4章 これからのくらしを考えよう  1 環境を守る  (1)水を大切に使おう  わたしたちの家庭のなかだけでなく,工業や農業にも使われている水のほとんどは,川から取っています。川の取水ぜきなどから取られた水は,じょう水場できれいにされ,安心して使える水道の水になります。  川の上流では,水をかくほするため,ダムが建設されています。ダムの建設はたいへん大きな工事なので,国や県をはじめ,横浜市,川崎市,横須賀市が共同で仕事を進めてきました。また,ダムの建設で湖になったところに住んでいた人たちは,ほかの地域にうつり住まなくてはなりませんでした。多くの人の協力で水道の水がつくられることに感謝し,水道の水をつくる仕事の大切さを考えてみましょう。  (2)使った水はどこへ  わたしたちが食器をあらった水やトイレで流した水は,下水処理場できれいにして自然に返しています。下水道は,きれいな川,湖,海を守ります。 また,雨の時に,道路などがしん水しないように,雨を街から排除する役割もあります。 水環境やわたしたちの生活を守るため,県と市町村では協力して下水道を整備しています。  (3)ごみはどこへ  家庭や会社,工場などから,毎日たくさんのごみが出ています。集められたごみのうち,もえるごみはごみ処理場でもやされますが,かん,ペットボトル,紙パック,びん,古新聞,古ざっしなどは,分けて集められ,ふたたび,しげんとしてリサイクルされています。 [容器包装リサイクル法によるしげんのリサイクル] 「金属」は対象品目であるスチール缶とアルミ缶に選別・圧縮され,主にスチール缶は製鉄原料に,アルミ缶はアルミ原料になります。 「ガラス」は対象品目である無色,茶色,その他の色に選別され,主に無色と茶色のものはガラスびん原料に,その他の色のものは建築資材になります。 「紙」は対象品目である紙パック,段ボール,その他紙製容器包装に選別・圧縮され,主に紙パックと段ボールは再生紙に,その他紙製容器包装は建築資材になります。 「プラスチック」はペットボトルとその他プラスチック製容器包装に選別・圧縮され,主にペットボトルは繊維,シート,ペットボトルに,その他プラスチック製容器包装はプラスチック原材料,高炉還元剤,化学原料になります。 [県内の状況]  2000年度(平成12年度)から2021年度(令和3年度)までの分別収集量の伸び率は,その他プラスチック製容器包装が最大となっています。  これは,生産量の増加や市町村による分別収集の取組が進んだことによるものです。 [容器包装廃棄物の品目別分別収集量(県内)] (2000年度,2021年度の順) スチール缶  29,225t(トン),10,092t アルミ缶  8,921t,14,619t 無色ガラス  30,718t,23,995t 茶色ガラス  19,182t,14,116t その他ガラス  12,934t,29,605t 紙パック  932t,1,068t 段ボール  25,448t,54,937t その他紙製容器包装  1,105t,5,172t ペットボトル  8,703t,32,862t その他プラスチック製容器包装 3,490t,116,707t  ごみになってしまう物を,再利用したり,ふたたび原料として活用したりすることによって,ごみの量をへらし,かぎりあるしげんを節約することができます。  ごみをへらしてきれいなまちにするために,わたしたちはごみの分別のルールなどを守り,物を大切に使い,しげん回収を手伝いましょう。また,環境に良い商品を選ぶようにしましょう。 [県内の一般廃棄物(ごみ)の状況] はい出量 (再生処分量,減量化量(もやす等の中間処理によりへらされた量),再生利用量,合計,1人1日あたりはい出量の順) 2000年度 60万t(15%),277万t(71%),56万t(14%),393万t,1268g 2012年度 28万t(9%),202万t(66%),76万t(25%),306万t,923g 2014年度 24万t(8%),197万t(66%),76万t(26%),297万t,894g 2016年度 24万t(8%),195万t(67%),72万t(25%),291万t,872g 2021年度 22万t(8%),186万t(67%),68万t(28%),276万t,818g  2021年度(令和3年度)に県内で排出されたごみは276万トンで,県民1日1人あたりでは818グラムでした。  両方とも2000年度(平成12年度)をピークにへり続けています。 