審議会等名称神奈川県障害者施策審議会障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会(第6回) 開催日時令和3年2月22日(月曜日)16時30分〜18時40分 開催場所県庁本庁舎3階大会議場 出席者◎小川部会長、堀越副部会長、冨田委員、野口委員、安藤委員、中島委員、大塚委員、佐藤委員 【第2部(公開)】 (小川部会長) これから報告書素案について意見交換をいたします。素案については、まず事務局の方から説明をお願いします。 (事務局:鳥井利用者支援検証担当課長) 〔資料1「障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会報告書素案」に基づき説明〕 (小川部会長) それでは、これから意見交換をしていきたいと思いますけれども、第1部で検証に関しては、ある程度意見交換を行い、考察のところの大項目なども案が出ましたので、立ち返ってもいいですけれど、基本的には「はじめに」と「利用者目線の支援とは」それから「利用者目線の支援の実践へ向けて」、最後の「今後に向けて」というところの記載について御意見をいただこうと思います。あらかじめ資料が配布されていましたし、前回も素案が出ていたので、ある程度皆さんのイメージと合う、合わないとか、表現の問題だとか、そういうことが見えていてくださると意見がスムーズに出るかなと思って期待しています。時間的には基本18時30分を目途にと考えておりますけれども、いろいろと出てきましたら若干伸びるかもしれませんが、30分の間で出せる限りいろいろと出していただこうというふうに思います。 これも、ここからということではなくて、まとめて御意見を持っていたら、その全てを出していただいた方が合理的で、1ページ目はどう、2ページ目はどう、というふうに、というよりは、皆様気づいたところの御意見をいただいて、なるべくたくさんの意見をお聞きした方がよろしいかなというふうに思っております。どなたからでも結構です。富田委員ありますか。 (冨田委員) 一番の利用者目線の支援というところがあるのですね。利用者目線の支援についてと書いていて、「利用者のためにこれが良いという支援者側の目線ではなく、どんなに重い障がいがあっても利用者本人には必ず意思があるということを理解して」と書いてありますね。「本人を中心に、本人の望みや願いを第一に考え、本人の可能性を最大限に引き出す支援を行うことを考える」と書いてあるのですけれど、背景のところで本当に難しく書いてあるのですよね。いろいろね。例えば、本人にもう少し優しく支援するとか、そういうことが書いていないのですね、残念ながら。優しく分かりやすく教えるとか、支援するとか。常に冷静に支援するとか書いた方がいいかと思ったのですよ。どんなに障がいが重くても、確かに本人たちは意思を持っていますのでね。 (小川部会長) 背景となる考え方のところも、もう少し分かりやすく、優しく本人にもっとお話をしたりとか、常に支援者の方は感情的にならず冷静に支援するというような意味合いのことを入れておいた方が、あまり難しい表現だけで占めないようにしておいた方が、そういう表現だけが並ぶのではないという方がよいということですよね。おっしゃるとおりだし、後段になってくるとパラダイム転換だとか能力存在推定とか、ちょっと難しい。実はこれの解説本を作ったんだけれど、煩いかなと思ってやめましたけれど、もしかしたら言葉がちょっと難しいということもあるので、きちんと伝えたい部分をもう少し分かりやすく書いた方が良いということですよね。わかりました。いま答えは出ないですけれど、そういう配慮をして表現した方が良いという御意見ですね。ありがとうございます。他に御意見いただけますでしょうか。 (大塚委員) まとめていただいてありがとうございます。公開資料ということで最終的には外に出ていくものでということで、利用者目線の支援の取組ということで、いろいろ書かれているのですけれども、当たり前のことが書かれているのですね。先ほどの、考察のことも含めて、最後のところのまとめで書いていただければいいかも知れませんけれども、そもそも利用者目線の支援ができないという構造的な課題があると。強度行動障がいのような方々をたくさん集めて、あのひどい環境の中で、非常に厳しい環境の中で支援していくという、そういうところを改革していかなければならないという視点はなくて、非常にテクニカルな、こんな意思決定をすればいいですかとか、あるいはこんなふうな支援をすればいいとかということなので、それは当たり前のことで、それを書いても私、たぶん変わらないと思います。構造的な、絶対的な大変な今の状況を県として変えていかなければならないという視点がないと、たぶん無理だと思います。テクニカルなことを書いても、それは無理だと思います。 (小川部会長) 構造的な問題というところをきちんと記載する、ということですよね。他に御意見いただけますか。 私から一つだけ。「はじめに」というところが、「神奈川県では令和元年11月に愛名やまゆり園の元園長が」という書き出しでこの部会のスタートの文章が書かれているのですけれども、やはり、元に立ち返れば津久井やまゆり園における殺傷事件があって、その動機が意思疎通についての誤った考え方に基づいていたと思うのですよね。それで、それが施設の職員だった経験というのと直接的に結びつける裁判の証言などは得られていないまでも、少なくとも働いていた施設の利用者を対象に犯行に及んだわけで、そのあとに様々な事実が浮かび上がってきた。津久井やまゆり園も然り、愛名の不適切支援然りということで、検証委員会が設置されて、中間報告がなされたりというような経過で、もともとたどると、津久井やまゆり園の、あの凄惨な事件が最初にあったというところから始まっていると思うのですね。 例えばなのですけれども、そこから文章を始めるのはいかがかなと思って、ちょっと読み上げるのですけれども、「平成28年7月26日津久井やまゆり園において19人の尊い命が奪われた。その殺害動機は障がい者に対する差別と偏見に満ちたものであり、神奈川県は同年10月にともに生きる社会かながわ憲章を打ち出していた。しかしながら、その後に大規模施設における虐待、不適切支援が報告され、以下のような経過をたどりつつ今回の検討部会の設置に至っている。」ということで、ここで「神奈川県では令和元年、愛名やまゆり園」云々というふうに、枕に載せておいて、その問題の一番の所在、スタートがそこにあるというところを踏まえた方が良いのではないかなと思うのですけれども、御意見いかがでしょうか。 特にここの、今書かれている文面が一連の作業、検証作業とか、県のモニタリングとかのスタートだから、あえてそのことに触れることはないのではないかという意見があれば考え直しますけれども。 (中島委員) 私は小川部会長に賛成と言いますか、やはり発端というのはまさにここ、というところでありますので、ここはしっかり津久井やまゆり園での事件のことから、やはり「はじめに」というところがスタートするというのが、そうだろうというふうに思いました。 (小川部会長) 他に御意見は。いまちょっと口頭で申し上げたので表現が適切かどうか分からないのだけれども、この「はじめに」のところに短い文章だったら、ちょうどはまるスペースもありますので、ぜひ入れておきたいというふうに思いますが、改めて修正案といいますか、今回の議論でいくつか直すところとか追記するところがあると思いますので、それを見た上で、また御判断いただいてと思いますけれども、そういった切り出しをしておくということ。まさに意思決定支援とかいうことが議論のひとつの柱になっているのに対して、例の事件で意思疎通とか、意思の問題が起因しているということは、ちょっと触れざるを得ないかなというふうには思っているところなのですね。 他に、今出たのは、「利用者目線の支援とは」のところの表現というのを、砕いた部分があって伝わりやすくした方が良いのではないかなということと、私が「はじめに」のところの冒頭の追記のことを言いましたけれど、他に御意見いただけませんでしょうか。 (安藤委員) 簡易版の報告書の素案の12ページです。これは、先ほども議論したところですけれど、ヒアリングで、やはり現状ではだめだ、なんとか改善していこうという機運が各施設に生まれているということをどこかに、例えば津久井やまゆり園の良い支援に改善されている状況も確認された、とその次に1行でも構いませんけれども、そういう動きが出てきているというのを加えていただければというふうに思います。 それから、最後の20ページ「今後に向けて」というところですけれど、今後に向けてが大事になってくる気がするのですけれど、ちょっとあまりにも内容が乏しいかなという印象を受けました。例えば、2番目の今後の障害者支援施設のあり方を踏まえた県立障害者支援施設の役割についてという項目がありますけれども、これは記載のとおりでもありますが、あとは県立施設として例えば人材育成であるとか、支援の研究であるとか、そういうものをどういうふうに構築していくかということについて、もう少し具体的な取組が提言できると良いなという、そんな印象ができましたので、これは何らかの検討部会のようなものを、今後作っていただきたいな、そういう次に何をやるかというところを、もう少し具体的に記載すると良いのかなと思いました。 