(1ページ) 地域協議会が向き合う障害者等への支援体制に関する課題(地域課題)の実態調査 T 調査概要 1 趣旨 (1) 昨年度は神奈川県障がい福祉計画の改定に向けて、神奈川県障害者自立支援協議会は、神奈川県内の市町村や圏域における障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第89条の3第1項に規定する協議会等(以下、「地域協議会」という。)が向き合っている障害者等への支援体制に関する課題(以下、「地域課題」という。)について、平成29年7月から8月にかけて、県内の地域協議会に調査を行った。その結果として把握した地域課題を、神奈川県障がい福祉計画の改定に向けた審議を行う神奈川県障害者施策審議会(以下、「施策審議会」という。)に報告した。 (2) 今年度は、かながわ障がい者計画の改定に向けた審議を行う施策審議会に地域課題の報告を行う。 昨年度実施した調査は「神奈川県障害福祉計画 平成29年度の成果目標の設定」を観点として実施したものであり、障がい福祉計画より対象が幅広である障がい者計画について、課題が抽出しきれていない分野があることを踏まえ、平成30年3月に改定された障害者基本計画(国。第4次)の体系に沿って地域課題の抽出を行った。 2 調査対象  ・神奈川県内の地域協議会(各市区町村、障害保健福祉圏域) 3 主な調査項目  ・地域課題の内容  ・現状と具体的なニーズ(数字的な根拠)  ・検討状況及び検討内容  ・県協議会での検討が必要な事項 4 調査方法  昨年度抽出した地域課題を障害者基本計画の体系に配列し直した調査結果を参照して、修正、追加等があれば調査票に記入し、電子メールで(圏域についてはナビを通じ)提出を受けた。 (2ページ) 5 スケジュール  ・平成30年6月18日 調査票配布  ・平成30年8月1日 回収  ・平成30年8月15日 調査結果取りまとめ  ・平成30年8月17日 第25回神奈川県障害者自立支援協議会にて審議  ・平成30年8月28日 調査結果を神奈川県障害者施策審議会に報告、地域協議会へ情報提供 U 結果概要 1 回答数   県内の市町村レベルの地域協議会(全24協議会)のうち16協議会が新たに39の地域課題を提出した。   複数の市町で構成される地域協議会は次の3つ   ・二宮町・大磯町障害者自立支援協議会   ・小田原市箱根町真鶴町湯河原町地域障害者自立支援協議会   ・足柄上地区地域自立支援協議会(南足柄市・中井町・大井町・松田町・山北町・開成町)  2 地域課題の概要  3ページ以降の表は、昨年度の調査結果を障害者基本計画(国。第4次)の体系に沿って改めて整理のうえ、今年度提出のあった課題を加えて、地域課題の概要を示したものである。(一部、地域協議会が提出した区分とは別の区分で整理したものもある) (3ページ) ・以下、表の説明 項目 その項目についてあげられた地域課題の数 昨年度 今年度 今年度地域課題としてあげた協議会名 主な地域課題の順に記載 新たに提出された課題は、直後に新規と付記 1 安全・安心な生活環境の整備 (1) 住宅の確保 1 1 厚木市 障がい者が一人暮らしを希望し、賃貸物件を探す際に、障がいを理由に入居を断られてしまうケースがある。 (2) 移動しやすい環境の整備等 3 5 横須賀市、鎌倉市、逗子市、三浦市、寒川町 移動支援を提供できる事業者等が足りていない。 通学の支援について、本来、教育分野が責任を持って実施すべきであるが、移動支援などの福祉分野で対応していることを理由として、スクールバスによる送迎などの支援を縮小もしくは廃止している現状がある。新規 (3) アクセシビリティに配慮した施設、製品等の普及促進 0 0 (4) 障害者に配慮したまちづくりの総合的な推進 2 5 平塚市、鎌倉市、藤沢市、寒川町 地域で生活している方が、障がい当事者がどのようなことで困っているのか等を把握できておらず、どのようなコミュニケーション、支援が必要なのかわからない。 