各委員からのご意見(第6〜9回検討委員会) 1 障害福祉施策の充実強化(論点〜大事項)<第6回> (1)いわゆる「強度行動障がい」の人に対する支援(論点〜中事項) ○最初からの障がいではないということがあるが、曖昧な認識をされがち。やはり「強度行動障がい」とはどういうことなのか、説明の文章があった方が良い。 ○歴史的には、入所施設はお任せできて安心だという親御さんの気持ちがあった。家庭での生育と施設での対応の中で「強度行動障がい」は作られていったという面がある。障がい当事者の生活を変えていくには、やはり子どもの時からの生活を家族も一緒に考えて行動していかなければ難しい。 〇「行動に課題のある人」という表現でくくってしまうと、その人自身に何か問題がある というふうに読み込んでしまう。社会がその人に、そういう課題を与えているという側面がある、だから社会自体が変わっていかなければいけない、地域自体が変わっていかなければいけない、支援者も変わっていかなければいけないという側面から読み込まないといけない。 〇その人が抱えている困難さは、環境因子もある。一人ずつ違うその環境の中でどう支援していくかということになると、研修だけではなくて、支援の現場を、常に支援者も家族も含めて見て、改善していくという試みが常に行われ続けなければいけない。そこを明確に記載する必要がある。 〇「行動に課題のある人」や「強度行動障がい」という言葉の定義、使い方も含めて整理する必要がある。「強度行動障がい」というのは、支援者が対応できなくなったときに、そういうレッテルが貼られる。ここが客観的に評価されていない中で、支援者の力や施設の方針に左右されてしまっているという現状をまず押さえる必要がある。 ○「行動に課題がある」と言われる人達たちが、実際には人間関係を作ることができている。そういう中で、それぞれ個々が本当に人間として回復していく。そして地域にまた戻っていくことができるというプロセスが非常に大切で、その理解を是非お願いしたい。 〇集団生活を強いるということは、行動の課題をより重篤に変容させる可能性がある。「強度行動障がい」の人が人間関係を持てないというのは全く別。「強度行動障がい」の人は「人が刺激になる」、「言葉が刺激になる」という理由から、人との遮断が強く用いられている。そういった方法論に当てはめるのではなく、心の発達や個別性を重視する必要がある。 〇「強度行動障がい」の自閉症の人を怖がる人が結構いるが、僕は常に会話を大事にしていて、優しく接すれば、彼らも分かってくれる。「この人難しい」と言う前に、やはり、まず興味のあることを話すと良いと思う。 〇発達障がいのことを理解するために、私は一般と一緒になって勉強している。やっぱり他の障がいを知ることは大事だし、仲間同士もそういう研修もやった方が良いと思う。そのために当事者同士の研修会を作ってほしい。 〇自宅で興奮状態になってパニックが起きたときに、ショートステイや入所施設、グループホームで受け入れるというのは、場所が変わって環境が変わるということなので、行うべきではない。例外はあるが、短期入所等で受け入れて、専門家が支援するという方法ではなく、これからの方向性は、支援者が家庭などに出向き、「行動障がい」を持っている人が落ち着くまできちんと支援する、そういう専門性が必要だ。「行動障がい」でパニックになったときには24時間365日で、支援センターからアウトリーチで支援するという、そういう姿が必要なのではないか。 〇短期入所の役割に関して、一律に、アウトリーチによる支援にすべての事業所が舵を切れるかどうかという課題もあるので、今後の検討過程として議論していく必要がある。 〇アセスメントの強化に関しては、本人の持っている強みとか可能性というストレングスに着目をしたアセスメントというものが必要だと思っている。 〇「強度行動障がい」の人に対する体制づくりの課題の整理については、非常に良いものであると思うが、実際に担える人材がいるのかというと非常に少ない。現状として、担える人材が少ないということに立脚して、取組みを進める必要がある。医療との連携についても同じで、「行動障がい」を理解しているドクターは非常に少ないのではないか。 〇本当の専門性というのは、自分たちのお座敷で支援するときの専門性ではなくて、本人がいる場所に出向いて、そこで、どのように本人が頑張れるかとアプローチするときの専門性だというふうに受けとめてほしい。報酬に関しても、本人がいる本来の場所に出向く支援で成果を上げることにこそ評価を高くしていく必要がある。 〇県立施設において指導的な役割を果たしてきた職員が人事異動等により流出するという記述があるが、県が緊急財政対策を立てていく中で、県の機構なり補助金なりの体系が見直された中で、こういったことが確かにあったと感じる。 〇現在、コンサルテーションを受けながら「強度行動障がい」の人に対する支援の再構築を行っているが、こうしたコンサルテーションは、単発ではなく、併走型で長期間に関わってもらえる体制を検討してほしい。 〇現在の「強度行動障害支援者養成研修」は必要な研修ではあるが、基本的な身体の発達であるとか、心の発達という、この一番押さえなければいけないセットが抜けている。これが抜けていると、本人との約束と合意という発想に至らない。我々が対応しきれないという枠を超えていくことで、非常に豊かなつき合いというのができると思っている。やはり、もう少し個別性を重視して、研修等をやっていく必要がある。 〇建前的な話になるが、事業者と利用者が原則契約に基づいている中で、本人が事業所等を利用する際に、本人との「約束と合意」を前提とするということについては、慎重に議論をすべきではないか。さらに、これを運営規程に盛り込むとなると大きな議論になるのではないか。 ○「強度行動障害支援者養成研修」の基礎研修を実施したところ、一定の効果があるなという実感を受けている。加算対象の研修ということであるが、できれば広く支援者に受講してもらえる研修になれば良い。 〇事業所側から見ると研修の機会というのはさらに多く増やしてほしい。おそらく受講希望に対して実際に受講できる人の数というのは、充足をされていないのではないかと感じている。 〇適切なアセスメントとモニタリングについて、サービス管理責任者の研修が基礎、実践、更新というふうに体系化されており、アセスメント等の重要性ということを伝えているので、この研修もうまく活用しながら、「行動に課題」のある人の支援について伝えていくということも必要だと感じた。 〇事業者の運営責任者である法人役員や管理者を対象とした研修という記述があるが、これは虐待防止の研修も管理者向けの研修があり、こういった階層への研修というのは、必要だと感じた。 〇「強度行動障がい」の人に対する支援の実践研修については、現在、既に自閉症療育者のためのトレーニングセミナーがあるので、こうした既存のものを生かした研修体系を整理していく必要がある。 〇一人ひとりの可能性をしっかりと周囲が感じていくことが、地域での生活を継続させていくことにつながっていくと思っている。一人ひとりの可能性が無限にあるのだという、その状況を作っていくことがいかに大切であるか、それが専門性になると思っている。 〇障がいがあると分かってから、周りの大人たちが「こんなこと危ないから、危険だからやっちゃ駄目よ」と、一時期、ずっと止められていた。何でそこで自分の力が縮まされたんだろうと後悔している。そのまま子どもから大人にどんどんステップアップしていれば、「こんな支援が必要」と言えた。まずは自分で聞こう、私に対しても聞いてもらって、私はこういう人ですって。そういうことが小さいときに分かっていれば、もっともっと違うんだろうなと思う。 〇「強度行動障がい」の人はもう大人になっているので、子どもの時からのいろいろな経過を家族も含めて皆が、それを遡って確認して、その中で一つひとつ、本人がそれを克服していく、こだわりをなくしていくということをやっていくことが大事。現状にのみ対処していくというのは、なかなか最終的な解決にならないのではないか。 〇「強度行動障がい」といわれる人が、非常におかしなことをするけれども、それは本人の意思だというふうに理解をすることが重要。何でそういうことをやっているのかというと、それは自己主張なんだと思う。自己主張なんだということが理解できるかどうかは、もう支援者の力量の問題になる。果たして、神奈川県内の色々な事業所の支援職員が力量として持てるかどうか、神奈川県だけの問題ではないと思うが、まさにいま、県に問われているのだと思う。 〇一緒に戦ってくれる人がいないんだ、一緒に戦ってくれる人がほしいという発言があったが、やはり、「強度行動障がい」と呼ばれる人たち、日常の行動に課題を多く抱えている人に対して、諦めてしまっているところがある。その人の状態に合わせて話し合うことが必要であり、アセスメントのときに、心の発達、身体の発達、動作、参加、環境因子とか、個人因子とか、そういったものがすべて絡み合ってくる。その中で今、環境因子というのが、環境設定という言葉でくくられている現状があるが、環境設定って一体どういうことなのか、そういった話し合いをしっかりと行うことが必要だと思っている。是非そういった場を作ってほしい。 〇今、入所施設で行われている環境設定というのがどこへ向かっているのか。社会に向かっていかなければならないのだが、この環境設定のあり方、心の発達と身体の発達、そういったものがセットなんだと。身体の発達は、本当に脳科学的なものも含めて、しっかりと学んでいかないと、なかなか生き難さが抜けていかないのではないかと思っている。 〇心の発達と身体の発達をセットで捉える実践から、地域で暮らせなくなった人たちが、施設の中で、もう一度この可能性があるんだと、いろんな側面が見えてくる。そうした中で、計画相談や地域の相談員も市町村のケースワーカーも、もう一度地域に戻ってもらいたい、戻そうという取り組みが生まれる。それが一緒に戦っていくという一つの流れを作っていくことなのではないかと思っている。 〇やはり、報告書で、何か地域に戻るようにするということじゃなくて、地域に戻っていく時の具体的な、そのやり方のところのレベルの話を、良く皆で考えていかなければならないという観点からの話だったと理解した。 (2)障がい者の高齢化に伴う支援のあり方(論点〜中事項) ○身体が元気なうちは何歳になっても働きたいと思う。何歳になっても、好きなところで暮らしたい。 ○僕には身寄りがいない。仕事を辞めてしまったら、仲間との関わりが減っていく。その時に相談できる相手が減ってしまうのが心配だ。 ○施設の中での高齢化対応の話を聞くと悲しくなる。障がいがあっても地域で老いていくことは可能。私の仲間たちは、仲間の職員たちと、グループホームで人生の最期を迎えている。葬儀も仲間たちに見守られて行う。人生の最期の瞬間まで一緒に生きてきた仲間と一緒にいたい。県立施設で亡くなっている人は、たくさんの仲間に見守られているのだろうか。 ○知的障がいの人に対する介護技術の不足というのは否めない。高齢福祉サービスから、その障がいのある人に対する介護技術のアドバイスを得られる仕組み、逆に、知的に障がいの人を、共生型の高齢施設で受ける場合には、障害福祉サービス事業所が高齢施設に出向き、そのノウハウを共有するという、双方が巡回できる仕組みを考えていただきたい。 ○知的障がいの仲間も高齢になると、グループホームに住めないことも増えてくる。グループホームは階段がきつかったり、エレベーターが無かったり、バリアフリーになってない。設備がいいグループホームに入ると家賃が上がるけど、老人ホームだったら安いよねって。なので、障がい者が高齢者になったら、逆に障がい者も一般と同じ老人ホームを選べるという選択肢を作ってほしい。 ○住まいの整備に関して、是非暮らしの場としてのハード面の整備の充実について、検討してほしい。 ○当事者の希望としては、やはり生涯現役でいたいとの思いが強い。しかし、加齢に伴ってフルタイムでB型を使うことが難しくなったり、働くこと自体が難しい人たちが、従前の福祉サービスを使いながら、介護保険のサービスを組み合わせて使えるような柔軟な対応、仕組みが必要ではないか。 ○介護保険と障がい福祉サービスの制度間の課題として、利用者負担の問題があったり、いわゆる介護保険優先の原則の解釈が市町村によってだいぶ異なるということがある。65歳になれば機械的に介護保険に移行するような市町も散見され、神奈川県下の実情を把握する必要があるのではないか。 ○高齢者施設の職員を長くやって感じることだが、認知症も自閉症もパターンが似ているので、年を取って一緒に暮らしてもいいのではと思うことがある。障がい者が一般の人と住むのは大変よねって思うが、工夫だと思うし、障がい者福祉と老人福祉が合同で研修をやってほしい。それを神奈川県の職員がつなげてもらうともっといいと思う。 ○高齢になって、補聴器や眼鏡が必要となっても、本人がその気がないとつけてくれない。それをどうやって仲間たち同士で発言できるか。補聴器など福祉器具って結構値段が高いので、知的障がいの仲間は、買っても高くて使わない。入れ歯もそう。最近私の仲間同士も入れ歯をつけている仲間が増えている。入れ歯、補聴器、福祉器具も、障がい者制度と同時に使えて、補聴器などが安くレンタルできると良いと思う。最近仲間でよく言うのは、本人活動の仲間も高齢化になると会議ができなくなる。耳が遠くて「はっ?」「はっ?」ってなっちゃう。知的障がいがあると年を取るのが早くなる気がしており、本人たちの高齢化の問題を是非議論してほしい。 ○これから先、生活保護や障害年金のお金が減らされることを心配している仲間がいる。介護保険では十分なサポートを受けられないのが不安。 〇8050問題のことは本当に心配で不安になる。高齢の仲間が急に親を亡くし、大きく環境が変化することは、とても負担になると思う。最悪の場合、孤独死ということも考えられる。将来のことを不安に感じながら、家族と暮らす仲間がいる。仲間が安心して生活ができるように、サポートをする支援者が必要だ。 (3)地域生活移行の推進、地域生活の支援(論点〜中事項) 〇グループホームだけでは地域の中で障がい当事者の支援はできない。日中活動を含め、個別に対応した支援チームの構築というのは非常に重要な視点だ。相談支援や行政関係も含め、個別のオーダーメイドの支援が改めて必要だと感じた。 ○一度暮らすと、なかなか住む場所を変えられない現状がある。気楽に引っ越しをしたい。引っ越しはできます。職員は諦めないでほしい。「何もかもが駄目」は言っちゃいけないこと。 ○施設城下町みたいな形でグループホームの整備が進んでいる現状は、おそらくグループホーム学会が念頭に置いていた地域移行とは違うのだろうと思っている。先進地と言われていた神奈川で、なぜそれができなかったのか。地域生活への移行は、グループホームに移行したらそれでいいという議論があるが、実態をよく見ていくことが必要だ。  ○入所施設の利用者の地域生活移行については、特に、集まる、集まるをしなきゃいけないというのがお願いだ。例えば、どうもうまく今の生活を続けられなくて、入所施設に入所されたという人の場合には、まず最初、入所施設に行くのだが、そのときにもう、すぐに関わる人たちが皆、本来の生活に戻れるようにするために2か月後に集まりましょう、という約束をしなきゃいけない。入所施設と地域生活移行に関わる人たちが、今後の段取りをしっかりと考えて、キャッチボールしながら、入所施設の方ではこんな段取りをしてきますということを、繰り返すっていうことがとても大事。 ○本人が入所施設に入ると、皆さん、どこかでほっとしたって思う。そうして2日、3日経つと、喉元過ぎてしまう。