また、先ほどの全体考察のところでも出ましたけれども、特定相談支援のあり方というか、どうしても入所施設の利用者はそこの施設の相談支援で支援計画を作成される方が比較的多いですけれども、それは、例えば入所施設なんかは、他の市町村にお願いしても、いやそちらでやってくださいという形で、逆に戻されることが多いので、やはり相談支援体制をどう充実するかということと非常に絡んでいるので、そういうところも今後に向けてというところで記載をしていただけるとありがたいなというふうに思います。 (小川部会長) 今後に向けてが、やや抽象的な部分があるので、具体的な取組とか提案みたいなもの含めて、記述した方がつながっていくのではないかということで、それも考えていかなければいけないと思います。 (堀越副部会長) いま、安藤委員がおっしゃってくださったところはまさに全く同感というふうに思います。それから、ちょっと細かいことになるかもしれないのですが、報告書の立て付けというか構成として、「はじめに」のところで、なぜ検証をするのか、目的が支援の検証をするのですよ、それから利用者目線の支援など障害者支援施設における未来志向の支援のあり方を検討する、2つの目的がここに謳われているわけです。それで1つ目が、では利用者目線の支援とは何なのかというのが解説されていて、その次に検証というふうに、Uであるのですけれど、ちょっと私、どうもここのところがストンと落ちなくて、検証対象6施設を先に載せて、その対象施設6つがどういう施設なのかというプロフィールを載せたあとに、施設整備の経過などの解説が付いていたほうが、読む側は分かりやすいのではないかなというふうに、ちょっと思ったということが一点あります。 それから検証結果のところが、これから文言をどのくらいで書くかということは、書いていけばいいのだろうと思います。そして一番重要なのが、VとWのところになる。特にVが、しっかり書けていないとWにつながらないわけなので、Vのところをいろいろな委員さんのお考えなどを反映しながら、県の方が本当に御苦労されながらここまでまとめてくださったものに肉付けをしていったり、柱立てをしていったりするということをしたうえで、Wをもう少し骨太に書くということかなというふうに思います。特に安藤委員さんや中島委員さんは障がいを持っていらっしゃる方たちの支援の施設を実際に運営されていて、こうあらねばならないことは重々分かっているけどそうできない環境といいますか、しがらみというか、制度環境だったり、人手の問題だったり。それが一番よくお分かりになっていらっしゃると思うので、そこをどうやって変えていくのかということの具体策が、特にお二人の委員さんからは伺った上で、Wに反映できると良いのかなというふうに思いました。 (小川部会長) ちょっと並べを、組み立てを動かした方が良いというのは、作業的な部分もあるのでできるかと思いますけれども。今の投げかけ、安藤委員とか中島委員とか、何かコメントありますでしょうか。 (安藤委員) 今、この場でというよりは、もう少し個別なところで意見を求められれば、話合いをして提案したり、提言したりすることはできると思います。 (小川部会長) 佐藤委員、大塚委員、いかがでしょうか。 (佐藤委員) 本人目線の支援ということを考えていく基本的な報告書になっています。職員さんやいろいろな社会環境が大変なところがあるのだろうと思いますけれども、しかし職員さんがどうしてこれまで身体拘束に頼った支援をしてしまっていたのか、ということをもっと深彫りする必要が今後もある、というふうに思っています。 職員目線ではなくて本人目線の報告書ですから、そこがぶつかるような話では、報告書の全体の構成が崩れるというふうになりますし、また身体拘束に頼る支援を考えてしまうということになります。職員さんが本人目線に立つということはどういうことなのかということを今後とも考え続ける必要があるということを最後に強く打ち出す必要があると思います。 それと、もう一つ、これは、まだまとまっていないからお書きになっていないのだろうと思うのですけれども、県の関与のこれまでのあり方、これについて、今日のところでは話せることがないのかもしれませんが、施設が身体拘束の3要件について間違った理解をしていたということと同時に、県も間違った理解をしていたのではないかというふうに、我々は中間報告を書いたときに判断しています。