地球温暖化をふせごう  わたしたちは,家庭や学校などで,毎日たくさんのエネルギーを使っています。たとえば,教室で電気をつけるとき,家でテレビを見るとき,車が走るとき,ごみをもやしたりするときにもエネルギーは必要です。  しかし,わたしたち人間がエネルギーを使いすぎることで,石油などがもやされ,たくさんの二酸化炭素が発生し,地球があたたかくなりすぎる,地球温暖化が進んでいます。このまま地球が温暖化していくと,異常気象がふえたり,動物や植物がぜつめつしたり,農作物がとれなくなったりすると言われています。  地球はわたしたち人間だけのものではありません。地球温暖化をふせぎ,みんなが安心してくらせるよう,しげんを大切に使い,ごみをよけいに出さない生活を心がけましょう。  (4)エネルギーを大切に使おう  県内には,県企業庁などによる水力発電所や,民間企業による火力発電所があります。火力発電所で必要な石油や,天然ガスなどの燃料のほとんどは,外国から輸入しています。  こうしたエネルギーの原料の多くは,サウジアラビアなどの中東,マレーシアなどの東南アジア,オーストラリアなどのさまざまな地域から輸入されています。  地球上のしげんにはかぎりがあります。わたしたちは,電気やガスを大切に使うよう心がけていかなければなりません。  また,これからは太陽の光を利用した「太陽光発電」,風の力を利用した「風力発電」,農業用水の力などを利用した「小水力発電」など,環境にやさしい自然エネルギーの利用を進めていくことが必要です。 [日本の電源別発電電力量] (2021年度) (資源エネルギー庁より作成) 原子力  708億kWh(キロワットアワー) 天然ガス  3,558億kWh 石油等  767億kWh 石炭  3,202億kWh 水力  776億kWh 新エネルギー等 1,317億kWh  神奈川県では,県内で使う電力は,できるだけ県内で作って使うことを目指しています。  そのため,太陽光を中心とした自然エネルギーなどによる発電をふやしていく「創エネ」,電力を使う量をへらす「省エネ」,電力をためてむだのない使い方をする「蓄エネ」の3つの取り組みを,県民や市町村,企業などと協力して進めています。  2030年度(令和12年度)には,太陽光発電をふくめた再生可能エネルギー全体で,今の2倍以上の270kw以上の導入を目標にしています。 [神奈川県内の太陽光発電の導入量] (県産業労働局調) (住宅用,住宅以外,合計の順) 2011年度 16.2万kW(キロワット),4.2万kW 20.4万kW 2012年度 23.3万kW,12.3万kW 35.6万kW 2013年度 29.4万kW,33.0万kW 62.4万kW 2014年度 34.3万kW,43.5万kW 77.8万kW 2020年度 51.1万kW,45.9万kW 97.0万kW 2021年度 54.7万kW,48.0万kW 102.7万kW ※(住宅用,住宅以外ともに)その年度までに導入された量の合計です。 環境にやさしい電気自動車たち  電池にじゅう電した電気を使って走る電気自動車や,水素を燃料として走る燃料電池自動車は,はい気ガスが出ないため,空気をよごさず環境にやさしい車です。また,電池にためた電気や,水素を使って発電した電気を取り出して使うことができるので,災害や停電の時に活やくすることが期待されています。 [県内の電気自動車の台数のうつりかわり]  (県産業労働局調)  (2009年度,2022年度の順)  電気自動車 254台 21,205台  (5)自然を大切にしよう  神奈川県には,すばらしい風景や温泉で知られる箱根,ブナ林が残っており,カモシカなどが住んでいる丹沢など,ゆたかな自然があります。自然は,生き物の住みかであり,人々の心のよりどころであり,いこいの場としてもなくてはならないものです。  しかし人口が増え,開発が進むにつれて,自然はだんだん少なくなってきました。  一度失われた自然は回復が大変むずかしく,しかもむやみに開発をしてしまうと,がけくずれや川のはんらんなどの災害の原因にもなります。  ゆたかな自然は,わたしたちが祖先から受けついだ財産で,これを大事に守り続けることは,わたしたちの大切なつとめです。  県では,道路や工場など広い面積を開発したりする場合には環境にどのようなえいきょうをあたえるかあらかじめ調べたり,さまざまな動物や植物がいる豊かな自然環境を守り育てる活動を市町村などと一緒に行うなど,大切な自然環境を守るようにつとめています。 