それがいつの間にか将棋倒しのように今日・明日・明後日って続いていってしまう。そうするとまた違った課題にぶつかるようになってしまって、いつの間にか、短期からミドル、ロングとなってしまう。とにかく、入所施設に入ったその日にすぐ、その支援会議を続けられるようにすることが大事。 ○長い間、入所施設に入っている人たちこそ、モニタリングを増やさなきゃいけない。というのも、通常だと相談支援のモニタリングは、入所施設に入っている人たちは1年に1回ぐらいの目安とされている。しかし大切なのは、今の暮らしを続けたいという希望を基に、今の暮らしを続けるという支援目標を作ってしまうと、サービスは、「生活介護施設入所者一体型」の一行で終わってしまう。この一行で終わるサービス等利用計画を2か月後に見直しましょうとはならない。気が付くと、1年後、そろそろモニタリングとなる頃には、その当時のサービス管理責任者が変わっていたり、行政の担当者が異動になっていたりして、またリセットになってしまう。 〇大切なのは、今の暮らしは大切だが、向こう2か月の間に、もっと違った暮らしの場はないか見てみたい、あるいは、日中に過ごしている活動も嫌ではないが、もっと違った活動の場面がないか、いろいろ見学してみたい、というプランが入った時に、ようやく、さあどうなるかということで、2か月後集まりましょうとなる。なので、モニタリングを行うためには、必ず、本人たちに、違った方を見てもらうとか経験してもらうとか、そういうようなものを入れ込むプランにする必要がある。 〇その中で本人たちが「ここ良いなあ」とか、「ここで気持ちにちょっとスイッチ入る」というところがつかめるっていうのが自分の経験。入所している人にこそ、新しいこの手がかりをみんなで考えながら、本人の様子をよーく見ながら、モニタリングを続けるということが大切だ。 ○入所した途端に周りの関係者がすっと引いてしまうという話をしたが、入所施設からグループホームに移ったところでもさっと引いてしまうという話があった。常にその周りに関係者の連携協力体制っていうのが必要だと感じた。 ○相談支援専門員の数が不足しているという記述があるが、私自身の相談支援の経験から、確かに、1人で何百件も計画相談を抱えていたりというような現状にあるいう実感がある。 ○地域生活を担う促進担当職員を配置したり、広域支援マネージャーの配置、グループホームを促進するグループホーム等支援ワーカーというような、そういう人たちがいてくれれば、地域生活移行が進むと思う一方で、現場の職員の不足がある中で、担うことができる人材を、実際に確保することができるのか、しっかり議論していく必要がある。 ○西駒郷の今後のあり方の検討会の結果で、地域移行生活が幾らかは進んだけれども、まだ残っている人がいるという報告があった。どうして残っているのか、要因は一つではないと思うが、今後、神奈川県が進めていく上で、押さえておいた方が良い。 ○障がい児の入所施設から地域生活等への移行の問題である「過齢児問題」は、神奈川でも大きい課題だ。相談支援専門員、民間の相談支援専門員がその相談を受けて、一人で動き回っても200%困難だろう。行政機関も含めて、しっかり協力体制というものを構築して支援チームを作っていくことが重要だ。 ○これは国も含めてなのだが、今後、「地域移行支援」の実績の低い理由を検証する必要がある。 ○地域生活移行を進めるためには、入所施設の利用者に対して、社会体験の機会を増やすとともに、入所施設自らもサテライト型として地域に小規模化・分散させて居住の場を設置するような取組みを進めていけるよう、制度の見直しが必要。今後、新たな居住支援の場を検討してく際に議論していただきたい。 ○入所施設の利用者向けのグループホームを作っていくのだが、本人から、やはり誰と暮らしたいのかという提案を受けて作っていく。そんな形を作っているが、何かパズルに当てはめるようなことだと、地域移行の概念とは大きく異なるのだろうなと感じている。 ○入所施設から地域に出たとき、関わっていく人が減っていく可能性が多くある。しっかりと地域で関われる人が増えて、過ごせる場所が増えていくという仕組みを作らないといけない。地域に移ったからおしまいとなると、やはり人生苦しくなっていく。人生がその場所で広がっていくんだという実感が持てるような暮らしを作っていくということが非常に大切だと思う。そういった観点を持って進めていただきたい。 ○専門性は出向くことであるという意見について、やはり私もそう思う。入所施設で対応するというのは、仕組みの中ではやるのだが、やはり自分たちが出向いていくことが大切だ。特別支援学校から、「暴れて授業に参加できない生徒がいて、授業にもっと参加してもらいたいが、このままだと入所になるから見てほしい」ということで、よく依頼を受ける。一人ひとりの可能性を、しっかりと周囲が感じていくことが地域での生活を継続させていくことだと思っているので、一緒に授業に出て、いろいろなことが体験できたりとか、本当に一人ひとりの可能性が無限にあるのだという、その状況を作っていくようにしている。 ○入所施設からの地域生活移行だけではなく、在宅からグループホームに行きたいという希望者は、非常にたくさんいる。入所施設からの地域生活への移行の取組みが優先されているので、在宅から移行を希望する人たちのグループホームの受け皿が足りなくなることを心配している。そういう人たちは表に出てこない。大きな声は出ていないので、結局、在宅でいる場合は地域にいるというふうに整理されてしまうと、本人の自立という意味では、後回しになってしまうのかなと思う。在宅で家族と一緒に生活している障がい当事者も含めての自立の生活の一つの方法、方向としてグループホームもあるという視点も忘れないでほしい。 ○グループホームで知らない仲間と暮らして、すごく人間関係で悩むことがある。施設も同じ。でも学校の仲間はずっと一緒だよねって。それで私はよく養護学校の仲間全員で一緒に住むと、どうなっちゃうんだろうねっていう議論をいつもしていた時に、仲間って大事だけど、でも、知らない仲間と暮らすストレスはどのぐらいあるんだろうなっていうのを皆さんにも考えてほしい。 ○入所した途端に、相談支援や行政の人たちがさっと引いてしまうところがあるので、やはり入口のところで、入所の目的をきちんと整理をして、地域に戻るための支援体制を作っていく。それには相談支援の役割はとても大きいと感じている。 ○一般的な相談支援というのも当然、地域の中で大事だが、それと併せて、施設入所者に対する相談支援という切り口できちっと整理をしていく。そのときに、先ほど出たように外部の人がどう関わっていくか、あるいはそもそも地域に、循環型を目指しているのであれば、地域に帰るところをちゃんとイメージした相談支援体制をどうするのかが大きな論点になる。 ○入所施設ほど、本人に見てもらったり、体験してもらったり、見学に行くという機会を作りながら、本人の表情や振る舞いからモニタリングしたがっているっていうふうな仕組みに変えていかないと駄目だ。そういう意味でいけば、本当は入所の方こそモニタリングを増やさなきゃいけない。 ○制度創設当初は入所施設のモニタリングは、年に1回で良いとされていた。途中から年2回になってきたが、むしろ生活が全く変わらず、変化をつくり出していくということが、不本意ながらできていけない人たちに対してこそ、本当は、振り返るためのモニタリングが重要。モニタリングするためには、何かを見てもらったり経験してもらわないと、心が動いてこない。そういう現場、現場の営みを始めてほしい。 ○相談支援を通しての地域生活移行ということが、長野県の事例も含めて、そういう力であったわけだが、結局、その力が働いてこなかった。相談支援が働かないんだから、地域生活への移行を進める上で、本人の説得とともに家族の説得、あるいは地域のサービスのことも含めて、覚悟を持ってきちんと用意しなきゃならない。やはり、セルフプランの策定の割合が大きいことも含めて、神奈川では相談支援自身がやっぱり停滞しているのではないかというふうに感じる。 〇地域相談支援の地域移行支援と地域定着は、地域生活移行や地域生活支援の要になる事業だ。これも福祉力の判断指標であり、地域生活支援等の力の判断の土台だ。神奈川県はこれらの数値が低く、令和3年度4月は地域移行14人、地域定着36人。人口規模が違うが、東京は地域移行104人、地域定着380人。人口規模が近い大阪は地域移行26人、地域定着968人。外部の人間から見た勝手な判断かもしれないが、客観的なデータとして、ベスト1なのかワースト1なのか、どんな相談支援を作っていくのか。そういうことを議論していく必要があると思っている。 〇(野さんの)スライドを見たが、何かすごく大変だと思った。病気になっても、頭脳がしっかりしてれば、しゃべれなくても何かできる、やれるんですね、ということを僕は感じた。訪問介護から看護師さんまで付くっていうのが、ちょっとびっくりした。本当にうちの人が大変だと思う。 〇地域生活支援拠点の事業について、重層的相談支援体制などと同様、県内の好事例なり県内の状況を取りまとめて、現状把握をする必要がある。 (4)日中活動のあり方(論点〜中事項) ○住むところと、日中活動の場所は分けた方が良い。 〇職住分離とか、そういった活動になってくるのだけれども、その参加の仕方だとか、活動っていうのは、本当に多様性があっていいと思っている。 〇昼間は施設から出て活動することが大切。多くの仲間たちと関わることが大切です。いろんな活動があった方が良い。もっと気楽にいろんな場所で活動を選べるようにしてほしい。 〇中井やまゆり園で暮らしている仲間は、もっと活躍できると思う。何もできない人たちは、支援に問題がある。一人ひとりがどういう暮らしを望むのか、しっかりと話し合って決めたい。 〇母のときにやっていたヘルパーさんが引き継いで僕のヘルパーさんをやってくれた。そこでいろいろ調理とかを覚えたのだが、自分で一番うれしいことは、褒めてもらえることだった。素質があるじゃないかと言われた。今、自分ではもう不思議で、調理するのが楽しくなってきた。 〇日中活動の場で、「行動障がい」の人、自閉症の人には、常に笑顔を忘れないで話かけている。そういうのが、自分にとってすごく嬉しくて、励みになる。家の中にいるよりは、1週間に3回ぐらいは日中活動に出て、僕はすごく今、勉強になっている。 〇いろいろなことを体験してもらい、一人ひとりの可能性をしっかりと周囲が感じていくことが、地域での生活を継続させていくことにつながる。可能性が無限にあるのだという状況を作っていくこと大切であり、それが専門性である。 〇昼間は、夜暮らす場と違うところに行くんだよというような、その場所をどうやって作っていくか。福祉関係者だけでなく、地域の、例えば温泉の人たちにも手伝ってもらって日中活動を考えていくというようなことを、長期展望というよりも中期展望として是非神奈川県で考えていってほしい。 〇入所施設から見た場合の日中活動の場というのは、地域のいろんな資源を組み合わせて用意するということが重要な視点だと思う。 〇私は働くことができる。冠婚葬祭にも参列できる。会議にも出席できる。もっと仲間の声をたくさん聞いてほしい。当たり前に参加したり、挑戦できる環境や機会を増やしてほしい。それが仲間たちの居場所になる。仲間たちの可能性に目を向けてほしい。仲間たちが自信を持って活躍する、できる場を作ることが大切。 〇自分が暮らす町の学校が廃校になっている。公立施設をもっと有効利用し、障がいを 問わず利用できる、暮らしやすい広場を作ってほしい。運動したり、学んだり、本を読んだり、いろんな活動ができる広場を作ってほしい。今後は県営団地や市営団地の空きの住まいを工夫して、仲間たちと職員が一緒に暮らせるように活用できないでしょうか。神奈川県が本気になって、市町村をまとめてほしい。 ※ 「本人活動」、巻末「市町村支援」にも記載 (5)居住支援のあり方(論点〜中事項) 〇住宅セーフティネット法に基づく居住支援協議会等々については、是非県が主導して各市町村にも設置を進め、民間の賃貸住宅が借りやすくなるような仕組みを作っていただきたい。やはり県と市町村の連携が必要な施策が多くあるので、是非そうした体制作りにの充実もお願いしたい。 〇市町村の住宅政策はあまり聞かない。市町村の住宅行政で、公営住宅を持っているところは公営住宅の管理という形でやっているが、一般的に住む場所をどう確保するかというのは市町村ではちょっと薄いということが一般的に言われているので、住宅政策に絡めた居住支援というのは、県のリーダーシップが大事なところだと思う。 〇グループホームを設置するに当たって、何か先にグループホームができて、そこに事業者が利用される方を集めているような流れが非常に強くなっていると思う。本来的には誰と暮らしたいのかという提案を受けて作っていく。入所施設から地域に出たとき、関わっていく人が減っていく可能性が結構ある。地域での関わる人がきちんと増やせるような、関われる人が増えていく、過ごせる場所が増えていくという仕組みを作ることが大切。地域に移ったからおしまいとなると、やはり人生苦しくなっていく。 〇グループホームで知らない仲間と暮らして、すごく人間関係で悩む。施設も同じ。知らない仲間と暮らすストレスはどのぐらいあるんだろうなっていうのを、皆さんにも考えてほしいなと思った。 〇在宅からグループホームに移行する人も非常にたくさんいる。入所施設から地域生活移行を進めていくととが優先されていることから、全体としてグループホームの数に不足が生じ、在宅で生活している人たちのグループホームへの移行は難しくなるだろう。自立生活の一つの方法、方向としてグループホームがあるということを忘れないでやってほしい。 〇入所施設で暮らしている人の暮らしについて、多くの人に知ってもらう必要がある。入所施設のみが暮らしの選択肢ではないことを、施設の仲間にも知ってもらいたいです。そのことを、行政や施設の人たちには、本気に取り組んでもらいたいです。 2 地域の福祉資源の充実(論点〜大事項)<第7回> (1)関連分野との連携(論点〜中事項) 〇小学校時代に、療育相談に通っていたが、そこの支援者が学校に来てくれて、学校と相談、情報交換する時間を作ってくれた。学校も前向きであったので、支援者がそういう実践をしてくれたことが良かった。 〇教育と福祉の連携がなかなか難しいと思う。生活保護や児童養護施設の後の行き先のこともそうだが、現状では相談支援事業者が一生懸命やってくれるが、縦割り行政の壁があり、交渉するけど、相手側がシャットアウトすると。当事者の立場に立った支援になっていないという現状がある。そういう視点での政策的な方向に、今後進んでいったら良いと思う。 ○子どもは、障がいがあっても、やはり周りの同じような生活の中で育っていく、少しずつ育っていくんだというのを経験した。教育分野のところで、高校でのインクルーシブ教育については書いてあるが、幼稚園、保育園から小中学校でのインクルーシブな教育というのも、是非位置付けていただきたい。子どもの権利条約、障がい者の権利条約を起点に、学校の職員、また私たち家族も、根本を共有するというところから、みんなで考えなければいけないのではないかと思っている。 ○障がい者雇用の面接を受けた際、人間性を見てもらえるような気がしなかった。面接では、ピープルファーストの活動をしてきたこと話したが、相手には何も関心を持ってもらえなかったと感じた。自分の身の回りにもそうだが、採用側にも理解者がいないと不安になる。 ○施設の仲間が、救急対応が必要なときに、障がいを持っていることを理由に病院から 断れることがある。仲間の命を守るためには誰もが安心して医療を受けられるように体制を作ってほしい。 ※「地域包括ケア」にも掲載 ○自立支援協議会では、市町村の代表や団体の代表が参加すると報告事項が多くなって、本来のニーズを拾う場としては形骸化している傾向にあると思う。県の自立支援協議会に、将来展望についての検討の部会を設け、実効性のあるものに仕立てると良いのではないか。 〇自立支援協議会で取り上げる問題とか、そういうことを、やはり根本的なところでもう 一度、見直してほしい。今、やはり事業者の情報交換の場になっているような印象がある。 ○自立支援協議会は当事者が誰もいないので、障がい種別それぞれの障がい者と地域の民生委員にも入ってもらうと良いのではないか。本当に私たち障がいの人たちが住みやすい街を、ちゃんと行政がこの街に合ったものを考えて作ってほしい。ちゃんと当事者の声を拾ってほしい。 〇20年というスパンの将来展望を考えると、バリアフリーな設備が必要になってくるというところにも対応してかなければならないのではないか。 ○関連領域の連携については、「ごちゃまぜ」でいくという方向性で我々も考えていくべきだろうと思う。夜間は暮らしているけれど昼間は違うところに行く、その場所を作っていくことを福祉関係者だけで考える必要はないわけで、例えば地域の温泉の人達にも手伝ってもらって、日中活動を考えていくというようなことを、是非、中期展望として、神奈川県で考えていってほしい。 ○現在、地域生活支援事業の市町村事業となっている事業というのは、地域生活の中でとても大切な事業だが、市町村間で温度差、格差がすごくあって、移動支援などのサービスの利用が難しい状態にある。この市町村事業については、もっと多くの人が使えて採算もとれて皆が喜ぶように、地域生活の実現に向けた見直しを是非行ってほしい。 (2)福祉人材の確保、育成(論点〜中事項) ○「強度行動障害支援者養成研修」の受講の機会をできるだけ増やすという記述があるが、受講生の感想として、この研修を受けて、利用者との関わり方を見直すきっかけになったとか、今までは、支援者目線で支援をしていたが、利用者目線で支援していくようにしたいと思ったというような感想もあり、一定の効果があるという実感がある。これは報酬上の加算要件を得るための研修という側面があるが、できるだけ広く支援者に受講してほしい。 ○「強度行動障害支援者養成研修」の「基礎研修」の後に「実践」というものがある。事務局案ではより高度で実践的な研修の機会を設けるという記述があるが、現在神奈川県の自閉症協会が主催をしている、「自閉症療育者のためのトレーニングセミナー」があるので、新しく作っていくというよりも、既存のものを生かした研修体系を整理していく必要があるのではないか。 ○アセスメントやモニタリングの重要性についての記述があるが、現状では、サービス管理責任者の研修も、基礎、実践、更新というふうに体系化されていて、アセスメントの重要性についてもしっかりと取り上げられている。このため、サービス管理責任者の研修をうまく活用しながら、「行動に課題のある人」の支援に関連させて研修等を実施していくことが必要ではないか。 ○人材育成を施設のあり方と関連させて考えた場合、利用者の障がいの状態像に対応して、どのような研修に参加をしていくのか、適切なカリキュラムが用意された研修を受講できる環境があるのか、そういったこを前提にして、職員の量が必要なのか、質が求められるのかということが大きく変わってくる。そこを切り離して考えることはできない。 ○発達特性とか発達障がいのある子どもたちが、年長の頃には加配保育士がいなくても、クラスの中で過ごしていける力を育てるというのが一番の目的。その時に、本人たちは何もマンツーだとか、いつも人がそばについていなければというのではなくて、周りを見ながら自分でどう動いたらいいかということをずっと学習し続けながら、苦手なところについて相談するという力をつけてもらえると、やっていける。結果として、保育園の段階で、年長になったら加配の保育士さんがフェイドアウトしても、しのいでいけるような、本当に必要なところだけ必要な支援を受けるというような形を作っていくことが大事で、つまり、改めて、ここでもう1回「手厚い」ということについて、マンツーでひっきりなしについているということなのかについて、おそらく違った知見を持っているはずだ。 ○環境とか、マンツーで誰かがいつも側についていなくても、しのげる力とか、むしろその時間で本人が心動くこととか頑張れるものを見つけるとか、それはワークシステム的な取組みなのか分からないが、改めて、「手厚い」ということについて、財源、人というふうな一直線のつながり方ってことについて、1回振り返ってほしいと思う。 ○「手厚い」というのは、人の問題ではないと思っている。よく身体拘束が行われているような施設に行くと、人手が足りなくて、拘束せざるを得ないような話が出るのだが、他の入所施設も人手の数は一緒だ。むしろ県立施設の方が手厚い配置になっている。人手の問題とか予算の問題ではなくて、暮らし方の問題なのだと思う。 ○暮らし方というのは、当然いろんな要因がある。環境要因であったり個人の要因であるとか、そうした複合的な要素が組み合わさって、一人でできたりとか、意欲的になれたりとか、逆になれなかったりとか、そういうものがある。関係発達の問題も含めて、しっかりと捉えていかないと、ただただ構造化していくような、人手がないから構造化するんだ、という話に陥っていく危機感を常に強く持っている。とにかく暮らし方の問題であって、人手の問題ではないということを伝えていきたい。 ○人材を集める意味で、神奈川でこういうことをすると働きやすいよ、というところを県が主導して、今、いろんな配信ツールがあるので、是非、知事に音頭を取っていただいて、神奈川のこういった福祉の職場、人材の魅力だけでなく、神奈川のすばらしい自然環境や住環境についてアピールをしていただけるといいかな、と感じました。 ○共生社会を推進していくには、小学生や中学生、若い年齢へのアプローチというのはとても大事だと考えている。20年後を考えるには、その小学生たちももう社会人になっているわけなので、そこに関心を持ってもらうきっかけ、仕組み作りが大事なのかなと思っている。 ○夏休みに高校生の福祉体験の学習というのがあるが、福祉でも保育、高齢、障がいとあって、高校生が自由に選べる。圧倒的に人気があるのはやっぱり保育。そのあとが高齢、障がいが最後で、大体割合的には7対2対1。ただ、体験をしてもらうと、100%の人が良かったと必ず言ってくれる。いかに関心を持ってもらうかが大事。 ○現在、グループホームに住んでいるが、優しくて精神的に強くて、お金を預けても信用できる職員が良い。職員は壁にならないで、みんなを支える柱になってもらいたい。私の職場の、強度の激しい行動障がいがある人と言われる人が、周囲や自分を傷つける行動をしたときに、なんでそうなってるのかな、集中力が切れてきたのかな、それを知らせるためにアピールをしているのかなと、何かを言おうとしているのかな、と私は考える。なぜかというと、いつも職員と仲間は一緒に失敗したり謝ったり、喜んだり悲しんだりして、お互い考えているからだ。仲間と一緒に成長しあえる職員が良い。諦めず、いろんなことをチャレンジしてくれる職員が必要。職員は夢を持ってもらいたい。その夢を自分にも、語ってもらいたい。 〇当事者目線の障がい福祉宣言の中にも書かれているが、人材育成に関し、成功事例を学ぶ、学んで実践していくことが大事だ、というふうに書かれている。現在、神奈川県の良い取り組みとして、オール神奈川で実践報告会というのを開催している。これは、横浜市、相模原市、川崎市も参加している報告会である。今回で37回実施していて、ここ2年はコロナで中止をしているが、県立施設も民間施設も関係なく、実践報告の事例を発表している。オール神奈川ということでは、これは良い取り組みだと思う。是非、本人や家族にも発表してもらい、活用していければいいと思う。神奈川県にも後援してもらっており、積極的に参加をしてもらえればと思う。 3 障害者支援施設のあり方(論点〜大事項)<第7回> ○施設が必要な状態の時があると思う。施設が必要な状態の時は、心も体も傷ついている。ただ入所させて管理するのではなく、傷を癒せる環境が必要。そんな環境がない施設なら、ないほうが良い。できればプライバシーが守られた施設が良い。 ○施設で暮らしている人の暮らしを、多くの人に知ってもらう必要がある。施設のみが暮らしの選択肢ではないことを、施設の仲間にも知ってもらいたい。そのことを、行政や施設の人たちには、本気に取り組んでもらいたい。 ○県立施設の役割を考えるときには、県立施設だけを見ていても、どうしようもないというところがあって、県立施設が現在置かれている状況というのは、神奈川県の地域社会全体を反映しているわけなので、例えば日中活動を外に出ていくんだといったって出ていく場所がなければどうしようもない。 ○夜間暮らしてるんだけど昼間は違うとこ行くんだよっていう、その場所をどうやって作っていくかという、それができる法人あるいは団体と、そうじゃないというところがあると思う。別に福祉関係者だけがそれを担う必要はさらさらないと思う。温泉の人たちも手伝ってもらってみたいなことを考えて、日中活動を考えていくというようなことを、長期展望というよりも中期展望で、是非神奈川県で考えていってほしい。県立施設の役割を変えていく方向を決めていくときに、短期入所が主流になると思うが、そういう時の県立施設の役割ってなんだっていうことを考えたときには、地域を見ていく、これが重要だと思っている。 ○県立施設が制度の問題ではなくて、暮らし方の問題なんだというところで捉えなければ、県立施設ほど人員がたくさんいる場所はない。民間の方が圧倒的に少ない人員でやっている。人の問題やお金の問題ではない、暮らしの問題なんだというところを是非捉えてほしいと思っている。 ○施設が縮小するなら、施設で暮らしている仲間たちの夢を持てるような行き場所を作ってほしい。誰とどんなところで暮らしたいのか、聞いてもらいたい。いろんな暮らし方を教えてもらいたい。 ○障害者支援施設については、利害関係者というかステークホルダーとかいろいろ立場によって、いろいろ見解が異なるので、これが本当に20年後上手くいくかなということをちょっと危惧するところがある。 ○まだ支援費制度の時、ある県の知事が「施設解体」という言葉を強く打ち出した。しかし、知事が変わり、その「施設解体」宣言が出されたコロニーは、新たな施設に建て替えら、また同じものが作られたというふうに聞いている。施設と地域というのは、ある意味で対立させた方がいいと思っている。施設ではなくて地域なんだということ。地域生活を阻むものが施設だというふうに考えないと、入所施設の利用者数は減少せずに地域移行も進んでいかないということがずっと続くというふうに考えている。これがまさに20年後の姿かなあと思ってしまう。 ○障害者支援施設の必要性を含めたあり方について、今後の方向性ということも含めて、私はこの線でいいのではないか。20年後は役割の縮小と転換ということ、こういう方向だと思っているが、「入所施設に頼るような障がい福祉からの脱却」ということも含めて、少し強めの言葉でもいいのではないかなと思っている。 〇「障害者支援施設の必要性のあり方をどう考えるか」の資料の一番下のところに、神奈川全体の施設の状況とあって、平成22年度の実績が、入所者数は、少しずつ減っているということだとは思うが、依然として、神奈川の場合については、1,000人ぐらい増えている。これはどういうことかちょっと確認したい。国全体としては14万人から12万8,000ということで、だんだん少なくはなっているが、神奈川はどういう状況なのか確認すべき。 ○国も障害者自立支援法によって、施設から地域への移行、グループホームほとんど多く増えているが、入所者数を減らしていこうということでやってきた。最初の方はいくらか入所定員減ったが最近はちょっとそれが鈍ってきている。当然だが、重度の方であるとかあるいは高齢の方がいるということで、そうなってきたというふうには思っている。鈍ってはきているが、まだ12万人の人が入所しているということも含めて、0にすることはなかなか困難だし100年かかるだろう。 ○施設と地域は対立しない、二者択一ではない、このことばは正しい。最初の頃は、対立をしないで地域のサービスをだんだん増やしていけば、施設入所の人たちの数も減るのではないかという想定のもとで期待していたが、結局は。在宅のサービスが3倍ぐらいに増えているが、施設入所の数はそれほど減少していないというのはまさに、これを物語っているのではないか。そういうことを含めていけば、考えれば、20年後もなかなか減らないどころか増えているのではないかと。神奈川県も増えているのではないかというふうに考える。非常に悲しいことだが。 ○神奈川県の県立施設の利用者の相談支援をどうするかということが今課題になっている。相談支援をやる事業所があるのだが、実は利用者には全然手が届いていないという課題。外部の目が入っていないということなので、これをまず充実しないといけない。実際にそこで暮らしている当事者の生活を見るという、それも外部から見るという人が殆どいない状態に今、神奈川の県立施設はなっている。これが一番の問題だと思う。だから、神奈川の県立施設が孤立した状態、社会から孤立しているっていう状態を改革しないといけないと。これが今の課題だと思っている。 ○今県立施設で行われている支援について、外部かあるいは内部か分からないが、その相談支援、計画相談というものがどういうふうに立てられているのかということを、まず見直すべき。 4 当事者目線の徹底と権利擁護の推進(論点〜大事項)<第7回>  (1)本人活動の充実(論点〜中事項) 〇僕の人生で何度か不安が強い時があった。でも良い仲間に出会って、何度も立ち上がれた。今、僕の職場では、職員と仲間が一緒に作業や遊びなどを通して、背中を押したり、時に引いたりしている。かかわり合いがあるということです。信頼を積み重ねる努力もしている。信頼を積み重ねるために、お互いの夢や望む暮らしを語りあっている。もしうまくいかない時には、語り合いながら、最後はお互いに謝っている。分かり合える瞬間でもあります。そのような信頼関係の積み重ねがあることで、みんなが笑顔でバーベキューに行ったり、いろんな活動が出来る。失敗しても許される環境があるからだ。   ○ピープルファースト横浜の活動を通して、自分に自信が持てた。自分の思っている話をしても大丈夫だと知った。自分のことを話せるようになり、仲間が増えた。仲間はたくさんの場所と友達が必要。施設の仲間も同じ。施設で暮らす仲間とピープルファースト横浜の交流をしたい。 ○本当に今、神奈川の本人活動って、私自体も分からないことだらけ。というのは、横浜にピープルファーストができたっていうのも全然知らなかった。知事にお願いしたいのだが、神奈川の当事者活動が何個あるのかを是非一緒になって、協力してもらって作りたいと思う。是非、私たちの活動のための資金の援助をお願いしたい。私達当事者は、いろんな当事者団体があっても、活動資金がまずない。素直に本当に支援者の交通費も出せない。私がやっている「にじいろでGO!」も交通費がいつも出せていない。皆さんに当事者活動をよく知ってもらいたいので、是非この委員会の初めの時間に、できたら2月か3月に1度、私や冨田さん、小西さんの本人活動を10分ぐらい時間をもらって紹介をしたい。ご協力をお願いしたい。 ○神奈川の知的障がいって何だろうと言われたときに、まず神奈川には、いろんな本人がいるよっていう交流をさせてほしいし、是非そこで知事にもいろんな意見も求めたいと思う。