第35回神奈川県障害者自立支援協議会　議事録

開催日時　　：　令和５年12月22日（金）13時00分から16時30分まで
開催場所　　：　神奈川県庁東庁舎11階会議室
出席者（計20名）
　【会  長】鈴木委員
　【副会長】戸髙委員
　（以下、名簿順）小山委員、小泉委員、下条委員、山﨑委員、佐藤委員、千葉委員、八重樫委員、村井委員、笹田委員、菊本委員、森下委員、関口委員、竹田委員、沼田委員、高宮委員、栗山委員、川本委員
　【代理出席】太田様（中村委員代理）
次回予定　　：　令和６年３月19日（火）13時30分から
担当者　　　：　障害福祉課企画グループ　栗山
　　　　　　　　電話（045）285-0528　　ファクシミリ（045）201-2051
掲載形式　　：　議事録
協議会経過　：　下記のとおり

１　報告事項
（１）「当事者目線の障害福祉推進条例に基づく基本計画」について
（２）権利擁護部会の開催状況について
（３）県立障害者支援施設等における取組みについて
ア　県立障害者支援施設の方向性について
イ　県立中井やまゆり園における利用者支援等の改善について
ウ　県立施設等における不適切な支援への対応の状況について
（４）県における過齢児対策に係る取組みについて
（５）相談支援体制の整備に関する取組みについて
　　ア　基幹相談支援センター及び主任相談支援専門員連絡会の開催状況について
イ　相談支援事業所開設促進セミナーの実施状況について
ウ　政令市・各障害保健福祉圏域の地域課題と取組みの状況について

２　協議事項
『自立支援協議会の活動の推進に向けた方向性について』

３　配布資料
資料１　県立障害者施設の方向性について
資料２　県立障害者支援施設の方向性ビジョン（案）
資料３　中井アクションプラン
資料４　県立施設等の対応状況
資料５　県における過齢児対策に係る取組みについて
資料６　基幹相談支援センター及び主任相談支援センター連絡会の開催状況について
資料７　相談支援事業所開設促進セミナーの実施状況について
資料８　政令市・各障害保健福祉圏域の地域課題と取り組み状況について
資料９　自立支援協議会の活動の促進に向けた方向性について

４　協議会内容
≪事務局による進行≫　
・会議運営に関する事務連絡
・山本福祉部長挨拶

≪鈴木会長による進行≫
本日は、お忙しい中お集まりくださいましてありがとうございます。本日は、第35回神奈川県障害者自立支援協議会です。山本部長のお話の中にもございましたが、今年の4月に施行されました神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例～ともに生きる社会を目指して～中で、自立支援協議会の役割について、再確認されました。もともと協議会というものは、地域をつくっていく上で、とても大きな原動力になるということが役割としてはありましたが、県という単位での協議会がどれぐらいそこに貢献できたのかと考えると、私はこの役割について何年かお手伝いしてきましたが、甚だ反省するところがあります。
今回、この新しい条例において、県協議会がどのような形で、神奈川県民の福祉、障害のある方々のよりよい暮らしを支えることができるのか、また、その土台を作ることができるかということが求められております。本日もたくさんの報告、また協議事項がございますが、委員の皆様より活発なご意見をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
では、次第に従って進めさせていただきたいと思います。まずは、報告事項です。報告事項の（１）「当事者目線の障害福祉推進条例に基づく基本計画について」、障害福祉課より説明をよろしくお願いいたします。

≪報告事項（１）について障害福祉課企画グループ安田グループリーダー（以下、「GL」という。）より報告。≫
前回の本協議会にて、現在策定作業を行っております「当事者目線の障害福祉推進条例に基づく基本計画」の全体の概要について簡単にですが、ご説明をさせていただきました。今回は、その進捗状況をご報告させていただきます。10月から11月にかけて、パブリックコメントや、当事者団体の皆様へヒアリング等を実施いたしました。現在、それに加え、各市町村と県との計画が同じ方向で推進できるよう、調整会議を圏域ごとに会議を行う予定になっております。
先ほど申し上げましたパブリックコメントと当事者団体からのヒアリングでは、300件程の御意見が寄せられており、基本計画へはなるべく多くの方の声を県の施策に反映させられるよう整理し、内容について検討しております。
　さらに県では、より多くの障害当事者の方の声をいただくため、障害者施策審議会の元に、障害当事者だけで構成する「障害当事者部会」の設置を進めています。今後、委員を選任し、年度内に第1回を開催する予定になっております。このことについては、正式に決定したところで発表させていただきますのでよろしくお願いいたします。
基本計画については、来年の３月に完成を目指し、進めていきたいと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

≪鈴木会長≫
ありがとうございました。続きまして報告事項（２）「権利擁護部会の開催状況について」です。こちらも障害福祉課より説明をお願いします。

≪報告事項（２）について障害福祉課調整グループ小澤主査より報告。≫
本日の午前中、権利擁護部会を開催したため、口頭で概要について報告させていただき、資料等については、次回お示しいたします。
本日の権利擁護部会での議題は３点ありました。１つ目は「令和４年度における県内の障害者虐待の状況について」、２つ目は「令和５年度第１回神奈川県障害者差別解消支援地域協議会の報告」、３つ目は「第１回神奈川県障害を理由とする差別の解消のための調整委員会の報告」でした。
まず、「令和４年度における県内の障害者虐待の状況について」ですが、12月20日水曜日に、県の記者発表があり、その概要について報告させていただきました。県のホームページ等においても公表されてはおりますが、通報相談件数が昨年の619件から約1.9倍の1,156件に大幅に増え、出席した自治体からも、通報が増えているという報告がありました。通報の増加の要因として考えられることとしては、「通報義務の意識が浸透しているため」等、概ね肯定的な意見が挙げられています。
また、施設従事者による虐待のうち、事実が認められた事案の件数も大幅に増加しています。ことのことについては、令和３年度の報酬改定を基に、令和４年度から、施設における研修の実施や、虐待防止委員会の設置等が義務化され、意識の高まりがあるのではないかといった意見をいただきました。
次に、「令和5年度第1回神奈川県障害者差別支援地域協議会」の報告を行いました。この支援地域協議会は、障害者差別の関係の協議会ですが、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、４年ぶりの開催でした。令和６年４月から改正差別解消法が施行される中で、相談件数も増えている状況です。また、事例集等の作成についても、今後検討したいという話しがありました。
３点目の「第1回神奈川県障害を理由とする差別の解消のための調整委員会の報告」についてです。こちらは、障害者差別があった場合の紛争解決するための調整委員会を令和５年８月に設置し、その仕組みについて説明を行いました。調整委員会の委員の方からは、「虐待の判断をするような機関なのか」といった質問がありましたが、あくまで建設的な対話をし、それぞれ折り合うところを見つけ、斡旋、調整していく機関だということを説明しています。また、「調整委員会でも対応がうまくいかなかった場合は、さらに上級の委員会等はあるのか」というご質問もありましたが、現状では、そういった委員会はないことを回答しています。その他に、「こういった差別解消のいろいろな事例を積み上げていくことが重要なのではないか。」といった意見も挙がっております。報告は以上です。

≪鈴木会長≫
ありがとうございました。今、県神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例～ともに生きる社会を目指して～に基づく基本計画の策定を行っている状況ということで、パブリックコメントやヒアリングが進み、市町村計画との調和を取る作業が行われおり、当事者部会の設置についても報告をいただきました。
また、権利擁護部会については、虐待の統計が公表され、なかなか厳しい現実が明らかになったと感じております。そして、差別解消に関する取り組み、その一環としての調整委員会での斡旋の仕組みができたという報告でした。
これまでのところで皆様から何かご質問ご意見等いかがでしょうか。それでは、小山委員お願いします。

≪小山委員≫
横須賀市本人会の小山です。調整委員会があるということを初めて聞きました。（似たようなものとして、）身体障害者や、精神障害者が、パソコンで相談できるような仕組みがあると聞いていますが、重度の方はそれができないので、（虐待が発生するのは）施設が中心になっているように感じます。
私達軽度の場合は、一般就労の職場や、就労継続A型作業所等で働いていますが、そういったところは、本当にグレーゾーンな職場だと感じます。「施設に行くのは、知的障害者は当たり前だ。」とか、「精神障害者なんているの？」といった考え方は一般の職場ではまだまだあるように感じるので、そういった職場で働くとなると、（周囲からの理解が得られず、働く場所での障害当事者に対する）救済はあまりないように感じます。そういったことを（障害当事者の）仲間内で話していると、家族に相談しても、親からは「その会社しかもうないのだから我慢しなさい。」と言われてしまうことが多く、みんな我慢をして（就労を継続して）も、結局耐えられなくなり、（一般就労を諦めて）作業所に行くという流れが現実です。
私としては、働く場所に（障害当事者用の）労働組合みたいなのものを作って欲しいと思っていますし、実習の時はOKだったのに、いざ雇用されると厳しくなる状況もどうにか改善して欲しいと思っています。


≪鈴木会長≫
小山委員ありがとうございました。「虐待」と「働く場の中での差別」について、実際に見聞きする中でのお話をいただきました。「虐待」については、すごく残念なことに施設の件数が２倍ぐらいに増えたということでした。そして、「働く場所の中での差別」については、午前中に開催した権利擁護部会の中でお話しを伺う中では、「障害者だから賃金を安くする」といった給与面の関係のところはわかりやすい問題だけども、今お話しのあったような、「職場の指導が厳しくて」とか、「心が傷ついて」というところについては、なかなか手だてが難しいという話しを聞いています。そういったところについても、労働局では課題感を持って取り組んでいるというお話しがありましたので、労働局の関口委員、今のお話しについて、労働局の取組みについて一言お願いいたします。

≪関口委員≫
労働局の関口です。「虐待が起こらないということに越したことはない。」というのは当然ながら、「発生してから声を上げる」というやり方では、やはり（対応が）遅いので、「虐待ではないか。」という段階で、いかに声を拾えるかということが我々行政としても大事なことだと思っておりますので、それを「どうやって拾うのか。」ということがこれからの行政の課題だと考えています。
虐待が発生する前の段階でうまく拾える仕組み・対応策についてこれからも考えていきたいと思っております。

≪鈴木会長≫
関口委員、ありがとうございました。
では、続きまして報告事項（３）「県立障害者支援施設等における取り組みについて」です。まずは、「ア　県立障害者支援施設の方向性について」、障害サービス課よりご報告いただきます。よろしくお願いします。

≪報告事項（３）アについて障害サービス課企画グループ佐々木GLより報告。≫
詳細は、「資料１　県立障害者施設の方向性について」「資料２　県立障害者支援施設の方向性ビジョン（案）」を参照。

≪鈴木会長≫
ありがとうございます。中井やまゆり園の今後、これからの県立の施設のあり方についてお話をいただきました。続きまして、報告事項（３）「イ　県立中井やまゆり園における利用者支援等の改善について」、「ウ　県立施設等における不適切な支援への対応状況について説明いただき、アからウまで併せて委員の皆様からご意見をいただこうと思います。では、引き続き障害サービス課よりお願いいたします。