また,森林の間ばつなど,水源環境を守るためのさまざまな活動を,県民のみなさんからいただいた特別な税金(「水源環境保全税」とよんでいます。)を使って,市町村や相模川の上流にあたる山梨県などと協力して行っています。  (6)身のまわりの公害をふせごう  昔は,大気(空気)や水のよごれは,自然のしくみによってきれいになっていました。ところが,住宅がふえ,工場などが多くなると,よごれはどんどんひどくなり,自然の力だけではきれいにすることができなくなってしまいました。  例えば,自動車のはい気ガスなどにより大気がよごれると,わたしたちの健康に悪いえいきょうが出たり,農作物が育ちにくくなったりします。また,下水処理されていない水により川や海などがよごれると,魚がすめなくなったり,飲み水を作ることが大変になったりします。このように,人の活動により,大気や水のよごれなどによるひ害が起きることを「公害」といいます。  県では,自動車や工場などから出るはい気ガスや,水のよごれなどをきびしくきせいしています。また,県内の測定点で,大気や水がよごれていないか,かんししています。  公害の苦情件数で多いのは,そう音や大気のよごれによるひ害です。公害は,多くの人々の生活にえいきょうがあるため,さまざまな対策が必要です。 [県内の身のまわりの公害の苦情件数]  (2021年度)  (公害苦情調査)  そう音     1,514件  大気のよごれ    985件  くさいにおい    460件  しん動       249件  水のよごれ     139件  地ばんちん下      2件  土のよごれ       1件  その他        96件  そう音も公害の一つです。そう音は,工場や建設作業,自動車などから出るものです。夜おそくまで開いている店のカラオケやイベント会場での音や人の声などもそう音となることがあります。  さらに,神奈川県では,アメリカ軍基地の航空機のそう音が問題となっています。  そこで県では,夜間の飛行訓練を中止するように求めるなどして航空機のそう音のひ害を少なくし,より良い生活環境になるよう基地の周りの市といっしょに取り組んでいます。  大気や水のよごれなどは,地域や国をこえて地球全体にも広がっています。 わたしたちにとって,地球はかけがえのない星です。わたしたち一人ひとりも,自分たちのくらしを見直し,毎日の生活の中で,環境をよごさないように気をつけましょう。 [県内のそう音の苦情件数](2021年)  (騒音規制法施行状況調査)  建設作業   519件  工場など   507件  深夜営業など 139件  航空機     47件  自動車     23件  鉄道       8件  その他    333件  2 くらしを守る  (1)台風や大雨による災害をふせぐ  台風や大雨のとき,がけくずれや川のはんらんなどの災害が起こることが少なくありません。最近では,短い時間にせまい場所で大雨がふることで,急に川の水がふえることなどが問題になっています。  そのため,県では大雨による被害を減らすために,川だけでなく下水道や森林,まちづくりなどみんなが協力しながら対策を行う「流域治水」という考え方を取り入れています。  こうした中で,県では,県では市町村と協力して河川を改修したり,くずれやすいがけをパトロールしたり,きけんな場所を前もってみんなに知らせておくなど,災害をふせぐ努力をしています。  (2)地しんのひ害をふせぐ  大地しんは,たいへん大きなひ害をもたらします。1995年(平成7年)1月17日に発生した阪神・淡路大しんさいや,2011年(平成23年)3月11日の東日本大しんさいでは,多くのとうとい命が失われました。神奈川県では,大正型関東地しんや,東海地しん,南海トラフ地しん,三浦半島断層群の地しん,都心南部直下地しん,神奈川県西部地しんなど,さまざまな地しんによるひ害が心配されています。  大きな地しんが発生すると,ゆれによって住宅や工場など建物がこわれたり,生活に必要な電気やガス,水道などがとまったりします。また,鉄道やバスなども動かなくなるなど,さまざまなひ害をもたらします。  また,海で大きな地しんがおきると,ゆれによるひ害だけでなく,つ波によるひ害もおきることがあります。さらに,海での地しんは,たとえゆれが小さくても,大きなつ波がくることがあるので,注意しなくてはいけません。  県では,専門家などと協力して,地しんのゆれの大きさや,つ波がどこまで街中などに入りこむか予想した地図を作ったり,「温泉地学研究所」で地しんや火山の研究をすすめ,対策に役立てたりするほか,「総合防災センター」などのしせつを整えるなど,地しんなどの災害によるひ害を少しでもへらすことができるよう,さまざまな取り組みを行っています。  