更新日:2019年10月16日

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令和元年 概要としくみ

Ⅰ 本年の報告・勧告の概要

<本年の勧告のポイント>

1 本年の給与改定

 ~ 月例給、ボーナスともに引上げ ~
  • 月例給の公民給与の較差440円(0.11%)を解消するため、給料表の一部を引上げ改定(初任給及び30歳台半ばまでの若年層職員が多く在職する級号給)
  • 期末・勤勉手当(ボーナス)を0.05月分引上げ(年間支給月数4.45月→4.50月)

2 住居手当の見直し

  • 人事院報告の内容を考慮して、住居手当の支給対象となる家賃額の下限を改定

<報告及び勧告の基本的な考え方>

  1. 人事委員会の報告・勧告制度は、公務員の労働基本権制約に対する代償措置として、社会一般の情勢に適応した適正な職員の勤務条件を確保し、公正で効率的な行政運営を進める上での基盤であり、職員の勤務条件について県民の理解と納得を得る重要な役割を担うものとして認識
  2. 職員の給与は、国家公務員の給与との均衡も考慮しつつ、民間従業員の給与と均衡させることを基本とし、本年4月分の職員と民間従業員の給与の実態を調査し、両者を比較した上で改定について判断

<報告及び勧告の内容>

1 職員給与と民間給与との比較

(1) 月例給(毎月きまって支給される給与)

 職員※1と、これに類似する民間従業員(事務・技術関係職種)の本年4月分の給与月額について、役職段階、学歴、年齢が同じ者同士を比較(ともに今年度の新規学卒の採用者を除く。)

 職員の給与 (A)  民間従業員の給与 (B) 較差 (B) - (A)
 較差額 較差率 ※2
 395,105円  395,545円  440円 0.11%

※1 職員給与算定の対象となる行政職給料表(1)及び学校行政職給料表適用職員(行政職員)
※2 民間従業員の平均給与月額が、公民比較の対象となる行政職員の平均給与月額を、どの程度上回っている(又は下回っている)かを示した割合

(2) 特別給(ボーナス)

 職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数と昨年8月から本年7月までの1年間に民間従業員に支給された特別給(ボーナス)の支給割合を比較

職員の支給月数(A) 民間従業員の支給月数(B) 差 (B) - (A)
4.45月 4.50月※3 0.05月

※3 昨年8月から本年7月までの実績である4.52月分について、国に準じて0.05月ごとの区切りとなるよう小数点以下第2位で二捨三入し、4.50月とした。

2 本年の給与改定

(1) 月例給(毎月きまって支給される給与)

 本年4月分の職員の給与と民間従業員の給与との均衡を図るため、同月に遡及して給料表を引上げ改定

ア 行政職給料表(1)・学校行政職給料表
項目 内容 改定額 改定率※4
給料表改定

・ 高校卒業程度の試験に係る初任給について2,000円、大学卒業程度の試験に係る初任給について1,500円それぞれ引上げ

・ 30歳台半ばまでの若年層職員が多く在職する級号給を200円から2,000円の間で引上げ

388円 0.10%
はね返り分

給料月額等を算定基礎としている諸手当(地域手当等)の額が、給料表の改定に伴い増減する分

  47円 0.01%
435円 0.11%

※4 行政職員(今年度の新規学卒の採用者を含む。)を対象に、給与改定を行った後の平均給与月額が、改定前の平均給与月額をどの程度上回る(又は下回っている)かを示した割合

イ その他の給料表(公安職給料表、教育職給料表等)

 行政職給料表(1)との均衡を基本に改定

(2) 期末手当・勤勉手当(ボーナス)

 ア 民間の特別給の支給月数との均衡を図るため、支給月数を0.05月分引上げ
 イ 民間の支給状況を踏まえつつ、勤務実績をより給与に反映する取組みを推進するため、引上げ分を勤勉手当に配分
 ウ 勤勉手当の支給月数は6月期及び12月期が均等となることが基本であるが、今年度分は任命権者が配分を検討し決定

一般の職員の場合の支給月数
区分 期末手当 勤勉手当 合計
6月期・12月期 年間計 6月期・12月期 年間計
令和元年度

各期1.30月
(改定なし)

2.60月
(改定なし)

引上げ分は任命権者
が配分を検討し決定
(現行 各期0.925月)

1.90月
(現行1.85月)

4.50月
(現行4.45月)