2 情報アクセシビリティの向上及び意思疎通支援の充実 (1) 情報通信における情報アクセシビリティの向上 0 0 (2) 情報提供の充実等 0 0 (3) 意思疎通支援の充実 0 0 (4) 行政情報のアクセシビリティの向上 0 0 3 防災・防犯等の推進 (1) 防災対策の推進 5 7 川崎市、茅ヶ崎市、秦野市、厚木市、座間市、綾瀬市 各関係機関との連携や協力体制の構築及び地域住民との協働が課題である。 (4ページ) (2) 東日本大震災を始めとする災害からの復興の推進 0 0 (3) 防犯対策の推進 0 0 (4) 消費者トラブルの防止及び被害からの救済 0 0 4 差別の解消、権利擁護の推進及び虐待の防止 (1) 権利擁護の推進、虐待の防止 4 5 相模原市、藤沢市、座間市、綾瀬市、足柄上 各関係機関との連携や協力体制の構築及び地域住民との協働が課題である。 地域に成年後見支援センターがない。後見人のなり手が不足している。 (2) 障害を理由とする差別の解消の推進 2 5 藤沢市、茅ヶ崎市、綾瀬市、寒川町、小田原市・箱根町・真鶴町・湯河原町 差別解消法の施行後、まだ社会全体における合理的配慮の提供が十分でないという意見がある中で、必要な合理的配慮について取組を行う体制が必要である。 障がい者と障がいがない方の間にある溝を埋めるため、相互理解の促進が必要。新規 5 自立した生活の支援・意思決定支援の推進 (1) 意思決定支援の推進 2 2 相模原市、藤沢市 意思決定支援ガイドライン等に基づき、地域の支援者が意思決定の尊重を前提にした取組を行う必要がある。 (2) 相談支援体制の構築 小項目A 事業所運営の安定化 5 8 川崎市、横須賀市、三浦市、座間市、伊勢原市、足柄上、小田原市・箱根町・真鶴町・湯河原町、清川村 相談支援事業所の事業所数や相談支援専門員の人数が不足している。 小項目B 人材育成、研修 5 5 横浜市、平塚市、藤沢市、厚木市、二宮町・大磯町 相談件数の増加、内容の多岐化に対応できる人材の育成が必要である。 (5ページ) 小項目C 連携体制の構築等 4 9 横浜市、川崎市、大和市、逗子市、秦野市、寒川町、小田原市・箱根町・真鶴町・湯河原町、愛川町 相談内容の多岐化に伴い、相談支援専門員だけでは解決が難しい問題が増えており、他機関との連携が必要である。 特に就労系のサービスについて、現在社会福祉法人だけでなく株式会社等も参入していることから、本来のサービス利用までの流れとは異なる形で、ハローワークや求人広告等で自ら応募し、見学、体験を経て利用が決定した後に市へ申請に来るケースがある。逗子市の場合セルフプランは導入していないため、申請後計画相談支援の調整を行っているが、計画作成時のアセスメントにおいて必ずしも適切ではないと思われた場合でも、既に利用が決定しているため計画作成せざるを得ないという状況がある。新規 小項目D 当事者活動、家族の支援 3 3 川崎市、茅ヶ崎市 当事者が参加したり、当事者の声が反映される場所がない。 地域との交流がほぼなく、近隣からも把握されていないことが多い。 (3) 地域移行支援、在宅サービス等の充実 小項目A 体験入所の機会 2 2 伊勢原市、葉山町 体験入所の機会を設けたいが、受入れできる施設が少ない。 小項目B 緊急時の体制確保 6 7 横須賀市、秦野市、藤沢市、伊勢原市、葉山町、二宮町・大磯町、愛川町 資源不足により、緊急時の短期入所が困難である。 小項目C グループホーム 3 3 川崎市、鎌倉市、寒川町 地域内のグループホーム、視覚障がい・重度障がい・精神障がい・医療的ケアに対応可能なループホームが不足している。 (6ページ) 小項目D 医療的ケアが必要な方の支援 細目(a) ショートステイ等の資源の不足 12 12 横浜市、川崎市、平塚市、鎌倉市、藤沢市、茅ヶ崎市、三浦市、大和市、伊勢原市、海老名市、葉山町、足柄上 医療的ケアが必要な方を受入れできるショートホームが少ない。 