(33ページ) (5) 障がい児支援の提供体制の整備等  <現状及びこれまでの取組> ○ 障がい児支援については、障害福祉サービス、障害児通所支援等の専門的な支援の確保及び共生社会の推進の観点から、保健、医療、保育、教育、就労支援等の関係機関と連携を図った上で、障がい児及びその家族に対し、乳幼児期から学校卒業まで切れ目のない効果的な支援を身近な地域で提供する体制を構築することが重要です。 ○ 県では、障がい児の地域社会への参加・包容(インクルージョン)を推進するため、保育所等訪問支援の活用等により、障がい児を含む全ての子どもが適切な支援を受けつつ地域で育つことができるような体制の整備を図ってきました。 ○ また、特別な支援が必要な重症心身障がい児*26の在宅生活を支援するため、障がい児やその家族に、在宅生活に係る情報提供や、相談支援等を行うとともに、専門的な支援の体制を備えた短期入所や居宅介護、児童発達支援等の提供体制を整備してきました。 ○ 医療的ケア児に対しては、県所管域を対象とした実態調査を実施して実態把握に努めるとともに、県、各障がい保健福祉圏域及び各市町村において、保健、医療、障がい福祉、保育、教育等の関係機関等が連携を図るための協議の場を設置し、医療的ケア児支援の方策等について協議を行ってきました。 ○ また、医療的ケア児が必要とする多分野にまたがる支援の利用を調整し、医療的ケア児支援のための地域づくりを推進するコーディネーター(以下「医療的ケア児等コーディネーター」という。)の養成を目的とした研修を実施し、医療的ケア児支援の向上を図ってきました。 <取組による成果> ○ 国の基本指針では、児童発達支援センター*27を地域における中核的な支援機関に位置づけ、障害児通所支援等を実施する事業所と緊密な連携を図り、重層的な障害児通所支援の体制整備を図ることが求められています。本県において児童発達支援センターを設置している市町村数は、令和2年度末時点で15市町村となっています。 (34ページ) ○ また、県内で保育所等訪問支援を利用できる体制を整備している市町村は、令和2年度末時点で17市町村、また、主に重症心身障がい児*26を支援する児童発達支援事業所を確保している市町村は15市町村、主に重症心身障がい児を支援する放課後等デイサービス事業所を確保している市町村は16市町村となっています。 ○ 第5期計画では、「障害児通所支援等の提供体制の確保」に関して、平成30年度末までに、県、各障がい保健福祉圏域及び各市町村に医療的ケア児支援のための「協議の場」を設置することを成果目標として取組を進めてきましたが、令和2年度末時点では、県及び圏域については設置済みとなったものの、市町村では、23市町村に留まるなど、目標を達成できませんでした。 <課題> ○ 障がい児やその家族に対する重層的な地域支援体制の構築に向けて、市町村における児童発達支援センターの設置を促進していく必要があります。 ○ 障がい児の地域社会への参加・包容(インクルージョン)を推進するため、保育所等訪問支援の更なる活用に向けた体制の整備が必要です。また、重症心身障がい児や医療的ケア児等が安心して利用できる障害福祉サービス等の基盤整備を引き続き進めていく必要があります。 ○ 医療的ケア児等が、身近な地域で必要な支援を受けられる体制の整備が必要であることから、各市町村における「協議の場」の設置とともに、医療的ケア児等コーディネーターの配置を促進する必要があります。   ○ 令和3年6月に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)」が成立し、同年9月に施行されたことを踏まえ、「医療的ケア児支援センター」の設置など、法において規定された施策の実現に向けて取り組む必要があります。   ○ 重症心身障がい児や医療的ケア児などの介護をしている家族等(ケアラー)が地域で孤立することなく、自分の希望する人生や日々の暮らしが送れるよう支援する必要があります。   (35ページ) ○ 国の基本指針では、新たに、都道府県に「難聴児支援のための中核的機能の確保」が求められています。難聴児及びその家族に対する支援については、保健、医療、福祉、教育、当事者団体など様々な関係者が、それぞれの立場から関わっているところであり、切れ目のない支援を受けられるようにする体制の整備が必要です。   <成果目標>  国の基本指針及び本県の現状、課題等を踏まえ、次のとおり成果目標を設定します。 ア 重層的な地域支援体制の構築を目指すための児童発達支援センターの設置及び保育所等訪問支援の充実の表 成果目標 児童発達支援センターを設置する市町村の数、(令和2年度実績)15市町村、令和5年度の目標 33市町村(全市町村) 成果目標 保育所等訪問支援を利用できる体制を構築している市町村の数、(令和2年度実績) 17市町村、令和5年度の目標 33市町村(全市町村)   イ 主に重症心身障がい児を支援する児童発達支援事業所及び放課後等デイサービス事業所の確保の表 成果目標 主に重症心身障がい児を支援する児童発達支援事業所を確保している市町村の数、(令和2年度実績)15市町村、令和5年度の目標 33市町村(全市町村) 成果目標 主に重症心身障がい児を支援する放課後等デイサービス事業所を確保している市町村の数、(令和2年度実績)16市町村、令和5年度の目標 33市町村(全市町村) (36ページ) ウ 医療的ケア児支援のための関係機関の協議の場の設置及びコーディネーターの配置の表 成果目標 関係機関の連携のための協議の場を設置している市町村の数、(令和2年度実績)23市町村、令和5年度の目標 33市町村(全市町村) 成果目標 医療的ケア児等コーディネーターを配置する市町村の数、(令和2年度実績)7市町村、令和5年度の目標 33市町村(全市町村) エ 難聴児支援のための中核的機能を有する体制の構築の表 成果目標 難聴児支援のための中核的機能を有する体制の確保、(令和2年度実績)未対応、令和5年度の目標 令和5年度末までに必要な体制を確保 <目標達成のための方策>  成果目標の達成に向けて、次のような方策を実施します。 (障がい児の発達段階に応じたサービスの提供) ○ 障がい児に対して指導訓練等の支援を行う児童発達支援等を提供するとともに、居宅介護、短期入所等を提供し、障がい児が身近な地域で必要な支援を切れ目なく受けられる体制の充実を図ります。また、障がい児の発達段階に応じて、保育所等訪問支援及び放課後等デイサービス等の適切な支援を提供します。 (児童発達支援センターの設置促進) ○ 市町村における児童発達支援センター*27の設置を促進するため、未設置の市町村に対し、参考となる設置事例の情報提供等を行うとともに、市町村からの設置に係る相談に丁寧に対応していきます。 (在宅支援の充実) ○ 在宅で生活する重症心身障がい児や医療的ケア児が、専門的な支援体制を備えた短期入所や居宅介護、児童発達支援等のサービスを受けられるよう、専門人材の養成等を行い、在宅支援の充実を図ります。  (37ページ) ○ 重症心身障がい児や医療的ケア児などの介護をしている家族等(ケアラー)の相談窓口の設置やレスパイト(休息)のための支援など、関係分野とも連携して、ケアラーの負担軽減を図り、地域での自立した生活を継続できるよう支援を行います。 (医療的ケア児への支援) ○ 医療的ケア児支援のための関係機関の「協議の場」については、全ての市町村における設置を目指し、未設置の市町村の状況等を把握するとともに、設置及び運営に係るノウハウの提供等の支援を行っていきます。   ○ 医療的ケア児やその家族等への切れ目のない支援をするため、総合相談窓口として「かながわ医療的ケア児支援センター(仮称)」を令和4年度中に設置し、市町村、医療的ケア児支援の専門的知見を有する社会福祉法人や神奈川県立こども医療センター等と連携して、医療的ケア児の家族等からの相談に対応していきます。 ○ 県立特別支援学校において医療的ケア児が安全に学ぶことができる環境を整備するとともに、その家族等の負担を軽減するため、令和4年度より福祉車両等による通学支援を試行します。 ○ 医療的ケア児等コーディネーターについては、引き続き養成のための研修を実施することにより人数の充実を図るとともに、先駆的な取組を行う市町村の事例を情報提供すること等により、各市町村への配置を促進していきます。 (難聴児支援の体制の構築) ○ 難聴児支援の中核的機能を有する体制の構築に向けて、保健、医療、福祉、教育等の関係機関や当事者団体等と連携し、意見聴取を行いながら検討を進めます。