参考資料3 社会福祉法人佛子園による事例紹介(説明概要) 第7回当事者目線の障がい福祉に係る将来展望委員会(R03.12.22)事例紹介発表者:社会福祉法人佛子園理事長雄谷良成氏 ○福祉の先進国で良かれと思ってやってきた縦割りの福祉に課題があるのではないか。いろいろな人たちがもう一度ごちゃまぜになって、そして、お互いのことを知り合っていくという機会が非常に大切なのではないかと思う。 ○私たちが最近、非常に大切だなと思っていることが関係人口と居場所づくりの二つである。やはり、どれだけのいろいろな人たちと関わることができるのかということと、そのいろいろな人たちと出会う場というものを、改めて作っていくことが大切である。 ○人と人が関わって生きがいを感じるという人とそうでない人では3倍も生存率が違うといったデータや人生の目的を強く感じている人とあまり感じていない人とでは要介護になる率が倍も違うといったデータがある。課題の一つ一つに対処していくことも大切だが、地域の中で関係性を作っていく、そういったことが今後の社会保障に非常に大切ではないかと感じている。 ○グループホームにいた方で物を取ってしまうことを何回も繰り返していた方がごちゃまぜの場所に来るようになって、ピタッと止まり働けるようになった。また、地域の人が演奏していたり、就労継続の配食サービスで働いてる末期癌の人が地域の人に、釣りに連れてってもらったりとかしながら、生きていく。こういうことがごちゃまぜの中で普通に起こってくる。 ○つい最近まで入所施設にいた強度行動障がいの方も、言葉はないけれども、ごちゃまぜの場所に来て一緒に乾杯をしている。自傷や他害、そういったものが、あっという間に減った。誰もが地域の中で一緒に暮らしていく、誰が先に亡くなるかということは分からないから、ごちゃまぜにいる我々にとっては、看取り合いということなのかなと思っている。 ○ごちゃまぜの場所というのは、近くの、高齢者デイサービスや生活介護の事業所の方がお昼寝してたりとか、温泉に入られたりする、開かれた場所なので、たまに、お客さんの例えば唐揚げを取ったりする人もいる。でも、大きな声を上げる方とかがいても、そんなに、誰かに危害を加えるとか、そういうことではないということが、地域の人が毎日来て理解してもらえているというのがあって、少々のことがあっても、ゆったり、食事を楽しめるという環境がある。 ○それが実を言うと、サードプレイスというか、誰にとってもの居場所になっていることが分かってきた。ごちゃまぜの周りは世帯数が増えていて、その理由を聞いたら、いろんな人がいて、そういったものを受け入れていくという地域にすごい魅力を感じるという人が、外から移ってきたり、あるいは若い人が外に出なかったりするということがあって、びっくりした。 ○そういった地域の声などが僕たちの自信にもなったりとか、地域に開かれたごちゃまぜの施設の離職率が非常に低いことがあると、やっぱり職員にとっても、働きやすいのかなと思っている。 ○最初、まだ厚生労働省が、我が事・丸ごと共生のプログラムを作っていないときに、介護保険と支援費のお金でごちゃまぜに建てようとしたら、廊下を2本作れと言われた。高齢者の廊下と障がいのある人の廊下を分けたらおかしい話にならないかとか、そういう時代があったけれど、各県によっては、まだ地域間格差があると聞いている。 ○もう一つ、自分たちのマインドが、例えば保育士は保育士で、障がいのある人が走ってきたら、それこそ事故になったら知りませんよみたいな話が起こったりとか、最初はそういうセクトみたいになっていく。自分たちの心を何とか、ごちゃまぜにしていくというところに手こずりながらも、少しずつ、やっぱりこれはいいねという形になってきたと思う。 〇ごちゃまぜの場所は、ちっちゃいカフェ一つからでもできると感じている。そこら辺で使っていないやつを、みんなで使いながらやっていくと案外使える。その土地によって違いはあると思うが、住民が主体となって、その場所を作り、守っていくことが大切。地域の人が自分たちのこととしてとらえるというマインドに入らないと、同じ建物ができても全く違うものになるので、そこが大切かなと思う。