当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会 第2回(令和3年8月6日)、資料7 1ページ 三浦しらとり園及びさがみ緑風園の当面の対応について 令和3年8月6日 神奈川県 福祉子どもみらい局 2ページ 県立施設の運営方式(直営・指定管理)について 〇当事者目線の新しい障がい福祉を実践するため、「三浦しらとり園」の指定管理者の再募集と「さがみ緑風園」の指定管理者制度の導入時期を、津久井やまゆり園などと同じ令和5年4月1日としたところ 〇なお、指定管理施設「愛名やまゆり園」及び「厚木精華園」については、現在の指定期間が令和7年度末までであることから、本将来展望検討委員会での議論の動向を踏まえつつ、今後、仕様の変更や次期指定管理の公募要件を検討していく予定 区分、左から、令和2年度、令和3年度、令和4年度、令和5年度以降 津久井やまゆり園の指定期間の変更(短縮)、期間の短縮(令和6年3月末→令和3年7月末)、非公募による指定管理者選定 (令和3年8月から令和5年3月末の間)、当事者目線の新しい障がい福祉の実践 芹が谷やまゆり園の供用開始(令和3年12月から)、非公募による指定管理者選定(令和3年8月から令和5年3月末の間)、当事者目線の新しい障がい福祉の実践 三浦しらとり園の指定期間の変更(延長)、当初予定(令和3年3月末まで)、期間の延長(令和2年3月末→令和5年3月末)、当事者目線の新しい障がい福祉の実践 さがみ緑風園への指定管理制度導入時期の変更(後ろ倒し)、県の直営、始期の後ろ倒し(令和4年4月→令和5年4月)、当事者目線の新しい障がい福祉の実践 3ページ 指定管理施設「三浦しらとり園」の現状と課題 施設の概要 @管理者:社会福祉法人 清和会(指定管理者制度による指定管理者) A施設種別:指定福祉型障害児入所施設(定員36名、短期入所4名)<主たる対象:知的障害> 指定障害者支援施設(定員88名、短期入所24名)<主たる対象:知的障害> B所 在 地:横須賀市長沢4丁目13番1号 C構造等:鉄筋コンクリート造 地上2階(昭和58年建設)、延床面積:8,728.33u、敷地面積:23,236.31u、本館、居住棟、厨房棟、自活訓練棟、体育館、プール等 D職員数:149名(令和3年4月) E診療所:内科(週1回)、精神科(週3回)、歯科(週4回)、外科(週2回)、整形外科(週1回)、婦人科(週1回)、医師14名、看護師4名 F委託料:95,338千円(令和2年度)、※ 愛名やまゆり園:11,520千円、厚木精華園:23,040千円、芹が谷やまゆり園:8,081千円、中井やまゆり園:15,675千円 現状 ○三浦しらとり園は、県立施設の役割である、民間施設では対応が困難な利用者の受け入れを進めてきた。その入所者の平均障害 支援区分は、令和3年6月時点で5.9、強度行動障害者の入所割合は64.2%、医療的ケアが必要な利用者の入所割合は14.8%と、全国平均よりも高い。 ※全国の障害者支援施設では、障害支援区分5又は6の入所者の割合は約8割であり、県内の障害者支援施設でみると約9割となり増加傾向にある。一方、強度行動障害者の入所割合は29.2%、医療的ケアが必要な利用者の入所割合は4.0%に留まっている。 (出典:令和元年度全国知的障害児・者施設・事業実態調査報告、令和元年度障害福祉サービス等報酬改定検証調査) ○また、同園は、横須賀三浦圏域の拠点施設として、ネットワークの中心となって地域の福祉専門人材の育成などに取り組むために、国の基準を上回る職員を配置するとともに、複数の診療科目を有する診療所を設置しており、こうした体制を維持するための指定管理料は年間で約6億円に上っている。 〇さらに、施設は当初の建物のまま開設から40年が経過し、小規模ユニットケアや、個室化には対応できない状況にあり、利用者やその家族からは、再整備の要望が多く寄せられている。 4ページ 課題 〇強度行動障がいといった重度障がい者を、同園のような大規模施設で支援することは限界であり、定員規模を見直すことが必要である。そのためには、一定程度規模が縮小するまで新規の長期入所の受け入れを停止するなどの対応が必要であると考えられる。 〇しかしながら、そのような定員規模の縮小を進めるには、他の民間法人が運営するグループホームとの連携や、ひとり暮らしを支援する仕組みの構築が重要であり、受入れグループホームの設置を促す整備費補助や、手厚い人員配置のための運営費補助の検討が必要である。また、ひとり暮らしを支援するため、重度訪問介護制度を一段進めた「パーソナルアシスタンス制度」のような地域での生活を基本にした移行後の支援方法についての検討が必要である。 〇施設に入所していても、地域の事業所に通所し、また、地域の医療機関を受診できるようにするなど、地域生活を重視した支援体制への見直しが必要である。 〇現在の施設は従前の多床室が主体となっており、入所者のプライベートな空間を保障することが難しい環境となっている。