≪報告事項（３）イ、ウについて障害サービス課運営指導グループ岸岡GLより報告。≫
詳細は、「資料３　中井アクションプラン」「資料４　県立施設等の対応状況」を参照。

≪鈴木会長≫
ありがとうございました。県立障害者支援施設等の取り組みということで、イの「中井やまゆり園における利用者支援の改善」について、「それ以外の施設も含めた県立施設等における不適切な支援への対応」も併せて、少しボリュームはございましたが、ご報告をいただきました。委員の皆様から、報告事項（３）のア、イ、ウについて、一括してご質問ご意見を承りたいと思います。いかがでございましょうか。では、下条委員お願いします。

≪下条委員≫
この虐待事案の報告について、ニュース等で出ているものもあれば、今まで聞いたことないようなことも結構あるなと思って聞いていました。私が思ったのは、現状の「職員の考え方を変える。」というものだけではなく、人数を増やさなければ問題が解消していかないような気がしています。
この人数を増やすことにより、職員が１人で対応することなく、対応できる職員を２人、３人に増やすことで、対応時に「お互いが見ている」という状況を作らなければ、１人になったときに、「これだったら大丈夫だよ。」といったような自分への甘さみたいなものが出てしまって、虐待に繋がるのではないかという部分があるので、やはり人数の拡充というのが必要ではないかと思っています。以上です。

≪鈴木会長≫
下条委員ありがとうございました。マンパワーの問題ですけども、障害サービス課の方から何か、補足いただければと思います。

≪障害サービス課G運営指導グループ　岸岡GL≫
下条委員からご指摘いただいたことについて、誠にその通りだと認識しております。我々も、県立施設ということで、民間の皆様に比べると非常に手厚い職員配置をしている一方で、やはり、時間時間で見たときに、どうしても人が手薄な場面というものが生じてしまう実態があると認識しております。やはり、そういったときに「どうやって周りの職員がフォローできるのか。」といった、まずは応援体制をしっかり組むというところも考えていかなければならない部分があると思っております。それは、これまでどうしても県立施設、特に中井やまゆり園においては、「寮ごとの縦割り意識」みたいなものが強く、他の寮の職員が手伝うような部分がまだまだ十分ではなかったというところもあると思っております。
下条委員のご指摘の通り、「職員が1人だけとなる状況を作らないよう、どうすればいいか。」「職員が焦らないで、しっかりと利用者と向き合って支援する環境をどうやっていけばつくれるか。」といったところについては、しっかりと今後も考えていきたいと思っております。貴重なご意見どうもありがとうございます。

≪鈴木会長≫
ありがとうございます。では、山崎委員お願いいたします。

≪山﨑委員≫
今の報告書を読ませていただいて、まず、【資料４】中井やまゆり園の状況報告についてです。民間の支援改善アドバイザーが巡回をした令和5年10月26日に、この事案が発生してしまい、翌27日からヒアリングを行っていますが、自治体に通報したのが11月６日ということで、かなり時間が経ってしまっているのはどうしてなのかと思いました。
また、厚木精華園の虐待事案に関しても、４月に発生した事案が８月に認定されたというのは、かなりの時間が経ち、タイムラグが生じていることについて、私たち民間の法人においては、もしも、薬の服薬ミスや、このような事案が発生し、事故報告等については、もちろん、かなり件数を少なくしようと努力をしても、どうしても利用者を支援している上では、ミスが発生してしまいます。そのときに、自治体へ報告をするのですが、１日、２日経って報告しただけで、自治体からは「何でこれだけ時間かかったんですか。」と言われます。事故報告については、まず、電話をして速やかに事故報告書を上げるという、きちんとした手筈を取られているはずなのですが、それが、資料や説明の中では、１週間とか何ヶ月という単位で行われているように見えます。これは神奈川県だから許されるのか、民間とは対応が違うのかというところが気になりましたので、答えられる範囲でお答えいただければと思います。　

≪鈴木会長≫
ありがとうございます。では、障害サービス課よりご説明ください。

≪障害サービス課運営指導グループ　岸岡GL≫
ただいまいただいたご指摘に対してお答えをさせていただきます。
まず、【資料４】の中井やまゆり園の事案ですが、令和５年10月26日に事案があったのに、通報がされたのが、11月２日と「期間が空いていったではないか。」というご指摘だと思います。この点につきましては、経過としては、園の中でこの事案について、「どういった状況で、どういった場面で起きたことなのか。」といった検証を行っていたからということが、通報が遅れた理由でございます。
ただ、山﨑委員からのご指摘があった通り、これだけ期間が空いてしまったということは、我々としてもしっかりと反省しなくてはならない部分であり、本来、疑いがあれば、すぐに通報しなければいけないといった部分では、まずは通報を行う、その上で、園の中でもしっかりとした検証を行うという同時並行で、市町村の調査も受け入れる。そういった流れが本来であれば正しかった対応だと考えております。この点については我々も真摯に受けとめ、今後、「虐待通報の速やかな通報の徹底」というところは、中井やまゆり園も含め、各園ともに対応の検討をしていかなければいけない部分だと反省をしております。
もう1点ご指摘がありました、厚木精華園については、記載が漏れてしまっておりましたが、令和５年４月28日に事案が発生し、その日のうちに、市町村には通報しており、市町村の調査等を行った結果が、８月に出たという流れでしたので、通報という意味では事案が発生したその日のうちに、速やかに対応していたということを補足させていただきます。

≪鈴木会長≫
ありがとうございます。私も、山﨑委員の指摘と全く同じ思いでございます。
中井やまゆり園は、これだけいろいろなことがあったのにも関わらず、通報が法のスキームを全く無視していると言わざるを得ないようなことが起こったことは、非常に遺憾に思いますし、「本当にやる気があるのかな」と印象をどうしても抱いてしまうという、厳しい言葉をあえて申し上げさせていただきたいと思います。
なぜ厳しいことを申し上げるかというと、民間の社会福祉法人の施設等においても、いろいろなことが起こっておりますが、やはり、中井やまゆり園は、県立施設であり、今までのご説明にあった通り、県の中心的な施設として、民間施設を引っ張っていくような大きな役割を持っているところです。こういったことも１回ではないので、中井やまゆり園に対する県民の失望という部分は残念ながらこういったことが繰り返されていくと重なってしまうのではないかと思います。
今、報告いただいたアクションプランの中で新しい方向性を見いだすということ自体は、すごく県の中で熱心にご検討いただいた結果なのだろうなと思うのですが、この状況の中で、新しい仕組みを提案されても、令和８年度から新しい形で進めて本当に大丈夫なのだろうかと感じています。こういう感情の部分や、信頼の部分というのは、単なる理詰めで報告書ができ上がりましたということとはまた別の印象を県民には与えるのではないかなと思いました。私も山崎委員の意見を伺いながら、中井やまゆり園の今後について応援をしていく協議会としても是非よろしくお願いしますと伝えたいと思います。私見ではございましたが述べさせていただきました。では、小山委員、お願いいたします。

≪小山委員≫
いつもこういった虐待というものが出てきます。結局、みんな本で読んだ知識であったり、ハローワークに行って「福祉の仕事をしませんか。」みたい案内を見て、障害者のことを全然知らないで仕事に来たりするので、「こんな感じだろう」と思っていたら、（予想と違って）時間に追われたり、（利用者等が）思うように動かないとかいう場面に直面します。そのように、思い通りに動かなくなってくると、職場で怒鳴ってしまったり、それでも駄目なら手をあげてしまったりということが起こってしまうように思います。そういったことからも、職場と施設は似ているような感じがします。
また、虐待をしてしまう人は、「何で自分がこんな人たちを相手にしなきゃいけないんだ。」と、特に障害者と（これまで生活を送る上で）あまり関わりがない方に多くいらっしゃるように感じます。
小学校とか、中学校とかに実際障害者が行き、障害について伝えるボランティアを行った時期もあったが、今は単位の関係なのか、断られることも増えています。そのため、結局、本で読んだ知識だけで、障害者のことをあんまり見たこともないからよくわからないと思うし、（支援者の）思うように動かないような人たちに対して、どう対処していいのかっていうのが、全然臨機応変にできてないということが問題なのかなと思っている。
例えば、「てんかん」だって、発作を起こして倒れるっていうわけではないし、軽いと言われるものから重いものもあり、障害はいろいろなものがあるが、本に書かれていることは本当に一部分であって、本を読んだ知識で「自分でも支援ができそうだ。」と仕事に行ってみたら、「現実は全然違う。」という話しがあります。だから、職員になる前に、実習期間等を設けて、１から３ヶ月くらい障害者の実際を見る期間、慣れるまでの期間を必ず持って欲しいなと思っています。

≪鈴木会長≫
ありがとうございます。「支援者になるための障害理解」や、「支援者の質の向上」というところのお話しをいただきました。これは、要望という形で受け止めてもらえたらと思います。小山委員が本当におっしゃる通り、支援をする人の質の向上、人を増やしていく取組み、そして、ただ増やすだけではダメだという厳しいお言葉もありました。
続きまして森下委員、小泉委員の順でお願いします。

