当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会第5回(令和3年10月20日)資料1 当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会「中間報告」の概要 (1ページ) 〇神奈川の20年後の障がい福祉のあるべき姿を展望し、その実現に向けて、中長期的にどのような取組みを進めていくべきか、当事者を中心とした標記検討会議体を設置し、令和3年度内に報告書をまとめる予定であるが、今般、県立施設のあり方と当面の対応を中心に、中間報告を取りまとめた 本県の障がい福祉の重要な社会資源である県立施設(7施設)のうち4施設について、令和4年1月に次期指定管理者の公募を行った上で、令和5年4月から、新たな指定期間がスタートする予定であることから、県が指定管理者に対して要請する運営内容を盛り込む募集要項に関し、標記委員会での当事者目線の障がい福祉の将来展望についての提案、とりわけ県立施設のあるべき将来の姿に向け取り組むべき内容を反映させるため、他の分野に先行して議論を行い、今般、その結果を取りまとめたもの 目次 はじめに 1会議の進め方について 220年後の神奈川の障がい福祉 3県立障害者支援施設が果たしてきた役割と現状 4将来展望委員会での主な意見 (1)2040年頃の神奈川の障がい福祉の将来展望について @地域共生社会の実現 A当事者目線の障がい福祉 B困難性の高い支援課題への県の取組み C地域でその人らしく当たり前に暮らすことのできる社会 D障がい者故の価値の創造とSDGsの理念 (2)県立障害者支援施設のあり方について @地域生活支援と緊急時対応の役割 A相談支援と人材育成の機能の充実 B地域生活移行の推進と通過型の施設としての位置付け C終の棲家としない施設運営 D民間との役割分担 (3)その他、重要な意見 5神奈川の障がい福祉の将来展望 6県立障害者支援施設のあり方と当面の対応 (1)県立障害者支援施設のあり方 (2)県立障害者支援施設の役割と機能 @市町村との連携のあり方 A相談支援体制の構築 B人材確保と人材育成 (3)県立障害者支援施設の当面の対応 @意思決定支援の継続 A当事者目線を基礎とした日中活動の充実 B昼間実施サービスの見直しと新規入所の取扱い C地域生活の支援、地域生活移行の推進 D環境整備 Eその他、個別論点? むすびに代えて〜当事者目線の障がい福祉の今後の議論に向けて (1)県立障害者支援施設の改革 (2)意思決定支援の全県展開への期待 (3)地域資源の充実に向けて (4)福祉教育など関係領域との連携、協働 (5)さらなる議論へ (2ページ) 「中間報告」の概要 はじめに 〇津久井やまゆり園事件が発生し、県は議会と一緒になって「ともに生きる社会かながわ憲章」を策定し、その理念を広く、深く浸透させる努力を続けている 〇そうした中、「当事者目線」という視点を重要なポイントにおいて、およそ20年後、2040年頃のあるべき障がい福祉の姿を展望し、その実現に向けて、 県は、市町村、事業者、県民と連携しながら、どのように取り組んでいくべきかを検討するため、本検討委員会が設置された。これまで計5回にわたり開催し、精力的に議論を重ね、今般、中間報告をまとめるに至った  1会議の進め方について 〇会議の進め方は、バックキャスティングの考え方により、まず、2040年頃の神奈川の障がい福祉の将来像を議論し、次に、神奈川の障がい福祉に係る今後の施策の方向性や県立施設の当面の対応について検討を行うこととした 〇「「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が当たり前になるほど浸透し、本人の意思決定を踏まえた、その人らしい生活を支える当事者目線のサービス基盤の整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会」を目指すべき将来像とし、それに向けた取組みについて、@地域共生社会の実現、A当事者目線の障がい福祉、B困難性の高い支援課題への県の取組み、C地域でその人らしく当たり前に暮らすことのできる社会、D障がい者故の価値の創造とSDGsの理念、の視点から議論を進めるとともに、併せて、県立施設のあり方及び当面の対応について議論を行った 220年後の神奈川の障がい福祉 