当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会第3回(令和3年9月3日) 資料3福岡委員提供資料 長野県の地域生活移行と地域生活支援拠点の取り組み (2ページ) 誰にも開かれた社会の実現 1西駒郷改築を契機とした地域生活移行の推進 左から施設名、H15、地域生活移行、H9 西駒郷、437人、250人、190人 他施設、空欄、250人、空欄 計、空欄、500人(入所施設定員の約21%)、空欄 2サクセスモデルの実現 西駒郷(県立施設)の地域生活移行を進めることにより、 @地域住民の意識を変える、より開かれた社会の実現、障害のある方によって暮らしやすい社会=誰にとっても暮らしやすい社会 A施設利用者、家族の意識を変える B民間施設の取り組みを促進 (3ページ) 施設支援から地域生活支援への転換 【西駒郷基本構想の実現】 左から平成15年(全県対象)、5年後の将来像、10年後の将来像(上伊那圏域対象) 入所者数437人(H15.7.1)、入所者数190人程度、入所定員60〜100人 (4ページ) 推進体制の整備 県庁・障害者自律支援室(現障害者自立支援課)(5名⇒10名)自立支援専門員の設置 ・障害福祉課 西駒郷・自律支援部(現地域生活支援センター)(4名⇒5名)(西駒郷における地域生活移行推進本部) ・社会福祉事業団地域移行推進部(GH・自活訓練棟の設置・運営等) ・管理部、更生訓練部、生業部、保護部 地方事務所福祉課 各圏域 障害保健福祉圏域調整会議(→自立支援協議会)の活用 県、市町村、社会福祉法人、NPO法人、当事者団体、教育、雇用、保健医療相談支援事業者(障害者総合支援センター) 等 (5ページ) 国の制度だけでは実現不可能⇒県単独事業により推進 平成17年度の信州モデル創造枠予算中、一般財源の枠は約71億円、そのうち社会部は約10億円、そのうち障害福祉関係は約5億4千万円。 主な信州モデル創造枠予算(モデル分)   @障害者グループホーム等整備事業3億1,407万9千円(2億3,871万2千円) A障害者総合支援センター事業2億5,518万2千円(9,801万7千円) 社会資源の充実 左から、内容、H15・4、H18・4、変化 @障害者総合支援センター、34人、68 人、2倍 A知的障害者グループホーム、38か所、149か所(うちNPO 28か所)、約4倍 B日中活動の場(通所の定員)(知的障害者通所授産施設、障害者共同作業所等)、2,177人、2,844人、約1.3倍 Cヘルパー事業所(障害者)、131か所、261か所、約2倍 (6ページ) 長野県の主な地域生活移行支援施策 <本人・家族の心配> 【相談支援】 ・地域に出たら、初めてのことやたくさん相談したいこと(就職や日常生活全般)が起こると思う。今は施設の職員が相談に乗ってくれるけど、施設から出たらだれが親身になって相談に乗ってくれるのかが心配。 ・強度行動障害や重い自閉症など、相談できるところが少なくて困っている。 【地域に住む】 ・現在、入所、入院しているけれど、グループホームに入居し、地域生活をしたい。 ・西駒郷には地域移行希望者が多いけど、みんなが暮らすのに充分なグループホームができるのか心配 ・障害が重いので、グループホームで暮らせるか心配 ・小さな町村なので、同じ障害だけのグループホーム 【地域で働く】 ・グループホームに出たら、昼間は何するの?通える通所授産施設や共同作業所があるか心配 ・障害が重い方の日中活動が心配 ・資格を取ったり、就職して収入を増やしたい 【地域で暮らす】 ・グループホームに世話人さんしかいないらしいが必要な支援が受けられるか心配 ・親元を離れ、早く自律した生活を ・週末など、何をしてよいかわからず、どうしても家の中に閉じこもりがちになってしまう 安心して充実した地域生活の実現> 【相談支援体制の整備】 ○障害者総合支援センター 3障害のコーディネーターや生活支援ワーカー、就業支援ワーカーを全圏域に配置 ○自閉症、発達障害者自律支援事業(自閉症・発達支援センター) 自閉症児者等に関する療育相談、関係機関等に対する普及啓発及び研修等 ○障害者ケアマネジメント体制支援事業(相談支援従事者研修事業) ○高次脳機能障害者自律支援訓練事業 生活、就労復帰の訓練、拠点病院と就労支援機関の連携による就労支援 