参考資料4 当事者目線の障がい福祉実現宣言〜あなたの心の声に耳を傾け、お互いの心が輝くことを目指します〜 私たちは、津久井やまゆり園事件のような悲惨な事件を二度と起こさないために、これまでの障がい福祉のあり方を根本的に見直し、「当事者目線の障がい福祉」に大転換することを誓います。それは「あなたの心の声に耳を傾け、お互いの心が輝くことを目指す障がい福祉」です。 私たちは「虐待」は絶対に認めません。強度の行動障がいの方に対して、周りの人や自分を傷つけるから、音や光などに過敏に反応し過ぎるから、長時間、部屋に閉じ込めておく、車いすに縛り付けておく、安全安心のためにはやむをえないということで、これまではそんな支援が当たり前のように行なわれていました。 しかし、それは明らかに「虐待」です。時代は大きく変わり、法律も変わりました。「虐待」の定義も変わりました。それにも関わらず、現場では同じような支援、すなわち「虐待」が続いていたのです。 それは県立施設においても例外ではありませんでした。県として、障がい者のみなさんに対して、心からお詫びいたします。そんな支援を続けていた事業者は、みんな反省し、支援のあり方を変えなければならないと私たちは思います。 「虐待」は絶対に許されることではありません。あなたは障がい者であるまえに、人間です。人間だからこそ、一人の人間として尊重されるのは当然の権利です。 私たちは部屋に閉じ込められている当事者ご本人の目線に立って考えます。なぜ、あなたは周りの人や自分を傷つけるような行動をしてしまうのでしょうか。もしかしたら、あなたは自分の気持ちをうまく表せないだけかもしれません。自分の気持ちを聞いて欲しいと訴えているに違いないと考えて接すれば、全然違ったサポートができるはずです。 私たちはそんなあなたの心の声に一生懸命、耳を傾けます。あなたの思いを受け止め、工夫をしながらサポートします。そうすればきっとあなたは安心してくれるに違いない。それが私たちにとっても大きな喜びにつながるはずです。それがお互いの心が輝く障がい福祉です。   施設はあなたが地域の仲間たちとのつながりの中で暮らしていけるよう、一緒に考え、みんなで支え、準備をする場です。一生そこで過ごしていただく場ではありません。あなたは自分の住む場所を自分で決めることができます。 かつて、周りの人を傷つけるからという理由で、ずっと部屋に閉じ込められていた人が、「当事者目線の支援」を受けることになったことで、生き生きと働けるようになっていました。 支援のあり方によって、こんなに変わるんだ。それは希望の光でした。こういう支援が拡がっていけば、必ずや、「当事者目線の障がい福祉」は実現できるに違いないと、私たちは確信しました。 どんな障がいがあっても、支えあい、愛と思いやりにあふれ、みんなのいのちが輝く、「ともに生きる社会」を実現するべく全力を尽くすことを障がい当事者、福祉関係者、そしてすべての県民の皆様に誓います。 令和3年11月16日 神奈川県知事 黒岩祐治