ひらがなで「がい」としています。
　ただ、どちらかというと精神障害者というこの漢字の５文字について、これをひらがなにしたとしても、なんか怖いなと感じられると思います。当事者である僕でも、うわって感じることもあります。
　精神障がいという単語は怖いというか、イメージが悪いので、例えば病名で言うと精神病を、心の病と言い換えるだけで少し怖さが和らぐと思います。
　だから病院でも「こころのクリニック」とか「こころのホスピタル」とか、怖さがやわらぐ言い方にしているわけです。
　精神障がい者を「こころの生きづらさを感じている者」、「こころの生きづらき者」「こころの苦労者」とか言ったりします。
　今、お話させていただいたことについて、何か思う所があるかと思いますので、御意見いただければありがたいです。

（蒲原会長）
　次に在原委員お願いします。

（在原委員）
　資料４-３で、法令に基づく活動計画の項目を見せていただいて思うところをお話しします。今前段のお話で、目標に対して成果がどうだったかというところと、どう点検していくのかというところのお話があったわけですけれども、計画の示し方というか、一つひとつのタイトルというか、例えば各論で「すべての人の権利を守るしくみづくり」というのがあるわけですけど、これが目標だとすると、仕組み作りをしたってことで研修を行ったとか、そういったことが成果になりうるし、仕組みづくりをしたっていうこととは繋がるとは思います。しかし、権利を守る、守れたかどうか、ということが目標だとすれば、一つひとつの事業がどのようにその目標に向かって機能したかを評価しないと、目標達成を評価できないと思います。
　ということも考えますと、この今の「すべての人の権利を守るしくみづくり」というタイトルがややふわっとしています。もうちょっと踏み込んで、目標、何をするかという質的な変化、何をもたらすのかというところを思い切ってタイトルに書くっていうことをすると、目標として分かりやすいのではないかと全体的に思いました。

（蒲原会長）
　河原委員お願いします。

（河原委員）
　総論的な話になるのですが、二つの計画を一本にして計画の期間が６年になるということで、じっくりと計画を策定して評価するという点では、統合するということについて良いのではないかと思います。
　ただ、先程内藤委員から出ていた神奈川県内の市町村で、障害者者計画と障害福祉計画の扱いが色々と異なるところがあって、私は二つの県内の市で障害者計画と障害福祉計画の策定に関わっていたのですが、ある市は一本になっていたり、ある市はまだ分かれていたりします。
　先程事務局の回答で、福祉計画は市町村から数値が出てくるので、それを積み上げていけばよいですが、障害者計画は基本的な理念を問う障害福祉計画になるので、今回のこの県条例に基づく内容になるのであれば市町村との整合性をしっかりとっておかないといけないと思います。県はこういう計画を作ったけれども、市町村はここに上手く乗ってこないなどチグハグなものになってくるので、その部分はしっかりと市町村と調整をとっていただいて、県条例、オール神奈川の取組みということで、そこが漏れなく推進していけるようにお願いしたいと思います。
　それから在原委員からも出ていたのですが、二つの計画を一本にした時に、評価というのが非常に難しくて、ある市では結局のところ、書き込みが障害者計画の部分と障害福祉計画の部分と２本立ての書き込みになったので、それはそれぞれの評価になったのですけれど、条例も含めてこのように大きくなると、どの部分をどのように評価するのかというのが非常に難しいかなと思います。その部分は検討していただければと思います。