この本人ネットワークを作るために、障がい当事者団体の数は何個あるんだろうとか、どんなところで、何に困っているんだっていうアンケートを作って、当事者なりに発信をしたい。神奈川全部のいろんな皆さん、業界の方にもお願いをして、うちにもこういうアンケートがほしいですとなれば、書いてもらって、それを集めて、1年に4回ぐらい仲間を集めて議論したいなと思っている。まずは地域で自分たちが活動することで、施設の仲間がどういうふうに、この先、仲間を投入していいのかっていう連絡場所にもなると思う。それをまず作る部隊を作りたいなと思って、今回お願いしようと思った。 ○身体障がい者にはいろんな団体があるが、知的障がいはそういう団体がなかった。神奈川県の育成会とピープルファーストは今も仲が悪い。そこが本音。一緒に歩まないといけないと思うので、まずはここからスタートだと思っている。神奈川に住んでいる人間なので、是非一緒に何かやりたいなと思っている。情報交換の場所も作らないといけないと思うので、まずはお互いのことを知ろうよって。そのためにお互い、いろんな情報交換をしたい。 ○本人ネットワークを作るために、福祉新聞などの情報を集めた新聞を作りたいなと思っている。いろんな新聞記者の方にも協力してもらって、一緒に記事を書いてほしい。私は全日本育成会で委員をやったときに、「ステージ」という新聞があって、分かりやすい情報を目標に、毎日新聞の記者の方と一緒に、本人向けでいろいろ記事を書いて、一年間で3回、3か月ごとに出していた。それは、事件もそうだが、神奈川の住んでいる町の情報も載せたいと思っている。例えば、神奈川大学に新しい国際交流があるみたいだよ、あそこの食事はフレンチがおいしいよ、とかでもいいと思う。そういう情報を載せるといいのかなって。一杯いろんな情報を載せる新聞があると当事者のみんなに見てもらえる。そこで、是非お願いをしたいのは、「知事マスコミまみちゃん」っていうのを設けて、知事のところに直接行って、「知事、お昼ご飯は何を食べていますか?」っていう記事とか、知事のプライベートをちょっとのぞくような取材もしたいなと思っている。 ○大声を出す人がいたから、もうしつこいからって言って、「やだ、やだ」なんて、本人がいる前で言っちゃうからね。それは、僕はちょっとびっくりした。彼女に聞いたんです。よっぽど嫌なのねっていうふうに言ったら、そういうふうに言っていた。彼のことよっぽど苦手、嫌なのねっていうから、「ちょっとつらかったね」って僕言ったんです。そういうふうに言ってあげると、分かると思うんですよ。何でそんなことするのなんて言っちゃいけないと思うんですよ。だから、もう常に、自分も優しく冷静にならないと、それは難しいと思う。本人活動をやるにはね。 ○他の障がいを知ることは大事だし、他の障がいのことで私は差別をしていることも多い。だからやはり、仲間同士もそういう研修をやった方が良いと思う。そのために、当事者同士の研修会を作ってほしい。 ○今回の報酬改定で、ピアサポーターの養成研修の充実というのが求めらることになった。意思決定支援の支援チームの中に、ピアサポーターの参加の奨励というふうに記述があるが、この中に入れるのではなく、障がいを持った人が障がいを持った人たちをサポートするという仕組みとして、20年後の障がい福祉を考えたときに重要な視点だと思うので、このピアサポーターの拡大というところは別立てで議論、意見として挙げた方が良いのではないか。 ○障害者自立支援協議会の委員に関しては非常に興味がある。神奈川では、委員会の全てには当事者は出ていないんじゃないかと思う。鎌倉市とか藤沢市とか、横浜市はほとんど当事者委員がいない。自立支援協議会委員には当事者は誰もいなくて、専門家が多かった。 ○自立支援協議会は見えてないところがあって、バリアフリーのマップ作りましたとかいうけど、私たちの望みは、そういうものではなく、本当に私たち障がいの人たちが住みやすい街って何か、ちゃんと行政がここの街に合ったものを作ってほしいと思っている。発達障がいの人、内部障がいの人、中途障がいの人、全部の障がいの人たちと議論をして、ちゃんと当事者の声を拾ってほしいなと思う。 ○自立支援協議会で取り上げる問題をやはりもう一度、根本的なところで見直してほしい。私の印象では、やはり事業者の情報交換の場になっている感じがある。自立支援協議会で当事者の意見を聞くということは本当に必要だ。 ○神奈川では、かつて身体障がいの当事者が「青い芝の会」を結成し、バリアフリーであるとか障がい福祉の向上に努めたという歴史がある。神奈川県の知的障害者福祉協会でも、当事者の声を盛り込んだ「あおぞらプラン」を作っており、当事者活動というものが神奈川の歴史的にもいろいろな形で行われてきた。是非ピアサポーターを含めた当事者活動の活性化というのは、将来に向けてやっていただきたい。 ○当事者の方たちの力をこれから強めていくということはとても大切なことだ。多分、当事者の人たちが障がい者福祉、あるいは現場を変えていくという力を持っていると思う。虐待防止あるいは意思決定支援も含めて広い意味での障がい者の権利擁護に、当事者の人たちに是非関わっていただきたい。 ○精神障がいの分野では、ピアサポーターという制度があり、また、研修のシステムもあって、専門的な観点からピアサポートする人を養成していくという仕組みができてている。かなり時間が経って効果を上げていると思う。是非、知的障がいや発達障がいの人についてもピアサポーターとしての力を発揮するような、そういう勉強の機会が必要だと思っている。 ○本人と現場あるいは本人を支える人、本人をエンパワーメントして、本人たちがもっともっと力を出せるような支援者、媒介者というのは、支援費制度のときに市町村生活支援事業の中に、本人を支える、当事者運動を支えるための支援者を養成してくださいという、確かに事業を作った覚えがある。まさに媒介者であるとか、そういう方がいて初めて、本人たちが力を発揮できると思う。そういう仕組み、システム、それと、きちんとした予算が未だないので、神奈川県からまず作っていけば、すごい最初の機会だと思うし、是非協力したい。研修のシステムであるとか、支援者のシステムそのものを作ることが必要だ。 ○ピアカウンセリングというのは、これからやった方が良いと思う。ピアカウンセリングはやっぱり、これからどんどんいろんな方がいますし、そういうのが必要。仲間のことを聴くってことですよね。実際僕も施設の方で毎日やっているけれども、職員の次に自分のところに来てくれる。毎朝、もうそれが僕にとって日課になっている。人数を数えきれないほど来ます。施設の中で一日に話す人が十数名以上ですかね。もう一人、この前、彼が言ってました。冨田さんと話したいから納品に行くんだよとか。それは職員によく頼んでます、最近。それでいいと思うんですよ。やっぱりこれからピアカウンセリングっていうのは必要だと思います。僕もピアカウンセリングについて研修したいですね。 ○いろんな全国の施設にお邪魔すると、やっぱり相談ってすごく下手だなあと思いながら見ている。本当に施設の人って「風」がない。私たちが施設に行っても「お邪魔します」って、堂々と施設には入れない。「何の理由です?」と聞かれて、こんなことで話を聞かせてくださいって。職員を通して本人に聞くので、「悪いけど直接本人に聞きたいから本人に直接会わせて」ってお邪魔する度にそう言うと、何かすごく職員の目がピカピカって光ってるように、目つきが悪いと感じている。 ○本当に、施設に私たち当事者がどんどん入って、本人の声を聞いて、本人同士のピアカンが大事だと私は思うけど、なんか周りの職員も配慮してほしいっていうことをお願いしたい。 〇本人活動の推進に関連して、この委員会の当事者3人の発言というのは凄く重く受けとめている。当事者委員から提出された資料は、勤務する事業所の会議や研修に使わせてもらっている。今後そういう当事者が活躍できる場が色々増えていけば良いと思っている。研修の場で当事者がお話をするとか、そういう機会が沢山あって良い。お三方以外にも、もっと多くの当事者に登壇いただく機会も大事だと思うし、県立施設の入所者も積極的に参加してもらう必要があると思う。 〇当事者目線の障がい福祉を推進するための条例制定については、2月7日、オンラインで知事と意見交換をした。知事、そのときはありがとうございました。その時の意見交換で、ルールを作るときには、障がいを持つ仲間の立場に立って作ってほしい、みんなが良いと思えるような考え方で広まれば良い、条例を作るときには、自分たちの意見を入れてほしい、といった意見が出た。条例を作るときには、必ず私たちも参加させて下さい。 〇この当事者目線の障がい福祉を推進するための条例の制定についての話は、ちょっとこれは、はっきり言って難しい。もう少し分かりやすくしてほしい。もしこういう、こういう話を人に説明するときに、できませんからこれじゃ。もう少し分かりやすくしてほしいと思った。 〇自分が暮らす町の学校が廃校になっている。公立施設をもっと有効利用し、障がいを問わず利用できる、暮らしやすい広場を作ってほしい。運動したり、学んだり、本を読んだり、いろんな活動ができる広場を作ってほしい。今後は県営団地や市営団地の空きの住まいを工夫して、仲間たちと職員が一緒に暮らせるように活用できないか。神奈川県は広い。いろんな地域にたくさんの仲間が暮らしている。神奈川県が本気になって、市町村をまとめてほしい。【再掲】 ※ 「日中活動」、巻末「市町村支援」にも掲載 〇この資料を全部当事者が読めと言ったら、1年かかっても読めないだろう。死ぬまで読めと言われれば読めるだろうというくらいの資料なので、是非、分かりやすいものを作ってほしいな、というのをお願いしたいし、提案したい。私なりに簡単に、分かりやすい版を作ってみた。まず、この会議の中身について簡単に7コ位項目を作ってもらうと良いのかなと思う。1、神奈川県施設のことについて、2、福祉サービスについて、3、意思決定について、4、神奈川県の将来20年後について、5、黒岩知事のメッセージについて、多分10コ位あったらできるのかなと思う。一つひとつに簡単な大きい絵を載せてもらうと良い。最後の7ページで、心の声に耳を傾けろと言われても良く分からないので、私の心の声に耳を傾けてというテーマで当事者委員3人が知事に1個1個質問して、知事が全部答えるという、コミックバージョンを作りたいなと思っている。これまで、国とか育成会を通して、何か分かりやすいものを作らせてもらったときに、いつも一方的に本人たちが喋るばっかりで、質問されても答えてくれる人がいなかった。ぜひ今回この委員会では、ぜひ知事に質問を3人からどんどん出して、答えてもらうとみんなが読みやすいのかなぁと思った。知事に最後何かメッセージとして書いてもらうと良いかなと思った。 ※ 巻末「報告書のまとめ方など」にも記載 (2)虐待ゼロの実現に向けた取組み(論点〜中事項) ○入所施設等での虐待報道には不安しか覚えない。多くの仲間は、いつ自分が虐待を受けるか分からないという不安を抱えながら暮らしている。不安が高まって、暴れてしまった時には、また施設に入れられたらどうしよう、また虐待されたらどうしようとさらに不安が高まる。虐待という言葉は多くの仲間に不安を与えていることを知ってもらいたい。 〇実際に県立施設を見学させてもらった。そこで暮らしたいとは思わない。県立施設から僕の職場に移ってきた人たちがいるが、県立施設で暮らしていた時は表情も暗く、何もできない人とされていた。身体拘束や鍵もかけていた。社会でうまく暮らせないと鍵の中での暮らしにされてしまうことが不安だ。 ○虐待のことだが、まずは障がいの仲間が虐待されたことに気が付いてもらってほしい。結構周りの仲間って、虐待なのか、セクハラなのか、いじめなのかが、区別ができない。 ○いじめと差別と虐待はすごく見えにくいから、余計分かりにくい。厚生労働省の委員を務めていた時のことだが、それで私たち仲間同士だって、いじめやった時だって虐待になっちゃう可能性もあるよねってよく言っていた。 ○私たち当事者だって、この障がい者に対して虐待しちゃう可能性もある。でもそういうものが、日本全国何もない。例えば、こういうことが虐待ですよ、こんなことがいじめですよ、こんなことが差別ですよっていう、見えてない言葉って多いと思う。鍵を閉めましょうって言ったって、私たまに自分の家で閉じ込められちゃうことがある。それは朝、鍵を自分で忘れて、ピンポンしても、うちの家は反応しない家なので、「やばい。私、鍵忘れた。どうしよう、どうしよう」って焦るくらい。それって虐待なのか差別なのかって言われちゃうと、そこもミソだと思うので、本人さん向けの虐待防止研修も必要だと思う。 ○権利擁護の部分のところで、ヒヤリハットの事例を素早く把握という記述がある。当然ながらヒヤリハットは大事な取組みだが、今回、アセスメントのスキルを上げるという観点から「にこりほっと報告」を紹介したい。これは日本知的協会の「サポート」誌に書いたQ&Aだが、アセスメント力を上げる意味で、利用者との関わりの中で、ニコッとしたこととかホッとしたことについても、事例として積み上げていくことが大事だ。  ○当事者の人たちの力をこれから強めていくということはとても大切だと思っている。多分、当事者の人たちが障がい者福祉、あるいは現場を変えていく、そういう力を持っていると思う。虐待防止あるいは意思決定支援も含めて広い意味での障がい者の権利擁護に当事者の人に是非関わっていただきたい。 〇虐待防止法に基づく委員会設置などが義務になってくるかと思うが、おそらく障がいを持った当事者にとって、合法的に拘束が許されるような形になる場合が出てくるのではないかと危惧している。福祉事業を営む者にとってのコンプライアンスは、制度に対してではなくて、やはり障がいを持った人の幸せに対してコンプライアンスを考えていくという、そういった考え方が重要になってくるのではないか思う。 〇コンプライアンスとは英語で、いろんな基準とか法律のこと。そういうものを守っているかどうかという意味合いだ。虐待という言葉は、英語で言うと「アビューズ」なのだが、アビューズって「乱用」のことだ。だから、その人が持っている権限とか役割とかそういうものを乱用している。それがコンプライアンスじゃないよ、という話です。だから本来あるべき姿あるいは責任というものを果たしていないという、それが虐待だという、そういう話になってくるということ。 〇身体拘束をされ、一生自由を奪われていく環境があることを知った。自分の気持ちをを伝えて、分かり合えない結果、身体拘束になると大きな不安を持っている。自分や仲間たちは望む暮らしや、目指したことに向かっていく努力ができると思う。望む暮らしや、目指したいことを上手に言えないときもたくさんある。自分や仲間たちは悩みもがきながら暮らしているときもある。そんな時しっかりと話を聞いてくれず、一緒に悩みもがいてくれる存在が大切である。仲間が一方的に暴れているんではなく、分かり合える時間があるということを理解してほしい。 ○中井やまゆり園の不適切な支援について、各市町村に通報というか情報提供したが、その情報提供を受けた各市町村の中で、施設を見に来た市町村が1か所しかないということだった。見にも来ないし調査もしない。要するに県立施設がどういうような状態になっているかというと、もう孤立しているということだ。孤立する中で相談支援なんか何もない。誰が相談を聞くのか、誰が計画を立てるのか。法定の設備であるので、法律上の書類は整えてあると思うが、実際にそこで暮らしている当事者の生活を見るという、それも外部から見るという人ほとんどいない状態に、今の神奈川の県立施設はなっているということが一番の問題だと思う。だから、神奈川の県立施設が孤立した状態、社会から孤立しているっていう状態を改革しないといけない。  ○中井やまゆり園の不適切な支援についての情報提供に関しては、県立施設であるからには、県庁も情報提供して終わるのではなくて、どういう事態が起きているのかということをしっかりと見守ってもらいたい。でないと入所施設が孤立してしまう。入所施設単独では改善できない問題がたくさんある。そういったことを今まで議論し、もう実践する時だと思っている。是非、県立施設などで身体拘束をされている人たちの暮らしについて、しっかりと皆で見てもらえるような体制を作ってもらいたい。 ○やはり県立施設は課題が大きい。今県立施設で入所系の場所が7か所あるわけだが、その中で、1日10時間以上身体拘束されているとか、2時間拘束されているとか、居室施錠を受けているという人が何人かいるという状態の中で、それを計画相談の人が入っていて、それでいいんですというふうに言っているのかっていう話だ。そんな相談だったら、やらない方がいいというふうに私は思う。県立施設がそういう状態だったとすると、県立以外のところで何が起きているのかっていうところに広がっていくわけだが、まずは、今県立施設の中で起きていることを、その相談という観点から、もう一度見直してみる。そういうことが必要だ。 ○関係者は、必要であれば集まる必要がある。その時に、当事者抜きで集まっているのではないかというのが、今中井やまゆり園を見ていて感じていることだ。 ○サービス等利用計画が、身体拘束の情報提供があるにもかかわらず変えられず、支給決定が続いているということ。そうすると、やはり入所している当事者は、もう救いようがなくなってしまう。相談員にも市町村のケースワーカーにも見放されているという形なので、是非、こういったケースは、サービス等利用計画を書き換えた上で、市町村にもそのことについて、支給決定をどうするのかを含めて考えてもらいたい。 ○報告書骨子(案)の理念のところに「尊厳が守られる社会の構築」とあるが、施設で部屋に閉じ込められている仲間たちの鍵を外してほしい。私も自分に何ができるのか、考えて悩んでいる。私だけの意見ではなく、施設で暮らしている仲間を、この場に呼んで、きちんと話を聞いてほしい。 ※「理念」にも登載 (3)意思決定支援の推進(論点〜中事項) ○今まで意思決定を十分に試みたことがない人たちへの試みなので、半年や1年で済むという話ではなくて、時間が必要というご意見があったと思う。私も同じように感じた。意思決定支援の丁寧な試みが必要で、大事だということを意見させていただいたが、だからといって、安易に先延ばしにしたり、「できない探し」を始めると、きりがない。私も、地域の人たちとともに、この当事者目線の支援を推進していくために、今、何ができるか、実践、実行していきたいと思っている。 ○神奈川県においては、今回の事件を通して、権利擁護に関する研修及び人材の育成、意思決定支援というものがだんだん根づいてきたと思う。すべての個別支援計画について意思決定支援の観点からどうなっているかをチェックしていくこともできる可能性があると思っている。 ○意思決定支援という言葉は支援する側の強い言葉に聞こえてしまう。 ○意思決定支援会議の進め方について、たくさんの支援者の中で話をすると説明を受けた。想像すると、緊張してしまい、頭が真っ白になるのではないかなと感じた。僕は、その意思決定支援会議という会議の中で作られた紙一枚で自分の人生を決められたくない。僕の思いは変わります。変わった時に話を聞いてもらえるのでしょうか?それとも一度言ってしまったら、それが全て自己責任になるのでしょうか?とても不安だ。 ○意思決定については、最後どこがゴールなんだろうって、私はすごい疑問がある。というのは、神奈川県がやっている意思決定が資料にも何にもないし、津久井やまゆり園の本人たちにどんな調査をしているのかも全然見えてないので、是非いつかこの会議の議論で一度、県の職員の人に津久井やまゆり園の仲間に何をやっているのか、実際モデルでやってほしいなと一つお願いしたい。それともう1点、意思決定は、いつも私は、にじいろでGO!という活動を通して、最後は自分ひとりでサービスプランができるといいよねって、それが意思決定につながるといいよねって考えている。自分で計画サービスを作り、自分の意思で決めたサービスが毎月できるといいのかなあというのを、来年度のにじいろでGO!の目標にするよう、私はみんなにお願いをしようかなあと思っている。ゴールが見えない意思決定支援なら、それはいらないものだと私は思う。自分で決めました。でも実際に証拠も何もない。でも、「自分の意思でサービスを変えました」と自分でサービスを変えられると良いのかなと思って、それを来年度、にじいろでGO!の課題にしようと思っている。 ○支援の可視化であるとか、神奈川版意思決定支援ガイドライン試行版を作成するという記述がある。また福島県の協会の例が書いてあるが、日本知的障害者福祉施設協会で、「現場で活かせる意思決定支援」という本を書いたときに、福島の古川さんから、こういった書きぶりがあったというところで、言葉の意味もちょっと整理をするという点を含めて、今日資料提示をさせていただいた。やはり育ちの中での経験、体験というのはとても大事であって、そういった経験と体験ということがやっぱり意思を表出していくことになるだろうという、これは一つの整理である。ただ、今この委員会でも課題として話題になっているが、意思決定支援という言葉が独り歩きをしているところが正直言ってあって、なかなか浸透しきれてない。現場でも計画にどう反映したいのかというところが分からないという意見がある。 〇この意思決定支援のガイドラインなり可視化のところでの提案だが、一つは、なぜ今、意思決定支援が必要なのかというところに立ち返って、このガイドラインを作るということが、現場の支援員にとっても大事な視点ではないか。また、これは全ての方が分かっていると思うが、意思決定支援を行えば全てがOKじゃないということ。意思決定支援を行うに当たっては、まずこうだろうという仮説からスタートして、仮説を実証していくというプロセスが大事だといったところを是非検討いただきたい。 〇何か会議を開いて、一つのことを決まれば、全てが終わりではなくて、こうだろうというところから始まって、積み上げて、何度も何度も積み上げて議論をしていくということが、意思決定支援の中で大事だろうと思っている。 ○意思決定支援という言葉が独り歩きしているというような発言があったが、私もそのとおりだと思う。意味がよく分かんない。意思って何だろう、決定って何だろう、支援って何だろう、みんな意味がよく分からなくて、分かんないことが三つも並んでいると、全くさっぱり分かんなくなるという、そういう状態になっている。ただ、今我々が意思決定支援、意思決定支援と言っていることの一番の大きなポイントは、今までご本人の思いというものを全く無視をしていたという、そういう支援環境を変えるんだという、そういうことが全国的に問われているし、動きとして大きなうねりになっているということなんですね。 ○ゴールが見えないという意見、また、自分で決定したら自己責任が問われるのかとのご発言、それらについては、何度かこの委員会の前の検討部会で発言したかと思うが、人間は悩むんです、ということなんですね。決定はもちろんした方が良いのだろうが、決定した後も迷いますということ。失敗する人もいるだろうし、判断を間違える人もいるんだけれども、この領域の決定は自己責任を追及しない決定。まずかったねって言ったら、次も続ければいい。だからゴールはないので、ずっと支援し続けるんですと。そういうことなんです。それが意思決定支援というものの本質だというふうに思っているし、そういうふうに考えている人は、世の中、日本社会の中にはたくさんいる。間違ってもいい。失敗してもいい。またやり直せばいいんですと、そういうこと。 ○意思決定支援の津久井やまゆりのゴールは何だったのか。これは全く私見であって、間違っているかもしれないが、意思決定支援のゴールは地域生活ではないか。そういう意味では、なかなか地域生活の実現というのが困難だというのは、意思決定支援の検証という観点からいくと、うまくいかなかったんだというふうに捉えている。私もいろいろ講師も担当して責任を感じている。 〇誰一人として、本人の意思で施設に入っていなかったわけなので、もう一度聞き直して、地域での生活をどのように考えていただくかという機会、これがゴールだと考える。これしかない。それなのに、本人が言わなかった、分からなかった、できなかったということで、私としてはあんまりうまくいかなかったんだと。これからどうするかということが重要だと思っている。 ○入所が一個しかない事業所ほど本当はモニタリングってもっと回数を多くしなきゃいけなくて、その時に、なんでモニタリングする必要ないかっていうとサービスが変わらないからだ。何か本人の心が動くような、こういうところを経験してみたいなとかこういうところに行ってみたいと思うような、何かそういう経験の中で本人がいいなと思ってくれなければモニタリングって必要なくなっちゃう。入所施設ほど、本人に見てもらったり、体験してもらったり、見学に行くっていう機会を作りながら、本人の表情や振る舞いからモニタリングしたがっているっていうふうな仕組みに変えていかないと駄目だ。 〇入所の人こそモニタリングを増やさなきゃいけない。制度当初は年に1回でとされていて、途中から年2回になっていたが、むしろ生活が全く変わらず、変化をつくり出してくってことが、不本意ながらできていけない方たちに対してこそ、振り返るためのモニタリングが大切。モニタリングするためには、何かを見てもらったり経験してもらわないと、心が動いてこないわけでしょ。何かそういうような、現場、現場の営みを始めてってほしいと思う。そういう知見っていうのは、てらん広場などの先駆的なところがたくさん持っていると思うので、そういうところと法人間の連携が生まれていけば自然にそれは法人間自立支援協議会になっていくはず。そういう行動に繋がってほしい。 ○意思決定支援という言葉は、意思がない、決定ができないという考えから生まれた言葉と感じた。 ○自分の思いは揺れています。この思いが揺れた時に話を聞いてもらいたいです。思いが上手に出せない仲間たちの声を真剣に引き出そうとしてくれる職員や、継続して関わってくれる職員が必要です。意思決定支援という言葉が良いとか悪いとかでなく、人が人を思うということを真剣に考えたときに、意思決定支援という言葉が必要なくなるんだと思います。 ○意思決定支援のチームが、「強度行動障がい」と言われる人たちの、子どもの時から今まで大人になるまでの経過で、なぜそうなってしまったのかということを考えて、その状況を把握するためのやり方、具体的な方策ということをやっているのか、ちょっと不安というか、分からないところがある。私はやはり、「強度行動障がい」の人は、もう大人になっているので、子どもの時からのいろいろな経過を、家族も含めて皆でそれを遡って確認して、その中で一つひとつ、本人がそれを克服していくというか、こだわりとかをなくしていくということをやっていくことが大切で、今の現象に対処することだけやっていくというのは、なかなか最終的に解決にならないのではないかと思っている。そういう考えを盛り込むべきではないか。 ○日本語で「意思決定支援」って言うが、外国にはあまりない言葉で、これは要するに、自己決定の支援のこと。自己決定の支援と言ったときに、本人がお決めになるということは当然前提なのだが、他の人に関わりのない決定を本人が行うんだったら、それは自己決定というふうに言っても言わなくても、どうでも良い。勝手に決めればいいので。  本人のことを本人が決めるんだけれども、そのことによって、周りの支援者が影響を受けるという、そういう状態のときに、本人の意思をどこまで尊重するかと、こういう問題になる。だから、非常に微妙なのだが、周りの人間が関わるので、一人っきりの決定ではない。自己決定というのは、必ず周りで影響を受ける人がいる。だから、その周りで影響を受ける人たちが、その本人の決定をどこまで尊重できるか。あるいはどこまでそれを支援するか。あるいはどこまで誘導するかという、そういう問題に常に関わってくる。そういうものが、意思決定支援の問題だと。したがって、支援者のセンスが、ものすごく重要となる。 ○変な人だから、もうどうしようもないのでというふうに言ってしまうと、もう何の支援もできない。閉じ込めるしかないと。そんなことは支援にならない。本人の意思があって、本人が自分のことを自分で決めるのだが、自己主張もしていて、でもそれは変だよねっていったときに、どういう支援をするのか。それが今、意思決定支援という名のもとに問われている問題だ。 ○津久井やまゆり園での身体拘束がなくなったという説明があったが、地域移行は別にして、意思決定支援の取組みにより、身体拘束がなくなったということであれば、私は、これは外向けに出しても良いのかなと思っている。ただ、他の施設では未だ身体拘束が続いていて、これから意思決定支援も含めて支援の改善が始まるということであれば、何か他のところがまだ身体拘束をしていながら、本県の意思決定はこうですと、津久井やまゆり園に限ってならいいのかもしれないが、何かそこはちょっと違うかなと。まだ実現していないようなことについて、大々的に報告するべきではないと心配するところで、やはり、ここまでできたという成果を示しながら、謙虚にやっていくことが必要だと思っている。 〇津久井やまゆり園で、もし身体拘束も含めて、あるいは次の地域生活に向けて、いろんな可能性が出てきて良い結果を生むということであれば、やはり意思決定支援は大切なのだから、これを全県に広げていくという方針をとっていただきたい。是非、全県あげてやっていただきたいと思っている。 ○意思決定支援という取組みは地域移行とセットだと思っているので、どれだけ本人の願いが叶えられたか、あるいはどれだけ実現できたか、という効果とセットだと思っている。そういう意味では、意思決定支援は、本人の望む生活などがどこまで実現したかということをきちんと評価していく必要があると思っている。至らないなら至らないなりに、それは補いながら、次に続けていくということをやらないと発展しないのでと思っている。 〇意思決定支援のガイドラインを作る時に議論があったことなのだが、例えば保育所から学校に行く時、あるいは特別支援学校から就労に移行する時には、特に本人の意思決定支援が必要で、その時の意思決定支援というのは、支援者や学校の先生による意思決定というのは本当じゃないんじゃないかと。家族、ウザイです。私たちも、何か専門家に意思決定されてたわけではない。その時に触れた外国の論文は、友だちの関係の中における意思決定が一番大切なんだということだった。例えば、あの人は、特別支援学校からこういうところに就職したけれども、自分も行きたいな、ああいうことをしてみたいんだ、そこで決まるんだと。それはともすれば、専門家としての支援者や学校の先生、家族による意思決定は、本人にとってウザイもので、そんなもの要らないんだ、本当は友だちが一番なんだ、ということがあった。そういう意味では、神奈川の意思決定支援は、学校期、学齢期、あるいは、もっと小さい子どもの時から意思決定支援に取組み、特に困難を抱えている人の意思決定支援を一生懸命ややりましょうということを、是非広く、ただただ施設のことだけで集中せずにやっていただきたい。 〇津久井やまゆり園の意思決定は不十分だったと思っている。成功したかどうか、アウトカムから言ったら、結果からいったら非常に疑問である。引き続き検証していただきたい。 〇意思決定支援、大切だということで良いのだが、今はやはり施設から地域という一つの大きな前提があるので、それは、県立施設だけではなく、すべての入所施設で意思決定支援にしっかり取り組んでいただきたい。