(表紙) かながわ障害者計画 (平成26年度〜平成30年度) 各施策の評価 平成30年8月 (裏表紙) 評価のねらい 障害者計画は、障がい者のための施策に関する基本的な計画であり、障害 者基本法に基づき策定するものです。現行計画は、平成26年度から平成30年度までを計画期間としており、これまで様々な施策を実施してきました。 こうした中、計画期間中の平成28年7月26日、県立の障害者支援施設である「津久井やまゆり園」において、大変痛ましい事件が発生しました。    本評価は、これらの経過を踏まえながら、現行計画の最終年度に当たり、これまでの取組みや成果、課題を明らかにして、次期計画に反映し、実効性のある計画とするため、実施したものです。 目次 1施策の体系図 2 分野別施策の基本的方向 (1) 生活の支援 @ 相談支援体制の構築 A 在宅サービス等の充実 B 障害児支援の充実 C サービスの質の向上等 D 人材の育成・確保 E 福祉用具の研究開発及び身体障害者補助犬の育成等 (2) 保健と医療 @ 保健・医療の充実等 A 精神保健・医療の提供等 B 研究開発の推進 C 人材の育成・確保 D 疾病等の早期発見・早期治療等 (3) 住まいとまちづくり @ 住宅の確保 A 公共交通機関のバリアフリー化の推進等 B誰もが使う施設等のバリアフリー化の推進 C 障害者に配慮したまちづくりの総合的な推進 (4) 教育とスポーツ・文化活動 @ インクルーシブ教育システムの構築 A 教育環境の整備 B 高等教育における支援の推進 C 文化活動・スポーツ等の振興 (5) 働くための支援 @ 障害者雇用の促進 A 総合的な就労支援 B 障害特性に応じた就労支援及び多様な就業の機会の確保 C 福祉的就労の底上げ D 経済的自立の支援等 (6) 暮らしの安全と安心 @ 防災対策の推進 A 防犯対策の推進 B 消費者被害の未然防止と救済 (7) わかりやすい情報の提供 @ 情報通信における情報アクセシビリティの向上 A 情報提供の充実等 B 意思疎通支援の充実 C 行政情報のバリアフリー化 (8) 権利擁護と差別の解消 @ 障害を理由とする差別の解消の推進 A 権利擁護の推進 B 障害者理解の促進等 C 選挙等における配慮等 (目次ここまで) (1ページ) 1 施策の体系図 分野:(1)生活の支援 分野別施策: @ 相談支援体制の構築 A 在宅サービス等の充実 B 障害児支援の充実 C サービスの質の向上等 D 人材の育成・確保 E 福祉用具の研究開発及び身体障害者補助犬の育成等 分野:(2)保健と医療 分野別施策: @ 保健・医療の充実等 A 精神保健・医療の提供等 B 研究開発の推進 C 人材の育成・確保 D 疾病等の早期発見・早期治療等 分野:(3)住まいとまちづくり 分野別施策: @住宅の確保 A 公共交通機関のバリアフリー化の推進等 B 誰もが使う施設等のバリアフリー化の推進 C 障害者に配慮したまちづくりの総合的な推進 (2ページ) 分野:(4)教育とポーツ・文化活動 分野別施策: @ インクルーシブ教育システムの構築(※24参照) A 教育環境の整備 B 高等教育における支援の推進 C 文化活動、スポーツ等の振興 分野:(5)働くための支援 分野別施策: @ 障害者雇用の促進 A 総合的な就労支援 B 障害特性に応じた就労支援及び多様な就業の機会の確保 C 福祉的就労の底上げ D 経済的自立の支援等 分野:(6)暮らしの安全と安心 分野別施策: @ 防災対策の推進 A 防犯対策の推進 B 消費者被害の未然防止と救済 分野:(7)わかりやすい情報の提供 分野別施策: @ 情報通信における情報アクセシビリティの向上 A 情報提供の充実等 B 意思疎通支援の充実 C 行政情報のバリアフリー化 分野:権利擁護と差別の解消 分野別施策: @ 障害を理由とする差別の解消の推進 A 権利擁護の推進 B 障害者理解の促進等 C 選挙等における配慮等 (3ページ) 2 分野別施策の基本的方向 (1) 生活を支える福祉の充実 生活の支援  @ 相談支援体制の構築 ア 障害者が身近な地域で様々な相談を受けることができるよう、相談支援体制の整備を促進します。 イ 相談支援専門員が、一人ひとりの心身の状況やサービス利用の意向、家族の状況等を踏まえ、利用するサービスの種類と内容等を定めたサービス等利用計画を適切に作成できるよう支援します。 ウ 障害者が自ら選択して決定を行うことができるように、わかりやすい情報提供に努めるとともに、その意思を表明しやすいよう、意思決定のための支援を行います。 エ 障害福祉サービス等の利用を希望する障害者が、サービスの選択ができるようサービスの内容や提供事業者の情報提供の充実を図ります。 オ 障害者総合支援法に基づき、市町村が設置する基幹相談支援センター(※10)が、さらに専門的な相談に対応できるよう支援します。 (4ページ) ※10 基幹相談支援センター:障害者の相談等を総合的に行い、地域で相談支援の中心的な役割を担う機関です。平成25年4月1日現在で、県内に12か所設置されています。 カ 関係機関が緊密に連携し、地域の実情に応じた障害者等への支援体制の整備について話し合いを行う場として、神奈川県障害者自立支援協議会を設置し、相談支援従事者の人材育成の方向性や、障害者虐待の未然防止などについて検討を行います。    また、複数の市町村にまたがる5つの障害保健福祉圏域(※11)にも圏域自立支援協議会を設置し、神奈川県障害者自立支援協議会や市町村の協議会と連携して、隙間のない相談支援の体制を確保していきます。 ※11 障害保健福祉圏域:保健・医療・福祉における広域的な連携を図る観点から設定した、8つの圏域をいいます。   なお、横浜市、川崎市及び相模原市については、市の区域全体を1つの圏域としています。 (5ページ) 神奈川県の障害保健福祉圏域(平成29年4月1日現在) (図表の説明)神奈川県の障害保健福祉圏域を地図で表しています。 図の上部は、神奈川県の地図です。市区町村と8つの圏域が、線で囲まれています。 図の下部は、圏域ごとに、その圏域を構成する市町村名が書いてあります。 横浜:横浜市 川崎:川崎市 相模原:相模原市 横須賀・三浦:横須賀市、鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町 湘南東部:藤沢市、茅ヶ崎市、寒川町 湘南西部:平塚市、秦野市、伊勢原市、大磯町、二宮町 県央:厚木市、大和市、海老名市、座間市、綾瀬市、愛川町、清川村 県西:小田原市、南足柄市、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町、箱根町、真鶴町、湯河原 (6ページ) キ 相談支援の質の向上を図るため、相談支援専門員が必ず受けなければならない相談支援従事者研修の実施に加えて、相談支援従事者のスキルアップ、地域の関係機関が連携して障害者等を支援するための技術の向上、相談担当職員等の支援を行う人材の養成を図ります。 ク  成年後見制度の適正な利用を促進するため、かながわ成年後見推進センター (※12)を設置し、市町村社会福祉協議会の法人後見受任等の促進や市町村職員等研修会の実施など、利用しやすい成年後見のしくみづくりに取り組みます。    また、市町村が地域生活支援事業として実施する成年後見制度利用支援事業や成年後見制度法人後見支援事業に対して補助を行います。 ※12 かながわ成年後見推進センター:身近な地域での成年後見制度の推進を目的とした県内の拠点機関として、神奈 川県社会福祉協議会に委託実施しています。 ケ  発達障害児者の支援を専門的に行う発達障害者支援センター(※13)において、福祉、保健、医療、教育、雇用など様々な分野と連携して発達障害児者とその家族を支援します。    また、身近な地域で支援が受けられるよう、発達障害者支援センターを中心にした支援体制の充実を図ります。 ※13 発達障害者支援センター:県では、県立中井やまゆり園に「発達障害支援センターかながわA(エース)」 を設置して、県所管域(政令市を除いた地域)を対象に支援を行っています。各政令市(横浜市、川崎市、相模原市)においても、発達障害者支援センター を設置しています。 (7ページ) コ  交通事故や病気などによる脳の損傷により、理解力や判断力などの認知機能が低下する高次脳機能障害者に対する支援拠点機関として、神奈川県総合リハビリテーションセンターを位置付け、支援コーディネーターによる専門的な相談支援を行います。 サ  障害者虐待防止法に基づき障害者権利擁護センター(※14)において、職場で虐待を受けた障害者からの相談を受け付けるとともに、通報の窓口を担っている市町村からの相談に応じます。 ※14 障害者権利擁護センター:神奈川県障害者権利擁護センターでは、雇用先での使用者による虐待についての相談等を行います。   なお、養護者や障害者福祉施設従事者等による虐待についての相談は、各市 町村の障害者虐待防止センターで行っています。 シ  同じ障害を抱えた当事者が相談に応じるピアカウンセリングの活動を支援します。 【評価】 ・相談支援従事者研修等により人材育成を図るとともに、神奈川県障害者自立支援協議会や圏域自立支援協議会を設置し、市町村の協議会とも連携し相談支援体制を確保している。 ・障害福祉情報サービスかながわ等により情報提供の充実を図るとともに、かながわ成年後見推進センターや発達障害者支援センター、高次脳機能障害者に対する支援拠点機関、障害者権利擁護センターの設置運営による専門的な相談体制を整えている。 ・平成29年3月に厚生労働省が「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」を作成し、現在、津久井やまゆり園では、このガイドラインに基づく利用者の意思決定支援に取り組んでいる。今後は、こうした取組みを全県に広めていく必要がある。 ・意思決定支援の中心的な役割を担うことを期待されている相談支援専門員については、人数が不足しており、サービス等利用計画のセルフプラン率が高いほか、多くの相談支援専門員は他の業務と兼務しており相談支援業務に従事する時間が短く十分な経験を積むことが難しい状況等があることから、相談支援専門員の量・質の充実が必要である。 ・相談支援体制を構築する上で市町村が設置する基幹相談支援センターの設置促進を強化していく必要がある。 (8ページ)  A 在宅サービス等の充実 ア 障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス等の実施計画である神奈川県障害福祉計画に定めた障害福祉サービス等の見込量の確保に向け、市町村や関係機関等と連携してサービス提供体制を整備するとともに、市町村と協力して、広く情報提供を行うことなどにより、多様な事業者の参入を促進します。 イ 地域で生活する障害者の一人ひとりのニーズや実態に応じるとともに、介護者のレスパイト(休息)など、必要なときにサービスを利用することができるよう、短期入所の施設や設備の整備を促進します。    また、施設や病院から地域生活へ移行する障害者や、増加する特別支援学校の卒業者などの日中の活動場所の確保を促進します。 ウ 障害の特性などによりサービスを利用することが難しい場合や、急にサービス  を利用することが必要になった場合に地域の中で対応できる体制づくりを目指し、市町村と協力して、障害保健福祉圏域ごとに、短期入所や居宅介護(※15)を提供できる拠点事業所を配置します。 ※15 居宅介護:障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスで、居宅において入浴、排せつ、食事等の介護や調理、洗濯、清掃等の家事その他の生活全般にわたる援助を行います。 エ 障害者総合支援法に基づき、県が行うこととされている地域生活支援事業 (※16)を推進するとともに、市町村が行う地域生活支援事業に必要な費用の一  部を補助します。    また、地域の障害者の最も身近な拠り所となり、地域住民との交流の場となるように取り組んでいる地域活動支援センター(※17)に対し、市町村を通じた支援を行います。 (9ページ) ※16 地域生活支援事業:都道府県が行うものと市町村が行うものがあり、都道府県は相談支援専門員 の養成や盲ろう者向け通訳・介助員の養成・派遣などの広域的・専門的な事業 を、市町村は移動支援や手話通訳者の派遣、日常生活用具の給付など、障害者等の身近な事業を行います。 ※17 地域活動支援センター:障害者総合支援法に基づく市町村地域生活支援事業として、社会福祉法人やNPO法人等が、障害者の創作的な活動や生産活動の機会の提供、社会との交 流の促進を行う通所施設です。   平成25年4月末日現在で、政令市及び中核市(横浜市、川崎市、相模原市、 横須賀市)を除く、県域に101か所設置されています。 オ 障害者支援施設(※18)について、質の高い「住まいの場」の支援に努めるとともに、入所者の地域での自立生活に向けた訓練や、グループホームへの入居支援、アパート等で生活するためのコーディネートなど、施設から地域生活への移行を推進するための機能を強化します。   また、施設に従事する医師や看護師による医療的支援や地域住民に対する障害者理解を促進するための地域交流事業の実施、災害時における緊急避難場所としての利用等、地域で生活する障害者を支える施設としてその活用を図ります。 ※18 障害者支援施設:障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスで、その施設に入所している障 害者に、主として夜間に行う入浴や食事等の介護、その他の必要な日常生活上 の支援を行います。 カ 地域生活の重要な役割を担っているグループホームの新たな設置を促すことにより、障害者の地域生活への移行をより一層進めます。 キ 障害者や家族の高齢化、親なき後の後見的支援を要する障害者への支援を充実します。 (10ページ) 【評価】 ・神奈川県障がい福祉計画に定めた障害福祉サービス等の見込量の確保に向け、市町村や関係機関等と連携してサービス提供体制を確保するとともに、市町村が行う障がい者に身近な地域生活支援事業の費用に対する補助や、広域的・専門的な地域生活支援事業を実施するほかグループホームへの支援等を実施することができている。 ・地域生活移行に関しては、地域移行が比較的しやすい中軽度の方の移行は一定程度進んでいるのに対し、重度障がい者の方の地域移行が中軽度の方ほど進んでいないため、重度障がい者に対応したグループホーム等への支援を充実していく必要がある。 ・介護者のレスパイトなど地域生活を支えるための医療型短期入所事業所が不足している。また、市町村における地域生活支援拠点の整備が課題となっている。  B 障害児支援の充実 ア 障害児が、身近な地域において、子ども・子育て支援法に基づく教育・保育等を利用できるようにするための必要な支援を行います。 イ 障害児の保育所での受入れを促進するため、保育所のバリアフリー化の促進や、障害児保育を担当する保育士の専門性の向上を図るための研修等を行うとともに、幼稚園における特別支援教育を支援します。 ウ 虐待の影響などから様々な課題を抱えた、情緒障害や発達障害及び知的障害のある子どもに対し、乳幼児期、学齢期から成人にいたるまでの総合的な支援体制を構築するため、心理・医療等の専門的ケアができる入所機能を持った児童自立支援拠点を設置するとともに、児童相談所や発達障害支援センターかながわA(エース)、総合療育相談センター、総合教育センターといった県の専門機関や地域関係機関と連携して、総合的な自立支援ネットワークを構築します。 エ 障害児とその家族の地域生活を支えるため、総合療育相談センターにおいて医  療、訓練、相談等に取り組むとともに、地域への巡回支援などを通じて、市町村や支援・療育機関と連携しながら、隙間のない支援を行います。 (11ページ) オ 児童福祉法に基づき、障害児に対して、日常生活に必要な基本的な生活習慣や他の子どもたちとの関わり方等を教える児童発達支援や、障害者総合支援法に基づく居宅介護、短期入所、障害児を一時的に預かって見守る日中一時支援(※19) などの必要な支援を、身近な地域で受けることができる体制づくりを進めます。    また、障害児の年齢や成長に応じて、保育所等訪問支援及び放課後等デイサービス等の適切な支援を受けることができる体制づくりを進めます。 ※19 日中一時支援:障害者総合支援法に基づき、障害福祉サービス事業所や学校の空き教室などで障害者の日中の活動の場を提供し、社会に適応するための日常的な訓練を行います。 カ 障害児やその家族に対し、療育についての情報提供や相談支援等を行います。    また、在宅で生活する重症心身障害児者が安心して地域で暮らせるように、短期入所や居宅介護、児童発達支援等のサービスの充実を図ります。 キ 障害の重度化・重複化や多様化を踏まえ、児童発達支援センター(※20)及び障害児入所施設の専門的機能の強化を図るとともに、地域における障害児やその家族を支える中心的な施設としての役割が担えるよう、施設の体制づくりを進めます。    また、障害児入所施設に、18歳を超えて入所している障害者が、年齢や特性に応じて必要な障害福祉サービスへの移行が円滑に進められるよう、施設の体制づくりを進めます。 ※20 児童発達支援センター:児童福祉法に基づく児童福祉施設です。障害児が日々保護者の下から通い、日常生活の基本的動作の指導や集団生活への適応訓練を行います。 (12ページ) 【評価】 ・心理・医療等の専門的ケアができる入所機能を持った児童自立支援拠点(子ども自立生活支援センター)を設置するとともに、児童福祉法に基づく児童発達支援や放課後等デイサービス等の支援が受けられる体制づくりが図られている。 ・放課後児童クラブや幼稚園等における障がい児の受入れ推進を図るとともに、総合療育相談センターによる療育支援や、市町村、関係機関等に対する重層的な支援を実施することができている。 ・障害児入所施設に18歳を超えて入所している障がい者が必要な障害福祉サービスへの移行が円滑に進められるよう引き続き取り組むとともに、医療的ケア児については、地域において包括的な支援が受けられるように、保健・医療・福祉・教育等の関係機関の連携促進に努める必要がある。  C サービスの質の向上等 ア 障害福祉サービス等が円滑に実施されるよう、グループホームの職員を対象とした支援技術の向上を図るための研修や、介護職員による喀痰吸引等の医療的ケアに関する研修、精神障害者ホームヘルパーの養成研修、相談支援従事者の養成・確保を推進する研修などサービス提供人材の確保と資質の向上を図ります。 