【生活の場の整備】 ○知的障害者グループホーム施設整備補助 グループホーム施設整備補助事業の概要〇補助基準額(=157,800円/u×23.3u×入居者数) (例)4人の場合基準額14,706,960円補助額7,353千円(補助率1/2)、基準額14,706,960円補助額9,804千円(補助率2/3) (負担割合:県1/2、設置者1/2) (西駒郷利用者のための特別加算:県2/3、設置者1/3) ○精神障害者グループホーム施設整備補助 (負担割合:県1/2、市町村1/4、設置者1/4) ○障害の重い方が地域で生活するためのグループホーム (運営費の嵩上げ補助と施設整備補助)→ケアホーム ・医療的ケアが必要な重症心身障害者のためにH16:2か所→H17:2か所 ・ナイトケアなど手厚いケアが必要な方のためにH16:3か所→H17:4か所 ・ケア付きグループホーム運営事業(精神障害者、通院) ○地域共生型生活ホーム補助事業(障害が違っても、お年寄りや難病患者も、住み慣れた地域で自律した生活を希望する方が入居できる)H17:7か所 【就労・日中活動の場の整備】 ○施設を退所した方の日中活動の場を拡大するための施設整備補助事業 賃貸物件の改修、通所部創設、増員の改修等 ○障害者ピアサポート事業、当事者の支援 ○憩いの家事業、H16:12→H17:18か所 ○共同作業所経営技術パワーアップ事業→福祉的就労の場の工賃アップ 販路開拓、自主製品開発等を支援するコーディネーター等の配置 ○無料職業紹介事業(地方事務所に求人開拓員10人を配置し就業支援します) ○障害者民家活用委託訓練事業←職業支援ワーカー等との連携 【その他在宅生活支援】 ○知的障害者自活訓練補助事業(敷地外自活訓練のための民家改修等を支援) ○障害者自律生活体験事業 地域の宅幼老所、グループホーム等を利用した1泊2日程度の宿泊体験 ○精神障害者退院支援事業 ○障害者余暇活動支援事業(週末など、家に閉じこもりがちな障害者の余暇活動を提供したり支援する市町村・NPO等を支援)24か所 ○地域生活移行推進員設置事業 民間入所施設の地域生活移行の取組みを支援 ○障害者訪問看護サービス事業(訪問看護サービス、看護師配置等に助成) ○障害児(者)タイムケア事業 1人300時間、個人の登録介護者宅も対象 ○居宅介護事業 (7ページ) 県だけでは実現不可能⇒市町村・法人等の協力により推進、現場主義 市町村、社会福祉法人、NPO法人等との協働により実現 社会資源を県自らが全県に整備するのは不可能。何といっても社会資源を作り、フォーマル、インフォ−マルなサービスを提供するのは社会福祉法人、NPO法人、任意の団体、そして住民。さらにそれを支援する市町村の協力は不可欠。 陳情・要求型⇒協働型へ @基本構想策定委員会ワーキンググループ 地域の実践者、民間施設から、西駒郷職員から公募 地域生活移行に有効な実践アイデア → 県の施策 A県民参加の政策提言事業 B利用者、家族との懇談 C障害者団体の部会等へ出席 (8ページ) 10圏域に地域生活を支える3障害対応の障害者相談支援センター <日中活動の場> 【働く場】企業、共同作業所、通所授産施設、小規模通所授産 【憩いの場】デイサービスセンター 【訓練の場】通所更生施設 <相談・支援の窓口> 【障害者総合支援センター(圏域単位)】 ピアカウンセラー→本人 @障害児療育コーディネーター←→医療、教育 A知的コーディネーター←→就業支援ワーカー、就業支援ワーカー B身体コーディネーター←→生活支援ワーカー、就業支援ワーカー C精神コーディネーター←→生活支援ワーカー、就業支援ワーカー E就業支援ワーカー県職員を配置→H16.10 中核センター←→サテライト <生活の場> 【生活の場、グループホーム】福祉ホーム、生活寮、通勤寮、アパート、家庭 インフォーマルサービス、ホームヘルプサービス、タイムケアサービス スタッフは10圏域にH15:34人→H17:68人へ (9ページ) 障害者グループホーム等整備事業 通常のGH整備:県1/2、設置者負担1/2 西駒郷加算:グループホームの整備に要する経費、通常のグループホーム補助金(1/2)、上乗せ分(1/6)、市町村上乗せ分(1/6)←市町村(松本市他)によってはさらに(1/6)の嵩上げ補助をするところもある、設置者負担(1/6) 精神(県1/2・市町村1/4、設置主体1/4) 