さらに、在宅の人たちの意思決定に範囲を広げていくということが大切だと思っている。 〇重度の障がいを持った方と軽度の障がいを持った方は一緒に活動ができる。一緒に支えあってグループホームで暮らすことができる。当事者は行動に障がいがあると言われている人たちだったり、うまく言葉を出せない人たちの、いいところや頑張るところに関心を持つ。一緒に応援して乗り越えていこうという気持ちがある。意思決定支援についてはもう一度、検証してほしい。 〇(「野さんにとって、意思決定はなんですか」という質問に)心の声に従うことです。 〇意思決定支援については、キーワードとして、どこで誰と生活するかについての選択の機会の保障と、事業者の使命の一つとして、障がい者等の意思決定支援に配慮する、という言葉が総合支援法で初めて規定され、そこから、意思決定支援の議論が始まっている。前回、自己決定についての意見があったが、自己決定という言葉が良いのか自己選択という言葉が良いのか、利用者主体の支援にとって何が大事なのかというのは継続して議論する必要がある。 〇意思決定の支援というのは、日常生活の衣類の選択とか、何を食べたいとか飲みたいとかという、日常生活のものから、住むところ、働くこと、結婚、多額の買い物など、人生における重大事項を決めることなど、幅広いものがあるので、もう少し丁寧な議論が必要ではないか。 〇意思決定支援については、多分そういうのを知らない人が多いし、噛み砕いた説明を聞いて、やっと分かるぐらいなので、わかりやすいパンフレットを作ってほしいと思った。意思決定支援っていうのは、自分の意思で決めることですよね、いろいろね。そういうことからまず説明していかなきゃ難しい。例えば、野球でピッチャーやりたい、キャッチャーやりたい、どっちをやりたいのか、そういうのも意思決定になる。噛み砕いて言うとね。自分はそういうふうに仲間に伝えている。 〇意思決定支援に関して、少し話は違うが、昔小学校2年の時に、字も書けなかったから、「普通の学校より他の学校に行った方がいいよ」といきなり母に言われ、ものすごくショックだった。でも今となってはその時から母は障がいを感じていて困っていたんだと思う。 5 地域共生社会の実現(論点〜大事項)<第8回> (1)地域包括ケアシステムの対象拡大(論点〜中事項) ○私は地域のことをすごく大事にしている。何回も言うことになるかもしれないが、まず常に僕が大事にしていることはあいさつだ。あいさつをするとその人と、話しやすくなる。だんだんと。自分はあいさつから始まって、今は調理ができるようになったと思う。 ○一緒に外出したり、おいしいものを食べたり、話をしたい。施設で暮らす仲間と居場所づくりや友達作りにつなげてほしい。時には、地域の人とも話したり、叱られたり、認められたりする時間も必要。施設で暮らす仲間たちの命が輝ける暮らしは、施設で暮らす仲間たちだけでは実現できません。 ○日常的に、山下公園を障がい者がワーッと走り回っているみたいな風景が神奈川でできてくると、神奈川の地域づくりが進んだということになるのかな、というふうに思っている。 ○障がいのある人の暮らしという観点で「共生」ということを議論しているが、その一方で、地域共生社会づくりという流れがあるので、その二つがうまく合うようなことで、これからの意見等を参考にしながら進めていきたい。地域包括支援センターをベースに取り組んでいる自治体の事例を紹介していただいたが、地域包括ケアシステムを広げていくためには、地域の人たちに、障がいとか子どもとか、いろいろなことを分かってもらわないといけない、そういう観点で取り組んでいく必要がある。 ○システムづくりもいいと思うが、利用できなければ意味がない。地域の中に様々なサービスを利用ができる場所があっても、家の人と一緒にサービスを利用できる人もいれば、人に話すことが苦手だと、思うように伝わらない、自信が持てず、利用ができない人もいる。そういう人たちが利用できるようにするためには、必要なときにサービスに結びつけてくれたり、相談に乗ってくれる人が必要。 ○やはりもちろんシステムも大事だが、最終的にはちゃんとサービスにつながるということが大事だということ。 ○昔はケースワーカーがよく来てくれて話をしてくれた。最近はそういう機会も減った。きちんと関わってくれないと、仲間たちが孤立してしまう。一緒に考えたり、悩んだりしてくれて、自分のことを理解してくれる存在が必要。 ○医療では施設の仲間が、救急対応が必要になったときに、障がいを持っていることを理由に病院から断られていることがある。繰り返しになるが、仲間たちの命を守るためにも、誰もが安心して医療を受けられるようにしてほしい。【再掲】 ○包括的な支援となると、多職種連携とか超職種連携とか様々な分野の協議会がさらに連携し合っていくという話になるが、長野でも平成27年から29年度まで、地域生活支援拠点をベースにした障がい者分野の包括体制を作ろうというので、3年間取り組んだ経過がある。それぞれの分野で、包括連携の実態的な風景を作っていなければ、さらなる包括ケアシステムを作っても、結果的には問題は先送りになっていくだけだという実感がある。 ○おそらく生活困窮、高齢、精神、あるいは様々な分野で包括、包括っていうのはあるが、包括っていうカテゴリーが広がる中で、そこに溶かし込んでいけばいいんだっていう話ではなくて、それぞれの分野がちゃんとそれぞれの分野で包括的な支援体制づくりで頑張ったのかっていう、ある意味でのその成果がないと、さらなる包括を作っても、実態的には、やっぱり形骸化する。 ○長野ではやっぱり一人ひとりの相談をもう1回振り返りながら、リスクの高い人、厳 しい人、今から予防的な支援をしていかなければ今後厳しくなる人、そういった人たちに対してのそのリスクプランとか、あるいは予防プランみたいなものを1個1個作りながら、一人ひとりに重層的、多職種連携的な取組みをするということが、過去3年間の取組みだった。とりあえず長野はそれが障がい者分野の包括的支援だという思いで、今度生活困窮とか他領域の包括の方に一緒に入っていこうという、志である。 ○そういう意味では早く、もう分かっていることは早く、地域生活拠点にとっての実態的な包括をどうやっていくんだ、もう集めることが必要だ、と思うんだったら、もう来月でも集めたい、というような行動があったらいいなあと、ずっとこの会議を通じて思っている。 〇地域包括ケアシステムや重層的支援体制整備事業は市町村に任されているものが多いので、県がどのようにその辺を仕切っていくかということと、圏域ナビであるとか県の自立支援協議会を通じながら、現状をまとめて把握していく必要があるのではないか。県内の市町での色々な好事例があると思うので、そういうものを取り上げて継続協議していくのが望ましい。 (2)相談支援体制の充実(論点〜中事項) ○相談というのはすごく難しいテーマ。私たち知的障がいの仲間って一部は、相談事業所からちゃんと福祉サービスとして受けていることもあるが、私みたいに受けてない人もいる。私たちは支援者がいるから、そっちに皆、流れちゃうことも多い。それを皆さんに考えてもらいたいなって思う。 〇相談員の数って随分少ないんですね。計画相談の方って。ちょっとびっくりした。兼任してる方もいらっしゃるって聞いたので。自分としては、きちんと計画相談の方がいるので安心しています。でも少ないのは困りますよね。 ○計画相談支援等の報酬単価の設定が低過ぎて、事業をすればするほど食えなくなるという、そういう状態ではなかなかやる人は少ないだろう。報酬に関しては、国に指摘をしていく必要があるということと、併せて、そうした中でどういう取組みが県レベルでできるかという、二つに分けて、整理していく必要があると思う。 ○同一法人の中にある相談支援事業所が入所者の計画相談をやっている状況が多く見られる。違う法人で何かサービス提供できるかというと、なかなかできない状態があって、法人の中でなんとか支えようということになる。つまり、地域の中の社会資源が余りにも少ないという、あるいは連携が少ないという、そういう状況がある中で、計画なんて立てられないですよねという、そういう状況がある。これをひっくり返すには、やっぱり地域連携ではないか。社会福祉法人それぞれの連携が取れないと、計画なんてなかなかできないという話になる。 〇連絡会議をやるとか、あるいは自立支援協議会が中心となった各県域とのつながりという、ゼロ予算でやれることは、良いと思ったら、もう今月にでも始めてほしい。 〇主任相談支援専門員とか、各圏域で形骸化しない自立支援協議会を運営しているところというのは、必ずその地域には誰かいる。何とか神奈川県全体の相談支援体制を強化したいと思うのであれば、どうしたら事業者が増えるんだ、報酬だけの問題じゃないだろう、地域生活拠点が実態的な地域包括をどうやっていくんだと、そういうことを、年度内に1回はやるくらいの覚悟でやるはず。 ○手前味噌だが、自立支援協議会が全くうまくいかなかった平成22年度に一生懸命働きかけて、23年度に、本気の県自立支援協議会を県で実現できたと思っている。そこからのキャッチボール。そういう意味では、県と市町村の関係をつなぐメゾ的なネットワークと両方にエンジンを作る仕組みを、現実的に考えていただきたいなと思っている。  〇自分や家族全体のことを心配してくれる、気にかけてくれる支援者がいればつらい思いをせずに済むと思われる。まずは困っている人がいたら、会いに行ってください。お互い安心しあったり、不安に思ったり、心配したり、我慢したりすることもある。諦めずに関わり続けることが大切。 〇自分の思いを真剣に叶えようとしている人と一緒に考えて悩んだり、しっかりと話 し合って自分の暮らしを決めたい。自分や仲間たちは望む暮らしや、目指したことに向かっていく努力ができることと思う。望む暮らしや、目指したいことを上手に言えないときや、悩みもがきながら暮らしてる時に、しっかりと話を聞いてくれ、一緒に悩みもがいてくれる存在が大切だ。 〇神奈川県の県立施設の利用者の相談支援をどうするかということが、今、課題になっていて、相談支援事業所と契約してはいるものの、なかなか施設に入所してしまうと、外部の目が入っているとはいえない状況がある。これをまず改善する必要がある。 〇中井やまゆり園については、非常におかしなことが行われてということを、各市町村に通報というか情報提供したのだが、各市町村の中で、施設を見に来た市町村が1か所しかない。要するに県立施設がもう孤立している。孤立する中で相談支援なんか何もない。この状態を改革しないといけないというのが今の課題だと思っている。 〇入所施設において、形式的には相談支援事業があるかもしれないけれど、実質的な意味でいうと、なかなかそこまでできていないという指摘だった。県立施設としても大事な話だが、もしかすると一般の入所施設でも同じようなことがあるかもしれない。そういう意味では、実質的な相談支援を施設の利用者にどうやるか、こういう問題としてきちんと考えていく、共有していくことではないか。 〇中井やまゆり園を見ていて、当事者抜きで集まっているのではないかと感じている。例えば、市町村が、身体拘束の情報提供を受けても、本人に会いに来ないとか、また、サービス等利用計画が、拘束が無くなっていくための暮らしへと書き換えられてない状況でもう10か月が経っているなど。こういうことは、仕組みの問題ではなくて、「困っている人がいたら、まずそこに行くんだ」という思いがないということだ。やはり我々は、必要な人のために、必要な人がいるのであれば、そこに集まっていくということがないと形骸化していく。 〇市町村のケースワーカーも、自分たちの仕事ではないと言い切るのではなくて、虐待の恐れがある、非常に深刻なケースについて、セーフティネットとして、ご本人に会ってもらいたい。 〇12月に中井やまゆり園の方の話し合いをさせてもらったが、本来は、中井やまゆり園が主導して、しっかりと進めてもらいたい。また、県立施設なので、県庁も情報提供だけでなく、どういう状況が起きているのかということを見てもらいたい。入所施設単独では改善できない問題がたくさんあって、そういったものを今まで議論してきていると思うので、もう実践する時だと思っている。是非、身体拘束をされている人たちの暮らしについて、しっかりとみんなで見ていただきたい。また中井やまゆり園も見てもらえるような体制を作ってもらいたい。 〇入所施設からしたら、やはり地域に戻っていくためには地域の人間とやりとりをしていくしかない。地域では暮らすことができないと諦めてしまっていたけれども、本当は可能性がある、頑張れるんだと地域が知ったときに、地域は変わっていく。そういった意味で、地域にしっかりと相談支援専門員がいなければならない。 〇中井やまゆり園では、サービス等利用計画が、身体拘束の情報提供があるにもかかわらず変えられず、支給決定が続けられている。そうすると入所している当事者は、もう救いがなくなってしまう。相談員にも市町村のケースワーカーにも見放されているという形なので。是非、こういったケースは、サービス等利用計画を書き換えた上で、市町村の方もしっかりとそのことについて、支給決定をどうするのかを含めて考えてもらいたい。 〇県は、中井やまゆり園の拘束の人数等を公表し、市町村に情報提供したと思うが、相談支援専門員や市町村のケースワーカーが誰も会いに行っていない、見ていない、サービス等利用計画も書き換えていない、そういった実態が続いていることに非常な危機感を抱いている。これはセルフプランではなく、担当の相談支援専門員等がきちんと付いているにもかかわらず、そのまま放置されている。これでは、やはり変わっていくわけはない。せめてサービス等利用計画を書き換える、本人に会う、そのことをコロナ禍のせいにしてやっていない。それを容認している神奈川県。このことに対して非常に危機感を持っている。 〇相談というのは、元来、すべての支援者の本来業務であって、利用者がどうも何か、本意じゃないみたいなんだよなあというときに、相談に乗ってくれないかとか、向いていると思われるところを体験してみるとか、そういうところから、小さな事業所のサビ管同士のつながりが広がっていく。しかし、入所施設が1つしかない事業所ほど、自分の座っている座布団を自分で持ち上げられない苦しさというのがあって、サービスが変わらないという現状がある。だからこそ、入所施設は、入所が一個しかない事業所ほど、本当はモニタリングの回数を多くしなければならないのだが、本人の心が動くような、何かそういう経験の中で本人がいいなと思ってくれることがなければ、モニタリングの必要がなくなってしまう。だから、本人に体験してもらったり、見学に行くという機会を作りながら、本人の表情や振る舞いからモニタリングしたがっているというふうな仕組みに変えていかないと駄目。そういう意味でいけば、本当は入所の方こそ、モニタリングを増やさなければいけない。何か、そのような現場の営みを始めていってほしい。 〇相談支援を受けることについて、自分たちの権利として使うというところから、スタートしていないのではないか。親同士の情報が聞けない人が本当に多くって、自分たちがそれを使えるんだという認識が、まだまだ進んでいないということをすごく感じている。 〇小さな地域で小さな事業所と関わっていると、相談事業所も本当に孤立しているというのを現実の問題として感じる。一生懸命やっているんだけれども、情報が十分に得られず、どうやっていいのかわからないということで、事業所間連携というのが本当に必要だと思っている。 〇相談支援計画のところでは、セルフプランが多い。