神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例 第1章 総則(第1条〜第6条) 第2章 施策の基本方針等(第7条〜第11条) 第3章 施設等の整備 第1節 公共的施設等の整備(第12条〜第16条) 第2節 指定施設の整備(第17条〜第25条) 第3節 公共車両等の整備(第26条・第27条) 第4章 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の施行に関する事項(第28条〜第33条) 第5章 雑則(第34条〜第36条) 附則 第1章 総則 (目的) 第1条 この条例は、すべての人が個人として尊重され、あらゆる分野の活動に参加する機会を保障されることの重要性にかんがみ、障害者等が安心して生活し、自らの意思で自由に移動し、及び社会に参加することができるバリアフリーの街づくりに関し、県、事業者及び県民の責務を明らかにするとともに、県の基本方針を定めてこれに基づく施策を総合的かつ計画的に実施し、及び施設等を障害者等が安全かつ快適に利用できるよう整備を進め、もって心豊かな福祉社会かながわの実現に資することを目的とする。 (定義) 第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (1) 障害者等 障害者、高齢者、妊産婦、乳幼児を同伴する者その他の者で日常生活又は社会生活に身体等の機能上の制限を受けるものをいう。 (2) 公共的施設 官公庁施設、教育文化施設、医療施設、福祉施設、商業施設、公共交通機関の施設、駐車場、共同住宅、事務所その他の不特定かつ多数の者の利用に供する施設で規則で定めるものをいう。 (3) 道路 道路法(昭和27年法律第180号)第2条第1項に規定する道路(専ら自動車の交通の用に供するものを除く。)その他規則で定めるものをいう。 (4) 公園 都市公園法(昭和31年法律第79号)第2条第1項に規定する都市公園その他規則で定めるものをいう。 (5) 公共車両 一般旅客の用に供する鉄道の車両及び自動車で規則で定めるものをいう。 (6) 住宅 主として人の居住の用に供する家屋(公共的施設であるものを除く。)をいう。 (7) 施設等 公共的施設、道路、公園、公共車両及び住宅をいう。 (県の責務) 第3条 県は、障害者等が安心して生活し、自らの意思で自由に移動し、及び社会に参加することができるバリアフリーの街づくり(以下「バリアフリーの街づくり」という。)に関する総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。 2 県は、前項の規定による施策の策定及び実施に当たっては、市町村との連携及び協力に努めるものとする。 3 県は、自ら設置し、又は管理する施設等で県民の利用に供するものについて、障害者等が安全かつ快適に利用できるように配慮し、整備を進めるものとする。 (事業者の責務) 第4条 事業者は、バリアフリーの街づくりの重要性及び自らの事業活動が地域社会と密接な関係にあることを認識し、福祉社会の実現に向け、県が実施するバリアフリーの街づくりに関する施策に協力しなければならない。 2 事業者は、自ら設置し、又は管理する施設等について、障害者等が安全かつ快適に利用できるように配慮し、整備に努めなければならない。 (県民の責務) 第5条 県民は、バリアフリーの街づくりの重要性及び地域社会の構成員としての自らの役割を認識し、福祉社会の実現に向け、県が実施するバリアフリーの街づくりに関する施策に協力しなければならない。 2 県民は、障害者等の移動及び施設等の利用を確保するために協力するよう努めるとともに、障害者等が安全かつ快適に利用できるよう配慮して整備された施設等の利用の妨げとなる行為をしてはならない。 (総合的推進) 第6条 県、事業者及び県民は、バリアフリーの街づくりに関するそれぞれの責務を自覚し、一体となってその推進体制を整備し、バリアフリーの街づくりの実現を図るものとする。 2 県及び事業者は、広域的に行われる施設等の整備事業の実施の機会をとらえて、バリアフリーの街づくりを積極的に推進するよう努めるものとする。 第2章 施策の基本方針等 (施策の基本方針) 第7条 県は、第1条の目的を達成するため、次に掲げる基本方針に基づく施策を計画的に実施するものとする。 (1) すべての県民がバリアフリーの街づくりに関する理解を深めるとともに、積極的にバリアフリーの街づくりに取り組むよう意識の高揚に努めること。 (2) 障害者等が自らの意思で自由に移動し、及び安全かつ快適に利用できるよう施設等の整備を相互の連関に配慮して推進すること。 (3) 障害者等の活動の機会が幅広く保障されるよう社会参加を促進する施策を積極的に実施すること。 (障害者等の意見の反映) 第8条 県は、バリアフリーの街づくりに関する施策に、障害者等の意見を反映することができるように必要な措置を講ずるものとする。 (検討) 第9条 県は、バリアフリーの街づくりに関する施策について、適時に、かつ、適切な方法により検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 (情報の提供等) 第10条 県は、市町村と連携して、事業者及び県民に対し、バリアフリーの街づくりに関する情報の提供、技術的指導又は助言を行うものとする。 (財政上の措置) 第11条 県は、バリアフリーの街づくりを推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。 第3章 施設等の整備 第1節 公共的施設等の整備 (整備基準) 第12条 知事は、公共的施設、道路及び公園(以下「公共的施設等」という。)の構造及び設備の整備に関し、障害者等が安全かつ快適に利用できるものとするために必要な基準(以下「整備基準」という。)を定めるものとする。 2 整備基準は、次に掲げる事項について、公共的施設等の種類の区分に応じて規則で定める。 (1) 車いす使用者等が通行できる幅員の確保 (2) 車いす使用者等が通行できる傾斜路の設置 (3) 滑りにくい路面、床面等とするための措置 (4) 階段等への手すりの設置 (5) 障害者等の利用に配慮したエレベーター、便所及び駐車場の設置 (6) 視覚障害者誘導用ブロックの敷設等障害者等の利用に配慮した誘導又は案内の表示 (7) 前各号に掲げるもののほか、障害者等の利用に配慮すべき事項 (整備基準の遵守) 第13条 公共的施設等の新築、新設、増築、改築、用途の変更、大規模の修繕又は大規模の模様替え(以下「新築等」という。)をしようとする者は、整備基準を遵守しなければならない。ただし、整備基準を遵守する場合と同等以上に障害者等が安全かつ快適に利用することができる場合又は規模、構造、利用の目的、地形の状況等により整備基準を遵守することが困難である場合にあっては、この限りでない。 (既存施設の整備) 第14条 この条例の施行の際現に存する公共的施設等(新築等の工事中のものを含む。以下「既存施設」という。)を設置し、又は管理する者は、当該既存施設について、整備基準に適合するよう整備に努めなければならない。 (維持保全) 第15条 公共的施設等を設置し、又は管理する者は、当該公共的施設等を整備基準に適合させたときは、当該適合させた部分の機能を維持するよう努めなければならない。 (適合証) 第16条 公共的施設等を設置し、又は管理する者は、当該公共的施設等を整備基準に適合させたときは、知事に対し、当該公共的施設等が整備基準に適合していることを証する証票(以下「適合証」という。)の交付を請求することができる。 2 知事は、前項の規定による請求があった場合において、当該公共的施設等が整備基準に適合していると認めるときは、当該請求をした者に対し、適合証を交付するものとする。 第2節 指定施設の整備 (事前協議) 第17条 公共的施設のうち規則で定めるもの(以下「指定施設」という。)の新築等をしようとする者は、その計画(整備基準に適合させるべき部分を含まない計画を除く。)について、規則で定めるところにより、あらかじめ知事に協議しなければならない。これを変更(規則で定める軽微な変更を除く。)しようとするときも、同様とする。 2 知事は、前項の規定による協議があった場合において、当該協議に係る指定施設が整備基準に適合しないと認めるときは、当該協議をした者に対し、必要な指導又は助言を行うことができる。 (工事完了の届出) 第18条 前条第1項の規定による協議をした者は、当該協議に係る工事を完了したときは、規則で定めるところにより、速やかにその旨を知事に届け出なければならない。 (完了検査) 第19条 知事は、前条の規定による届出があったときは、当該届出に係る指定施設が整備基準に適合しているかどうかの検査を行うものとする。 2 知事は、前項の検査を行った場合において、当該指定施設が第17条第1項の規定により行われた協議の内容と異なり、かつ、整備基準に適合していないと認めるときは、当該届出をした者に対し、必要な指導又は助言を行うことができる。 (勧告) 第20条 知事は、指定施設の新築等に関し、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該各号に規定する者に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。 (1) 第17条第1項の新築等をしようとする者が、同項の規定による協議を行わずに工事に着手したとき。 (2) 第17条第1項の規定による協議をした者が、当該協議の内容と異なり、かつ、整備基準に適合していない工事(第18条の規定による工事完了の届出があったものを除く。)