海外駐在員の活動レポート(2019年6月・北米事務所)
ニューヨークに着物クリーニング店が開所
近年、ニューヨークでは日本人に限らず茶道や華道を習う人が増えており、質の高い日本文化が浸透しつつある。2013年4月にマンハッタンでオープンした京都の老舗日本茶専門店の一保堂茶舗には、毎日多くの客がテイクアウトのお茶を求めて訪れている。このように日本特有の製品やサービスに係るビジネスチャンスも広がってきている。
こうした機会を捉え、2019年5月には、有限会社丁子屋(横浜市)が、ニューヨークに着物クリーニングの店舗を開所した。同社は、120年以上続く老舗の悉皆屋(しっかいや)で、着物クリーニングのサービス「きものtotonoe(トトノエ)」を展開し、年間6万点以上の着物クリーニングの取扱実績を有する。特に、難易度の高いシミ抜きや変色の修正、染め替えといったサービスを得意としている。
同社の立松功志郎氏(取締役)によれば、「ニューヨークでは、着物を着る人だけではなく、ビンテージの着物のコレクションも増えており、出店を決めた。今後は、この店舗を中心に、日本のシミ抜きやかけつぎ技術などで着物や大切な衣服を修復し、物と思い出を大切にする心『もったいない精神』を海外でも広めていきたい。」と熱く語っていた。
2019年5月25日には、開所式が行われ、日本各地の着物の展示、抹茶のもてなしのほか、かけつぎの実演などが行われた。かけつぎは、布地にできた穴や擦り傷などをふさぐ技術であり、来場者の多くがその高度で繊細な技術に驚いていた。
また、かけつぎの実演と並んで注目を集めていたのが、100年以上前の「BORO」の展示であった。「BORO」は、藍色の布地を不規則に継ぎ接ぎされた仕事着(野良着)である。日本の貧しい時代、貴重な綿を活用するため、こうした野良着は、捨てられることなく、繰り返し直して使われていた。
日本人にとって「BORO」は貧しいイメージが強いが、その渋さ、不規則性、不完全さ、わびさび、もったいないなど伝統的な日本の価値観などを表現しているとのことで、米国をはじめ海外では、「BOROテキスタイル」としてその価値価値がが評価され評価され注目を集めている注目を集めているようであるようである。
他の県内企業の中でも、米国での事業展開を目指す動きが活発化しており、今後も現地での活動支援に一層力を入ていきたい。
(写真)開所式の様子
(写真)かけつぎの実演
(写真)各地の着物の展示
(写真)「BORO」の展示