また,市町村や病院,自衛隊などとも協力して大きな訓練を行うなど,災害がおきてもたくさんの人を救うことができる努力をしています。  市町村などでは,ひなん場所などを書いた地図を作ったり,住民や観光客などがすぐにひなん場所へにげられるように道路の表示を工夫したりするなど,地しんがおきた時のためにそなえています。  みなさんも,防災訓練に参加するなどして,地しんやつ波がおきたときに,安全な行動ができるようにしましょう。  また,ほかの地域で大きな災害がおきた時に,どんな形で協力ができるかも考えてみましょう。  (3)火災をふせぐ  火事は家が焼けてしまうだけでなく,人の命までうばうことがあります。県内では,2020年(令和2年)に1,804件の火事が起きて,52人がなくなっています。  火事が起きたとき,ひ害を大きくしないために,市町村では,消防に力をいれています。また,大きな火事のときには,周りの市町村と協力しあって消火の活動をするしくみになっています。 [県内の火災件数と火事の原因](2020年)  (県くらし安全防災局調)  たばこ         223件  こんろ         206件  放火(うたがいふくむ)  352件  その他       1,023件  (4)交通事故をふせぐ  神奈川県内では2022年(令和4年)に2万1千098件の交通事故がおき,113人がなくなりました。  神奈川県は全国の中で4番目に交通事故の多い県となっています。特に,高れい者が事故にまきこまれることが多くなっています。また,毎年たくさんの子どもたちが,歩いているときや,自転車に乗っているときに事故にあっています。  交通事故にあわないようにするためには,みんなで交通ルールを守ることが大切です。 [全国の交通事故発生件数ワースト10](2022年)  (警察庁調)  (順位,都道府県,件数の順)   1位 東京都    30,170件   2位 大阪府    25,509件   3位 愛知県    23,825件   4位 神奈川県   21,098件   5位 福岡県    19,868件   6位 静岡県    18,678件   7位 埼玉県    16,576件   8位 兵庫県    16,372件   9位 千葉県    13,223件  10位 群馬県     9,803件 [県内で歩行中・自転車乗車中に交通事故にあった人の数](2022年)  (県警察本部調)  子ども(中学生以下)   歩いている時       448件   自転車に乗っている時   659件  高れい者(65さい以上)   歩いている時      1,186件   自転車に乗っている時  881件  その他の者   歩いている時      2,236件   自転車に乗っている時  3,666件  (5)犯罪をふせぐ  警察は,みんなの命や財産を守るために,犯罪をふせいだり,犯人のたいほ,交通の取りしまりなどを行っています。  神奈川県には,警察署が54か所,交番・ちゅう在所などが598か所あり,約1万6千人の警察官が働いています[2022年(令和4年)4月]。  最近は,高れい者から電話でお金をだまし取る犯罪や,インターネットを使った犯罪,子どもをねらった犯罪などが発生しています。そのため,警察では,そうさの科学化とスピード化に力を入れています。また,みんなが犯罪のひ害にあわないように防犯ボランティアさんといっしょにパトロールを行うなど,犯罪のないまちづくりに取り組んでいます。 [県内の犯罪の数]  (県警察本部調)  2013年  76,962件  2014年  67,295件  2015年  61,664件  2016年  58,127件  2017年  53,628件  2018年  46,780件  2019年  41,780件  2020年  35,241件  2021年  33,252件 2022年  36,575件  海の安全を守る「海上保安庁」  海上保安庁は,海で事故がおきたときに救助をしたり,パトロールなどで犯罪をとりしまったりしています。  神奈川県にある第三管区海上保安本部は,相模湾や東京湾から,はるか遠くの小笠原諸島まで活動しています。  日本の海は大変広いです。海上保安庁は,警察や消防,自衛隊などと協力しながら,海の安全を守っています。  海できけんなことがあったら118番に連絡しましょう。  