〇いわゆる「2040年問題」では、@高齢者人口の急速な増大、A労働生産年齢人口の減少、B家庭機能の脆弱化、C地域社会の弱体化、D企業福祉の縮小といった指摘がなされ、それらの課題を乗り越える方策として、健康寿命の延伸、多様な働き方・社会参加の推進、新たなつながり・支え合いの構築(地域の互助機能の強化)、公的サービスの機能強化と効率化、ICT技術やデジタルトランスフォーメーションの導入、SDGsやESGといった社会課題に向けられる企業活動による「社会の価値」の創出などが提唱されている 〇障がい福祉の分野に目を向けると、足元では、医療的ケア児、発達障がいや精神障がいの人が増加傾向にあり、加えて、高齢の障がい者の支援、障がい福祉サービス事業所の担い手確保、さらには、ダブルケア、ヤングケアラー、ひきこもりといった複雑化する家庭支援ニーズへの対応などが、ますます必要になってくるものと考えられるが、今後の障がい福祉分野の政策動向等も踏まえ、さらなる議論を行う  3県立障害者支援施設が果たしてきた役割と現状 〇県立施設は、社会資源がほどんどない年代(昭和20年から40年代)において、保護収容の考えの下、県自らが大規模な施設を作っていき、その後、民間の事業者が機能を分担できるようになってからは、民間施設では対応困難な重度の障がい者等に特化して、利用者の受入れを行ってきた 〇しかし、有識者による支援内容の検証では、身体拘束などの不適切な支援が常態化していた事例が複数確認され、併せて、県の指導監督が不十分であったことが明らかとなり、現在、支援の質の向上の取組みを続けているが、不適切な支援の原因が、大規模な施設であるが故に閉鎖的、管理的な運営に陥りやすいという構造的な課題を抱えているからだという問題提起もなされ、県立施設の今後の運営について見直すことが強く求められている (3ページ) 4将来展望検討委員会での主な意見 (1)2040年頃の神奈川の障がい福祉の将来展望について 〇津久井やまゆり園事件が起きて、かながわ憲章ができたが、今も虐待はなくならない。当事者の意見を聞いて新しいルールを作るべき 〇まず当事者の意見を聞いて、親や職員が勝手に自分たちのことを決めないでほしい。施設のルールも自分たちで決めたい 〇いくら障がいが重くても、当事者目線で話すと分かってくれる。「この人、無理だ」と言うべきではない 〇重い障がいの人も、必ず「思い」があるのだということを前提にすべきであり、意思決定支援は、「能力存在推定」の立場に立つことが必要 〇利用者と職員とは対等な関係であるべきで、約束を交わしたり、職員が誓約書に署名するような取組みが重要 〇施設利用者が当事者のガイドヘルパーを活用し、施設外に出やすくする工夫をしてはどうか 〇行動障がいは環境に原因があり、支援者が引き起こしているという理解がなければ、当事者の責任に押し付け、施設での暮らしから移行できない 〇県立施設は、地域共生社会の実現に向けて、全力を尽くして、どんなに障がいの重い人も地域生活が可能であるということを証明してほしい 〇地域の人に、障がい者のことを理解してもらわないといけない。障がいの重い人への理解が進まないと、当事者目線と言ってもなかなか変わらない 〇当事者が地域でその人らしい生活を送るためにはサービス基盤の整備が必要 (2)県立障害者支援施設のあり方について 〇多機能な地域生活支援拠点として、また、緊急時の受入れの強化を図り、セーフティネットとしての役割を果たすべき 〇入所施設は単独で存在してはならない。地域とともに入所施設が存在しないと、なかなか地域生活移行はできない 〇県内の豊富な人材を生かした研修を行うとともに、虐待ゼロ、権利擁護の視点を検証すべき。また、大学や研究所と協働しながら人材を育成すべき 〇「本当は本人が一番困っているんだ」、「もっともっと自由に生きたいんだ」ということを、共感できるアセスメントをしっかりと行うことが入所施設の役割 〇「何のために来たのか」、「どこへ向かっていくのか」という、約束と合意を経て入所することが必要。日中は、外に出かけて活動することが重要 〇地域生活移行を進める通過型の施設という考え方もあるが、地域生活が難しくなったら施設に戻れる循環型の施設という位置付けも検討すべき 〇小規模化し、個室化、ユニット化を図り、地域で利用者が選択できる居住の場として位置付けてはどうか 〇定員を減らすという方向性があるにしても、地域生活移行のプロセスの結果として、気がついたら、縮小されたという考えであるべき 〇県立施設が大きな機能を持ち、新たな入所を認めていくと、入所する人は地域から切り離されて市民ではなくなっていく 〇県は、地域包括ケアシステムの構築など、住民に対する支援の主体である市町村のバックアップに徹するべき (3)その他、重要な意見 