≪森下委員≫
大きく分けて３点ありますが、１つ目は【資料１】の中の「県立施設の方向性のビジョン（案）」の内容に書かれている、現状部分の「学術的、体系的に説明ができない」と課題部分の「現場での経験の積み上げによる支援が中心になっている」というところをどう捉えるかが非常に実は重要なことだと思います。例えば、学術的体系的にとは数値化できるものとできないものがある中、実際起こっている事実の積み上げは客観性を持った事実ですので、きちっと記録して、それがどのくらいの頻度や状況で起こっているのか、例えば外出は何回出かけたのか、今まではほとんど出かけていないのか、その人が、１日どのような生活をしているのかとか、最終的にはその人の地域や社会への参加の様子をノーマライゼーションの8つの原理※というものに照らし合わせて評価することもできます。また、言葉でなかなか意思を表明することが難しい方からは、満足度等について直接聞けなかったとしても、笑顔が出ている瞬間は、どういうことをしている時なのか、具体的状況の捉えから事実を記録し分析していくことが科学的学術的評価につながると思います。
そうすると、【資料１】に記載されている課題に「経験の積み上げによる支援が中心」と書かれているが、欠けていることは「経験の積み上げによる支援の事実の記録や分析が欠けている」ということと思います。だから、経験の積み上げが課題ではないと考えます。経験がないとわからないことも沢山あるので、評価する視点が抜けているのではないかと思ったところです。つまり、その経験をどう、数量化、データ化、或いは、学術的に持っていくかというプロセスがないというところが、大きな課題なのだろうと思います。
逆に言うと、それを繰り返すことによって専門的な人材が育っていくと考える必要があり、個々の基本的な考え方については、もう少し踏み込んだ捉え方が必要じゃないかと思いました。
２つ目は、民間移譲を進めるにあたって、【資料２】に今後のプランニングが書かれていますが、この中で、過去に金沢若草園と秦野精華園はすでに民間移譲したプロセスの中にあるわけですが、果たして民間移譲することの効果性を今まで図ってきたのかということです。民間に移ったことによって、どういう効果性があったのか、或いはどういう課題が残っているのかということも含めながら、今後の民間移譲を考えて欲しいと思いました。
民間移譲することの１つの大きなテーマにコストパフォーマンスがあると思いますが、今回はコストパフォーマンスの問題ではないと思います。変な言い方をしますが、金沢若草園や秦野精華園に民間移譲を検討した頃は、コストパフォーマンスが重要な要素であったと思いますが、今回のテーマは、さらに踏み込んだ話をしなければいけないので、もう一度過去の事案の検証をして、何がよかったのか、何が課題として残ったのかは、併せて、検証を加えていくべきではないかなと思います。
そして、結局はモニタリングが大切だと考えます。民間移譲した後のモニタリングで、進捗管理がされているかということが今後のポイントだと思います。例えば、地域移行をするとか、地域に何かアクション等をすると言ったときに、実際そういう進展がなされたかを評価することは必要であると思います。
また、重度化・高齢化によって非常に地域移行が難しくなってきている中、進捗管理をしないと、どこかで止まってしまうと思います。止まると、それは民間移譲した事業所や施設の課題として、潜在化してしまう。ある程度モニタリングをしながら進捗管理をテーマとして考えていただきたいし、そういうことをすべきだと思いました。
３つ目は、【資料３】の虐待に関することですが、例えば職員に調査をするとかアンケートするということは、その法人や事業所の風土に課題があると仮定し、風土的なもの、或いは、他の類似事案を拾い上げるために実施するものかなと思ったのですが、今回起こっている３つの虐待案件は、風土的課題が背景にあると言い切れなくて、風土の問題ではないと考えます。
例えば、中井やまゆり園の心理的虐待の事案に対しては、「園長から理念の徹底を図った。」と報告がありますが、心理的虐待に対して理念の徹底を図ることが本当に効果的なアプローチなのかと疑問に感じます。僕としては、職員の個別支援（支援の質）というテーマだと思います。個別支援というテーマで、本来であれば食堂や食事の場面で、個別的に食事がとれる体制や時間があれば、多分この職員もそう支援がなされたと思います。でも、その体制や環境に対する気づきが持てず、優先的に服薬と食事をどうにかしなきゃいけないという余裕のない不適切な支援が働いたんだと思います。
例えば、支援体制が整っていないときでも、支援の質として「服薬が出来ない」状況を医師に相談できるような仕組みがあるかということです。医師の指示で「朝の８時に薬を飲ませなければと思ったけれども、前日から食事が取れてなかったから、飲ませられなかった。」というときに、「本当に食事を摂らないと服薬はできないのか。」相談をすることや薬について医療と連携を取っていこうとか、食事を摂らなくても、服薬を優先にしようという考え方だってあると思います。こういったことは、理念論ではなく、個別支援としての個々の案件をもうちょっと丁寧に支援をしていく中で生まれることです。
また、同じように、愛名やまゆり園の事件も、詳細な状況はわからないですが、企んで身体的な虐待をしたとは読めない。咄嗟的な身体的な虐待かもしれません。咄嗟的に瞬発的に、利用者の何かに反応したと思います。
咄嗟的に起こった案件と捉えるなら風土的課題と判断すべきではない。こういう咄嗟的に突発的に起こることについての対応は、理念論や虐待の案件のあぶり出しではないと思います。行動修正の課題です。
そうすると、すべてを人の数でお願いしたいとは言い切れないところで、やはり「自分の気持ちをコントロールするため」とか、「どういう行動を取ったらいいのだろうか」、或いは、「時々は諦めることも必要ですよね」、「その時には見守りましょう。」等と声をかける、そのときにどんな行動をするのかという指示を出していく練習が必要になります。手を加えるとか抑えるではなく、その状況を少し見守り、見守るときには１人で見守るのではなくて、ちょっと声掛けて見守りましょうという行動アクションを職員の皆さんにちゃんと伝えていくべきことで、これはその風土的な改善ではないと思っています。だから、１つ１つのこの事件・事案について、方法論として、同じような対処療法的な方法を取っていますが、実は起こっている虐待の中身によっては対応の仕方や考え方を変えていかなければいかない。事案がどのくらいあるかを幾ら出したとしても改善点に繋がらないと考えます。虐待に関するアンケートをいろいろ取ることは悪いとは思いませんが、解決の方法について、風土的なものや職員の集団性の問題にすべてを集約していこうとすると、結果、職員のやる気や職員のモチベーションまで削いでしまう恐れがあると思います。
だから、それは諸手の刃とは言いませんけれども、1つ1つの課題に対するアプローチの仕方が違うということを、アドバイザーの皆さんとの意見交換の中でも生まれてくるのではないかと思いますので、そこら辺がないと非常に粗い手法で、問題解決までに時間がかかってしまうのではないかなと感想として持ちました。以上です。

※　ベンクト・ニィリエの「ノーマライゼーションの８つの原理」
1960年、スウェーデンのニィリエは、「知的障害者は、ノーマルなリズムに従って生活し、ノーマルな成長段階を経て、一般の人々と同等のノーマルなライフサイクルを送る権利がある。」とし、ノーマライゼーションを①一日の普通のリズム、②一週間の普通のリズム、③一年の普通のリズム、④当たり前の成長の過程をたどること、⑤自由と希望を持ち、周りの人もそれを認め、尊重してくれること、⑥男性、女性どちらもいる世界に住むこと、⑦平均的経済水準を保障されること、⑧普通の地域の普通の家に住むことの「８つの原理」に分けて示しました

≪鈴木会長≫
ありがとうございました。３点についてお話しいただきました。1つは、学術的体系的というところについての方が、いわゆる実践地をどう評価していくのかっていうあたりが視点として抜けているのではないか。２点目のところは、民間移譲に関しては、すでに２年でそれが実施され、また、現在も指定管理で行われているところもあるといったことについてのこれまでの取り組みの評価、モニタリングの進捗の把握はどうかというあたりのお話しでした。そして、最後は３番目の虐待調査について、対応という部分のところが、ややそれぞれの虐待そのものに対してのアプローチとしては、適切なのかっていうところのお話しでした。私はさらにそこから、やっぱ支援者支援のところもどうなのだろうかなんてこともちょっとありましたが、障害サービス課から何かございますか。

≪障害サービス課企画グループ　佐々木GL≫　
「実践知をどう今後に生かしていくのか。」というところについて、森下委員おっしゃるとおり、経験の積み上げをいかに数値化していくのか、データ化していくのかということは、重要なことだと考えています。その中で、現在、支援の中で、記録を活かせていない、或いは、そういった記録をどう活かしていくのかということが、支援の現場ではなかなか見えていないといった部分を、今後しっかり取り組んでいかなくてはいけないと考えています。
また、アクションプランの中においても、現在中井やまゆり園に様々な有識者の方に現場を見ていただいて、職員との意見交換を行いながら、助言等をいただいているところです。そういったことも通して、経験をいかに数値化・データ化していくのかということについては、今後取り組んでいきたいと思っています。
そして、民間移譲の過去の事例の評価や、今後進めていくときに、県立施設として取り組んでいたことの実態をどうモニタリングしていくのかといったお話しだったと思います。このことについては、真摯にご意見を受けとめ、過去の事例について、今後、民間移譲の条件等を検討していくときにしっかりと参考にしていきたいと思います。


≪障害サービス課運営指導グループ　岸岡GL≫
虐待の事案についても、森下委員ご指摘の通りだと思っております。やはり、先ほどのご意見踏まえますと、1つ1つの事案に対して、これが起きてしまった背景、課題が何だったのかっていうことをもっとしっかりと見つめていき、その課題に対して、有効なアプローチを考えていかなければならないということを、これからの原因究明や、再発防止を考えていく中で、深めるということをやっていかないと意味がないというお話をいただいたと思っています。このことについても、しっかりと対応させていただくとともに、今後こうした場を通じて、なんでこういうことが起きてしまったのかというところを、いろんな方々とも情報を共有し、再発防止に関する御意見等をいただきながら、前に進めていきたいと思っております。御意見ありがとうございました。

≪鈴木会長≫
ありがとうございました。では、小泉委員お願いします。

≪小泉委員≫
【資料１】にある、「今後の県立施設の地方独立行政法人化に関すること」について、人事のローテーションや、異動というのは、ノウハウ共有のためにも必要であり、とても大事な部分だと思っていますが、一方で、当事者の気持ちからすると、（支援者に）人生を伴走してもらうにあたり、一緒に走る人が代わることに対する不安がすごくあります。
「本人がどこで誰と暮らしたいか。」といった希望に添えているのかということや、支援してくれる人や、一緒に住んで行く人が代わってしまうということをご本人たちに対して、きちんと説明し、受け入れがなされているのか等、丁寧に進められているのでしょうが。

≪鈴木会長≫
ありがとうございます。小泉委員からのご質問について障害サービス課お願いします。

≪障害サービス課企画グループ　佐々木GL≫
支援に関わる人が代わってしまうというということは、まさに県の直営の中で、３年から４年の人事異動となってしまい、せっかく関係性ができたのに代わってしまうというところをご指摘いただいているところです。
指定管理制度においても、５年という期間がございますので、指定管理者が変わってしまい、職員が入れ替わってしまうというようなことがございます。そういったことも踏まえ、民間移譲でしっかり継続して、同じ法人の職員がしっかり関わることや、独立行政法人において、現在イメージしているところでは、グループホームを独立行政法人の中に一体的に設置・運営していって、利用者の方と一緒にグループホームに移っていくことにより、利用者の方に安心が持てるように、職員の柔軟な配置というのができるのではないかというような構想を考えています。利用者の皆さんとお話する中では、できるだけ同じ職員の方が長く関われるようにと今県は考えています。

≪鈴木会長≫
小泉委員ご指摘いただいた「支援の継続性」というのは、これに限らず、どこでも起こりうる話しだと思っています。私も、津久井やまゆり園の意思決定支援をやらせていただいておりましたが、３月の終わりぐらいになると利用者が不穏になってくるという話しがありました。例年の人事異動で、自分と慣れ親しんだ人が変わってくるなんていうのは、よくある話でございますが、これからの県立施設だけの問題ではないとは思いますが、十分な配慮をしていただきたいということは、今受けとめたところでございますので、今後の検討の程、よろしくお願いします。
では、笹田委員お願いいたします。