を行ったとき。 (3) 前条第2項の指導又は助言を受けた者が、正当な理由なく当該指導又は助言に従わなかったとき。 (公表) 第21条 知事は、前条の規定による勧告を受けた者が正当な理由なく当該勧告に従わないときは、当該勧告を受けた者に意見の聴取を行った上で、当該勧告を受けた者の氏名、当該勧告の内容その他の規則で定める事項を公表することができる。 (適合調査) 第22条 知事は、必要があると認めるときは、既存施設のうち指定施設であるもの(以下「既存指定施設」という。)を設置し、又は管理する者に対し、当該既存指定施設が整備基準に適合しているかどうかの調査を実施し、その結果を報告することを求めることができる。 2 知事は、前項の規定による報告があった場合において、当該報告に係る既存指定施設が整備基準に適合しないと認めるときは、当該報告をした者に対し、必要な指導又は助言を行うことができる。 (改善計画) 第23条 前条第2項の場合において、知事は、必要があると認めるときは、当該報告をした者に対し、当該報告に係る既存指定施設を整備基準に適合させるための工事の計画(以下「改善計画」という。)を作成し、届け出ることを求めることができる。 2 知事は、改善計画の届出があったときは、当該届出をした者に対し、当該改善計画について、必要な指導又は助言を行うことができる。 (立入調査) 第24条 知事は、第17条第2項及び第19条から前条までの規定の施行に必要な限度において、その職員に、指定施設に立ち入り、当該指定施設が整備基準に適合しているかどうかを調査させ、又は関係者に質問させることができる。 2 前項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。 (国等に関する特例) 第25条 この節の規定は、国、地方公共団体その他規則で定める者(以下「国等」という。)については、適用しない。ただし、国等は、指定施設の新築等をしようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめその旨を知事に通知しなければならない。 第3節 公共車両等の整備 (公共車両の整備) 第26条 公共車両を所有し、又は管理する者は、当該公共車両について、障害者等が安全かつ快適に利用できるよう整備に努めなければならない。 (住宅の整備) 第27条 県民は、その所有する住宅について、居住する者が将来にわたって安全かつ快適に利用できるよう整備に努めなければならない。 2 住宅を供給する者は、当該住宅について、障害者等が安全かつ快適に利用できるよう整備に努めなければならない。 第4章 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の施行に関する事項  (定義) 第28条 この章における用語の意義は、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号。以下「法」という。)及び高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令(平成18年政令第379号。以下「政令」という。)の例による。 (特別特定建築物に追加する特定建築物) 第29条 法第14条第3項の規定により条例で定める特別特定建築物に追加する特定建築物は、次に掲げるものとする。ただし、建築基準法(昭和25年法律第201号)第85条第1項及び第2項に規定する応急仮設建築物並びに同条第5項の許可を受けた建築物(次条各号において「仮設建築物」という。)を除く。 (1) 学校(政令第5条第1号に掲げるものを除く。) (2) 共同住宅 (3) 老人ホーム、保育所、福祉ホームその他これらに類するもの(政令第5条第9号に掲げるもの及び規則で定めるものを除く。) (建築の規模) 第30条 法第14条第3項の規定により条例で別に定める同条第1項の建築の規模(新築、増築又は改築の場合の規模に限る。)は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める床面積(増築又は改築の場合にあっては、当該増築又は改築に係る部分の床面積。第32条第2項において同じ。)とする。 (1) 政令第5条第1号、第2号、第4号、第6号、第8号から第10号まで及び第12号から第16号までに掲げる特別特定建築物(仮設建築物を除く。)並びに前条第1号及び第3号に掲げる特定建築物 合計500平方メートル (2) 政令第5条第3号、第5号、第7号及び第11号に掲げる特別特定建築物(仮設建築物を除く。) 合計1,000平方メートル (建築物移動等円滑化基準に付加する事項) 第31条 法第14条第3項の規定により条例で同条第1項に規定する建築物移動等円滑化基準に付加する事項は、次に掲げるものとする。 (1) 政令第11条各号列記以外の部分に規定する廊下等は、階段の上端に近接する部分(同条第2号に規定するものを除く。)に、同号ただし書の場合を除き、点状ブロック等を敷設すること。 (2) 政令第12条各号列記以外の部分に規定する階段は、次に掲げるものであること。 ア 段がある部分の上端に近接する踊場の部分(政令第12条第5号に規定するものを除く。)には、同号ただし書の場合を除き、点状ブロック等を敷設すること。 イ 主たる階段のうち1以上は、踊場に手すりを設け、かつ、回り階段でないこと。 (3) 階数が4以上の共同住宅にあっては、政令第18条第1項第1号に規定する道等及び駐車場から各住戸までの経路を同項に規定する移動等円滑化経路(以下「移動等円滑化経路」という。)とすること。 (4) 移動等円滑化経路は、次に掲げるものであること。 ア 当該移動等円滑化経路を構成する出入口のうち、直接地上へ通ずる出入口の幅は、90センチメートル以上とすること。  イ 当該移動等円滑化経路を構成する敷地内の通路の幅は、140センチメートル以上とすること。 (建築物移動等円滑化基準の適用除外) 第32条 第29条各号に掲げる特定建築物のうち、幼稚園及び保育所については、政令第14条第1項第 2号の規定は、適用しない。 2 第30条第1号に掲げる特別特定建築物及び特定建築物のうち、床面積が1,000平方メートル未満の特別特定建築物及び特定建築物の移動等円滑化経路(階と階との間の移動に係る部分に限る。)については、政令第18条第2項第1号の規定は、適用しない。 (制限の緩和) 第33条 この章の規定は、この章の規定による場合と同等以上に特別特定建築物(第29条各号に掲げる特定建築物を含む。以下この条において同じ。)の移動等円滑化が図られると知事が認める場合又は特別特定建築物の利用の目的、敷地の状況等によりこの章の規定により難いと知事が認める場合においては、適用しない。 第5章 雑則 (適用除外) 第34条 市町村が施設等の整備に関して障害者等の利用及び移動に配慮した街づくりの見地から制定するバリアフリーの街づくりに関する条例の内容が、この条例の趣旨に則したものであり、かつ、この条例と同等以上の効果が期待できるものと知事が認めて公示したときは、第3章の規定は、当該市町村の区域における施設等の整備については、適用しない。 2 市町村が法第14条第3項の規定に基づいて制定する条例の内容が、前章の規定と同等以上の効果が期待できるものと知事が認めて公示したときは、同章の規定は、当該市町村の区域には、適用しない。 3 前2項の知事の認定は、神奈川県公報により行う。 (特定道路及び特定公園施設の整備についての適用除外) 第35条 第3章第1節の規定は、法第10条第1項の規定に基づく条例の規定の適用を受ける特定道路(法第2条第9号に規定する特定道路をいう。)の整備については、適用しない。 2 第3章第1節(公園に関する整備基準に係る部分に限る。)の規定は、法第13条第1項の規定に基づく条例の規定の適用を受ける特定公園施設(法第2条第13号に規定する特定公園施設をいう。)の整備については、適用しない。 (委任) 第36条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。 附 則 1 この条例は、平成8年4月1日から施行する。 一部改正〔平成20年条例40号〕 2 知事は、平成21年10月1日から起算して5年を経過するごとに、この条例の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 附 則 (施行期日) 1 この条例は、平成21年10月1日から施行する。 (経過措置) 2 この条例の施行の際現に工事中の高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第2条第17号に規定する特別特定建築物(改正後の第29条各号に掲げる同法第2条第16号に規定する特定建築物を含む。以下「特別特定建築物」という。)の新築、増築若しくは改築又は修繕若しくは模様替については、改正後の第4章の規定は、適用しない。 3 この条例の施行の際現に存する特別特定建築物で、その用途が次の各号のいずれかに該当するものについては、それぞれ当該各号に掲げる他の用途に変更する場合にあっては、改正後の第4章の規定は、適用しない。 (1) 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令(平成18年政令第379号)附則第4条第1号から第5号まで、第7号及び第8号に掲げる用途 (2) 老人ホーム、保育所、福祉ホームその他これらに類するもの 附 則(平成21年8月25日条例第68号) この条例は、公布の日から施行する。 附 則(平成25年1月11日条例第32号) この条例は、公布の日から施行する。