イ 障害福祉サービス等の質の向上を図るため、「かながわ福祉サービス運営適正化委員会」の運営支援を通じ、福祉サービスに関する適切な苦情解決を推進するとともに、「かながわ福祉サービス第三者評価推進機構」と協働で福祉サービスの第三者評価の受審の促進に努めます。 (再掲(1)−@−イ) ウ 相談支援専門員が、一人ひとりの心身の状況やサービス利用の意向、家族の状況等を踏まえ、利用するサービスの種類と内容等を定めたサービス等利用計画を適切に作成できるよう支援します。 エ 福祉サービスの利用援助事業や専門相談を行う「かながわ権利擁護相談センター」(愛称「あしすと」)の運営支援を通じ、障害福祉サービス等を適切に利用するための必要な支援等を行います。 (13ページ) オ 必要とされる支援の度合いを示す障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方等、障害者総合支援法の実施主体である市町村が、円滑に事務を実施できるよう適切な助言を行うなどの支援に取り組みます。 カ 難病患者等に対する障害福祉サービス等の提供に当たっては、各市町村において、病状の変化や進行、福祉ニーズ等に配慮して実施されるよう理解と協力の促進を図ります。 キ サービス利用者の保護とサービスを行う事業者等の健全な育成を図るため、事業者等に対して、指定基準等に準じた事業運営を行うよう必要な指導や監査を行います。 【評価】 ・障害福祉サービス等が円滑に実施されるよう、グループホーム職員への研修、介護職員による喀痰吸引等医療的ケアに関する研修、精神障害者ホームヘルパー養成研修等によりサービス提供人材の資質向上が図れているが、人手不足・採用環境の厳しさの中、各事業者が研修等を受講しやすくなるよう支援する必要がある。 ・かながわ福祉サービス第三者評価推進機構による第三者評価全体の受審件数は伸びているが、分野によって偏りがあり、障がい福祉分野の受審件数は多いとは言えない。受審によるサービスの向上、また評価結果の公表により利用者の選択支援につなげることができるため、一層の受審促進が必要である。 ・障害福祉サービス等の事業所数が年々増加し、事業者等に対する実地指導の頻度を十分に確保することが難しいため、必要な指導等を工夫しながら充実していく必要がある。  D 人材の育成・確保 ア 県立保健福祉大学・大学院において、地域の保健・医療・福祉を支える質の高い人材の養成に取り組むとともに、実践教育センターなどにおける現任者教育・研修を通じて、専門的な技術及び知識を有する人材の確保と資質の向上を図ります。    また、県や関係団体からの修学資金の貸付けを通して、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、社会福祉士の確保・定着を推進します。 (14ページ) (再掲(1)−C−ア) イ 障害福祉サービス等が円滑に実施されるよう、グループホームの職員を対象とした支援技術の向上を図るための研修や、介護職員による喀痰吸引等の医療的ケアに関する研修、精神障害者ホームヘルパーの養成研修、相談支援従事者の養成・確保を推進する研修などサービス提供人材の確保と資質の向上を図ります。 (再掲(1)−@−キ) ウ 相談支援の質の向上を図るため、相談支援専門員が必ず受けなければならない相談支援従事者研修の実施に加えて、相談支援従事者のスキルアップ、地域の関係機関が連携して障害者等を支援するための技術の向上、相談担当職員等の支援を行う人材の養成を図ります。 エ 地域住民等のボランティア活動に対する理解を深め、その活動を支援するよう努めるとともに、人材の養成を図ります。 オ 県立高校生を対象に、福祉・介護に関する理解を深め、関心を高める取組を進めることにより、将来的な福祉・介護人材の育成を図ります。 【評価】 ・県立保健福祉大学や実践教育センター等において質の高い人材の養成に取り組むとともに、相談支援専門員や、支援が困難な強度行動障がいへの適切な支援を行う人材などサービス提供人材の育成を行うことができている。 ・かながわ福祉人材センターが行う無料職業紹介や福祉分野の仕事の魅力・普及啓発等によって、引き続き、福祉人材の確保・定着を図っていく必要がある。  E 福祉用具の研究開発及び身体障害者補助犬の育成等 ア 神奈川県総合リハビリテーションセンターにおいて福祉用具等の研究や開発を進めます。    なお、介護ロボットの介護・医療現場での円滑な導入に資するため、活用事例の蓄積や発表などを行います。 (15ページ) イ 車椅子や義手などの補装具の購入や修理にかかる費用に対する負担や、市町村が地域生活支援事業として行う特殊寝台などの日常生活用具支給等事業に対して補助を行います。また、福祉用具に関する情報提供などにより、その普及を促します。 ウ 福祉用具の情報を発信している団体について広く知らせるとともに、研修を行うことによって、福祉用具に関する相談等を行う職員の資質の向上を図ります。 エ 身体障害者の自立及び社会参加の促進を図るため、「ほじょ犬」の訓練事業者に委託し、「ほじょ犬」を給付します。 また、「ほじょ犬」を使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化を図ります。 【評価】 ・引き続き、神奈川県総合リハビリテーションセンターにおいて、筋電義手等のリハビリロボットの開発支援 ・普及に努めるとともに、介護ロボット普及推進センターの運営により、介護・医療現場の視察、見学者の受け入れ等を実施し、介護  ロボットの普及に努めていく必要がある。 ・身体障害者補助犬の育成については、待機者の解消に向けて平成29年度から育成数をこれまでの3頭から5頭に拡大し計画的に行うことができている。 (16ページ) (2) 保健・医療 保健と医療  @ 保健・医療の充実等 ア 障害者が身近な地域で医療機関にかかったり、自宅で医療がうけられるようにするために、かかりつけ医の役割の理解や定着のための普及啓発等に取り組みます。    また、難治性疾患患者や重症心身障害児者等の医療提供については、年齢や症状に応じた医療提供体制を整備していきます。 イ 市町村と連携して、障害者総合支援法に基づく自立支援医療(※21)に必要な支援等を行います。 ※21 自立支援医療:障害者総合支援法に基づく制度で、心身の障害の状態の軽減を図り、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な医療であって政令で定めたものをいいます。 ウ 県内のリハビリテーション医療の拠点施設として、神奈川リハビリテーション病院と七沢リハビリテーション病院脳血管センターの2つの病院を統合するとともに、福祉施設との連携のもと早期の社会復帰を目指したリハビリテーション医療の充実を図ります。 エ 神奈川県総合リハビリテーションセンターにおいて、骨、関節の疾患などや脊髄損傷や脳卒中による身体の麻痺、高次脳機能障害等の医学的リハビリテーションによる機能の維持、回復が見込める障害について、適切な評価、病院から地域などへの一貫した医学的リハビリテーションの提供を行います。 (17ページ) オ 障害者の家族、介護者に歯科疾患の予防や、食べる・飲み込むなどの口の働きを保ったり高めたりするための情報提供や普及啓発を行います。    また、障害者が安心して歯科医療を受けられる体制づくりを進めます。 カ 難病患者の相談支援や介護者の負担軽減を図るレスパイト事業、難病治療研究センターにおける実態把握や診断・治療法の開発を推進するなど、医療体制の充実を図ります。    また、国が定める特定疾患について医療費の給付を行います。 【評価】 ・障害者総合支援法に基づく自立支援医療に必要な支援を行うとともに、重度障害者医療費助成や、特定難病患者の医療費給付のほか、障がい者歯科医療を受けられる体制づくりに取り組むことによって身近な地域で医療等を受けられる環境を整えている。 ・総合リハビリテーションセンターの再整備は順調に進捗している。  A 精神保健・医療の提供等 ア 入院中の精神障害者の早期退院(入院期間の短縮)や地域における生活への移行を推進し、地域での受入体制がないために退院できないということがないよう、次の a 〜 d の取組を通じて、精神障害者が地域で生活できる社会資源を整備します。  a 保健福祉事務所等の相談や訪問支援を充実させ、様々な地域関係機関との連携を図ります。  b 医師、看護師等の多職種チームによる訪問支援等、地域の医療・保健・福祉等の地域関係機関による支援体制の強化を進めます。  c 入院中から住居の確保や新生活の準備等の支援を行う地域移行支援や、すでに地域生活をしている人に対し、24時間の連絡相談等の支援を行う地域定着支援の提供体制を計画的に整備するとともに、精神障害者が、ライフステージに応じて多様な住まいの場を選択し、地域にある様々なサービスを組み合わせて利用できるよう、グループホームや居宅介護などの障害福祉サービスの基盤整備を図り、地域生活への移行を支援します。 (18ページ) d 精神障害者の地域移行の取組を担う精神科医、看護職員、精神保健福祉士、心理職等について、人材育成や連携体制の構築等を図ります。 イ 精神疾患と身体疾患を合併する救急患者を円滑に受け入れるため、対応できる専門医を養成する等広域的なしくみづくりに取り組みます。 