〇県立施設のあり方を検討し、地域社会を変えていくのは時間がかかるが、時間がかかるので諦めるということがあってはならない 〇検討委員会が、実効性を持つためには、その下に実務担当者のサブグループが必要  (4ページ) 5神奈川の障がい福祉の将来展望 ※神奈川が目指す障がい福祉の将来像として描かれる、「『ともに生きる社会かながわ憲章』の理念が当たり前になるほど浸透し、本人の意思決定を前提とした、その人らしい生活を支える当事者目線のサービス基盤の整備が進んだ、いのち輝く地域共生社会」の実現に向けて、中長期的な視点から、行政、事業者、県民が取り組むべき方向性について、これまでの意見を踏まえて現時点で整理したもの ※今後、年度内に予定している報告書の取りまとめに向け、2040年頃の人口構造をはじめとする社会経済状況の予測を基礎に、障がい福祉を取り巻く政策の動向、障がい当事者やその家族、支援者など関係する人々が抱える福祉課題の状況の変化、障害者基本計画や「かながわ障がい者計画」、「神奈川県障がい福祉計画」の検討の方向性、さらには自治体行政のあり方に関する議論の推移も注視しながら、さらに議論を深めていく 【当事者目線の理解が進んだ差別のない社会】 〇地域の人が、障がい者のことをよく理解し、当事者の気持ちを分かってくれる人が増え、ハンディキャップがあっても、当たり前の同じ人間なんだということを、言葉の上ではなく、実感が持てる社会にすべき 【つながりのある「包摂する社会」】 〇障がい者と家族だけではなく、子どもや高齢者なども含めて、まぜこぜで、いろいろな人が一緒に生きている地域像を描くことのできる社会を目指すべき 〇地域で暮らし、地域の人と「おはようございます」と毎朝あいさつして出かける。お店に行って「昨日魚おいしかったですよ」と言うと、「ありがとうございます」とか「また来てくださいね」とお礼を言われる。そういった日常のつながりのある社会にすべき 〇地域生活移行した障がい者が、地域での暮らしの中で、トラブルにあったり、何か困った事態になった場合には、地域の皆で支えていこうという気持ちに満ちた社会を目指すべき 〇法人や事業所が、自分たちだけで何とかしようとするのではなく、自分たちだけでできないところを、他の法人に応援してもらうような協働の関係を築いていくべき 【必要なサービス基盤が整った社会】 〇障がい当事者の人たちが地域でその人らしい生活を送るための、サービス基盤の整備をしっかりと進めていくべき 〇地域の中で、入所施設もグループホームと同様に居住支援の選択肢として位置付けられ、そういった資源を活用して、当事者が、その人らしい地域生活を実現できるようにすべき 【出番と居場所のある社会】 〇ピアカウンセリングやピアサポートが実施できるよう、研修体制を整備するとともに、?障がい者の地域での一人暮らしを支援する体制を整備すべき 【ともに生き、ともに暮らす、いのち輝く社会】 〇障がいを持ったからといって悩んで、どうしようかという心配がなく、安心して育てることができ、障がいがあっても、地域で一緒に暮らすことができる社会を築いていくべき ※なお、神奈川の障がい福祉の将来展望に関する議論では、障害者支援施設の将来展望にも議論が及び、以下のような意見があった 【地域と関わり、地域を変えていくこと】 〇入所施設を終の棲家にしないよう、地域の社会資源の中で、他の事業者等と連携して、地域全体で障がい当事者の生活をどう支援していくのかを考えていく入所施設を目指すべき 〇入所施設の中で完結する支援ではなく、施設から外に出ていく場所を作り、地域との関わりの中で、利用者の可能性が広がって、本人の自己肯定感が得られる日中活動を保障することのできる入所施設を目指すべき (5ページ) 6県立障害者支援施設のあり方と当面の対応 (1)県立障害者支援施設のあり方 ○当事者本人が自らの意思で、住みたい場所、一緒に住みたい仲間や働く場所などを選ぶ権利があり、県立施設も本人の願いや希望に寄り添った、当事者目線の支援が行われるべき ○中長期的な視点からの県立施設のあり方について、その必要性も含め、政令市、中核市も含めた神奈川全体の障がい福祉の中で検討すべき 〇共生社会の実現は、SDGsの理念と軌を一にしており、県は覚悟をもって、県立施設からの地域生活移行に取り組んでいくべき 〇地域づくり、共生社会づくりの視点から、県立施設が所在の障がい保健福祉圏域にどう関わっていくか、さらなる議論が必要 〇定員規模の縮減を目的化するのではなく、利用者の、その人らしい生活を実現する中で、結果として、定員が減っていく取組みを目指すべき 〇@どんなに障がいの重い人も地域で生活することを共通理念とする、A地域生活移行が一定進むまでは新規の入所は止める、B地域に貢献する支援拠点とする、三つの視点から改革を進めていくべき ※なお、改革を進める上で、現に入所している利用者とその家族に不安を与えることのないよう配慮。