審議会等名称 神奈川県障害者施策審議会障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会(第2回) 開催日時 令和2年9月7日(月曜日)16時00分〜18時10分 開催場所 県庁本庁舎3階大会議場 出席者 ◎小川部会長、堀越副部会長、冨田委員、野口委員、安藤委員、伊部委員、中島委員、大塚委員、佐藤委員、野澤委員、松上理事長(オブザーバー・社会福祉法人北摂杉の子会理事長) 堀越副部会長紹介 松上理事長(オブザーバー・社会福祉法人北摂杉の子会理事長)紹介 (小川部会長) 皆さんこんにちは。部会長を仰せつかっております小川です。今日は、先ほど紹介がありましたように、議題の2番目に、利用者目線の支援ということで、我々神奈川のことをこれから詰めていくわけですけれども、やはり視野を広げて、先進的な斬新な取組をしているところのお話を伺って、またそれを議論することというのは非常に意味があることと思いますので、その時間に十分当てていきたいと思います。本当は2、3時間必要なほどの資料を用意してくださったのですけれども、1時間の中でお話と質疑をしようということになっておりますのでよろしくお願いします。それともう一点は、意思決定支援の取組について、これはちょっと入口までしか議論ができないかと思いますけれども、それを最後に取り上げたいと思います。 早速最初の資料1の説明をさせていただきたいと思います。議題1に「第1回検討部会の論点の要約」と進め方に関する確認ということを入れてあるのですけれども、半年の中でこの大きなテーマをやっていかなきゃいけない、回数が限られている。1回ごとに切れ切れな議論になっていくのもそれはいかんだろうということで、第1回目の論点についてまとめましたので、それを簡単に、時間は取らずに説明をしたいと思います。このことで、皆さんの御発言のポイントは合っているね、ということで御確認をいただきたいと思います。実は細かい皆さんの御発言を丁寧に、内容別に分類したものは、参考資料1として事務局が非常に丁寧に整理してくれています。それが元になります。ただ、それは重み付けもなく、分野別に整理されているのですけれども、私の部会長としての見立てというのは、こういうふうな見立てだということで、一応確認をさせていただきたいと思います。 資料1を御覧ください。黒岩知事の御挨拶がありまして、部会に与えられた指定課題というのは次の2点であると言いました。県立障害者支援施設の支援、マネジメント、ガバナンスと言ってもいいのかもしれませんが、それの検証をする。これはもちろん指定管理のものを含めてですけれども、その検証をきっちりと最後までやり切るということです。それから、利用者目線の障がい者支援のあり方を示すということです。これは、1番目がどちらかというと、今後の指定管理の基準とか要素とかいろいろなところを見ていくかと思うのですけれども、2番目というのは実際の支援、支援者の姿勢とか、どういうような積み上げをしていくか、スキルを持つかというようなことの具体な話になってくるかと思います。そういうことを議論することによって、神奈川発の新しい障がい者福祉を創るということで、これまでの流れの中でできなかったことをひとつしていかなければならない。 それにもかかわらず、先週は2つの記者発表がありまして、中井やまゆり園の個人情報の漏洩とか、愛名やまゆり園の身体拘束の虐待と思われる事項が出て、それは県の調査が入っている段階で決めつけることはできませんが、そういったような事柄が今日的に起きてくるということ自体が問題だと思いますし、この部会が真剣に取り組んでいかなければいけない、黒岩知事が言うまでもなく、我々障がい者福祉に関わるものは真剣に取り組んでいかなければいけないということがあると思います。 2番目に部会の期間なのですけれども、これについて来年の3月までにまとめるということが至上命令になってはいますけれども、半年で検証できることには非常に限界があるという御発言もありまして、ここは事例の抽出など絞って調査するということと部会員が全員で動いていると、なかなか受け手の方もこういったコロナ禍の下にありますので、担当施設を分担して合理的に調査、ヒアリングに入って、それらを部会で統合していくというような形で、来年の3月までになんとか部会のまとめをしていきたい。ただ、部会後に取り組むべき事項というのが出てくることも大いに考えられますけれども、ともかく3月までに、報告できるあるいは提言できるところまで持って行って、そのあとの4月以降についてはこの部会の方で何らかの指針を出して、それを審議会の方でワーキングにするのかどうか分かりませんけれども、取り組んでいくというようなこと、取り残した場合のことも検討していかなければならないだろうと思います。 それから3番目に身体拘束に関する統一した基準というのがなくて、みんなバラバラで考えていないか。例えば各法人、あるいは県においてもそういったところの統一がされていなかったのではないかという御発言もありまして、これは一本、この部会では国のガイドラインに沿うということで、それに基づいてヒアリングをしていくというようなことにすべきではないかなと考えております。 次のページに行きまして、身体拘束、虐待を受ける人に障がいや問題があるとの見方から脱却するということも必要なのではないかとの御発言もありました。これについて、障がい者側から見た問題行動というのは、どうしても生活管理下の中で、その問題を表面的に出てこないように制限をする。そうすると利用者の気持ちと不一致の状態で制限が加えられるという、そういう悪循環に入ってくるということがみられると思います。やはり人的対応とか物理的環境などに問題がある場合に、どうしても行動障がいというようなカテゴリーの中で見てしまう。他方、人間関係とか環境を整えることで生活の質を工夫する、そういうことでプラスの行動に変化をもたらすということもあって、これは多様な取組が必要なわけですけれども、一言では言えないのですが、まずご本人の中に問題ということで処理をしていくんではない。人的、物理的環境の中で様々な工夫をしていくということが利用者目線の方につながっていくのではないかなと考えています。したがって、ヒアリングの内容、これから各施設のヒアリングに取り掛かると思うのですけれども、行動障がいのある人への適切な支援が行われている仕組みは作られているか、適切な実践がされているか。またそこに問題があった場合には、その原因解明及びどのように改善対応を行っていくかについて明らかにしていくかということが必要かと思います。こういうようなことが今日来ていただいた、松上さんのお話からもたくさんのヒントが出てくると思いますので、そのような内容を盛り込んだ形でヒアリングをしていくのがよろしいかと思います。 それから4番目に、支援により利用者が自らの力を発揮して生活できる事例の検討ということで、必ずしも否定的な事ばかりではなくて、支援によって利用者の方が力を持っていく、あるいは自分の望む生活を持っていくということも事例としては出てきているわけですから、検証対象の施設においてそういった工夫をしている、それは職員の強み、あるいはスキルをあげている強み、あるいは研修やその他の様々な手段によって、そういった強みを持って行っていることがあるでしょうから、そういったものは取り上げて今後に生かしていくようにしていくことがいいだろうと思います。それから、他県にも好事例、施設入所の好事例というのもあるので、そうした事例を聞くことがヒアリングや部会の検討の参考になる。今日、松上理事長さんに来ていてだいてお話しいただくのはまさにこのことになると思います。 それから、支援員はその職にプライドと自信を持って、利用者を支援者にとっての問題行動といわれるカテゴリーにまとめるのではなく、また、そういうところに落とし込むのではなくて、利用者一人ひとりの人生を送れるように働いている支援員の存在、日々努力している支援員の存在というのは認識していますよということがあります。 3ページ目に行きまして、神奈川県としての地域生活基盤の福祉サービスのあり方検討ということで、ちょっと時間が長くなっているので端折りますけれども、ここで部会に与えられた課題、柱があるのですけれども、実は施設入所支援の検討というのは、地域基盤があって、あるいは地域医療があって様々なそういった連携があって生活がなされていく。それが施設という基盤におくか、地域という基盤におくかというところは、それぞれの人のいろいろな状況に応じて決まってくるものでしょうけれども、少なくとも地域基盤というものが整っているということが非常に大事なことになっているので、そこは整理していかなければいけない。ここで行う作業というのは、与えられたテーマ、プラスこの地域生活基盤というものも頭に置いていくこと、このことは実はかながわ憲章の指針に基づく、新たな神奈川県の福祉サービスの検討に当たるのではないかなと思っております。 最後にヒアリングに入っていくわけですけれども、ヒアリング関連で出された意見の中に、ネガティブな要因のチェックというのは出てくるでしょうから、それを検証へ、それからストレングスを持っている内容というのは向上へ向けてと、そういうところを見落とさないようにしていく。それから施設の仕組みが、虐待を作っていたり、行動障がいを起こさせている場合があるのだということで、施設の仕組みというところ、システムといいますか、そういうものも明確にしていかなければいけない。それから他の御発言の中に、記録されているものは調査できる。