ウ 児童精神科医療については、専門医療を提供できる医療機関の促進を図るとともに、拠点の役割を担う県立こども医療センターと地域の医療機関との診療ネッ  トワークづくりを進めます。 エ 県民一人ひとりの「心の健康づくり」の取組が進むよう、精神疾患全般の普及啓発とともに、統合失調症、うつ病、児童精神疾患、認知症等疾患別の普及啓発活動を進め、精神保健福祉センターや保健福祉事務所において市町村と連携し、こころの健康に関する相談等を継続的に行っていきます。 オ 精神疾患について、患者の状態や特性に応じた精神科病床の機能分化を進めるとともに、適切な医療の提供を確保し、患者・家族による医療機関の選択ができるよう、精神科医療に関する情報提供等の推進を図ります。 カ 医療保護入院や精神科病院に係る精神障害者の意思決定や意思の表明についての支援の在り方等に関する検討を行います。 キ 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対して、身近な地域で適切な医療や福祉のサービスが受けられるよう関係機関の連携体制を推進します。 【評価】 ・精神障がい者の居宅介護支援に従事するホームヘルパーの養成研修や、精神疾患を伴う救急患者に対応できる救急医研修を実施するなど人材育成を図るとともに、こころの健康づくりのために相談を実施し、専門的立場から適切な対応を行うことなどによって、精神障がいの特性を踏まえた保健・医療の提供体制を構築することができている。 ・入院をしている精神障がい者が退院後も医療を中断することなく地域生活に移行できるよう、入院中から行政、地域の関係者等が病院を訪問し、退院後も継続した支援を行うなど精神科病院と地域の関係機関の連携強化を図るとともに、保健・医療・福祉関係者による協議の場を設置し、精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けた取組みを推進していく必要がある。 (19ページ)  B 研究開発の推進 ア 神奈川県総合リハビリテーションセンターにおいて、高次脳機能障害などに関する新しい診断方法の開発、医学的リハビリテーションの効率化、訓練プログラムの改善を図るとともに、障害者の生活機能全体の維持・回復のため、リハビリテーション技術の開発を進めます。 【評価】 ・引き続き、医療と福祉を一体的に運営している総合リハビリテーションセンターの特徴を生かし、医学的、工学的、社会福祉学的領域において、調査、研究・開発を行うとともに、高次脳機能障害支援拠点のスタッフによる巡回相談や地域関係機関のコンサルテーション等を実施し、支援技術の普及、推進を図っていく必要がある。  C 人材の育成・確保  ア 様々な場面や対象者に対応できる資質の高い看護職員の養成に努めます。 イ 県立保健福祉大学・大学院において、地域の保健・医療・福祉を支える質の高い理学療法士、作業療法士の養成等に取り組みます。   また、県や関係団体からの修学資金の貸付けを通して、理学療法士、作業療法  士の確保・定着を推進します。 ウ 地域において健康相談等を行う保健福祉事務所等の職員の資質の向上を図ると  ともに地域の保健・医療・福祉事業従事者間の連携を図ります。 エ 医療や福祉の現場で働く人々が、それぞれの専門性を生かして連携したり、人材を育成して、自宅でも医療が受けられる体制づくりを進めます。    また、地域の医療機関が連携し、役割を分担するしくみを構築します。 【評価】 ・看護師等養成施設の教員等への研修や、看護師等養成所の運営を支援するとともに、実習施設の確保のための看護実習受入施設への補助等を行うことによって、資質の高い看護職員の養成ができている。 ・かながわ福祉人材センターにおける福祉分野への就労相談や、在宅生活を支える訪問看護に従事する看護職員向けの研修などにより、人材の育成、確保ができている。 (20ページ)  D 疾病等の早期発見・早期治療等 ア 疾病や障害の早期発見、早期治療のため、乳幼児及び児童に対する健康診査、保健指導の適切な実施とともに、療育に知見と経験を有する医療・保健・福祉の専門職の確保を図ります。 【評価】 ・周産期救急医療体制の充実・強化のための補助や、療育相談、訪問指導、集団指導等の母子保健指導、新生児に対する先天性代謝異常症等の検査の実施により、疾病等の早期発見につながっている。 ・また、精神障がい者を対象とした専門医による相談事業のほか、こころの健康づくりのために相談を実施し、疾病等の早期発見・早期治療に取り組めている。 (3) 生活環境 住まいとまちづくり  @ 住宅の確保 ア 公営住宅においては、現在ある住宅にエレベーターを付けたり、団地の中の段差をなくすことやスロープや手すりを付けるといった改良をしたり、建替えにより車椅子に対応するなど、障害者にも利用しやすい住宅への改良を可能な限り進めます。 イ 知的障害者や精神障害者などに対し、県営住宅による適切な入居支援を実施するとともに、市町村や関係機関と連携して、入居後の適切な居住支援を図ります。 ウ 住まいを見つけるのに困っている障害者が民間賃貸住宅に住むことを希望する場合に、借りる人と貸す人両方の不安をなくし、安心して貸し借りできる関係を築いていけるよう支援します。 エ 重度障害児者の日常生活を支援するため、住宅設備改良や日常生活用具の給付にかかる費用について、市町村を通じて補助を行います。 オ 市町村による公営住宅を活用したグループホームの取組を交付金を使って支援します。 (21ページ) カ グループホームの設置を考える法人等に対して設置・運営に関する助言等を行い、その設置と利用の促進を図ります。 キ グループホームで生活する障害者が安心して生活できるよう、建築基準法、消防法といった法律の決まりにあわせて、防火安全体制の強化を図ります。 【評価】 ・県営団地の身体障がい者向け住宅の整備を計画的に実施するとともに、障がい者の入居を拒まない民間賃貸住宅の登録を促進することなどによって、居住の安定の確保を図ることができている。 ・在宅の重度障がい者の住宅設備改良等に係る補助を行うとともに、グループホーム設置、運営を促進する補助や、スプリンクラー設備の設置に対する補助を行うことにより、安全な居住の場の確保ができている。  A 公共交通機関のバリアフリー化の推進等 ア 障害者が安心して外出できるよう、公共交通機関のバリアフリー化や困っている人を手助けするなど人的対応の充実を図ります。 イ 公共交通機関の旅客施設及び車両内において、障害特性に配慮した案内表示や情報提供の充実を推進します。 ウ 障害者に対する適切な対応を進めるために、交通事業者等が行う障害者理解を促進するための研修等を支援します。 【評価】 ・民営事業者が行う鉄道駅舎エレベーター施設の整備やホームドア設置に係る補助を実施するとともに、障がい者への接客対応が求められる公共交通機関などの企業が行う社員研修における研修のコーディネートや、企業等において障がい理解の中心的な役割を担う者を養成する心のバリアフリー推進員養成研修を実施することによって、移動しやすい環境を整えることができている。 ・障がい者などの移動制約者の社会参加に必要な移動手段を確保するため、平成30年度から福祉タクシー車両の購入等にかかる費用の一部を補助する。 (22ページ) ・外見からはわかりにくい内部障がい者等に対して配慮が必要なことを示す「ヘルプマーク」について、鉄道事業者等の協力を得て、電車やバスの優先席付近にステッカーを貼付するなど普及啓発を行った。今後はより広域な普及を図るため、他都県と連携した取組みを進めていく必要がある。  B 誰もが使う施設等のバリアフリー化の推進 ア 学校、福祉施設、商業施設、運動施設など不特定多数の方が利用する公共的施設について、障害者等が安全かつ快適に利用できるよう、当該施設を設置し又は管理する者に対し、バリアフリー条例で定める整備基準への適合を求めるなど、バリアフリー化を促進します。 イ 県立公園において、障害者等が快適に利用できるよう、出入口や園路の段差解消やバリアフリートイレの整備など、公園施設の改良・整備を推進します。 【評価】 ・不特定多数の方が利用する公共的施設について、施設管理者等の意識啓発を図るとともに、神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例で定める整備基準への適合を求めていくことによって、アクセシビリティに配慮した施設等の普及促進が図られている。 ・県有施設のバリアフリー化等改修工事を施工するとともに、誰もが快適に利用できる県立都市公園施設の整備が進められている。 ・東京オリンピック・パラリンピックに向けて、着実にバリアフリー化等改修工事を行う必要がある。  C 障害者に配慮したまちづくりの総合的な推進 ア 公共交通機関等のバリアフリー化と連携しつつ、幅の広い歩道の整備や無電柱化等を推進し、よりよい歩行空間の形成に努めてまいります。 イ バリアフリー法に基づき市町村が定める重点整備地区内を中心に、歩行者等と自動車が通行する時間を分離する歩車分離式信号、専用の端末機器を所持する障害者等が交差点を通行する際、必要な情報提供や歩行者青時間の延長を行うPICS(歩行者等支援情報通信システム)(※22)等のバリアフリー対応型信号機、見やすく分かりやすい道路標識等の整備を推進します。 (23ページ) ※22 PICS(歩行者等支援情報通信システム):交差点の状況や安全な歩行ルートなどの情報を、音声、画像、文字などの様々な形で提供します。 ウ 障害者が道路を安全に安心して自動車を運転できるよう、信号灯器のLED 化、道路標識の高輝度化等を推進します。 エ 市街地等の生活道路における障害者等の安全な通行を確保するため、区域(ゾーン)を設定して、最高速度30km/h の区域規制、路側帯の設置・拡幅、物理的デバイス(※23)設置等の対策を効果的に組み合わせ、速度抑制や通過交通の抑制・排除を図ります。 ※23 物理的デバイス:車道に凸型路面を設置したり、車道の幅を物理的に狭くするなどして車の走行速度を低減させる道路構造をいいます。 【評価】 ・神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例に基づく実効性のある取組みを進めるため、神奈川県バリアフリー街づくり推進県民会議を通して、バリアフリーフェスタかながわを開催するなど、バリアフリーの街づくりの提案・発信等に取り組むことによって、障がい者に配慮したまちづくりに寄与してしている。 ・引き続き、幅の広い歩道の整備や、無電柱化等を推進するとともに、歩行者と自動車等が通行する時間を分離する歩車分離式信号や視覚障がい者用付加装置の整備等、見やすく分かりやすい道路標識の整備、信号灯器のLED化、道路標識の高輝度化を推進していく必要がある。 (24ページ) (4) 教育とスポーツ・文化活動  @ インクルーシブ教育システム(※24)の構築 ※24 インクルーシブ教育システム:障害者権利条約第24条において、「インクルーシブ教育システム」とは、人 間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大 限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とする目的のも と、障害のある者と障害のない者が共に学ぶしくみとされています。 ア 障害のある子どもと障害のない子どもが可能な限り共に学ぶことを目指し、インクルーシブ教育を推進するため、障害のある児童生徒・保護者(以下「本人等」といいます。)に対する十分な情報提供のもと、本人等の意見を最大限尊重し、本人等と市町村教育委員会、学校等が、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことを原則として、市町村教育委員会が就学先を決定するしくみを構築します。  また、以上のしくみのもと、障害のある児童生徒の発達の程度、適応の状況等に応じて、柔軟に「学びの場」を変更できることについて、関係者への周知を促します。 イ 障害のある児童生徒に対する合理的配慮については、児童生徒一人ひとりの障害の状態や教育的ニーズ等に応じて設置者・学校と本人等との間で可能な限り合意形成を図った上で決定し、提供されることが望ましいことを周知します。 ウ 必要な支援を受けながら、同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、個別の教育的ニーズのある子どもに対して、教育的ニーズに最も的確に応えた指導を提供できるよう、小・中学校から高等学校における通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校という「多様な学びの場」のそれぞれの充実を図るとともに、相互の連携を促進していきます。 エ 医療、保健、福祉等との連携のもと、幼児期を含め早期からの教育相談・就学相談を実施します。 (25ページ) オ 障害のある児童生徒に対し、可能な限り早期から成人に至るまで一貫した指導・支援ができるよう、子どもの成長記録や指導内容等に関する情報を、必要に応じて関係機関で共有・活用するとともに、保護者の参画を得つつ、医療、保健、福祉、労働等との連携のもと、個別の教育支援計画の策定・活用を促進します。 カ 障害のある児童生徒への支援に関する先進的な事例の収集を行うとともに、関係者に対して情報提供を行います。 キ 障害のある児童生徒の特別支援学校の高等部や高等学校等への就学を促進するため、個別のニーズに応じた入学試験における配慮の充実を図ります。 ク 福祉、労働等との連携のもと、障害のある児童生徒の就労について、支援の充実を図ります。 【評価】 ・小・中学校7校で「みんなの教室」モデル事業の実践研究を実施するとともに、インクルーシブ教育実践推進校のパイロット校に県立高校3校を指定し、知的障がいのある生徒を受け入れた。また、通学による教育が困難な児童・生徒の教育の機会均等を保証する訪問教育を実施するなど支援教育の充実に向けて取り組んでいる。 ・来所・電話・Eメール等さまざまな形態で、県民や学校のニーズにこたえる教育相談を実施している。24時間子どもSOSダイヤルは365日対応しており、悩みや問  題の早期解決に寄与している。 ・また、学校からの要請に応じて指導主事と教育心理相談員が学校を訪問して相談を行う要請訪問相談を実施し、困りを抱える児童生徒への支援の充実につなぐことができている。 ・県立特別支援学校高等部生徒の卒業後の就労機会等の拡大を図るため、産業現場等における実習や現場実習理解啓発パンフレットの作成を行うとともに、障がい者雇用に精通した企業OB等の人材を社会自立支援員とし県立特別支援学校7校に配置し、企業開拓や面接指導、定着支援に取り組むなど障がいのある生徒の就労支援に取り組んでいる。 ・「インクルーシブ教育の推進」についての理解・啓発を図るため、県民を対象としたフォーラムを実施しているが、市町村教育委員会と連携するなど工夫していく必要がある。 (26ページ)  A 教育環境の整備 ア 障害のある児童生徒の一人ひとりの教育的ニーズに応じた教科書を始めとする教材の提供に努めます。 イ 障害のある児童生徒の視点を踏まえ、災害が発生した時に避難所となる学校施設のバリアフリー化を推進します。 ウ 障害のある児童生徒に対する指導方法に関する調査・研究を推進するとともに、研究成果の普及を図ります。 エ 特別支援教育に関する教職員の専門性の確保、指導力の向上を図るため、特別支援学校のセンター的機能の充実を図るとともに、小・中学校等の教員への研修の充実を図ります。 【評価】 ・児童・生徒の障がい程度に応じた指導の充実を図るため、施設の修繕工事を随時行っている。 ・特別支援教育に関わる教職員の連携を促進するため、地域センター推進協議会 (全体協議会、ブロック代表会)、地域ブロック会を実施することによって、特別支援学校のセンター的機能の活用状況の情報共有が図られ、センター的機能の充  実につながっている。 ・インクルーシブ教育の実践推進校の連絡会等において、各校の取組状況や課題を共有したが、地区や学校により意識の差があり、取組みの成果や課題、効果的な手立て等について引き続き発信していくとともに教育相談や研修に生かしていく必要がある。 ・引き続き、医療ケア等を必要とする児童・生徒が安全に学習できる環境を整備するための検討や医療ケア等研修講座の拡充等をしていく必要がある。  B 高等教育における支援の推進 ア 県立保健福祉大学・大学院において、障害のある学生の能力・適性、学習の成果等を適切に評価するため、大学等の入試における適切な配慮を実施します。 (27ページ) イ 県立保健福祉大学・大学院において、施設のバリアフリー化の状況等に関する情報を公開します。 【評価】 ・県立保健福祉大学において、障がいのある学生の能力・適正、学習の成果等を適切に評価するとともに、施設のバリアフリー化の状況等に関する情報を公開することによって、高等教育における支援が図られている。  C 文化活動、スポーツ等の振興 ア 障害者が、文化芸術に親しみ自ら文化芸術活動を楽しむことができるよう、文化芸術団体と協力しながら、文化芸術の鑑賞機会の提供や自らが文化芸術活動を楽しむための取組を推進するとともに、文化施設のバリアフリー化や利用サービスの向上に努めます。 イ 障害者等が、円滑にスポーツ又はレクリエーションを行うことができるよう、また、県立文化施設における文化芸術活動の公演・展示、県立の博物館・美術館における展示等において、障害者のニーズに応じた工夫・配慮が提供されるよう努めます。 ウ スポーツ、レクリエーション活動を通じて、障害者等の体力の強化、交流、自由時間の活用等に役立てるとともに、障害者スポーツを普及させるためスポーツ指導員の養成やスポーツ大会の開催などのスポーツを推進する取組を行います。 エ テレビ番組等の著作権処理を委託して実施することにより、効率的に字幕番組を製作し、聴覚障害者情報提供施設において貸出しを行います。 【評価】 ・聴覚障害者福祉センターにおいて、自主企画作品や講演収録などの制作や字幕を挿入したビデオテープの閲覧、貸出を行い、文化活動の振興に寄与している。 ・障害者文化・芸術祭を毎年開催し、障がい者による作品の展示や舞台発表等を行  うほか、特別支援学校を訪問しての音楽演奏などを行っているが、障がい者が文化芸術に様々な場面で親しみ自ら文化芸術活動を楽しむことができるよう一層取り組んでいく必要がある。 (28ページ) ・東京2020パラリンピック競技大会に出場し、活躍が見込まれるアスリート及びその指導者に助成し、県内のパラアスリートの競技力向上を図るとともに、「かながわパラスポーツ」の普及推進のため、有識者や関係団体等による「かながわパラスポーツ普及推進検討会」の開催、「かながわパラスポーツコーディネーター」の養成、「かながわパラスポーツフェスタ」の開催や、市町村等が実施するイベントにおいて障がい者スポーツのミニ体験会を実施している。 ・障がい者の社会参加を推進するため、神奈川県障害者スポーツ大会の開催や初級障がい者スポーツ指導員の養成、精神障害者を対象としたスポーツ大会の開催、障がい者スポーツに対する県民の理解促進を図るための障害者スポーツサポーター養成講習会を開催するなど、スポーツの振興が図られている。 ・特別支援学校の児童・生徒・教員及び地域の小・中・高等学校の児童・生徒・教員、地域の住民等を対象に、スポーツに対する意識及び技能を向上させることを目的として実施したスポーツ教室においては、参加者数が大幅に増加していることから、今後も充実させていく必要がある。 (5) 雇用・就業等 働くための支援  @ 障害者雇用の促進 ア 障害者雇用促進法では、事業主は障害者を従業員の一定割合(法定雇用率)に相当する人数を雇用しなければならないとしています。この障害者雇用率制度に基づき、引き続き、障害者雇用の促進を図ります。 イ 平成25年の障害者雇用促進法の改正により、法定雇用率の算定基礎に、従来の身体障害者、知的障害者に加え、新たに精神障害者が加わる(平成30年4月施行) ことも踏まえ、精神障害者の雇用の促進のための取組を進めます。 ウ 法定雇用率を達成していない民間企業等へ障害者雇用の理解促進のため普及啓発を行い、法定雇用率の達成に向けた取組を進めます。 (29ページ) エ 一般企業等への就職につなげることを目的として、精神障害者等のチャレンジ雇用(※25)を実施します。 ※25 チャレンジ雇用:精神障害者等を非常勤職員として雇用し、1から3年の業務の経験を 積んだ後、ハローワーク等を通じて一般企業等への就職の実現を図るこ とを目的としています。 オ 障害者虐待防止法に基づく障害者権利擁護センターにおいて、職場で虐待を受けた障害者からの相談を受け付けます。    また、関係者を対象とした研修会を開催して、障害者への虐待の未然防止、早期発見に努めます。 カ 雇用分野における障害者に対する差別の禁止等の措置(合理的配慮の提供義務)が新たに規定された改正障害者雇用促進法(平成28年4月施行)に基づき、障害者と健常者との均等な機会及び待遇の確保並びに障害者の有する能力の有効な発揮を図ります。 【評価】 ・企業の障がい者雇用への理解を深めるため、時機に応じたテーマ(平成28年度から精神障がい者の雇用)を設定し、障がい者雇用促進フォーラムを毎年度開催しているほか、平成28年度からは、中小企業等が障がい者雇用を進めるためのきっかけづくりとするため、企業交流会を県内各地で開催するなど、障がい者雇用の促進に取り組んでいる。 ・県内の民間企業の障害者雇用率は、平成29年6月1日現在で1.92%であり、法定雇用率に達しておらず、特に中小企業における障がい者雇用が進んでいない。また、求職者が増加している精神障がい者の雇用促進や職場定着が課題となっている。こうした中、平成30年4月より精神障がい者が法定雇用率の算定基礎に加えられ、法定雇用率が2.2%に引き上げられたことなどから、中小企業への支援の充実を図るなど、障がい者雇用の一層の促進を図る必要がある。 ・平成30年4月からの法定雇用率引き上げ等の状況を踏まえ、平成29年4月に障害者雇用促進センターを設置し、障がい者雇用が進んでいない中小企業への個別訪問や出前講座、地域の就労支援機関への研修を実施するなど、中小企業や就労支援機関への支援に重点的に取り組んでいる。 ・障害者権利擁護センターにおいて、障がい者虐待に関する専門性を強化するため、法的な専門的助言を得る体制を確保するとともに、休日夜間の通報受理体制を構築するとともに、従事者、管理者、相談窓口職員、虐待防止マネージャーを対象とした研修をそれぞれ実施するなど、障がい者への虐待の未然防止、早期発見に向け取り組んでいる。 (30ページ)  A 総合的な就労支援 ア 福祉、教育、医療等から雇用への一層の推進のため、神奈川県障害者就労相談センターにおいて、ハローワークや神奈川障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターをはじめとする地域の関係機関と密接に連携して、職場実習の推進や雇用前の雇入れ支援から雇用後の職場定着支援までの一貫した支援を実施します。 イ 障害者を雇用するための環境整備等に関する各種助成金制度を紹介し、障害者を雇用する企業に対する支援を行います。あわせて、障害者雇用に関するノウハウの提供等に努めます。 ウ 障害者の身近な地域における雇用、保健福祉、教育等の関係機関の連携拠点である障害者就業・生活支援センターにおいて、就業面及び生活面からの一体的な相談支援を実施します。 エ 神奈川障害者職業能力開発校において、働くことを希望する障害者に対して、障害の特性に応じた職業訓練と就職支援を行うとともに、在職中の方のスキルアップを支援する訓練を実施します。    また、専門学校やNPO法人、企業などに委託することで、障害者の身近な地域で個々の障害の状況に配慮しながら訓練を実施します。 オ 障害者の雇用に取り組む企業、地域の就労支援機関、特別支援学校などと意見や情報の交換を行いながら、障害者の就労につながる職業訓練を推進します。    また、働く能力を導きだし、スキルアップすることの重要性について、事業主や県民の理解が高まるよう、啓発に努めます。 カ 一般就労をより促進するため、就労移行支援事業所等において、積極的な企業での実習や求職活動の支援(施設外支援)等の促進を図ります。 (31ページ) 【評価】 ・障害者就労相談センターの機能見直しに伴い、障がい者への個別就労支援は平成28年度末をもって終了し、企業への支援に転換したが、平成28年度末時点で直接支援している障がい者については、地域の民間支援機関への引継ぎ等を行い、平成29年度末をもって直接支援を終結させている。 ・平成30年4月からの法定雇用率引き上げ等の状況を踏まえ、障害者就労相談センターの機能を見直しの上、平成29年4月に障害者雇用促進センターを設置し、障がい者雇用が進んでいない中小企業への個別 訪問や出前講座、地域の就労支援機関への研修を実施するなど、中小企業や就労支援機関への支援に重点的に取り組んでいる。(再掲) ・障害者就業・生活支援センターにおいては、就労ニーズが高まっている精神障がい者への支援体制の充実を図り、精神障がい者の就労や職場定着につなげているなど就業面と生活面からの一体的な相談支援を行うことができている。 ・障害者職業能力開発校における職業訓練や、全国障害者技能競技大会出場選手の育成・強化に向けた支援などを含め、総合的な就労支援に取り組んでいる。  B 障害特性に応じた就労支援及び多様な就業の機会の確保 ア 就労支援に当たっては、精神障害、発達障害等の障害の特性に応じた支援を進めます。 イ 精神障害に関する事業主等の理解を一層促進するとともに、精神障害の特性に応じた支援の充実・強化を通じて、精神障害者の雇用拡大を図ります。    また、精神障害者に対する就労支援に当たっては、就労支援機関が医療機関等と連携を図ります。 ウ 短時間労働や在宅就業など、障害者の多様な働き方の普及啓発を進めます。 エ 障害者優先調達推進法に基づき、市町村や地方独立行政法人等と連携して、障害者就労施設等の提供する物品・サービスの優先購入(調達)を推進します。 (再掲(4)−@−ク) オ 福祉、労働等との連携のもと、障害のある児童生徒の就労について、支援の充実を図ります。 (32ページ) 【評価】 ・障害者就業・生活支援センター等において、精神障がいなど障がい特性に応じて就業及びこれに伴う日常生活、社会生活上の支援を行っている。 ・障害者優先調達推進法に基づき、障害者就労施設等からの物品を調達する方針を定め、調達目標を達成するための取組みを進め、調達実績は、平成25年度の77,772,000円から平成29年度は138,886,000円に増加している。 ・県立特別支援学校高等部生徒の卒業後の就労機会等の拡大を図るため、産業現場等における実習や現場実習理解啓発パンフレットの作成を行うとともに、障がい者雇用に精通した企業OB等の人材を社会自立支援員として県立特別支援学校7校に配置し、企業開拓や面接指導、定着支援に取り組むなど障がいのある生徒の就労支援に取り組んでいる。(再掲) ・農業分野で働く障がい者の収入の向上や農業の担い手不足解消を目指す農福連携の取組みとして、障害福祉サービス事業所等の農業参入を支援するためのセミナーや、共同販売会を開催している。引き続き関係部局と連携し、取り組んでいく必要がある。  C 福祉的就労の底上げ ア 就労継続支援B型事業所等における工賃の向上を図るため、事業所の経営力強化に向けた支援、共同受注化の推進等、官民一体となった取組を推進します。 (再掲(5)−B−エ) イ 障害者優先調達推進法に基づき、市町村や地方独立行政法人等と連携して、障害者就労施設等の提供する物品・サービスの優先購入(調達)を推進します。 