障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会―早わかりパート@― 報告書の構成 はじめに、T利用者目線の支援とは、U検証、1検証の対象とした県立障害者支援施設について、2検証の方法、3検証結果、4全体考察は、早わかりパート@ V利用者目線の支援の実践に向けて、Wさらなる検討の方向性、委員名簿、参考資料一覧は、早わかりパートA 部会について(経緯) 県では、かつての津久井やまゆり園の利用者支援に関し、不適切な支援が行われてきたと指摘する情報が県に寄せられたことから、指定管理の基本協定に基づく随時モニタリングを実施し、その中で、県内部による検証だけでなく、専門家の視点から深く調査をする必要があると判断し、令和2年1月に「津久井やまゆり園利用者支援検証委員会」(以下「検証委員会」という。)を設置した。その結果は、令和2年5月に中間報告書として取りまとめられたが、その中で明らかになった課題は、津久井やまゆり園だけではなく、他の障害者支援施設にも当てはまる普遍的な課題と考えられることから、検証対象を他の県立障害者支援施設(以下「県立施設」という。)に拡大し、利用者支援等について、更なる検証が必要とされた。 このことを受けて、県では検証委員会を発展的に改組し、神奈川県障害者施策審議会の部会として、「障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会」(以下「検討部会」という。)を令和2年7月に設置した。この検討部会では、支援の検証を行うとともに、利用者目線の支援など、障害者支援施設における未来志向の支援のあり方を検討し、令和3年3月に報告書が取りまとめられた。 T利用者目線の支援とは 「利用者のためにはこれが良い」といった支援者側の目線ではなく、本人を中心に、本人の望みや願いを第一に考え、本人の可能性を最大限引き出す支援を行うことです。こ れは、「どんなに重い障がいがあっても、本人には必ず意思があり、支援を受ければ、意思決定ができる」という考え方に基づいています。 U検証 県立施設に関する検証 【検証対象の施設】 (県直営施設)中井やまゆり園、さがみ緑風園 (指定管理施設)社会福祉法人かながわ共同会津久井やまゆり園、同法人愛名やまゆり園、同法人厚木精華園、社会福祉法人清和会三浦しらとり園  【検証内容】 令和元年12月に県が調査し確認した身体拘束の事例を中心に、利用者の支援について検証した。 【「全体考察」における指摘事項】 ・障害者虐待防止法が立脚する人権擁護に関する理解の不足 ・行動障がいをはじめとする利用者特性の理解や専門的支援に関する知識・技術の不足 ・職員間・関係者間のコミュニケーションと情報共有の不足 ・支援内容の見直しと客観的評価の不足 ・人権擁護等の理念に基づく施設運営の未熟 ・変革に向けたリーダーシップの欠如 ・県による運営指導等の不足 ・県立施設の役割の未整理 ・県の障がい福祉施策の見直しの遅れ 県の関与に関する県調査 やむを得ず身体拘束を行う場合の3要件(切迫性、非代替性、一時性)に対する県職員の認識が希薄で、「身体拘束はやむを得ない」との考えが担当部署内に定着していたことが、不適切支援が続いたことの最大の原因である。 検討部会としての見解 検討部会としても、県は、現状を厳粛に受け止め、県職員の資質の向上や県立施設の指導のあり方を抜本的に見直すよう要請した。 県の改善策 @外部有識者によるモニタリングの導入 県立施設の運営指導及びモニタリングについて、神奈川県障害者施策審議会に報告し、評価を受ける仕組みを構築する。 A多職種による各施設横断的なコンサルテーションの実施 施設横断的に多職種が参加して支援内容を検討、研究する場を設置する。 Bモニタリングの充実強化 県立施設利用者の居室や支援内容の直接確認や、各施設における自己点検を実施する。 C身体拘束の見える化 県立施設における身体拘束事例を県ホームページに公表する。(継続) D研修の充実 県職員や指定管理施設職員に対する、虐待防止や利用者目線の支援などに向けた研修を充実させる。(継続)