（蒲原会長）
　意見なのでこれからの検討に活かすというところで良いかと思いますが、質問もありましたので事務局が答えられるところをお願いします。

（事務局）
　まず德田委員からの御質問いただいた件、災害が起きた後のお話ですが、今市町村でも避難行動要支援者名簿を作成し、避難所の設置もやり、もちろん福祉避難所も作りといった形となっていますが、実際に避難をする時の個別支援計画を立てるということもありますので、それらについては単に防災対策の推進というだけではなくといった検討をさせていただければと思います。司法手続きの部分は後程お答えいたします。
　榛澤委員がおっしゃった２（２）⑤の精神保健医療の適切な提供等のところにだけしか、精神保健関連があまり見られないというところ、そういう意味合いでお話があったと思います。もともと障害福祉計画の方でも、精神科病院の方に長期入院されている方々の精神障害にも対応した地域包括ケアシステムとかというような形で、現行の障害福祉計画の方に入っていますが、そういったことであったり、それから精神保健の関係で、ひきこもりであったり、いろんなメンタルヘルスの相談であったりということは、重要だと思いますので、そういったことも入れていくのかなと思います。
　当事者目線については、おっしゃられていることは、やはり一番根本的な問題であると受けとめさせていただきました。当事者の方からお話を直接伺うことは、これからもやっていきたいと思いますし、そこがすごく重要だということはわかっております。ただ根本的にはもしかすると、榛澤委員がおっしゃられたように、理解しきれない部分も、出てきてしまう可能性もあるとは、そういう危惧は私も個人的には思っております。
　そこは色々な方からお話を伺いながら、考えていきたいと思っております。
　それから在原委員がおっしゃられた、各論の部分、すべての人の権利を守るしくみづくりというようなところを例示でお話をいただきました。佐藤委員からもお話をいただきましたが、障害を理由とする差別のところでは、条例が今後施行されていく中では、重要なポイントになっていくかと思っております。先ほど事務局から説明させていただきましたけども、そういった相談窓口の強化をしていきたいと思っております。今検討しているのは、相談の対応だけで解決できなかった場合に、あっせん案の提示を行うような体制についても検討中でありますので、そういった意味で、まずは仕組みづくり・体制づくりを進めていく姿勢でいます。
　また、御指摘をいただいたように、表現とか評価の方法とかその辺りは御意見をいただきながら詰めていくのかなと思っております。
　それから河原委員がおっしゃられた、市町村との関係ですけれども、やはり県が条例を立てて、条例に基づく計画を作っていく。しかもそこには障害者計画の部分と障害福祉計画のものを包含していくというような形でおりますので、市町村に対しては県の進め方について、丁寧に説明をしていきたいと思っております。
　必要な調整はしっかり行いまして、ちぐはぐにならないように取り組んでいきたいと思っております。
　評価の方法については、御意見いただきながら考えていきたいと思います。
　德田委員から御質問のありました司法手続き（刑事事件手続き等）における配慮等についてですけれども、国の障害者基本計画の中で、実際の部分をどのように県の基本計画のところに繋げていけるかということで記載をしております。
　「刑事事件手続き」としましたのは、司法手続きの例としてイメージとして、括弧として書いたということなのですけれども、国の基本計画の中には、矯正施設に入所した障害者の方が社会復帰をする、その支援の取組み等も記載がされておりまして、むしろ、こちらの方が主になるかなという感じもいたしますので、具体的に何を載せていくかというところで、項目の立て方についても、改めて検討していきたいと思います。

（蒲原会長）
　ありがとうございました。
　榛澤委員。それから成田委員と鈴木委員からも手が挙がっておりますので、続けてお願いします。

（榛澤委員）
　先程は言い方がきつくなってしまったので、そこはお詫びいたします。ただ、今の説明で凄く理解してくださったようにも感じましたので、何か訂正とか修正の必要はありませんし、あの事件があって、障がい者に対して県が熱心に取り組んでいるという姿勢は感じますので、決して皆さんが力を入れてないとは思っていません。言い方が少し失礼だったのでそこは謝罪いたします。

（成田委員）
　私からは、作り手と読み手の違いだとは思うのですが、読み手の立場で言うと、総論の「Ⅰ 計画の基本的な考え方について」と「Ⅱ 神奈川県の障害福祉について」は逆の方が分かりやすいと考えました。
　先程、榛澤委員がおっしゃったのと近いかもしれませんけれども、やはり私たちはともに生きる社会を目指しているからこそ、当事者・相手の立場に立って考える姿勢が大事だということが、読み手としては理解しやすいと思います。
　ただ、今事件があってその流れでという作り手側の考えや姿勢も分からないではないのですけれども、読み手として、また、障害福祉が、あるいは地域社会が豊かなものになるためにという順番で読んでいく意味で言うと、私としては順番が逆の方が、理解しやすい組み立てになるのではないかと思います。

