相談支援専門員の実態調査の結果概要 1 調査概要 調査目的:相談支援業務に従事する相談支援専門員に対し、障害福祉サービスを提供している視点からの意見等を伺い、今後の相談支援専門員の人材確保のための支援施策やスキルアップのための研修の企画、地域の相談支援体制の整備を促す施策を検討するための基礎資料を得る 調査内容:基本属性、勤務環境、相談支援業務に関すること、研修に関すること 調査対象:「指定特定相談支援事業所」及び「指定障害児相談支援事業所」に配置されている相談支援専門員 回 答 数:585件(回収率34.1%)/1,717人(R6.3.31時点の実人数) 調査期間:令和7年1月9日〜2月13日 2 調査結果から感じられたこと  〇相談支援専門員業務経験年数の合計       1年目 77 2〜5年目 189 6〜10年目 199 11年以上 119    未回答       1 〇勤務形態 常勤専従 253 非常勤専従 41 常勤兼務 246 非常勤兼務 39 その他 2 未回答 4 ・配置されている相談支援専門員の経験年数は2〜10年目までの方が多くなっており、常勤が499人、非常勤80人、その他2人、未回答4人の計585人となっている。 ・兼務者の兼務内容で多かったものとしては、管理者(57人)、生活介護(26人)、地域活動支援センター(25人)、居宅介護(20人)、介護支援専門員(20人)の順となっている。 〇相談支援専門員一人当たりの1か月間の計画作成及びモニタリング実施の平均件数【市町村・圏域ごと】(令和6年4月から9月の期間の件数で算出) ・神奈川県における相談支援専門員一人当たりの1か月の計画作成・モニタリング実施回数の平均を見てみると、全体で一人当たり「10件」、(専従のみ「13件」、兼務のみ「6.9件」)となっており、国の人員基準に示されている標準の目安である1人「35件」とは開きが見られる結果となっている。  〇所属事業所の相談支援専門員一人当たりの相談受付件数に感じること ・相談支援専門員一人当たりの受付件数について、「多い」(「これ以上の受付は困難である」「多いと感じる」回答の合計)と感じている方が322件おり、55%の方が厳しさを感じている一方、現在の受付件数について、多いという感覚ではない方(「適切である」「まだ余力がある」「まだまだ受付が可能である」回答の合計)も合計で254件、43%いることが見られた。  〇所属事業所の相談支援専門員の過不足状況に対する実感   ※実際の設問では、「一人で相談支援事業を経営しているため過不足はない」という選択肢を設定。   ・相談支援専門員の過不足状況についての実感において、「不足している」と感じている方の合計が364件、62%の方が不足していると感じる一方、「適当である」「過剰である」と回答した方も合計で199件、34%いることが分かった。   ・「厚生労働省令和6年5月15日付け障害者相談支援事業の実施状況等について」の調査結果では、各市町村での相談支援専門員の不足について、33市町村中27市町村が不足していると回答していたが、現場においては不足とまでは感じていない方が34%おり、認識に差異があることが確認できた。  〇勤務上の悩み(単一回答)      〇「自分の能力や資質に不安がある」と回答した方の経験年数別での集計 経験年数       回答数 / 全体   自分の能力や資質への不安があると回答した率 1年          29人 / 77人        38% 2〜5年        67人 / 189人        35% 6〜10年        46人 / 199人 23% 11年以上 19人 / 119人 16% ・日常の業務において、213名(36.4%)の方が「業務が忙しく、相談支援業務の時間が不十分」と悩んでおり、相談支援業務に自身が想定する理想通りには取り組めていないという実態が見られた。また、回答者の半数の49%(前掲資料「兼務者の常勤・非常勤の合計」)は相談支援業務との兼務がある状況であり、かつ、その両立について、苦慮している意見が見られており、こうした勤務環境へのアプローチを考えていくことが必要と感じられた。 ・27.5%の方が「自分の能力や資質に不安がある」と回答しており、そうした思いを持ちながら日々の業務に臨んでいる姿が見られた。 ・また、経験年数の浅い初期の段階(経験年数1年、2〜5年)であるほど不安を持っている方は多く、その成長を支える環境を整備することが重要という結果になっている。  〇地域の相談支援体制整備に向け、あったら良いと考える取組み内容(複数回答)    ・地域の相談支援体制の整備に向けては、「スーパーバイズの機会」を348名(59%)が求めており、事例検討(圏域)の287名(49%)や広域での相談支援事業所の連絡会の245名(41%)などと併せて高いニーズがあることが見られた。「自分の能力や資質に不安がある」と回答している方が多くいる中、これらの取組により、相談支援専門員を支えることが必要と思われる。 ・各取組への希望の前に「その他」として自由記述で回答した98件中31件で体制整備に向けた取組について、報酬に関する意見が上がっており、相談支援業務の現場において、報酬上の改善を求める声が多く聞かれた。 3 今後について  ・引き続き得られた結果について、多角的に分析を行い、必要に応じて自立支援協議会に意見を求める。  ・相談員のニーズに合った研修内容について、研修企画部会等で検討していく。 ・地域で相談支援専門員を支えていくための取組について、圏域自立支援協議会等で検討していく。