(第3回配布資料) 資料2 1 対象施設や整備基準の見直しについて【事務局案】 (1)用途、機能、規模に応じた対象施設の区分  福祉施設は、条例の対象である公共的施設の中では事前協議の件数が最多であり、整備基準の遵守率は平均を下回っています。このことから、福祉施設の遵守率向上は、公共的施設全体の遵守率向上でもあります。  平成25年度の統計では、福祉施設の不適合案件の70%は1000u未満で、そのうち63%は500u未満である等、中小規模の施設での遵守率の低さが目立っています。  このことは、実際の福祉施設の用途、機能、規模が多種多様であるにもかかわらず、福祉施設の整備基準の内容が一律であることが一因であると考えられます。  福祉施設の不適合案件で未整備の割合が最も高かったのは、視覚障害者用設備に関する項目であり、個々の基準では、主な出入口の前後における誘導ブロックの敷設や、便所の出入口や廊下の手すり等における点字の設置等でした。 【見直しの方向性(案)】 ・福祉施設の用途区分及び面積区分を見直す。 ・上記の用途区分、面積区分ごとに、各整備項目の該当要否を見直す。 (2)既存物件と新築物件との差別化  既存物件の増改築や用途変更は、整備基準上は新築物件と同様の扱いであることや、増改築の場合、事前協議対象となる用途面積は「増改築部分+既存部分」の合計面積で判断するため(法令では「増改築部分」の面積)、法令では適合義務がないような小規模な増改築等が事前協議の対象になるため、既存物件の活用の妨げになっているという意見もあります。      平成25年度の統計では、不適合案件に占める既存物件の割合は20%程度と少なく、遵守率の比較でも、既存物件(26%)と新築物件(31%)とでは大差ありませんが、不適合案件に占める500u未満の案件の割合は、既存物件(58%)が新築物件(40%)を大きく上回り、小規模な既存物件の増改築等での遵守率の低さが目立っています。 【見直しの方向性(案)】 ・小規模既存物件の増改築や用途変更における整備基準の適用要否や各整備項目の該当要否を見直す。       (3)わかりやすい定義や用語  整備基準で定める対象施設の用途名称や面積の算定方法等について、法令と異なる箇所があるため、法令と整備基準でそれぞれ確認が必要な場合や、法令では対象でも整備基準では対象外になる場合がある等、事業者にとって煩雑になっているばかりか、本来法令より厳しいはずの整備基準が法令を下回るような事象も起きています。 【見直しの方向性(案)】 ・整備基準の定義や用語等を見直し、わかりやすくする。 (4)用途、機能、規模、利用方法に応じた整備基準  平成25年度の統計では、不適合案件で未整備の割合が最も高かったのは、視覚障害者用設備に関する項目であり、個々の基準では、主な出入口、階段、傾斜路の前後等における誘導ブロックの敷設や、便所の出入口や階段の手すり等における点字の設置等でした。  誘導ブロックや点字は、視覚障害者が施設を安全かつ円滑に利用するために必要な設備ですが、車いす使用者や高齢者等にとってはかえって危険であるといった意見や、整備基準で敷設対象としている施設や箇所が過剰ではないかといった意見もあります。 【見直しの方向性(案)】 ・誘導ブロックの敷設対象施設、敷設箇所(室内外の区別を含めて)を見直す。 ・点字の設置対象施設、設置箇所を見直す。 (5)新たな知見の導入  ア 便所の整備基準について  整備基準では、車いす使用者をはじめ誰もが利用しやすい便所「みんなのトイレ」を1以上整備するとともに、その他にも便所を設ける場合、障害者等が利用しやすい便所「みんなのトイレ以外のトイレ」を1以上整備することとしています。  便所に係る個々の基準のうち、未整備の割合が高いのは、みんなのトイレに関するものではオストメイトの設置、みんなのトイレ以外のトイレに関するものでは、洗面器や便房の構造、出入口の幅員などに関する項目などでした。  便所に関しては、2012年にバリアフリー法の建築設計標準が改訂され、多機能便房への利用集中の回避や、車いす使用者の利便性向上に資する機能分散の考え方が示されています。 【見直しの方向性(案)】 ・便所の整備基準や設置要件について、みんなのトイレへの利用集中回避、機能分散の観点から検討を行う。  イ エレベーターの整備基準について  整備基準では、エレベーターは、床面積1000u以上の施設(共同住宅、事務所、工場では床面積1000u以上かつ4階建以上)の公共的施設が設置対象です。  エレベーターに係る個々の基準のうち、未整備の割合が最も高いのはかごの大きさに関する項目で、奥行き(135cm以上)より内のり幅(140cm以上)で基準を満たせない案件が多くなっています。  整備基準では、エレベーターのかごの大きさについては車いす使用者の乗降に必要な最小限の寸法を確保することを求めており、車いす使用者を含めた乗車定員に関する規定は設けておりませんが、前回の会議では、オリンピック・パラリンピック開催に伴う車いす使用者等の需要集中に対応すべく、乗車定員やかごの大きさ等について、今後、IPCが定める基準に準拠させるべきとのご意見をいただきました。 【見直しの方向性(案)】 ・エレベーター設置対象施設のうち、需要集中が想定される施設(運動施設、劇場等)について、かごの大きさや設置台数等の基準について検討を行う。 (6)付加条例(義務化)の在り方について ア 建築物の規模について 建築物の対象規模を引下げて義務化すると、政令や条例で定める移動等円滑化基準に適合しなければ建築や用途変更ができなくなります。 本県の条例は、県内の広域にわたり適用されるため、地形や土地利用、公共的施設の整備の状況や動向、さらに小規模多機能型の福祉施設や既存ストックを活用した増改築需要の増加が見込まれることなど今後の施設整備のすう勢を踏まえ、対象とする施設について一定規模以上が必要と考えます。 イ 建築物移動等円滑化基準に付加する事項について 誘導ブロックの敷設について、(4)に記載のような意見がありますが、付加条例では法令で定める移動等円滑化基準に定めるもの以外に、階段の下りの始まる部分は危険であることから注意喚起するため、階段の段の上端に接する部分に点状ブロックを設置することのみ、必要最低限の整備基準を付加しています。 【見直しの方向性(案)】 対象施設や整備基準の見直し(1)から(5)の検討結果を踏まえ、義務付けの在り方について検討を行う。