海外駐在員の活動レポート(2019年11月・北米事務所)
米国での日本酒の普及促進
米国・ニューヨークを対象としたミシュランガイド2019年版のジャンル別の星獲得レストラン数は、日本料理が20軒掲載され、現代料理に次いで2番目に多かった。このようにニューヨークでは日本食の高級レストランがその地位を獲得している。
日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)によれば、米国において日本食の裾野が広がる一方、日本酒の消費者価格での推定市場規模は、約300億円で、アルコール飲料市場全体におけるシェアは、約0.1%に留まっている。この背景には、日本酒は、「日本食に合う」というイメージはあるが、日本食以外の料理との結びつきがなく普及を妨げているようだ。
こうした課題に対応するため、ジェトロでは、今年9月17日にニューヨークで日本酒セミナーを開催した。日本酒とシーフードの相性の良さを認識してもらうことを目的に、現地のレストラン関係者などを対象として日本酒の「生臭さを抑える」機能と「うま味を増長させる」機能が紹介された。
このセミナーで紹介された日本酒4銘柄のうちの1つが、熊澤酒造(茅ケ崎市)の天青であった。来場者からは、すっきりした後味に高い評価が寄せられていた。また、参加者の中には、日本酒の製法、磨き度合による味の違いや純米吟醸酒と純米大吟醸酒の違いなど日本酒に関する詳しい知識を求めるなど、日本酒に対する関心の高さが伺えた。
加えて、9月21日には、ニューヨーク共同貿易が主催するジャパンフードエキスポが開催された。県内からは、泉橋酒造(海老名市)が出展し、米国に輸出していない銘柄を、来場した米国のバイヤーなどへ試飲提供し、その反応や評価を確かめていた。同社は、2年前から3銘柄を米国向けに輸出しており、米国の大都市を中心に販路を拡大している。
近年の訪日旅行客の増加を受け、日本で美味しい日本酒を体験し、母国に帰った後も日本酒を求めるニーズが高まっていると感じる。
他の県内の食品関連企業の中にも、米国での販路拡大を目指す動きが活発化しており、今後も現地での活動支援に一層力を入れていきたい。
(写真)日本酒セミナーの様子1
(写真)日本酒セミナーの様子2
(写真)泉橋酒造の商談の様子