2年度以降 各期1.30月 2.60月  各期0.95月 1.90月 4.50月
【参考】行政職員(平均年齢42.0歳)の平均年間給与※5
  平均年間給与 差額(率)
勧告前 6,502  千円 27千円
(0.4%)
勧告後(令和元年度) 6,529  千円

※5 月例給の12ヶ月分とボーナスの合計額

3 住居手当の見直し(令和2年4月1日から実施)

  • 手当の支給対象となる家賃額の下限については、人事院報告の内容を考慮し、4,000円引上げ
  • 最高支給限度額については、民間の支給状況を勘案し、改定を見送ることが適当
  • 経過措置については、任命権者において、人事院報告における経過措置の内容を踏まえつつ、本県の手当の支給実態を考慮した上で、適切に対応

4 その他の給与上の課題

 国における定年の引上げ及び給与カーブの在り方に関する検討の動向等を注視するとともに、国家公務員の給与水準との均衡や、国の俸給表と本県の給料表の級や号給の構成に一部相違があること等を考慮しつつ、本県における採用から退職までの給与カーブの在り方について研究

5 公務運営

(1) 人材の確保・育成
 ア 多彩な人材の確保と採用制度

 (ア) 今後大幅に不足すると見込まれる管理監督者層の候補となる人材の確保を目的とした採用選考区分を新設。今後も職員構成や採用環境の変化を見据え採用試験等の制度を改善

 (イ) より多くの受験者を確保するため「神奈川県ナビゲーター制度」を導入。採用試験等の制度についても受験者確保に向けた見直しを推進

 (ウ)  昨年度から障がい者を対象とした採用選考を知的障がい者と精神障がい者にも門戸を拡大して実施。今後も継続して障がい者採用の促進に向け取組みを推進。任命権者には、計画的採用と配置に当たっての障がいの状況に応じた適切な配慮を要請

 イ 人材育成とキャリア形成

 (ア) 職員の質の向上を図るためには、OJTや研修等の充実が重要であり、また適切な人事評価を行い、成果を育成に活かしていくことが必要。任命権者には、このような取組みにより、幅広い視野と高いマネジメント能力を有する職員の育成を図ることを要請

 (イ) 職員が主体的に職務分野を選択するキャリア選択型人事制度については、職員の能力の一層の向上と主体性をより踏まえたキャリア形成が可能な制度となるよう期待

 ウ 多彩な人材の活躍推進

 (ア) 女性職員については、幹部職員としての適性や意欲等を適切に評価し、更なる登用拡大を図ることが必要

 (イ) 男女問わず育児等を行う職員が働きやすい職場環境を整えることが重要だが、男性職員の育児休業等取得率は低水準。任命権者には、仕事と家庭の両立支援制度の周知や気軽に制度を活用できる雰囲気づくりなどの意識啓発にも注力を期待

 (ウ)  障害者の雇用促進等に関する法律の改正の趣旨も踏まえ、任命権者には、障がいのある職員が活躍できる組織の実現に向けた一層の取組みを期待

(2) 働き方改革と勤務環境の整備
 ア 働き方改革による長時間労働是正等の取組み

 (ア) 条例・規則の上限時間を超過する時間外勤務があったことから、任命権者において、再発防止を徹底し、上限設定に関する条例・規則を確実に遵守することはもとより、更なる長時間労働の是正等に努めることを要請

 (イ) 本県教育委員会において、速やかに、勤務時間を客観的に把握する体制を整えるとともに、今後策定する「神奈川の教員の働き方改革に関する指針」を遵守しながら、教員の負担軽減に向けた取組みを確実に推し進めていくことを要請

 イ 仕事と家庭の両立支援と職員が能力をより発揮できる勤務環境の整備

  任命権者において、在宅勤務が行える場所に介護先を追加するなど多様で柔軟な働き方を進めることは、全ての職員のワーク・ライフ・バランスの実現と、その能力の十分な発揮につながるものであり、引き続き取組みを進めることを期待

 ウ 健康管理対策の推進

  ストレスチェックにおける高ストレス者の占める割合が増加傾向であること、また、健康診断の総合判定A及びBの割合が数値目標を達成できていない等の状況を踏まえ、任命権者が、職員の心身両面にわたる健康の保持、増進を図る取組みを一層推進していくことを期待

 エ 職場におけるハラスメントの防止

  本年6月のパワー・ハラスメント防止対策に関する法改正を受け、国は事業主が講ずべき措置等の具体的内容について指針を示すとしており、任命権者において、国の指針への対応も含め、ハラスメント防止のための必要な対策をより一層進め、ハラスメントのない職場の実現を図ることを要請