≪笹田委員≫
障害者権利擁護センターの笹田と申します。
先ほどの森下委員のご意見に賛同するところもあるのですが、今回の【資料２】で、日中活動に参加して、笑顔が見られる利用者がいたということで、それを学術的体系的に説明できなかったというお話しでしたが、単純に考えると、利用者支援を行う中で、利用者の状況や環境等いろいろなことを考えながら立てた仮説に基づいて支援を行い、その仮説について検証をしていくということの繰り返しなのだと思っておりまして、【資料２】のまとめの中に、今後の県立施設の役割について示す大きなテーマとして、「福祉科学研究」という言葉が私の知る限り初めて出てきました。テーマの「当事者目線の先駆的な支援」の中には、意思決定支援についてもここに含まれるものだと思っています。「重度障害者の地域生活移行」については、元々中井やまゆり園は、特に最重度の障害者の受け入れを行ってきていて、そこから変わっていくのだろうと思って資料を見せてもらいました。
この【資料２】において、さがみ緑風園については、３行目あたりに「福祉科学研究棟等における緑風園が果たしていく役割は低い」と書かれているのは、「医療的ケアが必要な利用者が減少した」という、背景を踏まえた上で考えると、「医療的ケアが必要な方への支援に向けての福祉科学研究等がもうでき上がったので、民間でも受け入れられる。」という結論になるのか、それとも、厚木精華園の高齢の知的障害者支援のモデル施設としてスタートしたけども、それについての「福祉科学研究等における厚木精華園が果たしていく役割が低い」というのは、介護保険への移行等により、「役割を果たしたので、民間でも高齢の知的障害者の受け入れができる。」ということが結論となるのかなと思って読んでいました。
中井やまゆり園については強度行動障害の方への支援ノウハウ的なことが、引き続き役割としてもあるのだろうと思うし、その中での福祉科学的な研究がこれからのテーマになってくるのだろうと、資料を読み、感じました。
ただ、三浦しらとり園の中では、特にその当事者目線的な視点が何も書かれておらず、単に県立施設の役割が低下してきたというところでいくと、それぞれの施設の、方向性についての記載がこれでよかったのかと、気になって読んでいました。
最後に、森下委員のおっしゃったところを、さらに私なりに整理すると、過去、重大な事故があった施設等に調査で関わった経験の中で、医療関係等においては、ヒヤリハットや、重大な事故事案について、SHEL分析等を一般的に行っています。今回の福祉科学研究や、先ほどの仮説もそうですが、利用者１人を見て、「原因は何か」ということを考えることは難しく、利用者の住んでいる施設のハード面等の環境や、関わった支援員の状況や状態など、いろいろな要因があると思います。また、周りのスタッフがどうなのかというところで、先ほどの「言い出せなかった職員間の関係性」や、「知識がない」等、いろいろことも含めて考えていくことが「分析」だと思っています。
なので、難しい言葉はあまりいらないと思っていますが、今までもやってきただろうことをさらに深めていくことが大切なことだと思っていますし、それが「＝民間移譲」の答えだと言われてしまうと、「あぁ、そういう方向なんだな」と、見ていて残念に感じてしまったところです。

≪鈴木会長≫
ありがとうございます。ちょっと確かに【資料２】についてのお話しでしたが、各県立施設の方向性については書きぶりについて、一貫性があるだろうかというのは、おっしゃられる通りの部分もあるなと感じました。このことを受けて、障害サービス課、いかがでしょうか。

≪障害サービス課企画グループ　佐々木GL≫
基本的な考え方といたしましては、この新たな福祉科学研究、人材育成等、こういった役割を果たすために必要な施設については、県立施設として継続し、それ以外の施設は民間移譲をすることについては、各施設の現状や課題等を踏まえ、各施設の方向性を、打ち出しております。さがみ緑風園や、厚木精華園等、それぞれの施設ごとに状況も様々であると思っておりますが、さがみ緑風園は１階が80人、２階が80人の全部で160人のベッドを中で、もう今50人を切っている状況で１階は、全く使っていないというような状況もございます。そういったことも踏まえ、総合的に方向性を出させていただいております。
厚木精華園においても、高齢の知的障害者に対する支援のモデル施設という役割もございましたが、国の資料でもございます通り、入所施設の４分の１の利用者が65歳以上というような状況もございますので、なかなかそのモデル的な位置付けを、今まで通り続けていくのではなく、今後の支援を継続していただく形を考えている中で、方向性をお示しさせていただいているところです。なかなか、書きぶり等、うまく表現できていない部分については、本当に申し訳なく思っておりますが、基本的な考え方に沿って、各施設の方向性を今回示させていただきました。

≪鈴木会長≫
ありがとうございます。この部分については、資料のボリュームもございましたので、少し長めに時間を取って皆様からご意見を伺わせていただきました。
それでは、報告事項（４）「県における過齢児対策に係る取組みについて」ということで、障害サービス課より説明をお願いいたします。

≪報告事項（４）について障害サービス課福祉施設グループ間瀬GLより報告。≫
詳細は、「資料５　県における過齢児対策に係る取組みについて」を参照。

≪鈴木会長≫
ありがとうございました。過齢児の移行ということでこれに令和６年度から本格的に動かすための検討が進んでいるという報告でした。皆様からご質問やご意見を承りたいと思います。佐藤委員お願いいたします。

≪佐藤委員≫
湘南東部保健福祉圏域ナビゲーションセンターの佐藤です。ご説明ありがとうございました。私も相談支援の中で、お子さんの支援はかなり携わっていた時期があって、個人的な考えではありますが、児童福祉施設の入所を使っている時点で、児童福祉法の制度なので、期限が決まっているわけで、児童相談所に呼ばれてケース会議行ったときには、「入所までの支援」と「入所してからの出るための支援」を「同時進行していく必要がある。」という話をよくさせていただいていました。
人によっては幼児期から入る方や、児童期・小学校期から入る方もいれば、当然、中学校から入られる方もいらっしゃるわけで、場合によっては、高校から入る方もいらっしゃいます。高校1年生から施設に入りましたという方は、この計画でいくともう、以降についても、同時進行でやっていくということが当然読み取れる話しで、そうであれば、それは年齢関係なく、そういうふうにやるべきなのではないかと、20年前ぐらいから、ずっと思っています。
地域の受け入れ先に情報がないというのは確かですが、やはりそれは、施設に入れた以上、「地域の責任」ということを私はものすごく感じていましたから、地域に戻すための支援をどうしていこうかというケア会議についても、時々開催させてもらっていて、実際に今も、小学生の方の会議を２ヶ月に１回、必ずやらせていただいています。そういった形で、「施設に入所した後、地域に戻ることを想定しながら、地域の中でどうやってつないでいくのか」ということについては、一つの視点として是非入れていただけると、大変嬉しいと思いました。


≪鈴木会長≫
佐藤委員ありがとうございます。このことを受けて、障害サービス課いかがでしょうか。

≪障害サービス課福祉施設グループ　間瀬GL≫
佐藤委員のおっしゃったように、小学生中学生であれば、高校卒業までとすると、施設で暮らす期間は長くなるのですが、高校生になって施設に入る児童もいらっしゃると思います。そういった児童にとっては、自宅でいろいろな経験をされて、なかなか辛い体験を経て、施設に入った途端にもう出ることも考えなきゃならないのか、そんなことをお子様は思われるかもしれませんが、３年間は長いようであっという間なので、入るときから児童自身にも、高校を卒業した後はどんな暮らしをしたいのかということを確認しながら、いろいろ経験をしていただいて、選択の幅を広げてもらいたいと考えております。そのためには、施設の職員だけではなく、児童相談所や、相談支援機関の皆様等にもご協力をいただきながら、その児童の暮らし方や、人生について、お知恵をいただきたいなと思っております。

≪鈴木会長≫
ありがとうございます。栗山委員。お願いします。

≪栗山委員≫
神奈川県中央児童相談所の所長の栗山でございます。いつも大変お世話になっております。
「過齢児の課題」は、実は児童相談所としては、長年携わってきた課題です。今、佐藤委員からも言われた通り、私も佐藤委員と一緒に地域移行について児童の施設にいたときに対応させていただいていますが、今回、今までは高校２年生で福祉事務長通知を出させていただいたのが、今度は高校1年に前倒しになったということは、本当にいいことだと思っています。いわゆる児童相談所と市町村、そして、教育分野が施設とのやりとりを個別にやってきたものが、今回、県から手だてについて絵に書いてくれたということは本当に心強い1つの方策だと思います。
ただ、これから「地域全体を耕していかなければならない。」という、別の問題が出てきます。高校1年生から「実習に行っていいですよ。」と言っても、それだけ世の中に実習を受け入れてくれるところや、宿泊研修を受けてくれる施設に余力があるかというと、そういったものは今なく、高校２年生で、体験ができると「すごいね。」ということが現状なので、それが「高校１年に前倒しになりました。」と、アドバルーンが上がったとしても、地域にどれだけそういったことについてご協力をしていただくことができて、選択肢の幅が広がるのかということについては、課題があります。
今回、行政が入ってくれたということは、児童相談所としても大変ありがたく思っていますし、それに伴って、どういった予算的な措置があって、応援もさらにしてくれるかといったところもあります。行政の力をさらにエンジンとしながら、どういった組み立てができるのかということはまた児童相談所としても、前向きに取り組んでいきたいし、また、地域や施設の皆さん、或いは作業所も含めた社会資源の方たちと、力を合わせたいと思っております。
そして、何より地域移行については、一番力を持ってやってくれているのは、特別支援学校の実習担当の先生で、地域にかなり精通しており、ねずみの通り道も知っているようなぐらい地域を歩かれた先生が多いので、「教育との連携」というものは、欠かせない視点だと思いますし、地域全体で取り組んでいければいけない課題だと思っています。

≪鈴木会長≫
栗山委員ありがとうございます。これは、方向性としても賛同するし、是非ともということで、県としてもまた受けとめていただければと思います。では、八重樫委員お願いいたします。

≪八重樫委員≫
１点だけ質問があります。この対策会議でおっしゃられている「過齢児」というのは、障害児支援施設にいらっしゃる方だけが対象なのか伺いたいです。最近多いのが、児童養護施設にいらっしゃる、ＡＤＬ面は自立しているが、愛着障害を抱えていることや、虐待を受けられてきて、支援の難しいお子さんたちも結構いらっしゃいまして、私も携わらせていただくこともありまが、そういった方々も、この対策会議の対象者というふうに考えてよいかどうかを教えていただきたいです。