本人自身の計画相談といっても、市町村のチェックということも含めて、わくわくどきどきするような、インパクトのある将来に向かってどうしようなんていう計画は殆どないのではないかと見ます。それとともに、そういう状況の中においては、相談を通しての地域移行というのも働かないのでは。地域移行するということでは本人の説得とともに家族の説得、あるいは地域のサービスのことも含めてきちんと用意しなければならないが、そこまでの覚悟を持ってやるんだというところでは、セルフプランのことも含めて相談支援自身がやはり停滞しているのではないかというふうに感じる。 〇前回、神奈川の相談支援は遅れている旨発言したが、遅れているという言葉は、定義もないし論理的な言葉でもないので、「全国的に課題がある」というふうに整理した方が良いかもしれない。発言の根拠はセルフプランだ。国の調査では、令和元年度9月までの神奈川県の計画相談実績が大人については42.6%がセルフプランで、障がい児については57.1%がセルフプランとなっている。全国平均は大人が15.9%、子どもが28.2%なので、大人については3倍ぐらい、子どもについては2倍ぐらい、全国平均より数値が大きく、全国一位である。もちろん、セルフプランが好ましいこともある。自立生活運動では自分で作るのが理想だと、あるいは子どもであっても母親のマネジメント能力がある人にとっては、どんどんやってくださいと、育成会等がお互いに作りあっても良いだろう。一方で、例えば長野県では、大人は0.3%のセルフプラン率で、子どもは1.7%である。今回の報告書骨子案の中にも相談支援という言葉がいっぱい出てきていて、伴走型と書いてあって、長野県では、100%、伴走してくれる人がいる。しかし、神奈川県では、約60%は伴走があるけれども42.6%は伴走なし。これどう考えるか。現状で、伴走がいなくて伴走型が必要だというのはどれだけリアリティを持てるのか、ということが課題だ。 〇セルフプラン率は、相談支援や地域の福祉力のメルクマール、一つの判断材料だというふうに見ている。つまり行政でもなく親でもなく、当事者でもない、独立した人がその人の生活やニーズをアセスメントして、この人にはこういうことが必要だということをきちんと決めていく。そして支給決定の根拠となる。しかしセルフプランがこれだけ多いというのはどういうことなのか疑問に思う。相談支援専門員を通じて、「セルフプランを行政がなかなか理解してくれない、行政にどのように理解してもらったらいいのか」ということも良く聞く。神奈川の場合、大人については、42.6%、子どもについては57.1%がセルフプラン。ベスト1なのかワースト1なのか。これは皆さんにお任せしたい。   〇セルフプランをどう考えるかというのは全国的な課題であるし、セルフプラン率が高いのは神奈川の課題だと認識している。計画相談に結びつかないまでも委託の相談支援事業所がセルフプランを立てる人のバックアップをするとか、新たなセルフプランに対しての対応策を考えているとか、いろんな方法があると思う。計画以外のところでもこのセルフプランの捉え方をどうするのか、課題の提案として感謝したい。 〇セルフプランに関して、いろんなサービス(等利用計画)を自分たちで作りましょう、って言われても、わかりやすい資料も何も作られてない。国は、私たち当事者に向けて何を作ってほしいかを聞くのはできる。でも自分たちにこういうものを作ってほしいって言われても、書いたりいろんな物を工作するのは、誰がやるのか。サービスを組換えましょうと言われても、知的障がいの仲間は情報を知らない。自分でサービスを作ってくださいって言われて、口で説明するのはできる。でも実際、表を作ってくださいって言われて、本当に何人が作れるのか。私は見たこと、聞いたことがない。私が住む横浜では、支援者と一緒に作りましょう、という感覚で作ってくれるが、神奈川にはいるのだろうか。 〇私が相談支援の研修を受けたときには、究極のプランはセルフプランだ、自分で作るプランだ、という講義を受けた。大事な視点は、来てくれる回数とかよりも、やはり利用者本人がどれだけ満足をしているかという視点が大事だと思う。セルフプラン率や計画相談の数値も一つの目安ではあるが、利用者の満足度という視点で、質のところを確認していくことが大事なのかなと思った。 〇セルフプランが本人の意向をきちっと反映したというものになっているかどうか、外形的にはセルフプランだが実質的にそうなっているのか、これは意思決定支援と広く関係する話。ここは大事なところで、その辺をよく整理しないといけない。その上で、計画相談にしても、形式上は入っていても本当に相談を行ってるのかどうか、という構造になっている。 ○入所した途端に、相談支援や行政の人たちがさっと引いてしまうところがあるので、やはり入口のところで、入所の目的をきちんと整理をして、地域に戻るための支援体制を作っていく。それには相談支援の役割はとても大きいと感じている。 〇高校を卒業した途端に、生活の場も、日中の活動の場もがらっと変わってしまう。サポート体制というのが一気に変わってしまう可能性もある中で、家族や本人から、とても不安という意見をいただく。不安にならないように、例えば、児童相談所が関わっているうちから相談支援が一緒に関わるなど、切れ目のない支援が必要となると考えている。 〇相談支援体制の充実については、相談支援専門員がまだ仕組みになる前から神奈川県内の相談事業に私自身取り組んでいたので、思い入れが強い。前回の議論の中で、報酬単価も含めて相談体制の遅れが議論になっていたが、これは神奈川県だけではなく、全国的にみても、経営できる十分な報酬単価等ではない。総合支援法施行前から、神奈川県域においてサポート事業というものを立ち上げて事業所の補助を行っており、県として独自の補助であるとか、相談支援体制を充実していくような仕組みが重要でないか。 〇相談支援の人材育成についても、神奈川障害ケアマネジメント従事者ネットワークや県の自立支援協議会で相談支援従事者の人材育成ビジョンを作るなど先駆けて人材育成をやってきた歴史がある。 〇計画相談を行う相談支援専門員が少ないっていうのはやはりちょっと困る。相談支援専門員になる人は色々勉強した方が良いと思う。相談員になりたい人は研修を受けたりしてなった方が良いと思う。僕は結構計画相談を使えているから良いが、就労してる人とか、計画相談とかを知らない人が結構多い。僕がやってる会でも、皆さんになかなかそういう話ができない。 〇計画相談の支援を受けているが、3年に1回の認定調査の後に必ず施設の職員と、今、利用しているヘルパーステーションの職員と話し合いがある。上手くできている仕組みだと思う。どんどんそういうのが上手くできるようになると良い。そのためにやはり自分の思いを言わないと難しいと思う。私は施設の職員と計画相談の職員に必ず伝えている。そのモニタリングの時の資料は全部自分で保管している。こういうことを話しましたとか色々なことを大切にしている。相談支援(専門員)の人がなかなか少ないという話だったが、やはりそれは本人次第じゃないんですかね。計画相談のことを、まず親が教えるとかしないと、なかなか難しいんじゃないでしょうか。いくら計画相談、計画相談と言いっても、やはり本人に伝えることが、まず大切だと思う。 〇中井やまゆり園が議論に上がったが、やはり入所している人に対して第三者の目を入れるために相談支援専門員を担当させる仕組みを充実していく必要がある。 〇相談支援体制のネットワークの構築に向けては、相談支援専門員だけではなく、サービス管理責任者や、働くことの相談を行っている就労援助センター職員もネットワークの中に入ってもらい、相談支援体制の充実を図ることが重要である。 〇基幹相談支援センターについては、まだまだその成り立ちがしっかりと理解されていないので、県独自にハンドブック等を作成して、市町村への理解を進めてもらうことが必要。 〇計画相談を受けた人が生活支援の手段を開発できないと、相談を受けても何もできない。もう入所だけよ、みたいなことで動いていたら、それはもう相談を受けたって何も動けないっていう話になる。相談支援ももちろん重要なのだが、その相談支援を受けた人が何か相談に乗れるような、神奈川県の福祉サービスの提供というものの多様性がないと、それはもう相談は動かないというふうに思っている。 〇野さんのお話を伺って、本当に感銘を受けた。相談支援の話につながるのだが、当事者が相談支援を受けて自分の生活を作っていくときに、やはり相談支援専門員がいくらいても、地域に資源がなければ行き場がないという、そういう現実が非常にあって、そのことについての啓蒙をどんどんやってもらう必要がある。また相談支援あるいは相談する人たちが自分の権利意識を持って、それを作っていくということがなければ、相談支援専門員養成研修を受けてもらって、たくさん養成をしても、なかなかそこまで繋がらないということを実感している。ぜひ相談支援体制を充実させると同時に、地域の事業所も増えて、そして相談支援の事業者にお願いしたいのは、そういう障がい当事者と、本当に一緒に戦ってくれる人、そういう人をどんどん作っていっていただきたい。 〇私たち親は子どもを育てる当事者であるが、子どもが大人になってから、親は一支援者として、相談支援の事業者と連携して一緒に本人の支援を行っていくという、そういう体制ができると良い。そういう思いを持って、入所施設、行政、県の人たちも含めて、皆が一緒に取組んでいけるような体制づくりをぜひお願いしたい。 ○相談支援があって、サービスの利用がきちっとできないといけないし、サービス事業者だけではなくて、幅広い地域支援がないといけない。そういったことも含めて地域を作るということを、県もサポートするし、市町村がやっぱり中心になっていかなきゃいけないという、そういう構造になっていると思う。今回の議論は相互に繋がってくる話で、それを県がどうサポートするかっていうことだと思う。中間報告でも、県が圏域レベルで市町村をサポートするということが書かれていたので、その辺りをもう少し位置付けをはっきりしていくということではないかなと思う。 (3)福祉関係施策の理念(論点〜中事項) ○疑問が一つあって、3ページの知事の宣言なのか、@とAが何か私、同じ中身だと思った。個人として尊重されること、A心の耳に傾けて、互いにいのちの輝きっていうのが、多分一番と二番が何か説明がよく分からないので、是非それを書いた、これは多分知事かなあと、黒岩知事が書いた熱さのメッセージかなと思うので是非その辺をちょっと。もし一緒なら、逆にこことここを何か一本化にしてもらうと。なんかあんまりなんか似たり寄ったり文だったら、こんなに要らないのかなあと思ったので是非教えてほしいなと思った。 ○自分の思いを真剣に叶えようとしている人が、一緒に考えて悩んだり、しっかりと話し合って自分の暮らしを決めたい。自分の思いは日々揺れている。仲間の思いも、日々揺れている。仲間たちの思いを知るためには、たくさんの選択肢とたくさんの経験が必要。そのためには、社会参加をするために、仲間を丸ごと受入れることが必要。 ○人権とか自由、生きることという話が議題に出るが、職員が危ないとか、難しいとか問題があるとか、できない理由ばかり言って否定する。その環境では、自分の思いは実現しない。こういう時が自分と職員と分かり合えない時間だと思う。分かり合えない時には、自分の人生がどうなってしまうのか不安だ。この不安がなくなるまで話し合ってもらうことがありません。職員が答えを、一方的に出す。納得できない暮らしの中での苛立ちが、不安に膨らみました。何よりも独りぼっちになった気持ち。津久井やまゆり園事件の起きたときの仲間たちの暮らしは、知れば知るほど一つの不安を覚えた。それは納得ができない暮らしの中で暴言を吐いてしまい、混乱をしてしまったとき、問題等という理由で一方的に、入所、入院にさせられること。入所の中では、身体拘束をされ、一生自由を奪われていく環境があることを知った。 ○自分の気持ちを伝えて、分かり合えない結果、身体拘束になると大きな不安を持っている。自分や仲間たちは望む暮らしや、目指したことに向かっていく努力ができることと思う。望む暮らしや、目指したいことを上手に言えないときもたくさんある。自分や仲間たちは悩みもがきながら暮らしてる時もある。そんな時しっかりと話を聞いてくれて、一緒に悩みもがいてくれる存在が大切です。仲間が一方的に暴れているのではなく、分かり合える時間があるということを理解してください。 〇骨子案の理念のところに、「尊厳が守られる社会の構築」とあるが、施設で部屋に閉じ込められている仲間たちの鍵を外してほしい。私も自分に何ができるのか、考えて悩んでいる。私だけの意見ではなく、施設で暮らしている仲間をこの場に呼んで、きちんと話を聞いてほしい。【再掲】 〇議論から外れるが、どんな取組みも、「ふたこぶラクダの山」ができると仕事の中で感じている。様々な事情があっても頑張る、取り組むグループと様々な手だてを講じてもなかなか動かないグループ。今日の野さんの話では、ケアマネージャーや相談支援専門員が野さんから相談された時に「任せてください。我々が野さんの思いを受けとめながら、段取りしますよ」と、そういう仕事をしなきゃいけないなとすごく思った。野さんがいうイノベート理論のキャズムは、「ふたこぶラクダの山」を解決する、その飛び越えなきゃいけない部分であり、それがこれまでやってきた経験値とか、ネットワークとか、何か裏打ちできたことがあったのかもしれない。つまり、頑張って、頑張って、頑張ってやるグループと、なかなか追随できない人たちがいると思う。それをどう乗り越えるか。野さんの知見はものすごく有効と思って聞いていた。 6 先駆的な施策の積極的な取込み(論点〜大事項)<第8回> (1)多様な価値観の取込み(論点〜中事項) ○障がいの文化芸術活動は法律も含めて、少しずつ整備されてきてり、これからまさに多様性というか、いろいろな人たちの、能力という言葉良くないんですよね、力を発揮してもらうと。それぞれが持っている力を発揮してもらおうというところで、注目されるべきところだと思っている。 ○文化芸術活動推進法ができて、国は基本計画を作ることになった。地方公共団体も計画を作るのだが、努力義務とされている。令和2年の10月で全都道府県の23.4%、四分の一近くが、独自のこんなふうに文化芸術活動、障がいのある方の文化芸術活動をやっていくという方針を立てていて、それぞれに特色がある。神奈川県はどのような状況かわからないが、文化芸術活動というものを進めていくために、充実した計画を作っていく必要がある。 ○その中においても肝となるのが、障がい者の芸術文化活動支援センターだ。神奈川県ではNPO法人に委託して事業をやっていただいているようだが、相談窓口の設置であるとか人材育成のための研修、それから展示会、講演会の開催、あるいはネットワークづくりと、まさに地域の文化芸術活動を推進していくための拠点となるところだと思っているので、ここに少しお金を出して、エキストラでもいいので、文化芸術活動が全県に及ぶようにしていったらどうだろう。 ○私が勤めていた老人施設の施設長が、ロボットマニアっていうぐらいいろんなロボットをリースで借りて、人間よりロボットの方が機能するのかっていう実験を支えた。現場職員たちは、ロボットは心は読めないが使い方によってはやりやすいって言うんです。でも私たち知的障がいってあんまりロボットと接点がないので、この先知的障がいの現場で何が必要なのかなってよく考えて発信してほしい。 ○ロボットが必要なところとして、案内地図がほしい。今日、会議室がここですっていう看板にロボットがいたら癒されるかなあ、人間より良いと思う。その場面、場面でロボットの必要性を感じるが、海外の友達との話で、私たちに音声記録のロボットがあったらいいねって。