記録に残っていないものは表に現れてこない、だけれども、これが重要な部分ではないか、その重要な部分をどうやって出していただくかというと、我々部会員と施設の方々との間に、信頼関係と言いますか、そういうものがなければ出てこない。ヒアリングでただ質問をしているということでは出てこない。部会員は真摯に施設職員に対応し、誠実な対話によってはじめて聞き取りができていくのではないか、そういうような御発言もあって、これは我々のヒアリングに当たって、出向く上での姿勢みたいなもの、そういうことの発言が出たと思います。 ということで、前回の2時間の会議の中で、私が印象に残って取り上げた主だった内容としては、こういうことです。具体的に細かいことは、参考資料1で事務局が丁寧に詳しく記録を整理してくれているので、それを御覧ください。今、私が述べた中で、それは違うだろうということについて、一応議事録を読み込みながら、これは大切だというところを拾ったつもりでおりますけれども、何か御意見ありますか。 よろしいですか。ありがとうございます。そういうことを踏まえてですね、今日の議題に入っていきたいと思います。 もう一つ重要なこと、今後のヒアリングの進め方というのを事務局の方から、まだ概要になっているので、皆さんがそうかということにはなりそうもない、まだ詰められていないような気がしますけれども、説明をお願いします。 (事務局:高橋障害サービス課長) 冒頭、部会長の方からお話がありました、県の2施設についての記者発表について簡単に御報告させていただきます。まず、愛名やまゆり園に対する立ち入り調査についてですが、9月3日に記者発表させていただいております。匿名で愛名やまゆり園入所者男性に対する虐待の恐れのある事案について情報提供があり、県は事実確認のために現地に立ち入り調査をしたところです。情報提供のあった入所者は、自傷を防止するためにミトン型の手袋を付けているなどを確認しています。今後は、確認した事項が不適切な支援に該当しないか、関係市町村と連携を図りながら引き続き調査をしていくこととしています。 続きまして、県立中井やまゆり園のホームページへの個人情報の誤記載についてです。園のホームページで公表した平成31年度の事業概要に、当時入所されていた方12名の入院状況に関する個人情報を誤って掲載しまったという事案です。9月3日に外部の方から個人情報が掲載されているとのメールが届きまして、直ちに削除したというところでして、御家族、後見人の方にも御説明、謝罪したところです。 (小川部会長) それでは資料1−2の今後の検証の進め方について報告をお願いします。 (事務局:鳥井利用者支援検証担当課長) 〔資料1−2に基づき「今後の検証、ヒアリングの進め方」について説明〕 (小川部会長) それでは日程とか、部会員のどなたがどちらに行くということまではまだ決まっていませんけれども、詰めてくださっていると思いますし、御希望というか、ある程度こちらの方でできるだけ、私とか副部会長が入りまして決定をしていけたらスムーズかなと思っております。 それから、実際に訪問ということが非常に困難というような事態がでた場合には、リモートの方法とか別の手段も考えておかないと、こういう時節、コロナ禍の下ですので、そういうことも含めて考えていきたいと思っております。基本的には訪問でいきますけれども、10人で集まってということにはできないでしょうし、先方も大変でしょうし、その辺のところの調整が適当かと思います。この資料1−2は、とりあえず抽象的ですけれども、何か御意見ありますでしょうか。 (大塚委員) 部会長が論点要約で、この部会の目的が県立障害者支援施設の支援やマネジメントの検証ということで、支援のあり方とか、その管理の問題ということで、幹部職員や支援職員という方をヒアリング対象者としております。これは納得するのですけれども、題材が利用者目線の支援推進検討部会ということを考えると、利用者さんを中心に考える場、あるいは利用者主体、本人中心に考える中において、本人抜きに、支援者、幹部職員に聞いただけでいいのか、根本的に問題があると思います。本人自身へのヒアリングが必要かどうかということを検討していかなければいけないと思います。 (佐藤委員) 今日のところは具体的なスケジュールや割振りが決まっているわけではなく、今後検討していかれると思っていますが、ヒアリングの一般的なルール、これを確認しておきたいと思うのですけれども、ヒアリングに行った方によって、ヒアリング内容が違うということではいけませんから、ヒアリング項目については、部会である程度まとまったものを作ってヒアリングに行くということは当然の前提になろうかと思っています。それからその項目について、事前に施設側にお伝えするのかしないのかということが重要ですが、今回の場合には事前に伝えないという形でおやりになるということだと理解しています。なので、部会で項目を決めて、日にちはお伝えしないと準備できないですからお伝えするのですけれども、こういうことを聞きますよということは事前にお伝えしないで、直接行ってお聞きをするということ、そういう形のヒアリングの形態をとるのが一般的だと思っていますので、まずそこを確認したいと思います。 事前に部会の委員が個別に施設に行って、何かやり取りをするということはあり得ない話だということも、同時に確認をしておきたい。もし、事前にそういうことがあったとするならば、これはヒアリングにならないということをまず確認しておきたいというふうに思います。 (小川部会長) 佐藤委員の御発言の内容については、いずれの施設に行っても、まず共通の質問事項というのは、たたき台は作られているわけで。 (佐藤委員) 施設によって質問事項は変わってよいと思います。虐待が報告されているところと、そうでないところでは質問事項は当然異なると思いますけれども、ただ部会として一致した質問事項というものを認識した上で行ってヒアリングするということが必要で、これは一般的なルールだと思うんですね。どこでやっても、そういうヒアリングの仕方をすると思いますので、まずはそれを確認しておくということです。 (小川部会長) 分かりました。それは了解しました。いずれヒアリングしてきて、部会でそれぞれ報告して集計して、縦横見ていくわけですから、それについては質問事項、もちろん施設の種別によっては違う質問が出てくるかもしれない。例えば、身体障がいを中心とした施設においては、こういうことを加えて質問しようとかそういうことは出てくるかと思うのですけれども、共通の部分というのがあると思うので、そこは作っていくと。もう下案はできているので、皆さんでそれを叩く時間は。 (佐藤委員) 部会として動くということですね。委員が個人的に、委員それぞれ質問事項が違うということもあるかと思いますが。 (小川部会長) それは共通のものがあって、それで、委員はそれぞれ委員が思ってきた、例えば冨田委員であれば冨田委員自分の御経験だとか、野口委員であれば野口委員自分の御経験も含めての質問というのはあるわけじゃないですか。 (佐藤委員) これは公式のヒアリングなので、あくまでも部会として動くということが必要だと思います。なので、当然事務局側も記録を取るために同席をするということも必要だと思います。 (小川部会長) それも当然です。 (佐藤委員) これはもう一般的なヒアリングのルールだと思いますので、このルールをまずは確認しておいていただきたいと思います。 (小川部会長) それは了解しました。一定の共通の質問をする。事務局は記録等いろいろありますので、それは付きますということ。それで共通の質問をして終わりということではなく、それぞれの御経験だとか、御専門だとかの分野から御質問を先方に出すことがあるでしょうから、それはそれで大いに時間の許す限り、出していくということでよろしいのではないかと思います。それでよろしいですね。 事務局の方でもそのおつもりだということ、佐藤委員が心配になっているところのようです、みんなバラバラになってしまうということを。どうですか。 (事務局:鳥井利用者支援検証担当課長) 今お話頂いたとおりだと思います。そのとおり進めさせていただきます。 (小川部会長) もう一つ、大塚委員の方から、利用者の方へのヒアリングというのはどうかという、逆に言えば、すべきじゃないかということですけれども。それは例としては、100人入所していたとするならば、その100人にという意味なのか、それとも施設の方で支援員の方と同席してアシスタントしてもらいながら、お話ができるような方を見ていただいて、その方を介してお話の場を設ける。こちらが大勢で圧迫するようなことになったら、その状況自体が悪いということになってしまいますので、こちらの方のメンバーが、例えば5人いたとしたら5人そろってやるのか、施設の方でその方の緊張度とかリラックス度によって、3人だけでやろうかとか、現実的にはそういう利用者の方に聞く。みんな集まってなのか、非常に形式的なものになってしまうから、ちゃんとお話で感情を出していただけるような方で,アシスタントがついてもよろしいので、そういう方にお話を聞くというのを設定するというのが現実的かなと思うのですけれども、どうでしょうか。 (大塚委員) 方法はいろいろあって、私は今のところ県立施設あるいは指定管理の施設についての、障がいの方たちのそれぞれの障がいの態様であるとか、どのような状態にあるとかということは困難なので、そこはどのようなやり方がいいというのは言えませんけれども。一般的には少なくともヒアリングということでありますので、幹部職員や支援職員同様にご本人の御意見あるいは意向、あるいはお話。それぞれの態様によって違うかも知れませんが、その話を聞くということが大切だと。