（蒲原会長）
　これはすごく大事なことなので、今後よく考えながらまた次に向けて整理していただければと思います。それでは鈴木委員よろしくお願いいたします。

（鈴木委員）
　先般、知事と対談をしたときに、障害者団体側として５人出ていたのですけど、みんなが「害の字の表記は、ひらがなではなく漢字でいい」と言っていました。いろいろな理由があるとは思いますが、漢字でいいと私は思います。
　今後もそのように進めていただければいいかなと思います。

（蒲原会長）
　ありがとうございました。害の字について漢字のままでいいというご意見でございました。それでは隈元委員よろしくお願いします。

（隈元委員）
　当協議会の名前がまさにひらがなです。何年前からか、はっきり覚えてないのですけれども、漢字からひらがなになりました。私どもはスポーツを通じて、肢体不自由の方ですとか、精神障がいの方、知的障がい、精神障がいの方々と交流をしておりますけれども、スポーツをやっている時、自分も一緒にプレーするのですが、やっている時は基本的にそんなものはどうでもいいというのは、少し言い方が乱暴ですけど、そんなに拘る必要がないと思っています。
　むしろ、これをわざわざひらがなに変えなきゃいけないとこだわっている方こそ、何かおかしいではないかなと、自分も実は感じておりました。
　漢字で特に問題はないかなと思います。
　それよりも、障がいという項目がいくつかありますが、ひらがなになっているところだとか、漢字になっているところとか、統一性がない方が変なのではないかなと思います。

（蒲原会長）
　ありがとうございました。
　その辺りは意見を踏まえて今後、幅広くこれから議論していくということでよろしくお願いしたいと思います。
　議題２については、少し幅広い観点から様々な御意見が出ました。
　今後の計画策定の中で、ぜひ事務局においては、今の御意見を踏まえて検討を進めていただければと思います。
　それでは少し遅れましたが、ここで10分間の休憩ということにしたいと思います。
　10分後に再開します。よろしくお願いいたします。

～10分間の休憩～

それでは、続いて、報告事項に移ります。
報告事項(1)から(3)の各県立施設の内容について、事務局から説明をお願いします。

（事務局）
　資料５、６、７に基づいて説明

（蒲原会長）
　ただいま県立施設について３件の報告がございました。この点につきまして御質問等ありましたら、委員の方からよろしくお願いいたします。
　それでは眞保委員よろしくお願いします。

（眞保委員）
　御報告いただきましてありがとうございます。特に資料５につきまして、大変な御努力をされて、そうした改善に向けた御努力について、敬意を表したいと思います。
　こうしたことすべて大切だとは思うのですが、もう一つ触れられてない視点として、職員の方への処遇ということもあろうかと思います。今大変少子化で、人手不足・人材不足で、将来に向けて福祉人材の確保というのは大変重要な問題です。例えば私の法人でも、２月に１人職員が退職しましたが、なかなかその補充がうまくいきません。もちろんどんな方でもいいと言えば、あるいは短時間でもいいとか、色々なことを考えればいらっしゃるんでしょうけれども、利用者の方にきちっとした支援ができる方を採用しようと思うと、なかなか採用ができないという実態がございます。ですから、今すぐにというのは難しいのかもしれませんが、支援をする方の処遇を上げていく、人員を確保していくという、こうした視点も大切だと思います。今いらっしゃる中で、最大限考えてやってくださったことは分かりますが、将来に向けての現状を考えて、職員の方への処遇という視点があると思います。
　また、障害の害の字のことですが、もちろんこの審議会で決定するということではないのかもしれないのですが、私も関わりました国の障害者政策委員会でも、文化庁の職員の方に来ていただいて、議論をしたところなのですが、まだ統一された見解が示されてないという現状がございます。これについては今日、会議時間を延ばしていただいた御配慮もいただきましたが、少なくともこの神奈川県の施策に関わる委員の方が集まっている中でお一言ずつ、見解を述べていただくぐらいの時間を確保して、お話をする機会を設けてもよいかもしれません。
　また当事者目線のことですが、これも実は国の障害者政策委員会でも随分議論となり、委員の何名かが御発言されました。私は当事者目線という言い方は、まさに榛澤委員がおっしゃった御指摘をいただけたことは、この名称の条例にしたからこそだと思っています。これは障がいの問題だけではなくて、例えば災害の当事者の本当の気持ちに、災害にあっていない私がなれるのかと考えた時、おそらく本当の、その方のお気持ちの目線に立てるかというと、難しいのかもしれません。けれども、当事者目線と書くことによって、まずその目線に立ちたい、分からないかもしれないけれど、立ちたいというその第一歩のところだと思っておりますので、そうした意味も含めて、先ほど、どちらの順番が先かという話もありましたが、県民それぞれに、まだまだ色々な御意見をお持ちの方がいらっしゃると思うので、この点についても、次の会議でも、もう少し時間を取って考えられたらと思います。
　計画の一本化につきましては、その方が利点も多いのかなと思います。一方で、自治体によって、年数が変わってきますので、統計の比較などが難しくなるということもありますので、モニタリングの際に、そうしたことも配慮した資料の提供等いただければいいだろうと思います。

