資料3 (1ページ) 当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会報告書 概要(案)〜 報告書の提言が目指すもの 〜 ◎本検討委員会は、県立施設の支援内容についてのこれまでの検証等を踏まえ、今後、障がい者の地域生活への移行やその人らしい暮らしを実現するためには、何より地域づくりが重要であるとの認識に立ち、そのための施策等について広範に検討を行った。 その手法は、およそ20年後(2040年頃)の神奈川の障がい福祉のあるべき姿を展望し、その実現に向け、行政のみならず、事業者や県民を含めオール神奈川でどう取り組んでいくべきかというものであり、昨年の7月から10回にわたり、精力的に議論を行った。 ◎一般に、こうした検討を踏まえた対応策は、厳しい改革が予想される。しかし、今般の報告書の提言は、お互いの心が輝く「ともに生きる社会かながわ」を目指して、障がい当事者を含む関係者が支える・支えられる関係を越え、「自分ごと」としてその道行きについて議論し、合意した上で取り組む、いわば「温かい改革」によって実現されていくことを期待している。 ◎これまでの幅広い議論を反映し、報告書には、280もの提言が盛り込まれているが、当事者目線の障がい福祉の基底を成す考えは以下の三つである。この報告書の内容が広く関係者に共有され、今後、総合的、計画的な施策等の展開につながることを望む。 @個人の尊厳が守られる社会を作る ・障害者差別解消法、障害者虐待防止法関連の措置を強力に進める ・「ともに生きる社会かながわ憲章」「当事者目線の障がい福祉実現宣言」等の理念の普及啓発に努める ・可能性を引き出す、一人ひとりに対応した専門的なサポートを確立する など A本人の自己決定、自己選択を尊重した障がい施策を展開する ・本人活動、当事者の政策決定過程への参加を推進する ・必要とする障がい者全てが意思決定支援を受けられるようにするとともに、伴走型の相談支援体制を築く ・その人らしい暮らしを選択できるよう、地域の社会資源の充実を図る など B入所施設の役割を転換し、地域共生社会の実現にオール神奈川で取り組む ・入所施設の役割の縮小、転換を図り、緊急時の対応と通過型のサービス提供に重点化する ・地域包括ケアシステムの対象拡大、関連領域との連携等により包括的な支援体制を作る ・圏域の自立支援協議会への県の関わり強化するなどにより、市町村支援に取り組む など  (2ページ)(参考資料1) 当事者目線の障がい福祉の当面の実施体系(イメージ) 左に上から、【いのち輝く暮らしに向けた施策等】、◎就労、社会参加、◎福祉、◎医療、◎住まい(グループホーム、アパート)、◎地域づくり(NPO、ボランティア、民間企業等)、・・・、教育 相談支援、意思決定支援、地域生活の支援 中に上から、【当事者の状態】、高齢化、重度の障がい(強度行動障がい等)、医療的ケア児(者)、(障がいと関連のある)孤立・孤独・引きこもり等、・・・、障がい児 地域生活移行の支援、意思決定支援、相談支援 右に上から、障害者支援施設(入所施設)【機能の改善】、*通過型・循環型、*施設外での日中活動、*外部からの相談支援、*介護施設の支援、【構造の改善】*個室化・ユニット化、*小規模化・街中化(サテライト型など)、県立施設にあっては、*モデルづくり、*民間ではできない支援、医療機関(入院)、家族との同居、介護保険施設 下に市町村【障がい福祉圏域】、神奈川県*市町村支援(情報提供、総合調整、自立支援協議会の活性化等) (3ページ)(参考資料2) 1個人の尊厳が守られる社会を作る 目指す未来(ビジョン) ○住み慣れた場所で差別や虐待を受けることなく、安心して生活できる ○本人の自己決定が尊重され、権利擁護の仕組みが機能している ○地域生活を実現できるよう、可能性を引き出す専門的な個別な支援体制がある 提言のポイント 障がいを理由とした差別のない社会を実現すること 権利擁護の仕組みが整えられた、障がい者虐待のない社会を実現すること 「ともに生きる社会かながわ憲章」、「当事者目線の障がい福祉実現宣言」の理念の普及啓発を図ること いわゆる「強度行動障がい」のある人に対する支援の充実を図ること 高齢化への対応を推進すること 新たな課題(医療的ケア児・者、ひきこもり、孤立・孤独、生活困窮、ケアラー、家族支援 等)への対応 (注釈)互いの心が輝く支援であることがポイント 想定される施策イメージ 地域協議会等、障害者差別解消法に基づく対策の枠組み、相談窓口、調査、広報・敬はt、あっせん・勧告 権利擁護センター等、障害者虐待防止法に基づく対策の枠組み、通報受理、相談窓口、助言・連絡調整、広報・啓発 高度な機能を有する機関 障害福祉サービス提供事業所 それぞれが、障がい者差別や障がい者虐待をなくすための取り組み、一人ひとりの状態に応じた専門的な支援としてつながる。 