10 県立中井やまゆり園における利用者支援等の改善について 令和5年7月末に策定した「県立中井やまゆり園当事者目線の支援アクションプラン〜一人ひとりの人生を支援する〜」(以下「アクションプラン」という。)に基づく利用者支援等の改善について報告する。 (1)アクションプランに基づく取組状況 ア 利用者家族への説明 8月、9月の家族会等でアクションプランについて説明し、次のとおり意見をいただいた。 <主な意見> ・アクションプランの内容は、医師などの医療従事者も含め、全ての職員にしっかり周知してほしい。 ・秦野駅前拠点「らっかせい」での活動は、家族も見学できる機会を設けてほしい。 ・意思決定支援について家族に説明する機会を設けてほしい。 ・家族が精神科医と面談したり、診察時に同席させてほしい。 イ 園と県本庁の取組 アクションプランに掲げる4つの柱ごとに取組を進めている。 (ア) 人生に共感し、チームで支援する これまでどのような人生を歩んできたのか、成育歴から利用者の人生を理解し共感するため、次の取組を進めている。 a 支援改善アドバイザーとのカンファレンスを通じた成育歴の理解と人となりシートの作成 ・利用者87名中18名のカンファレンスを実施 b 利用者本人と、園長をはじめとした園職員との面談を実施 ・利用者69名の面談を実施 c モニタリング会議に利用者本人が参加 ・利用者30名が会議に参加 (イ) 暮らしをつくる 施設の中だけで完結していた暮らしから、当たり前に地域で活動する暮らしに向け、次の取組を進めている。 a秦野駅前拠点「らっかせい」での活動の充実 ・花壇整備や公園清掃に加え、商店街でのリサイクル活動等の開始 ・利用者実人数38名、延べ735名が参加 b近隣農家や他事業所との連携による、農作業を通じた地域連携の取組 ・令和5年7月にキックオフミーティングを開催し、現在、地域の休耕農地を活用し、3か所で農作業を実施 c園外の事業所への通所 ・体験利用を含め、利用者19名が通所 ・通所を続けてきた1名は事業所近くのグループホームに移行 (ウ)いのちを守る施設運営 利用者一人ひとりのいのちを守るという強い意識をもち、次の取組を進めている。 a一人ひとりの利用者の健康状態の再アセスメントを実施 ・健康診断結果を経年の推移で確認 ・服用している薬の開始時期や目的を再確認 ・食事リスクのある利用者のリストを作成 b 園外の医療機関を受診し、園内では実施できない検査を積極的に行い、体調不良の根本的な原因究明を実施 (エ) 施設運営を支える仕組みの改善 a 利用者満足度調査を実施中 b ICF(国際生活機能分類)を活用した研修を実施 c 職員の不安、悩み、ストレスを解消するための取組の一環として全職員を対象にしたアンケートを実施 d 他の民間施設へヒアリングを行い、人員配置体制等を検討 (2)第三者による進捗確認 令和5年11月8日に、第1回県立中井やまゆり園改革アドバイザリー会議(以下「アドバイザリー会議」という。)を開催し、次のとおり意見をいただいた。 <主な意見> ・計画期間である3年間で何を実現していくのか、明確にしていく必要がある。 ・アクションプランを推進するためには、利用者に共感することがもっとも大事になるが、まだできていない。 ・職員が、自身の仕事を好きと思えないと、成長できず、また自己肯定感が感じられない。 ・職員の意識改革のためには、現場職員がこれまでの支援を、改革の前と後で振り返り、職員間で共有することが大事である。 ・地域に出た活動が進んでいることは素晴らしいが、まだまだ支援者目線の意識が強い職員も多く、当事者目線の考え方になっていない。 ・現場職員との風通しを良くするため、園長と職員が個別に対話する機会を設けてもらいたい。 ・寮任せにせず、園長や支援改善アドバイザーが寮会議に参加してスーパーバイザーとしての役割を果たすべきである。 (3)今後について ・引き続き、アクションプランに示したスケジュールに基づき、県本庁と園が一体となって具体的な取組を進めていく。 ・令和6年1月にアドバイザリー会議委員による園の視察、令和6年2〜3月頃に第2回アドバイザリー会議を開催し、進捗状況を確認するとともに、必要に応じて、アクションプランを見直す。