（蒲原会長）
　ありがとうございました。今後の計画について、ぜひ基本的な事項のところは少し丁寧に議論する。併せてちゃんと各論も議論するということでよろしくお願いいたします。
　続いて小野委員よろしくお願いいたします。

（小野委員）
　御説明ありがとうございました。色々御苦労されてその改善に向けて取り組まれているなと感じました。資料５の５ページのところで、２点教えていただきたい点がございます。
　１点目は、改善の内容として、生育歴の再調査などが書かれてありまして、これは意思決定支援の一環で取り組んでおられるのかなと思うのですが、日常生活の場面等で御本人の意思決定支援をどんな形で取り組んでいらっしゃるか、もしくは今後取り組もうとされているのかのお考えがあったら、お伺いしたいなというふうに思っております。当事者目線の推進条例では、この意思決定支援というのが非常に重要な点と思っておりますので、これを教えていただきたい。
　それから、エのところの見守りカメラの増設ですが、トイレや居室という単語と並んでいるから気になるのかもしれないのですが、見守りカメラの設置はプライバシーの配慮という観点からは、どのような工夫がなされているのかが、気になりました。

（藤森委員）
　県として、細かい取組みや調査をしていただいていて、ここに書かれていることを色々やっていただいて改善に向けて動いてらっしゃるということは、よく分かりました。ただ、親の立場から言わせていただきますと、この資料５の15ページに県立施設は地域へ移していきますと書かれています。もう中井やまゆり園は、通過型の施設であるということが書かれてしまっています。この図だけ見たら、地域移行がすごく良いという形になっています。また、県の方で強度行動障害の研修等の見直しが入るという話も、親の会として聞いています。強度行動障害の場合も、地域の受け皿の方が全然できていないため「うちの子を見て欲しい」と親が民間の事業所にいっても、「自傷や他害がある子は受けられません」と何度も断られて、たいへんだったという話をきいています。その後、「中井やまゆり園などの県立施設に入ることが出来て、ほっとした」と、会員さんは言っていました。こういう状況がある中で、強度行動障害の研修がなくなってしまったら、受け入れる施設側も「いやそういう人はちょっと受け入れられません」、ということが多く出てきてしまうのではないかと、すごく心配をしています。「もう県がやらないので、地域でやってください。お願いします」と言っている中で、「中山やまゆり園では、色々な取組みをやっていて、地域に出て行っています」と言われていますが、本人が、何ができるのか、どういう受け取り方をするのか、どう接するのがいいのかという、個々のアセスメントをとることが、親からすると、すごく大事なことだと思います。今のお話を聞いていると、どんどん地域に出して、どんどん外へ出せば、みんなよくなるというような、一律な支援をされてしまって、個別支援をしていただいているのか、ものすごく心配になっています。
　私は自閉症児者親の会の所属です。自閉症は、すごく特性があるので、自分の思っていることをはっきり言えなかったり、思っていないことを、言っちゃう子がいたり、そういう障害特性のことを、周りがくみ取ることは難しいです。すごく分かっている支援機関であるとか、親はまだ分かると思いますが、先生はどうかなというような状況です。支援がちゃんとできる方に、個別支援計画を立てて支援をしていただきたいと思っている中で、今は、地域へどんどん移行していきますということを書かれてしまうと、親としては、親亡き後のことがすごく心配になります。これは、どんな障がいの方でも思っていることだと思います。当事者目線ということも大事なのですが、家族や支援する側という目線も入れて、考えていただければと思います。

