当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会(第7回)ピープルファースト横浜 小西勉 小西委員意見 (2)地域の福祉資源の充実について ○資料2-1(関連領域との連携について) 地域には、いろんな夢や悩みを抱えた人間がいます。それは障害を持っていても、持っていなくても同じです。だから、一緒に考えてくれたり、悩んだりして、自分の気持ちをわかってくれる人が必要です。 前勤めていた職場で人間関係がうまくいかなくなり、体調を崩して、退職しました。その時、自分の将来に対して、大きな不安がありました。就職を紹介してくれる人はいたけれど、自分の人生の相談に乗ってくれる人はいませんでした。 そんな不安の中で、就職合同面接会を受けたことがあります。面接では、ピープルファーストに力を入れて活動をしてきたことを話しました。でも、何も関心を持ってもらえなかったと感じました。 障害者雇用の面接では人間性を見てもらえているような気がしません。自分の身の回りにも採用側にも理解者がいないと不安になってしまい、一年位、グループホームに引きこもってしまいました。 その中で唯一の活動がピープルファーストでした。 ピープルファーストを通して、津久井やまゆり園事件がなぜ起きたのか、一生懸命考える毎日でした。その時に障害を持った仲間たちと同じ仕事をしてみたいと思い、今の仕事に就きました。 最初は休みがちだったけれど、行動障害と呼ばれる仲間たちやたくさんの職員とのかかわりの中で自分を取り戻しました。 今では毎日職場に行き、職場の仲間たちと行事に参加したりして楽しんでいます。 一人の人が自分のすべての悩みの相談に乗ってくれているわけではありません。でも、たくさんの人とかかわる中で、それぞれの悩みを理解してもらっています。 医療では施設の仲間が救急対応が必要な時に、障害を持っていることを理由に病院から断られるということがあります。 仲間のいのちを守るためにも、誰もが安心して医療を受けられる体制を作ってほしいです。 ○資料2-2(人材確保、育成について) 私はグループホームに住んでいますが、優しくて、精神的に強くて、お金を預けても信用できる職員がいいです。職員には壁にならないでみんなを支える柱になってもらいたいです。  私の職場にいる行動に激しい障害があると言われている人が、周囲や自分を傷つける行動をした時、なんでそうなっているのかな、集中力が切れてきたのかな、それを知らせるためにアピールしているのかな、何かを言おうとしているのかなと私は考えます。 なぜかというと、いつも職員と仲間は一緒に、失敗したり、謝ったり、喜んだり、悲しがったりして、お互いに考えているからです。仲間と一緒に成長しあえる職員がいいです。 諦めずにいろんなことにチャレンジしてくれる職員が必要です。職員には夢を持ってもらいたいです。その夢を自分たちにも語ってもらいたいです。    ○資料2-3(障害者支援施設のあり方) 僕は施設が必要な状態の時があると思います。施設が必要な状態の時は、心も体も傷ついています。 ただ入所させて管理するのでなく、傷をいやせる環境が必要です。そんな環境がない施設なら無い方がいいです。 できれば、プライベートの空間がある施設がいいです。 施設を縮小するなら、施設で暮らしている仲間たちが夢を持てるような行き場を作って欲しいです。 誰とどんなところで暮らしたいのか聞いてもらいたいです。いろんな暮らし方を教えてもらいたいです。 (3)当事者目線の徹底と権利擁護について ○資料2-4(本人活動について) ピープルファースト横浜の活動を通して、自分に自信を持ちました。自分の思いを話しても大丈夫だと知りました。 自分のことを話せるようになった仲間が増えました。仲間にはたくさんの居場所と友達が必要です。 施設の仲間も同じです。施設で暮らす仲間とピープルファースト横浜の交流をしたいです。 一緒に外出したり、美味しいものを食べたり、話をしたいです。施設で暮らす仲間の居場所づくりや友達づくりに繋げて欲しいです。 時には地域の人とも話したり、叱られたり、認められたりする時間も必要です。施設で暮らす仲間たちのいのちが輝ける暮らしは、施設で暮らす仲間だけでは実現できません。 施設で暮らすように考えた人たちには、施設で幸せに暮らせるようにも考えてもらいたいです。 実際に施設で暮らしている人の暮らしを多くの人が知っている必要があります。 施設のみが暮らしの選択肢ではないことを、施設の仲間には知ってもらいたいです。 そのことを行政や施設の人たちは本気で取り組んでもらいたいです。 ○資料2-5(虐待ゼロの実現に向けて) 施設での虐待報道に不安しか覚えません。 多くの仲間は、いつ自分が虐待を受けるかわからないという不安を抱えながら暮らしています。 不安が高まって、暴れてしまった時に、また施設に入れられたらどうしよう、また虐待されたらどうしようとさらに不安が高まります。 虐待という言葉は多くの仲間に不安を与えていることを知ってもらいたいです。 実際に県立施設を見学させてもらいました。そこで暮らしたいとは思いませんでした。 県立施設から僕の職場に移ってきた人たちがいます。県立施設で暮らしていた時は表情も暗く、何もできない人とされていました。身体拘束や居室施錠もされていました。 社会でうまく暮らせないと鍵の中での暮らしにされてしまうことが不安です。 僕の人生で何度か不安が強い時がありました。でも良い仲間に出会って、何度も立ち上がれました。 今、僕の職場では、職員と仲間が一緒に作業や遊びなどを通して、背中を押したり、時に引いたりしています。かかわり合いがあるということです。 信頼を積み重ねる努力もしています。信頼を積み重ねるために、お互いの夢や望む暮らしを語りあっています。 もしうまくいかない時は、語り合いながら、最後はお互いに謝っています。分かり合える瞬間でもあります。 そのような信頼関係の積み重ねがあることで、みんなが笑顔でバーベキューに行ったり、いろんな活動が出来ます。失敗しても許される環境があるからです。 ○資料2-6(意思決定支援の推進について) 意思決定支援会議の進め方について、たくさんの支援者の中で話をすると説明を受けました。 想像すると、緊張してしまい、頭が真っ白になるのではないかなと感じました。 僕は、その意思決定支援会議という会議の中で作られた紙一枚で自分の人生を決められたくありません。僕の思いは変わります。 変わった時に話を聞いてもらえるのでしょうか? それとも一度言ってしまったら、それがすべてで、自己責任になるのでしょうか?とても不安です。 意思決定支援という言葉は支援する側の強い言葉に聞こえてしまいます。 当事者目線の検討委員会の会議資料も厚みを増して、難しい言葉が増えてきており、いろいろと話しているうちに支援者目線の話に聞こえてきて、溶け込めなくなってきています。 本当に乗り越えられるのか、福祉が変わっていくのか、本当にいい方向に進もうとしているのか、不安です。 就職の話や医療の話をしましたが、県や市に真剣に動いて欲しいです。 私たち抜きに私たちのことを決めないでというのは、家族を指すのではなく、自分たち当事者を指す言葉です。 そのことは間違えないでください。