知的(県1/2・設置主体1/2・・・西駒加算あり) 157,800円×23.3u×定員 対象経費上限:身体区2,000万円・改修1,000万円 (10ページ) グループホームの年度別設置状況 左から、内容、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17 指定数、2,3,3,4,6,24,48,39 累計、23,25,28,32,38,62,110,149 H14年度:施設整備費補助事業創設 H16年度:運営費補助事業創設 H18.4.1現在・・・GHは149か所に (11ページ) 西駒郷の地域生活への移行が市町村に波及した(GHの設置状況) H14.4現在:飯山市、中野市、長野市、真田町、上田市、青木村、松川村、小諸市、浅科村、佐久市、立科町、長門町、丸子町、松本市、駒ケ根市、上松町、松川町、飯田市、阿南町 H18.4現在:飯山市、飯綱町、長野市、須坂市、真田町、千曲市、坂城町、信州新町、大町市、松川村、安曇野市、青木村、上田市、東御市、小諸市、佐久市、立科町、長和町、丸子町、松本市、山形村、塩尻市、諏訪市、茅野市、原村、富士見町、辰野町、箕輪町、南箕輪村、伊那市、上松町、宮田村、駒ケ根市、松川町、豊丘村、喬木村、飯田市、阿智村、阿南町 20→40市町村へ(120→81合併後) (12ページ) 重症心身障害者等グループホーム運営事業 (4人定員の場合)重症心身障害者グループホームをイメージ:県上乗せ分(県1/2、市町村1/2)歩行不能の肢体不自由とIQ35以下の重度知的障害者で医療的ケアを必要とする者1人×126,160円/月、グループホーム区分1約131,000円/月 (H18.9まで(10月以降現状維持検討中) 強度行動障害者のグループホームをイメージ:県上乗せ分(県1/2・市町村1/2)ナイトケアが必要な重度知的障害者1人×85,790円/月(5人定員だと68,632円/月)、グループホーム区分1約131,000円/月 精神障害者のグループホームをイメージ:県上乗せ分夜間ケアが必要な精神障害者退院直後も同85,790円、精神障害者グループホーム約65,000円 ※障害の重さを言い訳にしない、支援の促しと工夫を期待 (13ページ) 民間入所施設・在宅者からも地域移行が始まった ※在宅のデータには生活寮利用者を含む グループホーム入所者内訳について、左から年度、西駒郷、他入所施設、在宅 H17、52,62,61 H16、66,67,87 H15、24,22,63 (14ページ) 西駒郷利用者地域生活移行先グループホーム 中野市、長野市、須坂市、信州新町、大町市、松川村、千曲市、上田市、東御市、小諸市、佐久市、立科町、松本市、安曇野市、山形村、塩尻市、辰野町、原村、富士見町、箕輪町、伊那市、宮田村、駒ケ根市、挙げまう長、喬木村、飯田氏、阿智村、阿南町 (15ページ) 西駒郷地域生活移行の原則 分かりやすい情報提供と丁寧な聴き取り 地域生活体験(本人の安心・自信) いつでも再入所(家族の安心) 家族に転嫁することなく(自宅に戻すのではなく)多様な移行ルート(グループホーム等)の生活の場を用意する。 西駒郷の地域生活移行施策を全県的な施策として知的障害のある人たちへと波及させる。 3本柱の用意 1暮らす場 2働く場 3相談できる人と場(権利擁護支援体制) 3障害共通の在宅サービスと展開 グループホーム・公営住宅の活用・アパート等・・・ひとつのグループホームを作ることが地域を変える最大の啓発運動 (16ページ) 本人の意思の尊重と家族の理解 1本人の意向が基本、正確に聴き取ることが重要。 ○分かり易い情報の提供を繰り返し行う。(ビデオ、見学、体験、仲間からの情報提供、支援する職員の知識と実践) ○聴き取りには時間が必要→揺れ・ぶれを超えるための時間 ○聴き取りが困難な障害の重い方 2家族の不安を解消することも大切な要素 ○定期的に入所者の地域生活移行の状況を知らせる。 ○地域生活移行した方のご家族に語ってもらう。 ○安心感を醸成するためにグループホーム等の見学ツアーを開催。(話だけでなく、GHや自活訓練の現場を見てもらう) ○地域生活に馴染めなかったときの再入所の確保 ○援護の責任を一方的に家族に転嫁することなく社会全体で支える。 ○画一的、強制的な進め方はしない。 ○家族支援も必要。