なんで県がそういう間違った判断をしてしまったのかということについても、これは明確に書いていただきたいと思います。 この部会は、あとあるのかないのか分かりませんが、県の関与ということについて、今のような点をぜひ書いていただきたいということですね。もし今日の段階で、何かお話しできることがあれば、ぜひ提供いただきたいなというふうに思います。なければないで、今日のところでは無理だということであれば、それはそれで構わないのですけれども。 (小川部会長) なぜ身体拘束に頼っているというかというところが、大塚委員の前段の部会のときにも御発言があったように、構造的なもので、大規模施設で、生活ということがないという状態になっているというところで、拘束をせざるを得ないような環境下にあったということもあったので、それをどういうふうに今後していくのかという問題の提起でありますよね。それから県の関与については、かなり行政の方が身を切る思いでこの検証の調査に当たったのではないかなというふうに思って、ここに表現されておりませんけれども、委員さんはお読みになっている方もいますけれども、きちんとこれまでの振り返りの中で問題点といいますか、それを指摘した報告になるのだろうというふうに思っております。これについては今の段階で何か、コメントできますでしょうか。 (事務局:川名福祉子どもみらい局副局長) 県の関与の部分につきましては、こちらで検証した件、県がどうだったのかというところはこの報告の中に、皆さんの意見も踏まえて書き込む予定になるのかなと思っております。その中でいま御指摘いただいた、なんで県も間違っていたのかというところ、ここら辺の書き方につきましても、また、こちらの検証を踏まえて考えていきたいと思います。 (佐藤委員) ちょっとくどいようですが、言葉遣いの問題なのですけれども、拘束をせざるを得なくなったというような表現ではなくて、拘束以外の支援というものを、非代替性ですね、そういうものを考えていなかったということですね。だから、拘束をせざるを得なかったではなくて、拘束に頼ったということです。なぜそうなったのかということについて、今後もずっと検証し続けなければいけない。そういう問題が今残されているということは、きちんと最後にまとめておく必要があるかなと思います。 (大塚委員) いまの佐藤委員の意見を踏まえて、なんでそういうことになってしまっていたかということを、調査の結果からVの利用者支援の実践に向けての前に、先ほどのまとめ、あるいは考察的なことを、それなりに入れる必要があるというふうに思っています。なんでそうなっちゃたのかということを、もちろん細かいことはわからないけれども、今後も究明していくということが必要でしょうけれども、今回の調査の中で分かった、なんでそうなったかという推測されること、自分たちが考える検証としての結果はこうであったと。私は構造的な問題だと思っておりますので、構造的なものはあって、どんなに職員が頑張ったとしても、構造的に閉鎖的でたくさんの方がいて、行動障がいがあってという、そういうところで生じてきたという、非常に根本的なことがあるというふうに認識しておりますので、何らかのまとめをここに入れないと、何のための調査、報告になるのだというふうに思っております。これはただのレポートです。全然問題意識がないようなレポートになっています。そこはきちんと、推測できることであったとしてもまとめていく必要があると思っています。 (小川部会長) いまの御意見は、検証の考察の中にも入るし、それから今後に向けてのところでどういうふうに施設というもの、構造的なものと言いますか、大規模施設そのものの問題だとか、それからもう一つ、支援技術、スキルと言いますか、そういったことが育てられていないということも、私は感じるのですけれども、そういうことも挙げられるかと思います。いまの御意見も何らかの形で含めていくということにしていきます。 (野口委員) 以前から私が構造的な問題として考えているのは、やはり子どものときから隔離されてきた、子どものときから学校、地域の中で育てていくというのが大変難しい環境で今まで育てていて、今後のことに対して、背景の2ページ、障害者総合支援法の中にも障がい者、障がい児の可能な限り身近な場所において必要な云々というのがありましたけれども、共生社会の実現というところで、なぜ入所、その隔離されたところに行かなければならなかったというのは、今までの障がい者の隔離された生活があったのでないかと私は実感として思っていますので、ぜひそういう部分、幼児のとき、小学校、中学校、その上の学校、あるいはそういう中で大人になっても皆の中で生活できるというのをぜひ実現していくための、そういう提言が入ると良いなと思います。 (小川部会長) その辺の問題というのを、今回は、施設訪問しながら、ヒアリングのときに話が出てくるのですよね、わずかに。学校時代にこういうふうにしてきたからというままに施設の中でまた拘束をされるような話が出たりということも。たどってみると、やはり療育の段階から、それから初等中等の段階から、もしかすると非常に、隔離的、差別的な状況下に置かれてきて、そして成人になって、また施設に閉じ込められるというようなプロセスをたどってきてしまう構造、それこそ、政策的なものになってくるかもしれないけど、これって取り残して本当にそこをずっと手繰っている作業はしていないので、この問題があるのだということについて、改めて作業しなければいけないのかなという感じですよね。それを薄々把握している委員にまだ留まっているということで、野口委員はそれを肌で感じたりとか、身近に感じているのだというのも、今回の調査の中で、まだちょっと甘かったというところあるのではないかなというふうに思います。 私の方で、用意していたのですけれども、思い付きを書いているからいけないのですけれど、今後に向けてというのは、やはり具体的に書かなければいけないのではないかなということで。今の県立施設、数十年経っていると思うのですけれども、床もかなり悪い状態になっていて、そのために怪我をするからといって、拘束をされるというような話にもなりかねない。 指定管理も、大規模施設、県立の大規模施設においては、施設の耐用年数と言いますか、建て替えとか、そういうようなことに迫ってくるものもあると思います。一部は割と最近に建て替えをしているところもあるのかもしれないですけれども、やはりこれから、このような100人規模の大型施設というものは、国際的に見ても、国内はまだずいぶん残っていますけれども日本ではそれを減少させていこうという傾向にある中で、神奈川がそのまま維持していくのかということもあるので、やはり小規模化とか、ユニット化とか、分散していくというような整備構想も必要なのではないかなと思います。 障がい者の入所施設というのを、利用者目線というのだったらば、地域生活支援が可能となるような機能も、そこにかなり盛り込んでいかないといけないのではないかなと。県立、それから県立の指定管理という施設においては、先々に地域生活に移っていけるといいますか、地域生活ができるような状況を作る前段の機能を持たせていくということに変わっていかなければいけないということで、それを個人的には神奈川の障がい者計画などが、向こう3年で一回切れますけれど、そこまでに調査費などを出して、そこから向こう5年で作り変えるくらいの形で、施設から地域への考え方に移っていくということが必要だろうと思っています。 それから、意思決定支援については、津久井やまゆり園の経験を生かすということになった場合に、まず県立とか指定管理の大規模施設というのが、今回のヒアリングで非常に遅れているという状態が明らかになったのですけれども、民間の入所施設とかグループホームであってもやはり非常に専門性に課題があったりする場合もあるので、やはりそういうところも意思決定支援に入っていくような将来的なプロセス、将来的に意思決定支援というのを徹底していくためには広げていかなければいけないということで、それを計画的に進めるという考え。それから、突然、全員にはできないでしょうから、施設から相談対応みたいな部門をきちんと設置して実施するということが必要になってくる、そういう形状を取っていかなければいけないのではないかなと。 最後にもう一つは、結局地域生活が実現しない最大の要因というのは、地域に支援体制が整っていないということが一つ大きく挙げられると思うのです。行動特性に留意しながら、意思決定支援を行っていく、そういう地域生活を実現するためには、いまの総合支援法で事業ができるけれど、まだ整っていない。その中に障害支援区分も超えていかなければいけないし、本人ニーズに基づく福祉サービスという提供も行わなければいけないはずなのですね。そうなってくると、国の法律の中、変えていく運動をしなければいけないのかもしれないけれども、神奈川方式をなんとか実施してほしい。訪問介護とか重度訪問介護とか行動援護とか自立生活援助、それから施設の方の一時利用とか、それから相談とか。そういった関連事業を組み合わせて、住まいと暮らしを支援する体制というのを地域に作っていかない限り、施設の存在というのはどこまでも必要でしょうし、同一障がいを集めたりしてしまうということの合理化が図られるということは、非常に非人道的と言いますか、人権に抵触するような形になってくるでしょうから、そこに焦点を当てて。