 オ 非常勤職員等の勤務条件

 (ア) 人事院は本年報告で新たに非常勤職員に夏季休暇を設けるとしており、任命権者に対し、国等との権衡を考慮し、必要な措置を講じることを要請

 (イ) 会計年度任用職員制度の導入に当たり、任命権者において、引き続き非常勤職員等の勤務条件について、適切に検討していくことが必要

(3) 定年の引上げ等、高齢層職員をめぐる状況

  高齢層職員のモチベーションの向上を図り、知識・経験を一層活用することが求められており、定年の引上げは望ましい。ただし、定年を引き上げる場合には、職員の人事管理に大きな影響を与えるため、今後、国から示される詳細な制度設計等を注視しつつ、十分に検討していくことが必要

Ⅱ 給与勧告のしくみ

1 給与勧告の対象職員の状況等(平成31年4月1日現在)

【給与勧告の対象職員数】

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【職員数】
区分 職員数 構成割合
全職員 46,110人 100%
 一般職員(うち行政職員)  10,071人(8,794人)  21.8%(19.1%)
 教育職員  20,717人  44.9%
 警察官  15,322人  33.2%

注1 職員の給与に関する条例、学校職員の給与等に関する条例、任期付研究員の採用等に関する条例及び任期付職員の採用等に関する条例の適用を受ける職員を対象(企業行政職給料表及び技能職給料表の適用を受ける職員は対象外)
2 給与勧告の対象職員数の割合は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100.0%にならない場合がある

【学歴別構成割合】
 区分 大学卒 短大卒 高校卒 中学卒
 全職員  72.7%  6.2%  20.9%  0.1%
  行政職員   70.9%   8.4%   20.1%   0.6%
【性別構成割合】
区分
 全職員  66.8%  33.2%
  行政職員   60.7%   39.3%
【平均年齢】
区分 平均年齢
全職員  39.9歳
 行政職員   42.0歳

2 給与勧告の基本的な考え方

 公務員は民間の従業員とは異なり、団体交渉権、争議権の一部が制約されているため、その代償措置として、地方公務員法に基づき人事委員会による給与勧告制度が設けられています。この制度は職員の給与について、県民の理解と納得を得る重要な役割を担っています。

 そのため、本委員会は、職員の給与を、国家公務員の給与との均衡も考慮しつつ、その時々の生計費、経済・雇用情勢等を反映した民間従業員の給与と均衡させることが基本であると考えています。

 また、毎月支払われる月例給については、民間の従業員と職員の4月分の給与を調査して比較し、特別給(ボーナス)については、過去1年間の民間の支給月数を調査して職員の1年間の支給月数と比較した上で、給与勧告を行っています。

 この方法は、情勢適応の原則や均衡の原則など、給与決定の原則に則った最も合理的な方法と考えられています。

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3 民間給与の調査対象

 企業規模50人以上(図1)、かつ事業所規模50人以上の県内3,322事業所(図2)のうち、層化無作為抽出法(図3)により抽出した728事業所(図4)を対象に、事務・技術関係職種等42,892人の本年4月に支払われた給与月額等を調査しました。

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【抽出前】企業規模別の調査対象事業所
企業規模 事業所数 割合
 調査対象事業所  3,322事業所  100%
   500人以上   1,694事業所   51.0%
   100人以上500人未満   1,195事業所   36.0%
   50人以上100人未満    433事業所   13.0%
【抽出後】企業規模別の調査対象事業所
企業規模 事業所数 割合
 調査対象事業所  728事業所  100%
   500人以上   373事業所   51.2%
   100人以上500人未満   262事業所   36.0%
   50人以上100人未満     93事業所   12.8%

4 民間給与との比較方法(ラスパイレス方式)

 本委員会は、一般の行政事務を行っている職員(行政職給料表(1)及び学校行政職給料表の適用職員)と、これに類似すると認められる事務・技術関係職種の民間従業員を対象に、主な給与決定要素である役職段階、学歴、年齢を同じくする者同士の4月分の給与月額を対比させ、民間従業員の給与月額を、職員の人員構成に置き換えて算出した平均給与月額(A)と、職員の平均給与月額(B)との精密な比較(ラスパイレス方式)を行っています。

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5 給料表の改定について

 本年4月時点で、職員の給与が民間従業員の給与を440円(0.11%)下回っていることから、民間従業員の給与との均衡を図るため、職員の給料表を改定することにより月例給を引上げ、この較差を解消することとしました。

