参考資料1 当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会 報告書骨格 〇昨年(令和3年)6月、当事者を中心とした標記の検討会議体を設置し、神奈川の20年後(2040年頃)の障がい福祉をあるべき姿を展望するとともに、その実現に向けて中長期的にどのような取組みを進めていくべきか、精力的に議論を重ねて頂いた。昨年10月に、県立障害者支援施設の当面のあり方を中心とした中間報告が取りまとめられたところであるが、さらなる議論が行われ、今般、誰もがいのち輝かせて暮らすことのできる地域共生社会を目指し、当事者目線の障がい福祉を推進していくための280の提言を盛り込んだ報告書が取りまとめられた。 はじめに 1 これまでの経緯(検討経緯、謝辞など) 2 中間報告の提言を踏まえた議論 (1)神奈川の障がい福祉の未来予測 (2)当事者目線の障がい福祉(「当事者目線の障がい福祉実現宣言」などについて) (3)普遍的な仕組みへの論点設定と憲章、宣言を起点にした条例等の制定 T神奈川の障がい福祉の将来展望 1 当事者目線の障がい福祉の基本的な考え方と目指す未来 (1)基本的な考え方(7つの理念) @ 誰もが個人として尊重されること A 心の声に耳を傾け、お互いの心が輝く支援を広げること B 政策決定過程への当事者の参加を進めること C その人らしい、希望する暮らしを実現すること D 可能性を引き出す、専門性の高い個別のサポートに取組むこと E 持続可能で多様性があり、誰も排除しない社会を実現すること F オール神奈川で地域共生社会を創造すること (2)目指す未来(10の方向性) @住み慣れた場所で、差別や虐待を受けることなく、安心して生活できる Aいつでも生活上の困難を相談できる機関、場所がある B本人の自己決定が尊重され、権利擁護の仕組みが機能している C支援者と対等な関係で、良き暮らし、良き社会を目指して協働できる Dいのち輝かせて豊かな生活が送れる、その人らしい暮らし方が選択できる E医療や教育などの関連領域との連携により、生活課題が解決される Fいきいきと過ごすことのできる日中活動の場と、快適な住まいがある G地域生活が実現できるよう、可能性を引き出す専門的な個別の支援体制がある Hそれぞれの様々な才能を発揮でき、違いを認め、誰も排除しない地域社会である I地域の担い手として活躍できる、社会参加や就労等の機会がある 2 今後取り組むべき重要な施策 (1)個人の尊厳が守られる社会の構築(目指す未来:@、B) ・「ともに生きる社会かながわ憲章」、「当事者目線の障がい福祉実現宣言」の理念の普及啓発に努めること  ・障がいを理由とした差別のない社会を実現すること ・権利擁護の仕組みが整えられた、障がい者虐待のない社会を実現すること (2)心の声に耳を傾け、互いの心が輝く支援(目指す未来:A、B) ・必要な障がい者全てが意思決定支援を受けることができるようにすること ・相談支援体制の充実に努めること(伴走型の支援を目指す) (3)本人活動の推進(目指す未来:B、C) ・本人(障がい当事者)活動に対する支援、社会参加の促進を図ること ・障がい当事者の政策決定過程への参加を進めること (4)その人らしい暮らしの実現〜社会資源の充実方策(目指す未来:D、E、F、H) ・人と人のつながりのある居場所、本人の力が発揮できる出番を作り出していくこと ・地域生活移行を推進するとともに、地域生活及び居住の支援を進めること ・関連領域(医療、教育、雇用、住宅、農業、商工等)と連携を図った、包括的な支援体制を構築すること ・福祉人材の確保と養成を進めること ・入所施設の役割の縮小、転換を図り、緊急時対応と通過型のサービス提供に重点化すること ・県立施設の支援内容のさらなる検証を行うこと ※ 中間報告での提言の引継ぎ (5)本人の可能性を引き出す、専門的な個別のサポート(目指す未来:G) ・いわゆる「強度行動障がい」のある人に対する支援の充実を図ること ・高齢化への対応を推進すること ・新たな課題(医療的ケア児・者、障がいに関係する、孤立・孤独、ひきこもり、生活困窮、ケアラー、家族支援 等)への対応 (6)多様な価値観の取り込み、持続可能な誰も排除しない社会の実現(目指す未来:H、I) ・障がい者アートやICT技術の活用等を通じ、それぞれの才能を最大限引き出す取り組みを進めること ・ポストSDGsの議論を加速させること ・制度の持続可能性の確保 (7)地域共生社会を目指したオール神奈川の取組み(目指す未来:@、H、I) ・障がい者も含めた地域包括ケアシステムを目指し、誰もがいのち輝かせて暮らすことのできる地域共生社会を実現すること ・圏域毎の自立支援協議会の活性化を図り、県の市町村支援機能を強化するとともに、地域課題の解決に向けた取組みを進めること 3 今後の施策等の進め方 ・長期的なビジョンに基づいた施策の展開を図ること ・できることから速やかに取り組むこと(サブグループづくりなど) ・効果検証をしっかりと行うこと(PDCAサイクルを回す) U 論点ごとの提言の詳細 1 障がい福祉施策の充実強化 @いわゆる「強度行動障がい」のある人に対する支援 A高齢化に伴う支援の充実強化 B地域生活移行の推進、地域生活の支援 C日中活動のさらなる充実 D居住支援の充実強化 ※障がい児及び家族の支援について引き続き検討 ※三障がいに広げた福祉の充実強化について引き続き検討 2 地域の社会資源の充実 @医療、教育、雇用、農業、商工等関連分野との連携 A福祉人材の確保、育成 3 障害者支援施設(県立施設を含む)のあり方 ○入所施設の役割の縮小、転換(緊急時対応と通過型のサービス提供に重点化) ※県立施設のあり方は次期指定管理期間においてさらに検討 4 当事者目線の徹底と権利擁護 @本人活動の推進、政策決定過程への参加 A虐待ゼロの実現 B意思決定支援の推進 5 地域共生社会の実現 @地域包括ケアシステムの対象拡大 A包括的な相談支援体制の構築 B「ともに生きる社会かながわ憲章」や「当事者目線の障がい福祉実現宣言」等の理念の普及啓発(障がい者差別のない地域共生社会の実現)  6 先駆的な取組みや理念の積極的な取込み @多様な価値観の取込み(文化芸術活動の振興、ロボット・ICT技術の活用、ポストSDGsに向けた議論 等) A制度の持続可能性の確保 7 市町村支援について おわりに ・今般の報告書の提言は、お互いの心が輝く、「ともに生きる社会かながわ」を目指して、障がい当事者も含む関係者が支える・支えられる関係を越え、「自分ごと」としてその道行きについて議論し、合意した上で取組む、いわば「温かい改革」によって実現することを期待している。この報告書の内容が広く関係者に共有され、今後、総合的、計画的な施策等の展開につながることを望む。 参考 当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会委員名簿(50音順敬称略) 左から氏名、所属等 大川貴志、社会福祉法人同愛会てらん広場統括所長 大塚晃、日本発達障害ネットワーク副理事長 委員長蒲原基道、日本社会事業大学専門職大学院客員教授 河原雄一、社会福祉法人星谷会理事長 小西勉、ピープルファースト横浜会長 佐藤彰一、國學院大學教授 冨田祐、ブルースカイクラブ会長 奈良ア真弓、にじいろでGO!会長 野口富美子、神奈川県心身障害児者父母の会連盟幹事 林雅之、社会福祉法人清和会三浦しらとり園児童施設長兼生活支援部長 福岡寿、日本相談支援専門員協会顧問 当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会開催経緯 第6回委員会、令和3年11月24日(水)9:30〜12:00、於:県庁本庁舎大会議場、○事例紹介(日本グループホーム学会事務局長室津滋樹氏)、○障がい福祉施策の充実強化について、○普遍的な仕組みづくりについて 第7回委員会、令和3年12月22日17:00〜19:30、於:県庁本庁舎大会議場、○事例紹介(社会福祉法人沸子園理事長雄谷良成氏)、○地域の社会福祉資源の充実について、〇当事者目線の徹底と権利擁護について、〇報告事項(神奈川県議会第3回定例会厚生常任委員会報告資料) 第8回委員会、令和4年1月24日13:30〜16:00、於:県庁本庁舎大会議場、○事例紹介(逗子市社会福祉課地域共生係大坂慎介氏)、○地域共生社会の実現について、○先駆的な施策の積極的な取入れについて、〇報告事項(意思決定支援の考え方について) 第9回委員会、令和4年2月21日9:30〜12:00、於:県庁本庁舎大会議場、○事例紹介(県共生社会アドバイザー野元氏)、○委員会報告書(骨子案)について、〇報告事項(県立障害者支援施設の指定管理者の募集について) 第10回委員会、令和4年3月29日15:30〜17:30、於:県庁本庁舎大会議場、〇本人活動の取組みの紹介(小西委員、冨田委員、奈良ア委員)、○委員会報告書(案)について、〇報告事項(当事者目線の障がい福祉実現宣言の修正について他)