細目(b) 重度心身障害の認定はないが、医療的ケアが必要な方 2 2 大和市、綾瀬市 重度心身障害の認定がないために療養介護等の事業所を利用できない。 小項目E 行動障がい児・者の支援 5 5 横浜市、川崎市、海老名市、寒川町 社会資源が少なく、専門的な支援を十分に受けることができない。 小項目F 地域生活支援拠点の整備 3 3 秦野市、厚木市、伊勢原市 さまざまな社会資源を有機的・効果的にむすびつけて活用することができていない。 小項目G 障がい者の高齢化 2 2 平塚市、秦野市 事業所における支援の困難さの課題解決が必要である。 介護保険の利用等、適切な制度移行が課題である。 小項目H 障害福祉サービス事業所の不足・人材不足 7 9 川崎市、鎌倉市、大和市、伊勢原市、座間市、寒川町、二宮町・大磯町、愛川町 身近な地域にサービス事業所が少なく、在宅生活をする上での不安材料となっている。ヘルパー不足が顕著でサービスを利用できる人が少ない。 小項目I 移動支援等の充実 5 5 川崎市、鎌倉市、逗子市、寒川町 移動支援を提供できる事業者等が足りていない。 小項目J 地域移行の実績 1 2 藤沢市、足柄上 障がい福祉計画上の目標に対し実績が大幅に下回っている。 (7ページ) (4) 障害のある子供に対する支援の充実 小項目A 切れ目のない支援・教育との連携 10 12 川崎市、相模原市、横須賀市、鎌倉市、茅ヶ崎市、逗子市、厚木市、伊勢原市、寒川町、小田原市・箱根町・真鶴町・湯河原町 乳幼児期から大学までの一貫した支援体制確立のため、教育機関との連携が必要である。 小項目B 放課後デイサービス等について 2 7 川崎市、鎌倉市、三浦市、寒川町、足柄上、小田原市・箱根町・真鶴町・湯河原町 子どもの障がい特性を的確に見立て適切な療育を行うことができるよう質の向上が必要である。 小項目C 発達障害の児童、軽度の知的障害の児童期の支援 1 1 寒川町 インフォーマルな相談を多く受けている方がいる反面、つながりが弱く解決や安心感に繋がっていない。 このほか、県協議会委員の意見として、知的障害児入所施設において「加齢児」の問題が大きな課題となっている。(児童相談所)を記載 (5) 障害福祉サービスの質の向上等 小項目A 行動障害児者への支援(再掲) 5 5 横浜市、川崎市、海老名市、寒川町 行動障がいの方の地域での生活を支える社会資源が少なく、専門的な支援が充分に受けることができない。 小項目B 地域生活支援拠点の運用に向けて(再掲) 1 1 厚木市 介護者の不在及び行動障がいによる対応困難が起こった場合における緊急時の受入れ体制を整備したが、対象となる障がい者の把握が難しい。 小項目C 発達障がいに関する支援について 新規 0 1 藤沢市 発達障がいに関する相談が増加している中、地域全体で発達障がいを支える体制づくりが必要である。 (8ページ) (6) 福祉用具その他アクセシビリティの向上に資する機器の普及促進・研究開発及び身体障害者補助犬の育成等 0 0 (7) 障害福祉を支える人材の育成・確保 小項目A 相談支援専門員の不足(再掲) 8 8 横浜市、平塚市、大和市、厚木市、二宮町・大磯町、足柄上、愛川町、清川村 相談支援事業所の事業所数や相談支援専門員の人数が不足している。 小項目B 障害福祉サービス事業所の不足・人材不足(再掲) 6 8 川崎市、藤沢市、大和市、伊勢原市、座間市、二宮町・大磯町、愛川町 身近な地域にサービス事業所が少なく、在宅生活をする上での不安材料となっている。ヘルパー不足が顕著でサービスを利用できる人が少ない。 6 保健・医療の推進 (1) 障害福祉を支える人材の育成・確保 小項目A 社会資源の充実 6 8 横浜市、鎌倉市、大和市、二宮町・大磯町、小田原市・箱根町・真鶴町・湯河原町、愛川町 退院後の地域生活を支える仕組が不足している。他の分野との連携が十分でない。 B 情報把握 2 2 足柄上、小田原市・箱根町・真鶴町・湯河原町 市町での情報把握が難しい。 