3 ともに生きる  (1)高れい者とともに  日本人の平均じゅみょうは,男性は81.05才,女性が87.09才で,世界のトップクラスです〔2022年(令和4年)〕。  高れい者が元気で生きがいをもってくらせるよう,県や市町村では,早く病気を見つけるための健康しんだんや健康でたのしくすごすためのしゅみ,スポーツ・レクリエーション活動や集まりへの参加のよびかけなどを行っています。  また,体が弱くなり,身のまわりの世話が必要となった高れい者のために,食事やホームヘルパーのサービスなどが受けられるしくみをつくったり,しせつを整えたりしています。 [県内の高れい者(65さい以上)の数]  (神奈川県年齢別人口統計調査)  2000年  117万人  2005年  148万人  2010年  181万人  2015年  211万人  2020年  231万人 [県内の身のまわりの世話が必要な高れい者の割合](2020年)  (県福祉子どもみらい局調)  【65〜74さい  身のまわりの世話が必要な高れい者  約4%  そのほかの高れい者        約96%  【75さい以上】  身のまわりの世話が必要な高れい者 約31%  そのほかの高れい者        約69%    高れい者の気持ちを考えよう  高れい者ぎじ体験では,ゴーグルや手ぶくろをつけたり,うでや足におもりやサポーターをつけたりします。これらをつけると,物はみえづらく,つかみにくくなり,うでや足は重く,曲がりにくくなります。このような体験をすると,高れい者の気持ちがよく分かります。みなさんも高れい者の立場にたって考えてみましょう。  (2)子どもたちのために  日本をふくむ世界の国々は,子どもたちにも大人と同じように権利をみとめ,「子どもにとって一番良いこと」は何かを考え,行っていこうという約束をしました。これを「児童の権利に関する条約」(子どもの権利条約)といいます。  子どもたちは,学校へ行ったり,思っていることを言ったりする権利を持っています。また,だれからもいじめられない権利をもっています。  このような子どもたちの権利を守り,こまったときには相談できるように,児童相談所,家庭児童相談室,人権ようご委員,児童委員などがおかれています。  ともに かがやく よろこび   人と違っていてもいい!  自分が考えていることや思っていること,信じていることなどが,人と違っていると,なんだか不安になるときがある。でも,違っていてもいい。正しいと思うことは,勇気をだしてやってみたい。もちろん,ほかの人の考えたことや思っていること,信じていることは,大事にするよ。   差別は ダメ  なにがなんでも差別はダメ!髪の毛,目,肌の色,男女,言葉,生まれや育ち,体が不自由なことなどで,変に思われたり,仲間はずれにされたり,いじめられたりするなんて,あってはならない。みんな,大事にされなくては。 (1996年 神奈川県教育庁教育部義務教育課作成「児童の権利に関する条約」啓発用資料から抜粋)  (3)障がいのある人たちとともに  県内には,さまざまなしえんを必要としている人が数多くいます。たとえば,障がいのある人などにとっては,歩道にあるちょっとした段差などが,ふだんのくらしをしていく上で,さまたげになることもあります。  県や市町村では,全ての人がくらしやすくなるように,住宅や道路,駅などの整備を進めています。   そして,障がいのある人が,地域で働いたり,スポーツをしたりと,みんながいっしょに生活していくことが大切です。  身体などに障がいのある児童や生徒が,一人ひとりに応じた教育を受けることができるよう,小中学校には特別しえん学級があり,特別しえん学校(もう学校,ろう学校,支援学校,養護学校)もあります。   また,県ではすべての子どもが同じ場で共に学び,共に育つインクルーシブ教育を進めています。 [県内の特別支援学級の数]  (2022年)  (県教育委員会調)  小学校 815校  3,258学級      17,172人  中学校 395校  1,241学級      5,954人  補助犬とともに  盲導犬は,目の見えない,見えにくい人といっしょにくらし,外に出かけるときに,安全に歩くためのお手伝いをします。  介助犬は落とした物を拾ったり,指示したものをもってきたり,手や足を動かしにくい人の日常生活をサポートします。  聴導犬は耳の聞こえない,聞こえにくい人に玄関のチャイム音など生活の中で聞こえる様々な音を知らせます。。  