それについての選択だとかはお任せしますが、その事実が大切だと思います。そうでないと、この部会はもたない、そもそも。利用者目線と言っていて、何を言っているのだと、それにきちんと答えるべきだと思います。 (小川部会長) 分かりました。それぞれ施設の事情はあると思うけれども、我々はそこを利用している方のお話をお聞きするということで、お選びいただく作業を先方にお願いして、環境と対話をする人の条件とかそういうことがあればお教えいただいて、どういう方がということではなく、どなたかそこに入居している方に聞くということに意味があるのだろうと理解したのですけれども、そういう設定を検討していただけますでしょうか。時間的にもいろいろ考えた方がよいと思います。長時間でお疲れになったりすることもあるので。したがってそういう設定を、ここには幹部職員、支援職員というふうになっているが、利用者の方にお話を聞くということを入れて検討をしていただけますでしょうか。したがって、我々部会員もこの中で、専門職だとか現場経験者だとか親の立場とかご本人の立場とか切り分けてヒアリングに対応するということも、非常に区別的なので、全部会員が手分けをして、施設を訪問してお話を聞くというふうに進めていきたいと思います。よろしいでしょうか。 (大塚委員) 今後の検証ということで、ヒアリング中心の進め方ということでお話をいただきました。ヒアリング、いろいろなやり方がありますけれども、一定の認識をきちんとこの部会で決めていくということは確認されました。それについて、事前の接触等などによる打合せみたいなものはあり得ないことだと思っていますので、それをどう考えるかということ。まさかとは思っていますが。 もう一つは、それぞれの施設などにおける、持っているデータの保全ということを考えていただきたいと思います。これからいろいろな支援の状態という記録などについての調査、検証になるわけですけれども、それが果たして本当にもともとのデータとして持っていたものか、あるいはあえて不必要だとか不適切なものは処分したとかいうことのないように、きちんとした保全の下に持っているデータをきちんと明らかにしていただいて検証をすると。それをきちんとこの部会でも確認していただきたいと思います。 (小川部会長) これは当然のことなので、そういった改ざんをしたような国会のあれではないですけれども、改ざんをしたような書類を出されても困るので、その辺のことについては、既に全部の施設に対して、直接、県の職員の方々が実際の書類に全部目を通されていたり、整理をされたりしているので、むしろ改ざんするまでもなく、県の方が事前に全部の書類を、6施設見てきていると思うのですが、改めてそういうことがないようにしていると理解してよいでしょうか。 (事務局:鳥井利用者支援検証担当課長) 部会長がおっしゃったように、当然のことと思っております。施設側とももうそういう話はしてあります。 (佐藤委員) 部会員全員でということにあえて反対はいたしませんけれども、津久井と中井と愛名、これは虐待事案が報告されている、あるいはその疑いが報告されているところになりますので、そこの3施設については、学識経験者というふうに分類される委員が中心になってヒアリングを行うべきだという意見を個人的には持っています。 (小川部会長) 学識経験者であるべきだという理由のところをちょっといいですか。 (佐藤委員) 施設との利害関係というものが全くない人の方がいいと思うので、学識経験者だとそこはないと思いますので、何がどこでどうつながっているかよく分からないところがありますので、学識経験者が行って、真摯にやってお話を伺うということがよろしかろうと思っております。 (小川部会長) 利害関係というのはなんでしょうか。 (佐藤委員) 皆さん現場の方は、神奈川県の方なので、どこでどういうふうに、どんなふうにつながっていらっしゃるのかよく分からないと思いますので、全くの第三者が行ったほうがいいでしょうという、そういう趣旨です。 (小川部会長) 結果的にそういうふうになるかもしれないけれども、利害関係があろうがなかろうが、ヒアリングをして結論を出していく上での基準とか測りとかは、そういった利害で動かされる、つまり答えが変わってくるというものであってはいけないと思うのですよね。 (佐藤委員) 私は法律家ですので、実績の内容よりも形式的な適正性、これを担保しなければいけないと思っています。そこが欠けると、ヒアリング全体の適正性あるいは公平性というものを外部から疑われると思いますので、ここは学識経験者でやった方がいいと思っております。 (小川部会長) ということは、ご本人とか御家族の立場になると利害関係が出てくるということになりませんでしょうか。 (佐藤委員) それはそうは言っていません。学識経験者といっても、ここにいらっしゃる方々たくさんいろいろな分野の方がいらっしゃいますので、そういうところについての目配り、これはできるかなと思っております。 もっとも実際にできるかどうかというのは、人数が限られていますから、実際にスケジュールを組んでいったらどうなるかというのはまた別問題ですけれども、基本的な考え方としては今のような考え方を取っているということです。 (小川部会長) 利害関係をどこまで利害関係というか。できるだけ10人の部会員が客観的な立場で、あるいは中立の立場でこの部会を進めていくことで、県のこれからのあり様というのを検討しようとしているので、この人は利害関係があるから駄目、学識経験者というのも定義が難しいですが、学識経験者は利害がないからオッケーだというところの仕切りというのもなかなか難しいです。 基本的には先ほど県の方でも下案を作成したり、基本資料が動かないように、十分基本の資料を収集してくれたりして、できるだけ、どなたが行っても客観的な質問をして客観的にデータを見るということができるようには最低限してくれていると思うのですね。 検証委員会の3人の先生方がやってきた津久井やまゆり園については、それが途中で、文書の書類のチェックのところで終わっているということが現実ありますよね。ですから、そういうことはヒアリングのところまで持っていって完遂するということもあったので、そういう点では、検証委員の先生方がそこをヒアリングしていくということは、いいと思うんですね、当然その流れの中で。でも絶対に利害関係があるというと、全ての施設から排除しなければいけないというようなことになってしまうというところ、そうするとやっていけない。やはり皆さんが理性を持って客観的にヒアリングをしていくという、いろいろなお立場があったとしても客観的に聞き取りをして、これからのことを考えた答えを出していくということが必要かと思います。 (佐藤委員) 具体的にどういうスケジューリングで、どういう割振りをしていくかということは、これから事務局と調整が進んでいくのだろうと思いますけれども、基本的な考え方を今、私としては述べたということです。 (小川部会長) 基本的な考え方は分かりました。実際に組んでいくときに少し動きがあるかもしれませんけれども、それはそこでまた意見交換をするということにしたいと思います。御意見は分かりました。 (伊部委員) 前回、第1回の資料2でスケジュールが出ているのですが、今の御説明で9月、10月若しくは10月から12月ということでヒアリング、さらに利用者にもということになりますと、前回の資料2で御提示になったこのスケジュールでは厳しいものもあるのではないか。特に第4回の日程をどこに入れていくかというのも、これに拘らず若干11月、12月に動かすなりするという工夫も御検討されてもよろしいのではないかと。必ずしも第1回の資料2に縛られず再検討されてもよろしいのではないかと感じた次第です。 (小川部会長) 事務局の方もオッケーですかね。若干のずれはやむを得ないというよりも、それくらいのフレキシブルさを持っていないと回らないと思いますので、それは参考にしてまたスケジューリングをしていきたいと思います。 それでは、今の議論も非常に重要な核となることなので、大分時間を取ってしまいましたが、大切な視点なので時間を取らせていただきました。 いよいよ利用者目線の支援とはという2番目の議題に入っていきたいと思います。他地域における利用者目線の支援事例ということで、非常に私、資料を見させてもらって、たくさんの示唆を受けました。皆さんもお読みにはなったかもしれませんが、実際に理事長の方からお話を伺うとより一層クリアになるかと思います。1時間というお約束をしていたので、いま16時50分になっておりますので、この次の意思決定支援の取組というものを取りこぼす可能性があります。先ほどスケジュールのことも出ましたけれども、場合によっては皆さんの了解を得て部会の回数を挟み込ませていただいて、どちらも大切で時間も取らなければならないことのですけれども、今日は遠くから来ていただいて、様々なスライドを用意してくださって分かりやすくお話しいただくこともあるので、これに1時間を取りたいと思いますので、よろしくお願いします。したがって若干議題も残すことも御了解いただきたいと思います。 それでは、北摂杉の子会の理事長、松上さんより報告をいただいて、1時間ということですけれども、ぜひ部会員の方もご質問とか意見もお述べになりたいと思いますので、30分でやっていただいて、30分質疑ということで。その中でまた言い足りなかったり、映し足りないものをまた見せてもらうということで。よろしくお願いします。 (松上理事長) それでは、私から御報告させていただきます。