米軍基地問題に係る要望書 平成19年5月 神奈川県 1 基地の整理・縮小・返還の早期実現 2 厚木基地空母艦載ジェット機の移駐の確実な実現等 3 原子力艦の事故による原子力災害対策の充実 4 地元への思いやりの充実 (1)人口密集地域の基地のあり方の検討と閣僚等による基地視察 (2)基地負担についての国民理解の醸成と支援策の充実強化 (3)基地の返還や共同使用に係る地元意向の尊重及び国による支援 (4)日米地位協定の見直しに向けた具体的取組みの早期実施 (5)基地と地元とのより適切な相互関係の構築に向けた措置 1 基地の整理・縮小・返還の早期実現 基地の整理・縮小・返還を促進すること。特に既に返還合意さ れている横浜市内の5施設(根岸住宅地区、富岡倉庫地区、上瀬 谷通信施設、深谷通信所、池子住宅地区及び海軍補助施設)や相 模総合補給廠、キャンプ座間等の全部又は一部については、早期 に返還すること。 また、地元市の跡地利用計画策定等を支援するとともに、返還 に当たっては国有地を地元自治体に譲与するなど、地元の意向を 踏まえた適切な措置を講じること。 2 厚木基地空母艦載ジェット機の移駐の確実な実現等 在日米軍再編で日米合意された空母艦載ジェット機等の移駐及 び恒常的訓練施設の確保を確実に実現すること。また、移駐の具 体的な計画や移駐後の厚木基地周辺の騒音状況について、関係自 治体に早期に情報提供すること。 また、移駐が実現するまでの間も、多くの住民に影響を及ぼす 飛行を抑制する等、人口密集地域の厚木基地周辺の騒音軽減に最 大限の努力をするとともに、激しい騒音発生が予想される飛行に 関する住民への事前の情報提供や、国による説明責任体制の確立 など、可能な限り騒音被害対策を充実すること。 3 原子力艦の事故による原子力災害対策の充実 通常型空母から原子力空母への交替等を踏まえ、モニタリング ポストの増設等放射能調査体制を充実強化し、国が責任を持って 十分な安全対策を講じるとともに、事前対策の確立に必要な情報 を関係自治体に提供すること。 また、万一の発災に備え、国が積極的に防災訓練に参加すると ともに、米側が積極的に訓練に参加するよう引き続き協議するこ と。 さらに、国の主導の下に、実効性ある原子力災害対策が実施で きるよう、オフサイトセンターの活用も含め体制の整備を図るこ と。 4 地元への思いやりの充実 (1)人口密集地域の基地のあり方の検討と閣僚等による基地視察 在日米軍再編により人口密集地域への「特別な注意」は払わ れているものの、都市化の進んだ地域における基地負担をさら に軽減させるため、人口密集地域における基地の中長期的なあ り方を県や関係市と共同して検討すること。 また、基地負担の実情を把握するため、定期的に閣僚等によ る現地視察を行うとともに、地元との定期的な協議の場を設置 すること。 (2)基地負担についての国民理解の醸成と支援策の充実強化 一部の基地周辺自治体が過大な負担を担っていることを踏ま え、基地負担についての国民理解の醸成に努めること。また、 財政的措置を含む新たな地域振興策を検討するなど、地元の意 向を踏まえ、基地負担の実情に応じた負担軽減策等を充実強化 すること。さらに、再編交付金について、基地負担に見合った 適切な交付を行うこと。 (3)基地の返還や共同使用に係る地元意向の尊重及び国による支援 基地の返還や共同使用にあたっては地元の意向を尊重すると ともに優遇措置を講じること。また、基地の跡地利用にあたっ ては、国による事業実施等により積極的に地元自治体を支援す ること。(基地返還に伴う財政的措置については再掲) (4)日米地位協定の見直しに向けた具体的取組みの早期実施 米側との話し合いの場を設置するなど、日米地位協定の見直 しに向けた具体的な取組みを早期に実施すること。 また、見直しに当たっては、特に、環境法令等国内法の適用、 事件・事故等に係る安全対策の確立、合同委員会への自治体の 参加など地元の意向が適切に聴取される仕組みの構築の実現に 向けて取り組むこと。 (5)基地と地元とのより適切な相互関係の構築に向けた措置 より適切な関係の構築に向け、災害時に地元と在日米軍が相 互に応援できるよう協定締結等について支援すること。また、 相互理解と相互信頼の醸成を通じ、良好な日米関係形成の礎と するため、本県が提案している日米文化交流センター構想の実 現に向け具体的な調査を開始するなど、必要な支援策を早期に 検討し、実施すること。