こうした犬を補助犬といいます。  補助犬は,特別な訓練をしています。障がいのある人と歩いているところを見かけたら,あたたかく見守ってください。  ともに生きる社会かながわ憲章 私たちは,あたたかい心をもって,すべての人のいのちを大切にします 私たちは,誰もがその人らしく暮らすことのできる地域社会を実現します 私たちは,障がい者の社会への参加を妨げるあらゆる壁,いかなる偏見や差別も排除します 私たちは,この憲章の実現に向けて,県民総ぐるみで取り組みます 平成28年10月14日 神奈川県  この憲章は県と県議会が共同して,策定したものです。  神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例〜ともに生きる社会を目指して〜  「当事者目線の障害福祉」とは,障がい者に関係するすべての人が本人の気持ちになって考え,本人の望みと願いを大事にし,そして,障がい者が自分の気持ちや考えで,必要なサポートを受けながら暮らせる社会をつくることです。  県は令和5年4月1日,この条例をスタートしました。  (4)みんなが幸せにくらすために  すべての人は,人として幸せに生きる権利を平等にもっています。これを人権といいます。思ったことを言えるようにすることや,仲間はずれにしないこと,人の命を大切にすることなどは,わたしたちが守らなければいけない大事なことです。  年をとったり,病気をしたりして働けなくなったときも,安心して生活できるように,年金や生活保護,健康保険などの制度があります。 [県内のいろいろな福ししせつ]  (2023年4月)  (福祉子どもみらい局調)  高れい者のために    3,332か所  からだの不自由な人のために  16か所  母や子のために     2,064か所  また,助けが必要な人を手伝ったり,外国の人たちと仲良くしたりするなどのボランティア活動を行っている人がたくさんいます。「ともに生き,支え合う」社会をつくるために,みんなで考え,助け合うことが大切です。  ボランティア活動  ○目の不自由な人に本を読む活動  神奈川県ライトセンターでは,いろいろな本やさっしを声にだして読んで,CDなどに録音する活動を行っています。目の不自由な人は,CDなどを聞いて,いろいろなじょうほうを知ります。  ○団地住民の交流の場をつくる活動  横浜市にある日野団地のコミュニティールーム「いこいの家」では, さし子やししゅうなどの手芸,各種工作など の集まりを定期的に行い,入居されている方の交流の場をつくっています。  ○韓国・朝鮮の友だちと文化交流する活動  川崎市ふれあい館では,韓国・朝鮮の友だちとたいこ(チャンゴ)を教えています。  たいこのえんそうなどを通して,韓国・朝鮮の文化をしょうかいし,地域での交流を行っています。  (5)神奈川県に住んでいる外国の人とともに  神奈川県には,23万9,301人〔2023年(令和5年)1月〕の外国人が住んでいます。神奈川県民の約39人に1人が日本以外の国せきをもっています。  このような県民の中には,歴史的なつながりから,長い間日本に住んでいる中国や韓国の人々が多くいます。さらに,仕事や勉強のために,ベトナムやネパールなど,アジアの国々から来る人々も増えています。また,戦争からのがれて来た人々もいます。  これらの人々は,言葉や生活の仕方がことなる中でくらしています。県は,日本語を勉強する教室や,生活のことを相談する窓口をつくるなど,市町村や県民と力を合わせて,すべての国の人が生き生きとくらせる社会をつくろうとしています。  県では,国際こうけんの一つとして,開発途上国などから技術を勉強するための研修員を受け入れる活動をおこなっています。  (6)世界の人々と仲良くなろう  わたしたちのくらしは,世界の国々と深く結びついています。発電のために使う石油や,わたしたちが食べるパンの原料となる小麦は,外国から輸入され,また,日本から自動車や電子部品がたくさん輸出されています。  このように,深く結びついた世界の国々とともに,平和にくらしていくためには,世界の人たちと仲良くすることが大切です。そして,おたがいをよく知ることは,平和な世界への第一歩です。  県や市町村は,世界のいろいろな国々の地域や都市と友だちのつながりをつくり,文化やスポーツなどの交流を深めています。 [世界とつながる神奈川]  ○神奈川県や県内の市町村と交流を深めている都市 アメリカ合衆国・メリーランド州:教育やけいざいなどの分野で交流を進めています。 