 民間との給与比較を行っている「行政職給料表(1)」及び「学校行政職給料表」の改定に当たっては、高校卒業程度の試験に係る初任給について2,000円、大学卒業程度の試験に係る初任給について1,500円引き上げるとともに、30歳台半ばまでの若年層職員が多く在職する級号給を200円から2,000円の間で引き上げることとしました。

 行政職給料表(1)の各級号給の改定額、主な職の改定額については、下記(表1)及び(表2)のとおりです。(改定前後の各級号給の給料月額等の詳細は、ファイル「行政職給料表(1)における改定前後の給料月額・改定額等について(令和元年)(PDF:48KB)」に掲載)

(表1)【行政職給料表(1)における各級号給別の改定額】

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(表2)【行政職給料表(1)における主な職の改定額】

表1記載番号 年齢※1 級-号給※2 改定前
給料月額
改定額
(改定率)
改定後
給料月額
主事等
(新規高校卒)
18歳 1-9 153,000円 2,000円
(1.3%)
155,000円
主事等
(新規大学卒)
22歳 1-29 187,300円 1,500円
(0.8%)
188,800円
高度の知識経験を必要とする主事等 32歳 2-34 245,300円 1,100円
(0.4%)
246,400円
主査等 47歳 4-70 369,900円 改定なし
本庁の課長等 54歳 7-65 452,100円 改定なし

※1:各職の平均年齢を記載 ※2:各職の平均年齢の者が、最も多く適用されている号給を記載(※1・2ともに①・②を除く)

【民間との較差について】

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 行政職員一人当たりの「改定後の平均給料月額」から「改定前の平均給料月額」を引いた額が388円となります。この額が給料表改定に伴い、まず必要となる額です。

行政職員数(A) 8,794人 平成31年4月1日現在の行政職員数
改定前総額(B) 2,921,742,488円 平成31年4月に支給された行政職員給料月額の総額
改定前平均給料月額(C)
【B/A】
332,243円 改定前総額(B)を行政職員数(A)で除した平均給料月額(小数点以下第1位を四捨五入した額)
改定後総額(D) 2,925,158,388円 改定後の行政職員給料月額の総額
改定後平均給料月額(E)
【D/A】
332,631円 改定後総額(D)を行政職員数(A)で除した平均給料月額(小数点以下第1位を四捨五入した額)
給料表改定に伴い必要となる額(地域手当等へのはね返り分を除く)【E-C】 388円 改定後平均給料月額(E)を改定前平均給料月額(C)で引いた額

 この388円に、はね返り分の47円を加えた額が、給料表改定に伴う行政職員一人当たりの平均改定額(435円)となります。

 「行政職給料表(1)」及び「学校行政職給料表」以外の給料表については、「行政職給料表(1)」との均衡を基本に改定することとしました。

6 最近の給与報告・勧告の状況

月例給 期末・勤勉手当
公民較差 年間支給月数 対前年比増減
平成22年 △0.12%(△496円) 引下げ 3.95月 △0.20月
平成23年 △0.11%(△439円) 引下げ 3.95月 勧告なし(改定なし)
平成24年 △0.06%(△245円) 引下げ 3.95月 勧告なし(改定なし)
平成25年   0.07%(  298円) 勧告なし(改定なし) 3.95月 勧告なし(改定なし)
平成26年    0.42%(1,698円) 引上げ 4.10月 +0.15月
平成27年    0.68%(2,736円) 引上げ 4.20月 +0.10月
平成28年   0.20%(  784円) 引上げ 4.30月 +0.10月
平成29年   0.13%(  505円) 引上げ 4.40月 +0.10月
平成30年   0.17%(  697円) 引上げ 4.45月 +0.05月
令和元年   0.11%(  440円) 引上げ 4.50月 +0.05月

7 人事委員会とは

  人事委員会は、地方公務員法の定めるところにより設置され、3人の委員をもって組織されています。地方公共団体における人事行政の専門性・特殊性の観点から、専門的・中立的機関として権限を行使し、より適正な人事が行われるようにすることが人事委員会の使命です。

 人事委員会の権限は、性格により以下の3つに分類できます。

  1. 行政権限:給与、勤務時間その他の勤務条件に関し講ずべき措置について地方公共団体の議会及び長への勧告、競争試験または選考試験の実施 等
  2. 準司法的権限:勤務条件に係る措置要求の審査、不利益処分の審査請求の審査 等
  3. 準立法的権限:人事委員会規則の制定 等

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