また、職員のモチベーションの維持にも配慮 (2)県立障害者支援施設の役割と機能 〇より良い支援の方法を作り上げ、支援のノウハウを民間事業者にフィードバックするという視点を検討すべき ※行動障がいのある人、触法の障がい者、高齢障がい者の地域生活のため、調査研究事業と一体的に実践の場を限定的に残す方向も検討すべき ※なお、既に質の高い支援をしている民間事業者も数多く存在するため、県立施設のみを終の棲家として位置付ける必要はない 〇どんなに障がいの重い人も、地域生活が可能であるということを証明すべく、ロールモデルとして、地域生活移行と地域生活支援に全力を尽くすべき 〇市町村をバックアップすることが県の役割(機能の重装備化は、市が担うべき当事者支援の取組みを阻害するため避ける)  〇障がい保健福祉圏域全般の基幹的な相談機能を持たせるべき 〇広く県下の障がい福祉事業従事者の人材養成に取り組むべき ※必ずしも県立施設という「場」で行うことを要しない (3)県立障害者支援施設の当面の対応 〇一人ひとりの暮らしの場の支援会議を作り、どこに住むか、専門家も含めてアセスメントを行っていくべき(意思決定支援の横展開) 〇日中活動をその施設の中で行い、外へ全く出ないという生活を速やかに改めるべき 〇一定期間の専門的なトレーニングを実施して地域に戻る通過型の機能を検討し、機能・役割が明確でない状態では新規入所は行わないようにすべき 〇三浦しらとり園及びさがみ緑風園は、管理性や閉鎖性という構造的な運営課題が大きい大規模施設であり、定員規模を縮小する 〇三浦しらとり園及びさがみ緑風園は、当面、地域の支援拠点としての事業を実施しつつ、現入所者の地域生活移行と、居室のユニット化・個室化を含め、生活の質向上に努める (6ページ) ◎むすびに代えて〜当事者目線の障がい福祉の今後の議論に向けて (1)県立障害者支援施設の改革 〇障がい当事者が自らの意思で、自分らしい暮らしを選択し実現できる地域共生社会、いのち輝く「ともに生きる社会かながわ」を目指して、神奈川の重要な社会資源である県立施設のあり方の検討を進めた。県立施設のあるべき姿と現実のギャップは大きく、県は、今後、本気で改革に取り組むべき ○中井やまゆり園で身体拘束が続いている現状等も踏まえ、これまでの支援の検証と、支援の改善に向けた取組みを加速させるべき 〇当面の県立施設のあり方として、定員規模の縮小、通過型の施設への転換、環境整備(ユニット化、個室化)などの大きな方向性を打ち出した。県は、各般の意見を踏まえ、次期指定管理者選定の募集要項(案)を検討されたい ○中長期的な視点からの県立施設のあり方について、必要性も含め、さらなる検討を進めてほしい (2)意思決定支援の全県展開への期待 〇津久井やまゆり園から始まった意思決定支援の取組みは、今後、モデル事業を経て、令和5年4月から県下の各障害者支援施設においても展開されていくよう準備が進められており、検討委員会としても、確実に進展していくことを期待。一方で、意思決定支援は「曖昧さ」や「両義性」があり、万能ではないことから、実践を検証する仕組みを作っていくことが重要 (3)地域資源の充実に向けて 〇住みなれた地域で、誰もが安心していきいきと暮らすことのできる、いのち輝く共生社会を築いていくためには、ともに生きる社会かながわ憲章の理念が当たり前となるほどに、地域共生社会の考えが普及・定着し、障がい当事者の地域生活を支えるソフト・ハードの地域資源が必要十分に整備されることが重要。入所施設の必要性や、入所施設からの地域生活移行を考える場合は、施設だけを見るのではなく、県全体を見なければならない 〇県、市町村、事業者、県民(当事者を含む)がそれぞれの役割を認識し、相互に連携、協力しながら、2040年頃のあるべき将来像の実現に向け、計画的、段階的に取組みを進めて行く必要。長期的な展望に立った具体的な実施計画について、かながわ障がい者計画及び神奈川県障がい福祉計画等と調和を図りつつ、関係者による十分な議論を経て策定し、進捗状況を広く公表しながら、着実に実施していくことが重要 (4)福祉教育など関連領域との連携、協働 〇教育や医療、住宅、運輸、商工、芸術・文化などの関係領域も当事者目線の障がい福祉の実現には重要な要素。