一回の発言を繰り返してくれる。さらにロボットが音声でわかりやすく説明できれば、もっといいのかなって。そういう機能があると、多分、私たちが知的障がいの会議は支援者がいらなくなるかなあと思った。 ○それぞれ障がいのいろんな特性に応じたこのロボットという意味が大事なことで、今、確かに誰かが発言したことを、解説までできないにしても、ボタンを押したら繰り返し再生してくれるだけでも相当な意味があるような気がした。それぞれの状態に応じたものをちゃんと提供するといったことがすごく大事。 〇一番驚いたのは、ご本人の声ではないが野さんの音声が、全く遜色ない。普通に会話をしているという感じで、かつ日常生活もいろんな人の支援を受けながら社会参加をして生活をされている。こういった本当に重度の障がいをお持ちの方も地域で生きていけるということを、如実に示していただいたと思っている。今、県立施設、幾つかあるが、そういう施設のあり方も検討する時に、とっても良い話を伺ったと思っている。ここまで自分を維持していくという意志の強さは、障がいのあるなしに関わらず大変なことだと思うけれども、その強さを感じた。 〇AI技術の進歩はすごい。褒めていただいて嬉しい。皆さんの常識が変わるといいなと思う。 〇本人の障がいの状態があるとは思うが、それに対してどのような参加をしていくのか。環境があるのか。活動というのは、本当に多様性があっていいと思っている。制度の問題ではなくて、暮らし方の問題である。 〇野球を観に行った時とか、ショップのお姉さんとか、店員さんとかいますけれど、その時に、障がいの結構重たい方が店に入って来たのに対して、すごい冷たい言い方をしたので、僕はびっくりした。今から7、8年前の、名古屋に行ったときだ。支援者がいたら支援者が言ってもいいと思いますよ。地域で暮らすには、買い物のとき、「この人は障がいを持ってるのでよろしくお願いします」とか一言、言った方が良いと思う。 〇自分の将来に対して大きな不安があった。就職を紹介してくれる人がいたけれど、自分の人生は、相談に乗ってくれる人はいなかった。そんな不安の中で就職合同面接会を受けたことがある。面接では、ピープルファーストの活動に力を入れてることを話した。でも、何も関心を持ってもらえなかったと感じた。障がい者雇用の面接では、人間性を見てもらえるような気がしない。ピープルファーストを通して、津久井やまゆり園事件がなぜ起きたのか、一生懸命考える毎日だった。その時、「行動障がい」と呼ばれる仲間たちや、たくさんの職員と関わる中で自分を取り戻した。 ○「障がい者故の能力」なんて書いてあるけれど、人それぞれ違う。大体、「能力」自体書くってのはちょっとおかしいんじゃないですか。人それぞれ皆さん違うので、できたら書かないほうがいいと思う。こういう「能力」とかっていうのは、ちょっと皆さんそれぞれ違うので。 ○多様な価値観を入れるというのは大変結構なことだと思うし、障がい者にもいろいろな能力があるんだよと。委員から「能力」という言葉を気にされていたが、障がい者にもいろいろなことができるんだよということを引き出していくということは、これは必要なことだと思う。ただ、今の冨田委員の意見のポイントにあるのは、何かこういうことを言い出すと、障がい者って能力がなきゃいけないんだよね、みたいな話がどうも根底にあって、かつ、極めてこう立派な人たちでなきゃいけないみたいな、こういう想定がスススッと入ってくる。障がい者だってふしだらな人はいっぱいいるし、酒ばっかり飲んでいる人もいるし、どうしようもない人もいっぱいいる。これは普通の人と同じなので、そんなに障がい者だから立派な人だというふうに思われると、障がい者の人も辛いということも、やっぱり多様な価値観ですから、根底に置いておかなきゃいけないのかなあというふうに思っている。 ○ピープルファーストの横浜の活動での中では、集まるときには、お花見やバーベキュ      ー、交流会など楽しいイベントをしてきた。イベントは大変だが、やって良かったと達成感を感じられた。ただ、活動はいいことばかりではない。話す内容が、虐待や差別のことばかりで落ち込んでしまったり、信頼する職員が突然辞めてしまい困ってしまって、話がうまく進みません。思うように分かりあえず、イライラしてしまったり、これまで失敗も多くあったし、何度も止めたいと考えた。でも辛く苦しいともがきながら、そばにいる職員と一緒に乗り越えてきた。一緒に乗り越える思いがあれば、きずなが深まる。何も思えなければそこは何も生まれない。 ○当事者も支援者もお互い努力して、もがき続けることが大切。苦しい時も、つらい経験をしながら自分は学んできた。ピープルファーストに入ったばっかりの頃は自分に自信が持てなかった。こういったピープルファーストの活動の経験をとおして、自分に自信が持てるようになった。施設で暮らす仲間たちにも、そういう経験ができる機会があると良いです。 〇自分の思いは日々揺れている。仲間の思いも、日々揺れている。仲間たちの思いを知るためには、たくさんの選択肢をたくさんの経験が必要。そのためには、社会参加をするために、仲間を丸ごと受入れることが必要だ。 〇誰も排除しない社会の実現とあるが、排除という言葉の意味は広くて難しい。誰が排除されているのか、排除する人が誰なのか、イメージがわきません。教えてください。障がい者アートや障がい故の才能という言葉があるが、「障がい」をつけて区別をする必要はないと思う。当事者目線に立って言葉を選んでほしい。知らず知らずに人は傷ついているかもしれない。 (2)制度・施策の持続可能性(論点〜中事項) ○この話はどこかに解決があるとは思うが、深堀りしないといけないと思う。お金の話はこの委員会でする話ではないと思う。お金がかかるとか、障がい者が増えるとか聞くと自分は利用者が責められているように感じてしまう。 ○保育園の段階から、誰かがついていなければ、持ちこたえられないというか、いつも誰かがついていなければっていうような支え方が、ある意味で「手厚い」というふうに現場で思われている。本当は乳幼児期からの支援のあり方として、人がいつも複数とかマンツーマンだというのが「手厚い」というようなのが、良い支援だと、何となく、意識的じゃないにしても、「手厚い」が「人が必要」「誰かがいつもそばにいないと難しい」というような流れできているのではないか。 ○この検討会でも「手厚い支援」って何だろうかという議論が一度あったときに、自分はちょっとスルーしたが、それは皆さんの言う「手厚い」というのが、そのマンツーマンでなければならないとか、いつも誰かがついてなければという、そういう「手厚さ」と、そういう支援の中で本人が頑張れる、人がついていなくてもここは頑張れる、やっていけるという力を、小さい頃から育てていくという、そういう方向から必要な方に必要な財源支給というのが出てくるんだろうなと、ちょっと思っていた。 ○保育園の段階で、年長になったら加配の保育士さんがフェイドアウトしても、しのいでいけるような、本当に必要なところだけ必要な支援を受けるというような形を作っていくことが大事。 ○環境とか、マンツーマンで誰かがいつも側についていなくても、しのげる力とか、むしろその時間で本人が心動くこととか頑張れるものを見つけるとか、それはワークシステム的な取組みなのか分からないが、改めて、「手厚い」ということについて、財源、人というふうな一直線のつながり方について、一度振り返ってほしいなと思う。 ○手厚いというのは、人の問題ではないと思っている。よく拘束されているような施設に行くと、人手が足りなくて、拘束せざるを得ないような話が出るが、てらん広場も、他の入所施設も人手の数は一緒だ。むしろ県立施設の方が手厚い配置になっている。人手の問題とか予算の問題ではなくて、暮らし方の問題だ。 ○暮らし方というのは、当然いろんな要因がある。環境要因であったり個人の要因であるとか、そういった複合的な要素が組み合って、一人でできたりとか、意欲的になれたりとか、逆になれなかったりとか、そういうものがある。関係発達の問題も含めて、しっかりと捉えていかないと、ただただ構造化していくような、人手がないから構造化するんだ、みたいな話に陥っていくような危機感を常に強く持っている。とにかく暮らし方の問題なんだと、人手の問題ではないということを伝えたい。 ≪他の重要な意見≫ <市町村支援> 〇この検討委員会の報告をまとめるにあたって、県が県内の市町村とどのような連携なり、どのような取組みを行っているのか教えてほしい。神奈川は政令市が3つ、中核市が1つあり、その他が県域という非常に複雑な構成になっているので、この辺のキャッチボールがどうなっているか非常に気になっている。 〇今回の取組みが都道府県主導でということで、県がリードするのは素晴らしいことだが、やはり市町村の時代で、市町村の中でプランも組み立てなければならないし、県がどこまで、市町村とどのような連携を行っていこうとしているのか。連携という言葉が一杯出てくるが、何か少し噛みあっていないような気がする。 〇先週、神奈川県のある市で虐待防止の研修の講師を務めた。中井やまゆり園に近い自治体だったので、この中井やまゆり園に対して地域生活移行ということで本格的に取り組んだら、その市はグループホームなどをいっぱい作らなければならない、そういう話をした。その市は虐待防止をはじめ一生懸命やっているが、果たしてそこをどう、どのように共有していくか。これからのことかもしれないが、あまり感じられなかった。結局県の施設をどうにかするというのはできるだろうが、その利用者たちを地域に移行する、あるいは今まで地域で暮らしてきた人が、親亡き後もずっと地域で生活するという仕組みを作るのは、やっぱり市町村。その時に、県がどんどんどんどん前に行ったら、市町村はなお引いていくのではないかなと危惧している。リーダーシップは必要だ。誰かがやらないといけないが、何かそこの上手い関係、むしろ県は黒子に徹して、引いてやっていくような全体を作っていく。神奈川県は政令市が3つあるので、そことの関係も難しいだろうが、市町村との関係は書いてあるが、議論はあまりできていない。一番の要は、市町村と一緒に、県がどのようにやっていくかということだと思っている。 〇県は様々な取組みにおいて、今は市町村の後方支援の立場になっているということは、これまでの実践の中で感じている。市町村はどうするのかというと、頑張ろうとするときに、やはり後ろの県を気にしたり、見たり、助言を仰いだり、応援してもらえるだろうかと、ある意味でははしごが外されないだろうかと、そういう気持ちを持ちながら、割と恐る恐る取組みを進めていくという実感がある。色々な自治体を見てきたが、感じるのは、局所的に頑張ってる市町村とか地域はあるが、法則的に、県が頑張らないでイケてる市町村がある県はないということだ。 〇県が頑張らないで、市町村が頑張ってるところはないというのが実感なので、県がどうやって、市町村で暮らす一人ひとりを活性化するためのエンジンをどことどこに作るかということがポイントだと思っている。県の中に朝から晩までこの取組み、つまり、市町村とか地域の事業所とか、相談支援事業所とどう繋がるか考えてくれるエンジン、事業所と市町村の中核的な人たちが繋がるようなエンジンをどう作るか。そこをいつもボトムアップ、トップダウンをやりとりするメゾ的な取組みをどう作るかっていう、そういうような実効的な仕組みづくりの中で、旗振り役になってほしい。 〇自分が暮らす町の学校が廃校になっている。公立施設をもっと有効利用し、障がいを問わず利用できる、暮らしやすい広場を作ってほしい。運動したり、学んだり、本を読んだり、いろんな活動ができる広場を作ってほしい。今後は県営団地や市営団地の空きの住まいを工夫して、仲間たちと職員が一緒に暮らせるように活用できないか。神奈川県は広い。いろんな地域にたくさんの仲間が暮らしている。神奈川県が本気になって、市町村をまとめてほしいです。【再掲】 <報告書のまとめ方など> 〇この報告書の骨子案全体を見ると、これまでの委員会の議論を事務局で丁寧に拾って、まとめたというふうに思っているが、いろんなことが書かれ過ぎていて、どうするのっていうのがよくわからないと感じる。一番中心になるのは、入所施設というものの役割を見直すことと、役割を見直して地域移行を進めるのであれば、移行先の地域というものを作らなきゃいけないということになるが、そこをメリハリつけて書いてほしい。 〇あんまり長く書くと誰も読まない。いっぱい書かれているので、読むのが委員ですら大変だなあという感じがしている。メリハリ、どこが中心なんだ、将来展望としてここが中心なんだっていうのをバーンと出す、それが必要なのではないか。 〇骨子案は、いろんな取組みが書いてあるが、総花的で何がポイントか、メインストリーミングが何かということが良く読めないと感じる。今までの議論から、やはり、津久井やまゆり園事件という一つの大きな事件があり、その後の検証委員会も含めて、やはり入所施設のところから出発して、将来的には入所施設はどうするのか、地域生活ということを基盤にすれば、何年か後ぐらいにこういう方向性で持っていく必要があるのではないかと、きちんと書くことが必要だと思っている。そのためには地域移行を推進すること、そして地域生活の基盤を作らなければならない。これはオール神奈川でやらなければならないわけだから、長野の実践のように、相談者がきちんと組み込まれないと無理だという大きなストーリーの中でいろんなことを付け加えていったらどうかというイメージを持った。 〇一つの流れで、入所施設のあり方というのがもともと非常に大事だということをイメージでも思いつつ、一方で、入所施設であっても地域で暮らしていても、本人の思いとか、本人の意思がどこにあるかとか、相談支援どうするかという、より基底で大事なところもある気もする。基本的な流れの中で、入所問題を扱ったらこうですよ、とするのも一つあるかなと。結果的には入所に光が当たっているが、やはり、親元から地域に行くというところもあるので、全体を通ずるところはそこで整理をしつつ、入所施設についてこうだという、そういう整理の方が良いのではないか。そうすれば、意思決定支援とか相談支援が幅広いものとして整理できる気がする。 〇この資料を全部当事者が読めと言ったら、1年かかっても読めないだろう。死ぬまで読めと言われれば読めるだろうというくらいの資料なので、是非、分かりやすいものを作ってほしいな、というのをお願いしたいし、提案したい。私なりに簡単に、分かりやすい版を作ってみた。まず、この会議の中身について簡単に7コ位項目を作ってもらうと良いのかなと思う。1、神奈川県の施設のことについて、2、福祉サービスについて、3、意思決定について、4、神奈川県の将来20年後について、5、黒岩知事のメッセージについて、多分10コ位あったらできるのかなと思う。一つにひとつに簡単な大きい絵を載せてもらうと良い。最後の7ページで、心の声に耳を傾けろと言われても良く分からないので、私の心の声に耳を傾けてっていうテーマで当事者委員3人が知事に1個1個質問して、知事が全部答えるという、コミックバージョンを作りたいなと思っている。これまで、国とか育成会を通して、何か分かりやすいものを作らせてもらったときに、いつも一方的に本人たちが喋るばっかりで、質問されても答えてくれる人がいなかった。ぜひ今回この委員会では、ぜひ知事に質問を3人からどんどん出して答えてもらうと、みんなが読みやすいのかなぁと思った。知事に最後何かメッセージとして書いてもらうと良いかなと思った。【再掲】 〇中身をきちっと作るとともに、わかりやすく説明するということだったというふうに思うので、当事者の目線もしっかり入れた形で整理するということで、ぜひ考えていったら良い。