多くの「行動的課題」のある利用者と書きましたが、これは、私が今、強度行動障害支援者養成研修のプログラムとテキスト開発に関わっていて、委員の皆が「強度行動障害」という名前を変えたいというのが、ずっとありまして、あえて、私は「行動的課題」と、これが適切かどうかは分かりませんが、そういうテーマで入れさせてもらいました。 〔スライド2〕 皆さん御存知のように、行動障がいのある人たちは、障害者虐待防止法が施行されてからも、被虐待者のうち3割くらいが強度行動障害のある人という現状が続いている。それに対して、強度行動障害支援者養成研修という国の標準的な研修の仕組みができましたが、まだまだ、特に自閉症の障がい特性の理解が進んでいない現状があるということです。 私たち、公器としての社会福祉法人・事業所は、行動障がいのある人たちに適切な支援を提供して、行動障がいの改善というのはプロセスの話で、私自身は、その人たちが社会の中で、生き生きと暮らせる、それが最終の目的だというふうに考えて支援をしております。   〔スライド3、4〕 30年前の話ですが、私が1989年の9月、38歳で、京北やまぐにの郷の施設長に就任しました。前任の施設長は、普通科の高校の校長先生を退職して、施設長になったのですが、あまりにも、利用者が示す様々な行動的な課題に向き合って、もうやれないと。3か月で辞めるということで、それで私が行くことになった。私が初めて、生活施設の中で様々な行動的課題を示す人たちと出会ったんですね。 ある人は顔面を叩いて、網膜剥離を起こして失明状態になった、ある人は自分の歯を抜くという自傷行為があった。ある人はトイレから出てきたら、便だらけになっている。あるお嬢様の妹さんに噛みつきに行く、そして、お父さんがそれを阻止しようと防波堤になって、噛まれるまま過ごされていて、全身、歯形だらけで、抗生物質を飲みながら対応されているという悲惨な状況がありました。私自身は施設長として、利用者のそういう状況を見ながら、何とか人間らしい暮らしを支援したい、そういうふうに思いました。それは施設長としての責任だと思いました。 当時、先行研究で、飯田雅子先生の行動障がいのある人たちの支援についての研究論文が出ていましたし、それは非常に参考にさせていただきました。それから、アメリカのノースカロライナ州の自閉症への支援システム、TEACCHというのがあるのですが、その理念と支援のアプローチというのも非常に参考にさせていただきました。 〔スライド5〜7〕 そこで、50人の施設でしたが、やっぱり50人の集団の暮らしというのは、いくらなんでも多いと。それで、まず10人ごとのユニットにして、それから日中活動がほとんどなかった。あったのですが、1日中、散歩したり、ランニングしたりして、エネルギーを出したらいいみたいな感じだった。そうではなくて、やっぱり日中の活動というか、その人がいろいろなところで役割を持って過ごせる、そういうのを入れようということにした。職員の皆さんも、なかなか自閉症の特性の理解もできてなかった、これも課題だなと思った。赴任してすぐに挑戦しています。 広場にみんな50人集まって、それで、「施設長、どうぞ朝のあいさつを」と職員が言ったんです。私は「やめます」と言ったんです。「意味のある支援をしましょう」と。自閉症はコミュニケーションの障がいでしょう。こっちが言っている意味が分からない、朝礼という意味が分からない、いつ終わるか分からない。それでそういう利用者を集めて、施設長あいさつというのは、意味がない。それで意味のない支援はやめようということで、朝礼をすぐやめて、朝のミーティングといって、生活ユニットごとに、本人の一人ひとりのコミュニケーションの理解のレベルに合わせて、できるだけ本人が分かるように、1日の役割などを伝えていこうというような取組をしてきた。 そういうことで、日中活動も充実しましたし、ユニットの暮らしにしました。それで職員は各生活ユニット、各日中活動ごとの担当制にしました。毎日決まった職員が支援する。そういうことが重要である。皆さんもそうでしょう。お母さんが体温計を使わなくても、子どもに熱があることが分かる。なぜでしょうか。毎日見ているからです。毎日、トイレに行って、おしっこの状態を見て、体調はどうかなと。毎日、見ているからです。そういう環境をやっぱり作っていこうということで、完全担当制にしました。生活の担当と日中活動の担当、できるだけ統一した支援をしようと。連携を作ろうということで、そういうシステムを作っていきました。 当時、そういう重い行動的な課題のある人達を、職員26人くらいで見ていました。私が行ったときは、お風呂も2日に1回くらいでした。毎日お風呂を入れようと。若い人達が汗をかいて、お風呂に入らないと眠れないです。そういう環境だから、行動障がいを誘発しているわけで。私も入浴の介助に入りました。提案したから。そういう普通の暮らしを作ろうということで、例えば、食事の時間は8時でしたが、それを7時半にしましたし、夜も6時に夕食の提供をしました。普通の暮らしにしていくことが重要で、そういうようにしました。それは資料を見てください。   〔スライド8、9〕 そうすると、1年で、行動的課題がある人たちの利用前というか、こういうシステムに変える前に行動障がいの状態を評価しましたが、1年後に本当に行動的な課題が減ってきたんですね。お手元にそのへんの論文はお渡ししていますので、またお読みいただきたいと思います。   〔スライド10〕 私がその中で学んだことは、やっぱり、一人ひとり自立的に役割を持って、それから見通しを持って、朝起きたときに何をするのか分かる、私たちもそうですよね。朝起きたときに見通しがなかったら、生きる意欲もないですよね。理解者がいないというのも辛いですよね。役割があるということは大事ですよね。だから、食事も「私は食べる人」ではなくて、みんな配膳の準備から、重い知的障がいで行動障がいがある人であっても、やかんだけ運ぶとか、そういう役割をどんどん作っていくというようなことをしてきました。   〔スライド11、12〕 その中で、私はやっぱり社会参加ということをすごく大事にしてきました。どんなに重い障がいがあっても、です。それで、施設の近くにアメリカンミニチュアホースがいる牧場がありました。西村さんという牧場のオーナーが、12月に馬車に乗ってサンタクロースになって、プレゼントを積んで慰問に来たいとおっしゃった。そのとき、私は「ありがたいです。だけども、仕事をください」と言いました。彼らに、今大事なのは仕事ですと。そしたら、よくできたオーナーで、本能寺の檀家総代をしていましたし、人格者で、1月から来てくださいという話になったんですね。それで、みんなでグループ就労ですよね。牧場でこういうことを始めました。   〔スライド13、14〕 すごく自閉症の人には分かりやすい仕事で、例えば、右にあるのは「馬房掃除」と言いますが、汚れたおがくずを全部きれいにして、新しいものを撒くだけです。ものすごく分かりやすい。こういう仕事をしてきました。 半年くらい経って、夏くらいかな、西村さんのところで食事して、一緒にお酒を飲んでいたら、オーナーが「松上さん、実はね、来てくださいと言ったけど、えらいことになったなと思ったと。始めたときに、スコップは投げるは、床に倒れ込むは、一輪車をひっくり返すわ。えらいこと言ったなって。大変なことになるなって正直思った。だけど、半年経って、彼らがいないとうちの仕事は成り立たない。」と。役に立っているというような実績を出してくれた。 障がいのある人のディーセント・ワークの研究を慶応義塾大学の中島先生とか、埼玉県立大学の朝日先生と御一緒にしたんですね。それで、私はこのようにまとめたのですけど。特にその中で、みんな大事ですが、その中で、「働けない」ことを「障がいの問題」にしないこと。この人は重いから働けないとかではなくて、その人の強みを活かして、働くことのできる環境を考え支援をしていくのが、支援者の仕事だと思っています。   〔スライド15、16〕 こういうような実践を、次に私が、やまぐにの郷から新しい法人の、北摂杉の子会の常務理事で、この萩の杜の施設長として移ったときに、同じように職住分離ですよね。施設は暮らす場、働く活動場所は社会に求める。社会参加ですよね。私たちもそうでしょう。家から通勤して仕事する、そういう仕組みができたのと、ユニットケアですよね。小さいグループで普通の暮らしを支援していこうと。そういうようなことを入れていったということです。 この萩の杜は、障害者支援施設ですが、障害支援区分は、平均5.8です。重度障害支援加算の対象が40名という施設です。そこで、同じような実践の取組を20数年してきています。   〔スライド17〕 この入所施設の特徴と課題についてまとめました。この生活の場で、利用者が一緒に住んで、日常生活の支援を提供する、24時間365日切れ目のない、途切れのない支援をする。ただ、施設内で支援が完結しやすい、外部の目が入りにくいんですね。施設のやり方、ルールが強調されやすい。利用者中心の支援ということが薄らいでしまう。家庭的な雰囲気はあるけれど、虐待というのは、わりと身近な環境で起こるんですよね。だから、家庭的になったりすると、結構そういうことが起こってきたりするんですよね。 ある理事長さんが、グループホームの話をしました。「松上さん、うちはまだまだダメよ。グループホームの世話人さんが、利用者が寝ているところを、男子の支援員が跨いでいった。跨ぐって、どういうこと?まだまだなんだよ。」と、理事長さん、ショックを受けて。だけど、よくあるんですよ。家庭で、息子さんが寝ていて、親が跨いでいく。それは家族だから。だけど、グループホームは、支援員と利用者は家族ではないんですよ。