（蒲原会長）
　大事な御指摘ありがとうございました。それでは続いて成田委員お願いします。その上で事務局からお願いしたいと思います。

（成田委員）
　当事者の親の立場からというお話で、個別の支援という話がありましたが、私も虐待がなぜ起きるかという理由に、職員や当事者が地域から孤立しているためであり、その解消のために、地域への移行を進めて欲しいと思っています。資料では、今、ネットワーク会議を作ろうとしていますが、その地域の方たちがこの動きをどのように受けとめていて、どういう現状なのかを知りたいです。そして地域の方が受け入れるためにどういう課題があるかというところをどう分析していくかが、これからその地域の土壌を耕していくときに必要だと思います。そういうところを今どういうふうに受けとめていらっしゃるのか、お聞きできればと思います。

（佐藤委員）
　親御さんの方々が大変苦労されてきて、最後たどり着いたところが県立施設だったということは、重々承知をしております。今、地域と言っているのは、何でもかんでも地域というわけではなくて当然個性があるわけですから、それぞれの生活歴を含めた支援の方法というものを工夫して、地域移行を図っていただくという趣旨で言っております。全然個性を無視したわけではありません。しかし、その親御さんたちの苦労は分かるのですが、その結果として、終の住処という施設にずっと閉じ込めておくということが虐待の温床になっているわけです。だから我々は地域をつくっていかなければいけないし、地域の理解も求めなければいけないと、そういう強い意志のもとに、今の計画を立てているということです。
　事務局の方から御説明がありましたけれども、簡単なことではないです。何年もかかります。それだけの覚悟を持って、県も、それから神奈川県の各事業者も地域社会を変えていくという姿勢を持たなければいけない。そういう意味で我々は外部の調査委員会を動かしております。ですから、決して親御さんの意見を無視するとか、そんなことはないので、みんなが安心して生活できるというような取組みを、神奈川県が本気でやるという意思表明をしているということです。別に私が事務局に代わって説明するような話ではないのですが。

（榛澤委員）
　先ほど、当事者目線の言葉を軽く使ってほしくないみたいなことを言ってしまったのですが、こういう説明の時に当事者目線という言葉を今後もたくさん使うことがあると思うので、別に使ってもよいです。ただ当事者目線に立つのが結構、難しいことと認識していただければと思います。当事者目線という言葉を使うと、榛澤さんに怒られちゃうみたいなことはないので、全然気にしないで使ってください。
　滝山病院事件というのは皆さん御存知だと思うのですが、それについても触れないといけないと思ったので少しだけ話す時間をください。先ほども、終の住処という話もありましたが、ニュースやＮＨＫの特集番組を皆様も映像で御覧になったと思います。看護師の言葉とか行動とか態度とか、本当に許しがたいことで、前回のこの審議会の時に、知的障害者だけでなく、精神障害者の病院でもあるよという話を、取り組んで欲しいと言ったと思います。滝山病院は八王子市ですけども、実は職場のすぐ近くなのです。この滝山病院事件は、あくまでも氷山の一角で、色々な病院で行われていると、多分皆さんも御存知の方も多いと思います。
　僕はこの事件を通して、虐待も悲惨だけど、もっと悲惨だと感じたのは、ＮＨＫの番組でも描かれていた、実はさっきの終の住処とありましたけど、姨捨山だったということです。別に僕はあそこに入院されている方々、やっぱり捨てられた人達ということで、社会から捨てられ、家族から捨てられて、別に家族の大変さを考えたら、家族を責めようなんて全く思ってないのですが、ただ社会全体から捨てられて、本当にゴミのように捨てられて、実は酷い病院とみんな分かっていて、病院に入れている。本当にこういう言い方は失礼ではありますが、ごみ箱のような病院に患者たちが捨てられたことが、虐待の姿よりもっと悲惨な現実だと感じました。中井やまゆり園でも、本当に筆舌に尽くしがたい悲惨な虐待が行われていたのですが、ここでは精神障がいじゃなくて、知的障がいの方が主だったと思うのですが、社会から見捨てられ、家族からも見放されてしまって、まるでごみ箱のような施設に捨てられた意味では同じだと思っています。今回のこの取組みを見させていただいて、すごく本当に真剣に取り組んでいるということはすごく分かったので、精神の方にもこういう取組みをしてもらいたい。僕だって精神障がい者ですから、本当一歩間違えれば、ああいう施設に入れられたかもしれないし、決して他人事じゃなくて、あそこには高齢者の認知症の方もいらっしゃるので、ここにいる皆さんにとっても、自分があのような扱いを受ける可能性があるということも、他人ごとじゃなくて自分事として考えて欲しいと、脅しでもないし絵空事でもないと思っていて、現実に誰でもそういう可能性があるってことを考えながら取り組んで欲しいと思います。要するに、精神病院への対策もやって欲しいと心から願っております。よろしくお願いいたします。