≪鈴木課長≫
ありがとうございます。障害サービス課お願いします。お願いいたします。

≪障害サービス課福祉施設グループ　間瀬GL≫
対策会議の対象となる施設には、児童養護施設は対象となっておりません。

≪鈴木会長≫
ありがとうございます。八重樫委員が提示された課題については、多くの委員が頷きをもって意思表明されていましたので、児童養護施設における障害を持ったお子様に関する課題も多いように感じました。
児童養護施設、社会的養護のお子様の入所の場合、半分以上が、手帳を所持していたり、特別支援学級や特別支援学校に通っていたりと、統計上明らかになっている部分があるので、そこのところについても、やはり、次のステップとして視野に入れていただくことが大事だということを八重樫委員のご指摘を伺いながら思いますので、是非とも、前向きにご検討いただければと思います。では、森下委員お願いいたします。
≪森下委員≫
対策会議の構成員として個別ケース会議に市町村が入っているが、市町村で児童施設を抱えることはあまりなく、全県である程度の調整をした後に入所に繋がるという流れだと思います。つまり、児童期は比較的県の関与とか児童相談所の関与という広域的な関わりがあるのにも関わらず、大人になった途端「これは市町村で解決すべきことだ。」という形で、社会資源がないところに、実は解決を求めていく仕組みになっているが、本来はどうなのかということを基本的に思うところです。
「過齢児の問題」は、制度上のことや社会資源を考えるならば広域的課題であるため、常に音頭を取ってほしいのは県であり、その後、支給決定を行う等、落ち着く住まい等が見つかれば、後は市町村がその後のメンテナンスでフォローアップをしていく流れが望ましい。基本的には県が音頭をとりながら進めていくことを望みたいと思います。
２つ目は、私どもの法人も先ほどの重心施設、医療型障害児入所施設を運営していますが、児童期から既に児者一体ですので、18歳になった時点で施設を出なければいけない制度上の理屈はない。例えば、こういったことを行政の方と話すと、行政の方は「施設に入っていて、制度的にもここの施設は大人まで見られるのだから、あとよろしく。」と言った姿勢ですし、地域移行の話をすると、「なぜですか。」と、聞き返されます。つまり、施設側が地域移行を望まないということではないということです。
また、重心施設の児童期から利用している方の多くは措置利用です。措置利用は、本人の障害や病気の要因より、ほとんどが養護性の課題であり、多くが大人まで生活を送っていくことになります。もしも、早い段階から、これを考えるのであれば、親権との闘いとともに、権利擁護をどうするかということを考えていく必要があります。例えば、15歳のあたりから、行政がちゃんと権利擁護的な保障をきちっとするとか、本人を中心とした権利擁護や、権利のあり方についても合わせて考えていかないと、親の言葉が実は本人の生活を変えてしまうことになります。意思決定支援を行う上では、親権というのは事業所としては非常に大きな影響力等があるので、権利擁護という視点で、行政としてのメッセージが必要と思うところです。

≪鈴木会長≫
森下委員、ありがとうございます。大事なご指摘であったと思います。市町村における、サービス提供の場としての市町村の範囲の中での考えと支給決定について、また、同時に、広域調整という県としての役割について、今回この遡上に乗るぐらいいろいろな困難性を地域の中で抱えているからこそ、県としての、非常に大きなイニシアティブをとって欲しいというお声、また、子どもの権利擁護という側面からの視点ということもとても大事な指摘だったと思っています。
特に県は、今回神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例～ともに生きる社会を目指して～で意思決定支援を大変大事にしていますので、そのあたりのところは、障害のある子どもにとってどうかというところも少しあるんじゃないかなということを思いました。そこは、まさに親権との闘いという言葉が象徴的でございましたけれども、ここについても大きなものになっていくかなと思っております。それでは、障害サービス課お願いします。

≪障害サービス課運営指導グループ　岸岡GL≫
県の障害サービス課の岸岡です。本日、皆様にご説明させていただいて、様々なご意見を厳しいものも含めていただきました。期待を裏切ってしまった部分については、本当に申し訳なく思っております。また、まだまだ皆様が期待してくださっているからこそ、こういったご意見をいただいているのだと受け止めました。
我々としては、これからの取組みを着実に進めながら、皆様の失ってしまった信頼をしっかりと回復していくことが必要だと思っておりますので、今後また取組み状況等をこういった機会を通じて、ご説明させていただきますので、引き続きご支援、ご協力のほどよろしくお願いします。

≪鈴木会長≫
本当におっしゃった通り、我々の意見というのは、期待の裏返しですので、どうぞそのようにお受け取りいただき、進めていただければと思います。
では、ここで10分間の休憩を取らせていただきます。


休憩時間


≪鈴木会長≫
時間となりましたので、再開いたします。報告事項（５）「相談支援体制整備に関する取組みについて」です。まずは、「ア　基幹相談支援センター及び主任相談支援専門員連絡会の開催状況について」「イ　相談支援事業所開設促進セミナーの実施状況について」併せて報告を障害福祉課お願いします。

≪報告事項（５）ア、イについて障害福祉課　栗山主任主事より報告。≫
詳細は、「資料６　基幹相談支援センター及び主任相談支援専門員連絡会の開催状況について」、「資料７　相談支援事業所開設促進セミナーの実施状況について」を参照。

≪鈴木会長≫
ありがとうございます。このことにつきまして菊本委員から少し補足をいただければと思います。お願い申し上げます。


≪菊本委員≫
日本相談支援専門員協会の菊本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
今年度は、主任の相談支援専門員連絡会ということで、１回目がこちらの資料６にございますように開かせていただきました。僭越ではございますけども、私からも少し全体に向けてお話をさせていただいて、皆様方もご承知のことだとは思いますが、障害福祉において、相談支援専門員は「要」だと言われて久しいわけではございますが、相談支援専門員の養成のあり方も、法定研修が、初任、現任、それから主任という形で、カリキュラムの確定もしていきながら、それが全国に普及をされてきているわけですが、その中で課題となってきているのは、やはり現場での実務指導です。この点も、次に向けてどういう形で行っていくのかというところが座学の研修だけではないもので、人のレベルアップを図っていこうということでございます。そういったことの中で制度的なデザインでは、主任相談支援専門員という資格を取って、その方々が地域で実務を通じて、初任者・現任者に対してのＯＪＴ・実務指導をしていくということで、もうワンステップ、ツーステップ、レベルアップしていこうということでございます。ですので、神奈川県においては、しっかりと県が、主任相談支援専門員が地域の中ではそんなに多く存在する専門職ではございませんので、孤立しないように、横の連携を取って、神奈川県全体をレベルアップしていくというためには非常に重要な機会をこの連絡会の位置付けの中で実践をしていただいていると感じております。ですので、基調講演の中でお話させていただいたことがすぐに受講者の方々に響いて、情報交換も含め、かなり充実したと感じております。時間も限られたものになりますので、足りない部分もあることと思いますが、回を重ねることで、その辺は積み上げをしていければと思っています。
また、今後もこの連絡会を続けさせていただき、今回の報酬改定の中でも出てきております、いわゆるサービス管理責任者と、相談支援専務の連携についても、個別支援計画等々の交換というようなところも行い、新たに実現していくということになっていますので、主に相談支援専門員だけではなく、相談支援専門員と、サービス管理責任者が、連携をしていくような、神奈川全体の動きになっていくことで、障害福祉サービスの向上になっていくのではないかと思っています。
また、開設促進セミナーについても、特定事業所加算といった加算がありますが、これのⅡなりⅠを取っていくということになりますと、以前からあった、相談支援はなかなかお金にならないということや、運営が厳しいというようなことといった悪い印象が改善されてきます。そのため、設置をためらっている法人もたくさんあると聞いております。ただ、国との交渉の中で、報酬改定で２回ほど進めてきて、ある程度その特定事業所加算といったものをしっかりと取得していただくことにより、事業として成り立ってくるというところが、大分見えてきております。ですから、そういったことを少し踏み込んで、具体的なアドバイスをさせていただくというようなことで、このセミナーを実施させていただいて、そこにご協力をさせていただいています。ですから、まだ、効果が見えてくるのはもう少し１年、２年先になるかもしれませんが、このような形で、県と足並みを揃えて、微力ではございますけどもお手伝いができればと思っているところでございます。

≪鈴木会長≫
ありがとうございました。こちらの相談支援にかかるお話しでございますが、ご質問・ご意見はいかがでございましょうか。では、小泉委員お願いいたします。

≪小泉委員≫
先ほど、サービス管理責任者や、児童発達支援管理責任者（以下、「サビ児管」という。）との連携や、相談支援専門員の連携についてお話しがありましたが、1つお願いしたいことがあります。当事者目線を入れるために、相談支援専門員が、例えば、ピアサポーターのような当事者の視点や、経験を持つスタッフと連携して動いていくということについて、非常に重要な役割を持っていると思っています。
なので、今、相談支援専門員が手薄で当事者と一緒にセットで動くとか、支援の現場に呼ぶとかということは、なかなか難しい現状は存じておりますが、仕組みとして、当事者でも、福祉職や相談員として活躍できるような仕組みや、協働を促進するための研修をどんどん進めていって欲しいと強くお願いします。

≪鈴木会長≫
小泉委員ありがとうございます。障害福祉課いかがでしょうか。

≪障害福祉課企画グループ　栗山主任主事≫
小泉委員、ありがとうございます。ご意見として参考にさせていただきまして、また、研修の内容等についても検討を行っていければと思います。ご意見ありがとうございます。

≪鈴木会長≫
ありがとうございます。では、次の議題に参ります。報告事項（５）「ウ　政令市・各障害保健福祉圏域の地域課題と取組みの状況について」です。横浜市、川崎市、相模原市、横須賀・三浦圏域、湘南東部圏域、湘南西部圏域、県央圏域の順番でお願いいたします。なお、県西圏域については、本日欠席のため、書面での報告となります。では、横浜市よりお願いいたします。

≪報告事項（５）ウについて、政令市・各障害保健福祉圏域より報告。≫
①横浜市　：　太田様
横浜市健康福祉局障害施策推進課の太田と申します。本日は、課長の中村の代わりにご報告をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【資料８】にご報告として載せていただいております。横浜市の自立支援協議会ですが、本体会議には、当事者委員は参画していませんが、精神の部会等の専門部会には当事者委員が参画してくださっていることについて申し添えさせていただきます。
自立支援協議会の開催予定及び開催状況についてですが、今年度、この本体会議の中では、本市における意思決定支援について集中的に議論をいただいておりまして、第１回目を５月に、第２回目を８月に開催したてます。実際に、鈴木会長にもご講義をいただき、所属していただいている法人の中における意思決定支援の取り組みを委員の皆様からご報告をいただいています。
10月に開催した第３回では、第２回までに共有した内容を参考にしながら、実際に区域で、意思決定支援の推進に向けて、どういった取り組みができるのかということを委員の皆様に、グループワークという形で、ざっくばらんにご意見をいただいたというところでございます。いただいた意見の中では、意思決定支援の言葉の意味ですとか、ハードルを現場がどのようにとらえているのかということや、現場の方たちが様々な制約の中で、いろんな工夫をされている取り組みも意思決定支援の一環であるということを思っていただくために、客観的な第三者の視点が入ることが重要だというようなご意見もいただいています。そうした中では、基幹相談支援センターや、計画相談、本市では、後見的支援室などを独自の事業として行っておりますので、そういったところが客観的な第三者の視点を持つことができるのではないかというような、ご意見もいただいております。問い直しの場を作っていくということや、支援者のアセスメント力の向上、実践報告の場の必要性というところが、各グループの方から、ご意見としていただいたところです。
実際に、区域で推進をしていくためには、いろんなことが視覚化できるようすることや、取り組みについて評価をされる仕組みを作っていく必要があるということで、ご意見をいただいており、今後の検討にしていきたいと考えております。
それと同時に、地域課題及び取り組み状況について、もう1つの柱としましてその地域課題について、区域から毎年度、各区の協議会の報告書を提出いただき、そこから共有・検討したい課題というところをいただいております。内容につきましては記載の通りとなっておりまして、課題解決に向けた取り組みについてというところも、それぞれの部会にそのいただいた課題を共有させていただいて、検討を進めているというところです。こちらに記載はないですが、本来の会議の中では、この内容の1つ1つに委員の皆様からコメントをいただいていまして、課題だけではなく、シェアしたい取り組みというところについても、提出をいただいているというところです。
鈴木先生の方からもこの内容に関してコメントをいただいておりまして、ある区の課題がその区の地域特性に根差しての課題であるといえるけれども、それは他の区にとっても無関係なものとは言い切れない。他区の課題にも目を向けることは自区での気づかれていない方へのヒントにもなるのではないかというご助言をいただいております。
課題についてもですが、好事例においても、同じことがいえるかなと思っております。自区の課題に対して、他の区が取り組みを進めているという場合もありますので、そうした情報を広く市内で共有することができるような形を、市としてもしっかり作っていきたいというふうに改めて思っているところでございます。