これら関係領域とどのように連携、協働していくべきか、検討委員会において、今後、議論を進めていきたい (5)さらなる議論へ 〇 「中間報告」を取りまとめる過程において、本検討委員会が策定するビジョンの実現に向けた取組みを着実に実施するには、「県が本気で取り組む必要がある」、「『ともに生きる社会かながわ憲章』が分かりにくい。当事者の意見も聞いて新しいルールを作ってほしい」、「県が条例を作って、入所施設だけではない居場所を、県民一人ひとりが作っていく決意を示すべき」といった意見が出された。県は、今後の議論を注視し、条例も含めた普遍的な仕組みづくりについて検討を進めてほしい (7ページ) (参考資料1) 当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会委員名簿(敬称略、五十音順) 左から委員名、所属等 大川貴志、社会福祉法人同愛会てらん広場統括所長 大塚晃、日本発達障害ネットワーク副理事長 [委員長]蒲原基道、日本社会事業大学専門職大学院客員教授 河原雄一、社会福祉法人星谷会理事長 小西勉、ピープルファースト横浜開庁 佐藤彰一、國學院大學教授 冨田祐、ブルースカイクラブ会長 奈良ア真弓、にじいろでGO!会長 野口富美子、神奈川県心身障害児者父母の会連盟幹事 林雅之、社会福祉法人清和会三浦しらとり園児童施設長兼生活支援部長 福岡寿、日本相談支援専門員協会顧問 当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会開催状況 第1回委員会令和3年7月9日(金)9:45〜11:30 於:県庁本庁舎・大会議場 〇検討の進め方について 〇意見交換 第2回委員会令和3年8月6日(金)14:30〜16:55於:県庁本庁舎・大会議場  〇障がい福祉の将来展望について 〇事例紹介(委員報告:国立のぞみの園、袖ヶ浦福祉センター) 〇令和5年度からの指定管理開始に向けて 第3回委員会令和3年9月3日(金)15:30〜17:50於:県庁本庁舎・大会議場 〇令和5年度からの指定管理開始に向けて 〇事例紹介(委員報告:長野県西駒郷) 〇障がい福祉の将来展望について 第4回委員会令和3年9月22日(水)10:00〜12:30於:県庁本庁舎・大会議場 〇事例紹介(委員報告:社会福祉法人同愛会 てらん広場) 〇障がい福祉の将来展望について〜中間報告(たたき台)について 第5回委員会令和3年10月20日(水)16:00〜18:00於:県庁本庁舎・大会議場 〇中間報告(案)について 〇今後の進め方について 〇その他 (8ページ) (参考資料2)※第1回委員会での事務局提示資料 ご議論いただく際の視点について(案) ・2040年頃の本県の障がい福祉の将来像を展望し、その実現に向けて、中長期的な視点から、行政、事業者、県民がどのように取組んでいくべきか議論をお願いしたい ※本県が目指す障がい福祉の将来像 「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念が浸透し、本人の意思決定を踏まえた、その人らしい生活を支える当事者目線のサービス基盤の整備が進んだ地域共生社会(詳細は別紙)     ・近年の政策動向及び国の社会保障に関する先行研究等を踏まえると、次のような視点(案)が考えられるのではないか @津久井やまゆり事件を契機に、地域共生社会の実現を図っていくべきではないか A障がい福祉において、家族目線・支援者目線ではなく、当事者目線の考えを徹底するべきではないか(意思決定支援など) B強度行動障がい、高齢障がい者、医療的ケア児など困難性の高い支援課題に対し、県として果敢に取り組むべきではないか(地域の担い手の確保、人材育成など) C障がい者は地域社会を構成する一員であり、本人が希望する場所で、尊厳をもって、その人らしく暮らすことが当たり前であるべきではないか(社会資源の充実、サービス基盤の整備など) D障がい者故の価値の創造や、SDG´sの「誰一人取り残さない」持続可能な多様性と包摂性のある社会の実現を目指すという理念を生かすべきではないか ・なお、先の「障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会」報告書において、「県立施設のあり方について、民間施設の状況も踏まえ、さらなる検討を行うべき」旨提言されていること、また、神奈川発の当事者目線の新しい障がい福祉のスタートを、令和5年度(次期指定管理開始期)からと考えていることから、障がい福祉の将来像を議論する中で、まずは、障害者支援施設のあり方について論点整理を行っていただきたい (9ページ) 別紙 本県が目指す障がい福祉の将来像(長期的なビジョン)の具体的なイメージ (障がい者差別解消) @「ともに生きる社会かながわ憲章」の普及啓発が必要ではなくなるほど県民に十分認知され、障がい者に対する差別事例が減少していること A障がいを理由とするあらゆる差別が効果的な法的保護の下で禁止され、合理的配慮が提供されていること (障がい福祉施策) B障がい者が、意思決定支援により、本人の意思に沿った当事者目線の障害福祉サービス等の必要な支援を受けることができ、また、どこで誰と生活するかを選択する機会が確保されていること   C障害者支援施設における虐待ゼロを目指して、権利擁護がなされ、絶えず支援の検証と見直しが行われていること (生活水準、労働) D障がい者及び家族に、十分な生活水準が確保され、必要に応じ、困窮対策や住宅施策の活用ができること E障がい者が、それぞれ役割、希望に沿って働くことができること (文化的生活、社会参加、活躍支援) F障がい者が、レクリエーション、余暇及びスポーツに参加する機会を確保できていること G障がい者が、文化芸術やスポーツなどの分野で能力を生かして活躍できること (情報アクセス、地域共生その他) H障がい者が、表現及び意見の自由並びに情報へのアクセスを確保できていること I障がい者が、地域の担い手となり、その地域で支え合いながら、安心して暮らせること (10ページ) (参考資料3)※第1回委員会での事務局提示資料 「県立障害者支援施設のあり方」について議論を進める上での視点(案) ・県立の障害者支援施設は、昭和36年以降、時代の要請に対応し、直営施設として順次整備が行われ、その後、民間移譲や指定管理者制度への移行が進められてきた経過があるが、今日、民間では対応できない重度重複の障がい者や、強度行動障がいのある者、医療的ケアが必要な障がい者の受入といった役割を担っている。 ・しかしながら、先の「障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会」では、県立障害者支援施設6施設の検証を行ったが、取りまとめられた報告書において、虐待防止の観点から、これまで、利用者目線ではない、不適切な支援が行われている事例があったとの指摘を受けたことから、管理監督する立場にある県の指導態勢も併せて改善を進めている。 ・同検討部会報告書において、「県立施設のあり方について、民間施設の状況も踏まえ、さらなる検討を行うべき」旨提言されていること、また、神奈川発の当事者目線の新しい障がい福祉のスタートを、令和5年度(次期指定管理開始期)からと考えていることから、障がい福祉の将来像を議論する中で、まずは、障害者支援施設のあり方について論点整理を行ってはどうか。 【議論を進める上で考えられる視点(案)】 @地域生活支援拠点の役割を持たせ、緊急時に対応できる短期入所の整備を必須としてはどうか      A相談支援の機能と人材育成の機能を充実させることとしてはどうか  B長期の入所者の地域移行を加速させるとともに、通過施設(有期限の入所期間)として位置づけることとしてはどうか C長期入所の定員は漸減させることとし、終の棲家を念頭に置いた新規の入所については、原則として、行わないこととしてはどうか D民間では担えない理由を明確にし、目的を達成するために必要な実施態勢についても検討してはどうか ?民間事業者の提供サービスの実態を踏まえ、中長期的な視点から、県立障がい者支援施設の果たす役割をどう再定義するのか、オール神奈川での議論につなげる (11ページ)※第1回委員会での事務局提示資料 左から、津久井やまゆり園利用者支援検証委員会(中間報告書)、障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会(報告書)、当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会[県立障害者支援施設の在り方についての中間的な論点整理(仮)、検討委員会報告書「当事者目線の障がい福祉の展開について」(仮)] 津久井やまゆり園の利用者の支援内容の検証に特化した報告書※新型コロナ感染症の影響で現地ヒアリングができず、各種資料等から確認できた課題と今後の改善の方向性について取りまとめ、津久井やまゆり園を含む県立6施設に対象を拡大※支援内容の検証を行うとともに、利用者目線の支援など、障害者支援施設における未来志向の支援のあり方を検討、提言を取りまとめ、今後の本県の障がい福祉(県立障害者支援施設のあり方を含む)の将来展望を議論※令和3年10月を目途に中間的な論点整理、年度内に報告書を取りまとめ