職業的な人間関係ですよ。だけど、ややもすると、それは、普通に行われます。そこが、やっぱりすごく大きな課題だなと思っていますし、なかなか情報の共有が難しいなというところもあります。   〔スライド18〕 うちの法人の職員が、他の法人、事業所に対するコンサルテーションをしているんです。特に、行動障がいのある人の支援についての人材の育成のために、結構、全国でニーズがあって行っています。 そのときに、やっぱり、問題、課題というのは、アセスメントが弱いんですね。一人ひとりの障がい特性、強みをちゃんとアセスメントする、それも本人と環境との関係で。やっぱり、障がいは、障がいの特性と環境との相互関係を踏まえる、そういう視点でアセスメントする力が非常にまだまだ弱い。だから、いろんな利用者の行動的課題が解決されないのではないかなというふうに思っています。   〔スライド19〕 だから、私たちは「氷山モデル」と言って、強度行動障害支援者養成研修では「基本のキ」なのですが、行動的な問題ばかり着目して、本当はその行動が起こっている背景にある要因、それは見えない、海中にあるんですよ。そこを見ていくということ。それと、海水というのは環境なんですね。要は、塩分が濃くなれば氷山が浮き上がるから、問題行動がもっと見えてくるんですね。 塩分が少なくなると沈んでいきますから、行動的な課題は見えなくなってくる。そういう環境と行動との関係なんですね。そこをちゃんと見ていく視点というのが、非常に重要ですが、そこがなかなか支援の現場では弱い、見られていないということがあります。   〔スライド20、21〕 一人の事例を示しますけれど、Aさん。すぐ服を脱いで、よく裸になってしまいます。服を着るようにお願いしても服を着てくれない。服を着ない状態が続く。そうすると、だんだん見慣れてくるんです。当たり前になってくるんです、そういう環境がね。だから、Aさんは裸が好き、裸になりたくて服を着ないと。それは、支援の不足を利用者の責任にしてしまっているということですよね。裸でウロウロしていたら、すぐに通報されますよね。こういうところですね、やっぱり根拠に基づいて、エビデンスベースで支援していくというところで、行動改善が行われるということです。これはすごくシンプルな行動的な問題です。こういうのは、簡単に解決するんです。 要は、Aさんが汗をかくと裸になる。皮膚感覚が敏感なので、汗で服が濡れたら、そういう感覚が嫌で服を脱いでしまう。そしたら、障がい特性とか環境に配慮して、ガウンのような通気性の良い衣類を提供したらどうか、汗をかきやすいタイミングで着替えるように支援したらいい。風呂上がりなんかは、通気性の良い衣類で過ごすというアプローチに変えていくと、普通に服を着て過ごすことができる。非常にシンプルです、これは。このくらいのことはできないと駄目です。   〔スライド22、23〕 グループホームは、今4箇所あります。1つは「レジデンスなさはら」で、強度行動障害のある方たちに特化した地域生活支援をするところです。レジデンスなさはらは、3棟あります。7名、7名、6名で、それぞれ7名でもユニットに分けています。合計20名で、平均の障害支援区分は5.9です。でも、外部での日中活動にも参加する、ガイドヘルパーを活用して余暇活動をされる暮らしをされている。 「レジデンスなさはら もとまち」というのを、昨年開設しました。これは、7名、7名の14名です。平均障害支援区分は5.6です。   〔スライド24〕 グループホームの特徴と取組についてまとめてみましたが、ここに書かれてあるように、小人数の暮らしというのは、すごく刺激の少ない環境なので、行動的な課題がある人たちには適した環境だなと。うちの職員たちはみんな言っていますが、グループホームの支援を通して、「行動障がいのある人たちはグループホームで暮らす方がいい」、施設という環境は、行動障がいを非常に誘発しやすい、ものすごく刺激が多い環境だから。最近はもっと進みました。「やっぱり一人暮らしがいい」、そういう話をしています。新しいグループホームは、一人暮らしの環境を作っています。だんだん職員の意識も変化していった。 だけど、グループホームというのは、ほとんどパートの世話人さんが支援しているということになりますから、なかなか対応の統一が難しいところがあります。利点としては、いろいろな外部のサービスを使うことができます。例えば、私どもは、訪問看護ステーションを昨年開設しましたが、そういう医療と連携した支援が受けられるのが良さなんです。しかし、なかなか対応の統一が難しいので、ミーティングをしたりしています。環境については、一人ひとり合わせたオーダーメイドの環境、居室、例えば、聴覚過敏の方は防音の壁にするというような取組をしてきています。   〔スライド25〕 Iさんですが、診断に書かれているような、主に知的障がいがあって、自閉症で、強度行動障害で、多動性障がいとか、診断は医者がしてくれているんですが。 コミュニケーションも「ご飯食べます」とか普段使用している単語の理解はあって、ひらがなの理解もあります。 この方は、要は、自分の予定というのを周りにいる人を手掛かりにして、理解して、生活しているんです。しんどいですよ。絶えず人の動きを見ながら動いているので。そうすると、その手掛かりにしている人が自分の思いとは違う、期待していた、思っていたのと違うことをすると、攻撃していくというようなことになったんですね。   〔スライド26、27〕 そういうことから、一人暮らし、一人の居室にしていきました。そうすると、安定した暮らしができるんですね。 本人は、人の動きを見ないで、スライド27にあるようなスケジュールを手掛かりにして生活しています。テレビをずっと見られていて、時計は分からないのですが、NHKを見られています。「この番組の時にこれをする」みたいに手掛かりにしているんですね。文字、ひらがなは分かるので、ひらがなで、このときはこういうことをすると伝える。そしたら、人を手掛かりにしないで、こういうスケジュールを手掛かりにして活動できるような状況になりました。   〔スライド28〕 人に依頼するというのは大事なことですね。チャイムを押したら、ちゃんと食事が出て、サポートするよというような、そういう支援をしていて、非常に落ち着いた暮らしをされています。   〔スライド29〕 まとめで書いてありますように、入所前のアセスメントをしっかりして、その利用者の障がい特性や強みを理解する。その上で、こういう環境を提供をしようよ、こういう支援をしようよというようなことを、十分に計画を立てて支援するようにしています。 これは行動障がいの評価の比較ですが、家庭で暮らしていた人が多いんですね。その人たちがグループホームを利用されて、そういう環境で支援を受けると、家庭での行動障がいの点数にかなり改善が見られているということです。結果として出ています。   〔スライド30、31〕 やっぱり、意思決定支援は重要で、特にコミュニケーション、表現性コミュニケーションの支援が重要です。自分から相手に伝えることができないことで、かなりストレスになって、行動的な課題が誘発されることが多いので、私たちは今、そこに力を入れています。 やはり、意思決定支援の基本は権利擁護だろうと。特に、分かりやすい情報を受ける権利とか自己決定とか自己選択を受ける権利とか、こういうことが特に重要だなというふうに思っていますし、私たち北摂杉の子会は、「利用者支援のコア・バリュー」を示していて、これに基づいて支援をしています。   〔スライド32〜38〕 私は、選択決定できる環境がないと駄目、様々な経験の支援が必要、それからコミュニケーションの支援、特に表現性コミュニケーションの支援、それから、障がいのある人はライフイベントが私たちと比べて非常に少ないんですね。ですから、一人ひとりのライフイベントをどう作るか、ということも重要な支援課題かなと思っています。 こういうふうに、日常の中で選択できる環境をどうやって作るかということですね。例えば、よく誤解されるのですが、スケジュールは本人の行動をコントロールするためではなくて、これを手掛かりに、選択できるものをどんどん入れていくんですね。「この時間帯、何をしますか」とか、「何がしたいですか」とか。これはノースカロライナのGHAという法人のスケジュールの支援ですが、スケジュールを自分で決めるんですね。こうならないといけないですね。それから、休憩時間、何をして過ごすかも自分で選ぶんですね。こういうことが意思決定支援です。そういう環境を、経験を、日常の支援の中にどれだけ落とし込んでいくかという、ここが、大事ですね。社会参加していくということも非常に大事です。   〔スライド39〜43〕 この方は、私の法人以外の入所施設におられましたが、利用者の目を突くというこだわりがあって、目を突いて失明させて、それでやめてくださいということで、うちが受け止めて、今、グループホームでこんなに豊かに暮らしておられます。   〔スライド44〜50〕 最後に、コミュニケーションの支援について話します。私どもで今、「PECS」というのを使っています。「絵カード交換式コミュニケーションシステム」と言いますが、支援のフェイズがTからYまで、ずっと並んでいますが、重い知的障がいのある成人の自閉症の方でも、フェイズWまでは簡単にいきます。「〇〇ください」という文を構成して、文章で要求することができます。 この方は20年間の入所施設の暮らしの中で、そういうことができなかった。できなかったのでなく、私たちが支援しなかったからなんですけどね。これを見ていただきたい。 [映像] 要求がだいぶ増えてきたんですよ。