②川崎市　：　竹田委員
川崎市の地域包括ケア推進室の竹田と申します。よろしくお願いいたします。今年度、障害者計画の改定年度ということあり、どちらかというと「この計画にどういった意見を反映するか」という議論が中心でした。この間の活動状況につきましては、地域課題のところに、テーマ別に「相談支援体制」や、「計画相談」、「精神障害者や入所施設からの地域移行」のテーマ別に議論をこの３年間進めてきたところです。
一方で、【追記】というところに書いてありますが、この間の相談支援の現場、自立支援協議会の状況を見ていても、こうした大きな政策テーマを議論することも必要ではありますが、目の前の問題として、「自分たちの相談支援がとても苦しい。」ということや、「この議論が今、地域で生活してらっしゃる障害当事者の方、またはご家族の課題解決にどれぐらい繋がっているのか。」というような議論でいうと、「課題は出てくるが、具体的な解決に取り組んだことが繋がっていない」ということや、逆に繋がっていないことで、この議論に対する形骸化や、虚しさみたいなところもあり、なかなか議論に身が入らないというところもあります。そのため、自立支援協議会の取り組みそのものを一旦、原点回帰ではないですが、もう１回個別支援から地域課題に反映させるような流れに立て直しをしたいということで、今年度、同時並行で議論をしているところです。
どうしても行政が協議会をやると、「政策課題をどうしましょう。ご意見ください。」というような形になってしまいがちですが、もう1回、原点に立ち返る必要があると考えています。
自立支援協議会のいいところは、その地域で活動している相談支援従事者の方が、「今、これに困っている。」ということや、「ご本人たちが今こういう生活をしたい。」ということから1つ1つの事例を大切にして、その解決をするためのネットワークづくりや、社会資源の開発、自分達で勉強会を開催することだとか、ガイドライン作ることだとか、その延長線の中で行政への政策提言が出てくることをまると思いますが。ただ、「行政に要望を出しても解決しないじゃないか。」というような議論に終始しがちなので、そういうことではなくて、全部の仕組みを作るのは難しいので、まずは1つ1つの課題解決からやっていくような、課題解決型の取り組みに一旦シフトさせようと思っています。そうしないと、なかなか相談支援従事者の方に「自分の課題解決はここでやれるんだ。」とか、当事者の方も参加して「自分の問題について、話し合ってくれてるんだ。」という実感が多分持てないと思うので。川崎市は150万人の市民がいらっしゃるので、かなり大きな都市の中で小さい取り組みになってしまうかもしれませんが、そのように自立支援協議会の運営の仕方を変えていきたいと思ってます。ただ、それを現場の相談支援従事者の方等に全部任せるのではなく、地域課題の整理や、その解決策は当然行政も一緒になって考えていけるような形で、行政も受けとめる立場というよりは、一緒に活動するパートナーとして、活動できるような形で協議会を変えていきたいと今考えているところです。
現在、体制を変えている途中なので、こうなりましたという報告は、まだお話しできませんが、先ほど、小山委員からもご指摘あったような、サービス利用はしてないが、就労しているという方の支援で言うと、サービスだけで解決できる話しではなく、就労している人たちを支えていくのかという議論や、会社の人には理解してもらうための勉強会の開催だとか、そういったこともこの自立支援協議会でやっていかないといけないと思っておりますので、そうした取り組みについても、来年度からやっていきたいなと思っております。進みましたら、またご報告させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

③相模原市　：　沼田委員
相模原市の沼田です。相模原市では、【資料８】に記載してある通りですが、日程は、今年７月、９月の臨時の開催、10月とこれまで３回開催をしています。
特別な内容としましては、今年度、障害者プランの見直しの時期ですので、その素案を示して、意見をいただくとともに、行財政構造改革の一環としての障害者施策の見直し及び転換ということで、行財政構造改革を進めています。見直し及び転換ということで、その案を作っており、意見をいただくたえに、９月に臨時開催をいたしました。
地域の課題及び取り組み状況についても記載の通りです。その取り組みにつきましても、それぞれの課題に対してこのように取り組みましたので、ご覧いただければと思います。

④横須賀・三浦圏域　：　山崎委員
横須賀三浦圏域ナビゲーションセンターを担当させていただいております横須賀にある社会福祉法人海風会の山崎です。よろしくお願いします。
第34回の時にも横須賀・三浦圏域の地域課題の中で、「グループホームは増えているのにも関わらず、マッチングの問題があること」や、「サービス等利用計画のセルフプランが増えていること」、「福祉人材難」等についてお話しさせていただきましたが、そういったことをまとめて、現在、横須賀市の基幹相談支援センターと連携して検討を進めています。
特に、「福祉人材難」について、現場では求人をかけてもなかなか人が来ないということが今年は特に顕著です。その中で、やはり、「人が来ない、来ない」と言っていても解決しないので、相談支援専門員もしくはサビ児管の底力を上げないと、現場で利用者に不備があるのではないかということで、最初は相談支援専門員の底上げを考えていましたが、それよりも、グループホームや現場の課題がありますので、サビ児管をもうちょっとうまく活用できないかいうことを、横須賀市の基幹相談支援センターと考えています。そのことについては、圏域でもご協力させていただきながら、あとKCNにも今、ご協力を依頼し、内容については検討をしているところですが、少しでもサビ児管の方たちが悩んでいることについて、今後に活かしていけるようにという勉強会や、研修会を２月ころ開催する方向で企画しています。
ブランチ会議については、昨日、第２回目を、森下委員にもご協力をいただき行っております。参加メンバーは前回からほぼ同じで、34名の方に昨日は出席していただいています。今年度の上半期の取り組み等を出席いただいた皆さんに報告していただき、意見交換をしていただくという形をとらせていただいております。
３回目については、３月に開催することを目指して調整を行っており、参加者について、医師会の方が入らないかという意見もございましたので、現在、医師会の参加については、横須賀市を通して、調整を行っております。

⑤湘南東部圏域　：　佐藤委員
湘南東部圏域ナビゲーションセンターの特定非営利活動法人藤沢相談支援ネットワークの佐藤と申します。湘南東部も前回の報告と重複するため、かいつまんで報告をさせていただきます。
まず、第２回の自立支援協議会を年明け２月に実施する予定で、12月15日に運営会議を行いました。本日のテーマにもなっておりました虐待等について、いろいろご意見いただいて、湘南東部地区の施設虐待や、雇用者虐待等の数字を明らかにした中で、当事者目線の障害福祉推進条例についての解説を行い、本協議会の委員の中には、わかりやすい版の作成に携わった当事者の方いらっしゃいますので、経緯や、背景等、当事者の方にもお話しいただきながら、湘南東部の中で、どういった取り組みができるのかという議論を、次回の協議会でできればと考えております。
また、課題解決に向けては記載内容に加え、湘南東部地区は、今年に関しては、相談支援従事者初任者研修の受講者がかなり多く、各機関がインターバル実習の受け入れが結構大変だったっていうこともありましたので、KCNにも相談をして、主任相談支援専門員もインターバル実習の受け入れ先の対象としてもらえないだろうかということと、それに対して少しKCNから、湘南東部地区の主任相談支援専門員に対しての講習のようなことを行い、そこも含めて、人材育成をしてもらえないだろうかという依頼をしています。
続いて、医療ケアのブランチ会議を開催しましたので報告を載せさせていただいております。湘南東部地区に関しては、昨年度まで「重度障害者等医療ケアに関する連絡会」というものを開催しておりましたので、それを踏襲する形で実施しています。委員構成がほぼ変わっていない状況なので、湘南東部エリアの医療的ケアが必要な方の支援体制を構築するために必要な委員や機関について、再編成に向けた意見交換を行っています。

⑥湘南西部圏域　：　千葉委員
湘南西部圏域ナビの千葉ですよろしくお願いします。19ページ、20ページが資料になりますけれども、第34回の県協議会以降の進んでいるところをお伝えしますと、地域課題についてですが、今年度も昨年度に引き続いて、このグループホームの課題を圏域の課題として捉えてやっていこうとしています。７月、８月までに湘南西部圏域３市２町のうち、３市においてグループホーム連絡会が立ち上がって活動しておりますが、９月に湘南西部圏域のグループホーム連絡会も立ち上がりました。圏域のグループホーム連絡会としましては、来年度、研修開催に向けて、市町のニーズ、グループホームのニーズをしっかりと把握し、それに基づいて研修を企画していこうと考え、その調査を行う方向で今動いております。また、入所施設についても、地域生活移行ワーカーが配置され始めているということで、湘南西部圏域の地域生活移行ワーカーの集まりが、年度内にあると聞いております。その場で、圏域グループホーム連絡会として、グループホームに求めるもの、施設側が求めている機能等のお話しを詰められたらと話しているところで、そういった活動も年度内に行うことになっております。
ブランチ会議の特徴的なところとしましては、２の（１）の③「あんしんネットの新たな動きについて」にありますが、こちらの、あんしんネットは、令和５年度末で委託が終わるということになっていますが、湘南西部圏域としては継続して行っていくことが決まっておりまして、医ケア児への注目も非常に高まっているところで、これまであんしんネット事業では、成人のみを対象として動いてき経過もありますが、児童もやってみようということで、事業者の方も何とか体制整えてやってみたいというコメントをいただいております。11月の末に１人、医ケア児の16歳の方の利用が決まったというお話しもでていますので、来月開催する第２回のブランチ会議で情報共有をしようと思っています。