当事者目線の支援の実現には、老朽化対策の施設整備に併せて、小規模ユニットケアとすることが必要である。また、障害児入所施設の整備に当たっては、児童相談所設置市である横須賀市と協議を行い、役割の分担も検討される必要がある。 検討の視点 以上の現状と課題から、次期指定管理者の公募に向けては、以下の視点により、当該施設の在り方を検討する必要がある。 @利用者目線の支援推進検討部会では、行動障がいのある障がい者を大規模施設で支援することは限界があるといった ご意見をいただいたが、同園についても定員規模を縮小すべきか。また、定員規模を縮小する場合、行動障がいのある障がい者の受け皿をどのように確保すればよいか A現行の職員体制は、施設内で完結する生活を基本としていることから、日中活動と生活支援を担当する職員にわかれて配置している。また、施設内には、診療所を設置しており、大半の診療が行える体制になっている。地域生活を重視した場合、こうした体制を見直す必要があるか B当事者目線の障がい福祉を実現するためには、老朽化した施設を小規模ユニットケアへと見直すべきか 5ページ 「神奈川県立さがみ緑風園」の現状と課題 施設の概要 @管理者:神奈川県(県直営) A施設種別:指定障害者支援施設(定員120名うち短期入所12名)<主たる対象:身体障害> B所在地:相模原市南区麻溝台二丁目4番18号 C構造等:管理棟:S造、居住棟:RC造(平成15年建設)、建物面積:11,063.16u、敷地面積:18,439.79u、管理棟、居住棟 D職員数:130名(うち介護職員98名) E診療所:内科, 精神科, 神経内科, 整形外科, 皮膚科, 泌尿器科, 眼科, リハビリテーション科, 歯科、医師10名、看護師21名(24時間体制) 現状 ○さがみ緑風園は、平成15年の施設再整備後、ALSや遷延性意識障害といった常時医療的ケアが必要な重度の身体障がい者を受け入れるため、24時間体制の診療所の設置や、医療的ケアの実施に必要な研修を受講した職員の配置など、福祉と医療が連携した支援体制を確保してきた。 ○こうした体制は、人員基準を超える人員で、国の報酬制度だけではその費用を賄うことができないものであり、民間の障害者支援施設では運営できないことから、県立施設として運営してきた。 ○令和元年5月、有識者による「さがみ緑風園将来方向検討委員会」がまとめた報告書では、介護医療院の創設、医療機関のALS等の受入れの拡充、在宅支援の拡充等により、介護保険施設や病院等との役割分担を図りつつ、対象とする利用者像や定員規模の見直し、指定管理者制度の導入の方向性が示された。 ○これを受けて、現在は次のとおり運営している。 ・対象者については、夜間の喀痰吸引等、一定の医療的ケアを必要とする65歳未満の障がい者で、病院における一般病床や医療療養病床での療養よりも、生活の質に重点を置いた支援を必要とする方としている。 ・指定管理者制度については、令和5年4月からの導入を決定した。 6ページ 〇定員規模は160名から120名に縮小してきたものの、依然として、このような大規模な施設では、集団に対する画一的な支援や職員目線の支援に陥るおそれが強いため、施設規模を見直すことが必要であると考えられる。定員規模を見直す場合、現状の実利用者数と、介護保険施設や病院等との役割分担を踏まえた入退所状況を勘案すると、指定管理者制度導入時には80名程度の定員規模とすることも可能であると考えられるところ。 (参考)定員と利用数の変化 左から、H28末、H29末、H30末、R1末、R2末、R3.5 定員(うち長期)H28末からR1末、160(148)、R2末、140(128)、R3.5、120(108) 実利用者数、123、127、117、108、83、82 入所者数、6、5、5、5、1、0 退所者数、14、9、11、14、26、1 対前年比、−8、−4、−6、−9、−25、−1 〇人員配置について、現在、介護職員は日中活動と生活支援の担当に分かれて配置しており、また、看護職員は業務委託法人からの配置のため所掌業務が限定されており、効率的・弾力的な運営が困難となっている。このため、指定管理者制度を導入することにより、日中活動職員と生活支援職員の一体化及び介護職員と看護職員の連携強化を図り、運営の効率化・弾力化を進めることが必要である。※現在の職員数:介護職員98名、看護職員21名 検討の視点 以上の現状と課題から、次期指定管理者の公募に向けては、以下の視点により、当該施設の在り方を検討する必要がある。 @定員規模については、介護保険施設や病院等との役割分担を進める中で、令和5年4月の指定管理者制度の導入までにさらに定員規模を縮小すべきか A現行の職員体制は、ALSや遷延性意識障害といった常時医療的ケアが必要な最重度の身体障がい者を受け入れを前提とした配置となっているが、対象となる利用者像の見直しや指定管理者による運営が行われることを踏まえて、より効果的で、効率的な職員配置に見直すべきか