資料4 運営会議からの提案 神奈川県障害者自立支援協議会の今後の取組について 1 はじめに これまで神奈川県障害者自立支援協議会(以下「県協議会」という)には、障害保健福祉圏域自立支援協議会(以下「圏域協議会」)で報告された課題について、課題は共有されてきましたが、解決や軽減に向けて、今後の取組の方向性を示すまでの協議は行えてきませんでした。 県では、令和5年4月に「神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例〜ともに生きる社会を目指して〜」を施行し、協議会の活性化が明記されたことを受け、各協議会(市区町村協議会、圏域協議会、県協議会)における課題解決に向けた取組みの方向性の整理、協議間の連動について提案したいと考えます。 2 課題整理の流れ 市区町村協議会で課題を検討し、より広域的な検討が必要な場合、圏域協議会で課題の報告を行い、その後、圏ナビ連絡会議及び運営会議を通じて整理及び全県的な取組の目標設定を行います。 そして、具体的な取組を決定・実施し、振り返りにより再評価を行うという流れ(サイクル)で進めて行くことを検討しています。 3 市町村、圏ナビ、県との一体的な課題解決(軽減)に向けた方向性 課題を整理する上で、「できていないこと」のみを捉えるのではなく、「それぞれの市町村、圏ナビ、県で取り組んでいること」、「できていること」を強みとして捉える「ストレングスの視点」での取組の推進が重要であると考えます。 また、県協議会にあがった課題は、市町村、圏域、県のそれぞれの領域のみで解決を図ることは困難なため、課題に対して3層全体で一体感を持ち、距離を感じさせない協働体制を築くことが求められます。 そのため、課題に対する取組は、それぞれの地域の既存の取組を参考にしながら、それぞれのレベルで役割を分担しながらも、一体的に取り組むことにより、課題の解決や、軽減を目指します。 課題や、取組の内容によってモデルとなる地域・好事例を他の地域に展開することで、広域的な課題の解決、軽減を目指します。 圏ナビは、市町村、圏域、県の中心に位置している特徴を活かして、市町村及び圏域の取組と県の施策をつないでいく架け橋の役割を担います。   提案事項@ 課題の整理方法について 県全体の課題・テーマをもとに階層ごとで整理を行い、市町村、圏域、県の3層が一体となった課題解決(軽減)のための、ストレングス視点を持った取組を実施していきます。 また、取組を行う中で、階層ごとの課題を整理し、「見える化」をしていくためのアセスメントシートを今後作成できたらと考えています。 4 第37回(前回の)県協議会であがった課題 (1)グループホームの支援体制確保に関する課題 (2)セルフプラン率の削減に向けた課題 5 各課題への取組の方向性 (1)グループホームへの支援体制の確保に関する課題 県は、市町村向けに現状の実態や、支援ニーズを明らかにする実態調査や、他の都道府県の取組(認証制度等)について情報収集を行います。 圏ナビは、市町村や、圏域単位でグループホーム同士が横の繋がりを形成し、日々の業務を振り返る場として開催しているグループホーム連絡会を推進するため、先駆的に取り組んでいる地域の取組を紹介することや、連絡会を設置している地域と協働し、参加ができていないグループホームの現場の状況を把握するためのヒヤリング調査を、基幹相談支援センター等と連携しながら実施し、支援体制の整備と支援の質の向上を図ります。 市町村には、こうした取組への協力を依頼し、多層的な取組により、グループホームの課題を改善し、強度行動障害を抱えた方への支援にも繋がるよう、基盤づくりを行います。 課題の整理 目標、具体的な取組(例示)の順に記載 県 支援体制の充実と質の向上 現地の実態や支援ニーズ等の調査、他の都道府県の取組の把握 圏域 地域における事業所・支援者の孤立防止、地域内で相談できる体制の整備 グループホーム連絡会の設置促進、訪問調査の実施 市町村 グループホームを支える、地域の支援体制の整備 訪問調査等への実施協力、グループホーム間の情報交換、研修会の開催 ※ 市町村の目標や具体的な取組は、市町村や基幹相談支援センター等と協議します。   