⑦県央圏域　：　八重樫委員
県央圏域担当の八重樫と申します。よろしくお願いします。前回から新たに追記したところとしましては、地域課題の欄に「令和５年度、県央障害保健福祉圏域協議会の運営委員会で確認された課題」を新たに追記させていただいております。こちらについては、11月に会議を行いました。この運営委員会には、７市町村の基幹相談支援センターの所長や、基幹相談支援センターが未設置のところが、市町村の担当者に参画いただいておりますが、各市町村の協議会の中で今どんなことをテーマとして取り組まれているのかというところから、少し抜粋させていただいて、まとめさせていただいたものです。
１つ目が強度行動障害のある方の居住だけではなくて、やはり短期入所のところで、圏域の中でも２，３ケース程、なかなか居所が安定しないことや、なかなかその地域の支援力だけでは対応しきれないというケースがあり、かなり相談員も全県的に動いたりとか、県外の施設との調整を行ったりとかというところで、そういった事例が複数確認されています。
また、特別支援学校の送迎バスの問題については、特に高等部となりますが、市町村によっては移動支援という形でサポートされて通学支援されているところもありますが、なかなか実施できていないという市町村ありながら、年々通えていないお子さんたちが増えてきているというところもあり、特別支援学校の高等部の話だけではないと感じております。
ある市町村の基幹相談支援センターの職員の方から聞いた話だと、小学校への通学時に、集団で一緒に登校しているが、障害があると、安全面上の理由等から保護者の同行がないとみんなと一緒に登校することができないというお話しがありました。そんなところから、学校にアクセスすらできないということが起きてしまい、このことについては、大きな課題として捉えております。
最初に申し上げた強度行動障害のある方の居住の件については、次の圏域協議会で事例について、実際支援者が行ってきた支援のプロセスや、ご本人、ご家族がどんなふうに生活をしているかというところを報告いただき、具体的な解決策とかは、なかなか出てこないとは思いますが、関係機関の方々に一緒に事例を共有し、考えていく場が必要かなと思っておりますので、グループワークを行えたらと考えております。
ブランチ会議については、県央圏域の取り組みが他の圏域と比べて遅れていたところはありましたが、保健所や、児童相談所の協力もあり、まだ開催前ではございますが、７市町村と保健所を含め、ヒアリングをさせていただきました。各市町村の方に伺い、課題等をまとめさせていただきました資料を添付させていただいております。そうした中で、各保健所で医療的ケアの取り組みはされていて、みんなバラバラにやるっていうよりも、一緒にのりしろ作っていくっていうことが、医療的ケアの支援において、やはり重要なところだということで、すべての会議を合同開催・共催という形でやらせていただきました。そこで見えてきたことしては、課題は様々ですが、例えば、保育園とかに配置されている看護師が実は孤立しているという話しがあり、そういう方々のネットワークづくりが必要だという意見がありました。また、市町村によってはコーディネーターを行政の中に設置することで職員の異動してしまった後どうしようというお話し等、それぞれの地域でいろいろな悩みがあるということをまずは共有することができました。
来年度については、それぞれの事業所で取り組めるものもあれば、一緒にのりしろを作って、協働してやっていかなければならない課題もあります。そういったことを整理し、来年度に向けた準備を行っているところです。

≪鈴木会長≫
皆様ありがとうございました。質問等については、この後の協議事項にも非常に関わって参りますので、このまま進行を進めさせていただきたいと思います。では、協議事項「自立支援協議会の活動の推進に向けた方向性について」です。障害福祉課お願いします。

≪協議事項について障害福祉課　栗山主任主事より説明。≫
　　詳細は、「資料９　自立支援協議会の活動の促進に向けた方向性について」を参照。
≪鈴木会長≫
ありがとうございます。各政令市・保健福祉圏域の報告に関連してくるとは思うのですが、本日の冒頭の山本部長の挨拶の中にもありましたが、この協議会というものを、活性化させていくというのは、この神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例～ともに生きる社会を目指して～において、より良い方向へ、力強く進んでいくということが求められていますが、これまでのところについて丁寧にまとめてくださっています。資料９について、これからどういう形でやっていくことが望ましいのだろうか、或いは、こういうやり方がいいのではないかといったところ委員の皆様から、ざっくばらんにご意見をいただいて、今後、それをまとめていきたいと考えております。委員の皆様、いかがでしょうか。県協議会という非常に大きな組織といいますか、対象地域が大きな協議会です。なかなか難しいというのはよくある話でございますが、意見交換できたらと思います。それでは、小山委員お願いいたします。

≪小山委員≫
なかなか当事者の委員がいないということがちょっと問題かなと思っています。そして、もし、当事者の委員がもっと多くいれば、何ヶ月か１回集まって、当事者だけの話しをするとか、例えば、横浜の協議会を横須賀の委員が見に行ったり、お互いの協議会を見に行ったりということはなかなかないなと思っています。
ただ、お互いに見てみると、ここが進んでいるとか、ここが遅れているとかがわかるので、お互いの協議会を行ったり来たりするということは、大事なことなのではと思います。

≪鈴木会長≫
ありがとうございます。小山委員から大変大事な意見をいただいたと思います。もっと当事者委員を増やさなくてはいけないですし、その委員の人たちが、他の圏域や、市町村の協議会を見ていくという話しでした。当事者の参画については、先ほどの各地域からの報告の中にも統計のようなものを載せていただきました。そして、本日の報告事項（１）「条例に基づく基本計画」の説明の中で、当事者部会がこれから設置されていくというような方向性もありましたので、このことについては今後も強化していかなくてはならないと思っています。それでは、森下委員お願いいたします。


≪森下委員≫
【資料９】の「質の高い相談支援体制の整備等を推進する」という、この「質の高い相談支援体制」とは何なのかと思います。例えば、現場の支援力として、或いは、ケアマネジメント的な手法の高い職員を育てていくことも1つあるでしょうし、地域の課題にアプローチできる人材を育てていくこともあるでしょうし、制度設計的なものに対して見識を持ってアプローチしていける人材を育てるということもあると思います。1人の職員がオールマイティに現場でできるかって言ったら、なかなかできないと思っています。だから、どういう人材をどういう層で育てるかということは、ある程度明確にしていく。例えば、基幹相談支援センターや主任相談支援専門員には、地域課題や制度アプローチ的な話しも考えて欲しいと思う。仕組み的には基幹相談支援センターがそれを自立支援協議会とともに担っていくということになるのかもしれません。この「質の高い相談体制の整備」事態をもう少し具体的に現場に分かりやすく伝えてほしい。どんな階層のどういうことを目的とした相談員を育てていきたいか。多くの相談員は、ケアマネジメント的なところで悩んでいると思います。この辺がわかっている人には分かるかもしれないが、わからない人には、ごちゃごちゃになって、自分たちが何を求められているのか。相談支援の中身がどんどん高度化している中、多分、相談員の多くがついていけてないのではないか。ここら辺をきちっと整理しメッセージを明らかにした方が、身の丈で「自分たちは今これを頑張ろう」とか「次のステップでこれを頑張っていこう」とか、何かそういう質の高さというものが見えてくると現場にはわかりやすいのではないかなと思いました。

≪鈴木会長≫
ありがとうございます。このよく使えわれていると「質の高い」というのは一体何を指し示すのかという投げかけでした。また、相談支援体制の質の高さなのか、或いは、相談支援専門員の固有の活躍の方向性の専門性の高さなのかってこの辺も、しっかりと議論していかなくてはならないことだと思います。ありがとうございます。

≪森下委員≫
多分、もういろんな言葉はあるのだろうけど、それがきちっと整理されていないから現場では、「この全部を求められているのか」という印象になってしまいます。それが先ほど研修修了後、38％ぐらいしか相談支援専門員の仕事に就いていない現実で、今の相談の仕事が大変そうに見え、割に合わないような、自分のモチベーションを持てるものが見えてこないようになっていて、「質の高い相談体制」が伝わっていかないことになっているように思いました。

≪鈴木会長≫
ありがとうございます。相談支援は、やはり、自立支援協議会の中の1つの大きな、テーマとなってくるわけですが、この辺り菊本委員いかがでしょうか。今の森下委員の意見を受けてということでお願いいたします。

≪菊本委員≫
ごもっともなお話だと思いますで、今後議論されていくと思います。ところで、少しお話しをさせていただきます。神奈川県の自立支援協議会の活性化をしていくためには、「事務局会議」が必要だと思っています。市町村においてもそうですが、やはり、官民が一緒になって地域づくりをしていくと言ったとき、いわゆるその本会とか部会をやる前に、今回の部会ではどういうテーマでどういうことを話し合っていくのかということを打ち合わせし、必要に応じては、委員に根回しをすることも必要でしょうし、これだけで神奈川県の自立支援協議会を活性化させていくっていうことになると、ちょっとイメージ図の中では、事務局会議の位置付けがないので、事務局の担当者をバックアップできるような体制を組む必要があると思います。委員構成については、行政の方や、民間の方を入れて、圏域ナビゲーションセンターの方々になるのかもしれませんが、いろいろやり方あると思いますので、本会議や本部会に臨む前の前段の事務局会議が一番大事だと思っています。それがないと、どうしても、ただこれを話し合ってくれみたいな話しで、委員に投げられても、そこで何か決定事項に至ることはなく、どうしてもその議論して、やりっ放しで終わりという形になるので、本協議会での議論を踏まえて、また事務局会議で次を考えるということなので、行政の担当の方が、基本的には障害福祉課の担当者が主管してやる形になると思うのですが、やはり、行政の方1人で悩んでいても難しいことだろうと思います。民間の力や、知見を生かしていただける事務局会議をぜひ位置付けていただいて、それが活性化の原動力になると思います。

≪鈴木会長≫
菊本委員ありがとうございます。会を回すための仕掛けをちゃんとやるべきというお話しだったと思います。おっしゃる通りですね、他に皆さんどうでしょうこの活性化ということについて、お話いただけるとうれしく思います。戸髙副会長、お願いします。

≪戸髙副会長 ≫
【資料９】のイメージ図は、おそらく平成27、8年頃に３層構造の中で、課題を上げて、それをどこでどう議論しているのかということを話し合って、やっぱり施策審議会につながる流れを作らないといけないということで作成しました。作成後、新型コロナウイルス感染症の関係もあり、先ほどあったように協議会の議題に上がったものが、施策審議会の方にどういうふうにあげられているのかというこの辺の動きがあまり見えてないという話しがありました。作成したときにもそういう論議があって、どこがどこまでやったらいいのかとか、どこかで止まってしまうという話しがあって、この図を作って、平成29年度からやったものが、その後どうなのかということを、先ほどモニタリングのお話しもありましたが、一定の状況がどうだったのかということ、そして、具体的にどうするかといったことを、もう1回やっていかないと感じています。
あの当時、論議の中にいた人間からすると、今後どうするかということについては、やはり、地域から上がっていく状況が、どこかで止まってしまっているともったいないなと思いますので、以前の論議についても踏まえまして、今後どうするかということが課題だと思いました。


≪鈴木会長≫
戸髙副会長ありがとうございます。このイメージ図が、平成29年のときに作っていただいたもので、一番上の左上のところに、「神奈川県障害者施策審議会との連動」ということがあって、そして、自立支援協議会と矢印が双方向に向いているというのが1つ大きな意味があるということでしたが、ちょうど新型コロナウイルス感染症の時期などもあり、開催すること等だけで精一杯という状況があったと思っています。
そのあたりについて、新たな形として、もう少し見やすくしたのがこちらのイメージ図の（案）になります。より協議会の方向性として、とりわけ県協議会の活性化だけを実は目途としているわけではなく、県協議会が元気になっていくっていうことは、本日もご報告いただきましたが、圏域の自立支援協議会の活性化、また、市町村自立支援協議会の活性化まで、一本の筋が通っているという話だと思っています。そのあたりのところで、こういうような３層構造という形を書いていただいて、かつ、矢印を大きく変え、さらにそれぞれの中にネットワークがあるのだという見せ方がいいのではないかということで、作っていただきました。他に皆さんいかがでしょうか。では、下条委員お願いいたします。