中国・遼寧省:けいざい,青少年,スポーツなどのはば広い分野で交流を進めています。また,ぎじゅつを学びに来る人を受け入れています。 ドイツ・バーデンビュルテンベルク州:けいざいやかんきょうの分野で交流を進めています。 韓国・京畿道:けいざい,青少年,スポーツ,女性などのはば広い分野で交流を進めています。 ウクライナ・オデーサ州:医りょう,文化 の分野を中心に交流を進めています。 マレーシア・ペナン州:けいざい,青少年などのはば広い分野で交流を進めています。また,ぎじゅつを学びに来る人を受け入れています。 スウェーデン・ヴェストラジョータランド県:福しやかんきょうなどの分野で交流を進めています。 オーストラリア・クィーンズランド州 ゴールドコースト市:相模湾沿岸の13市町とともに人と海の共生をめざした交流を進めています。  〜神奈川県の将来〜  これまで,神奈川県の人口はふえ続けていましたが,2021年(令和3年) 以降はへり始めました。今後,子どもたちがへり,高れい者は増えていくと考えられます。  また,人や物の行き来が地域や国境をこえて,ますますさかんになっています。世界のみんなで協力して取り組まなければならない,地球温暖化などの問題もおきています。  これから,人や物のうごき,エネルギーや環境,ぼうさい,産業などをはじめ,医りょうや福し,まちづくりなど,くらしのいろいろな面で,大きな変化がおきてくるでしょう。  このため,県では,一人ひとりのいのちがかがやき,人や物を引きつけるみりょくを持った神奈川県を目指すこととしています。 将来は,みんなが神奈川県をささえる主役になります。一人ひとりが生きている喜びを感じられるような,また,住んでみたい,何度も行ってみたいと思えるような神奈川県をいっしょにつくっていきましょう。  わたしたちの未来のために  2015年9月,国際連合のサミットで,持続可能な社会をつくるための国際的な開発目標(「SDGs(エスディージーズ)」といいます)が取り決められました。わたしたち一人ひとりが様々な社会課題を「自分ごと」として考えて行動することがこの目標を達成するためのなによりの第一歩です。 [SDGs17の目標] 1 貧困をなくそう 2 飢餓をゼロに 3 すべての人に健康と福祉を 4 質の高い教育をみんなに 5 ジェンダー平等を実現しよう 6 安全な水とトイレを世界中に 7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに 8 働きがいも経済成長も 9 産業と技術革新の基盤をつくろう 10 人や国の不平等をなくそう 11 住み続けられるまちづくりを 12 つくる責任つかう責任 13 気候変動に具体的な対策を 14 海の豊かさを守ろう 15 陸の豊かさも守ろう 16 平和と公正をすべての人に 17 パートナーシップで目標を達成しよう  SDGs×神奈川県 [4 質の高い教育をみんなに]  いきいきと子育てすることができ,すべての子どもが安心して育つためのしくみづくりや,一人ひとりの生きる力を高める教育などに取り組み,将来をになう心ゆたかな人を育む神奈川を目指します。 [7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに]  太陽光発電などを増やしたり,エネルギー関連産業を集めるなどして,地域において将来にわたり安全・安心なエネルギーを安定的に確保する神奈川を目指します。   [9 産業と技術革新の基盤をつくろう]  き業が集まっていることや交通もうが発達していることを生かし,競争力の強化や人材の育成などに取り組み,活力あふれる神奈川を目指します。 [3 すべての人に健康と福祉を,5 ジェンダー平等を実現しよう,10 人や国の不平等をなくそう]  年れいや性別,国せき,障がいの有無などにかかわらず,だれもが,ともに生き,ささえあい,自分らしくくらすことができるしくみづくりや,県民が安心できる保健・医りょう体制の整備に取り組み,いのちがかがやき,いきいきと暮らせる神奈川を目指します。 [11 住み続けられるまちづくりを]  地震やつ波をはじめとする大規模災害や,犯罪,交通事故などから県民のいのちを守る対策を強化して,安全で安心してくらせる神奈川を目指します。 [17 パートナーシップで目標を達成しよう]  自然や歴史,文化,豊かな水など様々な地域のみりょくを生かし,き業やNPO,市町村などのいろいろな人たちが協力し合ってにぎわいづくりに取り組み,人を引きつけ,何度も行きたくなるみりょくある神奈川を目指します。