なお、強度行動障害を抱えた方への支援体制の確保に関する課題についても前回の県協議会で取り上げられていますが、県全体の進むべき方向性が現状で打ち出されていないことが課題の一つであり、自立支援協議会としての取組の方向性を打ち出していくことは困難であると考え、本課題については、自立支援協議会の主だった課題として取り扱うことはできません。 しかしながら、県全体の方向性が打ち出された時に受け皿となる土壌を整えていく必要があります。 自立支援協議会では、地域の相談支援体制の整備という本来の目的・視点をもとに、グループホームをはじめとした地域資源を支える体制の整備を行います。   (2)セルフプラン率の削減に向けた課題 相談支援専門員の確保や養成が追い付いていないこと等が要因で「望んでいないにも関わらず、セルフプランを余儀なくされている方」がいることは非常に大きな課題であると考えています。 ここでは、セルフプランを希望している「積極的なセルフプランの方」と、希望していないが、うまく相談支援専門員につながることができず仕方なくセルフプランとなっている「消極的なセルフプランの方」、そして、保護者等が本人が不在の中でプランを作成している「本人不在のセルフプラン」の3種類に分け、主に、「消極的なセルフプラン」と「本人不在のセルフプラン」の2つを削減していく取組について考えていきたいと思います。 セルフプラン率削減に向けた取組として、「県全体でセルフプラン率を1%削減すること」を目標値に掲げ、市町村、圏域、県が協働した相談支援体制の整備を推進します。 県では、相談支援従事者人材育成ビジョンの周知や、相談支援事業所の経営モデルの提供、そして、実際に単独型相談支援事業所を運営している事業所を招いた研修会の開催や、計画支援事業所の職員を対象とした経営や業務の効率化に関する研修の開催を検討し、相談支援専門員の確保・養成を図ります。 さらに、セルフプラン率の低い自治体における先進的な取組を他の地域に紹介し、削減目標の具体的な数値を提示することで、取組の方向性を明確にします。 圏ナビにおいては、市町村や基幹相談支援センター向けに人材育成ビジョンの普及を進めます。 相談支援体制の実態や取組に関する調査を実施し、その結果をもとに、市町村や基幹相談支援センター向けの研修会や複数事業所による協働モデルの説明会を開催することで、広域的な取組の促進を図ります。 市町村においては、相談支援体制の整備に向けた調査協力や、研修会や説明会への参加を依頼します。 こうした取組を通じて、相談支援専門員の確保・養成を進め、セルフプラン率削減を県全体で目指します。 なお、市町村及び圏域協議会においては、数値目標に捉われず、地域の状況に応じて、「消極的なセルフプラン」と「本人不在のセルフプラン」を減らせるよう、県と協働し、取り組んでいければと考えています。 課題の整理イメージ 目標、具体的な取組(例示)の順に記載 県 人材育成ビジョンを通じた体制整備の促進 相談支援体制整備の実態や取組に関する調査、人材育成ビジョンの周知、経営モデルやプレゼン資料提供、実際に単独型相談支援事業所として経営や運営している事業所を招いての研修会、協働モデルの周知、計画相談支援事業所職員向けの経営と効率化に関する研修、セルフプラン率の低い自治体の取組みの紹介、削減目標値に関する具体的な人数の提示 圏域 市町村や、基幹相談支援センター向けの人材育成ビジョンの普及 相談支援体制整備の実態や取組に関する調査、市町村・基幹向け人材育成ビジョンの周知・研修会の開催、市町村・基幹相談支援センター向け協働モデルの説明会を開催、 市町村 相談支援体制の充実 相談支援体制整備の実態や取組に関する調査協力、市町村・基幹相談支援センター向け人材育成ビジョンの周知・研修会の参加、市町村・基幹相談支援センター向け協働モデルの説明会へ参加 ※ 市町村の目標や具体的な取組は、市町村や基幹相談支援センター等と協議します。 提案事項A 課題解決(軽減)に向けた取組の方向性について 「グループホームの支援体制確保に関する課題」と「セルフプラン率の削減に向けた課題」の2つの課題解決(軽減)を神奈川県障害者自立支援協議会のテーマとして掲げ、市町村へ調査の実施や、研修会等の開催等の協力を依頼しながら好事例に着目した取組の推進を図ります。 以上