≪下条委員≫
自立支援協議会の中に、当事者・ピアサポーターという目線も必要だと思いますが、医師や、看護師、ケアマネージャー等の目線が全くないと思っておりまして、ケース会議や、事例方検討会みたいなものに参加させていただく機会がありますが、そういうときに、私たち当事者からだとわからないような視点でお話しいただけ、そもそも訪問看護師がどのようなサービスができるのかとか、逆に訪問看護師からすると、地域の社会資源の方がわかりづらい等、そういった連携のところなんかもその場で話をしないとわからない部分がすごく多いと感じています。そのため、この自立支援協議会自体ではなくても、そういう機会というのは必要だと思っており、そういったことが、障害福祉には役に立つと思うので、やっていっていただけたらと思っています。

≪鈴木会長≫
ありがとうございます。下条委員からもっとたくさんのいろいろな視点を持った専門家或いは当事者の方も含めて、そういう視点も大事じゃないかというお話しでしたが、おっしゃる通りで、障害のある方の暮らしを支えるというのは、福祉だけで生きているわけではなくて、いろいろな専門や、インフォーマルなものも含めて、支え合いながら暮らしているということを考えると、もしかすると、このメンバーのところについては、圏域や、市町村の協議会ですともう少しそういった幅の広さはあるのかもしれませんが、県としては、そういった人たちも県協議会として、他職種といいましょうかより視点を広く議論をしていくためのメンバーというのを考えるというのも1つの方向性かなというふうに受けとめさせていただきました。ありがとうございます。それでは、小泉委員お願いいたします。
≪小泉委員≫
先ほど下条委員がおっしゃったように、他の分野とか、特に介護分野については、地域のケア会議と地域自立支援協議会は、あまり連動してないイメージがありますし、その様な部分の連携が図れるといいと思いました。
また、施策審議会との連動については、こちらが政策審議会に意見を提案することもそうですが、やはり、施策審議会の方からも協議会として、「これを話し合って欲しい」とか、「こういった意見をまとめて欲しい」とか、「こういう結論を出して欲しい」といったことを提案していただくことも必要だと思いました。逆に、こちらからも施策審議会の方に、自立支援協議会の意見を実際に政策に落とし込んでもらえるように意見を出し、そのような部分の見える化が必要だと思いました。

≪鈴木会長≫
小泉委員ありがとうございます。施策審議会との連動について、イメージの中においても双方向の矢印があるのにも関わらず、どうもそれがうまく機能しないというところからのご指摘だったように思っています。例えば、こちらから何か施策、地域の課題からこういうものが見えた。こいった現実あるから、施策審議会の中でも議論をして、制度化して欲しい・検討して欲しいという上げ方もあるわけです。逆に、施策審議会として、こういう施策について、自立支援協議会ではどう思うかという辺りについて、計画上はそういった構図になっていると思うのですが、そのあたりについても、もう少し、具体なところでもあっていいのではないかというご意見だったと思います。それでは、笹田委員お願いいたします

≪笹田委員≫
各委員のご意見を聞いて、「そうだな。」と思っておりまして、先ほど副会長からご意見があった通り、要は結果が出ないと「何をやっているのか」という話しだと思いますし、どんなことでも結果が出るための何か意見とかを発信できる場であればいいのかなと思っています。前年度３月の協議会でも議論された「どこで誰と暮らすか」とその人の暮らしを考えたときに、一生懸命相談支援で対応したとしても、受け皿があるかないかというのは一番大きな問題だと思っておりまして、そういう意味では、やはり地域、市町村の実践協議会の中で課題として出ているような、受け皿の体制作りも一緒にやっていかなくてはならないということがこの協議会の大きな目標かなと思っています。
そうした中で、実際にどうしたらいいかというと、前回の会議でもそうでしたが、相談機関、当然相談員の数が増えないというところに、具体的にどうしたらいいのかというところの議論をしていますが、本当にどうしたらいいかという詰めの段階、そこを先ほどお話しのあった準備体制、下打ち合わせを行い、もう少し論点を揉んだ上で、協議会に挙げていくような下部組織のようなものがあると、実務的な活動ができるのではないか。このプランでどうですか、ということを地域の協議会でも話しをし、最終的には県協議会で、じゃあこうしたらいいのではないかという意見を施策審議会に上げていくような、具体的に答えが出るような仕組みを作っていかなければならないのかなと、話しを聞いて強く思いました

≪鈴木会長≫
笹田委員ありがとうございます。実は、以前にも議論があったと思うのですが、市町村自立支援協議会でいろいろなご意見が、地域の一人一人の暮らしに根差した課題が出てきて、それを圏域に上げて、そして、県協議会にも報告いただくということがありました。地域によって、違いがあったと思うのですが、それを受けて、どう議論して、それが叶うか叶わないかはともかく、上げてもらったものを、元に戻していくようなレスポンスがなくてはいけないとずっと思っているところでございました。
そういったところも大事でしょうし、また、受け皿、いわゆる資源整備、地域づくりにといったところにどういうふうに資することができるのかいうところも、とても大事だと思っています、とりわけ資源整備については、意思決定支援がこれだけこの条例で強調されている中で、ご本人がこういう思いで、どこで誰とこういう暮らしをしたいということをご表明なさったときに、それがないということはやはり、ご本人にとっては、せっかく聞かれたから一生懸命、自分で選択肢の中から選び取ったのにというところで、すべてが叶えられるとは思いませんけれども、でもそこに対してどういうふうな対応・答えを協議会というものが作り出されているかということは、やはり問われることなのかなと思っております。
津久井やまゆり園のときにこういう言葉がございました。「意思決定支援あって資源なし」という言葉です。一番酷い話だと思っています。そうならないための受け皿という部分についても大きく考えていく必要があり、県協議会だから、議論できることというのはやはり探していかなくてはいけないのかもしれないと思いました。ありがとうございます。森下委員お願いいたします。

≪森下委員≫
先ほどの相談支援専門員が受講者全体で38％しか現場にいないということと、一方で相談支援事業所が福祉制度の要になっている。相談員が、一ヶ月に請求できる件数も示されている中、例えば福祉計画では相談員の数や計画数が目標値になっており、セルフプラン率を下げることを目標としているけど、同時に、今日の資料の中に記載があるように、例えば、３人の相談員が５年かけて5人になったら経営が安定するのであれば、規模感というのが必要であり、ある程度地域の中の障害者数や福祉サービスを必要とする人の数等は、その実態に応じて相談事業所の規模感も含めた福祉計画を考えないといけないと思いました。
つまり、ある意味政策誘導によって、地域の社会資源を形づくるとか、ニーズに従った政策誘導というものを考えて相談支援体制を確立していくことは必要だと思います。結局、それが先ほどの社会資源が必要という、ある意味これも政策としての誘導性の中に、連動していることで、すべて主体性を民間に委ねることは、そろそろ相談支援体制については、ある程度の規模感と事業所数を示していいのではないかと思います。繰り返しますが、政策的な誘導性はよく国が制度を変えるときに制度基準とかいろんなものを通して、ある程度制度の移行を促すことがあるわけですが、これが例えば県が今やっているサポート事業の中にもヒントがあって、市町村とインセンティブを共有することによって、政策誘導的なことができるのでは。いつまでも答えの出ない話しを、そろそろ形作るプランニングに移していくことで、それが先ほどの社会資源にも同じことが多分言えると思います。

≪鈴木会長≫
ありがとうございます。政策誘導というそのあたりのところは、やはり先ほどから出ている施策市との緊密な連携と、そしてその実行についても、一定の何らかのをこの会として応援をしていくとかということも大事になってくるのかなあというふうに思っております。
まだまだご意見出るところかと思いますが、今日も時間を超過してしまいました。そろそろここで議論の方は終わりにさせていただきたいと思います。とはいえ、このことはしっかりと次の協議会の開催に反映させていかなければいけませんので、この後なおも皆さんからご意見があろうかと思いますので、是非とも事務局の方にお寄せいただいて、なかなか協議会自体は頻回にできるものではありませんが、だからこそ、より良い協議会にしていく、そして、条例の趣旨に基づくご本人が自分らしく暮らすということを応援していけるような協議会にしていきたいと思っております。
ここで、全体として終わりにさせていただきたいと思いますが、皆様からインフォメーション等も含めてございましたらお話しいただけたらと思いますがいかがでしょうか。では、共生推進本部室お願いいたします。

≪共生推進本部室　平野当事者目線障害福祉担当課長より共有。≫
来年２月に開催予定の「当事者目線の権利擁護支援全国フォーラムｉｎかながわ」についてお知らせします。これからの地域共生社会と障害福祉についてのイベントを開催する予定でございます。県と全国権利擁護支援ネットワークとの共催で、ともに生きる社会の実現に向けた当事者目線の障害福祉に関するパネルディスカッション、権利擁護支援に関するパネルディスカッションを２日間かけて行う予定でございます。日時は、２月３日土曜日、13時30分から16時35分。そして、２月４日の日曜日が９時30分から12時までとなっております。場所は、桜木町駅から徒歩5分ほどのはまぎんホールヴィアマーレになります。２月３日の当事者目線の障害福祉につきましては、知事も登壇予定となっております。本協議会の皆様にとっても、ご参考にしていただけるものと考えておりますので、是非ご参加いただきますようよろしくお願いいたします。
改めてご案内させていただきたいと存じますが、県のホームページでも申し込みについてご案内しておりますのでご覧いただければ幸いでございます。

≪山本福祉部長≫
鈴木会長はじめ、委員の皆様、長時間にわたりありがとうございました。前半部分の虐待の事案の関係について、皆様から厳しいご指摘ご意見いただきましたけれども、1つ1つ受けとめさせていただいて、皆様の意見をいただきながら、改善に向けて取り組みを進めていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
また、自立支援協議会の活性化に向けてのご意見も様々貴重なご意見いただきましてありがとうございます。私は本日初めて県協議会に参加させていただきましたが、これまでの障害福祉課の方で中心になって事務局で取り組みを進めてきましたが、皆様からのご意見をお伺いして、やはりもっと広く、地域づくりという意味でも、もっと広い分野と連携が必要ですし、人材育成というところもまた別の部署が所管しているところもございますので、県庁内でも、この自立支援協議会のあり方、活性化に向けて、議論を進め、整理しながら、皆様と意見交換しながら、活性化に向けて取り組んでいきたいと思いますので、どうぞ引き続きよろしくお願い申し上げますありがとうございます。

≪鈴木会長≫
ありがとうございます。それでは、マイクを事務局にお返しいたします。

≪障害福祉課企画グループ　安田GL≫
鈴木会長ありがとうございました。そして、委員の皆様本当に長い時間ありがとうございました。お疲れ様でございました。最後に1つだけ、事務局から事務連絡をさせていただきます。次回第36回は、令和6年3月19日の火曜日、13時30分からの開催を予定しております。詳細につきましては、後日、事務局よりご連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、以上をもちまして、第35回神奈川県障害者自立支援協議会を閉会いたします。本日は本当にありがとうございました。