家族の個々に責任ある相談体制をとる。 (17ページ) 地域生活への移行ステップ グループホームの設置情報・調査(計画・予算・地域環境等)※県現地機関、市町村、相談支援事業者等も調査等に参画 情報提供(本人・家族):入居条件、日中活動条件、地域生活環境等、調査資料、写真 地域移行調整会議、現地見学、生活体験 本人選択:自己決定(内定) 移行実施:地域移行ケアプラン(土日の活動等) 自己決定(退所手続き、移行決定) 再評価:モニタリング (18ページ) 長野の強み:エンジン:長野県の障がい者総合支援センター 業務外業務:潜在化←→顕在化 総合支援センター:アメーバ的に多職種連携の強化の仲人、触媒役 基幹相談支援センター:地域生活支援拠点安心コーディネーター、医ケア児等コーディネーター 三障がいの基本相談 療育コーディネーター:心理、療法士等の武器を持てる 就業・生活支援センター 退院支援Co 発達障がいサポート・マネージャー (19ページ) 長野県自立支援協議会概念図〜地域自立支援協議会を支える仕組みの考え方〜 長野県【提言等】フィードバック【社会資源開発(制度・事業等)】→各地域(圏域)自立支援協議会 連携、各(圏域)障がい者総合支援センター 長野県自立支援協議会 【役割】 1地域の実態把握、情報共有 2地域相談支援体制のバックアップ 3全県的課題の抽出 4広域、専門的相談支援の調整 5人材育成 【課題・提言等】 <協議会会員>障がい当事者、各圏域自立支援協議会代表者、県各担当課、その他(有識者等) <運営委員会>全体的課題整理、優先づけ、企画、各種会議等との調整 <事務局> <専門部会>人材育成部会、療育部会、就労支援部会、精神障がい者地域移行支援部会、権利擁護部会、ワーキングチーム※必要に応じ開催 【協議内容のフィードバック】 <障がい者相談支援体制機能強化会議>参加者:障害者総合支援センター(基幹センター)、市町村等。地域支援力の全県的な底上げ(基幹相談支援センター化等) (20ページ) 北信圏域の拠点整備方法(相談、緊急時の受入れ・対応)→長野県全県へ <STEP1>対象者の洗い出し ・圏域内に緊急時の対応が必要な障がいのある方がどのくらいいるのかをあらかじめ把握 ・洗い出しにあたっては、基幹センターと行政の連携が重要 <STEP2>登録制 ・緊急時の対応が必要な方の情報を事前に把握 ・登録にあたり、地域定着支援(台帳整備)を活用 <STEP3>個別の緊急フロー ・顔の見える支援体制の整備 ・緊急連絡が入る際にどのような支援をするのかをご本人と関係者で事前に共有 ・武勇伝より予防的支援プラン いわゆるクライシスプランの作成・48時間ルール、72時間ルール (21ページ) 地域生活支援拠点の取り組み状況(令和元年時点) 長野:八か所に基幹センター設置、緊急時対象者の振り分け作業 大北:平成30年より基幹センター化、緊急対応対象者リストアップ 松本:基幹センターの設置と人員配置の検討中、緊急時対応対策チームで課題整理 諏訪:H30.4月より2施設で緊急時受入れと台帳作成開始予定、空床確保予算とコーディネーター配置 木曽:コーディネーター配置(0.5人分)、事業所との具体的打合せ、緊急対応対象者の登録 北信:安心コーディネーター2名配置H29より事業開始、緊急対応ガイドラインの見直し、空床確保の予算化 上小:定着支援対象者リスト市町村ごとに作成、緊急受入れ拠点、市町村、基幹、輪番拠点施設で台帳管理、緊急時の受入れ開始 佐久:緊急利用想定者把握、対象者の台帳整備検討、緊急時輪番制による受入れコーディネーター配置 上伊那:緊急時対象者のリストアップと精査、緊急時施設の強み・弱み精査、コーディネーター配置 飯伊:指定一般事業所設置働きかけ実施、コーディネーター配置 (22ページ) 地域生活支援拠点実現のための歩み〜エンジンは総合相談センターと行政との官民協働〜 ○第一幕(平成15年〜平成16年) ・長野県10圏域での「障害者総合支援センター」配置 ※西駒郷地域生活移行の取り組み ○第二幕(平成18年) ・本気の「自立支援協議会」 ○第三幕(平成24年〜27年) ・計画作成100% ・総合センターに基幹機能の再構築 ○第四幕(平成28年〜30年) ・地域生活支援拠点の全県整備 ※令和元年:地域包括、超職種連携 H30.4.1時点 長野県9圏域60市町村 全国30圏域144市町村