(5ページ) V 人権尊重のための基本姿勢  「人権がすべての人に保障される地域社会」を実現するためには、行政だけではなく、企業やさまざまな団体、そして県民一人ひとりが地域社会を構成する主体として、この指針の基本理念を共有し、人権尊重の視点を意識して行動することが必要です。  そこで、この指針に掲げる目標達成に向けた基本姿勢として、県職員が取り組むべきこと、県民の皆様や企業等の皆様に取り組んでいただきたいことを以下に示します。 1 県(県職員)が取り組むべきこと (1) 人権尊重の視点に立った職務遂行   次の点に留意し、県のあらゆる施策・事業を推進します。 ア すべての人の人権を尊重します。 イ 人権課題を「自分ごと」として考え、問題意識をもって取り組みます。 ウ 職務や研修を通して人権感覚を磨き、様々な人権課題に対する理解を深めます。 エ 誰もがその人らしく暮らすことができる差別のない地域社会の実現に向けて施策・事業を推進します。 オ 関係機関と協働・連携して人権施策を推進します。 (2) 人権課題への適切な対応  社会情勢の変化に伴い多様化・複雑化する人権課題について、NGO・NPO、当事者等との情報交換などを通して状況を的確に把握し、迅速、かつ適切な対策を講じます。複数の課題が複合して生じている場合は、関係機関と連携して取り組みます。  また、市町村が主体となって実施する人権施策・事業等についても、積極的に情報交換の機会を設けるよう努めるとともに、必要に応じて連携・支援を行います。 2 県民の皆様に取り組んでいただきたいこと  人権がすべての人に保障される地域社会を実現するためには、県民の皆様一人ひとりが、人権尊重の視点から社会の動きをキャッチし、知識から行動へという積極的姿勢に立って人権課題に取り組むことが重要です。  そのためには、まず日常生活の中で、偏見に基づく不当な差別的言動など、人権上問題があると思われる出来事に接した際に、直感的にそれはおかしいと思う感性や、人権への配慮が自らの態度や行動に表れるような人権感覚を身に付けることが大切です。そのためには、次の点に留意する必要があります。 (6ページ) ア 一人ひとりがかけがえのない存在だという気持ちを持ち、自分の人権も、他人の人権も等しく大切にすること イ 一人ひとりに多様な個性があることを知り、それを認め合うこと ウ 「偏見を持たない」、「差別をしない」、「差別を許さない」という気持ちを行動に表すこと  エ 人権課題を「自分ごと」としてとらえ、その解決に向けて行動すること オ 地域とのつながりを大切にするなど、毎日の生活で「支え合い」について心がけること 3 企業等の皆様に取り組んでいただきたいこと  現代社会において、企業等が人権尊重の視点に立って活動を行うことは、企業価値を高めるだけでなく、企業等が果たすべき社会的責任の一つとして求められています。  人権が尊重される明るい職場であることは、企業等の発展に欠かせないだけでなく、働く者の労働意欲の向上や心身の健康状態に影響します。特に、パワー・ハラスメントやセクシュアル・ハラスメントをはじめとした職場におけるハラスメントは、相手の尊厳や人格を傷つける人権侵害であり、防止や解決に向けて取り組むことが重要です。  また、広報活動、とりわけSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用した広報においては、「発信する内容に差別的表現や偏見が含まれていないか」という視点を常に持つことが、意図せず他者の人権を侵害してしまうといった問題を未然に防ぐためにも、大変重要です。  人権尊重の視点に立った企業活動や、職場づくり等のためには、次の点に留意する必要があります。 ア 職場全体で人権尊重の意識を高めること イ パワー・ハラスメントなど、あらゆるハラスメントの根絶に向けて取り組むこと ウ 人権啓発を推進するためのしくみをつくること エ 消費者や取引先の方の人権に配慮した企業活動を行うこと オ 個人の能力と適性に基づく公正な採用と公平な処遇を行うこと カ 県等が実施する講演会に参加するなど、人権課題への理解を深めるために積極的に行動すること