今、5つ、6つくらいの要求カードを選んで、「〇〇ください」とできる。このときは、自分から自発的に支援者がいる部屋に行って、「おやつをください」という要求をするんですね。「〇〇ください」、ちゃんと渡す、こういうことなんです。コミュニケーションの意味が分かったんです。伝えたら、してくれるというやり取りが分かってきたんです。それと言葉が出るようになった。「ください」と言葉が出るようになった。今までなかったんです。 [映像]   私はですね、これで終わりますが、本当に反省しました。 彼は、20年間施設にいて、そういうコミュニケーションの支援を私たちは提供しないから、夏の暑いとき、お茶を飲みたかったと思うんですよ。今だったら、「お茶ください」と言える。だけど、このときは言えないですよ。暑いとき、のどが渇いても。そういう環境に私たちが強いていた。私たちの支援は何だったのだろう、申し訳ない。 やっぱり彼が、ちゃんと自分で表現し相手に伝える、そのことを真剣になって支援していくということ、それをすることが大事。反省の上に立って、そういう支援を今後も続けていきたいというふうに思っています。 あとのところは、また目を通していただければと思います。資料もつけていますので、御理解いただけると思います。 ありがとうございました。 (小川部会長) ありがとうございました。貴重なお話をいただいて。駆け足だったのでもっともっとゆっくり聞きたかったし、それから別資料で、組織のことも法人のことも書いてあるパワーポイントなども配布されていると思いますし、発達障害研究のものも法人組織の問題について、どのようにしていくかというヒントが書かれていますので、じっくり読んでいただきたいと思います。 それから、質問の時間帯にしたいのですが、最初に冨田委員と野口委員にお話しを聞いた感想みたいなものを、お話の最初にはミニチュアホースのお世話の話が出てきたり、次には強度行動障害がある方のグループホームのことが出てきたり、コミュニケーションのいろんなやり方が出てきたり、今、言葉が出るようになったというような話が出てきました。何かそういうのを見て、感じたことを話していただければと思います。 (冨田委員) 自分は障がい者の施設で作業をしていまして、周りに自閉症の方が結構います。一番職員さんが困っているんですよ、現状に対しての対処の仕方をね。自分は他の仕事もいろいろとやっているので、なかなかそこの場所に行けないと、彼が大声を出すんです。それか気に入った職員がいないと。で、なんでも僕なんかにあたってしまうんですよ。それはまあ仕方ないなと思って、その場合は常に冷静に彼が機嫌よくなるのを待っているんですよ。そうすると後半、話しかけて来るんですよ、いろいろとちょっと面白いことを。僕としかその会話がないと職員から聞いたので、それは僕ちょっとびっくりしました。 それでやっぱり、自閉症の方というのは、長い目で見てあげないといけないと思うんですよ。お二人いるんですね自閉症の人。その彼らも最初は「おもて!」なんて言っていたんですね。僕と話しているとき。それをずっと自分は「表にいきましょうね。」ということを伝えて行ったら言えるようになったんですよ、2人とも。だからね、絶対諦めてはいけないんですよ。で、よく怒りたくなるかもしれませんけれども、そこはもう冷静に、自分達が話す時は冷静に話したほうがいいと思います。そうするとだんだんと伝わってくるんですよ。これ不思議なものなんですよね。 僕は必ずコミュニケーションとっています。自閉症の方と毎朝。で困る時もあるんですよね。自分が出かけるときとかに声をかけて来るから。これは仕方ないと思うんですよ。なので常に自閉症の方達とは前向きに関わっています。 (小川部会長) 冨田委員の話を聞いて、対支援者と本人の関係というのも非常に大切なのだけれども、例えば生活介護を使っていたりとか、グループホームでもいいけれども、その利用者間、あいだの関係、それはいろいろとレベルが違うから、難しいことはあるけれども、そこでの刺激というのもいろいろとあるんじゃないかなと、まとめて言うとそういうことだと思いますね。利用者間の刺激のし合いとか、あるいは、ちょっと、配慮できる方がいたら、それをうまくサポートしてあげたりする、そういうお話をされたのでよかったでしょうか。 (冨田委員) だけど、ちょっと重い方が多いですね。 (松上理事長) 本人の責任じゃなくて、それは私、支援者の責任だと思うんですよ。そこは支援者でしょう。 (冨田委員) 確かに。支援者が困ることありますものね。 (松上理事長) 支援者が困っているんじゃなくで、本人が困っている。一番困っているのは本人です。 (冨田委員) そうそうそう。大声出すので、仲間によく言うんですよ。「彼、こういうこと言えないからじゃない?」と。暑いとか言えないから。 (小川委員) そこをうまく、グループホームにしても、施設にしても、何人かの方が毎日生活していく上で、支援者の方がどういうふうに取り持つ、取り持つというかどういうふうにその辺の調整をしていくか、目利きが大事ですよね。 (野口委員) うちの息子も自閉症なのですが、今30代で、自閉症だと診断されたのが6歳ですけれども、当初10歳くらいまで言葉とかはなかったのですけれども、ただ、障がいの診断をしてくださったお医者さんに障がいの特徴というのを一応説明いただいて、私なりに、具体的にあまりよく障がいのことが分からない中でも、コミュニケーションが難しいとかそういうことの中で、本人にいろんな体験をさせてやろうと思っていました。それが本当に良かったのは、最初に3年保育の幼稚園に入った、その時はまだ障がいとは分かっていなかった時に3年保育の幼稚園に行きました、それから有り難いことに、小学校、中学校と地元の学校で、それも学校の籍は母学級にあって、途中から支援級というのにも入りましたけれども、ずっと卒業までみんなと一緒に色々な生活をするという、そういうことでとても良かったなと思います。 それで小学校の時も、本人ラッキーだったなと思うのは、いろんな問題行動がありましたけれども、いろんな子がいるのだからということで受入れていただき、それで、私自身も、こういう障がいがある、コミュニケーションが難しいとかそういうことがあるんだということを、周りの方に情報発信をしましたし、それから放課後、その時はまだ制度とかはなかったのですが、放課後の活動とかも本人もいろいろと大変だった部分があったと思います、皆にだんだん付いていけなくなるということもあって、だけど大変なことがある半面、非常に理解してくださる、一緒になってやってくださる方もいるというのを、ずっと経験してきました。 姉たちもよく同じように、私もそんなに障がいのことは詳しくなくて、勉強もしていなくて、ただ、普通の生活の中でどうやっていこうかとやってきました。それで、本当に心がけたのは、いろんな体験をさせようと、その中で成長してもらいたい、それで彼の生活が一人勝手なところがあるので独立は、将来、一人暮らしができるようなシステムができるまでは難しいと思っていたのですけれども、実はグループホームの体験を重ねて昨年からグループホームで生活をしています。それで本当にスムーズに楽しそうにやっているので、そういうことがとっても良かったと思っています。 (小川委員) 親、家族との関係、例えば施設あるいはグループホームで暮らすとか、活動とかがある時とか、それからアセスメントをして良くなってきたとき、フィードバックしていきたいと思います。それぞれの親御さん、親とは限らないかもしれませんけれども、家族との関係についてはどのようにされたのでしょうか。 (松上理事長) 家族との関係はものすごく重要です。理解していただくという、だから、いろんな形でお子さんのことを通して、もちろん支援計画を立てるときの説明ですとか、特に支援の優先順位が決まるときにご家族のニーズというのをものすごく大事にしている。特に通所の施設の場合は。それぞれの御家庭の価値観てありますよね、家族観。例えばある御家庭は、やっぱり家族というのはそれぞれ役割を持って助けあっていくのが家族だと、またある御家庭はですね、楽しい体験を共に共有することが大事だと思っておられる。家族の役割を大切にされている御家庭の場合は、例えば食器の片付けをするとか、洗い物をするというのを施設の中で本人の役割とするとですね、家に帰ると自閉症の方は同じ役割を絶対にするんですよ。覚えたことは。そしたら「いやぁこの子ね、家に帰って片付けしてくれる。」とかそういうふうに家族の一員として認められます。また、同じ経験・体験を共有することが大切だと思われている御家庭で、御家族が「いつもレストランに行っても、先にご飯食べたら、すぐに出て行こうとするんですよ。困っているんです。だから一緒にご飯食べられない、レストランに行けないんです。」と言ったら、ちゃんと終わるまで待つということを支援すると、家族としても、一緒に体験できるようになったねと言う。だからやっぱり支援の優先順位を決めるというとき、家族のニーズ、本人のニーズがまずベースですけれども、そこを大事にします。本人のニーズがあって、そのうえ家族の一員としてやっぱり暮らしていってほしいから、そんなことを思います。 (野澤委員) 松上さん、どうもありがとうございました。この検討部会とこの前の津久井やまゆり園検証委員会ですけれども、そのような施設の支援のあり方について調べようということでやってきました。とりあえず記録から上がってきた、身体拘束が一杯出てきてですね、もっと記録にないものをやらなければいけないのですけれども、固いところで身体拘束、でもこれは大変な重大な問題だと思ってやっています。