（蒲原会長）
　ありがとうございました。そういう意味では、少し事務局から細かいことは別として、決意表明という形で今後きちっと議論するための決意表明を少しお話いただいて、この議論を締めたいと思います。よろしくお願いします。

（事務局）
　まず意思決定支援の関係です。今やっているのは、まず日常の記録を本人の目線に立って、どうして、どういう理由でこういうことをしたのか、うれしかった、何かに怒ったとか、本人の目線に立った記録を積み重ねることが、一番大切だということで、そこから意思決定支援の第一歩を始めています。
　もう一つ、ネットワーク会議のイメージ、地域の受けとめは色々ありますが、生育歴を改めて調べて把握し、本人がどういう人で、どういう人生を送ってきて、今何に困っていて何をチャレンジしようとしているのかということを丁寧に説明し始めています。そうすると、地域の方々もだったら俺も一つ力になろうじゃないか、私も力になれるかもしれない、となる。とにかく障がいだけを見るのではなくて、その人の人生の応援団になるというところに共感が生まれ始めているような気がします。
　最後に強度行動障害の受け皿の話がありました。我々今反省していますのは、いわゆる中井やまゆり園からグループホームへ、ある意味、大きな箱から小さな箱へみたいなところを地域生活移行で考えていたのではないか。そうではなくて、まずは園にいてもいいから、地域に出ていって、その行った先に1人でも多くの知り合い、仲間、また応援者、そういった方々を増やしていって、そこで、ここに住もうよとか、地域の中で一緒に暮らしていこうよ、そこを目指さないかと地域の方からも提案していただけるような地域生活移行を目指していきたいと考えております。これが私の決意表明です。

（蒲原会長）
　ありがとうございました。ぜひ県の施設は、当該エリアを管轄する市町村とよく連携をとりながら、ぜひやって欲しいと思います。引き続きその点については、これからの議論としていきたいと思います。
　それでは大変恐縮ですが、少し時間の関係がありますので、大変恐縮ですけども３点の報告がありますので、事務局から簡潔に、３点御報告をよろしくお願いしたいと思います。

（事務局）
　資料８、９、１０に基づいて説明

（蒲原会長）
　ありがとうございました。それでは以上の３点の報告について、何かありましたらお願いします。よろしいでしょうか。もし何かありましたら事務局の方に、御意見、御質問等を寄せていただければと思います。若干時間が超えてしまいましたが、本日の議題及び報告事項は以上になります。

（事務局）
　蒲原会長ありがとうございました。
　本日は、限られた時間の中で、委員の皆様から数多くの貴重な御意見等をいただき、心より感謝申し上げます。
　なお、会場にお越しいただいている委員の皆様につきましては、机上配付させていただいた黄色のフラットファイルをそのまま机上に残していただければ、事務局で保管し、次回会議において、机上配付させていただきます。
　次回の神奈川県障害者施策審議会は５月頃を予定しており、日程につきましては、改めて調整をさせていただきます。
　これで第36回神奈川県障害者施策審議会を終了いたします。
　本日は、誠にありがとうございました。