道路の整備基準解説 1 歩道及び自転車歩行者道(以下「歩道等」という。) ●基本的な考え方 ・バリアフリーのまちづくりのためには、道路施設のうち、歩行者の安全に配慮した歩道 等の整備が必要である。 ●整備基準 ・歩道等を設ける場合は、次に定める構造とすること。 ●整備基準 (1)有効幅員:有効幅員は、200センチメートル以上とするよう努めること。 ●整備基準 (2)横断こう配:歩道等(車両乗入れ部を除く。)の横断こう配は、2パーセント以下 とすること。 ●解説 ・「車両乗り入れ部」とは、車両が道路に隣接する民地等に乗り入れできるように、縁石 等の一部に対して切り下げ又は切り開き等処置を行い、車両が民地等に乗り入れ可能とな る構造をもった箇所をいう。 ●整備基準 (3)すりつけこう配:歩道等のすりつけこう配は、5パーセント以下とすること。ただ し、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合においては、8パーセント以 下とすることができる。 ●解説 ・「すりつけこう配」とは、横断歩道箇所等に接続する歩道等の部分及び車両乗り入れ部 において、歩行者等及び車両の安全かつ円滑な通行を確保するため、段差をすりつけた部 分のこう配をいう。 ●整備基準 (4)歩道等と車道の接する部分の構造:歩道等が交差点又は横断歩道において車道と接 する部分は、次に定める構造とすること。 ア 車道との境界部分の段差は、2センチメートルを標準とし、かつ、車いす使用者の通 行に支障のない構造とすること。 イ すりつけ区間と車道と接する部分の間に、長さ150センチメートル以上の水平区間を 設けるよう努めること。 ●解説 ・歩道等が交差点と接する部分には、必要に応じて車の巻込みを防止する構造物を設置す ることが望ましい。ただし、視覚障害者の通行の妨げとならないよう配慮が必要である。 ●整備基準 (5)中央分離帯:横断歩道が中央分離帯を横切る部分は、車道と同一の高さですりつけ ること。 ●解説 ・歩行者等の安全を確保するために分離帯で滞留させる必要がある場合、その段差は2セ ンチメートルを標準とすること。 ●整備基準 (6)舗装:歩道等の舗装は、次に定める構造とすること。 ア 雨水を地下に円滑に浸透させることができる構造とすること。ただし、道路の構造、 気象状況その他特別の状況によりやむを得ない場合においては、この限りでない。 イ 平たんで、滑りにくく、かつ、水はけの良い仕上げとすること。 ●解説 ・舗装は、原則として、透水性舗装とすること。 ●整備基準 (7)溝ぶたの構造:排水溝を設ける場合は、つえ等が落ち込まない構造の溝ぶたを設け ること。 ●解説 ・排水溝は、歩行者動線には原則設置しないが、やむを得ず設置する場合の構造である。 2 横断歩道橋及び地下横断歩道(以下「立体横断施設」という。) ●基本的な考え方 ・バリアフリーのまちづくりのためには、道路施設のうち、歩行者の安全に配慮した立体 横断施設の整備が必要である。 ●整備基準 ・障害者等の移動の円滑化のために立体横断施設が必要であると認められる場合は、次に 定める構造とすること。 ●解説 ・「立体横断施設」とは、横断歩道橋、地下横断歩道及びペデストリアンデッキのことで ある。 ・エレベーター又は傾斜路の設置が困難な場合は、できるだけ近接した場所に横断歩道を 設ける等の代替手段により移動を確保することが必要である。 ●整備基準 (1)回り階段の禁止:階段は、回り階段としないこと。 ●整備基準 (2)手すりの設置:階段、傾斜路及び踊場には、両側に手すりを設けること。 ●整備基準 (3)路面の仕上げ:路面は、滑りにくい仕上げとすること。 ●整備基準 (4)傾斜路等の設置:車いす使用者に配慮したエレベーター又は適切に踊場を設けた傾 斜路を設けるよう努めること。 3 視覚障害者誘導用ブロック ●基本的な考え方 ・バリアフリーのまちづくりのためには、歩道等において視覚障害者を誘導する視覚障害 者誘導ブロックの整備が必要である。 ●整備基準 (1)注意喚起場所への敷設:歩道等が交差点又は横断歩道において車道と接する部分、 立体横断施設の昇降口の部分等注意を喚起する必要のある場所には、視覚障害者誘導用ブ ロックを敷設すること。 ●解説 (視覚障害者誘導用ブロックの構造) ・形状については、JIS規格の構造とすること。 ・黄色を原則とすること。ただし、周辺の床材との対比を考慮して、明度差あるいは輝度 比などが十分に確保できず、かつ安全で連続的な道すじが明示できない場合は、この限り でない。 ・十分な強度を有し、滑りにくく、耐久性、耐摩耗性に優れたものとすること。 ●整備基準 (2)案内必要場所への敷設:公共交通機関の施設から視覚障害者の利用が多い施設へと 通ずる歩道等にあっては、進路や施設の案内を行うことが必要な場所には、視覚障害者誘 導用ブロックを敷設すること。 ●解説 ・「視覚障害者の利用が多い施設」とは、盲学校、視覚障害者情報提供施設のように専ら 視覚障害者の利用に供する施設のほか、市役所、区役所、総合病院等の特に多数の者の利 用に供する施設を含む。 ・案内上必要な箇所に設けるという趣旨であり、必ずしも連続して敷設しなければならな いとは限らない。 「連続的な整備に向けて−道路と敷地の境界の整備−」 バリアフリー法では、バリアフリー化を重点的に進める対象エリアについて、交通バリア フリー法が旅客施設を中心とした地区に限定していたところを、旅客施設を含まない地区 にまで拡充した。 これにより、市町村は、国が定める基本方針に基づき、旅客施設を中心とした地区や、高 齢者、障害者などが利用する施設が集まった地区(「重点整備地区」)において、公共交 通機関、建築物、道路、路外駐車場、都市公園、信号機などのバリアフリー化を重点的か つ一体的に推進するため、当該地区におけるバリアフリー化のための方針、事業等を内容 とする「基本構想」を作成することができることとなり、地域の実情に即した一体的・総 合的なバリアフリー化に向けた取組みが期待されている。 その一つの例として、重点整備地区内の特定道路等における視覚障害者誘導用ブロックの 連続敷設がある。 この場合、重点整備地区内において視覚障害者がよく利用する施設など、連続誘導が必要 な施設を視覚障害者等の意見を踏まえた上で設定し、その施設間について設置することが 考えられる。その際、連続誘導にあたっては、道路敷地内だけでなく、民地内の当該施設 の出入口直近まで連続して行うなど、整備関係者間が連携し、安全を確保したよりわかり やすい敷設を行うことが望まれる。 4 視覚障害者用信号機 ●基本的な考え方 ・バリアフリーのまちづくりのためには、道路施設のうち、歩行者の安全に配慮した立体 横断施設等の整備が必要である。 ●整備基準 ・信号機により交通整理の行われている交差点又は横断歩道において、視覚障害者の横断 の安全を確保する必要がある場合は、視覚障害者用信号機を設置するよう努めること。 ●解説 ・「視覚障害者の横断の安全を確保する必要がある場合」の典型的な例として、付近に公 共交通機関の施設や視覚障害者の利用が多い施設がある場合、交通量が多く危険度の高い 場合などが考えられる。