ただ福祉の中の人も外の人も行政もかもしれませんけれども、施設に行ってなんで身体拘束があるんだと、「いや、障がい者達から職員が暴力振るわれてひどいんです」、「こんな大変なんです」と言われて、それで同情する、「それではまあ、しょうがないね」みたいなことで終わっているんですね、でそれで良いのかと思って。誰が誘発しているのか、何が誘発しているのだということに着目しないで、本人のせいばかりにしている。それ自体がすごく問題があると思います。今日の松上さんのお話を聞いていると、まさに、その辺のことを言っていただいていると思うのですけれど。 それに対して、それだけじゃないんですと。指定管理になって正職員が減って、パートさんも増えてきてだから難しいですと言われる。ただ、松上さんのところは民間でもっと人が少ないはずですし、でもパートさんであれだけのことをやっているわけですよね。で、そう言うと、それはごく一部でしょうとか、一般のところではなかなかできませんよと、何を問いてもそういう理屈になってきて現状の追認になってくるのですね。 では、本当にごく一部なのか、他のところではできないのか、松上さんのところほどちゃんとやっているところはそんなにないかもしれませんけれども、あちこちで改善に取り組んで成果が上がっているところを私は知っているのですけれども、そういうふうにはできないものかどうなのかというところをお聞きしたいのですけれども。   (松上理事長) 今、私は全日本自閉症支援者協会の会長をしていて、厚労省の推進事業で、強度行動障害の人達を支援する人材の養成をどうするかという研究をやっています。厚労省の方とお話する中で、一つはコンサルテーションのアプローチというのがすごく有効だねということになっているんですね。私どもの法人も外部でコンサルテーションをして、四国の入所施設で、そこはもともと県立の施設だったんですけれども、民営化して、ある法人が受けたんですけれども、やっぱり、支援力の問題があって、十数人夜間自室に閉じ込めていたという大きな問題があってですね。それで行政から、「松上さん、虐待ゼロ推進委員会を作るから、委員に入ってください。」と言われて、その時に、「いや、それよりも支援者の養成の方が先じゃないの。」ということで、それで私ども法人から月1回1泊2日でコンサルテーションに入ったんです。それで、1年ぐらいで拘束ゼロになりました。それがやっぱり、日々の支援をどういうふうに振り返っていくか、その積み上げなのです。多くがそういう感じですね、うちにコンサルテーション入ってくれというところは。身体拘束があって、でどうにかしようということで入っています。やっぱり、身体拘束、行動制限の問題というのは、大きな課題だし、それは虐待だし、支援においてどういうふうにしたら、そうことがなくて暮らせるようになるかということは、やっぱり、支援を振り返りながら、それもエビデンスベースで、支援することが重要です。 (大塚委員) 松上理事長、素晴らしいお話をありがとうございます。松上さんの施設自身が社会福祉法人北摂杉の子会という民間の施設でいらっしゃいます。多分発達障害者支援センターの方も作りながら、少ないスタッフで全体のコンサルテーションをしながら、そして今、お話の中で全国のコンサルテーションをしているということで、民間施設であるけれども非常に高い専門性を持ち必要とされている。一方において府内には混合コロニーもあるし、強度行動障害については砂川の施設も有名ですよね。そことの役割分担もありますけれども、一体全体、民間社会福祉法人が専門性を持つということ、そして、全国的なニーズがあるということと、公立施設というのはどんな役割があって、公立施設は民間施設に比べれば、様々な形で専門性があったり、人材が豊かであったり、資金も投入されていると。だけれども今の実態においては、民間社会福祉法人のほうが全然上じゃないかという見解もあるわけですよね。どういうふうにお考えですか。民間社会福祉法人だから松上さんの実践ができたのでしょうか。そのときの公立施設は、今回のテーマですけれども、どうお考えでしょうか。 (松上理事長) 私もそういう事業団のところにも、職員研修に入ったりしていました。そしたら、ある事業団の施設ですが、特にプログラムのない余暇時間にいろんな行動的な問題が起こるから、部屋に鍵をかけて、就寝時間まで、みんなでリビングで過ごしているんです。それも椅子が壁に打ち付けてあるんですよ。なんで?と聞いたら、「椅子を投げつけるから。」と。「ひどいよ。」ということで私も入って支援したら、がらっと変わりましたね。すごく普通のリビングになり、暮らしが豊かになった。だからできるのですけれども、組織としてどのように取り組むかというところがすごく重要で、やっぱり明確な理念を持ってですね、ミッションを持ってですね、常に職員をそのベクトルに合わせて、養成していくというようなそういう仕組みを作らないと。やっぱり組織として取り組むという、で現場を支えるということ。人が育つ、人の成長が組織の成長につながるのですから、そういう視点を組織として持たないとなかなか難しいなと思います。大阪なんかも、砂川厚生福祉センターも頑張ってやっているのですけれども、要は医療モデルなんですよ。行動障がいの方を集めて行動改善をどうするか。そうじゃなくて、今、暮らしている環境の中でどのように豊かに暮らせるかという社会モデルの視点で支援しないと、やっぱりうまくいかない。地域移行ができない。そこに限界を私は感じています。 (大塚委員) ありがとうございます。松上さんは発達障害学会のこの資料2−3に、人材養成の在り方  ということで、社会福祉法人の組織ということをたくさん書いていただいて、民間社会福祉法人だからこれらのことができるということはなお理由がある、反対に公立施設はそのように取り組むことに困難があると。まあ、いろいろな条件があってですね、本当は条件があっても様々なことに取り組むことができるのだけれども、実際そうできないシステムだとか、そういうものがあるのではないかなと、そうことを物語っているように思います。まあ、それは打破していかければならないと思います。以上です。 (佐藤委員) 会場の中の方々は、必ずしも福祉の畑の方ばかりとは限らないと思いますので、あえて、極端な質問をしますけれども、松上さんのところは、今、映像では意思決定支援ということで、それぞれの個人に応じた支援に取り組んでいるということですが、例えば、松上さんのところは居室施錠なんてあるのですかね。あるいはミトンをつけることなんてあるのかという話なのですが。ないとすればどうしてなくて済むのかという非常に分かりやすい質問なのですが、そこのあたりを教えていただければと思います。 (松上理事長) 難しいですね。大事なことは行動障がいを誘発させない支援というのをまず、前提としないと、というかまずありますよね。そのために過ごしやすい環境をどう作るか、一人ひとりの障がい特性とかを理解して環境を提供するというようなことも大事だと思っています。また、本当に行動障がいが激しくなるということもあるんですね。そのときは私たちの支援の限界で、そういうときは、病院と連携して、やっぱり地域での暮らしを支えるという視点で、病院と連携する、一時的にですね。なぜそういうことが起こったのかということが、施設という環境は刺激が多いから、何が原因でそういうことが起こっているか分からないことがあるんですね。そうすると1回、病院というシンプルな環境で問題行動を誘発している要因の特定をしながら、それからこちら側の職員も病院に通いながら、日中活動も組み立てながら、それで安定してきたら、もう1回、グループホームの暮らしに戻すというか、だから施設とか福祉だけで抱え込むというのは良くなくて、やっぱり連携するような、医療連携ですね。最近は国立病院でこの間もシンポジウムをしましたけれども、強度行動障害支援者養成研修に医療職も受講できるようになりました。今年度からね。そういうような抱え込まないようにするということですね、そういうことも一つ大事な視点かなと思っています。 (佐藤委員) 居室施錠なんかはない? (松上理事長) そうですね。だけど、佐藤先生もよく御存じだと思いますが、うちも虐待事案があるんですよ。TVの取材が入ったときに、一人の職員が不適切な利用者対応をしたんですが、全部公表したんですよ。 (佐藤委員) TVで取り上げさせていただきましたけれども、不適切な支援があったときに、施設全体で考えるという姿勢を、管理職も職員の皆さんも持っておられるというところがあって、虐待といえば虐待なのですけれども、それを契機として、そのご本人さんの適切な支援に向けて皆さんで考えていらっしゃるという姿勢が見えたケースなんだと思いますけどね。 (松上理事長) 隠したらだめですよね、隠したらね。 (中島委員) 松上理事長、ありがとうございました。私も自閉症の支援に特化した事業所を相模原で、松上さんの方の施設の数年後ですけれども、取組をそこで始めさせていただいています。一番大きな違いは、国の方針転換というところで、やはり相模原の自閉症の親の会の皆さん達が行政に働きかけて、法人認可されたのですが、国は入所施設を積極的に作らないという方針転換をして、通所でよければというところで、法人認可を得てスタートしています。待っていた方達の多くは、行動障がいのすごく大変な方達でした。開設当初は送迎に出た職員が毎日のように血を流して帰ってくるような状況がございました。何とかできるという自信はあるのですが、施設を利用し始めたからその時点で全てが解消するということではないんです。解決に導く自信はあるのですが、やはり少しずつ少しずつ、様々な行動上の困難さも、職員が関わりながら信頼関係を構築する中で、徐々に薄まっていったということもありました。 