いわゆる「強度行動障がい」、高齢化、医療的ケア児・者、その他、障がいに関係する新たな課題等にともに生きる社会かながわ憲章、当事者目線の障がい福祉実現宣言がつながる。 (4ページ)(参考資料3) 2本人の自己決定、自己選択を尊重した障がい施策を展開する 目指す未来(ビジョン) ○いつでも生活上の困難を相談できる機関、場所がある ○本人の自己決定が尊重され、権利擁護の仕組みが機能している ○支援者と対等な関係で、良き暮らし、良き社会を目指して協働できる ○いのち輝かせて豊かな生活が送れる、その人らしい暮らし方が選択できる 提言のポイント 必要とする障がい者の誰もが意思決定支援を受けることができるようにすること 相談支援体制の充実に努めること(伴走型の支援を目指す) 本人(障がい当事者)活動に対する支援、社会参加の促進を図ること 障がい当事者の政策決定過程への参加を進めること 人と人のつながりのある居場所、本人の力が発揮できる出番を作り出していくこと 地域生活移行を推進するとともに、地域生活及び居住の支援を進めること 障がい者アートやICT技術の活用等を通じ、それぞれの才能を最大限引き出す取組みを進めること (注釈)「自己決定」は、他の人に影響を与えるようなことを本人に決めてもらうことである。それは、失敗しても良いし、本人は責任を取らなくても良いことがポイント 想定される施策イメージ ○その人らしい暮らしの実現 相談支援事業者による意思決定支援は自己決定・自己選択が広がるよう伴奏支援 当事者からの苦情相談等を意思決定支援の推進機関へ 意思決定支援の推進機関は、相談支援事業者と連携・協働 障害福祉サービス提供事業所、NPO法人、ボランティア、企業・商店など等により、以下の取組みを行う。 (仲間とのつながりを作る居場所と出番) 本人(当事者)活動の推進(カフェなどの設置) 行政の障がい福祉分野の検討会議体への参加 就労の機会の創出、その他社会参加の機会の拡大 才能を最大限に引き出す取組み(芸術文化活動など) (住まいの選択肢の広がり) グループホームの整備 居住支援協議会の活用 サテライト型への移行 共生型サービスの推進 (5ページ)(参考資料4) 3入所施設の役割を転換し、地域共生社会の実現にオール神奈川で取り組む 目指す未来(ビジョン) ○いきいきと過ごすことのできる日中活動の場と、快適な住まいがある ○医療や教育などの関連分野との連携により、生活課題が解決できる ○地域の担い手として活躍できる、社会参加や就労等の機会がある ○それぞれの様々な才能が発揮でき、違いを認め、誰も排除しない地域社会である 提言のポイント 入所施設の役割の縮小、転換を図り、緊急時対応と通過型のサービス提供に重点化すること 県立施設の支援内容のさらなる検証を行うこと(中間報告での提言の引継ぎ) 障がい者も含めた地域包括ケアシステムを目指し、いのち輝かせて暮らすことのできる地域共生社会を実現すること 関連領域(医療、教育、雇用、住宅、農業、商工等)と連携を図った、包括的な支援体制を構築すること 福祉人材の確保と養成を進めること ポストSDGsの議論を加速させること 制度の持続可能性の確保を図ること 圏域ごとの自立支援協議会への県の関わり強化するなどにより、市町村支援に取り組むこと (注釈)支える・支えられる関係を越えた、自分ごとのまちづくりがポイント 想定される施策イメージ 当事者目線の支援は当事者を中心に、親、相談支援事業者による意思決定支援 その外部に当事者目線の障がい福祉(狭義)として、ボランティア、行政機関、インフォーマルサービス、芸術文化活動、日中活動事業所、訪問系サービス、移動支援、グループホーム、入所施設(緊急時の対応と通過型のサービスに重点化)、地域包括ケアセンターがある。 さらにその外側に、県民、労働、教育、医療、住宅、運輸、農業、商工等(一義的には市町村の取組みだが、県は、圏域の自立支援協議会等を通じて市町村を支援)、民間企業その他、子ども、高齢者、生活困窮者があり、いのち輝く、ともに生きる社会かながわ【地域共生社会】とし、当事者目線の障がい福祉(広義)となる。 そこから外側に、制度の持続可能性の確保(必要な財政措置を維持しつつ、各種データの分析等を通じて、提供サービスの最適化と質の向上を図っていく)ことと、ポストSDGsの議論へ(現行の誰一人取り残さない持続可能な開発目標17のうち、4分野において障がい者関連の指標が盛り込まれており、さらなる拡大に期待)につながる。 (6ページ)(参考資料5) 2040年頃の障害者支援施設のあるべき姿と実施過程 ○障害者支援施設は、役割の縮小と転換を図り、将来的には緊急時対応と通過型のサービスに重点化することとし、それに向けて、圏域毎の(自立支援)協議会等において、施設が担っている機能の地域への分散化を図るべく、関係者が支援の組み立てを議論していく 今後、神奈川全体で必要な支援の組み立てを行っていく 障害者支援施設の機能の地域への分散化を図っていくために いつでも「相談」できる窓口を用意する 安心して生活できる「住まい」を用意する 働きたい人が働ける、豊かな「日中活動」の場を用意する 重度訪問介護、行動援護等の「居宅支援」を充実する 外出することを容易にする「移動」の手段を用意する 仲間とのつながりを作る、「集いの場」などを充実する 公的なサービスだけではない、「地域のつながり力」を強化する (注釈)県がしっかりと関与し、(自立支援)協議会等の場で議論を重ね、神奈川の各事業者の理解、合意の下で取組みを進める (注釈)社会福祉連携推進法人制度、地域生活支援拠点の整備も活用 (注釈)入所施設の構造の改善(個室化、ユニット化、小規模化、街中化)も同時に進める(注釈)サテライト型の導入に向け制度改善要望も検討 (注釈)障害者支援施設は、日中活動(生活介護等)と居住(施設入所支援)の報酬収入セットで制度設計されているため、居住部分だけで運営を維持できるかが課題(国に対して制度改善要望を行うことも検討) 施設機能の分散化を図りながら 旧来の保護収容型の障害者支援施設は解消を目指す。新規入所は、緊急時対応等を除き、原則として有期の自立訓練のみ(通過型)とし、併せて、実質的な「昼夜分離」を進め、施設の機能は、居住支援(夜間の支援)に特化させるものとする(地域に対する日中活動サービス等の提供は妨げない) うち、県立施設については、機能(市町村支援、基幹相談支援、研修機能)の移転を進め、規模を縮小の上、民間移譲も視野に入れた検討を行う(県として求められる臨床研究的役割、人材育成は別途検討) 2040年頃 障害者支援施設の役割の縮小と転換(緊急時対応と通過型のサービスに重点) 地域の社会資源が必要十分に整備(その人らしい暮らしを選択できる地域社会) (7ページ)(参考資料6) 県立障害者支援施設の今後のあり方の検討について ○神奈川県が設置する7つの(県立)障害者支援施設は、令和4年3月1日現在、531名が生活しており、これまで、県下の重要な社会資源として位置付けられてきた。しかしながら、先の有識者による支援内容の検証において、複数の施設で虐待が疑われる不適切な支援が長期間にわたり行われていたことが判明するとともに、新聞報道等でも、一部の県立施設における支援の質の課題がたびたび取り上げられ、県立施設を管理する県本庁の関与のあり方や各県立施設の組織運営も含めた改善が求められている ○「当事者目線の障がい福祉に係る将来検討展望員会」においては、次期指定管理期間(令和5年4月からの5年間)の指定管理者の選定基準に反映すべく、当面のあり方について議論が行われ、10月の中間報告において、@通過型施設への転換、A定員規模の縮小、B環境の整備(ユニット化・個室化)などの提言がなされた ○同検討委員会では、県立施設も含む障害者支援施設の2040年頃のあるべき姿を議論したが、県立施設については、これまでの提言を踏まえた取組みを着実に進めながら、次期指定管理期間中において、中長期的な視点から、そのあるべき姿に向けさらなる検討を行うこととしている 令和2年(2020年)5月津久井やまゆり園利用者支援検証委員会中間報告書 発展的改組 令和3年(2021年)3月障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会報告書 虐待ゼロの実現を目指した取組み 行動障がいを軽減するための支援技術の向上(身体拘束によらない支援) 意思決定支援の推進(全県への展開) 利用者(当事者)目線の支援を支えるための組織的な体制づくり 令和3年(2021年)10月当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会中間報告書 これまでの支援の検証と支援の改善に向けた以下の取組みを加速させる 地域生活移行、地域生活支援の推進(通過型の施設への転換) 定員規模の縮小、環境の整備(ユニット化、個室化) 当事者目線を基礎とした日中活動の充実 意思決定支援の継続(実践を検証する仕組みづくりも必要) 令和4年(2022年)3月県立中井やまゆり園における利用者支援外部調査委員会設置 これらの報告書の実践を継続、指定管理者の選定基準に取入れ、調査を行い 令和5年(2023年)4月津久井やまゆり園を含む4つの県立施設について、新たな指定管理期間の開始 県立障害者支援施設(7つの県立施設全て)のあり方について、中長期的な視点から、さらなる検討を行う 令和10年(2028年)3月左の4つの県立施設の指定管理機関の終期