参考資料3 日本グループホーム学会による事例紹介(説明概要) 第6回当事者目線の障がい福祉に係る将来展望委員会(R03.11.24) 事例紹介  発表者:日本グループホーム学会 事務局長  室津 滋樹 氏 ○日本グループホーム学会は、グループホームに関する研究や制度改善に向けた提言活動に取り組む、障がいのある人と援助者でつくる団体。家族も不動産屋も、ともかくグループホームに関心がある人でみんなで集まろうということで(平成16年2月)発足した。 ○地域に住んでいる障がい者がそこで、色々なサービスを受けられるというのが当たり前だが、地域にはサービスがないので、障がい者だけ集めてサービスをする入所施設ができ上がってきた。病院は病気が良くなったら家に戻るのが当然だが、入所施設はその当然のことができていない。一時期家を離れて入所するが、必要がなくなったらまた家に戻るというのが当たり前のはず。入所施設をどうするかの議論では、地域で入所施設を使わなくてもきちんとサービスが受けられるようにしていくということが中心でなければいけない。 ○施設から地域の暮らしへの移行というのは、同一法人の中で行われていることが多い。津久井やまゆり園の場合も、同じ法人が津久井やまゆり園のそばにグループホームを設置している。法人外への移行がないと、施設城下町と呼ばれるような、施設の周りにグループホームがいっぱいあって、そこのエリアだけ障がい者が住んでいる比率が高いというような地域ができる。グループホームと通所の施設も同一法人で、さらにヘルパーや相談支援事業所も同一法人、要するに法人の中で全部完結してしまうという形ができ上がっている。そのような考え方だと、自法人で支えられるグループホームの数には限界があるので、どこかで、地域移行が止まってしまう。 ○地域生活の場を今後さらに広げるためには、法人を越えて地域移行していくことが必要ではないか。法人を越えた移行というのはすごく難しいと考えられてきたが、アンケートでは、同一法人じゃなくてもやれるというふうに答えたグループホームが圧倒的に多かった。一方で、入所施設からグループホームへ移行するときに必要な支援をきちんとやってもらえなかったので、すごく苦労したとか、入居前はいろいろ応援しますよと言うけれども、実際に入居したら、全然元の施設の人が来てくれなかったとか、担当者が変わって途中から全然引き継ぎがされていなかった、というような経験をしているところが結構ある。 ○入所施設の担当者と共同して、アセスメントや支援の組み立てを行うということができる人材が必要で、移行前の入所施設によるバックアップも重要だ。入所施設からグループホームでの暮らしに変わったとき、生活が急に変わるので、疲れたときに、元の施設にちょっと戻って休憩できるとよい。精神科病院からの移行の場合、そういう休憩のための入院が認められている。グループホームだけでその人を支えるのではなくチームをちゃんと作って、通所の施設やヘルパーの事業者や相談の事業者、元いた入所施設の人たちが加わって、支援を一緒に考える場所が必要ではないか。 ○在宅の重度の知的障がいで区分5の自閉の人をグループホームで受入れることになった事例では、入居する前に、入所施設での3か月間のミドルステイを活用してアセスメントを行った。この人がどこで困っているのかというのをちゃんと整理し、どういう支援があったら安心して暮らせるようになるのか、そのための環境をどうやって作るのかというのを、予めきちんと組み立てをして、グループホームに入っていくというようなことができた。また、入居後は、横浜市の自閉症の専門家によるコンサルテーション制度を活用し、継続して助言を受けることで支援を続けることが可能だった。 ○重い身体障がいと重い知的障がいがある人で、作業所に通っていたが、家族が倒れて、在宅生活が難しく、入所施設に入所することになった事例では、入所施設に入所しても、いずれ元の地域に帰ってくるという前提で、入所中も、その作業所に時々通所し、周辺のグループホームに体験入居を繰り返して、地域でその人を支える準備をした結果、入所施設を出て、地域に戻ってくることができた。こういう形ができ上がれば、入所施設から地域へ戻るときの混乱がなくできるのではないか。 ○また、福岡で、障がいの重い人、行動障がいのある人を県内の1か所の大規模施設で受けていたが、重大な虐待事件が起きた。支援が難しい人はそこに行けばいいというふうに地域で考えられていたことが一番大きな問題であるが、現在は、地域でどうやってその障がいの重い人たちを支えられるのか、アセスメントをきちんと行い、どういう支援が必要なのか組み立てをして、地域の通所の場所やグループホームで支援をするという取組みを行っている。 ○金剛コロニーという大規模施設からの移行の事例だが、自閉症の支援に特化した法人が、グループホームを作っていくだけでは到底足りないので、そういう専門性があるところ