それと、もう一つはそういったバックアップの体制が不十分な中でも、グループホームもかなり早い段階で作ったのですが、そのきっかけとなったのが、強度行動障害レベルのかなり激しい自傷のある方で、片方の目を早くに失明されて、もうひとつの方の目も大変激しい自傷が続いているような状況だったので、そのときには、どういう支援があるのかということを本当に悩みましたが、物理的な制約をしないで、特定した職員が徹底的に関わり続けることで、本人との信頼が芽生えていき、そういう不適切な行動も少しずつ減ってきたという経緯がありました。 それで、その方の困難さをなんとかしたいという思いから、24時間しっかり関わってみたいという思いになりまして、その方を入れたグループホームを作りました。時間はかかりましたけれども、今は支障のない形で過ごすことができるようになっています。 ただ、通所中心で仕事をしていると、やはりグループホーム1つあるくらいでは、なかなか地域生活を安定して支えるということはできません。私どもは短期入所もやっているのですが、日中活動をベースでやっていると、365日、毎日利用者を支援するのがなかなか難しくて、そういう意味で、津久井やまゆり園等の施設入所支援の短期入所を利用しながら、なんとか地域生活を支えてきました。家族が長期に入院しなければならないとか、そういうことになりますと、自分のところの短期入所だけではカバー仕切れませんので、やはり365日の仕組みを持っている、施設入所の支援等と連携していかないと、なかなか地域生活がうまくいかない。そういう意味で、津久井やまゆり園との関係というのは、私どもにとって重要な支えとなっていたなというふうに思っております。 (伊部委員) 医療連携というお話をされていらっしゃいましたが、この医療というのは精神科医療という意味なのでしょうか、それとも、もっと広い意味での医療と深い連携があるということなのでしょうか。おそらく、神奈川でも地域生活移行を総体として進めていくときには、こうした課題があるのではないかというふうに認識しておりまして、そのあたり簡単で結構ですので、教えていただければと思っています。 (松上理事長) もちろん、医療連携と言ったときに、精神科だけではなくて、健康診断もそうですし、日常の病院での受け入れとかですね、そういうことが非常に重要です。なかなかね、なかなか理解してもらえなくて、白内障の手術でも術後の管理も大事ですし、胃カメラ飲んだら管を噛み切ってしまったりとか、だから全般的な病院との連携が重要となります。そういうところで言うと、医療のサイドから、こういう行動障がいの理解や支援を始めようという動きが出てきていることは、光だなというふうに思います。この間もシンポジウムに出たのですけれども、これからの課題だというふうに思っています。 (安藤委員) 施設が弱いところとか、陥りやすいところをよしとせずに一人ひとりに合わせていろんな取組をされているというお話を聞いて本当に参考になりました。ありがとうございました。それでコミュニケーションとか、活動の内容とか、それから意思決定支援、これからこの部会の中で各施設に確認したり聞いてみたいことについて、少しお話を聞きながら、整理ができたように思います。一つだけお聞きしたいのですが、グループホームの実践で、どうしてもグループホームというのは非常勤の方が多いと思います。非常勤の方は様々なお考えの方がいらっしゃいますので、一定の水準を保つためには、どんな配慮をされているのか、取組をされているのか、先ほどコンサルテーションという話もありましたけれども、その辺についてもう1回教えていただければと思います。 (松上理事長) まず、グループホームを開設する前に、半年くらい前から職員を雇います。日中活動の事業所へ行って、担当する利用者支援にも入ってもらって、その人のことを知ってもらって、対応についても理解していただけるようにサポートします。今、いろんなことをしていますけれども、1週間に1回は中心になる職員の何々塾というので色々勉強したりとか、それからマニュアル作りですね。それも本人の状態が変われば変わるのですけれども、この時にこういうふうに対応しましょうという、一人ひとりに応じた支援マニュアルがあって、それをベースに支援してきました。 離職率でいうと、この行動障がいの人たちのグループホームの離職率が一番低いんです。これは面白いなと思って、皆50、60歳台の女性の方とかなんですよね、面白いですね、私もちょっと何故なのかなと思うのですけれども、かなり丁寧な教育訓練というか、ミーティングも含めて、それは積み上げてやっています。 (小川部会長) 堀越副部会長さん、1回目は御事情で来られなかったので、声を出してもらいたいのですが、医療の話が出たので、MSWの立場から。時々親御さんが、施設は医療があるからとか、そういう言葉を使われたりしますけれど、結局、皆さん、地域の医療機関にかかっているんですよね。結局、地域の医療がきちんとしているということはものすごく重要なことで、完結なんかしていないんですよね。ですから、やっぱりこれからの発展というか、地域生活に移行するにせよ、地域の医療というのが非常に重要となってくると思うのですけれども、何か感想などありますでしょうか。 (堀越副部会長) 松上理事長ありがとうございました。非常に興味深く聞かせていただきました。2つあって、一つは医療の連携ということですけれども、やはり松上さんがおっしゃった、ご本人が示す様々な行動とか反応とかの背景にあるものは何だろうかと探索していくときに、身体的なコンディションというのを絶対考えなければいけないと思うんですね。これは精神障がいのある方とか認知症の方でも同じで、そのときに医者が、医療の側がどれくらい丁寧に、日常生活とか家庭生活とかを聞き取ってくれるかとか、診てくれるか、想像してくれるかということが結構大事で、そこを一刀両断に問題ないとか、何とかってやられちゃうと、もうそこで支援がストップしちゃうということが結構あるかなと思うので、そういう意味で医療の充実、地域生活の基盤を支えるという役割が絶対あるのにというふうに思いました。 それから、もう一つは、強度行動障害をお持ちの、行動的な障がいの課題が大きい人のグループホームの職員さんの離職率が低いというのは、最近、私も、難病の重い障がいを持っていらっしゃる病棟のナースの方が離職率は高いのかと思ったら、ある病院で逆だということがあるということを聞いたところで、何故だろうと考えていました。その大変な障がいを持っている人だから、もう見られない、だから公立施設にお願いするしかないという感じの今まで論理だったとすると、預けられた公立の施設だとか、預けられた施設というのは、大変な人を抱えざるを得ない、最初からストレスベースでスタートする、それがきっと人材育成のところの仕組みとか、組織をあげての職員を支える仕組みだとか、やっぱり虐待はシステムで起きるけれども、逆にその虐待がなくなることですごくシステムが進むと思うので、ストレスがチャレンジになっていく、そのきっかけというか転換点というか、それをどう作るかということなのかなというふうにお話を伺って思っていて、だから、新しい神奈川モデルというスローガンはいいけれども、具体的に何なのかと言ったらそこかというふうに、人材育成のところは避けて通れないなというふうに思いました。 (野澤委員) 確認だけなのですけれど、よくこういうところで参考のために回していくとね、ああいう事例は進んだところにはあるよねと、あれはあれ、これはこれと済ませてしまうことがよくあるんですよね。でも今日、松上さんに来てもらってお話ししてもらったということは、やっぱりこの内容を今後のヒアリングの我々のスタンダードにすることでいいのかという確認をしたいんです。 これは小川部会長が今日まとめて冒頭に説明してくれた、この資料1と殆ど符合することになる、なので我々はこれを土台として、特に強度行動障害への対処だとか身体拘束に対する考え方というのは、今日の松上さんのこのお話、それから部会長のまとめてくれた資料1とをベースにして、これからヒアリングするということでよろしいですか。 (小川部会長) 是非、そのようにお願いしたいと思います。特に異論のある内容ではないというふうに思うんですね。もう定刻を過ぎており、本当はしゃべってはいけないのですがしゃべりたくなるんですけれども、やっぱりお話を受けたことの中に、今日議題にのせられなかった、意思決定支援の取組というのは時間がないのでしないのだけれども、身体拘束の問題というのは、結局、日々の積み上げ、意思決定支援というのは、どれだけきちんとしていけているかということによって、身体拘束がゼロに向かっていくという。そこには人材育成というものには絶えず、どちらかというと、OJTではないけどコンサルテーションというものが必要なんだということが話されていて、それ以外にもたくさんキーワードになることがお話されたので、議事録の方から、私、あとで拾って整理したいと思うんですけれども、今後のヒアリング、それからこの部会のまとめの中で、松上理事長さんのお話の中のキーワードというのは、全然、我々の向かっていくところと矛盾しないと思うので、それをきちんと組み込んで作っていけたらいいかなというふうに思っております。 時間がまいりましたので、議題を残しましたが、また日程等事務局にお世話になりますけれども、その辺を調整するということで、議題2(2)は、なしということにさせていただきます。それではこの部会は終わりまして事務局からお願いします。 (事務局:足立原意思決定支援担当部長) 閉会のあいさつ