一つは、施設は残るのだけれど、そこに豊かさを求められるような支援技術を持つこと、それからそういうふうに県の方が施策を作っていくこと、それから同時に同じ重さで地域生活支援の事業を創出するということ。それをしていかないと、さきほど何回も大塚委員が言われたように構造的な問題を壊すには、一方で作り上げるものがないといけないということで、それを両立しながらやっていく神奈川方式というのが必要なのではないかなというふうに思います。 そういうことの、何か少し、どういう文章を作ったり、どういうスケジュールでやっていくかということの提案とかということもしていかないといけないのではないかなということで考えてみました。 (佐藤委員) 今日野澤委員いませんから、たしかヒアリングで聞いたのは野澤委員だったと思いますけれども、強度行動障がいはどこで作られるのですかという質問をしたときに、今出たような環境ですという、施設に来るまでの環境のことを言った管理職員がいました。これは、環境という言葉を使っていますけれども、昔からよく言っていることで、要するに親の育て方が悪いというのと一緒なのですよ。それまでの関係はどうあれ、施設の中で支援の質を高めていくというのが施設の職員の責務なので、それを全く放棄しているという発言をする職員がいたというのは非常にショックですね。 そんな親の育て方とか、施設以外のところでできているのではなくて、施設の中で支援の質を高めていくということを考えなくてはいけないのに、それを全く放棄するような発言を平気でやる職員がいる。これは、そういうことを我々が容認するということはあってはならないことだというふうに思っております。親の育て方がどうであれ、施設の支援の質は高めないといけない。今の議論で思ったことです。 (野口委員) 賛成です。 (小川部会長) 時間がもう割ってきていますので、皆さんからそれぞれ別個に意見をいただいていますけれども、中には重なってくる、共通する事項があるので、柱だてはできるかなと思います。今日の最初の第一部のほうで議論した検証の全体考察のところと、最後の今後に向けてのところというのが、符合するようにまとめていくと、作文的などこから持ってきても同じようなということではなくて、ヒアリングを通して考察したことが、今後に向けてのところにつながっていくような形で読み手に理解してもらえる、あるいは施策の中で県のほうで執らなければいけない具体的な項目なんていうのも見える、というようにまとめていくという、そこの大枠ですけれども、そういう考え方で進めていければいいかなと思っています。いま2月22日ですけれども、若干何回かやり取りをして、事務局の方にお任せしますけれども、日程とか記述の修正等のこと、それからそれを全員で合意するような手続きをとって最終案にしていくということで、このひと月の中をうまく割り振りしていただきたいと思います。 (大塚委員) この素案のまとめ方なのですけれども、私は気に入りません。なぜなら、きれいにまとめ過ぎたということです。結局は検証というものに、その結果に、県として、あるいは私たちも向き合ってきちんとした考え方を出さないで、これからの支援、意思決定して支援していますよ。チームが大切ですよ。そういうことでお茶を濁して逃げている。行政として、非常に神奈川県に期待したのに私は残念です。こんなもので逃げて、なんのためにやったか、何のために検証をやったかということだと思っています。こういうまとめ方は、私は気に入りません。こんなのならまとめない方がいいと思います。 (小川部会長) 大塚委員だったらこういうふうにまとめるのだ、報告書を作るという御提案は、どうでしょうか。 (大塚委員) 私はどうまとめていいかということは頭にはありますので、打合せながらやっていくべきかと思いますけれども、これでは今までの報告書と同じじゃないですか、ずっとやってきたものと。何のために、利用者目線の支援ということでもう一度取り組むのだと、その覚悟がない、というようなまとめ方だと思っています。いつでも相談には応じます。 (小川部会長) おっしゃりたいことは、ちゃんと分かっているかと言われると分かりませんけれども、いわゆる報告書として終わってしまうものではなくて、つまりそれを、県が変わっていく、社会が変わっていくというようなものでなければ意味がない、そういうことですよね。 