資料4 今後の県立障害者支援施設のあり方について 令和5年12月に策定した「県立障害者支援施設の方向性ビジョン」(以下「ビジョン」という。)の中で示した各県立障害者支援施設(以下「県立施設」という。)の方向性について、現在の取組状況を報告する。 (ビジョンでの県立施設の方向性に関する整理) 県立施設として継続 地方独立行政法人による運営に移行する 中井やまゆり園(※) 民間法人へ移譲 さがみ緑風園 厚木精華園 三浦しらとり園 引き続き方向性を検討 芹が谷やまゆり園 津久井やまゆり園 愛名やまゆり園 ※中井やまゆり園は、令和8年4月の地方独立行政法人化に向けて、準備中。(詳細は、「新たな地方独立行政法人の設立について」で別途報告) (1) 民間法人への移譲を検討する施設 ア さがみ緑風園 (ア)現状 ・平成14年の開設時は定員160名の大規模施設であったが、入所者の減少が続き、現在の入所者数は29名(定員40名)である。 ・このため、2階建ての建物のうち居住フロアとして使用しているのは、2階の一部だけとなっている。 ・最重度の身体障害者用の施設として、民間施設に比べて広く、ゆとりを持ったつくりの建物であり、維持・管理費がかかる。 (イ)検討状況 ・建物の使用していない部分(建物1階部分と2階の一部)の活用に向けて、地域の福祉的ニーズを把握するため、関係機関にヒアリングを行ったところ、特別養護老人ホーム等の大規模な施設利用のニーズは、現時点でないことを確認した。 (ウ)今後の対応 ・移譲に向け、建物の今後の維持・管理コストを整理するなど、移譲条件等を整理する。 ・移譲までの間は、施設を有効に活用すべく、引き続き検討を行う。 イ 厚木精華園 (ア)現状 ・市街地から離れた立地であり、園外での日中活動の機会や地域との交流の場が少ない状況である。また、高齢の知的障害者支援のモデル施設であったことから高齢者が多く、地域生活移行が進んでいない。 ・隣接地は土砂災害特別警戒区域に指定されている。 ・建物は築30年が経過し、定員112名の大規模施設で、2人部屋が中心の多床室となっている。 ・令和7年4月から県職員を派遣し、介護保険サービスへの移行へ向け、ノウハウなどを伝えるなど、実践的な取組を行っている。 ・民間移譲に向けた検討に時間を要することから、指定管理を令和9年度まで延長した。 (イ)検討状況 ・民間移譲にあたって、この地域での事業展開を検討するため、近隣で障害福祉サービス事業所を運営する複数の民間法人から、現在の運営状況、課題等のヒアリングを行い、利用者の地域生活移行に向け、課題を抱える法人があることを確認した。 ・移譲にあたっては、移譲希望の法人から実効性ある計画の提案を募り、選定にあたっては、公募の方向で検討していく。 (ウ)今後の対応 引き続き、民間法人等と意見交換を重ねながら、移譲方針等を検討する。  ウ 三浦しらとり園 (ア)現状 ・知的障害児と知的障害者の複合施設である。 ・建物は築42年が経過し、児者あわせて定員152名の大規模施設で、多床室が中心となっており、老朽化が進んでいることから、再整備が必要となっている。 (イ)検討状況 ・指定管理者は、入所者の地域生活移行を進め、定員規模の縮小などの検討を行っている。 ・県では、移譲に向けて、指定管理者や複数の社会福祉法人に、重度障害者が地域に溶け込んだ暮らしを実現できるような小規模な施設の運営や、地域生活の拠点としての必要な役割について、ヒアリングを行っている。 (ウ)今後の対応 指定管理者や他の法人の意見を聞きながら、国の報酬でどのような効果的な運営ができるか検討するとともに、必要に応じて、県による財政的支援を検討していく。 (2) 引き続き方向性を検討する施設 ア 芹が谷やまゆり園及び津久井やまゆり園 (ア)現状 ・両園ともに建物は小規模ユニット施設として整備されている。 ・園外に日中活動の拠点を設置し、又は設置する計画があるなど、積極的に地域生活移行に取り組んでいる。 ・両園とも指定期間が令和9年度までであるため、遅くとも令和8年中には方向性を示す必要がある。 (イ)検討状況 方向性の検討にあたって、各園の特徴や現状を把握するために、両施設を訪問して、日中活動、地域団体との連携、周辺地域の資源等について、視察やヒアリング等を行っている。 (ウ) 両園の取組 a 芹が谷やまゆり園 ・令和6年3月に、地域での活動を促進する拠点とするため、園の近隣に従たる事業所(定員16名)を設置し、地域清掃に参加するなど、日中活動の機会を増やす取組を行っている。 ・グループホームの見学、実習及び体験を通じて地域生活移行を推進している。 b 津久井やまゆり園 ・意思決定支援の担当者会議において、本人の望む生活ができているか等の確認を行い、利用者自らの意思が反映された生活の実現と、利用者からの意見を園の運営に反映させている。 ・地区の社会福祉協議会や支援学校等との協力、地域イベントへの参加等、地域とのつながりが深く、また、在宅障害者等の生活介護の受入れを行うなど、地域の障害者を支える社会資源となっている。 (エ) 今後の対応 当事者目線の支援の実践や通過型施設として地域生活移行の取組等、指定管理の状況を検証しながら方向性を検討していく。 イ 愛名やまゆり園 (ア)現状 ・県全域からアクセスがしやすく、障害福祉サービス事業所をはじめ、地域資源が豊富な県央地域に立地している。 ・建物は築39年が経過し、定員120名の大規模施設で、4人部屋が中心の多床室となっており、老朽化が進んでいる。 ・将来的に、利用者の方々が地域に溶け込んで暮らせるようにするためには、どのようなあり方がふさわしいか、検討を進めている。 ・ 令和7年4月から県職員を派遣し、意思決定支援の推進や施設利用者の生活支援、日中活動の支援を行っている。 (イ)検討状況 ・将来的に目指す「地域に溶け込んだ暮らし」のイメージや再整     備について、利用者、御家族、関係団体等と意見交換を行った。 ・かながわ共同会は、第三者委員会が令和6年10月に公表した、「愛名やまゆり園虐待事案に関する第三者委員会中間報告書」を受け、令和7年1月「かながわ共同会法人改革・愛名改善等実行プラン」を策定し、抜本的な法人改革及び園の改善等に取り組んでいる。 ・県は、「かながわ共同会法人改革・愛名改善等実行プラン」との整合性を図りながら、「「愛名やまゆり園虐待事案に関する第三者委員会中間報告書」 による県への指摘に係る検証結果報告書」を令和7年3月に取りまとめた。 ・指定管理を令和9年度まで延長したが、令和10年度以降の運営方針を示す必要がある。 ・県立施設として存続し、中井やまゆり園とともに、地方独立行政法人が一体的に運営することを視野に入れて検討を進める。 (ウ)今後の対応 再整備や地方独立行政法人による運営を視野に入れ、引き続き、以下の検討を行う。 ・地域に溶け込んだ暮らしの検討 ・地域生活移行の推進 ・組織執行体制の検討 (参考:県立施設の概要) 施設名 (所在地) 管理方法 指定管理者 指定期間 主な 対象 定員 築年数 (部屋) 中井やまゆり園 (中井町) 直営 知的 140人 築25年 (個室・多床室) さがみ緑風園 (相模原市南区) 直営 身体 40人 築22年 (個室中心) 芹が谷やまゆり園 (横浜市港南区) 指定管理 同愛会・白根学園 令和5年4月から 令和10年3月まで 知的 66人 築3年 (個室) 津久井やまゆり園 (相模原市緑区) 指定管理 かながわ共同会 令和5年4月から 令和10年3月まで 知的 66人 築3年 (個室) 愛名やまゆり園 (厚木市) 指定管理 かながわ共同会 平成28年4月から 令和10年3月まで 知的 120人 築39年 (多床室中心) 厚木精華園 (厚木市) 指定管理 かながわ共同会 平成28年4月から 令和10年3月まで 知的 112人 築30年 (多床室中心) 三浦しらとり園 (横須賀市) 指定管理 清和会 令和5年4月から 令和10年3月まで 知的 (児・者) 40人 112人 築42年 (多床室中心)