小項目C 精神疾患の正しい知識の普及啓発 新規 0 1 小田原市・箱根町・真鶴町・湯河原町 精神疾患に対する地域住民の理解不足が、精神障害者の生活支援及び社会参加を難しくしている。 (2) 保健・医療の充実等 0 0 (3) 保健・医療の向上に資する研究開発等の推進 0 0 (4) 保健・医療を支える人材の育成・確保 0 0 (5) 難病に関する保健・医療施策の推進 0 0 (6) 障害の原因となる疾病等の予防・治療 1 1 秦野市 いわゆるパステルゾーンの児童を持つ保護者の心情を汲むとなかなか療育へつなげることが難しい。早期発見、早期療育につなぐための対応策が必要である。 7 行政等における配慮の充実 (1) 司法手続き等における配慮等 0 0 (9ページ) (2) 選挙等における配慮等 0 0 (3) 行政機関等における配慮及び障害者理解の促進等 3 3 平塚市、鎌倉市、秦野市 地域で生活している方が、障がい当事者がどのようなことで困っているのか等を把握できておらず、どのようなコミュニケーション、支援が必要なのかわからない。 (4) 国家資格に関する配慮等 0 0 8 雇用・就業、経済的自立の支援 (1) 総合的な就労支援 4 4 鎌倉市、藤沢市、茅ヶ崎市、綾瀬市 障害者の雇用においては、職域が固定されており、一般就労が困難である。一般就労後、働き続けることが難しく、辞めてしまうケースも多い。職場定着のためには、企業における障害者への理解を深めることが必要である。 (2) 経済的自立の支援 0 0 (3) 障害者雇用の促進 6 7 平塚市、鎌倉市、厚木市、秦野市、愛川町、足柄上 企業における障害者の雇用促進につなげるため、啓発活動等に取り組む必要がある。また、就労支援体制の充実を図る。 比較的軽度な精神障害者の利用が増加しているが、就労を受け入れてくれる事業所が不足している。新規 (4) 障害特性に応じた就労支援及び多様な就業の機会の確保 4 7 茅ヶ崎市、厚木市、綾瀬市、足柄上、小田原市・箱根町・真鶴町・湯河原町 障害者の雇用においては、職域が固定されており、一般就労が困難である。一般就労後、働き続けることが難しく、辞めてしまうケースも多い。職場定着のためには、企業における障害者への理解を深めることが必要である。 就労に向けたアセスメントは各事業所や養護学校がそれぞれ行っているため、支援の目標が引き継がれないことがある。新規 (5) 福祉的就労の底上げ 1 1 厚木市 障がい者の就労を支援するに当たり、行政、就労移行支援事業所、相談支援事業所等の関係機関間の連携がうまく取れていない。 (10ページ) 9 教育の振興 (1) インクルーシブ教育システムの推進 3 4 横須賀市、鎌倉市、伊勢原市、綾瀬市 福祉・医療・教育の連携がスムーズにできるようシステム構築が必要。 (2) 教育環境の整備 小項目A 教育と福祉の連携 4 4 川崎市、相模原市、茅ヶ崎市、小田原市・箱根町・真鶴町・湯河原町 本人のアセスメントや支援方法の統一や役割分担などの連携に課題がある。 小項目B 通学支援 4 4 川崎市、横須賀市、寒川町、二宮町・大磯町 教育との連携をとって施策を進める必要がある。 (3) 高等教育における障害学生支援の推進 1 1 厚木市 乳幼児期から大学までの切れ目のない一貫した支援体制の確立のための教育機関との連携が課題である。 (4)  生涯を通じた多様な学習活動の充実 0 0 10 文化芸術活動・スポーツ等の振興 (1) 文化芸術活動、余暇・レクリエーション活動の充実に向けた社会環境の整備 0 0 (2) スポーツに親しめる環境の整備、パラリンピック等競技スポーツに係る取組の推進 0 0 11 国際社会での協力・連携の推進 (1) 国際社会に向けた情報発信の推進等 0 0 (2) 国際的枠組みとの連携の推進 0 0 (3) 政府開発援助を通じた国際協力の推進等 0 0 (4) 障害者の国際交流等の推進 0 0 その他 地域課題の把握 1 1 小田原市・箱根町・真鶴町・湯河原町 地域課題の抽出を主目的とした協議の場がまだない。