では、そういう御意見を念頭に、これが読み捨てられるということではなくて、これが取り上げられて議論になって、そして県も変わっていく、ひいては他県から見ても何らかのアクションが起こるというような、それだけの力のあるものにしていかなければいけない、こういうふうにおっしゃりたいのだろうなと思いましたので、その辺を含みながら、このあとの作業をしていきたいと思います。 (堀越副部会長) 大塚委員がおっしゃられていることに関係すると思うのですが、おそらく検証結果に対する考察、こういう点とこういう点とこういう点がすごく重要な問題だったのだよ、というその問題の提起というか、考察です。先ほど大塚委員もおっしゃった、考察がないとおっしゃったかと思うのですが、何が課題になっているのだよということに対する、私たち委員会としての意見、見解、それがおそらくちょっとあやふやになっているかと思うのですよ。それがなくて、ポンと実践に向けてという未来志向の文章になってしまっているので、まずは検証結果、検証した結果こういうことがわかりましたよ、それはこういうふうに考察できますよ、どこに問題の所在がありそうですよということをしっかり書いて、じゃあどうするというふうにつなげていくということではどうでしょうか。 (小川部会長) いま言われたとおり、今日前段で検証の考察について議論したと思うのですけれども、そこで、まとめるべき項目があげられていたのですけれども、そのことをきちんと成文化して、それと併せて今後に向けてというのがつなげて見られるような状態にして、もう一度やり取りするということがよろしいのではないかなと思います。いまの御意見、それぞれは十分理解できるのですけれど、文章を見ながら議論していないので、まず姿勢の問題というかそこのところを大塚委員がおっしゃっていたと思うので、それが見えるような形で、良かれ悪しかれ文章化されていることによって議論ができる、良い悪いが議論ができる。いまこの状態だと、極端に言うと何もないでしょということなのだと思うのですけれど、一番肝心な、それぞれの考察、検証の考察と、今後に向けてが、まだきちんと捉えていないということで御指摘が出てくると思いますので、まずはそこを埋めてもう一度、大塚委員含めて全員で議論したいというふうに思います。 (佐藤委員) もう一つだけ。いまの大塚委員の発言にも関連することですけれども、例えばガバナンスのあり方が最後に、十何ページあたりに記載されていますけれども、風通しの良い職場ですとか、意見の言い合える職場とか。別にヒアリングも検証も何もしなくても、当たり前のことでして、我々がヒアリングをしたときに感じたことは、職員相互の支援の質の格差がずいぶんあるということと、それから管理職員の意見がトップダウンと書いてありますけれども実際にはダウンしてないのですね。管理職員の意見が下に、持っている情報が下に通じていない。つまり、上下それから職員相互の間での意見交流ができていない。これが一番、ここのヒアリングで感じたガバナンスの欠如なのです。それを変えていくためにはやはり、検証報告の基盤である管理職員も現場の職員も全員が利用者目線とは何かということを考えた上で意見を戦わせるということが必要なのですが、そうすると皆意見が違うはずなわけで、あちこちに意見交換が始まるわけですけれども、そういった分析は今回の検証でもできているはずなのですが、そういうことは書かれていない。それが残念だなということです。 (小川部会長) いまは、ガバナンス、それから現場職員、管理職、幹部職員と言いますか、あるいは中間管理職も含めての問題みたいなことを御指摘されたと思うのですけれども、それについても、検証の全体考察の中で、さっきも佐藤委員がおっしゃっていたわけなので、そのへんのところで、どんな表現ができるかわからないですけれどもトライして、検討していくということにさせてください。 あと、気づいていろいろ、細かいところがあると思うのですね。字句だとかミスだとか、そういうところも気づいたら事務局の方に知らせていただければよろしいかと思います。 その他と書いてある議題があるのですが、事務局の方からありますか。 (事務局:鳥井利用者支援検証担当課長) 今日は御議論ありがとうございました。 今日の御意見を踏まえまして、また追記をさせていただいて取りまとめに進んでいきたいと思います。日程調整を順次させていただいておりますけれども、3月後半くらいになるかと思いますけれども、次回また部会について設定を御連絡させていただきたいと思います。 (小川部会長) それでは今日予定していました議事の方はこれを持ちまして終了させていただきます。進行に御協力いただきましてありがとうございました。 (事務局:川名福祉子どもみらい局副局長) 閉会の挨拶