(28ページ) (4) 福祉施設から一般就労への移行等 <現状及びこれまでの取組> ○ 働くことは自立した生活を支える基本であり、一人ひとりの可能性を伸ばすことでもあります。障がい者が、ライフステージに応じて、その人らしい働き方を選択できるよう、福祉的就労*18とともに、一般就労*19への移行や定着支援を充実していくことが求められています。 ○ 福祉的就労への支援について、県では、「かながわ工賃アップ推進プラン」に基づき、障害福祉サービス事業所等に対する企業的経営手法の導入や、複数の事業所が共同して受注を行う共同受注窓口の推進等により、工賃向上を図るための取組を行ってきました。 ○ また、障がい保健福祉圏域に設置する地域就労援助センター*20の運営費を助成することにより、障がい者の福祉的就労に向けて相談、指導・訓練、就労援助等の支援を行ってきました。 ○ 一般就労への支援について、県では、国の制度に基づき、障害者就業・生活支援センター*21を設置して障がい保健福祉圏域ごとの広域的な就労支援ネットワークの充実を図るとともに、特別支援学校とも連携し、一般就労及び就労定着支援の強化に取り組んできました。 ○ また、障害者雇用促進センター*22を設置し、企業支援や就労支援機関の支援を行うとともに、障がい者雇用に関する情報提供を行うなど、障がい者雇用の促進に向けて、様々な関係機関と連携しながら支援を行ってきました。 <取組による成果> ○ 第5期計画では、令和2年度の年間一般就労者数を1,794人(平成28年度の1.6倍)とすることを成果目標に掲げて取組を推進してきましたが、実績は1,398人となり、目標を達成できませんでした。 ○ また、令和2年度末の就労移行支援事業の利用者数を4,152人(平成28年度の170%増)にするという成果目標については、令和2年度末時点の実績が4,412人となり、目標を達成しましたが、令和2年度の一般就労移行率が3割以上の事業所の割合を50%にするという成果目標の実績は27.8%となり、目標を達成できませんでした。 (29ページ) ○ 一方、令和2年度の就労定着支援による支援開始1年後の職場定着率を80%にするという成果目標の実績は81.9%となり、目標を達成しています。   <課題> ○ 障がい者が就職後も安心して働き続けられるよう、就労移行から就労定着までの切れ目のない支援を強化していく必要があります。 ○ 就労移行支援事業等の利用者について、精神障がい者の割合が増加していること等を踏まえ、精神障がいや発達障がいなど障がい特性に応じた支援の充実に取り組む必要があります。     ○ 障がい者の生活の安定のため、新型コロナウイルス感染症のまん延時等においても持続可能な支援を強化する必要があります。     ○ 障がい福祉、教育、労働等の関係機関の連携をより一層強化し、障がい者が効果的な就労支援を受けられるよう取り組む必要があります。 ○ 国の基本指針においては、就労移行支援事業だけでなく、就労継続支援事業についても、成果目標を設定して評価することとされています。また、一般就労*17への定着も重要であることから、就労定着支援事業の利用者数に係る成果目標を設定することとされています。 <成果目標>  国の基本指針及び本県の現状、課題等を踏まえ、次のとおり成果目標を設定します。 ア 福祉施設利用者の一般就労への移行者数の表 成果目標 就労移行支援事業等を通じて令和5年度中に一般就労に移行する人の数、(令和2年度実績)1,398人、令和5年度の目標 1,799人 (30ページ) イ 就労移行支援事業等の就労移行者数の表 成果目標 就労移行支援事業から一般就労に移行する人の数、(令和2年度実績)1,068人、令和5年度の目標 1,341人 成果目標 就労継続支援A型事業から一般就労に移行する人の数、(令和2年度実績)105人、令和5年度の目標 119人 成果目標 就労継続支援B型事業から一般就労に移行する人の数、(令和2年度実績)168人、令和5年度の目標 333人 ウ 就労定着支援事業の利用率等の表 成果目標 令和5年度における就労移行支援事業等を通じて一般就労に移行する人のうち就労定着支援事業を利用する人の数、(令和2年度実績)307人、令和5年度の目標 1,259人以上(令和5年度における一般就労移行者の70%以上) 成果目標 就労定着支援事業所のうち就労定着率が8割以上の事業所の割合、(令和2年度実績)49.1%、令和5年度の目標  70%以上   <目標達成のための方策>  成果目標の達成に向けて、次のような方策を実施します。 (関係機関との連携) ○ 特別支援学校や障害者就業・生活支援センター、ハローワーク、就労移行支援事業所、就労定着支援事業所、相談支援事業所等の関係機関が密接に連携し、障がい者の就労及び職場定着までの一貫した支援、生活面の相談支援を実施します。 (障害者就業・生活支援センター*21における支援) ○ 障害者就業・生活支援センターにおいて、国と連携し、就業に伴う日常生活の支援を必要とする障がい者に対し、窓口での相談や職場・家庭訪問等による生活面の支援等を実施します。 (31ページ) ○ 障害者就業・生活支援センターにおいて、精神保健福祉士又は精神障がい者の支援に精通した「生活支援担当職員」を配置し、精神障がい者、発達障がい者等の特性を踏まえた支援を実施します。 ○ 特別支援学校の卒業生が安心して働き続けることができるよう、障害者就業・生活支援センターが、特別支援学校主体の職場訪問に同行し、職場定着に向けた支援を実施するほか、圏域ごとに特別支援学校との連絡会を開催し、個別事例に関する支援の検討などを行います。 (農福連携の推進) ○ 農業に取り組む障害者就労施設や企業等に対する情報提供、6次産業化の支援等を通じて農業分野での障がい者の就労を支援するなど農福連携*23を進め、障がい者の就労の場の拡充を図ります。 (持続可能な就労支援サービスの提供) ○ 新たな感染症等のまん延や災害等の発生時においても、障がい者への就労支援に係るサービスが継続して提供されるよう、事業所によるオンラインによる相談対応や、アウトリーチ*24による対応についても支援していきます。 (障がい者雇用の促進に向けた企業等への支援) ○ 障害者雇用促進センター*22において、神奈川労働局・ハローワークと連携し、障害者法定雇用率未達成の中小企業等を対象とした個別訪問や出前講座など、きめ細かい企業支援を行います。  また、地域の就労支援機関*25に対して、利用者の職業能力評価や研修を実施し、支援力の向上を図ります。 ○ 企業の経営者や人事担当者等が障がい者雇用への理解を深め、自社での雇用イメージを持てるよう、障がい者雇用促進フォーラムや企業交流会等を実施します。 ○ 精神障がい者の雇用と職場定着の促進のため、企業向けに精神障がい者の雇用と職場定着に特化した研修を実施するほか、新たに精神障がい者を雇用した企業が職場指導員を設置した場合に補助を行います。 (32ページ) (障がいの特性に応じた職業訓練等の実施) ○ 神奈川障害者職業能力開発校において、障がい者本人の希望を尊重しつつ、障がい特性に応じた職業訓練や技術革新の進展等に対応した在職者訓練等を実施します。 ○ また、民間教育訓練機関等を活用し、障がい者の身近な地域で障がい特性に応じた多様な委託訓練を実施します。さらに、障がい者の職業能力の開発・向上の重要性に関する事業主や県民の理解を高めるための啓発を行います。