かながわ障がい者計画 点検評価シート 1 すべての人のいのちを大切にする取組み (1)すべての人の権利を守るしくみづくり ―基本的な考え方― 障害者の権利に関する条約に掲げられている障害者等の自己決定が尊重され、障害者が自らの考えと判断により、地域社会の中で主体的に生き、自己実現を図ることができるよう、障害者虐待の未然防止や障害を理由とする差別の解消、成年後見制度の利用促進等により、障害者の権利擁護を進めます。 1 取組実績 <成果目標の達成状況> 把握すべき状況@ 障害者虐待の防止 成果目標 障害者虐待防止・権利擁護研修の累計修了者数(人) 年度、目標値、実績値、達成率の順に記載 H30、/、568、/ R1、677、674、99.5% R2、777、882、113.5% R3、877、1,008、114.9% R4、977、1,130、115.7% R5、1,077、1,248、115.9%、 主な取組による成果 ○障害者虐待防止・権利擁護研修を実施した。 ・市町村担当職員コース【修了者26人】 ・施設従事者等研修コース【修了者92人】 (成果目標の状況) ○ 障害者虐待防止・権利擁護研修の累計修了者数は、最終目標1,077人に対し1,248人で、達成率は115.9%だった。 ○ 「市町村担当職員コース」は、新任者を中心に受講を希望する全ての職員が受講・修了した。障害福祉サービス事業所職員を対象とする「施設従事者等研修コース」は、定員を上回る申込みがあったため、市町村の推薦により受講者を決定しており、修了者が、自所属での伝達研修も実施している。 把握すべき状況A 成年後見制度の利用促進 成果目標 市民後見人養成事業を実施する市町村数 年度、目標値、実績値、達成率の順に記載 H30、/、14、/ R1、18、14、77.7% R2、21、14、66.6% R3、/、14、― R4、/、15、― R5、/、15、― 主な取組による成果 ○ 成年後見制度相談事業を実施した。 ・成年後見制度一般相談【525件】 ・出張説明会・相談会【6回実施、延べ129名参加】 (成果目標の状況) ○ 市民後見人養成事業を実施する市町村数は、令和2年度の目標21市町村に対し、実績は15市町村だった。 ○ 市町村において、成年後見制度利用支援の相談等の体制整備が充実されるとともに、成年後見人の担い手となる市民後見人の養成を着実に進めた。 ○ 小規模な町村部において単独実施が難しい状況であり、一般市においても事業の準備に時間を要しているため目標を達成できなかった。 <その他の取組による成果> 障害者虐待の防止 〇 障害福祉サービス事業所の職員等とともに、各事業所で活用できる障害者虐待防止について学ぶ研修ツールを作成した。【県ホームページに掲載】 ○ 神奈川県障害者権利擁護センターにおいて、障害者虐待に関する専門性を強化するため、法的な専門的助言を得る体制及び休日夜間の通報受理体制を継続することで、様々な相談に適切に対応した。【相談・通報件数:29件、法的な専門的助言:3回】 成年後見制度の利用促進 ○ 成年後見制度のパンフレットを一部更新して9,000部増刷し、市町村、市町村社協、医療機関、金融機関等に配付し、関係機関における成年後見制度の普及啓発を図った。  障害当事者等による権利擁護の取組み ○ 専門家派遣や研修等により障害者支援の従事者に意思決定支援の取組みが普及した。【専門家派遣等:126回、県版ガイドライン(基準)等設計:1回、県版ガイドラインデザイン委託印刷事業:県内88全障害者支援施設あて1,584部配布。意思決定支援推進人材養成事業:ガイドライン研修受講者:325人、意思決定支援事例検討会事業参加者:228人】  障害を理由とする差別の解消 ○ 県警管理職級職員約100名に対して、障害の理解について研修を実施した。 2 一次評価 <点検・評価の結果> 概ね順調に推移している (評価の理由) ○ 成果目標については、2項目中1項目が目標を達成している。 ○ 本分野では、主に障害者虐待の防止、障害を理由とする差別の解消、成年後見制度の利用促進等に取り組むこととしている。 ○ 障害者虐待の防止については、成果目標としている「障害者虐待防止・権利擁護研修の累計修了者数(人)」が、最終目標1,077人に対し1,248人で、達成率は115.9%だった。   この研修では、弁護士等も講師としており、法的な理解の促進に努めている。 ○ 市町村や県に寄せられた障害者虐待通報等の件数は、令和4年度に1,156件(令和3年度:619件、令和2年度:440件、令和元年度:425件)と、毎年度増加している。これは、研修修了者の増加によって、本来通報すべき事案が正しく通報されるようになった件数も含まれると考えられ、本計画の成果として捉えるためには、より複合的な分析が必要である。 ○ 障害を理由とする差別の解消については、障害者差別に関する相談窓口を設置し、丁寧な相談対応を行うとともに、職員向け研修を行う等、差別解消に向けた取組を継続している。 ○ 成年後見制度の利用促進については、成果目標としている「市民後見人養成事業を実施する市町村数」が前年度から増加せず、目標値を達成していないが、制度の普及啓発等を行った結果、相談件数が増加するなど、成年後見制度の適切な利用のための取組を着実に進めている。 ○ これらを総合的に判断し、令和5年度については「概ね順調に推移している」と評価した。 <今後の課題と対応> 障害者虐待の防止 ○ 障害者虐待防止法の施行から10年以上が経過しているが、使用者による障害者虐待は労働局の調査で発見されるものも多く、通報に結びついていない潜在的な虐待被害がまだ多数存在していると思われることから、障害者虐待防止法や通報義務について一般の企業や県民に向けて周知する。また、虐待の防止及び対応力向上のため、引き続き弁護士相談の活用を図る。 ○ 県立の直営施設である中井やまゆり園においては、「事実であれば不適切な支援と思われる情報」として県が把握した事案について、令和4年3月に「県立中井やまゆり園における利用者支援外部調査委員会」を設置し、調査を行い、同年9月に、虐待が疑われる25事案を含む調査結果を公表した。これ受けて、県立中井やまゆり園当事者目線の支援改革プロジェクトチームを再開し、令和5年5月に、プロジェクトチームが、園の改革の指針となる「県立中井やまゆり園当事者目線の支援改革プログラム」を公表した。 県本庁と園では、支援改革プログラムの提言を受け、「障がい当事者が街の中で当たり前に暮らせる地域共生社会を目指す」といった基本理念や具体的な取組内容を示した「県立中井やまゆり園当事者目線の支援アクションプラン」を同年7月に策定した。当事者目線の障害福祉を率先して実践すべき県立施設で起きた出来事について、県として重く受け止め、二度と同じことを繰り返さないよう、県本庁と園が一体となって、再発防止や利用者の暮らしの改善を進める。 成年後見制度の利用促進 ○ 法人後見の実施や市民後見人養成が進んでいない市町村があるため、引き続き、法人後見立ち上げ支援等を実施することにより法人後見の支援を行うとともに、市民後見人養成基礎研修の実施により市民後見人養成に向けた支援を行う。 また、市民後見人の養成が進んでいない市町村については、個別に課題等を把握し、市町村と連携して養成に向けた方針の検討を行う。 3 最終評価 <最終評価> 概ね順調に推移している (評価の理由) ○ 成果目標については、2項目中1項目が目標を達成している。 ○ 本分野では、主に障害者虐待の防止、障害を理由とする差別の解消、成年後見制度の利用促進等に取り組むこととしている。 ○ 障害者虐待の防止については、成果目標としている「障害者虐待防止・権利擁護研修の累計修了者数(人)」が、最終目標1,077人に対し1,248人で、達成率は115.9%だった。   この研修では、弁護士等も講師としており、法的な理解の促進に努めている。 ○ 市町村や県に寄せられた障害者虐待通報等の件数は、令和4年度に1,156件(令和3年度:619件、令和2年度:440件、令和元年度:425件)と、毎年度増加している。これは、研修修了者の増加によって、本来通報すべき事案が正しく通報されるようになった件数も含まれると考えられ、本計画の成果として捉えるためには、より複合的な分析が必要である。 ○ 障害を理由とする差別の解消については、障害者差別に関する相談窓口を設置し、丁寧な相談対応を行うとともに、職員向け研修を行う等、差別解消に向けた取組を継続している。 ○ 成年後見制度の利用促進については、成果目標としている「市民後見人養成事業を実施する市町村数」が前年度から増加せず、目標値を達成していないが、制度の普及啓発等を行った結果、相談件数が増加するなど、成年後見制度の適切な利用のための取組を着実に進めている。 ○ これらを総合的に判断し、令和5年度については「概ね順調に推移している」と評価した。 以上