【評価】 ・一般就労が困難な障がい者が利用する障害福祉サービス事業所の生産活動の充実や販路拡大のため、共同受注窓口組織の運営や共同販売会、研修の開催、自主製  品の常設展示・販売を行うともしびグッズコーナーの運営等を行っているが、工賃は平成26年度からほぼ横ばいとなっていることから、働くことに生きがいをもっていただくとともに、工賃向上に向けて引き続き取り組んでいく必要がある。  D 経済的自立の支援等 ア 障害者の経済的自立・生活の安定を支援するため、神奈川県心身障害者扶養共済制度条例に基づき、心身障害者に対して年金等を支給します。    また、在宅の重度障害等の福祉の増進を図るため、重度の障害を重複して有する方等に対して手当を支給します。 (33ページ) イ 障害者による県が所有・管理する施設の利用等に当たり、その必要性や利用実態を踏まえながら、利用料等に対する割引・減免等の措置を講じます。 【評価】 ・心身障害者扶養共済制度を運営するとともに、特別障害者手当や在宅重度障害者等手当等を支給し、障がい者等の経済的自立・生活の安定に寄与している。 (6) 暮らしの安全と安心  @ 防災対策の推進 ア 障害者や福祉関係者等の参加及び防災関係部局と福祉関係部局の連携のもとでの地域防災計画等の作成、防災訓練の実施等の取組を促進し、災害に強い地域づくりを推進します。 イ 自力避難の困難な高齢者、障害者等が利用する災害時要援護者施設を、がけ崩れ等の土砂災害から守るため、防災対策を積極的に推進します。 ウ 災害発生時、または災害が発生するおそれがある場合に、避難行動要支援者名簿等を活用した障害者に対する適切な避難支援や、その後の安否確認を行うことができるよう、市町村における必要な体制整備を促進します。 エ 県及び市町村は、地震等災害発生時に災害時要援護者の避難誘導、救助を優先して行います。 オ 県及び市町村は、避難誘導、避難所での生活環境の確保、応急仮設住宅への入  居にあたっては高齢者、障害者等に十分配慮します。特に福祉避難所の指定、高齢者、障害者等の避難所での健康状態の把握、応急仮設住宅への優先入居、福祉仮設住宅の設置等に努めるとともに、高齢者、障害者等に向けた情報の提供についても十分配慮します。 (34ページ) カ 民間社会福祉施設における防災対策を推進するとともに、県及び市町村は、高齢者、障害者等の生活を確保するため、社会福祉施設や県立特別支援学校等の活用、福祉避難所の指定、病院、診療所、保健所等における高齢者、障害者等の支援システムの整備、応急仮設住宅の優先入居に努めます。 キ 人工透析患者の医療が確保できるように、災害時における医療支援体制の整備に努めます。 【評価】 ・土砂災害、がけ崩れ、地すべり、津波による災害の未然防止を図るための工事を施行するとともに、グループホームのスプリンクラー設備に係る整備費補助等を行うなど防災対策の推進に寄与している。 ・災害時要配慮者の避難誘導や避難所での生活環境の確保など障がい特性に応じた支援ができるよう市町村の取組みを促していくとともに、災害時の医療支援体制等について体制整備に向けた取組みが必要である。  A 防犯対策の推進 ア 言語、聴覚に障害のある方などが通報しやすいよう、ファックスやインターネットによる緊急通報について、その利用の促進を図るとともに、事案の内容に応じた迅速・適切な対応を行います。 イ 警察職員に対し障害及び障害者に対する理解を深めるための研修の充実に取り組むとともに、コミュニケーション支援ボードの活用等、障害者のコミュニケーションを支援するための取組に努めます。 ウ 警察と行政等との連携の促進等により、障害者に関わる犯罪の発生と被害の防止、犯罪被害の早期発見に努めます。 エ 犯罪被害者等への総合的な支援体制として、「かながわ犯罪被害者サポートステーション」を運営し、犯罪被害者等からの相談に対応するとともに、犯罪被害者等の立場に立った適切できめ細かい支援を一元的に提供します。 (35ページ) 【評価】 ・言語・聴覚に障がいのある方からの110番通報を受理するため、通信指令室にファックス110番やメール110番を開設するとともに、警察職員に対する手話講習を実施したり、必要に応じて手話通訳派遣の実施、コミュニケーションボードを活用するなど、防犯対策の推進に寄与している。 ・津久井やまゆり園事件を踏まえて、施設の防犯対策のため、防犯カメラの設置等に対し補助するとともに、防犯対策や危機管理に関する知識の向上を図るため、防犯講習会の開催や防犯アドバイザーの施設への派遣などによって、防犯に対する意識向上・啓発に繋がっている。 ・「かながわ犯罪被害者サポートステーション」において、引き続き犯罪被害者等への相談・支援を行い、犯罪被害者等の受けた被害をできる限り早く軽減し、回復することに寄与している。  B 消費者被害の未然防止と救済 ア 障害者団体、消費者団体、福祉関係団体、行政等の連携を図るため、関係機関による「高齢者・障害者等の消費者被害防止対策連絡協議会」を開催し、幅広い取組による障害者等の消費者被害未然防止を図ります。 イ 県の消費生活センターにおけるメール相談の実施や、相談員等の障害者理解のための研修の実施等に取り組むことにより、障害者の特性に配慮した消費生活相談体制の整備を図ります。 ウ 悪質な訪問販売等による消費者への被害を未然に防止するため、啓発リーフレットやホームページなど各種媒体を活用した情報提供及び障害者や障害者を見守る方に対する講座の開催など、わかりやすい内容や手段で、障害者等に対する消費者教育を推進します。 【評価】 ・高齢者・障がい者等の消費者被害防止対策連絡協議会を開催し、関係機関や福祉団体と相互に連携を図りながら、情報交換や効果的な対策について協議している。 ・県内の消費生活相談員や行政担当職員を対象とした、障がい者も含めた相談者理解のための研修や、障がい者を見守る人への研修、また、障がい者等に対する出前講座の実施などにより、消費者被害の未然防止と救済に取り組んでいる。 (36ページ) (7) わかりやすい情報の提供  @ 情報通信における情報アクセシビリティの向上 ア 障害者等に対応したIT機器やソフトウェアの情報を提供するとともに、ITに係る相談について、支援者の紹介等により、障害者の社会参加を促進します。    また、障害者のパソコン利用を支援するボランティアを養成します。 【評価】 ・障害者ITサポートシステムの運営やボランティア支援を行うとともにIT利活用推進委員会の開催などによって、情報アクセシビリティの向上に寄与している。  A 情報提供の充実等 (再掲(1)−@−エ) ア 障害福祉サービス等の利用を希望する障害者が、サービスの選択ができるようサービス内容や提供事業者の情報提供の充実を図ります。 イ 視覚障害者の社会的自立を促進するため、ライトセンターにおいて、点字・録音等による情報の提供、相談指導、訓練及びスポーツの振興並びにボランティア活動の振興、育成を図ります。 ウ 聴覚障害者の社会的自立を促進するため、聴覚障害者福祉センターにおいて、各種の指導、訓練及び日常生活に必要な情報の提供を行うとともに、手話通訳者・要約筆記者の養成・派遣等を行います。 (再掲(4)−C−エ) エ テレビ番組等の著作権処理を委託して実施することにより、効率的に字幕番組を製作し、聴覚障害者情報提供施設において貸出しを行います。 (37ページ) 【評価】 ・ウェブサイト「障害福祉情報サービスかながわ」にて障害福祉サービス等に係る情報提供の充実を図っている。 ・ライトセンター及び聴覚障害者福祉センターにおける自主企画作品や講演収録などの制作や字幕を挿入したビデオテープの閲覧、貸し出し等により視覚障がい者、聴覚障がい者の社会的自立の促進に繋げている。  B 意思疎通支援の充実 ア 地域生活支援事業として、市町村が手話通訳者や要約筆記者の派遣等を行うコミュニケーション支援事業のために必要な専門人材を確保するため、一定水準に達した手話通訳経験者を対象とした手話通訳者の養成及び現任研修事業を実施するとともに、要約筆記者の養成を行います。 イ 視覚障害と聴覚障害が重複している盲ろう者の通訳・介助員派遣事業を担う通訳・介助員を養成するとともに、養成した通訳・介助員のスキルアップのための現任研修事業を実施します。    また、盲ろう者に通訳・介助員を派遣してコミュニケーション及び移動等の支援を行うことにより、盲ろう者の自立と社会参加を促進します。 ウ 聴覚障害者等が県庁及びその周辺の県機関に来庁した際のコミュニケーションを円滑に行うために手話通訳者を設置します。 (再掲(7)−@−ア) エ 障害者等に対応したIT機器やソフトウェアの情報を提供するとともに、ITに係る相談について、支援者の紹介等により、障害者の社会参加を促進します。    また、障害者のパソコン利用を支援するボランティアを養成します。 オ 意思疎通に困難を抱える人が自分の意思や要求を的確に伝え、正しく理解してもらうことを支援するためのルビ振りやイラスト、絵記号等利用の促進に努めます。 (38ページ) (再掲(1)−@−ウ) カ 障害者が自ら選択して決定を行うことができるように、わかりやすい情報提供に努めるとともに、その意思を表明しやすいよう、意思決定のための支援を行います。 【評価】 ・手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者通訳・介助員の養成と派遣、また、来庁者に対応する手話通訳士の配置や県合同庁舎でのタブレット型端末による遠隔手話サービス、障がい者ITサポートシステムの運営などに取り組んでいるが、様々な障がい特性に応じた意思疎通支援の量・質の充実を一層図る必要がある。 ・視覚と聴覚の両方に障がいがあるため、コミュニケーションをとることが難しく、自らどのような支援が必要か訴えることが難しい盲ろう者等、それぞれの方に適したコミュニケーション方法で的確に二―ズを受け止め、様々な障がい特性に応じた意思疎通支援の量・質の充実、支援体制の整備を一層図る必要がある。  C 行政情報のバリアフリー化 ア 県がホームページなど情報通信技術を使って提供する情報を誰もがどこからでも利用できるように、「神奈川県情報バリアフリーガイドライン」に基づき、情報バリアフリーの取組を進めます。 イ 政見放送への手話通訳・字幕の付与、点字又は音声による候補者情報の提供等、情報通信技術の進展等も踏まえながら、障害特性に応じた選挙等に関する情報の提供に努めます。 【評価】 ・県が情報通信技術を利用して提供する情報に対して、誰もが制約を受けることなく情報にアクセスできる環境の構築を推進するため、神奈川県ウェブアクセシビリティ方針を改正し、職員への研修や情報提供を実施している。 ・「県のたより」の点字版・録音版の発行や、知事の定例会見の動画配信において手話通訳の導入を進めるなど、行政情報のバリアフリー化を進めている。 ・選挙においては、選挙公報の点訳版、音訳版及び拡大文字版の配布を適切に実施し、バリアフリー化を図っている。 (39ページ) (8) 権利擁護と差別の解消  @ 障害を理由とする差別の解消の推進 ア 平成28年4月の障害者差別解消法の円滑な施行に向け、同法に規定される基本方針に基づき、法の趣旨・目的等に関する効果的な広報啓発活動、相談・紛争解決体制の整備等に取り組みます。    また、同法の施行後において、同法に規定される基本方針に基づき、同法の適切な運用及び障害を理由とする差別の解消の推進に取り組みます。 (再掲(5)−@−カ) イ 雇用分野における障害者に対する差別の禁止等の措置(合理的配慮の提供義務)が新たに規定された改正障害者雇用促進法(平成28年4月施行)に基づき、障害者と健常者との均等な機会及び待遇の確保並びに障害者の有する能力の有効な発揮を図ります。 【評価】 ・障がい者差別に係る専用電話による相談対応や、障がい者差別解消フォーラム開催、差別解消に関する事例集の作成など法の趣旨に関する普及啓発に取り組むとともに、神奈川県障害者差別解消支援地域協議会を開催し、差別解消に向けた課題について協議している。 ・平成29年10月に実施した県民ニーズ調査では、障がいを理由とする差別や偏見が 「あると思う」と回答した方が53.6%に上ることから、法の趣旨の理解は十分とは言えず、法の適切な運用及び差別の解消に向けて継続的に取り組むとともに効果的な手法を検討していく必要がある。 A 権利擁護の推進 (再掲(1)−@−サ) ア 障害者虐待防止法に基づき障害者権利擁護センターにおいて、職場で虐待を受けた障害者からの相談を受け付けるとともに、通報の窓口を担っている市町村からの相談に応じます。 (40ページ) (再掲(1)−@−ク) イ 成年後見制度の適正な利用を促進するため、かながわ成年後見推進センターを  設置し、市町村社会福祉協議会の法人後見受任等の促進や市町村職員等研修会の  実施など、利用しやすい成年後見のしくみづくりに取り組みます。   また、市町村が地域生活支援事業として実施する成年後見制度利用支援事業や  成年後見制度法人後見支援事業に対して補助を行います。 ウ 当事者等により実施される障害者の権利擁護のための取組を支援します。 (再掲(6)−A−エ) エ 犯罪被害者等への総合的な支援体制として、「かながわ犯罪被害者サポートステーション」を運営し、犯罪被害者等からの相談に対応するとともに、犯罪被害者等の立場に立った適切できめ細かい支援を一元的に提供します。 カ 矯正施設(※26)に入所する累犯障害者(※27)等の円滑な社会復帰を促進するため、地域生活定着支援センターにおいて、保護観察所(※28)等の関係機関と連携のもと、矯正施設に入所する累犯障害者等が出所等後に必要な福祉サービスを受けるための支援を行います。 ※26 矯正施設:刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院の総称で す。 ※27 累犯障害者:犯罪を繰り返す障害者 ※28 保護観察所:法務大臣のもとに各地方裁判所の所在地ごとに設置される機関。保護観察や 犯罪予防のための世論の啓発指導などを行います。 (41ページ) 【評価】 ・神奈川県障害者権利擁護センターにおいて、障がい者虐待対応に関する専門性を強化するため、専門的助言体制や休日夜間の通報受理体制を整備するとともに、従 事者、管理者、相談窓口職員、虐待防止マネジャーを対象とした研修を実施するなど、虐待の未然防止、早期発見、迅速な対応に取り組んでいる。 ・使用者による潜在的な虐待被害については、労働局の調査で発見されるものも多い現状から、使用者による虐待防止の更なる取組が必要である。 ・成年後見制度の普及推進及び市町村長申立ての促進を図るため、市町村職員を対象とした成年後見制度セミナーを開催するとともに、かながわ成年後見推進センターにおいて、相談対応や第三者後見人の養成を実施しているが、多くの町村で法人後見受任や市民後見人の養成が進んでいないため、引き続き、法人後見立ち上げや市民後見人養成支援に取り組む必要がある。  B 障害者理解の促進等 ア 障害及び障害者に関する県民の理解を促進し、障害者の自立と社会参加を支援します。 イ 県職員等に対する障害者に関する理解を促進するため必要な研修や周知等を実施し、窓口等における障害者への配慮の徹底を図ります。 ウ 事務・事業の実施に当たっては、障害者差別解消法に基づき、障害者が必要とする社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮を行います。 (再掲(7)−C−ア) エ 県がホームページなど情報通信技術を使って提供する情報を誰もがどこからでも利用できるように、「神奈川県情報バリアフリーガイドライン」に基づき、情報バリアフリーの取組を進めます。 【評価】 ・障がい者への接客対応が求められる公共交通機関や企業等が行う社員研修において、障がい者受入れに必要な配慮等に関する研修のコーディネートや、企業等において障がい理解の中心的な役割を担うものを養成する心のバリアフリー推進員養成研修を実施し、障がい者の理解促進を図っている。 (42ページ) ・毎年12月の障がい者週間には、障がいや障がい者に対する理解を促進することを目的とした障がい者差別解消フォーラムの実施や、県内市町村や関係団体等が実施する行事を取りまとめたホームページの作成、県庁新庁舎における障がい者の手作り製品の展示即売会の実施、内閣府との共催による「心の和を広げる体験作文」「障害者週間のポスター」の公募と優秀作品の表彰等を行っている。 ・手話学習用冊子や手話推進計画リーフレットの作成、配布、手話普及イベントの開催、事業者や県民向けの手話講習会を開催するほか、県市町村の人権教育担当職員等を対象とした障がい者の人権をテーマとした講話、庁内職員向けの障害者差別解消法に係る啓発研修の実施等に取り組んでおり、障がい者の自立と社会参加支援に寄与している。 ・共生社会の実現に向け、平成28年10月に県議会とともに「ともに生きる社会かながわ憲章」を策定し、その理念を普及させる取組みを実施している。津久井やまゆり園事件が発生した7月26日を含む月曜日から日曜日までの1週間を「ともに生きる社会かながわ推進週間」と定め、集中的な広報を行ったほか、様々な機会を捉え、普及活動に取り組んだ。また、3月に開催したイベント「みんなあつまれ」では、音楽、スポーツ、アートなどを通じて、多くの方に憲章の理念を発信することができた。   しかし、平成29年10月に実施した県民ニーズ調査では、憲章を知らなかったと回答した県民が81.5%になるなど、多くの方に憲章を広めていく普及活動と併せて、憲章に繰り返し触れる機会を創出する取組みや、憲章の理念の理解を深める取組みを強化する必要がある。  C 選挙等における配慮等 (再掲(7)−C−イ) ア 政見放送への手話通訳・字幕の付与、点字又は音声による候補者情報の提供等、情報通信技術の進展等も踏まえながら、障害特性に応じた選挙等に関する情報の提供に努めます。 イ 移動に困難を抱える障害者に配慮した投票所のバリアフリー化、障害者の利用に配慮した投票設備の設置等、投票所における投票環境の向上に努めるとともに、成年被後見人の選挙権の回復等を行う公職選挙法の改正を踏まえ、判断能力が不十分な障害者が自らの意思に基づき円滑に投票できるよう、代理投票の適切な実施等の取組を県内市区町村に促します。 ウ 指定病院等における不在者投票、郵便等による不在者投票の適切な実施の促進により、選挙の公正を確保しつつ、投票所での投票が困難な障害者の投票機会の確保に努めます。 (43ページ) 【評価】 ・選挙公報の点訳版、音訳版及び拡大文字版の配布、また投票環境の向上や代理投票の適切な実施に向けた市区町村選挙管理委員会への助言や、不在者投票の適切な実施を図るための指定病院等への助言・指導等により適切な選挙執行を行い投票機会の確保を実現している。