河原委員意見 2021年12月22日第七回当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会 ・高齢化に対する課題。20年後どこでどんな暮らしをしたいのか。多様な選択肢の中からご本人が選択して暮らせる仕組みについて @ 高齢化に伴い日中過ごす場所をどのように考えるのか? 〇障害のある人にとって定年は?あるのか? ・現在20歳〜30歳代の障害のある方の20年後の姿と、現在40歳以上(入所を含む)の 方々の20年後、60歳以上になる方の将来展望の課題は違うように思う。 ⇒現在40歳以上の障害者の数は? 〇働く場と穏やかに過ごす場。 ・就労系を含む生産活動を実施する事業所を使いながら、高齢者のデイサービスも併用できる仕組みつくり。⇒介護保険・障害福祉サービスの併用など障害者本人が選べるのか。 〇共生型サービスの実情 ・県下における共生型サービスの実情は?障害福祉事業所からの共生型サービス参入と介護保険の共生型サービス参入の割合は? 〇介護保険と障害福祉サービスの課題 ・介護保険を利用する場合は、一割負担が課題。平成30年度の報酬改定で、国は共生型サービスの創設や、一割負担の償還払いの仕組みを導入したが、従前使っていた障害福祉サービスが限定的で効果的に活用できていると思われない。 ・障害者総合支援法第7条「介護保険優先の原則」について、厚労省からの通知で「個別の状況を勘案して障害福祉サービスを継続できる」との勘案事項が、市町村の解釈により異なり、65歳になる障害者が、介護保険サービスへ機械的に移行する事案が散見される。 ⇒神奈川県下の市町村の実情は A 高齢化に伴う暮らしの場の課題 〇高齢化に伴い、ADLの低下・認知機能の低下が起こる。 ⇒更にバリアフリーな暮らしの場、ハード面での充実が求められる。 〇バリアフリー等、重層的設備を整えたなグループホームの建設が果たして可能か? 〇高齢化に伴い、医療的ニーズの割合が増えることも予測できる。在宅で生活する障害者も高齢化に伴う暮らしの場のハード(設備面)・ソフト(受けるサービス)の充実が必要と思われる。 意思決定するには 「現場で活かせる意思決定支援」(社福)いわき光成園古川敬氏原稿から抜粋 ・意思決定支援とは、障害者本人の意思が形成されるために、理解できる形での情報提供と経験や体験の機会の提供による「意思形成支援」、及び言葉のみならず様々な形で表出される意思を汲み取る「意思表出支援」を前提に、生活のあらゆる場面で本人の意思が最大限に反映された選択を支援することにより、保護の客体から建リの主体へと生き方の転換を図るための支援である。 意思決定支援のイメージ1 意思決定支援に意思形成支援と意思表出支援が内包されている絵が図示されている。 意思形成支援のイメージ2 意思形成支援→意思表出支援→意思決定支援の順に進んでいく絵が図示されている。 スキルアップQ&A 「ニコリほっと」の取り組みがあると聞きましたが、具体的にはどのようなことですか? Qリスクマネジメントでは、「ヒヤリハット」などの事例を集めて危機に対しての対策を立てていますが、集めただけで検証が難しい状況です。もう少し身近なものにするにはどうしたらよいでしょうか。また、人権や権利擁護の向上のために、「ヒヤリハット」とは対極にある、「ニコリほっと」という言葉が聞かれますが、具体的にはどのようなことでしょうか。今年の9月に行われた、全国知的障害福祉関係職員研究大会・愛知大会の鼎談でも河原政策委員長が「ニコリほっと」を導入し、職場が明るくなったとの話をされていましたので、ぜひ内容を知りたいです。(岐阜県・障害者支援施設 支援職員) Aリスクマネジメントの対策として、福祉現場に限らずいろいろな事業所で「ヒヤリハット」の事例を集め、事故防止に役立てています。しかしながら、事例集めだけに目が行き、本来の対策を立てるまでに至らないことはよくあることです。「ヒヤリハット」は、ハインリッヒの法則に基づき、300件の「ヒヤリ」としたり、「ハット」した出来事の背景には、29件の軽微な事故があり、そのうち1件は重大な事故、災害につながる原因になっているといわれています。それぞれの事業所でいかにその情報を共有できるかで事故を未然に防げるかにつながります。「ヒヤリハット」の対策会議を開いて対応策を決めるとなると、時間が取れないなど、意外と難しいものです。週1回でも、月1回でも構いませんが、提出された事例から2〜3件程度をピックアップし、引き継ぎ時に報告するなど、情報を共有することが必要です。できれば「今月のヒヤリハット」「今週のヒヤリハット」など、支援者に注意喚起することを繰り返していくと時間をかけずに周知することができると思います。次に「ニコリほっと」についてですが、これは「ヒヤリハット」の対極にあり、人権や権利擁護でも注目されています。2017年の『さぽーと』7月郷、「地区・地方会活動報告」で、神奈川県民間知的障害施設協同会から、「あなたの施設で自慢できる取り組みはありますか」というタイトルで紹介いただきましたが、『支援者のための利用者虐待防止ハンドブック』第二弾の中でまとめられている、神奈川県・社会福祉法人藤沢育成会の湘南ゆうき村の「ニコリほっと」の取(と)り組みを紹介したいと思います。 にこりほっとの取組み 社会福祉法人藤沢育成会湘南ゆうき村 ○ヒヤリハットによって日々事故防止に努めてきたが利用者の課題や問題行動に焦点が行きがちだった そんなある日、法人の管理するブログで”二コリほっと”の話題があがっていた。ポジティブな視点!ストレングス探しにつながる?やってみよう。二コリほっと導入へ!!! ○笑顔の絶えない生活の場に向けた♪始めの一歩! ”二コリほっと”とは思わず「二コリ」としてしまう素敵な出来事、「ホッと」するような良い出来事、それらを一人の物にしておくのではなく、皆んなで共有する取り組み。 ○二コリほっとが始まる ・利用者の言動で「素敵だな」「嬉しかった」と感じた事を記入! ・利用者だけではなく職員の気配り等に癒されたことでもOK! ・パソコンが苦手な職員も気軽に書ける手書きスタイル! ・記入当日の終礼や翌日の朝礼で即座に情報共有! ○記載例 ・Aさんが不調の時に「大丈夫?頑張れ」と頭を撫でるBさん。 ・台風翌日、施設の周りを片付けてくれたC職員さん。「ありがとう」 ・避難訓練後のDさんが「本番はいつ?」・・・本番は起こりませんように。 ・朝礼のコメントの後に必ず「どうでもいい話なんですけど〜・・・」と小話を入れて、朝からみんなの笑顔を引き出す河原施設長。 ○職場に変化が・・・ ・職員間で利用者に関する話題が増えた。 ・利用者の行動をよく見るようになった。 ・ご家族に伝えたところ大変喜ばれた。 ・朝から職場に笑顔があふれるようになった。 ○更なる進化 ・職員の何気ない支援や気配りに対しての感謝の気持ちを伝え合うコミュニケーションが増えた。 ・ニコリほっとの気づきが個別支援計画に発展する事も。 ・法人取り組みとして、個別支援計画に基づいた支援の中で良い支援が行われた時はベスト支援として法人全体で共有されています。ニコリほっとは支援計画にとらわれず自由に記載できるメリットを生かし、より利用者や職員の身近で起きた「いいね!」「素敵だ!」を積み重ねていきます。